説明

着信管理システム

【課題】多くの人が被害や不快感を受けている有害な迷惑電話に対しては、それが未知の電話番号であっても未然に拒否することが可能な着信管理システムを提供する。
【解決手段】着信管理システムは、電話機に接続された端末装置2、及びインターネットを介して接続された管理サーバ4を備える。端末装置2に備えられた拒否ボタン8が操作されると、発信元の電話番号が拒否番号として管理サーバ4の専用データベース23に登録される。また、夫々の拒否番号における登録個数が所定値以上になると、拒否番号が共有データベース26にも登録される。他の電話機から端末装置2に受信要求信号が送信された場合、その電話番号を管理サーバ4に送信する。管理サーバ4では、専用データベース23及び共有データベース26に基づいて、着信の可否を決定し、端末装置2に着信許可情報または着信拒否情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着信管理システムに関するものであり、特に、迷惑電話の着信を防止することが可能な着信管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
いたずら電話や勧誘電話等の迷惑電話を防止する手段として、着信時に発信元(相手先)の電話番号をディスプレイに表示する機能(いわゆるナンバー・ディスプレイ(登録商標)機能)を備えた電話機が普及している。また、この種の電話機には、発信元の電話番号が不明な場合、すなわち非通知設定されている場合に、着信を拒否したり、通知設定に切替えるメッセージを送出するなどの機能も備えられている。
【0003】
また、迷惑電話を受けた後に電話機から登録操作を行うことにより、次回からの着信を拒否する「迷惑電話お断り機能」を備えた電話機も知られている(例えば特許文献1)。具体的には、迷惑電話をかけてきた発信元の電話番号を拒否番号として登録しておき、受信要求信号が送信された際(すなわち被呼時)に、発信元の電話番号を検出し、その電話番号が登録されている拒否番号に合致すると、迷惑応答メッセージを送出し、その後回線を自動的に切断するように構成したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の「迷惑電話お断り機能」では、発信元の電話番号を拒否番号として事前に登録しておく必要があるため、発信元の電話番号が分からない場合、すなわちその発信元から一度も迷惑電話がかかってきていない状態では、事前に拒否することができなかった。換言すれば、登録されていない初めての迷惑電話に対しては、それが有害な電話であり多くの人が被害や不快感を受けている場合であっても、未然に防ぐことができないため、例えば、強引な勧誘を断るのに苦労したり、年配者や子供が犯罪に巻き込まれたりするおそれがあった。
【0005】
また、上記の「迷惑電話お断り機能」では、電話機に対する操作で発信元の電話番号(拒否番号)を登録しなければならないため、登録操作が複雑になりやすく、ひいては迷惑電話によって不快感を受けたにも拘わらず、「面倒だから」と登録することを躊躇したり、「もうかかって来ないだろう」と判断し登録しなかったりすることが多かった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、極めて簡単な操作で発信元の電話番号を登録することができるとともに、多くの人が被害や不快感を受けている有害な迷惑電話に対しては、それが未知の電話番号であっても未然に拒否することが可能な着信管理システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の着信管理システムは、
「個々の電話機に夫々接続された複数の端末装置と、通信ネットワークを介して前記複数の端末装置に接続された管理サーバとを備え、該管理サーバに発信元の電話番号を登録する番号登録手段、及び登録された前記電話番号に基づき前記電話機への着信の可否を決定する可否決定手段を有する着信管理システムであって、
前記番号登録手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記電話機への着信履歴を記憶する履歴記憶手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記履歴記憶手段に記憶された前記着信履歴を順次表示することが可能なディスプレイと、
夫々の前記端末装置に設けられ、押圧操作可能な拒否ボタンと、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記拒否ボタンが押圧操作された際、前記ディスプレイに表示されている前記発信元の電話番号を拒否番号として前記管理サーバに送信する拒否番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、夫々の前記端末装置から送信された前記拒否番号を、夫々の前記端末装置専用の情報としてデータベースに記憶する拒否番号記憶手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記データベースに記憶されている全ての前記拒否番号を対象として、夫々の前記拒否番号について登録個数をカウントするカウント手段と、
前記管理サーバに設けられ、カウントされた前記登録個数が所定値以上となった場合、対応する前記拒否番号を共有の情報として設定する情報共有化手段と
を備えて構成され、
前記可否判定手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、他の電話機から前記電話機への受信要求信号を認識した際、発信元の電話番号を検出し、該電話番号を前記管理サーバに送信する電話番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を前記データベースに記憶されている夫々の前記端末装置専用の前記拒否番号と照合する第一照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段において合致する前記拒否番号が存在しなかった場合、前記電話番号を、前記共有の情報として設定された前記拒否番号と照合する第二照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段または前記第二照合手段において合致する前記拒否番号が存在した場合、前記端末装置に着信拒否情報を送信する拒否情報送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段及び前記第二照合手段において合致する前記拒否番号が存在しなかった場合、前記端末装置に着信許可情報を送信する許可情報送信手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記管理サーバから前記着信許可情報が送信されると前記他の電話機からの前記受信要求信号に対して着信を許可し、一方、前記管理サーバから前記着信拒否情報が送信されると前記受信要求信号に対して着信を拒否する着信可否切替手段と
