説明

眼投与用局所メカミルアミン製剤およびその使用

メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の眼への局所投与を用い、増殖性網膜症、例えば、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑症、未熟児網膜症、黄斑浮腫に関連する網膜症または鎌形赤血球症に関連する網膜症に関連する症状をはじめとする、眼の後部組織および/または前部組織および液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状を治療および/または予防するための方法、医薬製剤およびそのキットが提供される。それらの医薬製剤を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年11月17日出願の米国仮出願特許第60/859,582号、2006年8月17日出願の米国仮出願特許第60/838,605号及び2005年12月19日出願の米国仮出願第60/751,808号の優先権を主張するものである。なお、これらの開示内容は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
加齢性黄斑変性(AMD)は、北米やヨーロッパの高齢者で不可逆的な重度の視力低下の主因である(Arch Ophthalmol. (2004), 1122: 564-72; Olejnikら, (2005) Adv. Drug. Dev. Rev. 57: 1991-1993; Kulkarniら, (2005) Adv. Drug. Dev. Rev. 57: 1994-2009; Gryziewicz (2005) Adv. Drug. Dev. Rev. 57: 2092-2098参照)。AMDには、非血管新生型(ドライ型または非滲出型としても知られる)と血管新生型(ウェット型または滲出型)の2形態がある。多くはないが、血管新生型は失明の主な原因となっている。血管新生型AMDでは、新たに作り出された異常な血管が網膜の中心の下で成長し(脈絡膜新血管新生と呼ばれるプロセス)、その後、血管漏出と透過性が伴う。これが網膜の瘢痕化に至り、視野の歪みや中心視野の欠落を生じる。いくつかの増殖因子が脈管形成プロセスに関連しているが、VEGF(血管内皮増殖因子)のアイソザイムが一連の事象の中枢となり、新血管新生、脈管形成および血管漏出に至る(Ferraraら Recent Prog Horm Res., (2000), 55: 15-35, discyssion 35-6参照)。ドライ型または非血管新生型の黄斑変性は、血管新生型(「ウェット」)型の黄斑変性の診断に先立って現れる場合が多く、血管新生型の黄斑変性の発生のリスク因子である。血管新生型の黄斑変性を発症するリスクの高い個体は非血管新生型によって引き起こされた広範囲の黄斑変性を有する個体である。
【0003】
動物研究では、VEGFの発現が眼の新血管新生を誘発するのに十分であることを示し(例えば、Tolentinoら, Arch Ophthalmol. 1996, 1114:964-70参照)、一方、そのアンタゴニストはこの効果を低減または排除する(例えば、Adamisら, Arch Ophthalmol., 1996, 1114:66-71参照)。さらに、霊長類モデルにおいて、VEGFの存在は時間的、空間的に眼の新血管新生と相関している(例えば、Millerら Am J. Pathol., 1994, 145: 574-84参照)。増殖性糖尿病性網膜症に続発した眼の新血管新生を有する患者は硝子体のVEGFレベルが高い(例えば、Aielloら N Engl J Med., 1994, 331: 1480-7参照)。
【0004】
滲出性AMDの治療に現在利用可能な物理療法としては、熱レーザー光凝固、光線力学療法およびVEGF受容体アンタゴニストペガプタニブ(pegaptanib)(Macugen(登録商標); Pfizer)の眼内注射による投与があるが、これらは侵襲的であり、網膜剥離、硝子体出血、眼内炎および水晶体の損傷などの重大な副作用を生じ得る(Peymanら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 107-123)。
【0005】
喫煙はヒトのAMDの最も重要な環境的リスク因子であることが示されており(Tomanyら, Ophthalmology, 2004, 111:1280-1287)、受動的喫煙は小児の近視に関連づけられている(Stoneら, (2001) Investigative Ophth. Vis. Sci. 42(3):557-565; Stoneら, (2001) Investigative Ophth. Vis. Sci. 47(10):4277-4287; 米国特許出願第2003-0096831)。実験的動物モデルでは、ニコチンが脈絡膜の新血管新生を高めることが示されており、この作用は内皮細胞上のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の活性化により媒介される(Sunerら, Invest Ophthalmol Vis Sci., 2004, 45(1): 311-317)。このニコチンの前脈管形成作用はnAChRアンタゴニストであるヘキサメトニウムにより遮断されることが示されている。これらの結果は、nAChRの活性化がAMDに関連する病的な脈管形成に大きな役割を果たしていること、そしてこの経路の阻害がこの疾病の進行を抑制し得ることを示唆している。
【0006】
ニコチンはin vitroにおいて、内皮nAChRを、内皮細胞増殖(Villablancaら, J. Appl. Physiol. 1988, 2089-2098)、移動および管形成(Cookeら, J. Clin. Invest., 2002, 110:527-536; 米国特許第6,720,340号、同第6,417,205号)を誘発するよう刺激し、このニコチンの最大作用は喫煙者が到達している濃度と類似の濃度、すなわち、10〜100nMで生じることが報告されている。ニコチンはまた、脈管形成において重要な事象である内皮細胞の移動も高める(米国特許第6,720,340号、同第6,417,205号; WO 01/08684; WO 01/08683)。内皮細胞の移動を高めるこのニコチンの作用は、米国食品医薬品局により、高血圧症の治療における使用に既に認可されている既知のnAChRアンタゴニスト、メカミルアミン(mecamylamine)によって遮断されることができる。内皮nAChRと拮抗するメカミルアミンなどの薬剤は、血管新生型または滲出性AMDなどの異常な脈管形成を特徴とする疾病の治療に使用するための薬剤の新規なクラスに相当し得る(WO 03/068208; 米国特許出願第2003/0216314号)。
【0007】
増殖性網膜症をもたらす異常な脈管形成および/または新血管新生は、眼や視力に影響を及ぼす他の重篤な症状を媒介すると考えられている。例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症(WO 03/068208; 米国特許出願第2003/0216314号)および鎌形赤血球症に関連する網膜症をはじめとする症状は各々、異常な脈管形成、新血管新生またはその組合せに関連していると考えられている。
【0008】
メカミルアミンは1950代の終わりから高血圧症の治療向けに販売されている。正常血圧の被験者では、メカミルアミンは心拍数の上昇とともに起立性低血圧症を引き起こす可能性がある。メカミルアミン全身投与に関連する、よく報告されている有害作用としては、便秘、口渇、調節障害による視朦、弱視、疲れ目、毛様体筋麻痺、散瞳(瞳孔の拡張(dilated pupil))、性欲低下、および尿貯留、ならびに振戦、睡眠過剰、鎮静、痙攣、発作、舞踏病様の動き、不眠症、精神異常、鬱病および精神機能の変化などのCNS障害が挙げられる。
【0009】
メカミルアミン、特にメカミルアミンの全身送達に関連するこれらの用量限定的な副作用という点で、眼の組織へのメカミルアミンの標的化送達、例えば、眼の表面への局所送達は極めて望ましく、神経節遮断の全身性副作用を完全には排除しないとしても軽減することができる。さらに、増殖性網膜症に関連する症状を治療するための眼内注射の使用を避ける治療方法および製剤は、おそらくは治療計画に対する患者のコンプライアンスを高めるとともに、局所麻酔下での注射投与に関連するコストを低減し、注射自体が招く患者の不快感および眼内注射に関連する合併症を低減する(Peymanら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 107-123; Tojoら (2001) Adv. Drug. Delivery Rev. 52: 17-24)。
【0010】
よって、治療上有効なメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の局所的眼投与を利用する方法および製剤は、有効性、コスト、副作用、合併症および患者の快適性という観点から多くの利点を有する。乳児の眼が小さいこと、免疫系が未熟なこと、およびこのような注射によって起こる外傷を含むいくつかの要因のために、未熟児では薬剤の副作用、眼内注射に関連する困難および合併症が増えるので、このような利点は未熟児網膜症の治療にいっそう重要である。
【0011】
第1の上手くいく局所眼用製剤は、緑内障の治療に用いられるβ遮断薬であるチモロール(timolol)のin situゲル製剤であった。このゲル製剤はMerck & CoによりTIMOPTIC(登録商標)として市販されており、チモロールと、元々培養培地や食品で用いるゲル化剤として開発されたゲランガム主体のゲルであるGELRITE(登録商標)ゲルとの製剤である(米国特許第4,861,760号)。他のゲル主体の局所眼用製剤としては、キサンタンガム主体のゲル(米国特許第6,174,524号および同第6,264,935号(緑内障の治療用製剤も開示している)がある。他の眼用製剤としては、活性な薬剤と複合体を形成するポリマーまたは成分などの種々の成分がある(例えば、米国特許第6,159,458、米国特許出願第2005/0084534号、同第2005/0031697号、同第2005/0255144号参照)。米国特許第6,174,524号はまた、チモロール、抗炎症薬、増殖因子、免疫抑制薬および他の抗緑内障薬との使用を提案している。一部には、これらの製剤の成功は、緑内障が眼の前部領域に影響を及ぼす症状であるため治療の標的領域によるものであり、従って、効果的であるためには、薬剤は眼の後部領域に達する必要はなく、それにより、眼内の他の構造を通り抜けたり、眼内のクリアランス機構に長時間曝される必要がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、TIMOPTIC(登録商標)が成功を収め、当技術分野で集約的に研究されているにもかかわらず、他の薬剤の局所眼用製剤の開発、特に、脈絡膜および網膜などの後部組織を含む眼の後部領域に治療上有効量の薬剤を送達し得る製剤の開発は難しく、予測できない。
【0013】
長年、研究者らは、薬剤が一般には眼に、特には眼の後部領域(例えば、網膜および/または脈絡膜)に送達される種々の機構を特定する試みを行ってきた。検討領域としては、種々の眼の組織および液体(例えば、網膜色素上皮、角膜、網膜、脈絡膜、結膜、硝子体、眼房水など)のバリア機能(例えば、トランスメンブランフラックスなど)、クリアランス経路(例えば、種々の眼の組織および/または液体からのクリアランス)、涙の排出、前角膜涙液層、全身吸収、血液-眼障壁(眼の裏からの)、反射性催涙(reflex tearing)などによるクリアランスが挙げられる(例えば、Peymanら, ibid; Langら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 39-43; Deyら (2005) Expert Opin. Drug Deliv. 2(2):201-204; Jarvinenら (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16:3-19; Pitkanenら, (2005) Investigative Ophthalmol. Vis. Sci. 46(2): 641-646)。眼の後部領域に有効量の薬剤を送達するために、特定の薬剤がこれら1以上の障壁を通って十分吸収可能かどうか、また、外因性物質を眼から取り除くプロセスによる排除を回避可能かどうかは、薬剤自体の物理化学的特性(例えば、大きさ、構造、イオン/電荷状態、親油性、親水性など)ならびに投与される製剤中の薬剤と各成分の相互作用および非薬剤性の調剤成分の特徴(例えば、粘度、pH、イオン化傾向など)を含む多くの因子によって異なる(例えば、Langら, (1995) ibid; Deyら (2005) 同書参照)。このような多くの因子はin vitroでの正確なモデル化が難しく、どの薬剤またはどの種の薬剤が眼の後部領域への局所投与用に首尾よく開発できるかという指針または予測を立てることを阻んできたことは驚きに値しない。in vivoモデル研究でさえ厳密に行うのは難しく、矛盾した結果に至るおそれがある(Maurice (2002) Survey of Ophthalmology 47(Supp. 1): S41-S52)。よって、眼の後部組織に影響を及ぼす増殖性網膜症に関連する症状に対する局所
的治療薬はまだ市販されていないと言っても少しも意外でない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
全く予期されないことに、局所投与眼用製剤の開発の成功に関連する難しさおよび予測不可能性という点で、メカミルアミンが、局所投与用に製剤化された場合、眼の後部組織(例えば、網膜、脈絡膜)における脈管形成および/または異常な新血管新生、例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性による網膜新血管新生などを含む増殖性網膜症が介在する眼の症状の治療または予防のために治療上有効であると考えられる量で眼の後部組織に送達可能であるということが見出され、さらに本明細書に記載される。いっそう驚くべきことに、局所的眼送達によるメカミルアミンの投与の結果、血漿中(および赤血球中)のメカミルメカミルアミンが優先的に送達される。
【0015】
本明細書に記載の製剤および方法はまた、目的とする眼の他の組織および眼の液体(これらもまた新血管新生、異常な脈管形成またはその組合せによって影響を及ぼされる可能性がある)にメカミルアミンを送達するために使用可能である。眼の目的組織としては、角膜新血管新生、翼状片、角膜移植後新血管新生、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障などの脈管形成性障害により影響を受けた場合の眼の前部組織、ならびに加齢性黄斑変性または糖尿病性網膜症などの眼の液体、網膜または脈絡膜組織に影響を及ぼす脈管形成性障害により影響を受けた場合の眼の後部組織が含まれる。
【0016】
メカミルアミンの全身投与(例えば、非経口(例えば静脈内など)または経口)に関連する多くの十分記載されている副作用の点で、局所的眼投与の場合に見られた血漿中のメカミルアミンが低レベルで後部組織および前部組織(そこに本明細書に記載の症状が発現する)中のメカミルアミンが高レベルであったことは、全身投与に関連する副作用が、局所投与される場合のメカミルアミンの治療的用量では大幅に軽減されるか、または存在しないことを示唆し、これらの結果は以下および実施例で詳細に記載される非ヒト動物モデルおよびヒトに対する臨床試験からの結果により裏付けられる。特定のゲル形成ポリマーを用いて製剤化した場合、メカミルアミンのこれらの特徴はさらに増強可能であり、目的組織へ定着するメカミルアミンの相対量を優先的に高めつつ、血漿中のメカミルアミンの量をさらに最小化するが、これまでのデータは、溶液製剤(ゲル形成成分/ポリマー成分を含まない)はヒトを含む動物において十分耐用性があり、目的組織に対して本明細書に記載の症状の治療および/または予防に用いるのに有効なレベルのメカミルアミンをもたらすことを示唆する。
【0017】
病的または望ましくない脈管形成(WO03/068208;米国特許第2003/0216314)を低減する上で有効であることが示されているメカミルアミンを治療上有効量で眼に局所的(眼局部的)、部位特異的様式で投与できる利点は多く、メカミルアミンの眼内注射を通常含む現行の標準的医療と全身(例えば、経口、静脈内)投与の双方で一目瞭然である。患者は眼内に与えられる薬剤の投与に伴うものよりも不快感や痛みを感じることは少ないだけでなく、眼内注射に関連する合併症がなく、メカミルアミンに特異的な副作用は最小限となるか、または無くなり、合併症および複雑な眼内投与の双方に関連する医療コストが低減され、これらの利点に関して、患者のコンプライアンスもおそらくは高まる。よって、本明細書に記載の症状の治療および/または予防を目的とする眼の後部領域へメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を送達するために有効な方法および製剤が極めて有益であり、現在必要とされているのは明らかである。この製剤はまた、角膜新血管新生、翼状片、角膜移植後新血管新生、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障などの眼の前部組織の脈管形成性障害の治療に有効である可能性がある。
【0018】
発明の簡単な概要
本発明では、医薬製剤を含む局所的眼送達用に製剤化されたメカミルアミンの製剤、キットならびにこれらの製剤の製造方法および使用方法が提供される。
【0019】
一態様では、眼の後部組織、前部組織または液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用する(ここで、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の後部組織、前部組織または液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の後部組織または前部組織または液体の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する)こと(ステップa)を含む方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、眼の後部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用する(ここで、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の後部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の後部組織の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する)こと(ステップa)を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、前記症状には網膜新血管新生が介在する。ある特定の実施形態では、前記症状には脈絡膜新血管新生が介在する。ある特定の実施形態では、前記症状は増殖性網膜症である。
【0021】
ある特定の実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])は少なくとも約40:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約80:1である。他では、この比は少なくとも約300:1である。特定の実施形態では、この比は約40:1〜約1000:1である。いくつかの実施形態では、この比は約40:1〜約1500:1である。いくつかの実施形態では、この比は約40:1〜約2000:1である。
【0022】
ある特定の実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])は少なくとも約20:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約25:1、約30:1または約35:1である。特定の実施形態では、この比は約20:1〜約1000:1である。いくつかの実施形態では、この比は約20:1〜約1500:1である。いくつかの実施形態では、この比は約20:1〜約2000:1である。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/g-hrの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中のメカミルアミンの濃度と、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/g-hrの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([メカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織(ng/g-hr)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL-hr)]は少なくとも約100:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約50:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約80:1、少なくとも約90:1、または少なくとも約100:1である。
【0024】
いくつかの実施形態では、眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用する(ここで、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の前部組織または液体の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する)ことを含む方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される角膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([ng/gメカミルアミン角膜組織]:[ng/mL血漿])は少なくとも約100:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約800:1である。ある特定の実施形態では、この比は少なくとも約1000:1である。いくつかの実施形態では、1500:1である。いくつかの場合、この比は約100:1〜約4000:1である。ある特定の実施形態では、この比は約100:1〜約3000:1である。いくつかの場合、この比は約1000:1〜約4000:1である。ある特定の実施形態では、この比は約1000:1〜約3000:1である。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/g-hrの単位で測定される角膜中のメカミルアミンの濃度と、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/g-hrの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([メカミルアミン角膜(ng/g-hr)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL-hr)]は少なくとも約100:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約800:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも約1000:1または少なくとも約1500:1である。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/mLの単位で測定される眼房水中のメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([メカミルアミン眼房水(ng/mL)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL)]は少なくとも約50:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約70:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも約100:1または少なくとも約150:1である。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/mL-hrの単位で測定される眼房水中のメカミルアミンの濃度と、曲線下面積(AUC)として測定され、ng/mL-hrの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([メカミルアミン眼房水(ng/mL-hr)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL-hr)]は少なくとも約50:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約90:1である。いくつかの実施形態では、少なくとも約100:1または少なくとも約150:1である。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約50ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約25ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約10ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約5ng/mL未満である。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積として測定される血漿中のメカミルアミンの総濃度は約100ng/mL-hr未満である。いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積として測定される血漿中のメカミルアミンの総濃度は約85ng/mL-hr未満である。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記担体は水を含む。ある特定の実施形態では、製剤は界面活性剤を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は1種類以上の保存剤または界面活性剤をさらに含む。これらの実施形態の特定のものでは、製剤は保存剤を含む。いくつかの実施形態では、保存剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀および酢酸フェニル水銀からなる群から選択される。特定の実施形態では、保存剤は塩化ベンザルコニウムである。いくつかの実施形態では、担体は1種類以上の等張化剤を含む。特定の実施形態では、この1種類以上の等張化剤はポリオールである。いくつかの実施形態では、このポリオールは糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、この1種類以上の等張化剤はマンニトール、グリセリンまたはその組合せである。いくつかの実施形態では、前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である。特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約50ng/mL未満である。いくつかの実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約25ng/mL未満である。特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約10ng/mL未満である。特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約5ng/mL未満である。いくつかの実施形態では、製剤はまたキレート剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤はまた、キレート剤、1種類以上の保存剤、1種類以上の緩衝剤、1種類以上の等張化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤はまたキレート剤、1種類以上の保存剤、1種類以上の等張化剤、1種類以上の緩衝剤を含んでもよく、ポリマーを含まない。いくつかの実施形態では、製剤はまたキレート剤、1種類以上の保存剤および1種類以上の等張化剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤はまたキレート剤、1種類以上の保存剤、1種類以上の等張化剤を含んでもよく、ポリマーを含まない。ある特定の実施形態では、担体は増粘剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この増粘剤は水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および可溶性デンプンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、この増粘剤は水溶性セルロース誘導体である。いくつかの実施形態では、この増粘剤はヒプロメロース(hypromellose)である。いくつかの実施形態では、製剤は実質的にポリマーを含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水溶液の粘度とほぼ同じである。これらの実施形態の特定のものでは、製剤は等張である。いくつかの実施形態では、製剤は界面活性剤を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はキレート剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、このキレート剤はエデト酸二ナトリウム(二水和物)である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0032】
いくつかの実施形態では、製剤はメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)、キレート剤、および保存剤を含み、担体は水である。ある特定の実施形態では、保存剤は塩化ベンザルコニウムであり、キレート剤はエデト酸二ナトリウム(二水和物)である。いくつかの実施形態では、製剤はメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)、キレート剤、1種類以上の緩衝剤および保存剤を含み、担体は水である。これらの実施形態のいくつかのものでは、保存剤は塩化ベンザルコニウムであり、緩衝剤はリン酸水素ナトリウム一水和物およびリン酸二水素ナトリウム七水和物であり、キレート剤はエデト酸二ナトリウム(二水和物)である。いくつかの実施形態では、製剤は塩(例えばNaCl)をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は約0.01%〜約4%メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約0.01%〜約3%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約0.01%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約0.3%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。いくつかの実施形態では、約1%のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)(w/v)を含む。これらの実施形態の特定のものでは、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、増粘剤など)を実質的に含まない。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水溶液の粘度とほぼ同じである。
【0033】
いくつかの実施形態では、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、製剤は約0.001%〜約5%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.001%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約4%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約2%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.05%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、担体は水性等張性溶液であり、製剤はキレート剤および保存剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、製剤はまた1種類以上の緩衝剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、増粘剤など)を実質的に含まない。特定の実施形態では、製剤は増粘剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水溶液の粘度とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、この増粘剤は、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および可溶性デンプンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、この増粘剤は水溶性セルロース誘導体である。いくつかの実施形態では、この増粘剤はヒプロメロースである。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.001%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水溶液の粘度とほぼ同じである。
【0035】
いくつかの実施形態では、製剤は1種類以上の緩衝剤を含んでもよい。ある特定の実施形態では、1種類以上の緩衝剤は、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、マレイン酸バッファー、ホウ酸バッファーおよびその組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、緩衝剤はリン酸バッファーである。いくつかの実施形態では、2種類のリン酸バッファーの組合せである。特定の実施形態では、担体は増粘剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、増粘剤はヒプロメロースである。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。ある特定の実施形態では、約0.001%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。ある特定の実施形態では、約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。
【0036】
いくつかの実施形態では、担体は生理食塩水を含む。特定の実施形態では、この生理食塩水は等張である。
【0037】
ある特定の実施形態では、担体は約0.03%〜約2%(w/v)のゲル形成ポリマーと水を含み、このゲル形成ポリマーは、製剤がウサギの眼に局所投与される場合に、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約300:1となるように選択される。いくつかの実施形態では、製剤は局所的眼投与の前にゲル化される。他の実施形態では、製剤は局所的眼投与時にin situ(その場)でゲルを形成する。特定の実施形態では、このゲル形成ポリマーは多糖類である。ある特定の実施形態では、この多糖類はゲランガムである。いくつかの実施形態では、製剤がウサギの眼に局所投与される場合、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である。いくつかの実施形態では、50ng/mL未満である。いくつかの実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約25ng/mL未満である。特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約10ng/mL未満である。特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約5ng/mLである。いくつかの実施形態では、担体は1種類以上の等張化剤をさらに含む。特定の実施形態では、1種類以上の等張化剤はポリオールである。いくつかの実施形態では、このポリオールは糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、1種類以上の等張化剤はマンニトール、グリセリンまたはその組合せである。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.001%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。ある特定の実施形態では、約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。
