説明

着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び液晶表示装置

【課題】コンタクトホール形成における残渣の発生が抑制され、コンタクトホール形状が良好で、且つ硬化して得られた着色画素は表面荒れがなく平滑で、現像ムラがなく、さらに剥離液と接触しても剥離が生じない紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪族多官能チオール化合物を含み、前記(E)光重合開始剤として、(E-1)下記一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含む紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ、その製造方法、及び、該カラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは液晶ディスプレイには不可欠な構成部品である。液晶ディスプレイは、表示装置としてCRTと比較すると、コンパクトであり、省電力化が図れ、且つ、技術進歩によって、性能面では同等以上になってきたことから、テレビ画面、パソコン画面、その他の表示装置としてCRTに置き換わりつつある。
【0003】
近年、液晶ディスプレイの開発は、画面が比較的小面積であるパソコン、モニターの用途から、画面が大型でしかも高度な画質が求められるTV用途にも展開されている。ためため、これに用いるカラーフィルタも、その生産性を向上させるために、基板サイズを大きくする検討がなされている。さらに、このカラーフィルタのパターン露光に用いるマスクサイズもこれに応じて大面積のものが用いられるようになり、マスク自体非常に高価なものとなっており、マスクコストをいかに低く抑えるかが重要な課題となっている。
【0004】
このことから、レーザー光によるパターンニングを利用してカラーフィルタを形成する方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、半導体レーザーを利用したこの手法では、レーザーの出力が小さく露光に時間がかかり生産性を上げることはできなかった。
【0005】
また、カラーフィルタを製造する上でトータルとしての価格を下げるという点で、露光の際に大きなフォトマスクを使用しないカラーフィルタの製造方法が提案されている。(例えば、特許文献2、3参照。)しかし、高生産性を得るために高出力レーザー露光を組み合わせると、画素にパターンの欠けや剥がれ、ヨレが発生することから、生産性の向上と、良好な形状の画素形成と、の両立が求められていた。
【0006】
また、Color−filter On Array(以下、適宜「COA」と記載する。)方式の液晶表示装置にあっては、Thin Film Transistor(以下、適宜「TFT」と記載する。)の上に層間絶縁膜の役割も兼ねるカラーフィルタ層を形成する。このため、カラーフィルタ層に対する要求特性は前述のような通常の要求特性に加え、コンタクトホール形成性、低誘電率、剥離液耐性など、層間絶縁膜としての要求特性が必要であり、これらの要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に保護層として樹脂被膜を設けることも行なわれていた。
【0007】
一方、特許文献4には、オキシム型ラジカル発生剤を含む着色層形成用感放射線性組成物は、紫外線の露光による着色パターンを形成したときに、低露光量でも着色画素のエッジの欠けやアンダーカットが生じないことが示されており、さらにベンゼン環または複素環を有するメルカプタン化合物等を添加することによって感度を向上させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−114602号公報
【特許文献2】特開2008−76709号公報
【特許文献3】特開2008−51866号公報
【特許文献4】特開2008−89744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、パターン形成における残渣の発生が抑制され、パターン形状が良好で、且つ硬化して得られた着色画素は表面荒れがなく平滑で、現像ムラがなく、さらに剥離液と接触しても剥離が生じない紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪族多官能チオール化合物を含み、前記(E)光重合開始剤として、(E-1)下記一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含む紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
〔一般式(1)において、Rは炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。〕
【0013】
<2> 前記(F)脂肪族多官能チオール化合物が、2級のチオール基を少なくとも1個含む化合物である<1>に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0014】
<3> さらに、前記(E)光重合開始剤として、(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤、および(E-5)キサントン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む<1>または<2>に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0015】
<4> 前記(D)エチレン性不飽和化合物が、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0016】
<5> 前記(A)着色剤が、青色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表わされるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して4質量%〜10質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0017】