を備えて構成されている」
ことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「通信ネットワーク」としては、電子メールやデータベースなどのサービスを世界的規模で行えるようにしたインターネットを利用することが可能である。なお、端末装置及び管理サーバ間で情報をやり取りする際、これらの情報を暗号化することが好ましい。
【0009】
また、「端末装置」には、ディスプレイに着信履歴を着信順に表示させるための操作スイッチを備えるようにしてもよい。また、「履歴記憶手段」には、着信を許可した電話番号だけでなく着信を拒否した電話番号も(すなわち発信元全ての電話番号を)着信履歴として記憶することが好ましい。
【0010】
また、「拒否番号記憶手段」によって記憶される「端末装置専用の情報」とは、夫々の端末装置の識別情報に対応付けて記憶され、対応する端末装置でのみ用いられる個別の情報である。一方、「情報共有化手段」による「共有の情報」とは、全ての端末装置で用いることができる共通の情報である。
【0011】
また、「カウント手段」では、拒否番号の登録個数をカウントする際、個数を直接計数してもよいが、夫々の拒否番号に対してポイントを記憶しておき、ポイントの合計を算出するようにしてもよい。これによれば、必要に応じて拒否番号に重付けを加えたり、後述する許可番号の登録個数を加味した判定を行うことが可能になる。
【0012】
本発明の着信管理システムによれば、個々の電話機に接続された複数の端末装置と、管理サーバとが、通信ネットワークを介して互いに接続されており、主に、管理サーバに迷惑電話である発信元の電話番号(拒否番号)を登録すること、及び、他の電話機から、端末装置が接続された電話機へ受信要求信号が送信された際、管理サーバに登録された電話番号(拒否番号)に基づき電話機への着信の可否を決定することが可能になっている。
【0013】
まず、拒否番号の登録について説明する。端末装置は、電話機への着信履歴を記憶するとともに、記憶された着信履歴をディスプレイに順次表示することが可能になっている。また、端末装置には、拒否ボタンが備えられており、ディスプレイに所定の電話番号が表示された状態で拒否ボタンが押圧操作されると、端末装置は、ディスプレイに表示されている電話番号を拒否番号として管理サーバに送信する。
【0014】
すると、管理サーバでは、端末装置から送信された拒否番号を、夫々の端末装置に関連付けてデータベースに記憶する。これにより夫々の端末装置において選択された電話番号(拒否番号)が個別の情報として順次登録される。また、管理サーバでは、データベースに記憶されている全ての拒否番号(すなわち全ての端末装置から送信され登録された拒否番号)を対象として、拒否番号ごとの登録個数をカウントする。そして、カウントされた登録個数が所定値以上となった場合、すなわち所定数以上の端末装置において拒否番号として登録されている場合には、その番号を共有の情報として設定する。これにより、拒否される確率が高い電話番号(拒否番号)が共有化される。なお、登録個数をカウントする処理(カウント手段)、及び拒否番号を共有の情報として設定する処理(情報共有化手段)は、定期的に実行しその結果を事前にデータベースに記憶させるようにしてもよいが、端末装置において受信要求信号が認識され端末装置から管理サーバに電話番号が送信されるごと、すなわち着信の可否を決定する際に実行させるようにしてもよい。
【0015】
次に、着信の可否の決定について説明する。端末装置では、他の電話機から受信要求信号が送信された場合(すなわち被呼時)、発信元の電話番号を検出し、その電話番号を管理サーバに送信する。すると、管理サーバでは、まず送信された電話番号をデータベースに記憶されている拒否番号と照合する(第一照合手段)。すなわち、端末装置に対応する個別のデータベースを優先し、そのデータベースに拒否番号として登録されているか否かを判定する。そして、第一照合手段において、合致する拒否番号が存在した場合、すなわち、その端末装置の利用者が以前に迷惑電話として登録したものである場合、管理サーバは端末装置に着信拒否情報を送信する。
【0016】
一方、第一照合手段において、合致する拒否番号が存在しなかった場合、すなわちその発信元から初めて電話がかかってきた可能性がある場合には、電話番号を、共有の拒否番号と照合する(第二照合手段)。なお、カウント手段及び情報共有化手段の処理を、着信の可否を判定する際に行うものにおいては、登録個数をカウントし、電話番号が共有の情報として設定されるか否かを判定する。そして、第二照合手段において拒否番号が存在した場合(共有化されている場合)、すなわち、所定数以上の利用者が迷惑電話として登録したものである場合には、管理サーバは端末装置に着信拒否情報を送信する。なお、第一照合手段及び第二照合手段のいずれにおいても、合致する拒否番号が存在しなかった場合には、管理サーバは端末装置に着信許可情報を送信する。
【0017】
端末装置では、管理サーバから着信許可情報が送信されると、他の電話機からの受信要求信号に対して着信を許可する。これにより電話の呼出音が鳴り通話可能な状態となる。一方、管理サーバから着信拒否情報が送信された場合には、受信要求信号に対して着信を拒否する。具体的に、電話回線を直ちに切断したり、迷惑応答メッセージを送出しその後回線を切断したり、または呼出音を鳴らすことなく放置したりする。
【0018】
このように、検出した電話番号が、端末装置専用の情報としてデータベースに登録されていない場合には、共有の情報を基に着信の可否を判定することから、その電話番号が今までかかってきたことのない未知の電話番号であっても、多くの人が被害や不快感を受けている有害な迷惑電話である場合には、その電話番号での着信を未然に拒否することが可能となる。また、端末装置では、迷惑電話の電話番号を登録する際、ディスプレイに表示された着信履歴を確認しながら拒否ボタンを押圧操作するだけでよいため、極めて簡単な操作となり、利用者に負担をかけることなく登録することができる。