【0038】
ある特定の実施形態では、担体は約0.05%〜約2%(w/v)のゲランガムを含む。特定の実施形態では、担体は約0.1%〜約1%(w/v)のゲランガムを含む。いくつかの実施形態では、担体は約0.1%〜約0.6%(w/v)のゲランガムを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、製剤は界面活性剤を実質的に含まない。
【0040】
特定の実施形態では、製剤は1種類以上の保存剤または界面活性剤をさらに含む。
【0041】
ある特定の実施形態では、製剤は保存剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、この保存剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀である。いくつかの実施形態では、この保存剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0042】
ある特定の実施形態では、担体は増粘剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この増粘剤は、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および可溶性デンプンからなる群から選択される。 ある特定の実施形態では、この増粘剤は水溶性セルロース誘導体である。いくつかの実施形態では、この増粘剤はヒプロメロースである。
【0043】
いくつかの実施形態では、製剤キレート剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、このキレート剤はエデト酸二ナトリウム(二水和物)である。
【0044】
いくつかの実施形態では、担体は1種類以上の等張化剤をさらに含む。特定の実施形態では、1種類以上の等張化剤はポリオールである。いくつかの実施形態では、このポリオールは糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、1種類以上の等張化剤はマンニトール、グリセリンまたはその組合せである。
【0045】
特定の実施形態では、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、製剤は約0.001%〜約5%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。これらの実施形態の特定のものでは、担体は約0.05%〜約1%(w/v)のゲランガムと水を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、製剤はメカミルアミンの製薬上許容される塩を含む。特定の実施形態では、このメカミルアミンの塩はメカミルアミン塩酸塩である。
【0047】
いくつかの実施形態では、個体は、眼の後部組織の網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する1以上の症状(眼の増殖性網膜症に関連する症状)を有すると特定されている。いくつかの実施形態では、個体は非血管新生型の黄斑変性を有すると特定されている。特定の実施形態では、個体は眼の後部組織の網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生、新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する1以上の症状(眼の増殖性網膜症に関連する症状)に罹患しやすいと特定されている。いくつかの実施形態では、個体は非血管新生型の黄斑変性に罹患しやすいと特定されている。
【0048】
ある特定の実施形態では、症状は糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性のよる網膜新血管新生、黄斑浮腫に関連する網膜症または鎌形赤血球症に関連する網膜症である。特定の実施形態では、症状は糖尿病性網膜症である。他の実施形態では、症状は未熟児網膜症である。さらに他の実施形態では、症状は黄斑変性による網膜新血管新生である。別の実施形態では、症状は加齢性黄斑症である。さらに別の実施形態では、症状は加齢性黄斑変性である。特定の実施形態では、この加齢性黄斑変性は血管新生型(例えば、ウェット型)の加齢性黄斑変性である。
【0049】
いくつかの実施形態では、症状は眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連しているか、または眼の前部組織と後部組織の双方に影響を及ぼす異常な脈管形成を含む症状である。いくつかの実施形態では、症状は眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連する。ある特定の実施形態では、症状は角膜新血管新生、翼状片、角膜移植後新血管新生、虹彩ルベオーシスまたは血管新生緑内障である。いくつかの実施形態では、症状は眼腫瘍である。
【0050】
ある特定の実施形態では、症状は硝子体、網膜または脈絡膜新血管新生を含む。いくつかの実施形態では、症状は眼腫瘍である。
【0051】
いくつかの実施形態では、症状は眼の前部組織と後部組織の双方に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連する。いくつかの実施形態では、症状は眼腫瘍である。
【0052】
いくつかの実施形態では、個体は哺乳類である。ある特定の実施形態では、哺乳類は霊長類、ウサギ、イヌ、ネコまたは齧歯類である。特定の実施形態では、この哺乳類は霊長類である。ある特定の実施形態では、この霊長類はヒトである。いくつかの実施形態では、この個体は眼の成長を受けていない。いくつかの実施形態では、この個体は成体である。
【0053】
ある特定の実施形態では、症状は未熟児網膜症であり、個体はヒトである。
【0054】
いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが網膜に送達される。
【0055】
特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが脈絡膜に送達される。
【0056】
ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが網膜と脈絡膜に送達される。
【0057】
いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが角膜、虹彩、小柱網、強膜または水晶体に送達される。
【0058】
ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが角膜に送達される。
【0059】
ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜に送達される。
【0060】
ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが水晶体に送達される。
【0061】
いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが虹彩に送達される。
【0062】
ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが小柱網に送達される。
【0063】
ある特定の実施形態では、症状は眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連する症状であるか、または眼の前部組織と後部組織の双方に影響を及ぼす異常な脈管形成を含む症状である。いくつかの実施形態では、症状は眼腫瘍である。
【0064】
いくつかの実施形態では、症状は角膜新血管新生、翼状片、角膜移植後新血管新生、虹彩ルベオーシスまたは血管新生緑内障である。
【0065】
いくつかの実施形態では、適用は1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、2日に1回、週に1回、または週に2回行われる。特定の実施形態では、適用は1日に1回または1日に2回行われる。
【0066】
いくつかの実施形態では、これらの方法は工程(b)をさらに含み、工程(b)は個体に有効量の医薬剤(メカミルアミン以外)、付加的物理療法、または前者の組合せを投与することを含む。工程(b)は工程(a)の前に、または工程(a)と並行して、または工程(a)の後に行うことができる。そして、いくつかの変形形態では、工程(b)は2回以上(例えば、2回、3回など)、(例えば、工程(a)の前後、工程(a)と並行と後の双方、工程(a)の前と並行の双方など)行うことができる。例えば、ある特定の変形形態では、工程(b)は工程(a)の前または工程(a)と並行して行うことができる。他の実施形態では、工程(b)は工程(a)と並行して、または工程(a)の後に行うことができる。さらに他の変形形態では、工程(b)は工程(a)の前または後に行うことができる。特定の変形形態では、工程(b)は工程(a)の前に行うことができる。いくつかの変形形態では、工程(b)は工程(a)と並行して行うことができる。ある特定の変形形態では、工程(b)は工程(a)の後に行うことができる。工程(b)が医薬剤および付加的物理療法の組合せの投与を含む場合、各々は独立に工程(a)の前、または工程(a)と並行して、または工程(a)の後に投与することができる。特定の実施形態では、工程(b)は医薬剤を含む。ある特定の実施形態では、この医薬剤は 抗VEGF抗体またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態では、この抗VEGF抗体はベバシズマブ(bevacizumab)、ラニミズマブ(ranibizumab)、またはその組合せである。いくつかの実施形態では、この医薬剤はVEGFアンタゴニストである。特定の実施形態では、このVEGFアンタゴニストはVEGFアプタマーである。これらの実施形態の特定のものでは、このVEGFアプタマーはペガプタニブ(pegaptanib)である。いくつかの実施形態では、この医薬剤はチロシンキナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、この医薬剤はVEGFスカベンジャー(例えば、VEGFTRAPなど)である。いくつかの実施形態では、この医薬剤は非ステロイド系抗炎症薬である。いくつかの実施形態では、この医薬剤はプロスタグランジン受容体アンタゴニストである。いくつかの変形形態では、この医薬剤はVEGFスカベンジャー、VEGFアンタゴニストまたはチロシンキナーゼ阻害剤である。
【0067】
特定の実施形態では、工程(b)は熱レーザー光凝固または光線力学療法を含む。ある特定の実施形態では、工程(b)は光線力学療法を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)は熱レーザー光凝固を含む。
【0068】
別の態様では、メカミルアミンの眼局所送達のための医薬製剤が提供される。よって、いくつかの実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩、水およびゲル形成ポリマーを含む局所的眼投与用の医薬製剤が提供され、このゲル形成ポリマーは、ウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約300:1となるように選択される。
【0069】
ある特定の実施形態では、この比は約300:1〜約1000:1である。特定の実施形態では、この比は少なくとも約350:1である。
【0070】
いくつかの実施形態では、製剤がウサギの眼に局所投与される場合、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約50ng/mL未満である。いくつかの実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約25ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約10ng/mL未満である。ある特定の実施形態では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約5ng/mL未満である。
【0071】
いくつかの実施形態では、製剤は約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、製剤は約0.001%〜約5%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、約0.001%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約4%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。いくつかの実施形態では、約0.03%〜約2%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。ある特定の実施形態では、約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。ある特定の実施形態では、約0.05%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩である。
【0072】
いくつかの実施形態では、このゲル形成ポリマーは約0.03%〜約2%(w/v)の濃度で存在する。
【0073】
特定の実施形態では、製剤は局所的眼投与の前にゲルである。これらの実施形態のいくつかのものでは、このゲル形成ポリマーは多糖類である。
【0074】
ある特定の実施形態では、製剤は局所的眼投与の際にin situでゲルを形成する。これらの実施形態の特定のものでは、このゲル形成ポリマーは多糖類である。いくつかの実施形態では、この多糖類はゲランガムである。ある特定の実施形態では、このゲル形成ポリマーは、約0.05%〜約2%(w/v)の濃度で存在するゲランガムである。他では、このゲランガムは約0.1%〜約1%(w/v)の濃度で存在する。さらに他のものでは、このゲランガムは約0.1%〜約0.6%(w/v)の濃度で存在する。
【0075】
ある特定の実施形態では、製剤は界面活性剤を実質的に含まない。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は保存剤を含む。
【0076】
ある特定の実施形態では、製剤は1種類以上の保存剤または界面活性剤を含む。特定の実施形態では、製剤は保存剤を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、担体は1種類以上の等張化剤をさらに含む。特定の実施形態では、この1種類以上の等張化剤はポリオールである。いくつかの実施形態では、このポリオールは糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態では、この1種類以上の等張化剤はマンニトール、グリセリンまたはその組合せである。
【0078】
ある特定の実施形態では、保存剤が存在する場合、この保存剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチル アルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀の1種類以上であり得る。ある特定の実施形態では、この保存剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0079】
いくつかの実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は約0.001%〜約6%(w/vol)の濃度で存在する。特定の実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は約0.001%〜約5%(w/vol)の濃度で存在する。これらの実施形態の特定のものでは、このゲル形成ポリマーは約0.05%〜約1%(w/v)の濃度で存在するゲランガムである。
【0080】
ある特定の実施形態では、製剤はメカミルアミンの製薬上許容される塩を含む。特定の実施形態では、このメカミルアミンの塩はメカミルアミン塩酸塩である。
【0081】
いくつかの変形形態では、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、実質的に純粋なS-メカミルアミンとして製剤中に配合される。いくつかの変形形態では、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、実質的に純粋なR-メカミルアミンとして製剤中に配合される。
【0082】
いくつかの実施形態では、製剤はまた本明細書に記載の医薬剤も含む。
【0083】
さらに別の態様では、本明細書に記載の局所的眼用メカミルアミン製剤を含むキットが提供される。本明細書に記載の製剤はいずれも本発明のキットに含まれ得ることが意図される。
【0084】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の局所的眼用メカミルアミン製剤、パッケージングおよび使用説明書を含むキットが提供される。
【0085】
ある特定の実施形態では、製剤は多用量形態で提供される。
【0086】
特定の実施形態では、製剤は1以上の単一の単位用量形態で提供される。
【0087】
いくつかの実施形態では、約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約6か月、約9か月または約1年の期間の治療に十分な製剤が(単位用量か多用量形態のいずれかで)提供される。特定の実施形態では、約3か月間に十分な製剤が提供される。他の実施形態では、約1か月間または2か月間に十分な製剤が提供される。
【0088】
いくつかの実施形態では、これらのキットは1種類以上の医薬剤(非メカミルアミン医薬剤)を含む。ある特定の実施形態では、これらのキットは1種類以上の非メカミルアミンニコチン性アセチルコリン受容体アンタゴニストを含み得る。特定の実施形態では、この医薬剤はメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の医薬製剤とは別の容器で提供される。
【0089】
本発明の別の態様では、メカミルアミンの局所的眼用製剤を製造する方法が提供される。これらの方法は一般にメカミルアミンと担体成分(ゲル形成ポリマーを含む)を所望の濃度の各成分を含む製剤を製造するのに十分な量で混合することを含む。
【0090】
特定の実施形態では、(a)ゲル形成ポリマーをメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液中に分散させる工程;(b)工程(a)で形成された混合物を混合して溶液またはゲルを形成させる工程;および(c)工程(b)で形成された溶液またはゲルを平衡化させる工程を含む、ゲル形成ポリマーを含む局所的眼用製剤の製造方法が提供される。いくつかの実施形態では、(a)ゲル形成ポリマーをメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液中に分散させる工程と、(b)工程(a)で形成された混合物を混合して溶液またはゲルを形成させる工程を含む、ゲル形成ポリマーを含む局所的眼用製剤の製造方法が提供される。いくつかの実施形態では、この製造方法は、(c)工程(b)で形成された溶液またはゲルを平衡化させる工程をさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液は医薬剤、保存剤または界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、この水溶液はまた保存剤も含む。他では、この水溶液はまた界面活性剤も含む。
【0092】
ある特定の実施形態では、工程(c)で形成された溶液は、局所的眼投与の際にin situでゲルを形成する。
【0093】
他の実施形態では、工程(b)または工程(c)で形成される溶液は局所的眼投与前にゲルである。
【0094】
いくつかの実施形態では、工程(b)における混合は攪拌を含む。
【0095】
特定の実施形態では、工程(b)における混合は加熱を含む。
【0096】
特に断りのない限り、本明細書に記載のメカミルアミンの製剤は本明細書に記載の治療および/または予防方法における使用を意図され、本明細書に記載のキットに配合され得る。本明細書に記載の医薬製剤は、特に断りのない限り、本明細書に記載の製造方法により製造することができる。
【0097】
本発明のさらなる態様では、薬剤の製造における本明細書に記載のメカミルアミンの製剤(例えば、ポリマーを含まない製剤、増粘剤を配合した製剤、ゲル形成ポリマーを配合した製剤などを含む)の使用が提供される。特に、本明細書に記載の症状の治療および/または予防に用いるための薬剤の製造。さらに、本明細書に様々に記載されるその製剤(例えば、ポリマーを含まない製剤、増粘剤を配合した製剤、ゲル形成ポリマーを配合した製剤などを含む)もまた、それらに症状の治療および/または予防において用いるための、文脈上そうではないことが明示されない限り、または具体的に記載されない限り、本明細書に記載の方法に従う薬剤において用いるために意図される。
【0098】
本発明のさらに別の態様では、本明細書に記載の症状の治療および/または予防において用いるための本明細書に記載の製剤(例えば、ポリマーを含まない製剤、増粘剤を配合した製剤、ゲル形成ポリマーを配合した製剤などを含む)が提供される。例えば、本明細書に記載の治療および/または予防のための製剤では、担体は水または生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、担体は水であってよく、製剤はNaClをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤は等張であり得る。いくつかの実施形態では、製剤は低張であり得る。他では、高張であり得る。いくつかの変形形態では、担体はゲル形成ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、担体はin situゲル形成ポリマーである。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、増粘剤などを含む)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなどを含む)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。いくつかの変形形態では、担体は増粘剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
発明の詳細な説明
本明細書では、眼への局所投与用に製剤化されたメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の製剤、ならびにこのような製剤を用いる、眼の前部組織、後部組織および液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状(増殖性網膜症、角膜新血管新生、翼状片、ルベオーシス、角膜移植後新血管新生、硝子体新血管新生、血管新生緑内障などを含む)の治療および/または予防のための方法、これらの製剤を含むキットおよびこれらの製剤の製造方法が提供される。
【0100】
同様に、本明細書ではまた、眼への局所投与用に製剤化されたメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の製剤、ならびにこのような製剤を用いる、眼の後部組織の、網膜または脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状(増殖性網膜症を含む)の治療および/または予防のための方法、これらの製剤を含むキットおよびこれらの製剤の製造方法が提供される。さらにまた、このような製剤を用いる、眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状の治療および/または予防のための方法、これらの製剤を含むキットおよびこれらの製剤の製造方法が提供される。
【0101】
眼の後部組織の新血管新生(網膜および/または脈絡膜)、異常な脈管形成、血管透過性(または前者の2以上の組合せ)が介在する眼の症状、例えば、増殖性網膜症(糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、鎌形赤血球症による網膜症、黄斑浮腫に関連する網膜症および黄斑変性による網膜新血管新生を含む)、ならびに本明細書に記載のさらなる症状は、米国および世界の何百万人という人々に影響を及ぼす、通常、重大な視野欠損、さらには失明をもたらす重篤な症状である。実際に、加齢性黄斑変性は高齢者の失明の主因の1つであり、未熟児網膜症は未熟な状態で生まれた子供に様々な程度の一生の視覚障害をもたらし得る。視覚障害、部分的なまたは完全な視野の欠損または視力の低下はその個体の生活の質に悪影響を及ぼし、しばしば罹患個体の運動、生殖力および自立性を制限する。
【0102】
未熟児網膜症(ROP)は、未熟児に見られる網膜の病的な新血管新生である。この疾病が重篤性は、これらの小児の45〜65%に弱視または失明をもたらすということである(“Cryotherapy for Retinopathy of Prematurity Cooperative Group: 15-year outcomes following threshold retinopathy of prematurity: final results from the multicenter trial of cryotherapy for retinopathy of prematurity” (2005) Arch Ophthalmol. 123: 311-318)。これら1250グラム以下の新生児では、ROPの罹患は多い。Early Treatment for Retinopathy of Prematurity (ETROP)治験では、1250グラム以下の未熟児の68%がROPを発症していた(Early Treatment for Retinopathy of Prematurity Cooperative Group: The incidence and course of retinopathy of prematurity: findings from the early treatment for retinopathy of prematurity study. Pediatrics (2005) 116: 15-23)。残念なことに、初期の自然史研究はほぼ20年前に行われたことから(Palmerら “Incidence and early course of retinopathy of prematurity” (1991) Ophthalmology 98:1628-1640)、ROPの罹患率、発症時期、進行速度、および閾値前疾病の発症時期はほとんど変化していなかった。よって、新たな洞察を得、この疾病に対する新たな治療アプローチを開発する必要がどうしてもある。
【0103】
眼の前部組織に影響を及ぼす脈管形成性障害としては、角膜輪部脈管叢から角膜への血管の病的な延び出しによる、角膜を含む異常な脈管形成が挙げられる。この異常な血管成長は感染、コンタクトレンズの摩耗、外傷、化学火傷、免疫疾患;ブドウ膜炎、緑内障および眼球ろうなどの変性または眼内事象によるものであり得る。典型的な治療は角膜レーザー光凝固と組み合わせることができる局所的コルチコステロイドによるものである。翼状片は結膜の隆起したくさび型の成長である。これは熱帯気候で生活しているか、または太陽の下で長時間過ごしている人に最も多い。症状としては、刺激作用、発赤および催涙が挙げられる。翼状片は組織に血液を供給する細い毛細血管により供給される。いくつかの場合では、この異常な血管結合組織は中心角膜に成長し、視野に影響を及ぼす。典型的な治療としては、人工涙、コルチコステロイドまたは外科手術が挙げられる。虹彩ルベオーシスは通常、糖尿病の合併症であり、虹彩および毛様体における異常な血管成長を含み、緑内障をもたらし得る。治療としては光凝固および低温凝固が挙げられる。
【0104】
これまでに示されているように、局所的眼用製剤の開発は極めて予測不可能であり(Langら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 39-43; Deyら (2005) Expert Opin. Drug Deliv. 2(2): 201-204; Jarvinenら (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 3-19; Maurice (2002) Survey of Ophthamology 47(Supp. 1): S41-S52; Paulsson, M., (2001) "Controlled Release Gel Formulations for Mucosal Drug Delivery" Acta Universitatis Upsaliensis. Comprehensive Summaries of Uppsala Dissertations from the Faculty of Pharmacy 259. 52 pp. Uppsala. ISBN 91-554-5173-X.)、多くの因子に依存する。従って、これまでに、重大な副作用および/または合併症を引き起こさずにこれらの症状を抑制または緩和し得る、有効な非侵襲的薬物療法の開発に成功していないのも驚くことではない。ほとんどの増殖性網膜症に対する現行の薬物療法は一般に眼内注射(Peymanら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 107-123; Tojoら (2001) Adv. Drug. Delivery Rev. 52: 17-24)、例えば、眼の後部領域に送達される薬剤の量を高めることを目的とする結膜下(sub-conjuntival)または硝子体内注射の使用を含む。しかしながら、これらの手順は繰り返し注射する必要があり、そのたび毎に網膜剥離、硝子体出血、眼内炎および水晶体損傷などの合併症のリスクを伴うことを含め、多くの欠点がある。さらに、硝子体内注射はまた一般に、投与者に専門的な訓練が必要であり、局所麻酔を用いる必要もあり(Peymanら, (1995) Adv. Drug. Delivery Rev. 16: 107-123)、従って、治療コストが実質的に上昇する。
【0105】
侵襲性の少ない、例えば局所的送達経路の開発は、眼の複雑性および上記の機構などの、外因性物質を排除するためのその多くの機構によって阻まれてきた。実際に、点眼薬の適用では、適用された薬剤の5%未満が角膜に浸透し、眼内組織に到達するに過ぎない(Jarvinenら, (1995) 同書)。眼の後部領域に対する薬剤の送達およびそれらの製剤に関して報告されているデータは極めて限られ、多くの場合欠陥があると思われ(Maurice (2002) 同書)、従って、局所的眼送達用の特定の薬剤の成功の見込みおよび適性に関する一般化は科学的に合理的でなく、一方、このような送達を可能とする、または促進する特定の製剤の開発のための指針は現在のところ得られていない。
【0106】
しかしながら、驚くことに、これらの困難にもかかわらず、本発明は、本明細書でより詳細に記載されるように、眼の後部組織の、網膜および/または脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せ(例えば、上記のものの2以上の組合せ)が介在する症状(増殖性網膜症を含む)の治療のための、耐用性のある、実際には副作用が最小の、眼の局所投与用のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の製剤を用いる医薬製剤および方法に関する。これらの製剤および方法は生活の質を大きく高めるべきであり、合併症および副作用のリスクが小さいとともに投与コストが低減され、一方、現行で利用可能な薬物療法に比べてコストおよび不快感が小さいためにおそらくは患者のコンプライアンスが高まり、治療コースが首尾よく完了される治療をもたらすというさらなる利点を伴う。
【0107】
実施例でより詳細に記載されるように、所与の用量のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、全身投与(例えば、静脈投与)される所与の量のメカミルアミンに比べ、眼に用いるのに好適な製剤で局所投与される場合に、血漿中に見られるメカミルアミン濃度よりも眼の後部組織(例えば、網膜および脈絡膜)に高い濃度のメカミルアミン優先的に送達する。メカミルアミンの局所的眼投与後には、角膜および他の前部組織(および液体(例えば、眼房水))中にも高濃度のメカミルアミンが存在することも見出されている。
【0108】
この驚くべき結果はまた、全身投与されたメカミルアミンと眼から局所投与されたメカミルアミンの双方で、網膜/脈絡膜組織中のメカミルアミン濃度(ng/g):血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比を比較することによっても示唆することができる。これらの比の比較は実施例6の表6に示されている。表6に記載される明確なデータは実施例2、5および6に記載され、それらの結果は図1〜6にグラフで示されている。
【0109】
特に、図4Aおよび4B/5Aを比較し、表6を検証すれば、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)は、局所投与される場合、メカミルアミンが全身投与される場合(それぞれ短時間注入では約1.4:1、長時間注入では約2.1:1の比)よりも網膜/脈絡膜組織に優先的に送達される(少なくとも約80:1の比(等張溶液))ことを明らかに示す。このようなメカミルアミンの網膜/脈絡膜組織における隔離は当技術分野の研究に関しては予期されないものであり、局所的眼用製剤の開発の成功という点で当技術分野において既知の困難を克服する。すなわち、メカミルアミンは、眼に好適な製剤として局所適用される場合、眼の後部組織に治療上有効な十分高濃度で送達されることができるとともに、多量には眼から排除されたり、全身吸収されたりしない(例えば、血漿中に高濃度で検出されない)。
【0110】
さらに、メカミルアミンは、特定のゲル形成ポリマー(例えば、GELRITE(登録商標)(ゲランガム))とともに製剤化される場合、網膜/脈絡膜:血漿中のメカミルアミン濃度の比はさらに高くなり得、従って、血漿中のメカミルアミンを極めて低レベルに維持しつつ(例えば、副作用の最小化および/または排除を維持しつつ)、本明細書に記載の症状が発現している目的領域(すなわち、眼の後部領域(例えば、網膜および/または脈絡膜))に対するメカミルアミンの優先的送達がさらに増強される。この比の上昇は、表6に示されるように、局所投与用の等張溶液に比べてゲル形成ポリマー担体では予期しないことにいっそう大きくなる。局所適用されるメカミルアミン塩酸塩の等張溶液は、メカミルアミンの組織:血漿濃度が少なくとも約80:1〜約204:1という驚くべき大きな比を示したが、同用量のメカミルアミン塩酸塩のin situゲル形成剤GELRITE(登録商標)(ゲランガム)溶液は少なくとも約497:1の比を示した。
【0111】
比較として、Tanら(J. Glaucoma (2002) 11:134-142)が、眼に1回量のチモロールを局所投与されたラットの網膜および血漿中のチモロールの定着を検討したところ、網膜:血漿中のチモロール濃度比およそ3:1が見られた(図2のおよそ1時間時点を参照)。この比は局所投与されたメカミルアミン等張溶液で現在見られているものの少なくともおよそ25分の1であり、局所投与されたメカミルアミンin situゲル形成溶液で見られる比の少なくとも約165分の1である。よって、特に他の活性剤に関して現在得られるデータを見れば、メカミルアミンに関して得られたデータは全く驚くべきもので、予測できないものである。これまでに述べたように、網膜および血漿における局所適用薬剤の相対的濃度を示すデータは多く報告されてはいないと思われる。
【0112】
眼の前部組織(例えば、角膜)に関して、メカミルアミンはまた、血漿中のメカミルアミン濃度に比べてこれらの組織に高濃度で存在し、この違いは、例えば、角膜組織中のメカミルアミン濃度(ng/g):血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比として表すことができる。一般に、角膜組織中のメカミルアミン濃度は血漿中の濃度よりも少なくとも約1000倍高い(すなわち、[メカミルアミン角膜(ng/g)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL)は少なくとも1000:1])。同様に、眼房水中のメカミルアミン濃度と血漿中のメカミルアミン濃度の比も高く、少なくとも約50:1である(すなわち、[メカミルアミン眼房水(ng/mL)]:[メカミルアミン血漿(ng/mL)は少なくとも50:1である])。3%(w/v)メカミルアミン塩酸塩溶液に関する例示的データが下記表AおよびBに示され、さらなる詳細は実施例に示されている。
【0113】


