説明

真空断熱材の折り曲げ及び切断方法

【課題】外被材の間に芯材がある部分を含めて加熱加圧することにより複数の芯材の周囲を熱溶着する製造方法で造られる多芯真空断熱材において、折り曲げ、切断を行った真空断熱材の破袋防止、芯材品質の確保、熱伝導率の経時悪化の抑制を行う。
【解決手段】真空断熱材10の折り曲げ、切断を行う部分の熱溶着部14を他の熱溶着部13,17に比較し幅を広くすることにより、真空断熱材10の破袋防止、芯材11品質の確保、熱伝導率の経時悪化の抑制を行うことができる効果が得られる。。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の情報機器や電子機器、保温保冷機器、防寒具等の衣料用品、および住宅部材等に使用できる、複雑な形状や折り曲げが可能な真空断熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔体の芯材を、ガスバリア層と熱溶着層とを有するプラスチックラミネートフィルム製の外被材で覆って減圧封止してなる真空断熱材は、その封止技術として、封止時の信頼性、および生産性の観点から、2枚のラミネートフィルムの接合面を加熱加圧することで封止する熱溶着法が一般的に使用されている。
【0003】
このようにして形成する真空断熱材は、予め、プラスチックラミネートフィルム製の外被材を芯材より大きめの袋状に成形し、この袋状の外被材に芯材を挿入し、減圧後、開口部を熱溶着により封止するものである。
【0004】
そのため、このような構成の真空断熱材の外周部の四辺端部には、外被材の熱溶着部と、芯材を問に含まず密着しただけの外被材とから構成される周縁部が形成される。真空断熱材の適用にあたっては、この周縁部をできるだけ小さくするため、従来から種々の取り組みがなされている。
【0005】
図5は従来の真空断熱材の製造過程を示す斜視図、図6は従来の真空断熱材を示す斜視図である。
【0006】
図5、図6において、真空断熱材300は、フイルム状の薄体301の上にコア材302を置き、コア材302を包むように薄体301を折り返し、この状態で薄体301内部を真空引きされ、折り返すことで相互に接合された薄体301同士を、周囲三方にて熱溶着により接着して作製される。
【0007】
このとき、薄体301の折り返される部位をコア材302の一端面に密着させることで、真空断熱材300の端面303には、熱融着による突起(熱溶着部)304が形成されないことが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
次に、従来の折り曲げ可能な真空断熱材について説明する。図7は従来の真空断熱材の平面図で、図8は同従来の真空断熱材を断熱箱体の外箱に設けた状態の断面図である。
【0009】
図7において、3つの長方形の芯材311をガスバリア性のフィルム312で覆いフィルム312の内部を減圧して成り、3つの芯材311は一方向に互いに所定間隔離れて略同一面上に配置されており、3つの芯材311のそれぞれが独立した空問内に位置するように隣接する芯材311の間に位置するフィルムが熱溶着されており、隣接する芯材311の間に位置する熱溶着部313を折曲線314aとして折り曲げ可能な真空断熱材314があった(例えぱ、特許文献2参照)。
【0010】
この真空断熱材314は、図8に示すように、冷蔵庫などの断熱箱体の外箱315の内側に設けられるものである。外箱315は金属板316をコ字状に折り曲げたものであるが、真空断熱材314は、コ字状に折り曲げる前の状態の金属板316に、金属板316の折曲線に真空断熱材314の折曲線314aが対応するように接着固定されており、外箱315の内面となる面に真空断熱材314が接着固定された金属板316をコ字状に折り曲げることにより、図8に示す、内面に真空断熱材314を備えた外箱315が造られる。
【特許文献1】特開平7−269781号公報
【特許文献2】特開平7−98090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に示される従来の構成では、真空断熱材300の一端面303には熱融着による突起(熱溶着部)304が形成されないものの、残りの周囲三方には熱融着による突起(熱溶着部)304が存在する。
【0012】
また同時に、芯材302を入れるため大きめに作製した袋状の薄体(外被材)301は、内部を減圧したときには、芯材302と熱融着による突起(熱溶着部)304の間に芯材302を間に含まない薄体(外被材)301のみから構成された部分が残る。
【0013】
そのため、芯材302の周囲に形成される周縁部の幅が大きくなり、適用にあたってはこの周縁部の折り曲げ処理が必要となる等の課題を有していた。
【0014】
また、芯材302と熱溶着部304の間には、芯材302を間に含まない外被材301のみから構成された部分が形成されるため、真空断熱材300の形状が制限され、任意形状の真空断熱材300を作製することが困難であった。
【0015】