【0019】
本発明の着信管理システムにおいて、
「前記番号登録手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、押圧操作可能な許可ボタンと、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記許可ボタンが押圧操作された際、前記ディスプレイに表示されている前記発信元の電話番号を許可番号として前記管理サーバに送信する許可番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、夫々の前記端末装置から送信された前記許可番号を、夫々の前記端末装置専用の情報として前記データベースに記憶する許可番号記憶手段と
をさらに備え、
前記可否判定手段は、
前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を前記データベースに記憶されている夫々の前記端末装置専用の前記許可番号と照合する第三照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第三照合手段において合致する前記許可番号が存在した場合、前記第二照合手段による照合を行うことなく前記端末装置に着信許可情報を送信する第二許可情報送信手段と
をさらに備える」
構成としてもよい。
【0020】
ところで、共通の情報として記憶された電話番号は、所定数以上の利用者により拒否番号として登録されたものではあるが、この番号での着信を全て強制的に拒否しようとすると使い勝手が悪くなる場合がある。すなわち、全ての端末装置において着信が拒否されるため、例えば、登録された電話番号の発信元から電話がかかってくることを拒否しない利用者、または積極的に歓迎する利用者がいても、それらの利用者も、着信を拒否する他の利用者と同様、電話を受けることができなくなってしまう。
【0021】
これに対し、本発明の着信管理システムによれば、夫々の端末装置を用いて発信元の電話番号を許可番号として登録することが可能になっている。詳しく説明すると、端末装置に許可ボタンが設けられており、ディスプレイに所定の電話番号が表示された状態で許可ボタンが押圧操作されると、端末装置は、ディスプレイに表示されている電話番号を許可番号として管理サーバに送信する。
【0022】
すると、管理サーバでは、端末装置から送信された許可番号を、夫々の端末装置に関連付けてデータベースに記憶する。これにより夫々の端末装置において選択された電話番号(許可番号)が個別の情報として順次登録される。
【0023】
そして、他の電話機から受信要求信号が送信された場合、管理サーバでは、送信された電話番号をデータベースに記憶されている許可番号とも照合する。データベースに、合致する許可番号が存在した場合、すなわち、その端末装置の利用者が着信を許可したものである場合には、管理サーバは、共有の情報を参照することなく、端末装置に着信許可情報を送信する。
【0024】
このように、所定数以上の利用者が迷惑電話であると認識した場合であっても、迷惑電話であると認識しない利用者においては、許可番号を登録することにより着信することが可能になる。すなわち、夫々の利用者の意思に合わせて着信の可否を決定することが可能となる。
【0025】
本発明の着信管理システムにおいて、
「前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を、前記データベースに記憶されている全ての前記拒否番号及び前記許可番号と照合し、合致した前記拒否番号の登録個数及び合致した前記許可番号の登録個数を夫々算出する登録個数算出手段と、
前記管理サーバに設けられ、算出された前記拒否番号の登録個数及び前記許可番号の登録個数と予め設定した条件とに基づいて、前記発信元の電話番号の安全度を判定し、前記端末装置に安全度判定情報を送信する安全度判定手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記管理サーバから前記安全度判定情報が送信されると、該安全度判定情報に基づいて表示を行う安全度表示手段と
をさらに備える」
構成としてもよい。
【0026】
本発明の着信管理システムによれば、管理サーバでは、端末装置から電話番号が送信されると、その電話番号を、データベースに記憶されている全ての拒否番号及び許可番号と照合する。つまり、送信された電話番号と一致する拒否番号及び許可番号を、全ての端末装置によって登録された全ての電話番号の中から抽出する。そして一致する拒否番号の登録個数及び許可番号の登録個数を夫々算出し、夫々の登録個数と予め設定した条件とに基づいて、発信元の電話番号の安全度を判定する。例えば、「拒否番号の登録個数」から「許可番号の登録個数」を差引き、その値が、予め設定されたどの数値範囲に含まれるかを判別することで、「安全」、「注意」及び「危険」のいずれであるかを判定する。
【0027】
このように判定された安全度は、管理サーバから端末装置に送信される。端末装置ではこれを基に安全度判定情報に関する表示を行う。例えば、「安全」、「注意」及び「危険」等の文字をディスプレイに表示したり、夫々の安全度に対応する色(安全に対応する「青」,注意に対応する「黄」,危険に対応する「赤」)の光を投光したりする。これにより、利用者は、事前に安全度を把握することが可能となり、例えば安全度の低い電話(危険と判定された電話)に対して「受話器を取らない」などの対応をとることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
このように、本発明によれば、極めて簡単な操作で、迷惑電話の電話番号を登録することができる。また、未知の電話番号であっても、多くの人が被害や不快感を受けている有害な迷惑電話である場合には、その電話番号での着信を未然に拒否することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態である着信管理システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】端末装置及び管理サーバにおける機能的構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は専用データベースの構成を示す説明図、(b)は共有データベースの構成を示す説明図、(c)は履歴データベースの構成を示す説明図である。