血漿中に存在するメカミルアミンに比べて眼の組織/液体中へのメカミルアミンの優先的吸収を示すこれらの驚くべきデータはまた、治療上有効量のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)が眼に投与された際(例えば、眼の後部組織に影響を及ぼす症状(例えば、糖尿病性網膜症、ROP、AMDなど)のため、または眼の前部組織に影響を及ぼす症状(例えば、翼状片、角膜、新血管新生、虹彩ルベオーシスなど)のため)の、血漿中に存在するメカミルアミンの平均最大濃度を単に測定することによっても示すことができる。例えば、図6Aおよび6Bは、メカミルアミン塩酸塩は、ポリマーを含まない水溶液として(図6A)、またはin situゲル形成製剤として(図6B)のいずれかで投与される場合、血漿中に検出されるメカミルアミンの平均最大濃度は驚くほど低く、各場合で50ng/mL未満であることを明らかに示す。局所的眼投与のメカミルアミンの平均最大濃度と、メカミルアミン塩酸塩の短時間(図1)および長時間(図2)静脈内投与のメカミルアミン平均最大濃度データを比較すると、特に驚くべきものがある。短時間投与 (図1)では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は1500ng/mLを超え、一方、長時間注入(図2)では、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は500ng/mLより大きい。
【0114】
これまでに述べたように、メカミルアミンの全身投与の副作用としては、散瞳(瞳孔の拡張)および視朦が挙げられる。これらの副作用は眼に現れるので、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の局所的眼適用はこれらの特定の副作用の発現をもたらす可能性があると考えられる。しかしながら、メカミルアミン塩酸塩のウサギへの局所的眼適用は瞳孔径または光に応答瞳孔径に有意な変化をもたらさず、このことはウサギの眼に対するメカミルアミン塩酸塩の局所的眼適用は検出可能なレベルの散瞳を誘発せず、全く驚くべき結果である。よって、局所的眼投与はまた、視朦の副作用も回避する可能性がある。実際、ヒトでの最初の臨床試験は、これらの動物試験の結果を裏付け、被験体が瞳孔径の増加を示さず(散瞳が見られない)、被験体が視朦を訴えない(例えば、最良に矯正された視力に変化がない)。さらに、ヒトでの最初の臨床試験から(その結果は実施例11および12に記載されている)は、メカミルアミンの局所的眼投与が、メカミルアミンの全身投与(例えば、循環系に存在する適当量のメカミルアミンが得られる経口または経皮投与)に関連する本明細書に記載の副作用(毒性)例えば、便秘、尿貯留、体位性低血圧、口渇、脈拍変化、血圧変化、ECGパラメーターの変化などを回避または軽減することが確認され、局所的眼用製剤として極めて十分な耐用性がある(例えば、涙の産生に変化がない、不快感の訴えがない、眼内圧が変化しない、角膜腐食が見られない、潰瘍がない、前房異常がない、結膜刺激作用/発赤がない、水晶体および/または網膜異常がないなど)が、多くの薬剤ではそうではない。よって、ヒトおよびヒト以外の動物(例えば、ウサギ、イヌ)における臨床研究では、局所的眼用メカミルアミン製剤は本明細書に記載の症状の治療に適しているとともに、現行の標準医療に伴う疼痛、不安、およびコストを低減する(および従って患者のコンプライアンスを向上する)ことが示唆される。
【0115】
さらに、in vitro研究では、メカミルアミンがVEGFにより誘導される内皮管形成を阻害することが実証された。
【0116】
メカミルアミンの医薬製剤
本明細書では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の医薬製剤が提供され、これらの製剤は眼に対する局所送達用に製剤化される。
【0117】
眼用薬物送達の業者に理解されているように、「眼に対する局所送達用に製剤化される」、「眼に対する局所投与に好適な」およびその同義語は一般に、眼を通じて投与される個体により耐用され得る製剤(または製剤の成分)を指す。ある特定の実施形態では、このように製剤化された製剤は後部組織または前部組織に送達されるメカミルアミンの量を治療上有効量より少なくしてしまうおそれのある過度な催涙を引き起こさない。in vivoにおけるウサギおよびイヌの研究から、メカミルアミンおよびそのHCl塩は眼の環境に十分耐用され、過度な刺激作用を引き起こさない。一般に、これらの製剤はまた無菌かつ発熱物質、刺激物または他の夾雑物を不含であるべきであり、ヒトへの投与が意図される場合には全てのGMP(Good Manufacturing Process)および規制要件を満たしているべきである。いくつかの場合では、局所的眼用製剤は等張であるが、これは眼に十分耐用され、規制要件を満たすための製剤の必要条件ではない。
【0118】
ある特定の実施形態では、これらの医薬製剤はメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩および担体を含み得る。
【0119】
メカミルアミンはまたN-2,3,3-テトラメチルビシクロ(2.2.1)ヘプタン-2-アミンとしても知られ、INVERSINE(登録商標)(高血圧症の治療用の指示あり)として市販され、以下に示される構造を有する。メカミルアミンのpkaはおよそpH11.2である。メカミルアミンの合成および特徴を記載した初期の参照文献としては、米国特許第2,831,027号、Stoneら, (1962) J. Med. & Pharm. Chem. 5(4):665-690およびSteinら, (1956). J. Am. Chem. Soc. 78:1514が挙げられる。
【化1】

【0120】
ある特定の実施形態では、メカミルアミンは、メカミルアミンのR-またはS-異性体、例えば、実質的に純粋なR-メカミルアミン(例えば、S-メカミルアミンを含まないか、または実質的に含まない)または実質的に純粋なS-メカミルアミン(例えば、R-メカミルアミンを含まないか、または実質的に含まない)として製剤に配合することができる。実質的に純粋なS-メカミルアミンおよびR-メカミルアミンの製造は当技術分野で記載されており、個々の異性体の様々な特徴も研究されている。例えば、Papkeら, (2001) J. Pharmacol. Exp. Therapuetics 297: 646-656; Pfisterら, (1962) J. Med. Pharm. Chem. 5(4): 665-690; 米国特許出願第2002/0016371号、同第2002/0016370号、同第2004/004408号および米国特許第7,101,916号(これらは参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照。いくつかの実施形態では、メカミルアミンは実質的に純粋なR-メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)である。他の実施形態では、メカミルアミンは実質的に純粋なS-メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)である。
【0121】
いくつかの実施形態では、メカミルアミンは製薬上許容される塩として製剤中に配合することができる。製薬上許容される塩は当業者に周知である。一般に、製薬上許容される塩は、メカミルアミンの1種類以上の所望の薬理活性を実質的に保持し、ヒトへの投与に好適な塩である。製薬上許容される塩としては、無機酸または有機酸を伴って形成される酸付加塩が挙げられる。製薬上許容される酸付加塩の形成に好適な無機酸としては、限定されるものではないが例を挙げると、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などがある。製薬上許容される酸付加塩の形成に好適な有機酸としては、限定されるものではないが例を挙げると、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸など)、4-メチルビシクロ(2.2.2)-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプタン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などがある。
【0122】
ある特定の実施形態では、メカミルアミンが製薬上許容される塩として配合される場合、この塩はメカミルアミンの塩酸塩である。例えば、Poli Industria Chimica, Milan, Italyから市販されているメカミルアミン塩酸塩。特定の実施形態では、担体は水を含み得る。いくつかの実施形態では、担体は生理食塩水、例えば、生理学的濃度のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよび塩化物を生理学的pHで含有する水であり得る。いくつかの実施形態では、担体は水であってよく、製剤はNaClをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、製剤は等張である得る。いくつかの実施形態では、製剤は低張であり得る。他では、高張であり得る。いくつかの実施形態では、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、ポリマー増粘剤など)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。
【0123】
当業者に理解されるように、担体がゲル形成ポリマーを含む製剤に関して、ある特定の製剤では、塩の含有は、ある種のin situゲル形成ポリマー(例えば、ゲランゲル)を伴う場合と同様に、局所的眼投与前に溶液がゲルとなるか、または塩の含有がゲル形成ポリマーのゲル化特性を阻害するおそれがあるために、塩、特に生理食塩水の含有は禁忌である。当業者ならば、製剤の所望の特性および当技術分野で公知のゲル形成ポリマーの特徴に基づき、適当な組合せを選択することができる。
【0124】
眼に用いるのに好適な生理食塩水溶液は当業者に理解され、例えば、約pH4.5〜約pH8.0の溶液を含み得る。水溶液のさらなる変形形態では(担体に水を含む場合)、製剤のpHは約6〜約8.0の間、約6〜約7.5の間、約6〜約7.0の間、約6.2〜約8の間、約6.2〜約7.5の間、約7〜約8の間、約6.2〜約7.2の間、約5.0〜約8.0の間、約5〜約7.5の間、約5.5〜約8.0の間、約6.1〜約7.7の間、約6.2〜約7.6の間、約7.3〜約7.4の間、約6.0、約7.1、約6.2、約7.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6または約8.0のいずれかである。いくつかの変形形態では、局所的眼用メカミルアミン製剤のpHは約6.0〜約7.0である。いくつかの変形形態では、製剤のpHは約7.4である。特定の変形形態では、製剤のpHは約6.2〜約7.5である。
【0125】
ある特定の実施形態では、塩(例えば、NaCl)の濃度は例えば、約0%〜約0.9%(w/v)である。例えば、塩の濃度は約0.01〜約0.9%、約0.02%〜約0.9%、約0.03%〜約9%、約0.05%〜約0.9%、約0.07%〜約0.9%、約0.09%〜約0.9%、約0.1%〜約0.9%、約0.2%〜約0.9%、約0.3%〜約0.9%、約0.4%〜約0.9%、約0.5%〜約0.9%、約0.6%〜約0.9%、約0.7%〜約0.9%、約0.8%〜約0.9%、約0.9%、約0%、約0.05%、約0.01%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%または約0.8%であり得る。ある特定の実施形態では、生理食塩水溶液は等張である(例えば、NaCl濃度約0.9%NaCl(w/v))。ある特定の実施形態では、この水溶液は約0.5%、約0.7%、約0.8%、約0.85または約0.75%のNaCl濃度を含む。当業者に理解されているように、例えば、メカミルアミン塩酸塩またはメカミルアミンの他の塩が用いられる場合、他の成分の濃度に応じて、眼への投与に好適な製剤化とするために必要なNaClまたは他の塩の濃度は可変である。
【0126】
担体が水を含むいくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜+網膜組織]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1、少なくとも約35:1、少なくとも約40:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1、少なくとも約250:1、少なくとも約300:1、少なくとも約350:1、少なくとも約375:1、少なくとも約400:1、少なくとも約425:1、少なくとも約450:1、少なくとも約475:1、少なくとも約500:1、少なくとも約550:1、少なくとも約600:1、少なくとも約650:1、少なくとも約700:1、少なくとも約750:1、少なくとも約800:1、少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約950:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1025:1、少なくとも約1050:1、少なくとも約1100:1、少なくとも約1200:1、少なくとも約1300:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約1700:1、少なくとも約2000:1または少なくとも2500:1である。いくつかの実施形態では、この比は約20:1〜約2500:1、約20:1〜約2000:1、約20:1〜約1500:1、約20:1〜約1000:1、約20:1〜約1500:1、約20:1〜約2000:1、約20:1〜約800:1、約20:1〜約500:1、約20:1〜約300:1、約20:1〜約200:1、約20:1〜約100:1、約30:1〜約2500:1、約30:1〜約3000:1、約30:1〜約1500:1、約30:1〜約1000:1、約30:1〜約800:1、約30:1〜約500:1、約30:1〜約300:1、約30:1〜約300:1、約30:1〜約100:1、約40:1〜約2500:1、約40:1〜約4000:1、少なくとも約40:1〜約2500:1、約40:1〜約1500:1、約40:1〜約1000:1、約40:1〜約2000:1、約40:1〜約800:1、約40:1〜約500:1、約40:1〜約300:1、約40:1〜約400:1、約40:1〜約100:1、約300:1〜約2500:1、約300:1〜約2000:1、約300:1〜約1500:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約800:1、約350:1〜約2500:1、約350:1〜約2000:1、約350:1〜約1500:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約800:1、約400:1〜約2500:1、約400:1〜約2000:1、約400:1〜約1500:1、約400:1〜約1000:1、約400:1〜約800:1、約450:1〜約2500:1、約450:1〜約2000:1、約450:1〜約1500:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約800:1、約500:1〜約2500:1、約500:1〜約2000:1、約500:1〜約1500:1、約500:1〜約1000:1、または約500:1〜約800:1である。特定の実施形態では、この比は少なくとも約300:1、少なくとも約350:1、少なくとも約450:1、少なくとも約500:1、少なくとも約1200:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約2000:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約2000:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約1100:1、約450:1〜約1200:1、約450〜約2000:1、約500:1〜約1000:1、約500:1〜約1200:1または約500:1〜約2000:1である。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は増粘剤(例えば、ヒプロメロースなど)をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、ポリマー増粘剤など)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。
【0127】
担体が水を含むいくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される角膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン角膜組織]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約1000:1である。いくつかの実施形態では、この濃度の比は少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、少なくとも約300:1、少なくとも約400:1、少なくとも約500:1少なくとも、少なくとも約600:1、少なくとも約700:1、少なくとも約800:1、少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約950:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1025:1、少なくとも約1050:1、少なくとも約1100:1、少なくとも約1200:1、少なくとも約1300:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約1700:1、少なくとも約2000:1または少なくとも2500:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約100:1〜約4000:1、少なくとも約100:1〜約3000:1、少なくとも約100:1〜約2500:1、少なくとも約800:1〜約4000:1、少なくとも約800:1〜約3000:1、少なくとも約800:1〜約2500:1、少なくとも約900:1〜約4000:1、少なくとも約900:1〜約3000:1、少なくとも約1000:1〜約4000:1、少なくとも約1000:1〜約3000:1、少なくとも約1000:1〜約2500:1、少なくとも約1000:1〜約2000:1である。ある特定の実施形態では、この比は少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約1000:1少なくとも約1200:1である。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は増粘剤(例えば、ヒプロメロースなど)をさらに含む。他の実施形態では、ポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、ポリマー増粘剤など)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容さ
れる塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。
【0128】
製剤が増粘剤を実質的に含まないいくつかの実施形態では、製剤は、限定されるものではないが、ポリアニオニックポリマー、水溶性セルロース誘導体(例えば、ヒプロメロース(HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースとしても知られる)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、可溶性デンプンなどの増粘剤を実質的に含まなくてよい。いくつかの変形形態では、製剤はヒドロゲルまたは他の保持剤(例えば、米国特許公報第2005/0255144号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に開示されているものなどを配合せず、例えば、ここで、それらのヒドロゲルとしては、ホモポリマーを配合したヒドロゲル;コポリマー(例えば、ヒドロキシメチルメタクリレートとエチレングリコールとジメチルメタクリレートとメタクリル酸のテトラポリマー)、トリメチレンカーボネートとポリグリコール酸のコポリマー、ポリグラクチン910、グリコネート、ポリ-p-ジオキサノン、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸フェルト、ポリ-4-ヒドロキシブチレート、ポリ(L-ラクチド)とポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)の組合せ、グリコールメタクリレート、ポリ-DL-ラクチド、またはPrimacryl);酸化再生セルロースとポリプロピレンとポリジオキサノンのコンポジットまたはポリプロピレンとポリゲルカプロンのコンポジットなどが挙げられる。いくつかの変形形態では、製剤はポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール400ヒマシ油エマルジョン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、白色ワセリン、鉱油、デキストラン70、グリセリン、ヒプロメロース、亜麻仁油、魚油、ω3およびω6脂肪酸、ルテイン、またはサクラソウ油の1種類以上を含まない。いくつかの変形形態では、製剤は米国特許第4,888,354号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載の担体の1種類以上の担体、例えば、オレイン酸、エタノール、イソプロパノール、グリセロールモノオレエート、グリセロールジオレエート、メチルラウレート、プロピレングリコール、プロパノールまたはジメチルスルホキシドなどを含まない。いくつかの変形形態では、製剤はグリセロールジオレエートおよびイソプロパノールを実質的に含まない。
【0129】
担体が水を含むいくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合、ng/mLの単位で測定される眼房水中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/mLメカミルアミン眼房水]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約40:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1または少なくとも約250:1である。いくつかの実施形態では、この比は、約40:1〜約2500:1、約40:1〜約4000:1、約40:1〜約2000:1、約40:1〜約1500:1、約40:1〜約1000:1、約40:1〜約800:1、約40:1〜約500:1、約40:1〜約300:1、約40:1〜約400:1または約40:1〜約100:1である。特定の実施形態では、この比は少なくとも約50:1である。これらの実施形態のいくつかのものでは、製剤は増粘剤(例えば、ヒプロメロースなど)をさらに含む。他の実施形態では、製剤はポリマー(例えば、ゲル形成ポリマー、増粘剤など)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は、製剤の粘度は、同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。
【0130】
これまでに述べたように、全く驚くべきことに、眼の組織(前部または後部のいずれか)の異常な脈管形成および/または新血管新生の軽減に有効な量のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の局所的眼投与は、血漿中のメカミルアミンを極めて低レベルとする。例えば、検出されるメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である。これらのメカミルアミンの低い最大濃度は、局所的眼用形態でメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を投与されたウサギに関して、1回量および多回量(例えば、1日につき多回量または一定の日数にわたる多回量)の双方において見られる。よって、例えば、検出されるメカミルアミンの平均最大濃度は約65ng/mL未満、約60ng/mL未満、約55ng/mL未満、約50ng/mL未満、約45ng/mL未満、約40ng/mL未満、約20ng/mL未満、約15ng/mL未満、約10ng/mL未満または約5ng/mL未満である。メカミルアミンが1日1回量で投与される特定の実施形態では、血漿平均最大濃度は約25ng/mL未満、例えば、約20ng/mL未満、約15ng/mL未満、約10ng/mL未満または約5ng/mL未満であり得る。
【0131】
あるいは、血漿中に見られるメカミルアミンの量は、投与後のメカミルアミン濃度の曲線下面積(AUC)として測定される、メカミルアミン総濃度として測定することができる。血漿中のメカミルアミンの他の指標の場合と同様に、ある被験体集団の血漿中のメカミルアミンの平均総濃度は驚くほど低く、例えば約85ng/mL-hr未満である。いくつかの実施形態では、この方法により測定されるメカミルアミンの量は、約100ng/mL-hr未満、約90ng/mL-hr未満、約80ng/mL-hr未満、約75ng/mL-hr未満、約70ng/mL-hr未満、約65ng/mL-hr未満、約60ng/mL-hr未満、約50ng/mL-hr未満または約45ng/mL-hr未満である。
【0132】
各眼に50μl用量1回として投与されたメカミルアミン塩酸塩の3%(w/v)製剤に関するメカミルアミンAUC濃度の数値例を以下に示す。組織および血漿のAUCに関して算出した値を用い、下記の表Cにも示されるような、角膜、脈絡膜/網膜および眼房水対血漿の間の比を算出することができる。データは実施例8に記載のようにして得られたものである。
【0133】