<6> 前記(A)着色剤が、緑色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表わされるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して3質量%〜9質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
<7> 前記(A)着色剤が、赤色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表わされるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して1質量%〜6質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【0018】
<8> Color−filter On Array方式のカラーフィルタ用である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
【0019】
<10> 基板上に、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を付与して該着色感光性樹脂組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、該着色層を、波長300nm〜380nmの紫外光レーザーを用いてパターン状に露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含むカラーフィルタの製造方法。
<11> <9>に記載のカラーフィルタを備えてなる液晶表示装置。
【0020】
本発明では、チオール化合物として脂肪族多官能チオール化合物を用いるが、芳香族多官能チオール化合物では得られない効果を奏する。即ち、芳香族多官能チオール化合物を用いた着色感光性樹脂組成物を保存すると、経時で粘度が上昇したり、感度低下を招いたりすることがあるが、脂肪族多官能チオール化合物を用いた着色感光性樹脂組成物は経時保存しても安定性が良好で、感度低下を起こすことがない。
また本発明では、脂肪族多官能チオール化合物として、2級のチオール基を少なくとも1個含む化合物であることが好ましいが、2級のチオール基を有さない化合物に比べて、特に着色感光性樹脂組成物の経時安定性が良好である。この理由としては、着色感光性樹脂組成物の経時保存中の暗反応が抑制されるためであると推測される。また、芳香族多官能チオール化合物では、芳香環に起因すると考えられる着色が発生するが、脂肪族多官能チオール化合物を用いた着色感光性樹脂組成物は経時保存による着色が見られず、高輝度なカラーフィルタを得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パターン形成における残渣の発生が抑制され、パターン形状が良好で、且つ硬化して得られた着色画素は表面荒れがなく平滑で、現像ムラがなく、さらに剥離液と接触しても剥離が生じない紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物は、(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪族多官能チオール化合物を含み、前記(E)光重合開始剤として、(E-1)下記一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含むことを特徴とする。
【0023】
【化2】

【0024】
〔一般式(1)において、Rは炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。〕
【0025】
まず、本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物が有する「紫外光レーザー用」という特性について説明する。
<パターン露光>
本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物は、紫外光レーザー露光により高感度で硬化する。従って、紫外線レーザーによる走査露光、マスクを介した露光などのパターン露光により、露光領域が硬化して着色パターンが形成される。
パターン露光工程により、着色感光性樹脂組成物におけるパターン状の露光領域で、光重合開始剤から発生した開始種により、エチレン性不飽和化合物の重合硬化反応が生起、進行して露光領域が硬化することで、硬化領域と未硬化領域とからなるパターンが形成される。特に、本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を用いてコンタクトホールを形成する時には、コンタクトホールの形状が良好で、現像ムラがなく、残渣もなく良好なパターン成形性を得ることができる。
以下、この工程を、露光工程と称して詳しく説明する。
【0026】
〔露光工程〕
本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物のパターンニングのための露光工程には、露光光源として紫外光レーザーを用いる。
レーザーは、英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭文字である。反転分布をもった物質中でおきる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって、干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振・増幅器である。また、励起媒体として、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒体の種類から、固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの種類に分類することができる。
本発明においては、従来公知のレーザーのうち、紫外領域に発振波長を有するレーザーであれば、如何なるものをも用いることができる。その中でも、レーザーの出力及び発振波長の観点から、固体レーザー、又はガスレーザーが好ましい。
【0027】