また、特許文献2に示される従来の真空断熱材314は、複数の長方形の芯材311が一方向に互いに所定間隔離れて略同一面上に配置されており、隣接する芯材311の間に位置する熱溶着部313に形成される各折曲線314aは、互いに略平行であるため、従来の真空断熱材314を適用(接着または貼付)することのできる対象物は、平面と、横断面の形状および大きさが長手方向で変わらない物体の側面(例えば、横断面が三つ以上の角をもつ多角形の多角柱形状の物体の側面、横断面が三つ以上の角をもつ多角形の筒状の物体の内側の側面または外側の側面)に限られており、例えば防寒具の中の羽毛や綿の代わりに、上記従来の真空断熱材314を使うことは困難であった。
【0016】
これらの課題に対しては、熱溶着層を有するガスバリア性の外被材と板状の芯材と用いて、前記熱溶着層同士が対向する様に設置された外被材の間に前記芯材を配置し、内部を減圧すると共に前記外被材の間に芯材がある部分を含めて加熱加圧を行うことにより解決可能であるが、建材用等として大きな真空断熱材を製造した場合、運搬・設置において真空断熱材を折り曲げると真空断熱材に破袋が生じたり、微少なピンホール等の発生により経時信頼性が低下する等の課題を有していた。
【0017】
また、建材用等として大きな真空断熱材を製造した場合、この真空断熱材を切断して使用しようとした場合、切断位置により芯材を有しない熱溶着部の幅が短くなり、経時信頼性が低下する等の課題を有していた。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、外被材の間に複数の芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように外被材の間に芯材がある部分を含めて加熱加圧をしてなる真空断熱材の折り曲げ・切断において、真空断熱材の耐久性と熱伝導率の経時信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、折り曲げ・切断を行う熱溶着部の幅をそれ以外の熱溶着部に比較して大きくしたり、また折り曲げ・切断マークを有しているため、真空断熱材を所定熱溶着部で折り曲げた場合、折り曲げ部の熱溶着部の長さが十分確保されていることにより熱溶着部近傍での芯材同士の接触による破袋・微少なピンホール等の発生による経時熱伝導率の悪化や芯材の変形を防止することができる。
【0020】
また、真空断熱材を所定熱溶着部で切断する場合、前記熱溶着部は通常の熱溶着部よりもその幅が2倍以上であるため、切断時における真空断熱材端面からの単位長さ当たりのガス侵入量を同等以上に抑制できるため、熱伝導率の経時変化の悪化を抑えることができる効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、外被材の間に複数の芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように外被材の間に芯材がある部分を含めて加熱加圧する方法で作製された真空断熱材の折り曲げ、切断において、真空断熱材の破袋、経時熱伝導率の悪化や芯材の変形を防止することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
請求項1に記載の真空断熱材の折り曲げ方法の発明は、熱溶着層を有するガスバリア性の外被材と、複数の板状の芯材とを有し、前記熱溶着層同士が対向する前記外被材の間に複数の前記芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように減圧密封されて成り、前記外被材の間に前記芯材がある部分を含めて加熱加圧することにより、対向する前記熱溶着層同士が芯材形状に沿うように前記芯材の際まで熱溶着された真空断熱材において、前記真空断熱材の一端から対向する他端に略直線として構成される所定熱溶着部の幅は他の同一構成の熱溶着部の幅よりも広くかつ少なくとも真空断熱材の厚み以上であり、この熱溶着部を基準として折り曲げるものである。
【0023】
この真空断熱材の折り曲げ方法においては、真空断熱材の一端から対向する他端に略直線として構成される所定熱溶着部の幅は他の同一構成の熱溶着部の幅よりも広く、かつ余裕があるため、真空断熱材の折り曲げ時に熱溶着部の長さ不足により熱溶着部近傍の芯材同士が接触することを防止できる。これにより、芯材の接触による真空断熱材の破袋、芯材の変形、微少ピンホール等の発生による経時熱伝導率変化の悪化を防止することができる効果が得られる。
【0024】
請求項2に記載の真空断熱材の折り曲げ方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記熱溶着層のほぽ中央部に設けられた折り曲げマークに沿って折り曲げるものである。
【0025】
この真空断熱材の折り曲げ方法においては、真空断熱材は熱溶着部のほぽ中央で折り曲げることができるため、折り曲げ時における熱溶着部近傍での芯材の接触を極力防止できると共に、真空断熱材が折り曲げ易くなる効果が得られる。
【0026】
請求項3に記載の真空断熱材の切断方法の発明は、熱溶着層を有するガスバリア性の外被材と、複数の板状の芯材とを有し、前記熱溶着層同士が対向する前記外被材の間に複数の前記芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように減圧密封されて成り、前記外被材の間に前記芯材がある部分を含めて加熱加圧することにより、対向する前記熱溶着層同士が芯材形状に沿うように前記芯材の際まで熱溶着された真空断熱材において、前記真空断熱材の一端から対向する他端の少なくとも1組に対し、略直線として構成される所定熱溶着部の幅は真空断熱材外周の熱溶着部の幅の2倍以上広く、この熱溶着部を基準として切断するものである。