【0134】
AUC値を比として見ると、AUC網膜/脈絡膜:AUC血漿の比は少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約75:1、少なくとも約80:1、少なくとも約90:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1、少なくとも約250:1、少なくとも約300:1または少なくとも約350:1である。いくつかの実施形態では、AUC網膜/脈絡膜:AUC血漿の比は少なくとも約80:1である。AUC値を比として見ると、AUC角膜:AUC血漿の比は少なくとも約100:1、少なくとも約500:1、少なくとも約600:1、800:1、少なくとも約900:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約2000:1または少なくとも約2500:1である。ある特定の実施形態では、AUC角膜:AUC血漿の比は少なくとも約1000:1である。AUC値を比として見ると、AUC眼房水:AUC血漿の比は少なくとも約50:1、少なくとも約60:1、少なくとも約80:1、少なくとも約90:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1または少なくとも約200:1である。いくつかの実施形態では、AUC眼房水:AUC血漿の比は少なくとも約90:1である。
【0135】
特定の実施形態では、医薬製剤はメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩、水およびゲル形成ポリマーを含んでよく、このゲル形成ポリマーは、製剤がウサギの眼に局所投与される場合に、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミン濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約300:1となるような特徴を持つ。
【0136】
本明細書において、「ウサギの眼に局所投与される」およびその同義語は、各眼の角膜に100μLのメカミルアミン製剤を適用(各50μl 2滴)することにより、メカミルアミンの製薬上許容される塩の製剤をはじめとする特定のメカミルアミン製剤の投与を指し、適用時、下の瞼は、全用量が眼と接触して確実に保持されるように眼の表面から離されポケットが形成される。網膜/脈絡膜中のメカミルアミン濃度と血漿中のメカミルアミン濃度の比の算出に関して、血漿中および網膜/脈絡膜組織中のメカミルアミン濃度を測定する場合、各濃度は製剤を適用して1時間に測定する。血漿中および網膜/脈絡膜組織中に存在するメカミルアミンの量は、内部標準としてデキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミンと既知濃度の標品としてのメカミルアミンを用い、LC/MS/MSにより測定する。メカミルアミンの局所製剤の投与方法の一例は実施例5に示されている。本明細書に記載の比を決定するためのLC/MS/MS法の一例は実施例6に詳細に示されている。血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度を測定する場合にも、上記および実施例6に記載のように濃度を測定する。本明細書において「メカミルアミンの平均最大濃度」およびその同義語は、製剤を投与した後6時間にわたってモニタリングした場合に血漿で測定されるメカミルアミンの平均最大濃度を指す。血漿中のメカミルアミンの平均総濃度を決定する場合にも、上記および実施例6に記載のように濃度を測定する。曲線下面積(AUC)として測定される血漿中のメカミルアミンの総濃度」およびその同義語は、局所投与後1時間、3時間および6時間の含むものとする薬物血漿時点で、簡単な台形法を用いて、時間に対する薬物血漿のプロットの下の面積の和を求めることを指す。角膜組織、網膜/脈絡膜組織および眼房水に関するAUCの決定も同様に行う。角膜(または眼房水)中のメカミルアミン濃度と血漿中のメカミルアミン濃度の比の算出に関して血漿中および角膜組織中のメカミルアミンの濃度を測定する場合、各濃度は製剤50μlを投与して1時間後に測定する。血漿中および角膜中(または眼房水中)に存在するメカミルアミンの量は、内部標準としてデキストロメトルファンおよびジフェンヒドラミンと既知濃度の標品としてのメカミルアミンを用い、LC/MS/MSにより測定する。メカミルアミンの局所製剤の投与方法の一例は実施例5に示されている。本明細書に記載の比を決定するためのLC/MS/MS法の一例は実施例6に詳細に示されている。
【0137】
いくつかの実施形態では、製剤は局所的眼投与の前にゲルである。
【0138】
他の実施形態では、製剤は局所的眼投与の際にin situでゲルを形成する。in situゲル形成製剤の例としては、張力(例えば、GELRITE(登録商標)(ゲランガム))、温度、塩濃度などの変化に応答してゲルを形成する製剤がある。in situゲル形成ポリマーを含む製剤の例は例えば米国特許第6,174,524号、同第4,861,760号に記載されている。
【0139】
本明細書において、「局所的眼投与」または「局所投与される」およびその同義語は、眼の表面に製剤を接触させることを指す。接触は、限定されるものではないが、点眼剤、ゲル製剤の塗布、ゲルの塗布またはフィルムの適用をはじめとする当業者に公知の方法により達成される。
【0140】
特定の実施形態では、ゲル形成ポリマーは例えば多糖類であり得る。ある特定の実施形態では、この多糖類はゲランガムである。ゲランガムとは、細菌シュードモナス・エロデア(Pseudomonas elodea)により合成された不均質な多糖類を指すが、当技術分野では「ゲランガム」の名称が一般に用いられる。ゲランガム、特に製剤GELRITE(登録商標)は、特にチモロールの製剤化におけるその使用において米国特許第4,861,760号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に詳細に記載されている。低アセチル明澄級のゲランガムであるGELRITE(登録商標)はMerck & Co (Rahway, NJ)から市販され、ゲランガムは中でもCPKelco (Atlanta, GA)から商業的に入することができる。ゲランガムなどの多糖類の製造については、例えば米国特許第4,326,053号および同第4,326,052号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0141】
ある特定の実施形態では、ゲル形成ポリマーは約0.03%〜約2%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ゲル形成ポリマーは約0.03%〜約1.75%、約0.03%〜約1.5%、約0.03%〜約1.25%、約0.03%〜約1%、約0.03%〜約0.9%、約0.03%〜約0.8%、約0.03%〜約0.7%、約0.03%〜約0.6%、約0.03%〜約0.5%、約0.05%〜約2%、約0.05%〜約1.75%、約0.05%〜約1.5%、約0.05%〜約1.25%、約0.05%〜約1%、約0.05%〜約0.9%、約0.05%〜約0.8%、約0.05%〜約0.7%、約0.05%〜約0.6%、約0.05%〜約0.5%、約0.1%〜約2%、約0.1%〜約1.75%、約0.1%〜約1.5%、約0.1%〜約1.25%、約0.1%〜約1%、約0.1%〜約0.9%、約0.1%〜約0.8%、約0.1%〜約0.7%、約0.1%〜約0.6%、約0.1%〜約0.5%、約0.2%〜約2%、約0.2%〜約1.75%、約0.2%〜約1.5%、約0.2%〜約1.25%、約0.2%〜約1%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約0.8%、約0.2%〜約0.7%、約0.2%〜約0.6%、約0.2%〜約0.5%または約0.5%〜約1.5%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ゲル形成ポリマーの濃度は約0.1%、約0.2%、約0.4%、約0.6%、約0.8%、約1%である。
【0142】
特定の実施形態では、ゲル形成ポリマーは約0.05%〜約2%(w/v)、約0.1%〜約2%(w/v)、約0.1%〜約1%(w/v)、約0.05%〜約1%(w/v)または約0.1%〜約0.6%(w/v)濃度のゲランガムである。いくつかの実施形態では、ゲランガムの濃度は約0.1%、約0.2%、約0.4%、約0.6%、約0.8%、約1%である。
【0143】
製剤中にゲル形成ポリマーが存在するいくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミン濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜+網膜組織]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約350:1、少なくとも約375:1、少なくとも約400:1、少なくとも約425:1、少なくとも約450:1、少なくとも約475:1、少なくとも約500:1、少なくとも約550:1、少なくとも約600:1、少なくとも約650:1、少なくとも約700:1、少なくとも約750:1、少なくとも約800:1、少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約950:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1025:1、少なくとも約1050:1、少なくとも約1100:1、少なくとも約1200:1、少なくとも約1300:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約1700:1、少なくとも約2000:1または少なくとも2500:1である。いくつかの実施形態では、この比は約300:1〜約2500:1、約300:1〜約2000:1、約300:1〜約1500:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約800:1、約350:1〜約2500:1、約350:1〜約2000:1、約350:1〜約1500:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約800:1、約400:1〜約2500:1、約400:1〜約2000:1、約400:1〜約1500:1、約400:1〜約1000:1、約400:1〜約800:1、約450:1〜約2500:1、約450:1〜約2000:1、約450:1〜約1500:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約800:1、約500:1〜約2500:1、約500:1〜約2000:1、約500:1〜約1500:1、約500:1〜約1000:1または約500:1〜約800:1である。特定の実施形態では、この比は、少なくとも約300:1、少なくとも約350:1、少なくとも約450:1、少なくとも約500:1、少なくとも約1200:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約2000:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約2000:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約1100:1、約450:1〜約1200:1、約450〜約2000:1、約500:1〜約1000:1、約500:1〜約1200:1または約500:1〜約2000:1である。
【0144】
いくつかの実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は約0.001%〜約6%(w/v)の濃度で存在し得る。ある特定の実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は約0.001%〜約5%、約0.005%〜約6%、約0.005%〜約5%、約0.01%〜約6%、約0.01%〜約5%、約0.01%〜約4%、約0.01%〜約3%、約0.01%〜約2%、約0.01%〜約1%、約0.001%〜約4%、約0.001%〜約3%、約0.001%〜約2%、約0.001%〜約1%、約0.03%〜約4%、約0.03%〜約3%、約0.03%〜約2%、約0.03%〜約1%、約0.03%〜約0.5%、約0.03%〜約0.2%、約0.03%〜約0.1%、約0.1%〜約6%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約4%、約0.1%〜約3%、約0.1%〜約2%、約0.1%〜約1%、約0.3%〜約6%、約0.3%〜約5%、約0.3%〜約4%、約0.3%〜約3%、約0.3%〜約2%、約0.3%〜約1%、約0.5%〜約6%、約0.5%〜約5%、約0.5%〜約4%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約2%、約0.5%〜約1%、約1%〜約6%、約1%〜約5%、約1%〜約4%、約1%〜約3%または約1%〜約2%の濃度(w/v)で存在し得る。いくつかの実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.8%、約0.9%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.2%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約5%、約6%(w/v)の濃度で存在し得る。
【0145】
特定の実施形態では、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、例えば、約0.001%〜約6%、約0.001%〜約5%、約0.02%〜約2%、約0.02%〜約1%、約0.05%〜約2%、約0.05%〜約1%、約0.1〜約5%または約0.1〜約3%の濃度(w/v)で存在し、ゲル形成ポリマーは約0.05%〜約2%(w/v)、約0.1%〜約2%(w/v)、約0.1%〜約1%(w/v)、約0.05%〜約1%(w/v)または約0.1%〜約0.6%(w/v)濃度のゲランガムである。ある特定の実施形態では、メカミルアミンは製薬上許容される塩として存在する。いくつかの実施形態では、この製薬上許容される塩はメカミルアミン塩酸塩である。
【0146】
付加的成分
製剤のいくつかの実施形態では、製剤は1種類以上の保存剤、1種類以上の界面活性剤、または1種類以上の医薬剤などの付加的成分を含み得る。
【0147】
特定の実施形態では、製剤は種類以上の保存剤、1種類以上の界面活性剤、1種類以上の等張化剤、1種類以上の緩衝剤、1種類以上のキレート剤、1種類以上の増粘剤、1種類以上の塩または1種類以上の医薬剤などの付加的成分を含み得る。これらの実施形態の特定のものでは、製剤は、(メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)および担体の他)、1種類以上の保存剤、1種類以上の緩衝剤(例えば、1種類、2種類、3種類など)、1種類以上のキレート剤、および1種類以上の塩を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は(メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)および担体の他)、1種類以上の保存剤、1種類以上の等張化剤、1種類以上の緩衝剤、1種類以上のキレート剤、および1種類以上の増粘剤を含み得る。
【0148】
本明細書において、「医薬剤」または「付加的医薬剤」およびその同義語は、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩以外の薬剤、例えば治療効果を惹起するために投与される薬剤を指すものとする。この医薬剤は、そのメカミルアミン製剤が、例えば、眼の後部組織の新血管新生(例えば、網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生)、異常な脈管形成またはその組合せが介在する症状(例えば、増殖性網膜症))、眼の前部組織の新血管新生(例えば、角膜新血管新生、角膜移植後新血管新生など)、異常な脈管形成またはその組合せが介在する症状(例えば、翼状片、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障など)を治療または予防することを意図する症状に関する治療効果を対象とするものであり得るか、あるいはその医薬剤は根底にある症状の症候を治療すること、さらにはメカミルアミン投与に関連する副作用の出現または重篤度を軽減することが意図され得るが、これらは個体にほとんど起こらないかもしれない。
【0149】
いくつかの実施形態では、医薬剤はnAChRアンタゴニスト、抗炎症薬(例えば、NSAIDなど)、VEGFアンタゴニスト、VEGF(例えば、VEGFTRAPなど)、チロシンキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン受容体アンタゴニスト、緑内障の治療に用いられる薬剤、または眼内圧を低下させるための薬剤であり得る。本明細書に記載の製剤および方法に用いるのに適当な医薬剤の選択は、当業者に認識されているように、治療する症状によって異なる。医薬剤の例は以下に詳細に記載される。
【0150】
ある特定の実施形態では、医薬剤はニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のアンタゴニストであり得る。nAChRアンタゴニストの例は当技術分野で公知であり、例えば、ヘキサメトニウム(hexamethonium)、ジヒドロ-β-エリスロイジン(erythroidine)、d-ツボクラリン(tubocurarine)、ペムピジン(pempidine)、クロリソンダミン(chlorisondamine)、エリソジン(erysodine)、トリメタファンカムシレート(trimethaphan camsylate)、ペントリニウム(pentolinium)、ブンガロトキシン(bungarotoxin)、スクシニルコリン、テトラエチルアンモニウム、トリメタファン(trimethaphan)、クロリソンダミン(chlorisondamine)、トリメチジニウム(trimethidinium)などであり得る。例えば、Sunerら, (2004)同書参照。いくつかの実施形態では、nAChRアンタゴニストはヘキサメトニウムである。
【0151】
いくつかの実施形態では、医薬剤は本明細書に記載の症状の治療に有効であることが示されている1種類以上の医薬剤を含み得る。例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体またはそのフラグメント、VEGFアプタマー(例えば、ペガプタニブ(pegaptanib)ナトリウム)。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗体はモノクローナル抗体である。抗VEGF抗体例としては、限定されるものではないが、ベバシズマブ(bevacizumab)およびラニミズマブ(ranibizumab)(それぞれGenentech, Inc., South San Francisco, CAにより開発中の商標AVASTIN(登録商標)およびLUCENTIS(登録商標))が挙げられる。医薬剤はまた、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体アンタゴニストペガプタニブ(pegaptanib)(アプタマー)(MACUGEN(登録商標); Pfizer)を含み得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、医薬剤はチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、医薬剤はVEGFスカベンジャーである。いくつかの実施形態では、VEGFスカベンジャーはVEGFTRAPである。
【0154】
いくつかの変形形態では、医薬剤はVEGFスカベンジャー、VEGFアンタゴニストまたはチロシンキナーゼ阻害剤である。
【0155】
いくつかの実施形態では、医薬剤は緑内障の治療のための薬剤(例えば、ジクロルフェンアミド(dichlorphenamide)、カルボコール(carbochol)、デマカリウムブロミド(demacarium bromide)など)または眼内圧を低下させるための薬剤(例えば、ステロイド)であり得る。
【0156】
いくつかの実施形態では、医薬剤は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であり得る。多くのNSAIDが当業者に周知であり、治療される症状ならびに治療される個体の健康状態に基づき選択されることができる。NSAIDクラスの例としては、限定されるものではないが、例えばサリチル酸塩(例えば、アスピリン、サリチル酸メチルなど)、アリールアルカン酸(例えば、ジクロフェナク(dichlorphenamide)、スリンダック(sulindac)など)、2-アリールプロピオン酸(プロフェン(例えば、イブプロフェン(ibuprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ナプロキセン(naproxen)など)、N-アリールアントラニル酸(フェナム酸)(例えば、メフェナム酸など)、ピラゾリジン誘導体(例えば、オキシフェニルブタゾン、フェニルブタゾンなど)、オキシカム(例えば、ピロキシカム(piroxicam)、メロキシカム(meloxicam)など)、選択性COX-2阻害剤(例えば、コキシブ(例えば、セレコキシブ(celecoxib)、パレコキシブ(parecoxib)など)、スルホンアニリド(例えば、ニメスリド(nimesulide)など)、および選択性COX-3阻害剤が挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態では、医薬剤はプロスタグランジン受容体アンタゴニストであり得る。
【0158】
担体が水である特定の実施形態では、製剤はポリマーを実質的に含まなくてよい(例えば、ポリマー増粘剤、ゲル形成ポリマーなどを含まない)。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。いくつかの実施形態では、製剤はゲル形成ポリマーを実質的に含まない。担体が水であるある特定の実施形態では、製剤は1種類以上のキレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウム(EDTA)、1種類以上の保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、または前者の2以上の組合せ)、塩(例えば、NaCl)および1種類以上の緩衝剤(例えば、1種類以上のリン酸バッファー(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、その組合せなど)、クエン酸バッファー、マレイン酸バッファー、ホウ酸バッファー、および前者の2以上の組合せ)を実質的に含まない。
【0159】
特定の実施形態では、キレート剤はエデト酸二ナトリウムであり、保存剤は塩化ベンザルコニウムであり、塩はNaClであり、緩衝剤はリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムである。これらの実施形態の特定のものでは、製剤はポリマーを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤は実質的に表16に記載のとおりである。いくつかの実施形態では、製剤は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアニオニックポリマーなど)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は同濃度のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を含有する生理食塩水の粘度とほぼ同じである。これらの実施形態のいくつかのものでは、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の濃度は約0.02%〜約3%、約0.02%〜約2%、約0.02%〜約1%(w/v)である。ある特定の実施形態では、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の濃度は約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.05%、約0.07%、約0.1%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.8%または約1%(w/v)である。
【0160】
担体が水を含むある特定の実施形態では、製剤には増粘剤もまた含まれ得る。当業者ならば、眼における使用に好適な増粘剤(例えば、水溶性セルロース誘導体(例えば、ヒプロメロース(HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースとしても知られる)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および可溶性デンプン)について知っている。増粘剤が使用される場合、製剤が投与前後にゲルを形成するような高濃度では含まれない(例えば、増粘剤の濃度はゲル形成を誘発するに十分なものではない)ことが意図される。
【0161】
増粘剤の正確な濃度はその製剤の他の成分の選択および濃度、ならびに選択される特定の増粘剤によって異なり、一般に、増粘剤は、得られる溶液の粘度が約1000センチポアズ(centiopoise)未満であるような濃度で存在し得る。ある特定の実施形態では、製剤の粘度は約900センチポアズ未満、約800センチポアズ未満、約700センチポアズ未満、約600センチポアズ未満、約500センチポアズ未満、約400センチポアズ未満、約300センチポアズ未満、約200センチポアズ未満、約150センチポアズ未満、約100センチポアズ未満、約50センチポアズである。いくつかの実施形態では、製剤の粘度は約200、約150、約100、約50センチポアズである。特定の実施形態では、粘度は約200センチポアズ未満である。他では、約120センチポアズ未満または約100センチポアズ未満である。いくつかの実施形態では、粘度は約100センチポアズである。他では、約50センチポアズである。さらに他の実施形態では、粘度は約200センチポアズである。粘度を測定する方法は当業者に周知である。例えば、United States Pharmacopoeia 29 (Chapter 911) Viscosity, 2785頁(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載のとおり。当業者に周知のように、一般に「ゲル」とみなされる製剤は1000センチポアズよりも有意に大きな粘度、例えば約2000センチポアズよりも大きな、約5000センチポアズよりも大きな粘度を有する。
【0162】
いくつかの実施形態では、(限定されるものではないが)上記のように塩の使用が禁忌である場合を含め、製剤は1種類以上の等張化剤をさらに含んでもよい。
【0163】
本明細書において「等張化剤」およびその同義語は、製剤の張力を調整する薬剤を指すが、本明細書で与えられる教示から当業者に認識されるように、ある種のゲル形成ポリマーまたは増粘剤の存在のためにいくつかの製剤では禁忌である塩ではない(例えば、NaClではない)。これらの薬剤は、眼に好適であり、等張または等張に近い(例えば、いくらか高張または低張、例えば、等張の約±20%、約±15%、約±10%、約±5%内)製剤を製造するために使用可能である。等張化剤は、塩の使用が禁忌でない製剤にも使用可能である。
【0164】
本明細書に記載の製剤の張力を調整するのに使用可能であり、眼への投与に好適である等張化剤は当業者に公知であり、本明細書に提供される教示に基づいて選択することができる。例えば、等張化剤としては、ポリオール(例えば、糖アルコール(例えば、マンニトールなど))、トリヒドロキシアルコール(例えば、グリセリンなど)、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)、または2種類以上のポリオールの組合せが挙げられる。同様に、等張化剤の濃度はその製剤中の他の成分の属性および濃度によって異なり、本明細書に提供される教示から当業者により容易に決定することができる。
【0165】
ある特定の実施形態では、等張化剤はグリセリンまたはマンニトールである。いくつかの実施形態では、等張化剤はグリセリンである。他では、マンニトールである。さらに他では、マンニトールとグリセリンの組合せが使用可能である。
【0166】
等張化剤の濃度例としては、例えば約0.001〜約3%が挙げられる。いくつかの実施形態では、等張化剤(例えば、マンニトールまたはグリセリン)の濃度は、例えば、約0.001%〜約2.7%、約0.001%〜約2.5%、約0.001%〜約2%、約0.001%〜約1.5%、約0.001%〜約1%、約0.01%〜約3%、約0.01%〜約2.7%、約0.01%〜約2.5%、約0.01%〜約2%、約0.01%〜約1.5%、約0.01%〜約1%、約0.1%〜約3%、約0.1%〜約2.7%、約0.1%〜約2.5%、約0.1%〜約2%、約0.1%〜約1.5%、約0.1%〜約1%、約0.01%、約1%〜約3%、約1%〜約2.5%、約1%〜約2%、約1%〜約1.8%、約1%〜約1.5%または約0.001%、約0.01%、約0.05%、約0.08%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、約0.8%、約1%、約1.5%、約1.8%、約2%、約2.2%、約2.5%、約2.8%または約3%(w/v)である。
【0167】
ある特定の実施形態では、等張化剤はマンニトールである。これらの実施形態のいくつかのものでは、担体はゲル形成薬剤(例えば、ゲランガム)を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、等張化剤はマンニトールである。これらの実施形態の特定のものでは、担体としては増粘剤(例えば、水溶性セルロース誘導体(例えば、ヒプロメロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸または可溶性デンプン)を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、製剤は保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀、過酸化物)、または前者の保存剤の2種類以上の組合せをさらに含み得る。ある特定の実施形態では、保存剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0170】
当業者に認識されているように、保存剤は約0.001%〜約0.7%(w/v)の濃度で存在し得る。特定の実施形態では、保存剤は約0.001%〜約0.5%(w/v)、約0.001%〜約0.05%(w/v)、約0.001%〜約0.02%(w/v)、約0.001%〜約0.015%(w/v)、約0.001%〜約0.005%(w/v)、約0.01%〜約0.02%、約0.002%〜約0.01%、約0.015%〜約0.05%、約0.5%未満、約0.005%〜約0.01%、約0.001%〜約0.15%、約0.002%〜約0.004%、約0.001%〜約0.002%の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、保存剤の濃度は例えば、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%または約0.7%(w/v)であり得る。
【0171】
一般に用いられる種々の保存剤の典型的な濃度(w/v)を以下の表1に挙げる。
【表1】

