説明

真菌感染症の治療法

抗真菌薬の活性を増強する化合物を同定する方法、これらの方法によって同定される増強剤、および真菌感染症を治療するための増強剤の使用法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物治療、さらに詳細には真菌感染症の治療に関する。
【0002】
本出願は、2008年4月22日付で出願された米国仮出願番号第61/046,953号(その内容は参照することによって本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
病原体の多剤耐性は、主に微生物細胞が休止状態に移行する結果である。このような休眠細胞は、潜在的(慢性)疾患または再発性障害の原因となり得る。多くのこのような休眠細胞は、既知の抗真菌薬によって抑制することができるが、根絶されていない。
【0004】
真菌のバイオフィルムは、表面上に定着し、増殖し、エキソポリママトリックスによって覆われる、細胞の群集である。これらは成長が遅く、多くは成長の静止期にある。これらは、全部ではないにしても、ほとんどが病原体によって形成され得る。CDCによれば、米国における全感染症の65%は一般的な病原体によって形成され得るバイオフィルムによって引き起こされる。バイオフィルムエキソポリママトリックスは免疫細胞から保護し、バイオフィルム中に含まれる存続細胞は、抗真菌薬治療および免疫系の両方の攻撃から生き残ることができる。抗真菌薬量が減少すると、これらの存続細胞はバイオフィルムで再生息することができ、新規浮遊細胞を脱落させ、再発性バイオフィルム感染症を引き起こす。真菌バイオフィルム感染症は抗真菌薬治療に対して高抵抗性である。したがって、これらの感染症に対して適切な治療法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の態様は、少なくとも一部には、真菌の成長を阻害できるか、または真菌を殺すことができる化合物の同定に基づく。したがって、一態様において、本発明は、真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法に関し、この方法は、真菌を(i)抗真菌薬と、(ii)式I:
【化1】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
(式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と接触させ、
これによって真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺すことを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化2】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0007】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0008】
他の実施形態において、RはOHである。
【0009】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0010】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0011】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0012】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0013】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ib:
【化3】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0014】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0015】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0016】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0017】
いくつかの実施形態において、増強剤化合物は、抗真菌薬の活性を増強する。いくつかの実施形態において、増強剤化合物は抗真菌薬化合物でない。
【0018】
ある実施形態において、真菌は、以下の1以上である。アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・グラウカス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、およびカンジダ・ギリエルモンディ(Candida guilliermondii))、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、およびクリプトコッカス・ローレンティ(Cryptococcus laurentii))、ヒトプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)カプスラーツム(capsulatum)変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ(duboisii)変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、スポロスリックス・シェンキー(Sporothrix schenckii)、アブシジア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera)、リゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)、およびリゾープス・アリズス(Rhizopus arrhizus)。
【0019】
いくつかの実施形態において、真菌は抵抗性真菌である。他の実施形態において、真菌は真菌バイオフィルムである。さらに別の実施形態において、真菌は存続細胞を含む。
【0020】
ある実施形態において、抗真菌薬は、アムホテリシンB、イミダゾール(たとえば、ミコナゾール)、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、カスポファンギン、ミカファンギン、FK463、アニデュラファンギン(LY303366)、ヒドロキシスチルバミジン、5−フルオロシトシン、フルシトシン、ヨウ化物、テルビナフィン、ナイスタチン、グリセオフルビン、またはシクロピロックスである。
【0021】
別の態様において、本発明は、これを必要とする対象において真菌感染症を治療する方法に関し、この方法は、有効量の抗真菌薬を有効量の式I:
【化4】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて対象に投与し、これによって真菌感染症を治療することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化5】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、
式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である)。
【0023】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0024】
他の実施形態において、RはOHである。
【0025】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0026】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0027】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0028】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0029】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化6】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0030】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0031】
他の実施形態において、Rは、アルキル、ハロゲン、OH、またはNHで場合によって置換されたアルキルである。
【0032】
別の実施形態において、RはNHで置換されたアルキルである。
【0033】
いくつかの実施形態において、増強剤化合物は、抗真菌薬の活性を増強する。いくつかの実施形態において、増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない。
【0034】
ある実施形態において、真菌感染症は以下の1以上を含む。アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、およびアスペルギルス・テレウス)、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・クルセイ、およびカンジダ・ギリエルモンディ)、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・アルビダス、およびクリプトコッカス・ローレンティ)、ヒトプラズマ・カプスラーツム・カプスラーツム変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、スポロスリックス・シェンキー、アブシジア・コリムビフェラ、リゾムコール・プシルス、およびリゾープス・アリズス。
【0035】
いくつかの実施形態において、真菌は抵抗性真菌である。他の実施形態において、真菌は真菌バイオフィルムである。さらに別の実施形態において、真菌は存続細胞を含む。
【0036】
ある実施形態において、抗真菌薬は、アムホテリシンB、イミダゾール(たとえば、ミコナゾール)、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、カスポファンギン、ミカファンギン、FK463、アニデュラファンギン(LY303366)、ヒドロキシスチルバミジン、5−フルオロシトシン、フルシトシン、ヨウ化物、テルビナフィン、ナイスタチン、グリセオフルビン、またはシクロピロックスである。
【0037】
いくつかの実施形態において、真菌感染症は、アスペルギルス症、ブラストミセス症、カンジダ症(たとえば、口腔カンジダ症もしくは膣炎)、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、ヒストプラスマ症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、または接合菌症である。いくつかの実施形態において、真菌感染症は、カテーテル、整形外科的人工装具、または心臓弁に関連する。
【0038】
別の態様において、本発明は、対象において再発性膣炎を治療する方法に関し、この方法は、有効量のミコナゾールを有効量の式I:
【化7】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって対象における再発性膣炎を治療することを含む。いくつかの実施形態において、再発性膣炎は、カンジダ・アルビカンスを含む。他の実施形態において、再発性膣炎はカンジダ・アルビカンス存続細胞を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ia:
【化8】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、またはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0040】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0041】
他の実施形態において、RはOHである。
【0042】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0043】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0044】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0045】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0046】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化9】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0047】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0048】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0049】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0050】
別の態様において、本発明は、真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法に関し、この方法は、真菌を式I:
【化10】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
(式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と接触させ、これにより真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺すことを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化11】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0052】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0053】
他の実施形態において、RはOHである。
【0054】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0055】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0056】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0057】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0058】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化12】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0059】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0060】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0061】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0062】
ある実施形態において、真菌は次のうちの1以上である。アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、およびアスペルギルス・テレウス)、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・クルセイ、およびカンジダ・ギリエルモンディ)、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・アルビダス、およびクリプトコッカス・ローレンティ)、ヒトプラズマ・カプスラーツム・カプスラーツム変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、スポロスリックス・シェンキー、アブシジア・コリムビフェラ、リゾムコール・プシルス、およびリゾープス・アリズス。
【0063】
いくつかの実施形態において、真菌は抵抗性真菌である。他の実施形態において、真菌は真菌バイオフィルムである。さらに別の実施形態において、真菌は存続細胞を含む。
【0064】
別の態様において、本発明は、これを必要とする対象における真菌感染症の治療法に関し、この方法は、対象に有効量の式I:
【化13】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)を投与し、これによって真菌感染症を治療することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化14】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0066】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0067】
他の実施形態において、RはOHである。
【0068】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0069】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0070】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0071】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0072】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化15】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0073】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0074】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0075】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0076】
ある実施形態において、真菌感染症は以下の1以上を含む。アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、およびアスペルギルス・テレウス)、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・クルセイ、およびカンジダ・ギリエルモンディ)、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・アルビダス、およびクリプトコッカス・ローレンティ)、ヒトプラズマ・カプスラーツム・カプスラーツム変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、スポロスリックス・シェンキー、アブシジア・コリムビフェラ、リゾムコール・プシルス、およびリゾープス・アリズス。
【0077】
いくつかの実施形態において、真菌は抵抗性真菌である。他の実施形態において、真菌は真菌バイオフィルムである。さらに別の実施形態において、真菌は存続細胞を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、真菌感染症は、アスペルギルス症、ブラストミセス症、カンジダ症(たとえば、口腔カンジダ症もしくは膣炎)、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、ヒストプラスマ症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、または接合菌症である。いくつかの実施形態において、真菌感染症は、カテーテル、整形外科的人工装具、または心臓弁と関連する。
【0079】
別の態様において、本発明は、対象において再発性膣炎を治療する方法であって、対象に、有効量のミコナゾールを有効量の式I:
【化16】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって対象における再発性膣炎を治療することを含む方法に関する。いくつかの実施形態において、再発性膣炎は、カンジダ・アルビカンスを含む。他の実施形態において、再発性膣炎は、カンジダ・アルビカンス存続細胞を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化17】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0081】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0082】
他の実施形態において、RはOHである。
【0083】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0084】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0085】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0086】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0087】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化18】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0088】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0089】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0090】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0091】
別の態様において、本発明は、対象における口腔カンジダ症の治療または予防法に関し、この方法は、有効量のミコナゾールを有効量の式I:
【化19】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、各Rは独立して、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって対象における口腔カンジダ症を治療または予防することを含む。いくつかの実施形態において、口腔カンジダ症は、カンジダ・アルビカンスを含む。他の実施形態において、口腔カンジダ症は、カンジダ・アルビカンス存続細胞を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ia:
【化20】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、またはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0093】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0094】
他の実施形態において、RはOHである。
【0095】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0096】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0097】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0098】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0099】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化21】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0100】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0101】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0102】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0103】
別の態様において、本発明は、医療装置の真菌感染を処理する方法に関し、この方法は、対象に、有効量のミコナゾールを有効量の式I:
【化22】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって、装置の真菌感染を処理することを含む。いくつかの実施形態において、感染は、カンジダ・アルビカンスを含む。他の実施形態において、感染は、カンジダ・アルビカンス存続細胞を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、医療装置は、カテーテル、整形外科的人工装具、または心臓弁である。
【0105】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化23】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0106】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0107】
他の実施形態において、RはOHである。
【0108】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0109】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0110】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0111】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0112】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ib:
【化24】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0113】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0114】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0115】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0116】
別の態様において、本発明は、シー・アルビカンス真菌の成長を阻害するか、シー・アルビカンス真菌を殺す方法に関し、この方法は、真菌を有効量の(i)抗真菌薬と、(ii)1以上の式I:
【化25】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と接触させ、これによって、前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ia:
【化26】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは、−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0118】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0119】
他の実施形態において、RはOHである。
【0120】
さらに別の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0121】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0122】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0123】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0124】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化27】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0125】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0126】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0127】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0128】
別の態様において、本発明は、これを必要とする対象においてシー・アルビカンス真菌感染症を治療する方法に関し、この方法は、対象に有効量の(i)抗真菌薬を(ii)有効量の1以上の式I:
【化28】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって真菌感染症を治療することを含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ia:
【化29】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、式中、Rは−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環である。
【0130】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0131】
他の実施形態において、RはOHである。
【0132】
他の実施形態において、Rは−NHアルキルである。
【0133】
さらに別の実施形態において、Rは−N(アルキル)である。
【0134】
さらなる実施形態において、Rは5員もしくは6員複素環である。
【0135】
別の実施形態において、Rはカルボニルで置換された5員複素環である。
【0136】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は式Ib:
【化30】