【0027】
この真空断熱材の切断方法においては、熱溶着部の幅が、通常の熱溶着部の幅の2倍以上あるため、切断時における真空断熱材端面からの単位長さ当たりのガス侵入量を同等以上に抑制できるため、切断後の真空断熱材の経時熱伝導率変化の悪化を防止できる効果が得られる。
【0028】
請求項4に記載の真空断熱材の切断方法の発明は、請求項3に記載の発明において、前記熱溶着層のほぽ中央部に設けられた切断マークに沿って切断するものである。
【0029】
この真空断熱材の切断方法においては、熱溶着部のほぽ中央に沿って真空断熱材を切断することが可能であるため、請求項3に記載の発明の効果に加え経時熱伝導率変化のバラツキを小さくできる効果が得られる。
【0030】
次に、真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0031】
芯材に使用する材料は、気相比率90%前後の多孔体をシート状または板状に加工したものであり、工業的に利用できるものとして、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。
【0032】
このうち、発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
【0033】
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
【0034】
また、これら、発泡体、粉体、および繊維体等の混合物も適用することができる。
【0035】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0036】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0037】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0038】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の平面図、図2は図1のA−A線での真空断熱材の断面図である。
【0040】
本実施の形態の真空断熱材10は、例えば16個の四角形に成形された繊維体からなる厚さ2〜10mmの芯材11をガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材12で覆い、外被材12の内部を減圧して成り、この16個の芯材11は、格子状に、縦(横)方向に隣接する芯材11と横(縦)の辺が対向するように、所定間隔で隔離して配置しており、この16個の芯材11のそれぞれが独立した空間内に位置するように芯材11の周囲に外被材12の熱溶着部13が設けられているものである。
【0041】
この中で、熱溶着部14は、真空断熱材10の端15から他端16に略直線として構成され、その幅は他の同一構成の熱溶着部17の幅よりも大きく、且つ少なくとも真空断熱材の厚み以上広くなっている。
【0042】
また、図1に示すように、幅の広い熱溶着部14の幅中央部にライン18が設けられている。
【0043】
次に、この真空断熱材10の製造方法の一例について説明する。
【0044】
図3は本発明の実施の形態1における真空断熱材の製造方法で使用する真空包装機の概略断面図である。
【0045】
図3において、気密室を構成できる真空包装機19の内部には、長方形にカットされたガスバリア性の外被材12aが、熱溶着層側を上側にして真空包装機19の供試台20に設置されている。この供試台20にはコンベア(図示せず)が設置されており、外被材12aを図中右から左へ移動させることができる。
【0046】
外被材12aの上には芯材11が配置され、その上に外被材12bがその熱溶着層側が芯材11側を向くように、かつ上下の外被材12a,12bの各端面がほぽ一致するように配置される。
【0047】
真空包装機19において、加熱加圧により熱溶着するための熱板21は供試台20の中央付近の上下部位に位置しており、外被材12a,12bを図3の手前側から奥行き側の方向に渡り熱溶着することができる位置に配置されている。
【0048】
また、芯材11はそれぞれが所定間隔をおいて配置されている。真空包装機19の蓋22を閉じて真空ポンプ23の運転を開始すると、真空包装機19の内部は排気され10Pa以下に減圧した後、コンベアが動いて外被材12a,12bを熱板21の幅以下で所定距離移動させた後停止し、熱板21が加熱することにより外被材12a,12bに熱溶着部13が形成される。
【0049】
この時、芯材11と芯材11の距離は、その距離が真空断熱材の厚み以上になっているため、熱溶着部13は熱溶着部17よりも、その幅は大きくなっている。また、ライン18は、この真空断熱材の製造時における加熱または加熱加圧時もしくは真空断熱材作作製後に設けられている。
【0050】