【0172】
ある特定の実施形態では、製剤は界面活性剤、または2種類以上の界面活性剤の組合せをさらに含み得る。
【0173】
特定の実施形態では、製剤は界面活性剤を実質的に含まない。
【0174】
本明細書において「〜を実質的に含まない」とは、慣例の検出法および当業者に公知のプロトコールを用いて検出できない特定の成分のレベルを指すものとする。例えば、HPLC(キラルHPLC、キラルHPLC/MS、LC/MS/MSなどを含む)、薄層クロマトグラフィー、質量分析、偏光測定、ガスクロマトグラフィー-質量分析またはその他。
【0175】
特定の実施形態では、製剤はキレート剤(例えば、エデト酸二ナトリウム(EDTA)(例えば、エデト酸二ナトリウム(二水和物)など)、クエン酸塩など)をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、キレート剤の組合せが存在してもよい。当業者に認識されるように、キレート剤は処方成分の分解を阻止し、それにより眼用製剤の保存寿命を高めるために使用することができる。当業者に認識されるように、EDTAとゲランガム製剤との併用は、EDTAがゲランガム製剤の投与前にゲル形成を生じさせ得るので、禁忌であり得る。
【0176】
キレート剤の典型的な濃度は約0.005%〜0.1%(w/v)である。例えば、約0.005%〜約0.09%、約0.005%〜約0.08%、約0.005%〜約07%、約0.005%〜約0.06%、約0.005%〜約0.05%、約0.005〜約0.04%、約0.005%〜約0.03%、約0.01%〜約0.1%、約0.01%〜約0.09%、約0.01%〜約0.08%、約0.01%〜約0.07%、約0.01%〜約0.06%、約0.01%〜約0.05%、約0.01%〜約0.04%など。ある特定の実施形態では、キレート剤の濃度は約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%または約0.1%である。
【0177】
特定の実施形態では、キレート剤はエデト酸二ナトリウムである。ある特定の実施形態では、キレート剤はエデト酸二ナトリウム(二水和物)である。これらの実施形態のいくつかのものでは、このエデト酸二ナトリウム二水和物は約0.01%(w/v)の濃度で存在する。
【0178】
いくつかの実施形態では、製剤は1種類以上の緩衝剤(例えば、リン酸バッファー(例えば、ナトリウムリン酸バッファー(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなど)、クエン酸バッファー、マレイン酸バッファー、ホウ酸バッファーなど)をさらに含み得る。当業者に認識されるように、眼における使用に好適なpH(例えば、pH約4.5〜約8)を達成するため、所与の製剤の他の成分と組み合わせて1種類以上の緩衝剤を選択すべきである。
【0179】
ある特定の実施形態では、緩衝剤はリン酸バッファーまたは2種類以上のリン酸バッファーの組合せである。ある特定の実施形態では、緩衝剤はリン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素ナトリウムである。
【0180】
緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤の典型的な濃度は、約0.005モル〜0.1モルであり得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は約0.01〜約0.1、約0.01〜約0.08、約0.01〜約0.05、約0.01〜約0.04、約0.02〜約0.1、約0.02〜約0.08、約0.02〜約0.06、約0.02〜約0.05、約0.02〜約0.04モルなどの濃度であり得る。特定の実施形態では、2種類の緩衝剤である。緩衝剤の例としては、リン酸二水素ナトリウム(例えば、リン酸二水素ナトリウム7H2O)とリン酸水素ナトリウム(例えば、無水リン酸水素ナトリウム)の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、緩衝剤の濃度は約0.005モル、約0.01モル、約0.02モル、約0.03モル、約0.04モル、約0.05モル、約0.06モル、約0.07モルまたは約0.1モルである。
【0181】
本発明のさらなる態様は、薬剤の製造における本明細書に記載の製剤の使用を含む。特に、本明細書に記載の症状の治療および/または予防に用いるための薬剤の製造。さらに、本明細書に様々に記載される製剤はまた、それらの症状の治療および/または予防に用いるための、特に断りのない限り、本明細書に記載の方法に従う、薬剤の製造における使用が意図される。
【0182】
製造方法
本明細書に記載の医薬製剤は実施例、特に実施例1、3、4および6に詳細に記載されているように、一般に以下に記載され、当業者に公知のように製造および評価することができる。さらに、当業者ならば、本明細書に提供される教示および製造される特定の製剤化に基づき、本明細書に記載の、また当技術分野で公知の製造方法を過度な実験を行わずに改変することもできる。
【0183】
一般に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と水性生理食塩水担体を含む製剤は慣例的に、十分量のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)と塩(存在する場合、例えばNaCl)を、所望のメカミルアミンおよび塩濃度を得るのに十分量のDI(脱イオン)水に溶解させる(例えば、順次(いずれの順でもよい)または同時に)ことにより製造することができる。これらの成分の範囲は本明細書の他所に詳細に記載されている。
【0184】
溶解は攪拌、旋回、加熱など(前者の2種類以上の組合せを含む)によって補助してもよい。必要であれば、眼への局所投与に好適なように溶液のpHを調整するために慣例の方法が使用可能である。メカミルアミン溶液が調製された後、一般に、投与前に粒子を除去するために溶液を濾過することが望ましい。上記のプロトコールは無菌条件で、GMPおよびGLP (Good Laboratory Practice)スタンダードに従って行うべきであり、ヒトへの投与が意図される場合にはまた、当業者に認識されるように、規制指針に従うべきである。
【0185】
生理食塩水中に存在するメカミルアミンの濃度の確認を含む分析は、当業者に既知で利用可能な技術により行うことができる。例えば、限定されるものではないが、LC/MS/MS(例えば、実施例6に詳細に記載されている通り)、質量分析(例えば、実施例6に詳細に記載されている通り)など。当業者ならば、本明細書に提供されている教示および当技術分野で利用可能な情報に基づき、これらの技術および他の慣例技術をさらに改変し、それにより、選択された特定の検出技術および利用される機器に関して検出を至適化することができる。
【0186】
本明細書に記載の付加的成分を付加してもよい(順次(いずれの順でもよい)またはメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)および塩(存在する場合)と同時に)。
【0187】
製剤が本明細書に記載のゲル形成ポリマーを含む場合、製剤は実施例4に詳細に記載されているように製造することができ、当業者ならば、本明細書の教示に照らして過度な実験を行わずに、当技術分野で公知の方法に従って製造を改変することができる。ゲル形成を含む製剤はまた、特に実施例6を参照し、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の生理食塩水に関して上気したように分析することができる。さらに、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の生理食塩水またはメカミルアミンの他の溶液(例えば、担体として水を含むポリマー不含溶液製剤、増粘剤(例えば、ヒプロメロースなど)を含む溶液)に関して上記されたように、製剤を製造するためのプロトコールは無菌条件で、GMPおよびGLPスタンダードに従って行うべきであり、ヒトへの投与が意図される場合にはまた、当業者に認識されるように、規制指針に従うべきである。
【0188】
一般に、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)およびゲル形成ポリマーの医薬製剤(最終製剤は局所的眼投与の前にゲルであるか、または局所的眼投与の際にin situでゲルを形成するかのいずれかである)は実施例5に記載されているように、より一般には所定量の水に特定量のメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)を溶解させた後、そのメカミルアミン含有溶液にゲル形成ポリマーを分散させることにより製造することができる。水、メカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)およびゲル形成ポリマーの量は、調製される特定の製剤のゲル形成ポリマーおよびメカミルアミンの終濃度によって決定される。
【0189】
一般に、ゲル形成ポリマーを添加した後、その溶液を、メカミルアミン含有溶液内にゲル形成ポリマーを完全に分散および溶解させるに十分な時間混合する(例えば、攪拌、旋回、振盪、加熱または他の慣例法、前者の2以上の組合せを含む)。例えば、混合は約10〜約60分間、約15〜約60分間、約15〜約45分間、約15〜約40分間、約15〜約30分間、約15〜約25分間、少なくとも約10分間、少なくとも約15分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約40分間、少なくとも約60分間、約10分間、約15分間、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、約60分間行ってよい。
【0190】
化合物の完全な混合は、当業者に公知のように視覚検査、光散乱などにより判定することができる。
【0191】
本明細書に記載の付加的成分はゲル形成ポリマーの添加前、添加と同時、または添加後にメカミルアミン含有溶液に添加することができる。同様に、付加的成分はメカミルアミン(またはその製薬上許容される塩)の添加前、添加と同時、または添加後に選択的に水に加えることができる。ある特定の実施形態では、付加的成分はメカミルアミンの添加前または添加と同時に水に加える。
【0192】
これらの成分が完全に溶解された後(所望により、本明細書に記載の付加的成分を含む)、得られた、メカミルアミン(またはその医薬塩)、ゲル形成ポリマー、水および所望により付加的成分を含有する溶液を室温で平衡化することができる。メカミルアミン製剤は全てではないが、平衡化が必要なものがある。
【0193】
この溶液は少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、約8〜約24時間、約10〜約24時間、約10〜約18時間、約12〜約18時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、または約24時間平衡化させるべきである。
【0194】
ある特定の実施形態では、この溶液は約16時間平衡化させる。他の実施形態では、この溶液は少なくとも約16時間平衡化させる。さらに他の実施形態では、この溶液は約16〜約24時間平衡化させる。
【0195】
本明細書に記載のようにして得られた溶液および混合物はまた、粒子を除去するために濾過してもよい。濾過は好ましくは無菌条件で行うべきである。当業者に公知の慣例法を用いて溶液を濾過することができ(例えば、真空下、重力によるなど)、溶液の粘度に基づき適当な大きさのフィルターを選択すべきである(例えば、限定されるものではないが、0.2ミクロンのメンブランフィルターの使用が典型的である)。
【0196】
眼に投与された際にin situでゲルを形成する局所的眼用製剤を製造する特定の方法はまた、例えば米国特許第6,174,524号および同第4,861,760号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)にも記載されている。
【0197】
製剤の使用
投与
これまでに述べたように、一態様では、本明細書に記載の医薬製剤を用い、本明細書に記載の症状を治療および/または予防する方法が提供される。特に断りのない限り、本明細書に記載の製剤は限定されるものではないが、本明細書に記載の方法で使用可能である。
【0198】
これらの方法は本明細書に記載の症状の治療および/または予防に対する治療的アプローチとして実施することができる。よって、ある特定の実施形態では、医薬製剤はヒトをはじめ、それを必要とする個体において本明細書に記載の症状を治療および/または予防するために使用可能である。本明細書に記載のように、これらの方法は一般に個体の片目または両眼に、その症状を治療および/または予防するのに有効な量の本明細書に詳細に記載される製剤を局所投与することを含む。
【0199】
特定の実施形態では、これらの方法は、a)それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩および局所的眼投与に好適な担体を局所適用することを含み、ここで、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は製剤中に、眼の後部組織の網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の後部組織の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、この症状は増殖性網膜症またはそれに関連する症状である。
【0200】
いくつかの実施形態では、これらの方法は、a)それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩および局所的眼投与に好適な担体を局所適用することを含み、ここで、このメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は製剤中に、眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の前部組織または液体の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、この症状は、眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成またはそれに関連する症状を含む。
【0201】
ある特定の実施形態では、製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミン濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜+網膜組織]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約40:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1または少なくとも約35:1である。
【0202】
いくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合の網膜組織および脈絡膜組織中のメカミルアミン濃度(ng/g):血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比は、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1、少なくとも約35:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1、少なくとも約300:1、少なくとも約350:1、少なくとも約375:1、少なくとも約400:1、少なくとも約425:1、少なくとも約450:1、少なくとも約475:1、少なくとも約500:1、少なくとも約550:1、少なくとも約600:1、少なくとも約650:1、少なくとも約700:1、少なくとも約750:1、少なくとも約800:1、少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約950:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1025:1、少なくとも約1050:1、少なくとも約1100:1、少なくとも約1200:1、少なくとも約1300:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約1700:1、少なくとも約2000:1または少なくとも2500:1である。いくつかの実施形態では、この比は約300:1〜約2500:1、約300:1〜約2000:1、約300:1〜約1500:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約800:1、約350:1〜約2500:1、約350:1〜約2000:1、約350:1〜約1500:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約800:1、約400:1〜約2500:1、約400:1〜約2000:1、約400:1〜約1500:1、約400:1〜約1000:1、約400:1〜約800:1、約450:1〜約2500:1、約450:1〜約2000:1、約450:1〜約1500:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約800:1、約500:1〜約2500:1、約500:1〜約2000:1、約500:1〜約1500:1、約500:1〜約1000:1または約500:1〜約800:1である。
【0203】
特定の実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合の網膜組織および脈絡膜組織中のメカミルアミン濃度(ng/g):血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比は、少なくとも約20:1、少なくとも約25:1、少なくとも約30:1、少なくとも約35:1、少なくとも約40:1、少なくとも約50:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約300:1、少なくとも約40:1〜約1000:1、約40:1〜約1500:1、少なくとも約40:1〜約2000:1、少なくとも約40:1〜約2500:1、少なくとも約50:1〜約250:1、少なくとも約80:1〜約1000:1、少なくとも約80:1〜約2000、少なくとも約100:1〜約1000:1、少なくとも約100:1〜約2000:1、少なくとも約200:1〜約1000:1または少なくとも約200:1〜約2000:1である。特定の実施形態では、この比は少なくとも約300:1、少なくとも約350:1、少なくとも約450:1、少なくとも約500:1、少なくとも約1200:1、約300:1〜約1000:1、約300:1〜約2000:1、約350:1〜約1000:1、約350:1〜約2000:1、約450:1〜約1000:1、約450:1〜約1100:1、約450:1〜約1200:1、約450〜約2000:1、約500:1〜約1000:1、約500:1〜約1200:1または約500:1〜約2000:1である。
【0204】
いくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合の、ng/gの単位で測定される角膜組織中に存在するメカミルアミン濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミン濃度の比([ng/gメカミルアミン角膜組織]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約1000:1である。いくつかの実施形態では、この濃度の比は少なくとも約100:1、少なくとも約200:1、少なくとも約300:1、少なくとも約400:1、少なくとも約500:1少なくとも、少なくとも約600:1、少なくとも約700:1、約800:1、少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約950:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1025:1、少なくとも約1050:1、少なくとも約1100:1、少なくとも約1200:1、少なくとも約1300:1、少なくとも約1500:1、少なくとも約1700:1、少なくとも約2000:1または少なくとも2500:1である。いくつかの実施形態では、この比は少なくとも約800:1〜約4000:1、少なくとも約800:1〜約3000:1、少なくとも約800:1〜約2500:1、少なくとも約900:1〜約4000:1、少なくとも約900:1〜約3000:1、少なくとも約1000:1〜約4000:1、少なくとも約1000:1〜約3000:1、少なくとも約1000:1〜約2500:1、少なくとも約1000:1〜約2000:1である。ある特定の実施形態では、この比は少なくとも約850:1、少なくとも約900:1、少なくとも約1000:1、少なくとも約1200:1である。
【0205】
いくつかの実施形態では、ウサギの眼に局所投与される場合の、ng/mLの単位で測定される眼房水中に存在するメカミルアミンの濃度と、ng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミン濃度の比([ng/mLメカミルアミン眼房水]:[ng/mL血漿])は、少なくとも約40:1、少なくとも約45:1、少なくとも約50:1、少なくとも約55:1、少なくとも約60:1、少なくとも約70:1、少なくとも約80:1、少なくとも約100:1、少なくとも約150:1、少なくとも約200:1または少なくとも約250:1である。いくつかの実施形態では、この比は約40:1〜約2500:1、約40:1〜約4000:1、少なくとも約40:1〜約2500:1、約40:1〜約1500:1、約40:1〜約1000:1、約40:1〜約800:1、約40:1〜約500:1、約40:1〜約300:1、約40:1〜約400:1または約40:1〜約100:1である。特定の実施形態では、この比は少なくとも約50:1である。
【0206】
いくつかの実施形態では、この個体は、限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ネコ、ウサギ、イヌ、齧歯類または霊長類をはじめとする哺乳類である。特定の実施形態では、この哺乳類は霊長類である。ある特定の実施形態では、この霊長類はヒトである。ある特定の実施形態では、この個体は、成人、小児および未熟児を含むヒトである。いくつかの実施形態では、この個体は眼の成長を受けていない。いくつかの実施形態では、この個体は成体である。
【0207】
ある特定の実施形態では、この個体は本明細書に記載の1以上の症状を有すると特定されている。当業者による本明細書に記載の症状の特定は当技術分野において慣例であり、視野の欠損または視力の低下(例えば、視野の減少、失明など)のために個体が疑われ得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、この個体は本明細書に記載の1以上の症状に罹患しやすいと特定されている。個体の感受性は、限定されるものではないが、遺伝的プロファイリング、家族歴、病歴(例えば、関連症状の出現(例えば、「非新血管性」/「ドライ型」黄斑変性などの診断または感受性)、生活様式または週間(例えば、これまでに記載したように、喫煙は黄斑変性(例えば、加齢性黄斑変性など)による網膜新血管新生の主要なリスク因子である)をはじめとする、当業者に認識されている多くのリスク因子および/または診断アプローチのいずれか1以上に基づき得る。ある特定の患者は網膜症のリスクがある。高齢者、特に喫煙者は加齢性黄斑変性を有する可能性が高く、関連の増殖性網膜症のリスクがある。真性糖尿病を有する個体は増殖性網膜症を発症するおそれがある。未熟児もまた未熟児網膜症の発症のリスクがあり、それに関して慣例的にスクリーニングされる。非血管新生型黄斑変性を有する個体は特に新血管性型黄斑変性の発症のリスクがある。
【0209】
本明細書に記載の製剤および方法を用いて治療および/または予防可能な症状としては、眼の後部組織に影響を及ぼす症状、ならびに眼の前部組織または液体に影響を及ぼす症状が挙げられる。これらの症状は以下にさらに詳細に記載される。いくつかの場合では、これらの症状は、例えば眼腫瘍の場合のように、前部組織、さらには後部組織の1以上に影響を及ぼし得る。一般に、これらの症状には新血管新生(脈管形成と呼ばれることも多い)、特に異常な脈管形成が介在する。
【0210】
本明細書に記載の製剤および方法を用いて治療および/または予防を受け得る症状としては、眼の後部組織の、網膜および/または脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せが介在する症状(限定されるものではないが、増殖性網膜症を含む)が挙げられる。特に、眼の後部組織、すなわち網膜および脈絡膜の異常な、または増強された脈管形成および/または新血管新生が介在する増殖性網膜症。異常な、または増強された脈管形成および/または新血管新生は当業者のより容易に認識され、当技術分野で公知の慣例法を用いて特定および診断することができる(例えば、Ophthalmology: Clinical Signs and Differential Diagnosis, Jack J. Kanski and K.K. Nischall, Elsevier 1998(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照)。脈管形成および/または新血管新生から生じた血管は血管から血液または液体が漏出する傾向を特徴とするので、例えば、フルオレセインの静脈内投与およびその後の紫外線照射は脈管形成および/または新血管新生の存在を特定する1つの手段である。この漏出はフルオレセインを用いて可視化することができる。異常な、または増強された脈管形成および/または新血管新生血管から生じた新たな血管はまた、健常個体(例えば、視野の欠損および/または視力障害に苦しんでいない個体)で見られる典型的な血管よりも分子程度が高い特徴を有し、特定の組織種で通常見られる血管よりも直径が小さい傾向があり、また、特定の組織種または場所に関して予測されるものよりも多数/高密度で見られる傾向があるか、または見られる。
【0211】
脈管形成が介在する増殖性網膜症としては、限定されるものではないが、黄斑変性による網膜新血管新生(例えば、ウェット型(例えば新血管性型)、加齢性黄斑症、加齢性黄斑変性(「AMD」)(例えばウェット型)、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症(一般に水晶体後繊維増殖症とも呼ばれる)、鎌形赤血球症による網膜症などが挙げられる(例えば、Ophthalmology: Clinical Signs and Differential Diagnosis, Jack J. Kanski and K.K. Nischall, Elsevier 1998(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)参照。「ドライ」または「非新血管性」型の黄斑変性はしばしば、その個体が「新血管性」または「ウェット型」の黄斑変性に罹患しやすいか、または発症し得る初期の示唆となる(Bresslerら, (1990) Arch. Ophthalmol. 108(10):1442-7 “Relationship of drusen and abnormalities of the retinal pigment epithelium to the prognosis of neovascular macular degeneration. The Macular Photocoagulation Study Group.”参照)。よって、新血管新生を予防するための処置がこれらの個体に指示され得る(例えば、回避的または予防的処置)。このような初期の治療は、新血管新生の特定の前であっても、検出可能な新血管新生による黄斑変性の発生を回避し得る可能性がある。よって、「ドライ」または「非新血管性」型の黄斑変性はまた、本明細書に記載の方法および製剤を用いた処置を意図する症状であると考えられる。
【0212】
特定の実施形態では、この症状は糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性による網膜新血管新生、または鎌形赤血球症による網膜症である。ある特定の実施形態では、この症状は糖尿病性網膜症である。他の実施形態では、この症状は未熟児網膜症である。さらに他の実施形態では、この症状は黄斑変性による網膜新血管新生である。ある特定の実施形態では、この症状は鎌形赤血球症による網膜症である。
【0213】
症状が黄斑変性による網膜新血管新生である特定の実施形態では、その症状は加齢性黄斑変性(AMD)であり得る。ある特定の実施形態では、このAMDは「ウェット」型のAMD(例えば、新血管性型)であり得る。他の実施形態では、このAMDは「ドライ」型のAMD(例えば、非血管新生型)であり得る。種々の形態のAMDの特徴は十分研究され、当業者に公知である。
【0214】
いくつかの実施形態では、治療および/または予防される症状は黄斑浮腫に関連し得る。
【0215】
眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性(またはその組合せ)に関連する症状としては、角膜新血管新生、翼状片、移植後新血管新生、虹彩ルベオーシス、血管新生緑内障、眼腫瘍などが挙げられる。いくつかの実施形態では、この症状は角膜新血管新生である。他の場合では、この症状は翼状片である。特定の実施形態では、この症状は虹彩ルベオーシスである。
【0216】
いくつかの実施形態では、新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性、またはその組合せにより影響を受ける眼の前部組織は、角膜、水晶体、虹彩、強膜、または小柱網である。特定の実施形態では、影響を受ける組織は角膜である。他では、水晶体である。特定の実施形態では、水晶体、角膜または虹彩が影響を受ける。
【0217】
本明細書において「医薬上有効量」または「治療上有効量」およびこれらの用語の同義語は、特定の症状(例えば、疾病、障害など)またはその症候の1以上を治療するおよび/またはその症状の発生を予防するのに十分な製剤の量を指す。新血管新生および/または異常な脈管形成が介在する眼の症状(例えば、増殖性網膜症など)に照らして、医薬上または治療上有効量は、中でも新たに形成された血管の存在を低下させる、あるいは脈管形成および/または新血管新生速度を低下させる、ならびに/あるいはこれらの血管からの液体の漏出および/または出血を軽減するのに十分な量を含む。ある特定の実施形態では、医薬上有効量は、個体に予防的に投与される場合と同様に、症状の回避に十分なものである。例えば、本明細書に記載の製剤の、非血管新生型黄斑変性を有する個体への投与は、血管新生型の黄斑変性の発生を回避する。別の例として、この製剤は、その視力妨害を回避する予防的手段として、翼状片のさらなる成長を回避するため、まだ視力を妨害しない翼状片を発達させた個体に投与することができる。
【0218】
本明細書に記載の眼の後部組織に影響を及ぼす症状に関して、治療上有効な処置では、十分量のメカミルアミンが眼の後部領域に送達されるべきである。例えば、本明細書に記載の症状が最初に現れる眼の後部領域の組織である網膜および/または脈絡膜。その後、このような血管は硝子体コンパートメントへと伸び得る。ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが網膜および脈絡膜に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが網膜に送達される。特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが脈絡膜に送達される。強膜が影響を受ける場合、有効量のメカミルアミンが強膜の適当な部分(例えば、前部領域、後部領域のいずれかまたは双方)に送達されるべきである。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜の後部に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜の前部および後部の双方に送達される。
【0219】
本明細書に記載の眼の前部組織に影響を及ぼす症状に関して、治療上有効な処置では、十分量のメカミルアミンが眼の前部領域に送達されるべきである。例えば、本明細書に記載の症状が現れる眼の前部領域の組織である角膜、水晶体、小柱網または虹彩。強膜が影響を受ける場合、有効量のメカミルアミンが強膜の適当な部分(例えば、前部領域、後部領域のいずれかまたは双方)に送達されるべきである。ある特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが角膜および水晶体に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが角膜に送達される。特定の実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが水晶体に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜の前部に送達される。いくつかの実施形態では、治療上有効量のメカミルアミンが強膜の前部および後部の双方に送達される。
【0220】
本明細書に記載の製剤および方法は単独で用いてもよいし、あるいは他の治療様式(例えば、治療される症状を治療または予防するために使用される付加的薬剤との併用療法および/またはさらなる付加的物理療法の投与、またはその組合せ)と(例えば、前、同時または後に)併用してもよい。例えば、本明細書に記載され、当業者に公知である1以上の付加的(非メカミルアミン)医薬剤(治療薬とも呼ばれる)との組合せ、および/または熱レーザー光凝固もしくは光線力学療法をはじめとする現在利用可能な物理療法。本明細書において「付加的物理療法」とは、医薬剤を用いない本明細書に記載の症状の処置(例えば、熱レーザー光線凝固、光線力学療法など)を指す。医薬剤および/または付加的物理療法の組合せを用いる場合、それらはメカミルアミンの局所的眼用製剤の投与とは独立に、投与前、投与と同時、または投与後に投与することができる。
【0221】
当業者に認識されているように、特定の症状には、種々の医薬剤および/または付加的物理療法が指示され得る。例えば、虹彩ルベオーシスの治療は、本明細書に記載の治療とともに、関連の緑内障の治療(例えば、医薬剤(例えば、ジクロルフェンアミド、カルボコール、デマカリウムブロミドなど)の使用)も含む。症状が血管新生緑内障(糖尿病性網膜症に関連することが多い)である場合、付加的医薬剤は眼内圧を低下させる薬剤(例えば、ステロイド)であってよく、付加的物理療法はレーザー光凝固を含み得る。翼状片がその症状である場合、1種類以上の医薬剤(例えば、人工涙、抗炎症薬など)、および可能性としては、例えばレーザーまたは外科的アブレーションなどの付加的物理療法が指示され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、医薬剤はこれまでに記載したようにnAChRアンタゴニスト、抗炎症薬(例えば、NSAIDなど)、VEGFアンタゴニスト、VEGFスカベンジャー(例えば、VEGFTRAPなど)、チロシンキナーゼ阻害剤、プロスタグランジン受容体アンタゴニスト、緑内障の治療に用いられる薬剤、または眼内圧を低下させるための薬剤であり得る。また、前者の2以上の組合せを投与してもよく、当業者ならば本明細書に提供される教示から決定することができる。
【0223】
ある特定の実施形態では、医薬剤は、限定されるものではないが、例えば、1種類以上のnAChRアンタゴニスト(例えば、メカミルアミンの製剤に関して上記されたものなど)であり得る。いくつかの実施形態では、医薬剤は抗炎症薬(例えば、NSAID)であり得る。ある特定の実施形態では、医薬剤はチロシンキナーゼ阻害剤であり得る。ある特定の実施形態では、医薬剤はプロスタグランジン受容体アンタゴニストであり得る。いくつかの実施形態では、医薬剤は緑内障の治療に用いられる薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、医薬剤は眼内圧を低下させる薬剤であり得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、医薬剤は本明細書に記載の症状の治療に有効であることが示されている1種類以上の医薬剤を含み得る。例えば、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体またはそのフラグメント、VEGFアプタマー(例えば、ペガプタニブ(pegaptanib)ナトリウム)。ある特定の実施形態では、抗VEGF抗体はモノクローナル抗体である。抗VEGF抗体の例としては、限定されるものではないが、ベバシズマブ(bevacizumab)およびラニミズマブ(ranibizumab)(それぞれGenentech, Inc., South San Francisco, CAにより開発中の商標AVASTIN(登録商標)およびLUCENTIS(登録商標))が挙げられる。医薬剤はまた、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体アンタゴニストペガプタニブ(pegaptanib)(アプタマー)(MACUGEN(登録商標); Pfizer)を含み得る。いくつかの実施形態では、医薬剤はVEGFスカベンジャー(例えば、VEGFTRAPなど)である。いくつかの変形形態では、医薬剤はVEGFスカベンジャー、VEGFアンタゴニストまたはチロシンキナーゼ阻害剤である。
【0225】
本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載され、当技術分野で公知の1種類以上の医薬剤、副作用の発生率および/または重篤度(有害反応を含む)および/またはその臨床発現をさらに軽減するための1種類以上の付加的薬剤(例えば、散瞳を阻害する薬剤)と組み合わせて、または(例えば、前、同時または後に)熱レーザー光凝固もしくは光線力学療法と組み合わせて投与することができる。しかしながら、これまでに述べたように、現在の臨床データおよび非ヒトin vivo動物試験に基づけば、副作用は発生率および重篤度には限りがあり、従って、多くの個体はこれらの作用を軽減および/または回避するために付加的医薬剤を投与する必要がない。本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載の1種類以上の医薬剤の投与の前、投与と同時、または投与後に投与することができる。本明細書に記載のその製剤はまた、症状または治療計画のいずれかに関連する症候を緩和する薬剤と組み合わせて(前、同時または後に)投与することができる。例えば、ある特定の変形形態では、熱レーザー光凝固または光線力学療法をメカミルアミンの投与前に個体に投与することができる。いくつかの変形形態では、熱レーザー光凝固または光線力学療法はメカミルアミンの投与後に個体に投与することができる。特定の変形形態では、熱レーザー光凝固または光線力学療法はメカミルアミンにより処置の過程に個体に投与することができる。
【0226】
医薬剤が本明細書に記載のメカミルアミン製剤と組み合わせて投与される場合、これらの付加的薬剤は非経口投与しても経口投与してもよい。例えば、静脈内、注射、経口、局所、生分解性インプラントなど。局所的眼のための薬剤の特定および製剤化の難しさを考えれば、ほとんどではないまでも多くの医薬剤が局所的眼送達用に製剤化されないが、その代わりに特定の薬剤に関して確立されたプロトコールに従って投与される。
【0227】
1種類以上の外科術および/または他の付加的な物理療法および/または付加的な医薬剤と本明細書に記載の製剤の投与との最適な組合せは、個体に基づき、本明細書に記載のものを含む特的の個体に作用する種々の因子を考慮して担当医が決定することができる。
【0228】
製剤および用量
これまでに述べたように、本明細書に記載の医薬製剤は、本明細書に記載の症状の治療または予防のために、本明細書に記載の使用方法とともに、それを必要とする個体の片眼または両眼に局所投与することができる。
【0229】
本明細書に記載の製剤は一般に意図される結果を達成するのに有効な量、例えば、治療される特定の症状を治療または予防するのに有効な量で使用される。これらの製剤は治療利益を達成するために治療的投与され得る。治療利益とは、患者がまだ根底にある症状に苦しめられているいかもしれないが、感覚または症状の改善を訴えるような、根底にある治療される症状の根絶または改善、および/または根底にある症状に関連する1以上の症候の根絶または改善を意味する。治療利益はまた、改善が実現するかどうかに関わらず、症状の進行の停止または遅延も含む。
【0230】
治療される症状が増殖性網膜症であるいくつかの実施形態では、有効量は、網膜および/または脈絡膜の脈管形成および/または新血管新生の割合(例えば、視力(例えばSnellenチャートによる)、網膜浮腫(例えば、光学的干渉断層法(Optical Coherence Tomography)による)または血管透過性(例えば、フルオレセイン血管造影法による)により治療前および/または治療後に測定される)を低下させるに十分な量である。ある特定の実施形態では、有効量は既存の新血管新生を低下させるのに十分な量である(例えば、ここで、上記に挙げられた治療後の1以上の臨床試験結果が治療前の同じ臨床試験(または試験の組合せ)と比べて軽減される)。当業者に認識されているように、眼の前部組織に作用する症状に対する治療進行をモニタリングするためには、同様の、または付加的な診断方法が使用可能である。
【0231】
有効量のメカミルアミン、またはその製薬上許容される塩を投与するために投与される製剤の量は、例えば、治療される特定の症状、投与頻度、投与される特定の製剤、治療される症状の重篤度、ならびに個体の年齢、体重および健康状態、治療される個体が受ける有害作用などを含む様々な因子によって異なる。有効量の決定は本明細書で提供される教示から、当業者の能力の範囲である。
【0232】
ある特定の実施形態では、特定の時点で投与されるメカミルアミンの単位用量が、治療前および/または治療後の視力(例えば、Snellenチャートによる)、網膜浮腫(例えば、光学的干渉断層法(Optical Coherence Tomography)による)または血管透過性(例えば、フルオレセイン血管造影法による)の評価によって決定される。ある特定の実施形態では、有効量は、既存の新血管新生を低下させるのに十分な量である(例えば、ここで、上記に挙げられた治療後に実施される1以上の臨床試験結果が治療前に実施される同じ1以上の臨床試験の結果と比べて軽減される)。
【0233】
ある特定の実施形態では、特定の時点で投与されるメカミルアミンの単位用量は、約0.01mg/眼〜約15mg/眼、例えば、約0.01mg/眼〜約7.5mg/眼である。いくつかの実施形態では、投与される用量は約0.01mg/眼〜約10mg/眼、約0.01mg/眼〜約5mg/眼、約0.01mg/眼〜約3mg/眼、約0.01mg/眼〜約1mg/眼、約0.01mg/眼〜約2mg/眼、0.03mg/眼〜約10mg/眼、約0.05mg/眼〜約5mg/眼、約0.05mg/眼〜約3mg/眼、約0.05mg/眼〜約1mg/眼、約0.05mg/眼〜約2mg/眼、0.1mg/眼〜約10mg/眼、約0.5mg/眼〜約5mg/眼、約0.5mg/眼〜約3mg/眼、約0.5mg/眼〜約2mg/眼、約0.5mg/眼〜約1mg/眼、約1mg/眼〜約10mg/眼、約1mg/眼〜約7mg/眼、約1mg/眼〜約5mg/眼、約1mg/眼〜約3mg/眼、または約1mg/眼〜約2mg/眼、約0.1mg/眼、約0.3mg/眼、約0.5mg/眼、約0.7mg/眼、約0.9mg/眼、約1mg/眼、約1.2mg/眼、約1.5mg/眼、約1.7mg/眼、約2mg/眼、約2.2mg/眼、約2.5mg/眼、約2.7mg/眼、約3mg/眼、約3.2mg/眼、約3.5mg/眼、約3.7mg/眼、約4mg/眼、約4.5mg/眼、約5mg/眼、約5.5mg/眼、約6mg/眼、約6.5mg/眼、約7mg/眼、約7.5mg/眼、約8mg/眼、約8.5mg/眼、約9mg/眼、約9.5mg/眼、約10mg/眼、約10.5mg/眼、約11mg/眼、約12mg/眼、約13mg/眼、約14mg/眼または約15mg/眼である。ある特定の実施形態では、特定の投与における用量は0.05mg/眼〜約1mg/眼である。
【0234】
特定の実施形態では、総1日用量は約0.01mg/眼〜約7.5mg/眼/日である。例えば、約0.005mg/眼〜約3.75mg/眼の用量を1日2回投与する。他では、例えば、約0.05mg/眼〜約0.5mg/眼の用量を1日2回投与する。いくつかの実施形態では、総1日用量は約0.1mg/眼〜約3mg/眼/日である。他の実施形態では、総1日用量は約0.1mg/眼〜約0.7mg/眼、約0.1mg/眼〜約0.5mg/眼または約0.1mg/眼〜約0.3mg/眼である。ある特定の実施形態では、総1日用量は約0.1mg/眼〜約1mg/眼である。
【0235】
当業者に認識されているように、所与の時点で投与される用量、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の濃度の選択には、個体の眼に適応可能な製剤の容量も考慮すべきである。例えば、メカミルアミンが未熟児網膜症を治療するために未熟児に投与される場合、体重およびおそらくは健康状態、小児の眼が低容量の製剤しか受け付けないために低容量が指示されることに加え、投与計画を変更する必要がある場合もある。しかしながら、このような変更および調整は、本明細書に提供される教示から過度な実験を行わなくとも、十分担当医の技量の範囲内にあるはずである。
【0236】
いくつかの実施形態では、眼当たりに投与される製剤の容量は約50μl〜約1mLであり得る。ある特定の実施形態では、眼当たりに投与される製剤の容量は約10μl〜約500μLであり得る。ある特定の実施形態では、眼当たりに投与される製剤の容量は約10μl〜約1mLであり得る。例えば、約10μl〜約400μl、約10μl〜約300μl、約10μl〜約200μl、約10μl〜約100μl、約10μl〜約50μl、約30μl〜約500μl、約30μl〜約400μl、約30μl〜約300μl、約30μl〜約200μl、約30μl〜約100μl、約30μl〜約50μl、約50μl〜約100μl、約50μl〜約90μl、約50μl〜約80μl、約50μl〜約70μl、約50μl〜約60μl、約60μl〜約100μl、約70μl〜約100μl、約80μl〜約100μl、約90μl〜約100μl、約110μl、約100μl、約90μl、約80μl、約70μl、約60μl、約50μl、90μl〜約100μl、約90μl〜約200μl、約90μl〜約300μl、約90μl〜約400μl、約90μl〜約500μl、約90μl〜約600μl、約90μl〜約700μl、約90μl〜約800μl、約90μl〜約900μl、約1mL、約900μl、約800μl、約700μl、約600μl、約500μl、約400μl、約450μl、約350μl、約300μl、約250μl、約200μl、約100μl、約90μl、約80μl、約70μl、約60μlまたは約50μlである。
【0237】
投与される用量は、因子の中でも、用いる特定の製剤、有害な副作用に対する個体の耐用性、投与頻度、および上記に述べた種々の因子によって、本発明に記載の用量範囲よりも高くても低くてもよい。投与量および投与間隔は、処方医師の判断に従って治療作用を維持するのに十分なメカミルアミンの網膜/脈絡膜組織レベルを提供するよう個々に調整することができる。当業者ならば、本明細書に提供される教示から過度な実験を行わなくとも、有効な局所用量を至適化することができる。
【0238】
用量はまた、in vivo動物モデルを用いて評価することもできる。
【0239】
また、本明細書に記載の製剤の複数用量を何時間、何日、何週間、または何ヶ月という過程でそれを必要とする個体に投与してもよい。例えば、限定されるものではないが、毎日、1日2回、1日3回、1日4回、1日おき、週1回、週2回などである。ある特定の実施形態では、製剤は毎日、1日に2回または1日に3回投与される。特定の実施形態では、製剤は1日2回または1日1回投与される。いくつかの実施形態では、製剤は1日1回投与される。他では、1日2回である。
【0240】
キット
また、本明細書に記載の製剤の局所的眼投与用のキットも提供される。
【0241】
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される少なくとも1つの医薬製剤の一定用量を含み得る。キットは好適なパッケージングおよび/またはその製剤の使用説明書をさらに含み得る。キットはまた、本明細書に記載の溶液およびin situゲル形成溶液の投与のためのアイドロッパー、または本明細書に記載され、当業者に公知である、特に製剤が投与前にゲル状である場合の製剤の投与において補助となる他の装置などの、その医薬製剤の送達手段も含み得る。
【0242】
これらのキットは本明細書に記載のメカミルアミン製剤とともに使用するための他の医薬剤を含んでもよい。ある特定の実施形態では、医薬剤は1種類以上の他のnAChRアンタゴニストである。これらの薬剤は独立した形態で提供してもよいし、あるいは本発明の化合物と混合してもよく、ただし、このような混合は本明細書に記載の医薬剤または製剤のいずれかの有効性を低下させず、眼への局所投与に適合していることである。同様に、これらのキットは補助療法のための付加的薬剤を含んでもよい。例えば、メカミルアミンの有害な作用を軽減するための薬剤または本明細書に記載の症状の治療に有効であることが当業者に知られている他の薬剤がある。
【0243】
これらのキットは製剤の調製および投与、製剤の副作用、ならびに他の関連情報に関する適当な使用説明書を含み得る。これらの使用説明書は、限定されるものではないが、印刷物、ビデオテープ、コンピューター読み取りディスクまたは光学ディスクをはじめとする好適ないずれの形式であってもよい。
【0244】
本発明の別の態様では、本明細書に記載の症状に罹患している、または罹患しやすい個体を処置するためのキットが提供され、そのキットは本明細書に開示される一定量の製剤および使用説明書を含む第1の容器を含む。この容器は当技術分野で知られ、静脈用製剤の保存および送達に適当ないずれのものであってもよい。ある特定の実施形態では、このキットは、個体へ投与する組成物の調製のための製薬上許容される担体、希釈剤、アジュバントなどを含む第2の容器をさらに含む。
【0245】
また、1〜3日、1〜5日、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月またはそれ以上といった長期間個体に有効な治療をもたらすに十分な用量の本明細書に開示される製剤を含むキットも提供される。
【0246】
また、キットは多回量の製剤および使用説明書も含むことができ、例えば、院内薬局および調剤薬局などの薬局での保存および使用に十分な量でパッケージングされ得る。
【0247】
キットは単位投与形または多回使用形のいずれかでパッケージングされた本明細書に記載の製剤を含み得る。
【0248】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の製剤は単位投与形で提供される。他の実施形態では、製剤は多用量形態(例えば、溶液滴を分配するための溶液の容器など)で提供してもよい。
【0249】
本明細書で引用した特許、特許出願および刊行物は全て参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0250】
本発明を以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0251】
材料
特に断りのない限り、実施例で用いる化学薬品および他の試薬は商業的供給者から試薬級として入手し、それ以上精製せずに用いた。
【0252】
メカミルアミン塩酸塩USP(Poli Industria Chimica, Milan, Italy)、ケタミン、キシラジン、GELRITE(登録商標)、NaCl、NaOH、HCl、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ナトリウムEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、アセトニトリル、ギ酸、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、メタノール。使用した水は脱イオン水(DI)であった。
【0253】
実施例1: メカミルアミンの非経口製剤
【表2】