の化合物ならびにその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグであり、(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(ここで、アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(ここで、アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0137】
いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0138】
他の実施形態において、Rは、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである。
【0139】
別の実施形態において、Rは、NHで置換されたアルキルである。
【0140】
以下の図は例示のみの目的で掲載し、限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1A】アムホテリシンBでの処理後に生存しているシー・アルビカンス3153A細胞の数を表すグラフである。
【図1B】クロルヘキシジンでの処理後に生存しているシー・アルビカンス3153A細胞の数を表すグラフである。
【図2】アムホテリシンBまたはクロルヘキシジンを用いた処理後に生きている細胞の数を表すグラフである。
【図3】アムホテリシンB、クロルヘキシジン、またはアムホテリシンBとクロルヘキシジンとの組み合わせを用いた処理後に生きている細胞の数を表すグラフである。
【図4A】生きているシー・アルビカンス浮遊細胞の顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図4B】アムホテリシンBを用いた処理後の死んだシー・アルビカンス浮遊細胞の顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図4C】未処理のシー・アルビカンス・バイオフィルムの顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図4D】アムホテリシンBで18時間処理したシー・アルビカンス・バイオフィルムの顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図4E】アムホテリシンBで48時間処理したシー・アルビカンス・バイオフィルムの顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図5】バイオフィルムをミコナゾールの増強剤についてスクリーンする方法の概略図である。
【図6】シー・アルビカンス・バイオフィルムにおけるミコナゾール増強剤化合物についてのHTSのグラフである。
【図7】AC17単独またはミコナゾールとの組み合わせの濃度を増大させることによるシー・アルビカンス・バイオフィルムの殺菌を表すグラフである。
【図8A】アムホテリシンBまたはクロルヘキシジンで処理したシー・アルビカンス臨床分離株を表すグラフである。
【図8B】未処理、またはAC17、ミコナゾール、もしくはAC17とミコナゾールとの組み合わせで処理したかのいずれかであるhip株由来のシー・アルビカンス・バイオフィルムを表すグラフである。
【図9A】シー・アルビカンス細胞懸濁液からのバイオフィルム形成に対するAC17の影響を表すグラフである。
【図9B】AC17処理または未処理シー・アルビカンス培養物の成長曲線のグラフである。
【図10A】未処理シー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図10B】AC17で処理したシー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図10C】未処理または増大する濃度のAC17で処理したシー・アルビカンス細胞の菌糸長さを表すグラフである。
【図11】AC17の非存在下もしくは存在下で、様々な培地(スパイダー(Spider)、リー(Lee’s)、YPS、YPD)上で成長させたシー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図12A】AC17の非存在下もしくは存在下で成長させた野生型シー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図12B】AC17の非存在下もしくは存在下で成長させたUZ24シー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図12C】AC17の非存在下もしくは存在下で成長させたUZ43シー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図12D】AC17の非存在下もしくは存在下で成長させたUZ149シー・アルビカンス細胞の顕微鏡写真である。
【図13A】YPD培地中、37℃で成長させたシー・アルビカンスUZ149株細胞の顕微鏡写真である。
【図13B】YPD培地中、37℃にてドキシサイクリンの存在下で成長させたシー・アルビカンスUZ149株細胞の顕微鏡写真である。
【図13C】1:500に希釈後、YPD培地中、37℃で成長させたシー・アルビカンスUZ149株細胞の顕微鏡写真である。
【図13D】最初にドキシサイクリンの存在下、続いてドキシサイクリンを除去し、YPD培地中、37℃で成長させたシー・アルビカンスUZ149株細胞の顕微鏡写真である。
【図13E】ドキシサイクリンおよびAC17の存在下、YPD培地中、37℃で成長させたシー・アルビカンスUZ149株細胞の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
本出願は、少なくとも一部には、スクリーニング法を用いた抗真菌化合物の同定、および真菌感染症を治療するためのかかる化合物の使用に関する。
【0143】
定義
本開示の化合物は、そのあらゆる可能な異性体、立体異性体、エナンチオマ、ジアステレオマ、互変異性体、薬剤的に許容される塩、および溶媒和物を包含する。したがって、本開示で用いられる「化合物」および「(複数の)化合物」という用語は、本開示の化合物ならびにそのあらゆる可能な異性体、立体異性体、エナンチオマ、ジアステレオマ、互変異性体、薬剤的に許容される塩、および溶媒和物を意味する。
【0144】
一般に、本開示の組成物は、開示で開示される任意の適切な成分を含むか、成分から成るか、または成分から本質的になるように交互に配合することもできる。本開示の組成物は、付加的または代替的に、従来技術の組成物において使用されるか、あるいは本開示の機能および/または目的を達成するために必須ではない成分、物質、材料、アジュバントまたは種なしで、または実質的に含まないように処方することができる。
【0145】
冠詞「a」および「an」は、本開示で用いられる場合、1または1より多い(すなわち、少なくとも1つの)文法上の対象物を意味する。例として、「1つの要素」とは、1つの要素または1より多い要素を意味する。
【0146】
「または」という用語は、本開示で用いられる場合、別段の記載がない限り、「および/または」を意味し、「および/または」と交換可能に使用される。
【0147】
「約」という用語は、本開示で用いられる場合、所与の数値の−20%または+20%の値を意味する。したがって、「約60%」とは、60の60〜20%から60の60+20%の間(すなわち、48%から72%の間)の値を意味する。
【0148】
「アルキル(alkyl)」および「alk」という用語は、特に規定しない限り、完全飽和、一不飽和もしくは多不飽和であってよい直鎖もしくは分岐鎖アルカン(炭化水素)ラジカルを意味し、1〜約15個の炭素原子を有する二価ラジカルを包含し得る。飽和炭化水素ラジカルの例としては、これらに限定されるものではないが、たとえば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、たとえばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1−ジメチル−ヘプチル、1,2−ジメチル−ヘプチル等のホモログおよび異性体の基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1以上の二重結合、三重結合またはこれらの組み合わせを含む。不飽和アルキル基の例としては、これらに限定されるものではないが、ビニル、プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、アレニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、および高次ホモログおよび異性体が挙げられる。「C1−m−アルキル」という用語は、1〜約m個の炭素原子を有するアルキルを意味する。アルキル基は、場合によって、以下で定義するように任意の利用可能な位置で1個以上の置換基、たとえば1〜5個の置換基で置換されていてもよい。
【0149】
「アリール」という用語は、特に規定のない限り、フェニル、ビフェニルもしくはナフチルなどの単環式もしくは二環式基を包含する、1〜5個の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を意味する。2個以上の芳香環を含む場合(二環式など)、アリール基の芳香環は、1点で結合していてもよいし(たとえば、ビフェニル)、または縮合していてもよい(たとえば、ナフチル、フェナントレニル等)。アリール基は、場合によって1以上の置換基、たとえば1から5個の置換基により、任意の結合点で置換されていてもよい。「置換された」の定義で記載する置換基に加えて、他の置換基の例としては、これらに限定されるものではないが、ニトロ、シクロアルキルもしくは置換シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは置換シクロアルケニル、シアノ、アルキル、縮合環状基、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、および縮合アリール、ならびにアルキル置換基の例として前述した基が挙げられる。置換基はそれ自体場合によって置換され得る。
【0150】
「ヘテロアリール」という用語は、特に規定のない限り、ピリジン、またはキノリンなどの、N、S、もしくはOなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式もしくは二環式基を包含する1〜5個の芳香環を有する環状芳香族炭化水素基を意味する。2個以上の芳香環を含む場合(二環式等)、アリール基の芳香環は、1点で結合していてもよいし(たとえば、フェニル−ピリジン)、または縮合していてもよい(たとえば、キノリン等)。アリール基は、場合によって1以上の置換基、たとえば1〜5個の置換基により、任意の結合点で置換されていてもよい。「置換された」の定義で記載する置換基に加えて、置換基の他の例としては、これらに限定されるものではないが、ニトロ、シクロアルキルもしくは置換シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは置換シクロアルケニル、シアノ、アルキル、縮合環状基、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、および縮合アリール、ならびにアルキル置換基の例として前述した基が挙げられる。置換基は、それ自体場合によって置換され得る。
【0151】
「複素環」および「ヘテロ環状」という用語は、特に規定のない限り、完全飽和、または部分もしくは完全不飽和の、少なくとも1つのヘテロ原子を少なくとも1つの炭素原子含有環中に有する芳香族(すなわち、「ヘテロアリール」)環状基(たとえば、4〜7員単環式、7〜12員二環式、または8〜16員三環式環系)を意味する。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有してもよく、この場合、窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によって酸化することができ、窒素ヘテロ原子は場合によって四級化することができる。複素環基は、環もしくは環系の任意のヘテロ原子もしくは炭素原子で分子の残りと結合していてもよい。単環式複素環基の例としては、これらに限定されるものではないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、オキサチオラニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チエタニル、アゼチジン、ジアゼチジン、チオラニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ヘキサヒドロジアゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、プリニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル等が挙げられる。二環式複素環基の例としては、これらに限定されるものではないが、インドリル、イソインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾフラザニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(たとえば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(たとえば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、トリアジニルアゼピニル、テトラヒドロキノリニル等が挙げられる。三環式複素環基としては、これらに限定されるものではないが、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナンスロニリル、アクリジニル、フェナンスリジニル、キサンテニル等が挙げられる。
【0152】
複素環基は、場合によって1以上の置換基、たとえば1〜5個の置換基にて、任意の利用可能な結合点で「置換されて」いてもよい。「置換された」の定義で記載する置換基に加えて、置換基の他の例としては、これらに限定されるものではないが、シクロアルキルもしくは置換シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは置換シクロアルケニル、ニトロ、オキソ(すなわち、=O)、シアノ、アルキルもしくは置換アルキル、任意の利用可能な点もしくは結合点でのスピロ結合もしくは縮合環状置換基、スピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルケニル、縮合複素環、縮合アリール等が挙げられる。置換基は、それ自体場合によって置換され得る。
【0153】
「置換された」という用語は、任意の可能な位置での下記の置換基による置換を意味する。本開示で有用な前記部分の置換基は、開示された化合物の生物学的活性を著しく減少させないものである。開示された化合物の生物学的活性を著しく減少させない置換基としては、これらに限定されるものではないが、H、ハロゲン、N、NCS、CN、NO、NX、OX、C(X、OAc、O−アシル、O−アロイル、NH−アシル、NH−アロイル、NHCOアルキル、CHO、C(ハロゲン)、Ph、OPh、CHPh、OCHPh、COOX、SOH、PO、SONX、CONX、アルキル、アルコール、アルコキシ、ジオキソラニル、アルキルメルカプト、ジチオラニル、ジチアニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、スルホンアミド、チオアルコキシまたはメチレンジオキシ(置換構造が2個の隣接する炭素原子を有する場合)(ここで、XおよびXは、それぞれ独立してHまたはアルキルを含み、Xは、H、アルキル、ヒドロキシ低級アルキルを含む)が挙げられる。特に限定されない限り、置換基は任意の可能な位置であってよい。
【0154】
「プロドラッグ」という用語は、本開示で用いられる場合、インビボで代謝的手段により(たとえば、加水分解により)式(I)の化合物に変換できる化合物を意味する。
【0155】
「塩(単数もしくは複数)」という用語は、本開示で用いられる場合、無機および/または有機酸および塩基を用いて形成される酸性および/または塩基性塩を意味する。
【0156】
「互変異性体」という用語は、本開示で用いられる場合、分子の1つの原子のプロトンが別の原子にシフトする現象によって生じる化合物を意味する(March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structures.4th Ed.,John Wiley&Sons,pp.69−74(1992))。
【0157】
以下の略語を本開示で使用し、これらは以下の定義を有する。DMSOはジメチルスルホキシドであり、THFはテトラヒドロフランであり、トリスはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0158】
「担体」という用語は、本開示で用いられる場合、担体、賦形剤、および希釈剤を包含し、1つの器官または身体の部分から、別の器官または身体の部分への薬剤の運搬または輸送に関与する物質、組成物またはビヒクル、たとえば、液体もしくは固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を意味する。
【0159】
「薬剤的に許容される」という表現は、本開示で用いられる場合、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症がなく、人間および動物の組織と接触した使用に適し、妥当なリスク対効果比に相応する、化合物、物質、組成物、および/または投与形態を意味する。
【0160】
「投与する」、[投与している]、または「投与」という用語は、本開示で用いられる場合、化合物もしくは化合物の薬剤的に許容される塩もしくは組成物を対象へ直接投与すること、または対象の体内で等しい量の活性化合物を形成できる化合物のプロドラッグ誘導体もしくは類似体または化合物の薬剤的に許容される塩または組成物を対象に投与することのいずれかを意味する。
【0161】
本明細書において用いる場合、「増強剤」または「増強する化合物」とは、抗真菌薬の活性、たとえば抗真菌薬の抗真菌薬活性を補完または強化する化合物である。いくつかの実施形態では、増強剤は抗真菌薬でない。すなわち、それ自体は抗真菌薬活性を示さない。他の実施形態では、増強剤はそれ自体が抗真菌薬である。いくつかの実施形態において、抗真菌薬の活性は、増強剤の活性と相乗的である。
【0162】
「強化する」という用語は、本明細書において用いる場合、拡大させること、増加させること、増強すること、増大すること、改善すること、および/または相乗的に作用することを意味する。たとえば、第2化合物の活性を強化する第1化合物は、第2化合物の活性の拡大、増加、増強、増大、改善、および/または第2化合物との相乗的作用を行う。
【0163】
「有効量」とは、本明細書で記載する組成物に関連して用いる場合、真菌感染症の治療に有効な量、または真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺すために有効な量である。
【0164】
「対象」とは、本明細書において用いる場合、哺乳動物、たとえばヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはヒト以外の霊長類、たとえば、サル、チンパンジー、ヒヒ、またはアカゲザルである。
【0165】
本明細書において用いる場合、「治療する」、「治療している」または「治療」とは、障害(たとえば、本明細書で記載する感染症)もしくはその症状を改善するか、または障害(たとえば、本明細書で記載する感染症)もしくはその症状の進行を防止もしくは遅らせるために有効な量、方法(たとえば投与計画)、および/または様式(たとえば、投与経路)で治療を施すことを意味する。これは、たとえば、障害もしくはその症状に関連するパラメータにおいて、たとえば統計的に有意な程度まで、または当業者が検出可能な程度までの改善によって明らかにすることができる。有効な量、方法、または様式は、対象によって変わり、対象に対して調整することができる。障害もしくはその症状の進行を防止または遅らせることによって、罹患対象または診断を受ける対象において、障害もしくはその症状から起こる悪化を予防または遅延させることができる。
【0166】
本明細書において用いる場合、「組み合わせて投与」とは、2またはそれ以上の薬剤を対象に同時または間隔をおいて、各薬剤の対象に対する影響が重複するように投与することを意味する。第1薬剤と第2薬剤の投与は、組み合わせ効果、たとえば相乗効果が達成されるように十分近接した間隔にすることができる。間隔は、数時間、数日または数週間の間隔であり得る。薬剤は、対象において、同時に生物学的に利用可能、たとえば検出可能であり得る。たとえば、薬剤、たとえば抗真菌薬のうちの1つの少なくとも1回の投与は、他の薬剤、たとえば本明細書で記載する化合物が対象中に依然として治療レベルで存在している間に行うことができる。対象は、あらかじめ決められた閾値を満たさない反応をする可能性がある。たとえば、対象は反応しないか、または不完全な反応をする可能性があり、たとえば抗真菌薬に対して反応しないか、不完全な反応をする可能性がある。本明細書で記載する抗真菌薬および化合物を別に投与するために処方してもよいし、一緒に投与するために処方してもよい。
【0167】
特に別段の規定がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載するものと類似しているかまたは同じ方法および物質を本発明の実施または試験で使用することができるが、好適な方法および物質を以下に記載する。本明細書で記載する全ての刊行物、特許出願、特許、および他の文献は、その全体が参照することによって本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、物質、方法、および例は、例示のみであって、限定することを意図しない。
【0168】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
増強剤の同定法
【0169】
いくつかの例において、本明細書で記載する方法は、抗真菌薬の活性を増強する化合物を同定するために有用である。原理は、抗真菌薬で処理した真菌株を用いて化合物をスクリーンすることである。スクリーニング法は、高スループットスクリーニング(HTS)に容易に適合する。
【0170】
一つの非限定的な例において、スクリーンは真菌を抗真菌薬と接触させることを含む。スクリーンは、真菌を候補化合物と接触させることをさらに含む。スクリーンは、候補化合物の存在下での真菌の生菌細胞数を、候補化合物の非存在下での真菌の生菌細胞数と比較することも含む。候補化合物の存在下での生菌細胞数と比較して、候補化合物の非存在下での生菌細胞数が多いことは、この候補化合物が増強剤であることを示す。
【0171】
いくつかの状況において、方法は、第2の真菌を候補化合物と抗真菌薬の非存在下で接触させ、候補化合物の非存在下および存在下での第2の真菌の生菌細胞数を決定することをさらに含み、この場合、真菌と第2の真菌とは同じである。
【0172】
生菌細胞数は、当該技術分野で公知の任意の方法によって決定することができる。たとえば、真菌細胞は、生きている細胞と死んだ細胞とを識別する色素で可視化することができる。色素の例は、アラマーブルー、XTT、FUN−1、フルオレセイン二酢酸、およびLIVE/DEAD(登録商標)Yeast Viability Kit(Invitrogen)中に含まれるものである。他の非限定的例は、米国特許第5,445,946号および第5,437,980号、ならびにJinら、Mycopathol.159:353−360(2005)に記載されている。
【0173】
いくつかの例において、アッセイは、液体成長培地中で成長させた細胞に関して実施する。他の例においては、生菌細胞数は、たとえばマイクロタイタープレート上で成長させた細胞を用いる、プレートアッセイにおいて決定する。
【0174】
スクリーニング法は、任意の真菌、たとえば以下のうちの1以上のものに関して実施することができる。アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、およびアスペルギルス・テレウス)、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・クルセイ、およびカンジダ・ギリエルモンディ)、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・アルビダス、およびクリプトコッカス・ローレンティ)、ヒトプラズマ・カプスラーツム・カプスラーツム変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、スポロスリックス・シェンキー、アブシジア・コリムビフェラ、リゾムコール・プシルス、およびリゾープス・アリズス。
【0175】
真菌の成長の阻害、軽減、防止、および/または真菌の殺菌のためにスクリーンで同定される増強剤を使用することができる。このような真菌は、真菌が成長するどのようなところでも、たとえば哺乳動物などの対象内に存在し得る。このように、増強剤を使用して、対象における真菌感染症を治療することができる。
【0176】
本明細書で記載するスクリーンにおいて、任意の候補化合物を分析して、増強能力を有するかどうかを確認することができる。たとえば、候補化合物ライブラリを用いて、候補化合物を提供することができる。候補化合物ライブラリの非限定例としては、The Compound Libraryof the New England Regional Center of Excellence for Biodefense and Emergine Infectious Diseases、The Compound Library of the National Institutes of Health Molecular Library Screening Center、The ChemBridge Library、the ChemDiv Library、およびthe MayBridge Libraryが挙げられる。あるいは、候補化合物を、既知の方法を用いて合成することができる。
式Iの化合物
【0177】
本明細書で記載する組成物および方法は、式I:
【化31】