本発明では、300nm〜380nmの範囲に発振波長を有する紫外光レーザーが好ましく、更に好ましくは300nm〜360nmの範囲に発振波長を有する紫外光レーザーが、本発明の着色感光性樹脂組成物の感光波長に合致しているという点で好ましい。
【0028】
より具体的には、本発明においては、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーの、Nd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
【0029】
また、上述のような紫外光レーザーでの露光において、好ましい照度としては10W/cm以上が好ましく、更に100W/cm以上が好ましい。
また、被露光物(着色感光性樹脂組成物)の露光量としては、1mJ/cm〜100mJ/cmの範囲であることが好ましく、1mJ/cm〜50mJ/cmの範囲がより好ましい。露光量がこの範囲にあると、パターン形成の際の生産性の点で好ましい。
【0030】
本発明における露光工程に適用可能な露光装置としては、特に制限はないが、市販されているものとしては、EGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製)などが使用可能である。
【0031】
本発明において用いられる紫外光レーザーは、光の平行度が良好であるため、露光の際にマスクを使用することなくパターン露光が可能ではあるが、パターン形状が、紫外光レーザーの出力光の形状やプロファイルの影響を受けることがある。そのため、本発明における露光工程では、紫外光レーザーにマスクを組合せてパターン露光を行った方が、パターンの直線性が高くなるため、好ましい。
【0032】
本発明において用いられる紫外光レーザーは、照度が高いことが特徴の一つであり、露光工程で着色感光性樹脂組成物中に熱が発生し、形成される画素内部に硬化ムラを起こすことがある。そのため、画素形成に用いられる被露光物(着色感光性樹脂組成物)の温度を制御するために、露光ステージを恒温に保つことが好ましく、また露光ステージの形状にも配慮が必要である。また、紫外光レーザーは光の平行度が高いため、基板との距離の影響が小さく、基板をエアーで浮かせて搬送しつつ露光することも好ましい。
【0033】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物は、(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪族多官能チオール化合物を含み、前記(E)光重合開始剤として、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含む。この着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの着色パターンの形成に用いられる。
以下に本発明の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物の各構成成分について詳述する。
【0034】
<(A)着色剤>
まず、本発明の特徴的な成分である(A)着色剤について説明する。
(A)着色剤としては、染料、及び顔料を適宜選択して用いることができる。耐熱性などの観点からは、顔料がより好ましい。
(A)着色剤として使用される顔料は、無機顔料であっても、有機顔料であってもよいが、高透過率とする観点から、なるべく粒子サイズの小さいものの使用が好ましい。一次粒子径の平均は、0.01μm〜0.1μmであることが好ましく、さらに好ましくは、0.01μm〜0.05μmの範囲である。
【0035】
本発明の着色感光性樹脂組成物においては、後述する被覆樹脂を用いることで、顔料のサイズが小さい場合であっても、分散性、および分散安定性が良好となるため、色純度に優れる着色画素を形成しうる。
【0036】
さらに、本発明においては、着色感光性樹脂組成物に含有される顔料のうち、一次粒子径が0.02μm未満の顔料の割合が、該顔料の全量中、10%未満であり、かつ、一次粒子径が0.08μmを超える顔料の割合が、該顔料の全量中、5%未満であることが好ましい。
【0037】
一次粒子径が0.02μm未満の顔料の割合が、10%未満であることで、耐熱性、色度変化を防止することができ、一次粒子径が0.08μmを超える顔料の割合が、5%未満であることで、コントラストがよく、着色感光性樹脂組成物の経時安定性がよく、さらには異物故障を防止することができる。
一次粒子径が0.02μm未満の顔料の割合は、耐熱性、及び色度変化防止の観点から、5%未満であることがより好ましい。
一次粒子径が0.08μmを超える顔料の割合は、コントラストをよくする観点から、3%未満であることが好ましい。
【0038】
顔料の一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定することができる。すなわち、TEM写真を画像解析して粒径分布を調べることにより行なう。例えば3〜10万倍での観察試料中の全粒子数と、0.02μm未満、及び0.08μmを超える顔料の粒子数を計測することで粒度分布を把握できる。より具体的には、顔料粉体を透過型電子顕微鏡で3〜10万倍で観察し、写真を撮り、1000個の一次粒子の長径を測定し、0.02μm未満、及び0.08μmを超える一次粒子の割合を算出する。この操作を顔料粉体の部位を変えて合計で3箇所について行い、結果を平均する。
【0039】
(A)着色剤として用いうる無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物等を挙げることができる。
【0040】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
【0041】
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
【0042】
C.I.Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、
C.I. Pigment Green 7、10、36、37、58
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80、