【図4】電話番号を登録する際の、端末装置及び管理サーバにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】着信の可否を決定する際の、端末装置及び管理サーバにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態である着信管理システム1について説明する。図1に示すように、本例の着信管理システム1は、個々の電話機Tに夫々接続された複数の端末装置2と、これらの端末装置2にインターネット3を介して接続された管理サーバ4とを具備して構成されている。また、インターネット3には、コンピュータからなる情報入力装置5が接続されており、この情報入力装置5によって管理サーバ4のデータベースに所定の情報を入力したり編集したりすることが可能になっている。ここで、インターネット3が本発明の通信ネットワークに相当する。
【0031】
端末装置2は、電話回線L1に接続されるとともに、電話機T(例えば一般家庭用の電話機)のコード接続端子SにコードL2を介して接続されている。端末装置2には、ディスプレイ6及びアップダウンボタン7が備えられており、電話機Tの着信履歴(電話番号や着信日時等)をディスプレイ6に表示するとともに、アップダウンボタン7の押圧操作によって着信履歴を着信順に切替表示させることが可能になっている。なお、着信履歴は、履歴記憶手段12(図2参照)に記憶され、履歴表示手段13によってディスプレイ6に表示されるようになっている。ここで、履歴記憶手段12に記憶される履歴には、電話機Tに着信があったもの(着信が許可されたもの)だけでなく、着信管理システム1によって着信が拒否されたものも含まれる。
【0032】
また、端末装置2の上面には、アップダウンボタン7に隣接して二つの選択ボタン、すなわち拒否ボタン8及び許可ボタン9が配設されている。拒否ボタン8はディスプレイ6に表示された電話番号を拒否番号として登録するための操作スイッチであり、許可ボタン9はディスプレイ6に表示された電話番号を許可番号として登録するための操作スイッチである。
【0033】
また、端末装置2の上面下部には、ライン状の表示ランプ10が配設されている。この表示ランプ10は、発信元の電話に関する安全度を光の色によって表示するものであり、内部に複数種類の色、具体的には光の三原色(赤・緑・青)の光を投光可能なLED(図示しない)が設けられている。
【0034】
一方、管理サーバ4は、詳細は図示しないが、ハード構成として、主記憶装置と、演算装置及び制御装置等を有する中央処理装置と、インターネット3を介して端末装置2とデータの送受信を行う通信手段と、ハードディスク等から構成された記憶装置とを具備して構成されている。特に、記憶装置には、図3に示すように、夫々の端末装置2に関連付けられた個別の情報が記憶される専用データベース23と、全ての端末装置2において使用可能な共有の情報が記憶される共有データベース26と、夫々の端末装置2で認識した発信元全ての送信履歴が記憶される履歴データベース33とが備えられている。ここで、専用データベース23が本発明のデータベースに相当する。
【0035】
各データベースについて詳しく説明する。専用データベース23には、発信元電話番号、名前、ヨミガナ、ポイント、及び登録日を、端末装置2の識別コードと関連付けて記憶させることが可能になっている。ここで、「名前」及び「ヨミガナ」は、発信元(発信者)の氏名及び称呼を示すものであり、情報入力装置5(図1参照)によって入力される。なお、ヨミガナが入力された場合には、着信の可否を判定した際、可否情報とともにヨミガナも発信元の情報として送信され、端末装置2のディスプレイ6に発信元の電話番号とともに表示されるようになっている。また、「ポイント」とは、登録された発信元の電話番号が、拒否番号または許可番号のいずれであるかを設定するものであり、拒否番号である場合には「+1」が付与され、許可番号である場合には「−1」が付与される。また、「登録日」は、夫々の端末装置2において、許可番号または拒否番号を登録するための操作が行われた日にちである。なお、夫々の端末装置2から専用データベース23への登録は、一つの発信元電話番号に対してレコードが一つのみ作成されるようになっており、例えば所定の電話番号を拒否番号として登録したが、その後同じ電話番号に対して許可ボタン9が操作された場合(すなわち拒否番号を許可番号に変更する操作が行われた場合)は、ポイントの値が「+1」から「−1」に上書きされることにより登録情報が更新される。
【0036】
一方、共有データベース26には、発信元電話番号(拒否番号)、名前、ヨミガナ、ポイント合計、及び登録日を記憶させることが可能になっている。ここで、「ポイント合計」は、専用データベース23に記憶された全ての発信元電話番号を対象として夫々の電話番号についてポイントを合計し(すなわち拒否番号を示す「+1」の場合には1ポイントを加算し、許可番号を示す「−1」の場合には1ポイントを減算して累積し)、さらに、その合計Mに、夫々の電話番号毎のサブポイント(詳細は後述する)の合計Nを加算した値(M+N)である。なお、サブポイントは、履歴データベース33を参照して認識されるようになっている。このように、拒否番号として登録された個数が多く、且つ許可番号として登録された個数が少ないほど、ポイント合計の値が大きくなっている。また、「登録日」は共有データベース26に登録された日にち(詳細は後述するがポイント合計が所定数に達した日にち)である。
【0037】
履歴データベース33には、発信元電話番号、認識日、及びサブポイントを、端末装置2の識別コードと関連付けて記憶させることが可能になっている。ここで、「認識日」は、他の電話機から送信された受信要求信号を認識した日にち、すなわち電話がかかってきた日にちである。また、「サブポイント」は、拒否ボタン8または許可ボタン9が操作されない場合の利用者の意向を考慮して付与されるものであり、具体的には、他の電話機からの着信が拒否されたことに対し許可ボタン9の操作がなされない場合(すなわち拒否を継続する意向がある場合)には「+0.2」を付与し、他の電話機からの着信が許可されたことに対し拒否ボタン8の操作がなされない場合(すなわち許可を継続する意向がある場合)には「−0.2」を付与する。このように、拒否ボタン8または許可ボタン9が操作されない場合の利用者の意向、すなわち現状の設定を維持しようとする意向を加味することにより、拒否番号を共有の番号とするか否かをより的確に判別することが可能になる。
【0038】