の化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、Rは式Iについて前記の通りである)を含む。
【0178】
式Iの化合物の非限定的例としては、次のものが挙げられる。
【化32】

【0179】
本明細書で記載する組成物および方法は、式Ia:
【化33】

の化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、Rは、式Iaについて前記の通りである)を含む。式Iaの化合物の非限定的例としては次のものが挙げられる。
【化34】

【0180】
本明細書で記載する組成物および方法は、式Ib:
【化35】

の化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ(式中、Rは式Ibについて前記の通りである)を含む。式Ibの化合物の非限定的例としては次のものが挙げられる。
【化36】

【0181】
式Iの化合物は、塩を形成することもでき、これも本開示の範囲内に含まれる。本開示の化合物への言及は、別段の記載がない限り、その塩への言及も包含すると解釈される。式Iの化合物は、薬剤的に許容される(すなわち、非毒性の生理学的に許容される)塩ならびに、たとえば調製中に用いることができる単離もしくは精製工程でも有用な他の塩を形成することができる。
【0182】
これらに限定されるものではないが、アミンもしくはピリジンもしくはイミダゾール環などの塩基性部分を含む式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸と塩を形成することができる。酸付加塩の例としては、これらに限定されるものではないが、酢酸塩(たとえば、酢酸もしくはトリハロ酢酸、たとえばトリフルオロ酢酸を用いて形成されるもの)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩(たとえば、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(たとえば、2−ナフタレンスルホン酸塩)、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩(たとえば、3−フェニルプロピオン酸塩)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(たとえば、硫酸を用いて形成されるもの)、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、たとえばトシル酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられる。
【0183】
酸性部分、たとえばこれらに限定されるものではないが、カルボン酸を含む式Iの化合物は、様々な有機および無機塩基と塩を形成できる。塩基性塩の例としては、これらに限定されるものではないが、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、たとえばナトリウム、リチウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえば、カルシウムおよびマグネシウム塩、有機塩基(たとえば、有機アミン)たとえば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドロカルバミン(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンを用いて形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミンとの塩、ならびにアルギニン、リシン等のアミノ酸との塩が挙げられる。塩基性窒素含有基は、たとえば、低級アルキルハロゲン化物(たとえば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチル)、ジアルキル硫酸塩(たとえば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(たとえば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、アルアルキルハロゲン化物(たとえば、臭化ベンジルおよびフェネチル)等の薬剤で四級化することができる。
【0184】
式Iの化合物の非限定例を下記実施例の段落に記載する。本開示の化合物の溶媒和物、たとえば化合物の水和物ならびに化合物の水和物形態とケト形態との混合物は、本開示の範囲内に含まれる。
アダマンタン誘導体の調製法
【0185】
本明細書で記載する化合物を、以下の一般的スキームおよび下記実施例で記載する化学的手段によって合成することができる。化合物を、商業的に入手可能な出発物質から合成することができ、合成例によってのみ調製する必要はない。当業者は、既存の化合物を調製するさらなる方法を理解する。当業者は、本明細書で開示する化合物のさらなる一般的合成スキームは、下記スキーム例から理解できることも理解する。あるいは、本明細書で開示する化合物の全ては、出願の時点で商業的に(たとえば、Ambinter,Paris France、Sigma Aldrich,St.Louis,MO、Ryan Scientific,Mt.Pleasant SC、Enamine,Kiev,Ukraine,ASDI Biosciences,Newark DEから)入手可能である。
スキーム1
【0186】
スキーム1は、アダマンタンのヒドロキシル置換アダマンタンへの直接変換を示す。
【化37】