この操作を減圧中で繰り返すことにより、すべての芯材11がそれぞれが独立した空間内に位置し、かつ、芯材11の周囲に沿うように熱溶着部13が形成された真空断熱材10を製造することができる。
【0051】
このように熱溶着することにより、外被材12a,12b間に芯材11がある部分の全てが加熱されているため、真空包装後の大気開放時においても、大気圧による芯材11の圧縮変形の影響を最小限とすることができる。
【0052】
特に、加熱加圧時は加圧力を1kg/cm2以上とすることで、大気開放時の大気圧縮による芯材11の圧縮変形が完全に抑制できるため、圧縮変形の大きい芯材材料を適用した場合にも、芯材端部は芯材形状に沿うように熱溶着部13を有する真空断熱材10とすることができる。
【0053】
真空断熱材10の作製後、真空断熱材10を運搬、保管、機器への設置等の用途において折り曲げを行う。この時、真空断熱材10は、熱溶着部14を折り曲げ部のとして折り曲げを行う。
【0054】
この場合には、真空断熱材10の15端から対向する他端16に略直線として構成される所定熱溶着部14の幅は他の同一構成の熱溶着部13の幅よりも広いため、真空断熱材10の折り曲げ時に熱溶着部14の長さ不足により熱溶着部近傍の芯材11同士が接触することを防止できる。
【0055】
これにより、芯材11の接触による真空断熱材10の破袋、芯材の変形、微少ピンホール等の発生による経時熱伝導率変化の悪化を防止することができる効果が得られる。
【0056】
また、真空断熱材10は、熱溶着部14のライン18を折り曲げの基準として折り曲げを行うこともできる。この場合には、ライン18により熱溶着部14のほぽ中央部で折り曲げを行うことができるため、より芯材11の接触による真空断熱材10の破袋、芯材の変形、微少ピンホール等の発生による経時熱伝導率変化の悪化を防止することができる効果が得られる。
【0057】
なお、本実施の形態では、外被材12間に芯材11がある部分を含めて所定回数加熱加圧することにより、対向する外被材12の熱溶着層同士を芯材形状に沿うように熱溶着する真空断熱材の製造法を示したが、熱板21をガスバリア性の外被材12a,12bの寸法より大きくすると、熱板21を一回だけ加熱加圧することで熱溶着部13を形成する製造方法とすることができる。
【0058】
また、本実施の形態による真空断熱材10の芯材11の形状は四角形であるが、三角形、多角形、円形、L型、およびこれらの組み合わせからなる任意形状が選定できる。
【0059】
また、本実施の形態では、芯材11に水分、空気等を吸着する吸着剤を充填しないで真空断熱材10を作製したが、吸着剤を充填してもよく、吸着剤の充填により真空断熱材10の経時の熱伝導率変化はより小さく抑える事ができる効果が得られる。
【0060】
また、前記吸着剤は−30℃から100℃の間で、水分、空気を吸着できる吸着剤であればよい。
【0061】
また、本実施の形態では、縦4個、横4個、計16個の芯材11を配置する場合について示したが、その数を限定するものではない。
【0062】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における真空断熱材について説明するが、実施の形態1と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0063】
図4は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の平面図である。
【0064】
本実施の形態の真空断熱材30は、16個の四角形に成形された繊維体からなる厚さ2〜10mmの芯材11をガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材12で覆い、外被材12の内部を減圧して成り、この16個の芯材11は、格子状に、縦(横)方向に隣接する芯材11と横(縦)の辺が対向するように、所定間隔で隔離して配置しており、この16個の芯材11のそれぞれが独立した空間内に位置するように芯材11の周囲に外被材12の熱溶着部31が設けられているものである。
【0065】
この中で、熱溶着部32は、真空断熱材30の端33から対向する他端34に略直線として構成され、その幅は真空断熱材30の外周の熱溶着部の幅の2倍以上広くなっている。また、前記熱溶着部32の幅中央部に切断ライン35が設けられる。
【0066】
また、熱溶着部36は真空断熱材30の端37から対向する他端38に略直線として構成され、その幅は真空断熱材30の外周の熱溶着部の幅の2倍以上広くなっている。また、前記熱溶着部36の幅中央部に切断ライン39が設けられる。
【0067】
真空断熱材30の作製後、真空断熱材30の適用用途において切断を行う。この時、真空断熱材30は、熱溶着部32,36を切断を行う。この場合には、真空断熱材30の端33から対向する他端34に略直線として構成される所定熱溶着部32の幅は真空断熱材外周の熱溶着部の幅の2倍以上を有しているため、真空断熱材30の切断において、切断後の真空断熱材の端面からの単位長さ当たりのガス侵入量は同等以上を確保することができるため、経時熱伝導率変化の悪化を防止することができる効果が得られる。
【0068】