ところで、端末装置2及び管理サーバ4には夫々プログラムが記憶されており、これらのプログラムを実行させることにより、以下に示す機能的構成を有するものになる。すなわち、図2に示すように、端末装置2は、選択情報送信手段14を備えており、拒否ボタン8が押圧操作された際、ディスプレイ6に表示されている発信元の電話番号を拒否番号として管理サーバ4に送信する。また、許可ボタン9が押圧操作された際、ディスプレイ6に表示されている発信元の電話番号を許可番号として管理サーバ4に送信する。ここで、選択情報送信手段14が本発明の拒否番号送信手段及び許可番号送信手段に相当する。
【0039】
また、端末装置2は、電話番号認識手段11及び電話番号送信手段15を備えており、電話回線L1を介して送信される受信要求信号を認識した際、発信元の電話番号を検出し、その電話番号を、インターネット3を介して管理サーバ4に送信する。また、端末装置2は、可否認識手段16及び着信可否切替手段17を備えており、管理サーバ4からインターネット3を介して送信される着信許可情報または着信拒否情報を認識するとともに、着信許可情報の場合には受信要求信号に対して着信を許可し、一方、着信拒否情報の場合には着信を拒否する。着信が許可された場合には電話機Tにおいて呼出音がなり、受話器をとって通話することが可能になる。なお、本例では、着信を拒否する場合、三つの態様、すなわち、回線を直ちに切断する、迷惑応答メッセージを送出しその後回線を切断する、及び呼出音を鳴らすことなく放置する、の中から所望の態様を選択することが可能になっている。
【0040】
また、端末装置2は、安全度認識手段18及びランプ制御手段19を備えており、管理サーバ4から送信された安全度判定情報に基づいて表示ランプ10を制御する。具体的には、安全度判定情報が、「安全」を示す場合は表示ランプ10のLEDから青色の光が投光され、「注意」を示す場合はLEDから黄色の光が投光され、「危険」を示す場合はLEDから赤色の光が投光されるように制御する。ここで、ランプ制御手段19が本発明の安全度表示手段に相当する。
【0041】
一方、管理サーバ4は、ポイント付与手段21及び第一記憶手段22を備えており、端末装置2の選択情報送信手段14から拒否番号または許可番号が送信されると、端末装置2の識別コードに関連付けて専用データベース23に記憶する。また、前述したように、拒否番号が送信された場合には、専用データベース23のポイントの欄に「+1」を付与し、許可番号が送信された場合には、ポイントの欄に「−1」を付与する。ここで、第一記憶手段22が本発明の拒否番号記憶手段及び許可番号記憶手段に相当する。
【0042】
また、管理サーバ4は、ポイント合計算出手段24及び第二記憶手段25を備えており、専用データベース23に記憶されている全ての発信元電話番号(拒否番号及び許可番号)を対象として、夫々の電話番号についてのポイント合計(履歴データベース33に記憶されたサブポイントの合計を含む)を算出し、そのポイント合計が所定値(例えば10)以上になると、対応する電話番号を共有の情報として共有データベース26に記憶する。また、既に共有データベース26に記憶されている電話番号に対してもポイント合計が算出され、そのポイント合計が所定値(例えば10)未満になると、共有データベース26からその電話番号に関する情報を消去する(すなわち共有の情報から除かれる)。また、しきい値である上記所定値は一定の値でもよいが、本例では、夫々の発信元電話番号におけるポイント合計の大きさによって所定値を変化するようになっている。具体的には、ポイント合計が所定値L(しきい値)よりも「20」以上大きくなった場合には、所定値Lに「10」を加算した値(L+10)を新たな所定値とする。また、ポイント合計が所定値L(しきい値)よりも「20」以上小さくなった場合には、所定値から「10」を減算した値(L−10)を新たな所定値とする。このように、判定のしきい値をポイント合計に追随して変化させることにより、例えば、迷惑電話として使用されることになった電話機の電話番号が、今まで拒否されることなく使用されていた電話番号(すなわちポイント合計がマイナスになっている電話番号)であっても、小さい値(またはマイナスの値)のしきい値を用いて判定することにより、比較的速い段階で共有の情報として登録することが可能となり、ひいては利用者への被害などを最小限に抑えることが可能となる。ここで、ポイント合計算出手段24が本発明のカウント手段に相当し、第二記憶手段25及び共有データベース26を組合わせたものが本発明の情報共有化手段に相当する。
【0043】
また、管理サーバ4は、第一照合手段27、第二照合手段28、及び可否決定手段29を備えており、第一照合手段27では、端末装置2の電話番号送信手段15から電話番号が送信されると、その電話番号を、専用データベース23に記憶されている発信元の電話番号(端末装置2の識別コードが一致するものに限る)と比較照合し、合致する発信元の電話番号(以下、「登録番号」という)が存在するか否かを判定する。第二照合手段28は、第一照合手段27によって合致する登録番号が存在しない場合に動作するものであり、端末装置2から送信された電話番号を、共有データベース26に記憶されている登録番号と比較照合し、合致する登録番号(共有の拒否番号)が存在するか否かを判定する。そして、可否決定手段29は、専用データベース23に合致する登録番号があり且つその電話番号が許可番号として登録されている場合、または、専用データベース23及び共有データベース26のいずれにも合致する登録番号が存在しない場合には、対応する端末装置2に着信許可情報を送信する。一方、専用データベース23に合致する登録番号があり且つその電話番号が拒否番号として登録されている場合、または、共有データベース26に合致する登録番号が存在する場合には、対応する端末装置2に着信拒否情報を送信する。ここで、第一照合手段27は本発明の第三照合手段としての機能も有し、可否決定手段29は、本発明の拒否情報送信手段、許可情報送信手段、及び第二許可情報送信手段に相当する。
【0044】