【0254】
メカミルアミン塩酸塩の非経口製剤は、1gのメカミルアミン塩酸塩USP(白色粉末)と33.33mLの0.9%無菌NaClをメスフラスコ内でだいたい溶かすことにより調製した。この混合物を室温にて、メカミルアミン粉末が完全に溶解して透明な溶液が得られるまで手で攪拌した。溶液のpHをNaOHおよびHClを用いて7.4に調整した。
【0255】
実施例2: 静脈投与後の眼のバイオアベイラビリティ
この研究は、全身投与した際のメカミルアミンの眼のバイオアベイラビリティ(生物利用率)をモデル化するために計画した。ウサギの眼は眼用薬のin vivoモデル化に好ましいモデルであるが、ウサギは経口バイオアベイラビリティをモデル化するために選択される被験体でない。しかしながら、メカミルアミンは迅速に吸収され、高い経口バイオアベイラビリティを有することから、全身投与は経口投与されるメカミルアミンを模倣し、合理的な近似値が得られる。よって、血液からのメカミルアミンの血漿、硝子体および眼の後部組織(網膜/脈絡膜)への定着を測定するため、静脈注射を用いて、全身投与されたメカミルアミンの眼のバイオアベイラビリティをモデル化した。
【0256】
試験はKralek Farms (Turlock, CA)から入手した体重約2.5〜3kgの雄NZW(New Zealand White)ウサギの2群(各N=6、全12匹)からなった。実施例1に記載のように調製したメカミルアミン溶液を用量15mg/kgとして、短時間注入(1時間)または低速注入(6時間)のいずれかで、ケタミン/キシラジンにより鎮静させたウサギにi.v.注入により送達した(なお、この低速注入はメカミルアミンの制御された全身放出をモデル化することを意図したものである)。
【0257】
両群とも、硝子体(≧0.1ml)および血漿のサンプルを、投与前、30粉、1時間、2時間、4時間および6時間の6時点で採取した。6時間の時点で全ての動物を犠牲にし、硝子体および網膜組織を採取した。各注入中に投与されたメカミルアミンの総量は個々の動物の体重に対して同等とした。
【0258】
種々のサンプル中に存在するメカミルアミンの濃度を以下の実施例6に記載のように分析した。短時間注入の血漿(ng/mL)および硝子体(ng/mL)中のメカミルアミン濃度を図1に示す。長時間注入の血漿(ng/mL)および硝子体(ng/mL)中のメカミルアミン濃度を図2に示す。長時間注入後の網膜/脈絡膜組織中のメカミルアミンの濃度量を図3に示し、一方、図4Aは長時間注入のメカミルアミンの血漿、硝子体、および網膜/脈絡膜レベルの比較を示す。
【0259】
図1および2から明らかなように、同量のメカミルアミンの全身投与はいずれの期間でも、硝子体に比べて血漿中のメカミルアミンに大きなCmaxをもたらすが、長時間注入での最終時点は血漿濃度よりも硝子体中の濃度が上昇していることを示す。図3は、全身投与されたメカミルアミンが、長時間投与される際には網膜/脈絡膜に優先的に定着し、網膜/脈絡膜に到達するメカミルアミンの量は短時間注入よりも長時間注入のほうが2倍を超えて大きいことを示す。
【0260】
実施例3: 局所的眼用溶液製剤の調製
【表3】