CAS番号1005191−02−5の触媒
MeCN、室温(RT)で0.5時間
両ヒドロキシ置換アダマンタンは、スキーム1に示す化学反応にしたがって、またAlonsoら、Tetrahedron,64(8)、1847−1852(2008)で記載されているようにして製造することができる。
スキーム2
【化38】

・ NH、Ti(OiOr)、EtOH、6時間、室温
2.NaBH、3時間、室温
3.NHOH、H

スキーム2(「AC17」)のアミノアダマンタンは、Miriyalaら、Tetrahedron,60(7)、1463−1472,(2004)で記載される方法に従って合成することができる。
スキーム3
【化39】

あるいは、スキーム2のアミノアダマンタンは、Malikら、Synthesis,6:450−451,(1989)によって記載される方法により製造することができる。
スキーム4
【化40】

【0187】
アマンチジン(スキーム5のアミノアダマンタン誘導体)は、Wipf,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis.Ed.,Peter Wipf,WileyおよびSons:Chichester,2005に記載された方法によって合成することができる。
スキーム5
【化41】

【0188】
アダマンチンのメチルアミノ誘導体は、Jonesら、J.Org.Chem.,63(8)、2758−2760(1998)に記載されるように、スキーム5に記載した試薬を用いて合成することができる。
スキーム6
【化42】

【0189】
あるいは、アダマンチンのメチルアミノ誘導体は、米国特許第4,826,667号に記載されるように、スキーム6に記載する試薬を使用して合成することができる。
スキーム7
【化43】

【0190】
アダマンタンのイミダゾール誘導体は、Matolcsyら、Acta Phytopathol.Acad.Sci.Hung.,13(1−2)、223−225(1978)で記載されているようにスキーム7に記載する試薬を使用して合成できる。
スキーム8
【化44】

1.HCOH、17時間、140〜160℃
2.HO、冷却
3.NaHCO、塩基性化
【0191】
あるいは、アダマンチンのピロロ誘導体は、PCT国際出願第2005/108361号に記載されているようにしてスキーム8に記載する試薬を使用して合成することができる。
スキーム9
【化45】

【0192】
アダマンタンのピペラジン誘導体は、Klimovaら、Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal,9(11)、8−11(1975)に記載される方法に従って合成することができる。
スキーム10
【化46】