また、管理サーバ4は、登録個数算出手段30及び安全度判定手段31を備えており、登録個数算出手段30では、端末装置2の電話番号送信手段15から電話番号が送信されると、その電話番号を、専用データベース23に記憶されている全ての登録番号(拒否番号、許可番号)と比較照合し、合致した登録番号におけるポイントの合計値(すなわち拒否番号の登録個数から許可番号の登録個数を差し引いた値)を算出する。また、安全度判定手段31は、登録個数算出手段30によって算出された値を予め定められた数値範囲と比較し発信元電話番号の安全度を判定する。具体的にはポイントの合計値が、「0」以下の場合は「安全」、「1〜10」の場合は「注意」、「11」以上の場合は「危険」と判定する。判定された安全度は安全度判定情報として端末装置2に送信される。なお、安全度を判定する場合も、第二記憶手段25と同様、履歴データベース33に記憶されたサブポイントを加味してもよく、さらには数値範囲を登録番号ごとのポイント合計に追随して変化させるようにしてもよい。
【0045】
ところで、所定の電話機に対して設定された電話番号であっても、通信事業者との契約が解除された場合には、所定の期間の経過後、同じ電話番号が別の電話機に対して設定される場合がある。ところが、以前、迷惑電話であると認識され、その電話番号が共有データベース26に登録されている場合には、たとえ発信元(発信者)が変わっても管理サーバ4では、その電話番号を拒否することとなる。つまり、新たな発信者は、端末装置2が接続された電話機Tに対して電話をかけることができなくなるという不具合が生じる。
【0046】
そこで、本例の管理サーバ4は、さらに履歴登録手段32及びデータ消去手段34を備えており、履歴登録手段32は端末装置2の電話番号送信手段15から電話番号が送信されると、その電話番号及び受信要求信号が認識された日にち(電話がかかってきた日にち)を端末装置2の識別コードに対応付けて履歴データベース33に記憶する。また、データ消去手段34は、共有データベース26に記憶されている夫々の登録番号(共有の拒否情報)の履歴を、履歴データベース33に基づき認識し、その電話番号での受信要求信号の送信が所定期間以上ない場合、すなわち前回記憶された日にちから所定期間が経過している場合、その登録番号に関する情報を共有データベース26から消去する。ここで、「所定の日数」は、特に限定されるものではないが、電話機の契約が解除されてから、同じ電話番号が新たな電話機に対して付与される可能性がある最短期間に設定されている。このように、所定の日数以上使用されていない場合には、その電話番号に関する情報を共有データベース26から自動的に消去するため、発信者が変わった場合による不具合を解消することが可能になる。
【0047】
次に、着信管理システム1の動作、特に端末装置2及び管理サーバ4によって行われる、拒否番号及び許可番号の登録処理(本発明の番号登録手段に相当する処理)と、着信の可否を決定する処理(本発明の可否決定手段に相当する処理)とについて、図4及び図5に基づき説明する。なお、図4では、ステップS1〜S4が端末装置2での処理、ステップS5〜S11が管理サーバ4での処理である。また、図5では、ステップT1〜T6及びステップT14〜T19が端末装置2での処理、ステップT7〜T13が管理サーバ4での処理である。
【0048】
図4に示すように、登録処理では、拒否ボタン8または許可ボタン9が押圧操作されると(ステップS1においてYES)、端末装置2がインターネット3に接続されているか否かを判定し(ステップS2)、インターネット3に接続されている場合は(YES)、ディスプレイ6に表示されている発信元の電話番号を拒否番号または許可番号として管理サーバ4に送信する(ステップS3)。
【0049】
管理サーバ4では、端末装置2から許可番号が送信された場合には(ステップS5においてYES)、ポイントに「−1」を付与して(ステップS6)、専用データベース23に登録する(ステップS8)。一方、ステップS5において許可番号でない場合、すなわち拒否番号が送信された場合には(NO)、ポイントに「+1」を付与して(ステップS7)、専用データベース23に登録する(ステップS8)。その後、専用データベース23における全てのポイント、及び履歴データベース33におけるサブポイントを送信元電話番号(登録番号)ごとに合計し(ステップS9)、そのポイント合計が所定値以上の時(ステップS10においてYES)、その電話番号を共有データベース26に登録する(ステップS11)。なお、ステップS10においてポイント合計が所定値に満たない場合には(NO)、ステップS11を実行することなく、全ての処理を終了する。なお、図示していないが、既に共有データベース26に登録されていても、ポイント合計が所定値以下となった場合には、その電話番号に関するデータを共有データベース26から消去する。また、ステップS2においてインターネット3に接続されていない場合には(NO)、端末装置2の内部記憶手段(図示しない)に拒否番号または許可番号に関する情報を登録し(ステップS4)、全ての処理を終了する。
【0050】
一方、図5に示すように、着信の可否決定処理では、電話回線L1を介して他の電話機から受信要求信号が送信されると(ステップT1においてYES)、端末装置2は、まず発信元の電話機が「番号通知」に設定されているか「非通知」に設定されているかを判別する(ステップT2)。そして、番号通知に設定されている場合には(YES)、発信元の電話番号を検出し(ステップT3)、端末装置2のディスプレイ6に検出した電話番号を表示する(ステップT4)。その後、端末装置2がインターネット3に接続されているか否かを判断し(ステップT5)、接続されている場合には(YES)、検出した電話番号を管理サーバ4に送信する(ステップT6)。
【0051】
管理サーバ4では、端末装置2から電話番号が送信されると、その電話番号及び送信された日にちを履歴データベース33に記憶する(ステップT7)とともに、電話番号を専用データベース23に記憶されている登録番号(識別コードが一致するものに限る)と照合する(ステップT8)。そして、電話番号に合致する登録番号(拒否番号または許可番号)が存在する場合には(ステップT9においてYES)、専用データベース23に記憶されたポイントに基づいて着信の可否を決定する(ステップT11)。つまり、ポイントが「+1」である拒否番号の場合には着信拒否情報を出力し、ポイントが「−1」である許可番号の場合には着信許可情報を出力する。一方、ステップT9において専用データベース23に合致する登録番号が存在しない場合には(NO)、共有データベース26に記憶されている登録番号と照合する(ステップT10)。そして、共有データベース26に合致する登録番号が存在する場合は着信拒否情報を出力し、合致する登録番号が存在しない場合は着信許可情報を出力する(ステップT11)。また、専用データベース23に記憶されている情報を基に電話番号に対する安全度を判定し(ステップT12)、着信の可否に関する情報(着信許可情報または着信拒否情報)と、安全度判定情報とを、対応する端末装置2に送信する(ステップT13)。