【0261】
メカミルアミン塩酸塩USPを100mLのDI水に溶解させた。次に、0.9g重の塩化ナトリウムを攪拌しながら加え、溶液を等張とする(0.9%NaClw/v)。その後、この溶液0.2ミクロンメンブランフィルターで濾過し、無菌条件下でパッケージングした。
【0262】
実施例4: 局所的in situゲル形成眼用製剤の調製
【表4】

【0263】
メカミルアミンHCl USP(2.0g)を100mLのDI水に攪拌しながら溶解させた。次に、GELRITE(登録商標)粉末(0.6g)を、メカミルアミン水溶液中で振盪することにより分散させた。その後、この分散物を、機械的振盪機(Vortex)を用いて20分間攪拌した。20分の攪拌の後、GELRITE(登録商標)溶液を溶かし、溶液を形成させた。次に、この溶液を室温でおよそ16時間平衡化した。その後、この溶液を無菌条件下でパッケージングした。
【0264】
特に断りのない限り、ゲル形成ポリマー含量(GELRITE(登録商標))は0.6%(w/v)であった。
【0265】
実施例5: 局所的眼投与後の眼のバイオアベイラビリティ
この試験の目的は、等張性溶(実施例3のように調製)またはin situゲル形成溶液(実施例4のように調製)のいずれかとして投与されるメカミルアミンを眼の表面の局所適用した際の血漿、硝子体液および眼の網膜における薬物動態学を調べることであった。
【0266】
試験はKralek Farms (Turlock, CA)から入手した体重各約2〜3kgの雄NZW(New Zealand White)ウサギの2群(各N=4、全8匹)からなった。メカミルアミン塩酸塩を実施例3および4に記載のように製剤化し、in situゲル化溶液(1群)または等張溶液(2群)のいずれかとして100μlを各眼の角膜に投与し、下の瞼は、全用量が眼に確実に保持されるように眼の表面から離されポケットが形成される(試験計画に関しては表5を参照)。両群とも、硝子体(≧0.1ml)のサンプルを、投与前、30分、1時間(犠牲)、3時間、6時間、12時間および24時間(犠牲)の6時点で採取した(片目から1回採取)。ウサギの眼の痛みおよび損傷を最小限とするため、全ての時点で硝子体液サンプルを2回だけ(各々、異なる動物の異なる眼から)採取した。
【0267】
血漿用血液(≧0.5ml)および硝子体内液(〜0.1ml)を0分、30分、60分の時点で各動物から採取し、60分の時点で各群2個体を犠牲にした。3時間、6時間および12時間の時点で、残りの各動物から血漿用液(〜2ml)を、および硝子体液(〜100μl)をさらに2個体から採取した(各時点で2サンプルのみ)。残りの動物を全て24時間時点で犠牲にし、血液および硝子体液の双方を採取した。血液は、抗凝固剤としてナトリウムEDTAを用い、マイクロテイナー管(microtainer tube)に採取した。
【0268】
60分または24時間のいずれかの時点で動物を犠牲にし、硝子体および網膜(脈絡膜を含む)を採取した。血液も採取し、遠心分離を行って血漿を分離した。赤血球ペレットから血漿を分離し、双方を各時点でそれぞれ-80℃で冷凍した。
【0269】
血漿、赤血球ペレット、硝子体(ウサギ犠牲時に全硝子体を採取したが、2つのアリコートに分けた)および網膜(脈絡膜を含む)のサンプルを液体N2中で凍結させた。血漿および網膜(脈絡膜を含む)を-80℃で保存し、分析のため輸送する際には、サンプルの分解を防ぐため、ドライアイスを用いてパッケージングした。
【0270】
硝子体液穿刺および採血の間、ウサギは、不快感を最小限とし、手順を補助するためにケタミン/キシラジン混合物で軽く鎮静させた。血漿および硝子体液をすぐにラベルを付けたエッペンドルフ(Eppendorf)(登録商標)管に入れ、-80℃で冷凍した。サンプルは、分析のためにドライアイスを用いてパッケージングして輸送するまで-80℃で維持した。
【表5】

【0271】
実施例6: サンプル調製
血漿および硝子体サンプルの調製:
DMSO中0.5mg/mLmのメカミルアミン塩酸塩USP保存液を調製し、上記のように採取した種々のサンプル中のメカミルアミン含量の定量用の較正標準を作製するための検量標準として用いた。較正標準は、血漿中、100に0.5mg/mL標準1を希釈して5μg/mLとし(5μl+495μL)、その後、血漿で3倍連続希釈してメカミルアミン濃度2.29ng/mLとすることにより作製した。
【0272】
較正標準、品質管理(QC)サンプル、ならびに血漿、赤血球および硝子体試験サンプルを、血漿50μlを、内部標準として100ng/mLのデキストロメトルファンおよび50ng/mLのジフェンヒドラミンを含有する3倍量(150μl)の氷冷アセトニトリルを用いて沈殿させることにより、HPLC注入用に調製した。6000gにて30分の遠心分離の後、各上清40μlを、水中0.2%のギ酸200μlで希釈した。
【0273】
網膜/脈絡膜サンプルの調製
採取した各組織サンプルを秤量した。秤量後、組織1gにつき1μlの水を加え、その後、3倍量(水に対して)の氷冷内部標準溶液(100ng/mLのデキストロメトルファンおよび50ng/mLのジフェンヒドラミンを含有するアセトニトリル)を加えた。サンプルを電動ローター/ステーター型ホモジナイザー(Tissue Tearor)を用いてホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、各ホモジネートの200μlアリコートを遠心分離し、上記のように希釈した。これらのサンプルを、LC/MS/MSを用いて分析し、上記のように血漿中に調製した較正標準を用いて定量した。
【0274】
LC/MS/MS条件:
HPLC: Shimadzu VPシステム
移動相: 水中2%ギ酸(A)およびメタノール中0.18%ギ酸(B)
Column: 2 x 10mm Higgins Phalanx C18ガードカートリッジ
注入量: 100μl
勾配: 2分で5〜95%B、その後0.5分洗浄
流速: 400μl/分
質量分析計: Applied Biosystems/MDS SCIEX API 3000 (Applied Biosystems Inc., Fremont, CA)
インターフェース: TurboIonSpray (ESI) 400℃
極性: 陽イオン
Q1/Q3イオン: メカミルアミンでは68.2/137.2
ジフェンヒドラミン(内部標準)では256.2/167.2
デキストロメトルファン(内部標準)では272.1/215.2
投与溶液の分析:
メカミルアミン投与溶液(ラベル「A」および「B」)および0.5mg/mLの検量標準(上記)をDMSOにて容量で1:100希釈した。これらの溶液を、上記の条件を用いてLC/MS/MSにより分析し、投与溶液中のメカミルアミン濃度をDMSO中のメカミルアミン参照標準と比べて算出した。
【0275】
結果:
較正標準、QCサンプル、ならびに血漿、赤血球および硝子体試験サンプルをHPLC注入用に調製し、1日目に分析した。網膜試験サンプルをHPLC注入用に調製し、較正標準およびQCサンプルとともに5日目に分析した。投与溶液を網膜サンプルとともに分析した。
【0276】
ジフェンヒドラミンを内部標準として用い、指数回帰を用いて各較正曲線の当てはめを行った。濃度値が5000ng/mLを超えるサンプルは、適当なスケールで分析物のピークを得るために基の注入量の1/10を注入することにより再分析した。
【0277】
実施例5に示され、実施例6に記載のように分析された局所投与試験からのデータを図4A、5A-B、および6A-Bに示す。
【0278】
図4A、4Bおよび5Aの比較から、メカミルアミンが局所投与される(溶液またはin situゲル形成溶液のいずれかとして)場合に見られる相対量と比べて、メカミルアミンHClの全身投与による投与の結果、網膜/脈絡膜に見られる量に比べて血漿中に見られるメカミルアミンの相対量が大きくなるのが明らかである。全く予期しないことに、網膜/脈絡膜組織中に存在するメカミルアミン(ng/g)と血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比は、全身投与に比べて局所投与では少なくとも約40倍高い。よって、局所投与される所定量のメカミルアミンでは、網膜/脈絡膜に比べて血漿中に見られるメカミルアミンは遙かに少なく、従って、メカミルアミン投与の際にしばしば受ける副作用なく治療的用量を達成することができる。このデータはまた、赤血球および血漿中に存在するメカミルアミンのレベルは匹敵するものであることも示し、これは全身循環中のメカミルアミンが赤血球中に隔離されていなかったことを示唆する。よって、メカミルアミンの全身レベルの濃度(血漿または赤血球のいずれかにより測定される)は眼組織レベルに比べて驚くほど低く、眼から局所的にメカミルアミンの局所的眼用製剤を投与する場合には、個体がメカミルアミンの全身投与に関連する有害作用(例えば、CNS作用など)を受け得ないことを示す。
【0279】
さらに、局所的in situゲル形成溶液としてのメカミルアミンの製剤は網膜/脈絡膜組織中にメカミルアミンを優先的に隔離することにいっそう大きな効果を有し、網膜/脈絡膜組織中の濃度(ng/g)と血漿中のメカミルアミン濃度(ng/mL)の比は、in situゲル形成溶液では少なくとも約450:1である。種々の製剤の相対量および投与経路は下記表6に示されている。
【表6】

【0280】
実施例7: 単回用量および多回用量のウサギ眼の薬物動態
2.5〜4.5か月齢、体重1.5〜2.5kgのDutch-belted雄ウサギ(Covance, Denver, PA)に、3%メカミルアミン塩酸塩溶液(ポリマー不含溶液)を単回用量または約1.5時間あけた6回用量(1回50マイクロリットル)のいずれかとして点眼により与えた。種々の動物群から投与後0.5時間、投与後2時間に、一連の血液サンプル(各およそ0.5mL)を辺縁耳静脈からの直接静脈穿刺により、抗凝固薬としてEDTAを含む採血管に採取した。安楽死の直前に全ての動物から最終の血液サンプルを得た。薬剤溶液を投与して1時後、3時間後または6時間後に動物を安楽死させた。安楽死の後、眼の組織(表7に列挙)を得た。
【0281】
血漿および眼の組織中のメカミルアミンの濃度を、実施例6に記載のLC MS/MS法を用いて測定した。結果を表7に示す。
【表7】

【0282】
メカミルアミンはウサギの眼の前部から後部に高い濃度で見られた。眼房水中の平均ピークレベルはおよそ310〜920ng/mLであり、網膜/脈絡膜では、投与1〜6時間後で171〜510ng/g組織であった。濃度は6時間のサンプリング中、高いままであった。硝子体では比較的低いメカミルアミンが見られた。血漿レベルは低く、50ng/mL以下のオーダーであった。1時間おきに6回投与して1時間後に調べた際、網膜/脈絡膜中のメカミルアミン濃度は単回投与の5倍であった。眼房水および血液中にはいくらかの蓄積が見られたが、硝子体液には蓄積は見られなかった。網膜/脈絡膜と血漿のメカミルアミン濃度比は高かった(37〜147倍)。
【0283】
メカミルアミン製剤の局所的眼投与はウサギにおいて十分耐用性があり、投与後、有害な臨床徴候は見られなかった。
【0284】
実施例8: ウサギにおける単回眼投与薬剤の分布
3%メカミルアミン塩酸塩を含有するポリマー不含溶液、ゲランガム製剤およびヒプロメロース製剤の単回用量をウサギ(Dutch-belted雄ウサギ(Covance, Denver, PA)最低2か月齢、体重1.6〜1.8kg)の目に点眼した。投与後、30分、1時間または3時間で2匹の動物を安楽死させた。
【0285】
血液および眼組織のサンプル(これまでの実施例に記載の通りに得た)のメカミルアミン濃度を、投与3時間までにLC MS/MS法を用いて分析した。結果は表8にまとめる。
【表8】

【0286】
ポリマー不含溶液として投与されたメカミルアミンは、眼の前部から後部へと移動しつつ、高濃度で見られた。投与後30分〜3時間の間に測定された眼房水中の平均ピークレベルはおよそ7700〜9100ng/mLであり、網膜/脈絡膜では5000〜11300ng/mLであった。濃度は3時間のサンプリングの間、高いままであった。水晶体および硝子体では比較的低いメカミルアミンが見られた。血漿レベルは低く、50ng/mL以下のオーダーであった。
【0287】
曲線下面積(AUC)を、集団薬物動態に基づく台形の法則を用いて算出した(表9参照)。メカミルアミンの網膜/脈絡膜へのバイオアベイラビリティは、ポリマー不含溶液として投与される場合は〜7500ng/g時であった。
【0288】
よって、局所的眼用製剤として送達されたメカミルアミンは眼に浸透し、おそらくは強膜経路で眼の後部極に到達したことが明らかである。眼経路からの全身バイオアベイラビリティは低く、眼内レベルと全身レベルの比は高かった。本研究の過程で安全上の問題は見られなかった。
【表9】

【0289】
実施例9: 静脈投与後のウサギ眼組織におけるメカミルアミン分布
メカミルアミンを雄New Zealand whiteウサギ(およそ2.5〜3kg (Kralek Frams, Turlock, CA))に、60分または6時間にわたり、用量15mg/kg(注射用無菌0.9%NaClに溶解)で静脈投与した。薬剤濃度を血漿、硝子体では種々の時点で、網膜-脈絡膜組織では6時間の時点で、これまでに記載したように測定した。両群とも、8時点で硝子体液(>0.1mL)を採取し、各動物は合計2回を超えないようにサンプリングした:投与前、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および6時間。IACUC指針に従い、ウサギの眼の痛みおよび損傷を最小限とするため、全ての時点で硝子体液サンプルを2回だけ採取した。同時に血漿サンプルも8時点:投与前、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および6時間で採取した。6時間の時点で動物を犠牲にし、硝子体および網膜-脈絡膜組織を全ての動物から採取した。試験中、定期的に臨床所見を記録した。この試験の生体サンプルを、LC/MS/MSを用いて分析した(実施例6参照)(なお、定量の下方限界は0.5ng/mLであった)。
【0290】
血漿中の薬剤濃度の分析結果を下記の表10に示す。
【表10】

【0291】
予測されたように、血漿レベルは、薬剤の長時間注入に比べ短時間注入の方が高いピーク平均濃度を示した(5,331ng/mL対717ng/mL)。ピークレベルは短時間注入では0.5時間以内に見られたが、長時間注入では比較的一定であった。
【0292】
硝子体液中の薬剤濃度の分析結果を下記表11に示す。
【表11】

【0293】
硝子体中のメカミルアミンレベルは血漿に見られる経時的推移と平行しており、硝子体中のレベルは、短時間注入では1110ng/mLまでの範囲であり(1時間の時点で見られる)、長時間注入では平均458ng/mLであった(6時間の時点で見られる)。
【0294】
網膜/脈絡膜中の薬剤濃度の分析結果を下記表12に示す。
【表12】

【0295】
網膜/脈絡膜では、6時間時点での犠牲時にのみサンプリングし、平均レベルは短時間中では261ng/mL、長時間注入では1,534ng/mLであった。
【0296】
実施例10: 局所点眼後の2%メカミルアミンGELRITE溶液の眼の薬物動態に関する6時間評価
本試験の目的は、New Zealand Whiteウサギの眼への点眼後6時間までの、2%メカミルアミンGELRITE溶液の眼の薬物動態を評価することであった。最低9週齢、体重2〜3kgのNew Zealand White雌ウサギ9個体をThe Rabbit Source(Ramona, CA)から入手し、試験に用いた。投与計画は表13に示す。
【表13】

【0297】
1日目に、50μLのメカミルアミンまたはビヒクル2滴を、表13に記載のように各動物の適当な眼に局所投与した。各投与時刻を記録した。この処置群に死亡は見られなかった。
【0298】
瞳孔サイズ: 本試験の過程で2%メカミルアミン処置した眼の瞳孔径(水平または垂直)に明らかな差は見られなかった。2%メカミルアミン処置した眼において、15分(投与前)時点に比べて15分時点の瞳孔径に小さな低下が見られたが、この低下は実質的または一貫したものではなかった。瞳孔反応は全ての眼、全ての観察時点で正常であった。
【0299】
メカミルアミンの眼の分布について、眼組織の平均値を表14に示す。脈絡膜では、片眼投与1時間後のメカミルアミン濃度は〜2800ng/gであった。この群の動物のもう一方の非処置の眼の平均メカミルアミン濃度は〜700ng/gであった(このことは、もう一方の眼にも薬剤送達があったことを示唆する)。両眼投与1時間後、メカミルアミン濃度は〜14,000ng/gであり、3時間後には〜500ng/gまで、6時間後には〜260ng/gまで低下した。網膜中のメカミルアミンレベルも、脈絡膜で見られたものと同様であった。角膜、眼房水にも比較的高濃度のメカミルアミンが見られたが、硝子体液には見られなかった。血漿および稠密細胞中の平均レベルはおよそ5〜38ng/mLであり、両眼投与の1時間後に最高となった。血漿および稠密細胞中のメカミルアミンレベルは類似しており、従って、赤血球に隔離されているという証拠は無かった(表15)。
【表14】

【表15】

【0300】
実施例11: メカミルアミンHClを含有する生理食塩水の局所点眼の安全性
「メカミルアミン眼用溶液の眼および全身安全性を評価するための第1相、二重盲険、無作為化、1日目および14日目用量増加試験」と題された第1相試験を米国にて健常成人で開始した。本試験の安全性目的は、1日目投与(2回投与)および14日目(BID)投与後のメカミルアミン眼用溶液4濃度の眼および全身安全性を評価することであった。評価したメカミルアミン眼用溶液の用量レベルは0.03%、0.1%、0.3%および1%であった。メカミルアミン眼用溶液およびプラセボ製剤の組成を下記の表7に示す。
【0301】
試験1日目に、各群10名の被験者の片眼に、6時間あけて2回の投与を行った。各群8名の被験者にメカミルアミン眼用溶液を与え、2名の被験者にはビヒクル(プラセボ)のみを与えた。14日目には、10名の被験者の両眼に、12時間あけて1日2回、連続14日間の投与を行った。被験者の局所(眼)安全性および耐用性を、眼の状態、眼の快適性、最良矯正視力、フルオレセイン染色を用いた生体顕微鏡観察、Goldman圧平眼圧計による眼内圧(IOP)の測定、検眼鏡検査、瞳孔サイズおよびSchirmer試験に基づき評価した。また、被験者の全身安全性も、身体検査、12-lead ECG、バイタルサイン、有害事象、血液学、臨床化学および検尿の評価に基づき評価した。
【0302】
2006年10月26日に、計80名の予定被験者のうち70名を処置した。投与は現在、10名の被験者の最終投与群で進行中である(ATG003 1% BID x 14日)。これまでの結果では、処置に関連する眼または全身毒性の示唆はない。具体的には、
・全ての投与群の全被験者が快適性レベルを、試験薬剤の投与後、「極めて快適」または「快適」のいずれかとして評価した。いずれの投与群でも、どの時点でも、「不快」または「耐え難い」徴候を受けた被験者は無かった。
【0303】
・どの被験者にも最良矯正視力に有意な変化は無かった。
【0304】
・どの被験者にも、拡大およびフルオレセイン染色を用いた生体顕微鏡(スリットランプ)検査に基づく、臨床関連の治療創発(treatment emergent)作用は見られなかった。特に、角膜びらんもしくは潰瘍、前房異常、結膜刺激作用もしくは発赤、または水晶体もしくは網膜異常の所見はどの被験者にも無かった。
【0305】
・眼内圧における異常なまたは臨床関連の治療創発上昇はどの被験者にも見られなかった。
【0306】
・瞳孔サイズの変化はどの被験者にも見られなかった。
【0307】
・涙産生の治療創発変化はどの被験者にも見られなかった。
【0308】
・脈拍または血圧の治療創発変化(体位変化を含む)はどの被験者にも見られなかった。
【0309】
・重大または重篤な有害事象はどの被験者にも見られなかった。
【0310】
これまでに報国されている有害事象は全て、軽度かつ一時的な性質のものである。有害事象の結果、試験投薬を中断した被験者は無かった。全身神経節遮断(便秘、尿貯留、体位性低血圧または口渇など)から生じる有害作用における薬剤関連の増加の証拠は無かった。
【0311】
・ECGパラメーターの臨床関連変化はどの被験者にも見られなかった。
【0312】
・いずれの測定値(血液学、臨床化学および検尿)にも臨床関連変化は見られなかった。
【表16】

【0313】
実施例12: メカミルアミンHCl眼用溶液の眼投与後のヒト被験者血漿中のメカミルアミンレベルの測定
第1層二重盲険、プラセボ対照無作為化計画で、健常ボランティアに0.03%、0.1%、0.3%および1%濃度のメカミルアミンHCl眼用溶液を投与した。本試験の第1段階で、被験者の片眼にメカミルアミン眼用溶液を、他方の眼にプラセボを2回投与した。投与は単日に6時間あけて局所点眼として行った。本試験の第2段階では、被験者の両眼に、所定の処置日に2回ずつ、連続14日間投与した。薬物分析用の血液サンプルは、試験の第1段階の単日投与の際には採取しなかった。試験の第2段階の14日間投与の際、投与1日目、7日目および14日目(投与前、最初の投与の1.5時間後および3時間後)に被験者の血液サンプルを採取した。最終サンプルは最初の投与から72時間後に採取した。血液サンプルはLC-MS/MS法を用いて分析し、メカミルアミン濃度を測定した。
【0314】
実施例13: メカミルアミンの眼投与に関する14日イヌ毒性試験
3%メカミルアミン塩酸塩(HCl)を含有する眼用生理食塩水製剤を、健常ビーグル犬における毒物作用および薬物動態に関して評価した。薬剤溶液または対となるビヒクル対照をビーグル犬の両眼に連続14日または15日間、1日2回、4回および8回で投与した。
【0315】
試験経験のない、5〜7か月齢、体重6.0〜8.5キログラムの32匹のビーグル犬(雄16匹、雌16匹)を下記表17に示すように各処置群に割り付けた。
【表17】