また、真空断熱材30は、熱溶着部32,36の切断ライン39を切断の基準として切断することもできる。この場合には、ライン39により熱溶着部32,36のほぼ中央部で切断することができるため、切断のバラツキによる経時熱伝導率変化のバラツキを防止することができる効果が得られる。
【0069】
なお、本実施の形態では、外被材12間に芯材11がある部分を含めて所定回数加熱加圧することにより、対向する外被材12の熱溶着層同士を芯材形状に沿うように熱溶着する真空断熱材の製造法を示したが、熱板21をガスバリア性の外被材12a,12bの寸法より大きくすると、熱板21を一回だけ加熱加圧することで熱溶着部13を形成する製造方法とすることができる。
【0070】
また、本実施の形態による真空断熱材30の芯材11の形状は四角形であるが、三角形、多角形、円形、L型、およびこれらの組み合わせからなる任意形状が選定できる。
【0071】
また、本実施の形態では、芯材11に水分、空気等を吸着する吸着剤を充填しないで真空断熱材30を作製したが吸着剤を充填してもよく、吸着剤の充填により真空断熱材30の経時の熱伝導率変化はより小さく抑える事ができる効果が得られる。
【0072】
また、前記吸着剤は−30℃から100℃の間で、水分、空気を吸着できる吸着剤であればよい。
【0073】
また、本実施の形態では、縦4個、横4個、計16個の芯材11を配置する場合について示したが、その数を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、外被材の間に複数の芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように外被材の間に芯材がある部分を含めて加熱加圧する方法で作製された真空断熱材の折り曲げ、切断において、真空断熱材の破袋、経時熱伝導率の悪化や芯材の変形を防止することができる効果が得られるので、省エネを必要とする保温保冷機器に留まらず、情報機器や電子機器等、省スベースを必要とする機器の熱害対策用断熱材等の用途にも適用できる。
【0075】
また、複数の芯材の大きさを適切に選択して柔軟性を確保することにより、より用途が広い真空断熱材とすることができ、防寒具としてのジャケットのほか、ズボンや帽子、手袋、または寝具のふとんや座布団、建材等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1における真空断熱材の平面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】同実施の形態の真空断熱材の製造に使用する真空包装機の概略断面図
【図4】本発明の実施の形態2における真空断熱材の平面図
【図5】特許文献1に示される従来の真空断熱材の製造過程を示す斜視図
【図6】同従来の真空断熱材を示す斜視図
【図7】特許文献2に示される従来の真空断熱材の平面図
【図8】同従来の真空断熱材を断熱箱体の外箱に設けた状態の断面図
【符号の説明】
【0077】
10 真空断熱材
11 芯材
12 外被材
14 熱溶着部
30 真空断熱材
32 熱溶着部
36 真空断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱溶着層を有するガスバリア性の外被材と、複数の板状の芯材とを有し、前記熱溶着層同士が対向する前記外被材の間に複数の前記芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように減圧密封されて成り、前記外被材の間に前記芯材がある部分を含めて加熱加圧することにより、対向する前記熱溶着層同士が芯材形状に沿うように前記芯材の際まで熱溶着された真空断熱材において、前記真空断熱材の一端から対向する他端に略直線として構成される所定熱溶着部の幅は他の同一構成の熱溶着部の幅よりも広くかつ少なくとも真空断熱材の厚み以上であり、この熱溶着部を基準として折り曲げる真空断熱材の折り曲げ方法。
【請求項2】
前記熱溶着層のほぽ中央部に設けられた折り曲げマークに沿って折り曲げる請求項1に記載の真空断熱材の折り曲げ方法。
【請求項3】
熱溶着層を有するガスバリア性の外被材と、複数の板状の芯材とを有し、前記熱溶着層同士が対向する前記外被材の間に複数の前記芯材のそれぞれが互いに独立した空間に位置するように減圧密封されて成り、前記外被材の間に前記芯材がある部分を含めて加熱加圧することにより、対向する前記熱溶着層同士が芯材形状に沿うように前記芯材の際まで熱溶着された真空断熱材において、前記真空断熱材の一端から対向する他端の少なくとも1組に対し、略直線として構成される所定熱溶着部の幅は真空断熱材外周の熱溶着部の幅の2倍以上広く、この熱溶着部を基準として切断する真空断熱材の切断方法。
【請求項4】
前記熱溶着層のほぽ中央部に設けられた切断マークに沿って切断する請求項3に記載の真空断熱材の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−16834(P2007−16834A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197184(P2005−197184)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】