【0193】
リマンタジンは、Bhattacharyya,J.Chem.Soc,Perkin Trans.1:Organic and Bio−Organic Chemistry,14,1845−1847(1995)に記載されている方法にしたがって合成することができる。
【0194】
真菌感染症の治療法
本明細書で記載するいくつかの増強剤化合物を、様々な真菌感染症を治療するための、それ自体は抗真菌薬活性を有さない既知の抗真菌薬と組み合わせて用いることができる。さらに、ある増強剤化合物は抗真菌薬活性を有するが、抗真菌薬の活性を増強する働きもする。
【0195】
真菌および真菌感染症
真菌感染症は、多くの真菌種が原因であり、本明細書で記載する化合物を用いて、かかる真菌種の成長を阻害するか、またはかかる真菌種を殺すことができる。これらの真菌としては、これらに限定されるものではないが、アスペルギルス属の構成要素(たとえば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・グラウカス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、およびアスペルギルス・テレウス)、ブラストミセス・デルマチチジス、カンジダ属の構成要素(たとえば、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・クルセイ、およびカンジダ・ギリエルモンディ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属の構成要素(たとえば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトコッカス・アルビダス、およびクリプトコッカス・ローレンティ)、ヒトプラズマ・カプスラーツム・カプスラーツム変異株、ヒトプラズマ・カプスラーツム・ズボアジ変異株、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、スポロスリックス・シェンキー、アブシジア・コリムビフェラ、リゾムコール・プシルス、およびリゾープス・アリズスが挙げられる。
【0196】
これらの真菌種は、これらに限定されるものではないが、アスペルギルス症、ブラストミセス症、カンジダ症(たとえば、口腔カンジダ症もしくは膣症)、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、ヒストプラスマ症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、および接合菌症をはじめとする多くの真菌感染症に関与する。これらの真菌感染症のいずれも、本明細書で記載する化合物および方法で治療することができる。ある例では、真菌感染症は、カンジダ・アルビカンスが関与する感染症、たとえば、口腔カンジダ症(Theinら、Arch.Oral Biol.52:1200−1208(2007))または膣炎(Rexら、Clin.Infect.Dis.30:662−678(2000))である。
【0197】
いくつかの真菌感染症は、留置器具、たとえば、カテーテルおよび人工装具に関連する可能性がある。たとえば、真菌バイオフィルムは、カテーテルおよび他の器具に関連する感染症における主な問題であり(Kuhnら、Curr.Opin.Investig.Drugs 5:186−197(2004)、Ramageら、FEMS Yeast Res.6:979−986(2006))、本明細書で記載する化合物を用いてこれらを処理することができる。たとえば、医療装置のカンジダ・アルビカンス感染を処理するために、本明細書で記載する化合物をその表面にコーティングとして塗布することができる。他の例では、たとえば義歯もしくはカテーテルについて、本明細書で記載する化合物を器具に直接適用することができる(Nikawaら、Int.J.Prosthodont.8:434−444(1995)、Sherertzら、Antimicrob.Agents Chemother.50:1865−1868(2006)、Fortun,Enferm.Infecc.Microbiol.Clin.26:168−174(2008))。
【0198】
いくつかの状況において、本明細書で記載する化合物を用いて、免疫不全対象、たとえば、化学療法を受けている好中球減少症対象におけるかかる感染症および疾患を治療することもできる。他の例では、対象は、抗生物質治療などのさらなる治療を受けているか、受けたことがある可能性がある。
抗真菌薬
【0199】
本明細書で記載する増強剤化合物は、任意の既知の抗真菌薬と組み合わせて用いることができる。有用な抗真菌薬としては、これらに限定されるものではないが、アムホテリシン(たとえば、アムホテリシンB、アムホテリシンB脂質複合体(ABLC)、リポソームアムホテリシンB(L−AMB)、およびアムホテリシンBコロイド状分散液(ABCD))、アゾール(たとえば、イミダゾール(たとえば、ミコナゾール,たとえばMonistat(登録商標))、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、およびボリコナゾール)、カスポファンギン、ミカファンギン、FK463、アニデュラファンギン(LY303366)、ヒドロキシスチルバミジン、5−フルオロシトシン、フルシトシン、ヨウ化物(たとえば、ヨウ化カリウムの飽和溶液、またはSSKI)、テルビナフィン、ナイスタチン、グリセオフルビン、およびシクロピロックスが挙げられる。抗真菌薬の一例はミコナゾール、たとえばMonistat(登録商標)であり、これは真菌感染症を治療するために通常、局所適用されるイミダゾール抗真菌薬である。これらおよび他の抗真菌薬は当業者に公知であり、市販されている。たとえば、これらの抗真菌薬の多くは、Pfizer Inc.、McNeil−PPC,Inc、Johnson&Johnson、Enzon Pharmaceuticals,Inc.、Schering−Plough HealthCare Products、Sandoz Inc.、Ranbaxy Laboratories Ltd.、Mylan Pharmaceuticals,Inc.、Roxane Laboratories,Inc.、Sicor Pharmaceuticals,Inc.、Novopharm Ltd.、Apotex Inc.、Bedford Laboratories、Pliva Inc.、Taro Pharmaceutical Industries,Ltd.、およびAmerican Pharmaceutical Partners,Inc.から市販されている。
【0200】
治療のための投与
本明細書で記載する抗真菌薬および増強剤化合物の投与経路および/または様式は、所望の結果に応じて様々であり得る。たとえば、本明細書で記載する抗真菌薬および化合物の用量は、治療効果が、抗真菌薬単独を用いて(すなわち、本明細書に記載する化合物の非存在下で)得られるよりも少なくとも10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、または200%高くなるように選択することができる。このような効果は、たとえば真菌感染症に関連する標準的パラメータを用いて当業者には認識することができる。投薬計画を調節して、所望の反応、たとえば治療応答もしくは組み合わせ治療効果を得ることができる。一般的に、抗真菌薬と本明細書に記載する化合物との用量の任意の組み合わせ(別個もしくは同時処方のいずれか)を、生物学的に利用可能な量で両薬剤を対象に提供するために、用いることができる。
【0201】
投与方法としては、これらに限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、経口、舌下、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入によるもの、または局所、特に耳、鼻、眼、もしくは皮膚への局所投与が挙げられる。いくつかの例において、投与の結果、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を血流中に放出することができる。投与様式は、医師の裁量に任されている。
【0202】
いくつかの例において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を局所投与することができる。これは、たとえば外科手術中の局所注入によるか、局所塗布(たとえば、クリームもしくはローションで)、注射によるか、カテーテルを用いることによるか、坐剤もしくは浣腸を用いることによるか、またはインプラントを用いることによって行うことができ、前記インプラントは、多孔性、非多孔性、またはゼラチン質材料のもの、たとえば、シラスティック膜などの膜、または繊維である。
【0203】
いくつかの状況において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を、中枢神経系、循環系または胃腸管中に、脳室内、髄膜注射、傍脊椎注射、硬膜外注射、浣腸、および末梢神経近傍への注射によるなどの任意の経路によって導入することができる。脳室内注射は、たとえば、オンマイヤレザバーなどのレザバーに取り付けた脳室内カテーテルによって容易にすることができる。
【0204】
本開示は、本明細書で記載する抗真菌薬および化合物を投与するための装置にも関する。装置は、たとえば医薬組成物を貯蔵するための1以上のハウジングを含むことができ、本明細書で記載する抗真菌薬および化合物の単位用量を送達するための構造にすることができる。本明細書で記載する抗真菌薬および化合物は、同じ区画中または別個の区画中に貯蔵することができる。たとえば、装置は、真菌薬と化合物とを投与前に組み合わせることができる。本明細書で記載する抗真菌薬および化合物を投与するために、異なる装置を用いることも可能である。
【0205】
たとえば、吸入器もしくはネブライザ、およびエアロゾル化剤を含む配合物の使用によるか、またはフッ化炭素もしくは合成肺表面活性剤中のかん流によって、経肺投与も用いることができる。
【0206】
いくつかの例において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬は、ベシクル、特にリポソーム中に送達することができる(Langer,Science 249:1527−1533(1990)、およびTreatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Gabriel Lopez−Berestein,John Wiley&Sons Canada,pp.317−327およびpp.353−365(1989)を参照)。
【0207】
さらに別の状況において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を、制御放出系または持続放出系において送達することができる(たとえば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,Robert L.Langer,Donald Lee Wise,CRC Press,2:115−138(1984)を参照)。Langer,Science 249:1527−1533(1990)による概説で議論されている他の制御放出系または持続放出系を使用することができる。一実施形態において、ポンプを用いることができる(Langer,Science 249:1527−1533(1990)、Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987)、Buchwaldら、Surgery 88:507(1980)、およびSaudekら、N.Engl J.Med.321:574(1989))。別の実施形態では、ポリマ物質を使用できる(Medical Applications of Controlled Release(LangerおよびWise,eds.,1974,CRC Press)、Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(SmolenおよびBall eds.,John Wiley,1984)、Rangerら、J.Macromol Sci.Rev.Macromol Chem.2:61(1983)、Levyら、Science 228:190(1935)、Duringら、Ann.Neural.25:351(1989)、およびHowardら、J.Neurosurg.71:105(1989)を参照)。
【0208】
さらなる状況で、制御放出系もしくは持続放出系を、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬の標的、たとえば生殖器に近接して配置して、用量を減少させて全身量より少なくすることができる。
【0209】
増強剤および/または抗真菌薬は、好適な量の生理学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として処方することができる(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences pp.1447−1676(Alfonso R.Gennaro,ed.,19th ed.1995)を参照)。このような生理学的に許容される賦形剤は、たとえば、液体、たとえば水および油、たとえば石油、動物、植物、または合成起源のもの、たとえば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等であり得る。生理学的に許容される賦形剤は、塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であり得る。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤を使用できる。一実施形態において、生理学的に許容される賦形剤は、動物に投与される場合、無菌である。生理学的に許容される賦形剤は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物の汚染に対して保護されなければならない。水は、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を静脈内投与する場合に、特に有用な賦形剤である。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体賦形剤として、特に注射可能な溶液に関して用いることができる。好適な生理学的に許容される賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール,水、エタノール等も挙げることができる。好適な生理学的に許容される賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences pp.1447−1676(Alfonso R.Gennaro,ed.,19th ed.1995)に記載されている。医薬組成物は、所望により、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含むことができる。
【0210】
溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、およびエリキシルの調製において、液体担体を使用することができる。本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を、薬剤的に許容される液体担体、たとえば水、有機溶媒、両者の混合物、または薬剤的に許容される油脂中に溶解もしくは懸濁させることができる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、緩衝液、保存料、甘味料、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤、または浸透圧調節剤をはじめとする他の好適な医薬添加剤を含むことができる。経口および非経口投与用液体担体の好適な例としては、水(特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液をはじめとするセルロース誘導体などの本明細書で記載する添加剤を含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、たとえばグリコールを包含する)およびこれらの誘導体、ならびに油(たとえば、分留ヤシ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与に関して、担体は、油性エステル、たとえば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルでもあり得る。液体担体は、投与用滅菌液体形態であり得る。加圧組成物の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬剤的に許容されるプロペラントであり得る。
【0211】
本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、粉末、持続放出処方、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液の形態、または使用に適した任意の他の形態を取ることができる。一実施形態において、組成物はカプセルの形態である。
【0212】
いくつかの例において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬は、ヒトへの経口投与に適した組成物として通常の手順にしたがって処方される。経口送達用組成物は、たとえば、錠剤、ロゼンジ、バッカル形態、トローチ、水性または油性懸濁液または溶液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシルの形態であり得る。経口投与される組成物は、1以上の追加の薬剤、たとえばフルクトース、アスパルテームもしくはサッカリンなどの甘味料、たとえばペパーミント、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー油などの矯味矯臭剤、着色剤、および保存料を含めて、薬剤的に好ましい製剤を提供することができる。粉末において、担体は微粉化固体であり得、これは微粉化された本明細書で記載の抗真菌薬および/または化合物の混合物である。錠剤において、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬と圧縮特性を有する担体とを好適な割合で混合し、所望の形状およびサイズに圧縮することができる。粉末および錠剤は、約99%までの本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を含むことができる。
【0213】
カプセルは、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬の、不活性フィラーおよび/または希釈剤、たとえば、薬剤的に許容されるデンプン(たとえば、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、糖、人工甘味料、セルロース粉末(たとえば、結晶性および微結晶性セルロース)、小麦粉、ゼラチン、ガムなどとの混合物を含むことができる。
【0214】
錠剤処方は、通常の圧縮法、湿式造粒法、または乾式造粒法によって調製することができ、薬剤的に許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面修飾剤(界面活性剤を包含する)、懸濁化剤もしくは安定化剤、たとえばこれらに限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリジン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール,塩化ナトリウム、低融点ワックス、およびイオン交換樹脂を利用することができる。表面修飾剤としては、非イオン性およびアニオン性表面修飾剤が挙げられる。表面修飾剤の代表例としては、これらに限定されるものではないが、ポロキサマ188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびトリエタノールアミンが挙げられる。
【0215】
さらに、錠剤もしくは丸薬形態である場合、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を、胃腸管中での崩壊および吸収を遅らせるためにコーティングして、これによって長時間にわたって持続する作用を提供することができる。本明細書で記載する浸透圧活性駆動(osmotically active driving)増強剤および/または抗真菌薬の周囲の選択透過性膜は、経口投与された組成物にも適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルの周囲の環境からの流体をこの駆動化合物によって吸収させることができ、この化合物は膨潤して、薬剤もしくは薬剤組成物を間隙から押し出す。これらの送達プラットフォームは、即時放出処方のスパイクトプロフィール(spiked profile)に対して、本質的にゼロ次の送達プロフィールを提供できる。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延物質も使用できる。経口組成物は、標準的賦形剤、たとえば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムを含むことができる。いくつかの状況において、賦形剤は医薬品等級のものである。
【0216】
他の例では、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬は、静脈内投与用に処方することができる。静脈内投与用組成物は、滅菌等張水性緩衝液を含むことができる。組成物は、可溶化剤も含むことができる。静脈内投与用組成物は、場合によって注射部位の疼痛を軽減するためにリグノカインなどの局所麻酔薬を含めることができる。成分は、単位投与形態中、たとえば活性剤の量を表示するアンプルまたはサシェ(sachette)などの密封容器中の凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、別々にまたは混合してのいずれかで供給することができる。本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を注入によって投与する場合、滅菌医薬品等級水もしくは塩水を含む点滴ボトルを用いて投薬することができる。本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を注射によって投与する場合、成分を投与前に混合できるように、注射用水もしくは塩水のアンプルを提供することができる。
【0217】
他の状況では、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を身体の表面ならびに上皮および粘膜組織を包含する身体通路の内層を越えて投与することができる。このような投与は、ローション、クリーム、フォーム、貼付剤、懸濁液、溶液、および坐剤(たとえば、直腸もしくは膣用)において本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を用いて実施することができる。いくつかの例では、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬ならびに本明細書で記載する抗真菌薬および/または化合物に対して不活性であり、皮膚に対して無毒であり、全身吸収のために皮膚を通って血流中への薬剤の全身投与を可能にする担体を含む経皮貼付剤を使用することができる。担体は、クリームもしくは軟膏、ペースト、ゲル、または閉鎖装置などの任意の数の形態を取ることができる。クリームもしくは軟膏は、粘稠性液体または水中油型もしくは油中水型のいずれかの半固体エマルジョンであり得る。石油または本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を含む親水性石油中に分散させた吸収性粉末のペーストも使用できる。様々な閉鎖装置、たとえば本明細書で記載する抗真菌薬および/または化合物(担体を含むか、もしくは含まない)を含む容器、または本明細書で記載する抗真菌薬および/または化合物を含むマトリックスを覆う半透膜などを用いて、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を血流中に放出することができる。
【0218】
本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を、通常の坐剤の形態で経直腸もしくは経膣投与することができる。坐剤処方は、当業者に公知の方法を用いて、カカオ脂(坐剤の融点を変えるためにワックスを添加するか、または添加しない)、およびグリセリンをはじめとする伝統的な物質から作製することができる。水溶性坐剤基剤、たとえば、様々な分子量のポリエチレングリコールも使用できる。
【0219】
感染症を治療するために有効な、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬の量は、当業者に公知の標準的臨床技術を用いて決定することができる。加えて、インビトロもしくはインビボアッセイを場合によって用いて、最適投与量範囲を特定するために役立てることができる。用いられる正確な用量も、投与経路、状態、治療される状態の重篤度、ならびに治療される個体に関連する様々な身体的因子によって変わり、健康管理医の判断によって判断できる。たとえば、本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬の用量は、それぞれ約0.001mg/kg〜約250mg/kg体重/日、約1mg/kg〜約250mg/kg体重/日、約1mg/kg〜約50mg/kg体重/日、または約1mg/kg〜約20mg/kg体重/日の範囲であり得る。等しい用量を、これらに限定されるものではないが、約2時間ごと、約6時間ごと、約8時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約36時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、ほぼ毎週、ほぼ2週間ごと、ほぼ3週間ごと、ほぼ毎月、およびほぼ2ヶ月ごとをはじめとする様々な期間にわたって投与することができる。完全治療過程に対応する投与回数および投与頻度は、健康管理医の判断にしたがって決定できる。
【0220】
いくつかの例において、本明細書で記載する医薬組成物は、たとえば錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、エマルジョン、顆粒、または坐剤として、単位投与形態であり得る。このような形態において、医薬組成物は、適切な量の本明細書で記載する増強剤および/または抗真菌薬を含む単位用量に細分割することができる。単位投与形態は、包装された医薬組成物、たとえば、パック入り粉末、バイアル、アンプル、あらかじめ充填されたシリンジまたは液体を含むサシェであり得る。単位投与形態は、たとえばカプセルもしくは錠剤自体であってもよいし、または包装形態中の適切な数の任意のかかる組成物であってよい。かかる単位投与形態は、約1mg/kg〜約250mg/kgを含むことができ、単回投与または2回以上の分割した量で投与することができる。
【0221】
特許請求の範囲で記載する本発明の範囲を限定しない以下の実施例で、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0222】
【実施例1】
【0223】
シー・アルビカンス存続細胞の特徴付け
プランクトン様およびバイオフィルム集団の両方を、存続細胞の存在の可能性について調べた。アムホテリシンB、クロルヘキシジン、およびカスポファンギンをはじめとするいくつかの化合物はカンジダバイオフィルムを殺し、これらは用量に依存した実験で試験した。生存細胞の亜集団を明示する二相性殺菌曲線は、存続細胞の存在を示す。
【0224】
シー・アルビカンス3153A細胞のバイオフィルムをマイクロタイタープレートのウェル中、RPMI培地中にて48時間培養し(Ramageら、Antimicrob.Agents Chemother.45:2475−2479(2001))、PBS(pH7.4)中で2回洗浄して、非接着性細胞を除去し、抗真菌薬を含むRPMI成長培地100μl中に再懸濁させた。24時間の抗真菌薬攻撃後、バイオフィルムおよび培養物を2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させ、こすり取り、エッペンドルフ管中に移し、ボルテックスし、YPD培地上でのコロニー形成単位(CFU)決定のためにプレートした。顕微鏡検査によって、物質は、単一細胞と≦10個の細胞の集団との混合物であることがわかった。このことは、生存細胞の<10倍での過小評価につながり得る。平行して、指数関数的に成長するプランクトン様培養物および定常期プランクトン様培養物を48時間RPMI培地中で成長させ、次いで抗真菌薬を24時間添加した。実験は三連で実施し、エラーバーは標準偏差を示す(図1A〜図1Bを参照)。
【0225】
カスポファンギンはバイオフィルムに対して限定された効果を有し、≦10倍の殺菌をもたらした。アムホテリシンBは、指数関数的に成長する細胞および定常期細胞を効果的に死滅させ、生存細胞をほとんど示さなかった(図1A)。それに反して、二相性殺菌がカンジダバイオフィルムにおいて観察され、集団の大部分は低濃度(ただし、1μg/mlのMICを越える)で死滅し、一方、残存する細胞は高濃度の薬剤によって影響を受けなかった(図1A)。1%を越える細胞がアムホテリシンBに対して不死身であるようであり、このことは、定常期プランクトン様集団がバイオフィルムより多くの存続細胞を産生する細菌での観察と対照的に、酵母菌バイオフィルム中の存続細胞の存在を示した。アムホテリシンBによる殺菌に対する耐性は、膜中に「孔」をあけ、予想外であった。この化合物の活性は、エルゴステロールの利用可能性に依存し、エルゴステロールの利用可能性によって限定される。
【0226】
アムホテリシンBに関して見られる結果と同様に、クロルヘキシジンはバイオフィルムの二相性殺菌をもたらし、指数関数的および定常期培養物の両方における細胞は除去された(図1B)。より高い濃度(100μg/ml超)で、存続細胞の死滅が観察され、バイオフィルムは1000μg/ml(洗口剤において、およびシー・アルビカンスが原因の口腔カンジダを治療するための治療薬として通常用いられるよりも2倍低い濃度(0.2%))で完全に滅菌された。
【0227】
殺菌の二相性特性は、耐性突然変異体が集団中に存在することを示した。生存細胞が野生型の表現型変異体であるかどうか、またはこれらが突然変異体であるかどうかを決定するために、生存細胞の耐性を調べた。
【0228】
バイオフィルムをマイクロタイタープレート中で成長させ、アムホテリシンBもしくはクロルヘキシジン(100μg/ml)で24時間処理し、その後、前述のように洗浄し、ボルテックスした。細胞を次いでマイクロタイタープレート中で再培養して、新規バイオフィルムを形成した。薬剤処理から生き残った存続細胞由来の新規バイオフィルムを、抗真菌薬(前述)で再度処理し、操作を合計3回繰り返した。抗真菌薬処理の前後でCFU決定のためにバイオフィルムをサンプリングした。実験は三連で実施した。
【0229】
図2に証明するように、生存する存続細胞によって産生された集団は薬剤に対してより耐性が高いわけではなく、むしろ新規存続亜集団を生じさせた(図2を参照。エラーバーは標準偏差を示す)。生存細胞が突然変異体であるならば、抗真菌薬の再適用によって完全な耐性が期待されるか、または各処理サイクルで生存細胞の数の漸進的増加が期待される。このように、シー・アルビカンス存続細胞は、遺伝学的に同一の細胞のクローン集団において生じた野性型の表現型変異体であった。
【0230】
酵母存続細胞が多剤耐性であるかどうかを決定するためにも試験を実施した。シー・アルビカンスの成熟48時間バイオフィルムを、100μg/mlのアムホテリシンB、100μg/mlのクロルヘキシジン、またはこれら2つの抗真菌薬の組み合わせで、前記と同じ手順を用いて24時間攻撃した。前述のように、バイオフィルムを洗浄し、抗真菌薬処理前後でCFU決定のためにサンプリングした。
【0231】
バイオフィルムをアムホテリシンBとクロルヘキシジンとの両方で処理した場合、個々の抗真菌薬で処理した細胞と比較して、さらなる殺菌は検出されなかった(図3、三連実験、エラーバーは標準偏差を示す)。同様に、存続細胞の数は、バイオフィルムを連続して24時間アムホテリシンBで処理し、次いでクロルヘキシジンで処理するか、またはその逆の場合、本質的に同じであった(1%〜3%)。これらの実験は、1つの均一の存続集団の存在を示す。
【0232】
バイオフィルムにおけるような存続細胞を次いで、生きている真菌細胞と死んだ真菌細胞とを識別するフルオレセイン二酢酸をはじめとするいくつかの色素を用いて可視化した。浮遊細胞またはバイオフィルム細胞を100μg/mlのフルオレセイン二酢酸で染色し、蛍光顕微鏡法によって調べた。図4Aは、生きている浮遊細胞を示し、図4Bは、100μg/mlのアムホテリシンBで処理後の死んだ浮遊細胞を示し(400倍)、図4C〜図4Eは、それぞれ、アムホテリシンB処理(100μg/ml)の18時間後、または48時間後の未処理の対照のバイオフィルムを示す(1000倍)。
【0233】
アムホテリシンBで死滅させた、指数関数的に成長するシー・アルビカンス細胞は、予想されるように、フルオレセイン二酢酸で容易に染色された(図4A〜図4B)。バイオフィルムを次いでフルオレセイン二酢酸で染色した(図4C〜4E)。アムホテリシンBの添加後、生きている(暗色)細胞の数が目に見えて減少し、変形した(図4D)。48時間のアムホテリシンB処理後、少数の染色されていない細胞しか存在していなかった。これらは通常の仮性菌糸もしくは酵母菌のようであり、形態学的に正常な未処理細胞と区別できなかった。蛍光検出および前方散乱を用いて、不鮮明な存続細胞を、破壊されたバイオフィルムから物理的に選別して、寒天培地上で成長させた。分別された細胞は寒天培地上にコロニーを産生し、このことは、これらが生きていることを裏付けた。存続細胞を選別する能力を用いて、標準法を用いてこれらの転写プロフィールを得る。
【0234】
バイオフィルムにおいてのみ存続細胞が現れたならば、これらの形成は、バイオフィルム発生を決定する同じ遺伝子/経路に依存していた。したがって、大パネルのバイオフィルム欠損突然変異体を、高レベルのアムホテリシンBに対する生存物を測定することによって、これらが存続細胞を産生する能力について試験した。これらの突然変異体は、マイクロタイタープレートの表面に接着することができ、前述のバイオフィルム生存プロトコルにおける分析を可能にした。全株は本質的に正常なレベルの存続細胞を産生するようであった(表1)。このことは、その後のバイオフィルム形成ではなく、接着が、存続形成の引き金となることを示唆する。
【表1】