【0316】
動物に、雄は連続14日間、雌は連続15日間、1日2回、4回または6回の投与を行った。各投与時に用量(50マイクロリットル)を眼球に投与した。毎日2回、死亡率と臨床所見を評価した。眼の所見は毎日2回、Draizeスコアシステムに従って評価した(Draizeら, (1944) J. Pharm. Exp. Ther. 82: 377-390、参照により本明細書に組み入れられる)。全動物の全ての眼に、間接的検眼鏡およびスリットランプを用いて眼科検査を行い、McDonald and Shadduck (McDonald & Shadduck (1977) Advances in Modern Toxicology 4: 162 (New York, Wiley)、参照により本明細書に組み入れられる)に従い、7日目と14日目に群1の処置開始前、初回投与後1〜2時間に評価した。およその瞳孔サイズを、各動物で、試験開始前、1日目および8日目の毎日の最終投与から少なくとも30分後、および15/16日目の最終的な犠牲の前に評価した。全ての動物から処置開始前と14日目に網膜電図(ERG)を得た。血液学、血液凝固および臨床化学パラメーターの評価のための血液サンプルを処置開始前と15/16日目の最終的な犠牲の前に採取した。全ての動物から選択された組織を剖検採取し、選択された器官を秤量し、選択された組織を顕微鏡検査で評価した。
【0317】
試験中、予定外の脂肪は無かった。さらに、試験中、体重、食物摂取、血液学パラメーター、血液凝固パラメーター、器官重量、眼内圧または瞳孔サイズに対する試験品に関連する影響は見られなかった。臨床化学パラメーターに対する試験品に関連する影響も見られなかった。
【0318】
2日目と11日目以外のほとんどの投与日で、6回目の投与から30分以内に左眼および/または右眼に斜視が見られた動物が第4群に少なくとも1個体いた。右目に同じ回数のビヒクルを投与した第1群の動物にはいずれの日にも類似の所見は見られなかったので、これらの所見はメカミルアミンHCl3%眼用溶液の1日6回の投与に関連するものとみなされた。
【0319】
Draize評価による最も一般的な所見は、結膜血管の一定の充血である発赤スコア1(スコア3のうち)であった。この所見は第3群および/または第4群の動物の投与1〜2時間後の観察により多く、第2群の動物にはあまり頻繁に見られず、第1群の動物ではまれにしか見られなかった。この徴候は一般に、毎日の投与前のDraize評価ではほとんどの眼に見られなかったので、前日の所見の消散が示唆される。
【0320】
McDonald and Shadduckスコアリングおよび間接的検眼鏡検査とスプリットランプ生体顕微鏡により7日目に観察した際、明らかに試験品に関連する影響は無かった。14日目、眼検査の結果はERG手順により、またはおそらくはERG手順の眼の操作の直接的結果により複雑なものとなった。結果は第1群の雄1個体の少なくとも片眼に結膜充血が見られたこと、第2群の3個体、第3群の2個体、および第4群の8個体に両眼の結膜充血が見られたことを示す。しかし、角膜びらんは第4群の2個体に限られ、試験品の影響が暗示される。
【0321】
全網膜電図データを調べたところ、試験化合物またはビヒクルに帰する網膜変性または他の生理学的異常を裏付ける証拠は質的にも量的にも得られなかった。
【0322】
15日目および16日目に犠牲にした全動物に関して、試験品に関連する大きな剖検所見は無く、眼球(網膜、脈絡膜、強膜、水晶体、角膜、虹彩/毛様体および視神経を含む切片)、瞼(存在する場合)、結膜、眼外筋および涙腺(存在する場合)の組織病理学的評価からは試験品に関連する明らかな障害は無かった。眼の切片にはおよそ5mmの中央断面が含まれ、評価時には、第4群の2個体に検出可能な角膜びらんは見られなかったが、14日目のフルオレセイン染色では陽性であり、このことはこれらの障害の満足のいく消散を示唆する。
【0323】
最大観察濃度(Cmax)は極めて有用であり、第2群の最初の投与で最も著しかった。Cmaxは一般に第3群と第4群では直線的な用量比例を示し(平均44および64ng/mL)、第2群では良好な直線的な用量比例を示し(平均49ng/mL)、最少量の投与であったにもかかわらず、全体値は最高であった(185ng/mL)。第2群では、1日目の値は13日目の値よりも(比較的)変動が大きく、第3群および第4群では、1日目の値は13日目の値よりも比較的変動が小さかった。高用量群(第4群)は、13日目の投与前に、小さいが、測定可能なメカミルアミン値を示した。第2群に関して示されたもの以外、1日目〜13日目の間に毒物動態に顕著な違いは見られなかった。蓄積比は最大1.14であり、13日間の眼科投与後、いずれの群にも有意な蓄積はないことが示された。また、薬剤の代謝の誘導または阻害も示されなかった。
【0324】
結論として、3%メカミルアミン塩酸塩、3%眼用溶液には、ビーグル犬に連続14日(雄)または15日(雌)、1日2回投与(投与間約4時間、計3mg/眼/日)または1日4回投与(投与間約2時間、計6mg/眼/日)した際、明らかな有害作用が伴わなかった。メカミルアミンHCl、3%眼用溶液を1日6回投与(投与間約1.5時間、計9mg/眼/日)したビーグル犬には、数日の斜視の臨床徴候が見られ(対照には見られない)、8個体のうち2個体で14日目に、軽度ではあるが最も一貫したDraizeスコアおよび角膜びらんの様相が試験品の影響を示唆した。よって、局所的メカミルアミンHCl、3%眼用溶液の観察可能な有害作用レベル(NOAEL)は、連続15日の1日4回投与(投与間約2時間)、計6mg/眼/日であるとはみなされない。
【0325】
実施例14: 4週間の回復を含むイヌにおけるメカミルアミン塩酸塩眼用溶液の39週眼毒性試験
本試験の目的は、健常なビーグル犬に39週間局所的眼適用により1日2回投与し、その後、4週間の回復期間と13週目の臨時滴犠牲を含む場合の試験品の全身毒性および眼毒性および毒性動態を特徴付けることであった。
【0326】
長期間ヒトに使用する前には、非齧歯類種における慢性毒性試験の実施が必要である。実質的な量の公開されている歴史的データに基づき、毒性試験に用いる標準的な非齧歯類種はビーグル犬である。本試験に用いる個体数は、長時間反復投与する場合の試験品の毒性、その可逆性および毒性動態を定義するのに必要である。
【0327】
下表に記載のように本試験には3つの処置群が含まれる。
【表18】

【0328】
試験薬剤は1日2回点眼により投与する(投与間はおよそ6時間)。ヒトにおいて意図される投与経路であることから、眼経路を選択した。
【0329】
13週間投与した後、第1群、第2群および第3群において3動物個体/性別をバルビツレートの過剰投与により安楽死させ、剖検を行った。39週間の投与後、4動物個体/性別/群をバルビツレートの過剰投与により安楽死させ、剖検を行った。治療期間の後、第1群および第3群の3動物個体/性別に対して試験を続け、処置せずに、4週間の回復期間後にバルビツレートの過剰投与により安楽死させ、剖検を行った。
【0330】
試験中、動物の死亡率および臨床所見を少なくとも1日1回調べた。Draizeに従う眼所見の記録は、最初の所見記録を1日目に行い、1週間に2回とる。所見記録は、特定の日の最初の投与前と同じ日の2回目の投与を行っておよそ1〜2時間後にとる。眼スコアは、13週間および39週間投与した後と4週間の回復期の後の予定犠牲の前に一度記録する。
【0331】
およそ1か月の薬剤投与の後、試験品の可能性のある毒性に関連する臨床上重大な所見は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0332】
【図1】総用量/ウサギ15mg/kg、注入時間1時間でウサギにメカミルアミン塩酸塩の非経口水溶液を静脈内投与した後の血漿(黒四角)中および硝子体(黒三角)中のメカミルアミンの濃度(ng/mL)を示す。
【図2】総用量/ウサギ15mg/kg、注入時間6時間でウサギにメカミルアミン塩酸塩の非経口水溶液を静脈内投与した後の血漿(黒四角)中および硝子体(黒三角)中のメカミルアミンの濃度(ng/mL)を示す。
【図3】総用量/ウサギ15mg/kgで、メカミルアミン塩酸塩の非経口水溶液の1時間(S)または6時間(L)静脈注入後のウサギ眼の網膜/脈絡膜組織中のメカミルアミンの濃度(ng/g)を示す。
【図4】(A)総用量/ウサギ15mg/kgでのメカミルアミン塩酸塩の非経口水溶液の6時間静脈注入として、および用量約1mg/kg/眼での2%メカミルアミン塩酸塩のin situゲル形成溶液のウサギ眼への局所投与により投与されたウサギの血漿中(ng/mL)、硝子体中(ng/mL)および網膜/脈絡膜組織中(ng/g)のメカミルアミン濃度を示す。
【図5】(A)用量約1mg/kg/眼での2%メカミルアミン塩酸塩の等張眼用水溶液、および(B)用量約1mg/kg/眼での2%メカミルアミンのin situゲル形成溶液を局所投与したウサギの血漿中(ng/mL)、硝子体中(ng/mL)および網膜/脈絡膜組織中(ng/g)のメカミルアミン濃度を示す。
【図6】(A)硝子体(黒三角)、血漿(黒四角)および赤血球(黒逆三角)における用量約1mg/kg/眼での2%メカミルアミン塩酸塩の等張眼用水溶液のウサギへの局所投与後、および(B)硝子体(黒逆三角)、血漿(黒菱形)および赤血球(黒四角)における用量約1mg/kg/眼での2%メカミルアミンのin situゲル形成溶液のウサギへの投与後の経時的な(t=0〜t=24時間)メカミルアミン濃度(ng/mL)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の後部組織、前部組織または液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、
a)それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用するステップを含み、
該メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の後部組織、前部組織または液体の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の後部組織または前部組織または液体の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する、方法。
【請求項2】
眼の後部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、
a)それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用するステップを含み、
該メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の後部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の後部組織の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する、方法。
【請求項3】
前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約40:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約20:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記比が少なくとも約80:1である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記比が少なくとも約300:1である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記比が約40:1〜約1000:1である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
前記比が約40:1〜約2000:1である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項9】
前記比が約20:1〜約1000:1である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記比が約20:1〜約2000:1である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状を治療または予防する方法であって、
a)それを必要とする個体の片眼または両眼に、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩と局所的眼投与に好適な担体を含む製剤を局所適用するステップを含み、
該メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩は、眼の前部組織の新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する症状の治療または予防のために、眼の前部組織の1以上に治療上有効量のメカミルアミンを送達するのに十分な量で製剤中に存在する、方法。
【請求項12】
前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される角膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比 ([ng/gメカミルアミン角膜組織]:[ng/mL血漿])は少なくとも約100:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記比が少なくとも約1000:1である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記比が少なくとも約1500:1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記比が約1000:1〜約4000:1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記比が約1000:1〜約3000:1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約70ng/mL未満である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約50ng/mL未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約25ng/mL未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約10ng/mL未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度は約5ng/mL未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記製剤がウサギの眼に局所投与される場合、曲線下面積として測定される血漿中のメカミルアミンの総濃度は約100ng/mL-hr未満である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記担体が生理食塩水を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生理食塩水が等張である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記担体が水を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記製剤がポリマーを実質的に含まない、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記担体が増粘剤をさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記増粘剤が水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および可溶性デンプンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記増粘剤が水溶性セルロース誘導体である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記増粘剤がヒプロメロース(hypromellose)である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記担体が約0.03%〜約2%(w/v)のゲル形成ポリマーと水を含み、
このゲル形成ポリマーがウサギの眼に局所投与される場合、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約300:1となるように選択される、請求項1〜25または27〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記製剤が局所的眼投与の前にゲル化される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記製剤が局所的眼投与時にin situでゲルを形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記ゲル形成ポリマーが多糖類である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記多糖類がゲランガムである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記担体が約0.05%〜約2%(w/v)のゲランガムを含む、請求項1〜25または請求項27〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記担体が約0.1%〜約1%(w/v)のゲランガムを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記担体が約0.1%〜約0.6%(w/v)のゲランガムを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なS-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なR-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記製剤が約0.001%〜約6%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記製剤が約0.001%〜約5%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記製剤が約0.03%〜約4%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記製剤が約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記製剤が約0.03%〜約2%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記製剤が約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記製剤が界面活性剤を実質的に含まない、請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記製剤が1種類以上の保存剤または界面活性剤をさらに含む、請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記製剤が保存剤を含む、請求項1〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記保存剤が塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀および酢酸フェニル水銀からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記保存剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記担体が1種類以上の等張化剤を含む、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記1種類以上の等張化剤がポリオールである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリオールが糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記1種類以上の等張化剤がマンニトール、グリセリンまたはその組合せである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記製剤がさらにキレート剤を含む、請求項1〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記キレート剤がエデト酸二ナトリウム(二水和物)である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記担体が等張水溶液を含み、前記製剤がさらにキレート剤と保存剤を含む、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項59】
前記担体が約0.05%〜約1%(w/v)のゲランガムおよび水を含む、請求項1〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記製剤がさらに1種類以上の保存剤を含む、請求項1〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記1種類以上の緩衝剤が、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、マレイン酸バッファー、ホウ酸バッファーおよびその組合せからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記個体が眼の後部組織の網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する1以上の症状を有すると特定されている、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
個体が眼の後部組織の網膜新血管新生、脈絡膜新血管新生、新血管新生、異常な脈管形成、血管透過性またはその組合せが介在する1以上の症状に罹患しやすいと特定されている、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記個体が増殖性網膜症を有するか、または罹患しやすいと特定されている、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記個体が非血管新生型の黄斑変性を有するか、または罹患しやすいと特定されている、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記症状が糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性に関連する網膜新血管新生、黄斑変性に関連する脈絡膜新血管新生、黄斑浮腫に関連する網膜症または鎌形赤血球症に関連する網膜症である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記症状が糖尿病性網膜症である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記症状が未熟児網膜症である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記症状が黄斑変性に関連する網膜新血管新生または脈絡膜新血管新生である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記症状が加齢性黄斑症である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記症状が加齢性黄斑変性である、請求項1〜9または17〜61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記加齢性黄斑変性が血管新生型の加齢性黄斑変性である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記症状が眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連しているか、または眼の前部組織と後部組織の双方に影響を及ぼす異常な脈管形成を含む症状である、請求項1または3〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記症状が眼の前部組織に影響を及ぼす異常な脈管形成に関連する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記症状が角膜新血管新生、翼状片、角膜移植後新血管新生、虹彩ルベオーシスまたは血管新生緑内障である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記症状が硝子体、網膜または脈絡膜新血管新生を含む、請求項1〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記症状が眼腫瘍である、請求項1〜62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記個体が哺乳類である、請求項1〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記哺乳類が霊長類、ウサギ、イヌ、ネコまたは齧歯類である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記哺乳類が霊長類である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記霊長類がヒトである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記治療上有効量のメカミルアミンが網膜に送達される、請求項1〜9、17〜73または76〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記治療上有効量のメカミルアミンが脈絡膜に送達される、請求項1〜9、17〜73または76〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記治療上有効量のメカミルアミンが網膜と脈絡膜に送達される、請求項1〜9、17〜73または76〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記治療上有効量のメカミルアミンが角膜、虹彩、小柱網、強膜または水晶体に送達される、請求項1、3〜60または67〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記治療上有効量のメカミルアミンが角膜に送達される、請求項1、3〜60または73〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記治療上有効量のメカミルアミンが水晶体に送達される、請求項1、3〜60または73〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記治療上有効量のメカミルアミンが虹彩に送達される、請求項1、3〜60または73〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記治療上有効量のメカミルアミンが強膜に送達される、請求項1、3〜60または73〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記治療上有効量のメカミルアミンが小柱網に送達される、請求項1、3〜60または73〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
工程(a)が1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、2日に1回、週に1回または週に2回行われる、請求項1〜90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
個体に医薬剤、付加的物理療法またはその組合せを投与することを含む工程(b)をさらに含む、、請求項1〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
工程(b)が工程(a)の前に、または工程(a)と並行して行われる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記医薬剤がVEGFアンタゴニスト、VEGFスカベンジャーまたはチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項92または93に記載の方法。
【請求項95】
前記VEGFアンタゴニストがVEGFアプタマーである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記VEGFアプタマーがペガプタニブ(pegaptanib)である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記医薬剤が抗VEGF抗体またはそのフラグメントである、請求項92または93に記載の方法。
【請求項98】
前記抗VEGF抗体がベバシズマブ(bevacizumab)、ラニミズマブ(ranibizumab)、またはその組合せである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記付加的物理療法が熱レーザー光凝固または光線力学療法である、請求項92〜98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
局所的眼投与用に製剤化された、メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩、水およびゲル形成ポリマーを含み、
該ゲル形成ポリマーが、その製剤がウサギの眼に局所投与される場合に、ng/gの単位で測定される脈絡膜組織および網膜組織中に存在するメカミルアミンの濃度とng/mLの単位で測定される血漿中のメカミルアミンの濃度の比([ng/gメカミルアミン脈絡膜組織+網膜組織]:[ng/mL血漿])が少なくとも約300:1となるように選択される、医薬製剤。
【請求項101】
前記比が約300:1〜約1000:1である、請求項100に記載の製剤。
【請求項102】
前記比が少なくとも約350:1である、請求項101に記載の製剤。
【請求項103】
ウサギの眼に局所投与される場合、前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度が約70ng/mL未満である、請求項100〜102のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項104】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度が約50ng/mL未満である、請求項103に記載の製剤。
【請求項105】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度が約25ng/mL未満である、請求項103に記載の製剤。
【請求項106】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度が約10ng/mL未満である、請求項103に記載の製剤。
【請求項107】
前記血漿中のメカミルアミンの平均最大濃度が約5ng/mL未満である、請求項103に記載の製剤。
【請求項108】
前記ゲル形成ポリマーが約0.03%〜約2%(w/v)の濃度で存在する、請求項100〜107のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項109】
局所的眼投与前にゲルである、請求項100〜108のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項110】
局所的眼投与時にin situでゲルを形成する、請求項100〜108のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項111】
前記ゲル形成ポリマーが多糖類である、請求項110に記載の製剤。
【請求項112】
前記多糖類がゲランガムである、請求項111に記載の製剤。
【請求項113】
前記ゲル形成ポリマーが約0.05%〜約2%(w/v)の濃度で存在するゲランガムである、請求項112に記載の製剤。
【請求項114】
前記ゲランガムが約0.1%〜約1%(w/v)の濃度で存在する、請求項113に記載の製剤。
【請求項115】
前記ゲランガムが約0.1%〜約0.6%(w/v)の濃度で存在する、請求項114に記載の製剤。
【請求項116】
前記担体が1種類以上の等張化剤を含む、請求項100〜115のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項117】
前記1種類以上の等張化剤がポリオールである、請求項116に記載の製剤。
【請求項118】
前記ポリオールが糖アルコール、トリヒドロキシアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールである、請求項117に記載の製剤。
【請求項119】
前記1種類以上の等張化剤がマンニトール、グリセリンまたはその組合せである、請求項116に記載の製剤。
【請求項120】
実質的に界面活性剤を含まない、請求項100〜119のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項121】
1種類以上の保存剤または界面活性剤をさらに含む、請求項100〜119のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項122】
保存剤を含む、請求項100〜121のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項123】
前記保存剤が塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、フェニルエチルアルコール、プロピルパラベン、チメロサール、硝化フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀および酢酸フェニル水銀からなる群から選択される、請求項122に記載の製剤。
【請求項124】
前記保存剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項123に記載の製剤。
【請求項125】
メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩が約0.001%〜約6%(w/vol)の濃度で存在する、請求項100〜124のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項126】
メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩が約0.001%〜約5%(w/vol)の濃度で存在する、請求項125に記載の製剤。
【請求項127】
約0.03%〜約4%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項126に記載の製剤。
【請求項128】
約0.03%〜約3%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項127に記載の製剤。
【請求項129】
約0.03%〜約2%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項128に記載の製剤。
【請求項130】
約0.1%〜約1%(w/v)のメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩を含む、請求項129に記載の製剤。
【請求項131】
前記ゲル形成ポリマーが約0.05%〜約1%(w/v)の濃度で存在するゲランガムである、請求項100〜130のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項132】
メカミルアミンの製薬上許容される塩を含む、請求項100〜131のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項133】
前記メカミルアミンの塩がメカミルアミン塩酸塩である、請求項132に記載の製剤。
【請求項134】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なS-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項100〜133のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項135】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なR-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項100〜133のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項136】
医薬剤をさらに含む、請求項100〜135のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項137】
請求項100〜136の製剤、パッケージングおよび使用説明書を含むキット。
【請求項138】
前記製剤が多用量形態で提供される、請求項137に記載のキット。
【請求項139】
前記製剤が1以上の単一の単位用量形態で提供される、請求項137に記載のキット。
【請求項140】
十分な製剤が約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約6か月、約9か月または約1年の期間の治療に提供される、請求項137〜139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項141】
1種類以上の非メカミルアミンニコチン性アセチルコリン受容体アンタゴニストをさらに含む、請求項137〜140のいずれか一項に記載のキット。
【請求項142】
1種類以上の医薬剤をさらに含む、請求項137〜141のいずれか一項に記載のキット。
【請求項143】
前記医薬剤がメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の医薬製剤とは別の容器で提供される、請求項142に記載のキット。
【請求項144】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なS-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項137〜143のいずれか一項に記載のキット。
【請求項145】
前記メカミルアミンが実質的に純粋なR-メカミルアミンとして製剤中に配合される、請求項137〜143のいずれか一項に記載のキット。
【請求項146】
請求項93〜126のいずれか一項に記載の製剤の製造方法であって、
(a)ゲル形成ポリマーをメカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液中に分散させること;
(b)工程(a)で形成された混合物を混合して溶液またはゲルを形成させること
を含む、方法。
【請求項147】
(c)工程(b)で形成された溶液またはゲルを平衡化させる工程
をさらに含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液が医薬剤、保存剤または界面活性剤をさらに含む、請求項146または147に記載の方法。
【請求項149】
前記メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液が保存剤をさらに含む、請求項146または147に記載の方法。
【請求項150】
前記メカミルアミンまたはその製薬上許容される塩の水溶液が界面活性剤を含む、請求項146〜149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記工程(c)で形成された溶液が局所的眼投与の際にin situでゲルを形成する、請求項146〜150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記工程(b)または工程(c)で形成される溶液が局所的眼投与前にゲルである、請求項146〜151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記工程(b)における混合が攪拌、加熱またはその組合せを含む、請求項146〜152のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−519962(P2009−519962A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545889(P2008−545889)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/048487
【国際公開番号】WO2007/075720
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507084741)コメンティス,インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】