【0052】
端末装置2では、管理サーバ4から着信の可否に関する情報及び安全度判定情報が送信されると、着信を許可するか否かを示す文字をディスプレイ6に表示する(ステップT15)とともに、安全度判定情報に応じた色の光を表示ランプ10から投光させるように制御する(ステップT16)。そして、着信許可情報が送信された場合には(ステップT17においてYES)、着信処理を行い(ステップT18)、通話可能な状態とする。一方、着信拒否情報が送信された場合には(ステップT17においてNO)、非着信処理(回線の切断等)を行う(ステップT19)。
【0053】
なお、ステップT5において、端末装置2がインターネット3に接続されていない場合は、端末装置2の内部記憶手段に記憶された許可番号及び拒否番号と照合し(ステップT14)、ステップT15に移行する。つまり、内部記憶手段に記憶された情報を基に着信の可否を決定する。また、ステップT2において、発信元の電話が非通知に設定されている場合には(NO)、予め入力された利用者の設定に基づいて着信を許可するか否かを判断し(ステップT17)、許可する場合にはステップT18へ移行し、許可しない場合にはステップT19へ移行する。
【0054】
このように、本例の着信管理システム1によれば、迷惑電話の電話番号を登録する場合、ディスプレイ6に表示された着信履歴を確認しながら拒否ボタン8を押圧操作するだけでよいため、極めて簡単な操作となり、利用者に負担をかけることなく登録することができる。したがって、「面倒だから」と登録することを躊躇したり、「もうかかって来ないだろう」と判断し登録しなかったりすることを抑制できる。
【0055】
また、本例の着信管理システム1によれば、検出した電話番号が専用データベース23に登録されていない場合には、共有データベース26に登録されている共有の情報を基に着信の可否を判定することから、その電話番号が今までかかってきたことのない未知の電話番号であっても、多くの人が被害や不快感を受けている有害な迷惑電話である場合には、その電話番号での着信を未然に拒否することができる。したがって、強引な勧誘を断るのに苦労したり、年配者や子供が犯罪に巻き込まれたりするおそれを大幅に低減することが可能になる。
【0056】
また、本例の着信管理システム1によれば、所定数以上の利用者が迷惑電話であると認識する場合であっても、許可番号を登録することにより着信が可能となる。したがって、夫々の利用者の意思に合わせて着信の可否を決定することができ、使い勝手をよくすることができる。
【0057】
また、本例の着信管理システム1によれば、表示ランプ10から投光される光の色によって、電話番号に対する安全度を事前に把握することができる。したがって、安全度の低い電話を受けないように注意を払うことができ、利用者の安全性をさらに高めることができる。
【0058】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0059】
すなわち、上記実施形態では、端末装置2に選択ボタンとして拒否ボタン8及び許可ボタン9を備えるものを示したが、拒否ボタン8のみを備え、拒否番号のみ登録可能とするようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、共有の情報である拒否番号を予め共有データベース26に記憶し、着信の可否を判定する際、端末装置2から送信された電話番号を、共有データベース26に記憶された拒否番号(登録番号)と照合するものを示したが、着信の可否を判定するごとにポイントをカウントしてポイント合計を算出し、このポイント合計に基づき共有化される情報であるか否かを判定するようにしてもよい。これによれば、第二記憶手段25及び共有データベース26を省略することができるとともに、ポイント合計と比較される基準値、すなわち共有化された拒否番号であるか否かを判別するためのしきい値を、電話番号ごとまたは端末装置2ごとに変化させることも可能になる。
【0061】
また、上記実施形態では、インターネット3に情報入力装置5を接続し、情報入力装置5によって専用データベース23に、名前、ヨミガナ、及び発信元の電話番号等を入力可能とするものを示したが、端末装置2にテンキー等の入力手段をさらに備え、この入力手段を利用して各種情報を入力できるように構成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、専用データベース23及び共有データベース26を別々のファイルで構成するものを示したが、共通のファイル(一つのデータベース)で構成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、専用データベース23に電話番号を登録する際、ポイントを全て「+1」または「−1」とするものを示したが、警察や防犯委員等、特定の登録者による場合には、ポイント数を大きくするようにしてもよい。これによれば、危険性の高い電話番号に対しては早急に共有データベース26に登録することが可能になる。また、短期間の間にポイント合計が著しく増加するか否かを判定し、著しい増加があった電話番号に対しては、ポイント合計の大きさにかかわらず、直ちに共有データベース26に登録するようにしてもよい。さらに、許可番号の登録個数によらず、拒否番号の登録個数のみに基づいて共有データベース26に登録するか否かを判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
T 電話機
1 着信管理システム
2 端末装置
3 インターネット(通信ネットワーク)
4 管理サーバ
6 ディスプレイ
8 拒否ボタン(選択ボタン)
9 許可ボタン(選択ボタン)
12 履歴記憶手段
14 選択情報送信手段(拒否番号送信手段,許可番号送信手段)
15 電話番号送信手段
17 着信可否切替手段
19 ランプ制御手段(安全度表示手段)
22 第一記憶手段(拒否番号登録手段,許可番号記憶手段)
23 専用データベース(データベース)
24 ポイント合計算出手段(カウント手段)
25 第二記憶手段(情報共有化手段)
26 共有データベース(情報共有化手段)
27 第一照合手段(第三照合手段)
28 第二照合手段
29 可否決定手段(拒否情報送信手段,許可情報送信手段,第二許可情報送信手段)
30 登録個数算出手段
31 安全度判定手段
32 履歴登録手段
33 履歴データベース