【実施例2】
【0235】
ミコナゾール増強剤についての高スループットスクリーニング
既知の抗真菌薬が存続細胞に対して不活性であるならば(高レベルのクロルヘキシジンを除く)、通常の抗真菌薬との組み合わせで存続形成を無効にし感染を根絶する潜在的な存続細胞を同定するスクリーンを開発した。特に、スクリーンは、準阻害濃度のミコナゾールで処理されたシー・アルビカンス細胞を用い、これに対して候補増強剤化合物を添加して開発された。バイオフィルムをマイクロタイタープレート中で成長させ、アラマーブルーの減少を定量的読み出しとして使用した。アラマーブルーは、生きている細胞によって減少し、青から赤への色の変化として視覚的に検出できる蛍光指示薬を産生する。この一次スクリーンは、直接作用する化合物と、ミコナゾールを増強する化合物とを識別しなかった。以下に記載するような、その後の一次ヒットの検証によって、相乗的に作用する化合物が同定された。
【0236】
図5は、ミコナゾールの増強剤についてのバイオフィルム高スループットスクリーン(HTS)を概略的に示す。増強剤についてのスクリーニング前に、スクリーンのロバスト性を、対照条件下で試験して、Z’因子を誘導した。シー・アルビカンスをRPMI1640培地中に接種し、ウェルあたり30μlで384ウェルプレート中に分注した。37℃で48時間のインキュベーション後、培地を、100μg/mlのミコナゾール(負の対照)を含むか、または100μg/mlのミコナゾールと50μg/mlのクロルヘキシジンとの組み合わせ(正の対照)を含む新鮮な培地と置換した。さらに48時間37℃でインキュベーションした後、培地を10%のアラマーブルーを含むPBSと置換した。Z’因子を、蛍光プレートリーダを用いてシー・アルビカンス細胞によるアラマーの還元によって生じた蛍光における変化を測定することにより、次式を用いることによって計算した。
Z’=1−(3SD+3SD)/(Ave−Ave
(式中、SD=正の対照標準偏差、SD=負の対照標準偏差、Ave=正の対照平均、およびAve=負の対照平均)。
【0237】
≧0.5のZ’は、有効なスクリーンを示し、1.0が理論的な最大値である。0.80のZ’は、対照実験について計算された。図5に示すように、HTSを次に実施して、増強剤についてスクリーンした。
【0238】
まず、RPMI1640培地中、30μlのシー・アルビカンス(OD600=0.1)を384ウェルのプレート中に播種することによって、バイオフィルムを形成した。プレートを48時間、37℃でインキュベートし、次いで培地を、100μg/mlのミコナゾールを含む新鮮な培地で置換した。下記化学ライブラリからの試験化合物を、17μg/mlの最終濃度で、マイクロタイタープレートの各ウェル中にピントランスファした。バイオフィルムをさらに48時間インキュベートし、10%のアラマーブルーを含むPBSで培地を置換した。プレートを37℃でさらに6時間インキュベートし、アラマーブルー還元を、蛍光プレートリーダ(それぞれ544nm励起および590nm発光)を用いて測定した。
【0239】
約70,000の化合物を二連でスクリーンし、6の強力なヒットを得(約75%を越えるアラマーブルー還元の阻害を示す)、52の培地ヒット(約50%から約75%の間の阻害を示す)を得て、これをさらに調べた。図6は、二連でプレートスクリーンした代表的化合物からの結果を示す(プレートAおよびB)。スクリーンの全体的なヒット比は0.47%であった。スクリーンの結果を表2に示す。
【表2】