34 データ消去手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2003−134218

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の電話機に夫々接続された複数の端末装置と、通信ネットワークを介して前記複数の端末装置に接続された管理サーバとを備え、該管理サーバに発信元の電話番号を登録する番号登録手段、及び登録された前記電話番号に基づき前記電話機への着信の可否を決定する可否決定手段を有する着信管理システムであって、
前記番号登録手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記電話機への着信履歴を記憶する履歴記憶手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記履歴記憶手段に記憶された前記着信履歴を順次表示することが可能なディスプレイと、
夫々の前記端末装置に設けられ、押圧操作可能な拒否ボタンと、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記拒否ボタンが押圧操作された際、前記ディスプレイに表示されている前記発信元の電話番号を拒否番号として前記管理サーバに送信する拒否番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、夫々の前記端末装置から送信された前記拒否番号を、夫々の前記端末装置専用の情報としてデータベースに記憶する拒否番号記憶手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記データベースに記憶されている全ての前記拒否番号を対象として、夫々の前記拒否番号について登録個数をカウントするカウント手段と、
前記管理サーバに設けられ、カウントされた前記登録個数が所定値以上となった場合、対応する前記拒否番号を共有の情報として設定する情報共有化手段と
を備えて構成され、
前記可否判定手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、他の電話機から前記電話機への受信要求信号を認識した際、発信元の電話番号を検出し、該電話番号を前記管理サーバに送信する電話番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を前記データベースに記憶されている夫々の前記端末装置専用の前記拒否番号と照合する第一照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段において合致する前記拒否番号が存在しなかった場合、前記電話番号を、前記共有の情報として設定された前記拒否番号と照合する第二照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段または前記第二照合手段において合致する前記拒否番号が存在した場合、前記端末装置に着信拒否情報を送信する拒否情報送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第一照合手段及び前記第二照合手段において合致する前記拒否番号が存在しなかった場合、前記端末装置に着信許可情報を送信する許可情報送信手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記管理サーバから前記着信許可情報が送信されると前記他の電話機からの前記受信要求信号に対して着信を許可し、一方、前記管理サーバから前記着信拒否情報が送信されると前記受信要求信号に対して着信を拒否する着信可否切替手段と
を備えて構成されている
ことを特徴とする着信管理システム。
【請求項2】
前記番号登録手段は、
夫々の前記端末装置に設けられ、押圧操作可能な許可ボタンと、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記許可ボタンが押圧操作された際、前記ディスプレイに表示されている前記発信元の電話番号を許可番号として前記管理サーバに送信する許可番号送信手段と、
前記管理サーバに設けられ、夫々の前記端末装置から送信された前記許可番号を、夫々の前記端末装置専用の情報として前記データベースに記憶する許可番号記憶手段と
をさらに備え、
前記可否判定手段は、
前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を前記データベースに記憶されている夫々の前記端末装置専用の前記許可番号と照合する第三照合手段と、
前記管理サーバに設けられ、前記第三照合手段において合致する前記許可番号が存在した場合、前記第二照合手段による照合を行うことなく前記端末装置に着信許可情報を送信する第二許可情報送信手段と
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の着信管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバに設けられ、前記端末装置の前記電話番号送信手段から前記電話番号が送信されると、該電話番号を、前記データベースに記憶されている全ての前記拒否番号及び前記許可番号と照合し、合致した前記拒否番号の登録個数及び合致した前記許可番号の登録個数を夫々算出する登録個数算出手段と、
前記管理サーバに設けられ、算出された前記拒否番号の登録個数及び前記許可番号の登録個数と予め設定した条件とに基づいて、前記発信元の電話番号の安全度を判定し、前記端末装置に安全度判定情報を送信する安全度判定手段と、
夫々の前記端末装置に設けられ、前記管理サーバから前記安全度判定情報が送信されると、該安全度判定情報に基づいて表示を行う安全度表示手段と
をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載の着信管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109842(P2012−109842A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257695(P2010−257695)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(310023265)トビラシステムズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】