【0240】
ヒットを活性について検証し、次いでコロニー数を測定することによって、ミコナゾール(100μg/ml)の存在下でのバイオフィルムを殺す能力について調べた。AC17を含む5つの化合物は、ミコナゾールとの組み合わせでバイオフィルムを殺すことができたが、単独ではできなかった。
【実施例3】
【0241】
AC17のインビトロ検証
AC17を、高存続突然変異体の効力、毒性、バイオフィルムを根絶する能力のインビトロ評価に付した。
【0242】
有効性
ミコナゾールの存在下で、バイオフィルムを殺し、存続細胞を根絶するために必要なAC17の最低濃度を決定した。野生型成熟シー・アルビカンス・バイオフィルムをAC17で48時間攻撃した。バイオフィルムを洗浄し、こすり取り、PBS中に再懸濁させ、30秒間ボルテックスし、コロニー計数のためにプレートした。ミコナゾールが100μg/mlで存在していた。
【0243】
AC17は、バイオフィルムに対して強力な増強活性を有し(図7)、バイオフィルムまたは成長する細胞のいずれかに対して単独で活性を有さなかった(MIC>512μg/ml)。
【0244】
インビトロ細胞毒性分析を、一次ヒト線維芽細胞IMR−90を用いて実施した。線維芽細胞を37℃、5%のCOで、10%のFBS−DMEM中にて成長させ、10細胞/ウェルで96ウェル平底プレート中にプレートした。細胞を48時間インキュベートして、70%コンフルーエンスに達し、化合物を新鮮な成長培地中2倍連続希釈で添加した。細胞を24時間インキュベートし、化合物を含む培地を新鮮な成長培地と弛緩した。線維芽細胞をさらに18時間インキュベートし、細胞の生存をアラマーブルー還元によって決定した。アラマーブルー測定値を用いて、生存性を50%超で減少させる薬剤の濃度(EC50)を決定し、治療指数(EC50/MFCバイオフィルム、ここで、MFCバイオフィルムは、ミコナゾールの存在下でバイオフィルム根絶を引き起こすAC17の最低濃度である)を計算するために使用した。AC17のEC50、MFCバイオフィルム、および治療指数は、それぞれ、250μg/ml、20μg/ml、および12.5であった。AC17の細胞毒性もミコナゾールの存在下で試験した。ミコナゾール単独のEC50は16μg/mlと決定された。16μg/mlのミコナゾールの添加によって、AC17の細胞毒性効果は増加しなかった。
【0245】
高存続突然変異体のバイオフィルムの根絶
高濃度の殺菌性抗生物質を定期的に適用することは、インビトロでの大腸菌(E.coli)における高存続「hip」突然変異体の選択につながる。hip突然変異体の同様の選択がインビボで起こるかどうかを確認するために、シー・アルビカンスの131臨床分離株のコレクションを、それらの存続レベルについて試験した。これらの株は、抗癌化学療法の結果として口腔カンジダ症を発症した患者から得た。患者を局所クロルヘキシジンで毎日治療した。
【0246】
バイオフィルムをマイクロタイタープレート中、シー・アルビカンス臨床分離株から調製し(実施例1に記載した通り)、100μg/mlのアムホテリシンBもしくは100μg/mlのクロルヘキシジンで攻撃した。株1〜6は持続性カンジダ症の患者由来であり(1群)、株7〜15は感染症が3週間以内に消散した患者由来であった(2群)。
【0247】
図8Aに示すように、相当数の分離株で生存存続細胞の量が増大した。アムホテリシンBおよびクロルヘキシジンに関するこれらの株のMICは変化せず(それぞれ1μg/mlおよび4μg/ml)、このことはこれらが耐性突然変異体ではなく、むしろ薬剤耐性が増大したhip突然変異体であることを示す。hip突然変異体のみが治療の3週間以内に疾患が消散しなかった患者由来であった(図8A)。したがって、これらの知見は、微生物存続細胞を疾患の臨床症状と結びつけ、このことは、耐性が存続細胞による可能性があることを示唆する。
【0248】
治療が困難な例がシー・アルビカンスのhip突然変異体と関連づけられるならば、AC17の活性をこれらの病原体に対して試験した。バイオフィルムをhip株から成長させ、AC17(100μg/ml)、ミコナゾール(100μg/ml)またはこの二者の組み合わせで攻撃した。図8Bにおいて示すように、ミコナゾールとAC17との組み合わせは、バイオフィルムを根絶した。
【実施例4】
【0249】
AC17バイオフィルム形成の阻害
前述のように、AC17はカンジダバイオフィルムをミコナゾールとの組み合わせで殺すことが判明した。AC17がバイオフィルム形成に対して直接影響を及ぼすかどうかを確認した。
【0250】
シー・アルビカンス細胞懸濁液を、標準的バイオフィルム形成プロトコルにしたがってRPMI培地中OD600=0.1に調節し、様々な濃度のAC17を10mg/mlストック溶液から添加した。100μlのアリコートを平底マイクロタイタープレート(CoCostar 3370)のウェルの中に入れ、マイクロタイタープレートシェーカ(Lab−Line Instruments、モデル4625)上、約100rpmにて37℃で24時間インキュベートして、バイオフィルムを形成させた。24時間後、バイオフィルムを滅菌PBSで3回洗浄して、非接着性細胞およびAC17を除去した。100μlの10%アラマーブルーをウェルに添加し、37℃で2時間インキュベートすることによって、バイオフィルム代謝活性を測定した。蛍光分光光度計(544nmで励起、590nmで発光)でプレートを読み取ることによって、バイオフィルム代謝活性の蛍光強度を測定した。図9Aに示すように、AC17は、用量に依存した方法で、細胞が野生型バイオフィルムを形成する能力を阻害した。
【0251】
AC17がバイオフィルムに対して特異的な活性を有することを検証するために、YPD培地における成長曲線を、AC17処理および未処理細胞に関して実施した。株CAF2−1をYPD培地中でON成長させ、新鮮なYPD培地および30μg/mlのAC17を含むYPD培地中で希釈した。600nmでの光学密度を、24時間、様々な時点で分光光度計を使用して測定して、成長曲線を得た。YPD培地中で成長させたAC17処理酵母細胞は、未処理対照と比較して成長率において差は検出されなかった。(図9Bを参照)。細胞サイズおよび形態も、顕微鏡分析に基づいて完全に正常であるように見えた。
【実施例5】
【0252】
菌糸伸長のAC17阻害
どのようにしてAC17がバイオフィルム形成を阻害し、直接成長阻害活性を有さなかったかをよりよく理解するために、AC17の繊維状生育に対する影響を決定した。顕微鏡検査を用いて、AC17が酵母菌の菌糸への推移を特異的に阻害するか、または菌糸伸長を防止するかどうかを分析した。
【0253】
YPD培地中で成長させたON培養物からのシー・アルビカンス細胞をRPMI培地中でOD600nm=0.2まで希釈した。1mlの細胞懸濁液を15mlの培養管中に分注し、適切な濃度のAC17をRPMI培地中に溶解させた10mg/mlのストック溶液から試験管に添加した。試験管を37℃で12時間、200rpmのシェーキング・インキュベータ中でインキュベートした。12時間後、試験管からの試料をウェットマウントし、AxioCam白黒CCDカメラを有するZeiss Axioskop 2顕微鏡(Carl Zeiss)を用いて写真撮影した。菌糸長さを、Axiovision Rel.4.5ソフトウェアを用いて、1つの発芽管が由来する酵母細胞を特定し、菌糸先端の始まりから終わりまでの長さを測定することによって定量化した。処理あたり90個の細胞から得た測定値を平均し、生物学的複製物を用いて実験を実施した。
【0254】
顕微鏡検査によって、未処理細胞(図10A)はAC17処理細胞(図10B)よりも長い菌糸を有することが明らかになった。AC17を含むRPMI1640培地中で12時間成長させた後に個々の菌糸長さを測定した場合、菌糸伸長の濃度依存減衰が検出された(図10C)。50μg/mlのAC17での処理によって、菌糸長さが2倍減少し、未処理対照と比較して菌糸長さに有意な差を生じさせるためには12.5μg/mlで十分であった。顕微鏡検査によって、発芽管がほとんど全ての細胞上に存在していたので、酵母菌の菌糸への推移を阻害しなかったことも明らかになった(図10B)。
【実施例6】
【0255】
浸潤性成長のAC17予防
カンジダによる浸潤性成長は発病およびインビボでの感染の確立に関与する。AC17が固体培地中への浸潤を防止する能力を分析した。いくつかの遺伝経路がフィラメンテ−ションおよび浸潤性成長を活性化する。たとえば、転写因子CZF1は埋め込み成長状態における浸潤に関与し、一方、CPH1の突然変異の結果、ある培地では繊維状生育不良となるが、寒天内では軽度の不良を示す。このように、いくつかの条件下で様々な培地中への浸潤を阻害するAC17の能力を試験した。
【0256】
浸潤性成長を、YPD培地中、30℃で成長させたON培養物の約100のシー・アルビカンス細胞をリー、スパイダーおよびYPS寒天培地の表面上にスプレッドプレーティングすることによって決定した。リー培地は、蒸留水1000mlあたり、5.0gの(NHSO、0.2gのMgSO、2.5gのKHPO(無水)、5.0gのNaCl、12.5gのマンニトール、0.5gのL−アラニン、1.3gのL−ロイシン、1.0gのL−リシン、0.1gのL−メチオニン、0.0714gのL−オルニチン、0.5gのL−フェニルアラニン、0.5gのL−プロリン、0.5gのL−トレオニン、0.001gのビオチン、および15gの寒天を含んでいた。スパイダー培地は、1%栄養ブロス(Difco)、1%マンニトール、1.35%寒天、および2g/LのKHPOを含んでいた。YPS培地は、1%バクトペプトン(Difco)、0.5%酵母エキス(Difco)、1.5%寒天、および2%スクロース(Fluka)を含んでいた。浸潤性成長を、YPD寒天培地中に埋め込まれた細胞についても測定した。約100個の細胞をYPD寒天上に塗布し、融解YPD寒天の薄層を細胞上に注いだ。AC17を10または50mg/mlの水中に溶解させたAC17のストック溶液から適切な濃度で培地に添加した。浸潤性成長を防止するために必要なAC17の最低濃度を、スパイダー寒天中AC17を2倍希釈することによって決定した。リー、スパイダーおよびYPD寒天プレートを37℃で5〜7日間インキュベートした。YPS寒天プレートを25℃で5〜7日間インキュベートした。浸潤性成長を目視検査によって決定し、AxioCam白黒CCDカメラおよびZeiss Discovery V12立体鏡を用いて個々のコロニーの写真を撮影した。
【0257】
図11A〜図11Cに示すように、AC17は、酵母細胞を寒天の最上部上にプレートした場合、リー、スパイダー、およびYPS培地中への浸潤を防止した。AC17は、細胞を融解YPD寒天培地内に播種した場合にも、埋め込み成長条件下で浸潤を防止した(図11D)。3μg/mlの低いAC17濃度で、リー、スパイダー、およびYPS培地中への浸潤性成長が防止され、このことは、AC17が浸潤の強力な阻害剤であることを示唆する。AC17は、試験した全ての成長および培地条件下で浸潤を阻害し、このことは、AC17がほとんどまたは全ての既知の浸潤経路に共通の因子を標的とすることを示唆する。
【実施例7】
【0258】
AC17はUME6経路を標的とする
UME6は、菌糸成長の維持に必要とされる転写因子であることが知られている。Δume6突然変異の結果、AC17で処理した細胞と類似した短縮された菌糸表現型が得られるので、UME6は、AC17の推定標的であり得る。AC17がUME6経路を標的とするかどうかを試験するために、AC17で処理された細胞をUME6突然変異体と比較した。
【0259】
野生型シー・アルビカンス細胞およびシー・アルビカンス株UZ24(ume6Δ::CmLEU2/UME6his1Δ/his1Δ)、UZ43(ume6Δ::CdHIS1/ume6Δ::CmLEU2)、およびUZ149((ADH1/adh1::Ptet−UME6(PACT1−CaSAT1)UME6/UME6)(Zeidlerら、FEMS Yeast Res.9:126−142(2009))を前述のように成長させた。酵母細胞を100μg/mlのAC17の存在下で成長させ、RPMI細胞懸濁液のアリコートを15ml培養管中に入れた。適切な場合、AC17を培養管に最終濃度が100μg/mlとなるように添加した。20μg/mlのドキシサイクリンをUZ149に添加して、UME6発現を誘発した。試験管を37℃にて、振とう培養器中、200RPMで約18時間インキュベートした。培養管からの試料を顕微鏡スライド上にウェットマウントし、Axiovision Rel.4.5ソフトウェアおよびAxioCam(Carl Zeiss)白黒CCDカメラを用いZeiss Axioskop 2顕微鏡を用いて40倍で写真撮影した。
【0260】
図12は、各株の未処理対象細胞と比較した、野生型(A)、Δ/Δume6(B)、ume6ヘテロ接合体(C)、およびUME6過剰発現(D)に対するAC17の影響を示す。AC17は、野生型、ume6ヘテロ接合体および過剰発現株において菌糸伸長を阻止し、一方、Δ/Δume6に対しては影響を及ぼさなかった。AC17処理ume6ヘテロ接合体細胞はまた、未処理Δ/Δume6細胞と酷似していた。これらの結果は、AC17がUME6またはその経路を標的とすることを示す。
【0261】
UME6が非フィラメント化条件下で過剰発現された場合に、AC17処理が菌糸の成長から酵母への復帰を引き起こす能力を試験した。酵母菌株UZ149をYPD液体培地中37℃で10μg/mlのドキシサイクリンを用いて、および用いないでON成長させて、菌糸成長を誘発した。37℃、200rpmでのONインキュベーション後、酵母菌および菌糸細胞を遠心分離によって集め、滅菌PBS中で2回洗浄し、新鮮なYPD培地中で1:500に希釈した。YPD培地は10μg/mlのドキシサイクリン、10μg/mlのドキシサイクリンと100μg/mlのAC17との組み合わせのいずれかを含むか、または薬剤を添加しなかった。培養管をさらに18時間、37℃、200rpmでインキュベートした。培養管からの試料を顕微鏡スライド上にウェットマウントし、Axiovision Rel.4.5ソフトウェアおよびAxioCam(Carl Zeiss)白黒CCDカメラを用いてZeiss Axioskop 2顕微鏡を使用して40倍で写真撮影した。
【0262】
UME6過剰発現株UZ149をYPD培地中37℃でON成長させた場合、酵母細胞のみが存在していた(図13A)。UME6誘導物質ドキシサイクリン(25μg/ml)をYPD培地に添加すると、発芽管の存在によって示されるように、結果として菌糸が成長した(図13B)。細胞をドキシサイクリンの持続的存在下で希釈し、成長させると、菌糸状態が維持された(図13C)。しかし、洗浄によってドキシサイクリンを除去すると、酵母の成長に復帰した(図13D)。さらに、AC17をドキシサイクリン処理細胞に添加することによっても、主に酵母成長に復帰した(図13E)。いくつかの発芽管が存在していたが、AC17処理細胞は、ドキシサイクリンの存在下で連続して成長させた細胞と対照的に、ドキシサイクリン除去の効果を再現した。これらの発芽管は、これらの条件下での高レベルの人工的Ume6過剰発現およびAC17による不完全なUME6阻害の結果であり得る。AC17は、UME6過剰発現の効果を阻止したので、UME6経路を標的とするようであった。
【実施例8】
【0263】
AC17およびミコナゾールを用いたカテーテルに対する真菌感染の処理
シー・アルビカンスに感染したカテーテルを処理するために、2%のミコナゾールおよび1%のAC17を含むカテーテルロック溶液を調製する。カテーテルを使用しない状態で、カテーテル管腔をロッキングし、溶液を7日間、1日につき2時間投与することによって、カテーテルを処理する。次いで、すすいだ後に使用する。カテーテルをミコナゾール/AC17溶液で処理することによって、バイオフィルムおよび存続細胞が除去され、カテーテルの連続使用が可能になる。
【実施例9】
【0264】
AC17およびクロトリマゾールを用いた口腔カンジダ症の治療
対象における口腔カンジダ症を治療するために、10mgのクロトリマゾールおよび5mgのAC17を含むロゼンジを調製する。ロゼンジを7日間、1日につき5回投与する。AC17とクロトリマゾールとの組み合わせを含むロゼンジの使用は、バイオフィルムおよび存続細胞を除去し、疾患の再発を予防する。
【実施例10】
【0265】
AC17およびミコナゾールを用いた膣炎の治療
対象においてカンジダが原因の膣内酵母菌感染症を治療するために、2%ミコナゾール、硬化植物油基剤、安息香酸、セチルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ポリソルベート60、水酸化カリウム、プロピレングリコール、純水、およびステアリルアルコールを含むクリーム(たとえば、Monistat(登録商標)クリーム)に1%のAC17をを添加する。クリームを膣の患部に7日間、1日1回投与する。ミコナゾール含有クリームにAC17を添加することによって、ミコナゾールの効能が増大し、再発性疾患を予防する。
【0266】
同等物
本発明をその詳細な説明と関連して記載したが、先の記載は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を説明することを意図するものであって、限定するものではない。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法であって、前記真菌を有効量の
(a)抗真菌薬と、
(b)式I:
【化1】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキル)と接触させ、これによって、前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項2】
前記増強剤化合物が前記抗真菌薬の活性を増強する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法であって、前記真菌を、有効量の
(a)抗真菌薬と、
(b)式Ia:
【化2】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と接触させ、これにより前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項5】
前記化合物が
【化3】

である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が
【化4】

である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が
【化5】

である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が
【化6】

である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記増強剤化合物が前記抗真菌薬の活性を増強する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法であって、前記真菌を
(a)抗真菌薬と、
(b)式Ib:
【化7】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と接触させて、これにより前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項12】
前記化合物が
【化8】

である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が
【化9】

である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記増強剤化合物が前記抗真菌薬の活性を増強する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
これを必要とする対象における真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に、有効量の
(a)抗真菌薬を、
(b)有効量の1以上の式I:
【化10】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって前記真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項17】
前記増強剤化合物が抗真菌薬の活性を増強する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
これを必要とする対象における真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に、有効量の
(a)抗真菌薬を、
(b)有効量の1以上の式Ia:
【化11】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって前記真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項20】
前記化合物が
【化12】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が
【化13】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が
【化14】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が
【化15】

である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記増強剤化合物が前記抗真菌薬の活性を増強する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
これを必要とする対象における真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に、有効量の
(a)抗真菌薬を
(b)有効量の1以上の式Ib:
【化16】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物
(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて投与し、これによって前記真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項27】
前記増強剤化合物が、前記抗真菌薬の活性を増強する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記増強剤化合物が抗真菌薬化合物でない、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
これを必要とする対象における再発性膣炎を治療または予防する方法であって、前記対象に有効量の
(a)ミコナゾールを、
(b)有効量の増強剤化合物1:
【化17】

と組み合わせて投与し、これによって前記対象における再発性膣炎を治療することを含む、方法。
【請求項30】
これを必要とする対象において口腔カンジダ症を治療または予防する方法であって、前記対象に有効量の
(a)ミコナゾールを、
(b)有効量の増強剤化合物1:
【化18】

と組み合わせて投与し、これによって前記対象における口腔カンジダ症を治療することを含む、方法。
【請求項31】
医療装置の真菌感染を処理する方法であって、前記装置に有効量の
(a)ミコナゾールを、
(b)有効量の増強剤化合物1:
【化19】

と組み合わせて適用し、これによって真菌感染を処理することを含む、方法。
【請求項32】
真菌の成長を阻害するか、または真菌を殺す方法であって、前記真菌を
【化20】

と接触させ、これによって前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項33】
これを必要とする対象において真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に有効量の
【化21】

を投与し、これによって前記真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項34】
これを必要とする対象において再発性膣炎を治療または予防する方法であって、前記対象に、有効量の増強剤化合物1:
【化22】

化合物1
を投与し、これによって前記対象における再発性膣炎を治療することを含む、方法。
【請求項35】
これを必要とする対象において口腔カンジダ症を治療または予防する方法であって、前記対象に有効量の増強剤化合物1:
【化23】

化合物1
を投与し、これによって対象における口腔カンジダ症を治療することを含む、方法。
【請求項36】
医療装置の真菌感染を処理する方法であって、前記装置に有効量の増強剤化合物1:
【化24】

化合物1
を投与し、これによって前記装置の真菌感染を処理することを含む、方法。
【請求項37】
シー・アルビカンス真菌の成長を阻害するか、シー・アルビカンス真菌を殺す方法であって、有効量の
(a)抗真菌薬と、
(b)式I:
【化25】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と前記真菌を接触させ、これによって前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項38】
シー・アルビカンス真菌の成長を阻害するか、シー・アルビカンス真菌を殺す方法であって、有効量の
(a)抗真菌薬と、
(b)式Ia:
【化26】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH,−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と前記真菌を接触させ、これにより前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項39】
シー・アルビカンス真菌の成長を阻害するか、シー・アルビカンス真菌を殺す方法であって、前記真菌を
(a)抗真菌薬および
(b)式Ib:
【化27】

の1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH,−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)と組み合わせて接触させ、これによって前記真菌の成長を阻害するか、または前記真菌を殺すことを含む、方法。
【請求項40】
これを必要とする対象においてシー・アルビカンス真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に、有効量の
(a)抗真菌薬を、
(b)有効量の式I:
【化28】

1以上の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)
と組み合わせて投与して、これにより前記真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項41】
これを必要とする対象においてシー・アルビカンス真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に、有効量の
(a)抗真菌薬を
(b)有効量の1以上の式Ia:
【化29】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)
と組み合わせて投与し、これにより真菌感染症を治療することを含む、方法。
【請求項42】
これを必要とする対象においてシー・アルビカンス真菌感染症を治療する方法であって、前記対象に有効量の
(a)抗真菌薬を、
(b)有効量の1以上の式Ib:
【化30】

の増強剤化合物またはその薬剤的に許容される塩、水和物、および溶媒和物(式中、各Rは独立して−OH、−OC(O)H、−OC(O)アルキル、−NH、−NH−アルキル、−N(アルキル)、−NH−アミノ酸、−NHC(O)アルキル、−NHC(O)アリール、−NH(S(O))アルキル(前記アルキルは場合によって置換されている)、−NH(S(O))アリール(前記アリールは場合によって置換されている)、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換された5員ヘテロアリール、または場合によってアルキル、ハロゲン、OH、NH、もしくはカルボニルで置換された5員もしくは6員複素環、またはアルキル、場合によってアルキル、ハロゲン、OH、もしくはNHで置換されたアルキルである)
と組み合わせて投与し、これによって前記真菌感染症を治療することを含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−518228(P2011−518228A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506420(P2011−506420)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/041403
【国際公開番号】WO2009/132101
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510280464)ノースイースタン・ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】