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42、
C.I.Pigment Brown 25、28等を挙げることができる。
【0043】
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、71、
C.I.Pigment Red 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、264、
C.I.Pigment Violet 19、23、32、
C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.Pigment Green 7、36、37、58
【0044】
これら有機顔料は、単独若しくは、色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤色層用の顔料としては、赤色顔料単独、2種以上の赤色顔料の混合、赤色顔料と黄色顔料との混合による顔料が用いられる。
赤色顔料としては、上記の各種のPigment Redが挙げられ、好適には、アントラキノン系赤色顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系赤色顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224、が挙げられ、縮合ジス系赤色顔料としてはC.I.ピグメント・レッド242が挙げられ、ジケトピロロピロール系赤色顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられる。
【0045】
赤色層用の顔料としては、色再現性の点でC.I.ピグメント・レッド254とC.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。
また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:80が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:81以上では発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0046】
また、緑色顔料としては、上記の各種のPigment Greenが挙げられ、好適には、ハロゲン化フタロシアニン系顔料であるC.I.ピグメント・グリーン7、36、37、58が挙げられる。
緑色層用の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37、58とC.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。
緑色顔料と黄色顔料との質量比は、十分な色純度を得ること、及びNTSC目標色相からのずれを抑制する観点から、100:5〜100:150が好ましい。質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
【0047】
また、青色顔料としては、上記の各種のPigment Blueが挙げられ、好適には、フタロシアニン系顔料であるC.I.ピグメント・ブルー15:6が挙げられる。
青色層用の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えば、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:50が好ましく、より好ましくは100:5〜100:30である。
【0048】
本発明では特に着色剤として有機顔料を用い、且つ顔料の微細化工程あるいは分散工程で、顔料を被覆樹脂で被覆したものを用いることが好ましい。顔料を被覆樹脂で被覆することによって微細化された顔料においても、2次凝集体の形成が抑制され、1次粒子の状態で分散させることができる分散性が向上された被覆顔料、分散させた1次粒子が安定的に維持される分散安定性に優れた被覆顔料を用いることがより好ましい。
【0049】
本発明で好適な態様である被覆顔料とは、被覆樹脂で顔料が被覆されたものであるが、被覆とは微細化で生じた表面活性の高い顔料の新界面が、被覆樹脂との強い静電的作用によって、該被覆樹脂の強固な被覆層を形成するため、より高い分散安定性を有する被覆顔料が得られるものと考えられる。即ち、本発明においては、被覆処理後の顔料は、被覆樹脂を溶解する有機溶剤で洗浄しても、被覆した被覆樹脂は顔料からほとんど遊離しない。
【0050】
本発明でいう被覆顔料は、有機顔料などの顔料粒子が被覆樹脂および/または高分子化合物(総称して、「分散樹脂」という。)で被覆されているものであり、該分散樹脂が顔料粒子表面の一部或いは全部に強固に被覆されることでより高い分散安定性の効果を奏するものであり、一般的な高分子分散剤が顔料に吸着してなるものとは異なるものである。この被覆状態は以下に示す有機溶剤による洗浄で分散樹脂の遊離量(遊離率)を測定することにより確認できる。即ち、単に吸着してなる高分子分散剤は有機溶剤による洗浄によりそのほとんど、具体的には、65%以上が遊離、除去されるが、本発明の好ましい態様である表面被覆された顔料の場合には遊離率は極めて少なく、30%以下である。
【0051】
前記遊離量(遊離率)は、被覆処理後の顔料を1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄して、算出する。即ち、顔料10gを1−メトキシ−2−プロパノール100ml中に投入し、振とう機を用いて室温で3時間振とうさせ、その後遠心分離機で80,000rpmで8時間かけて顔料を沈降させ、上澄み液部分の固形分の質量を乾燥法により求める。この固形分の質量と、顔料の被覆の処理に使用した分散樹脂の質量との比から、遊離率(%)を算出する。
【0052】
市販等の顔料についての前記遊離量(遊離率)は、以下の方法で測定できる。即ち、顔料を溶解する溶剤(例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、蟻酸、硫酸など)で、顔料全体を溶解した後に、分散樹脂と顔料とに、溶解性の差を利用して有機溶剤で分離して、「顔料の被覆の処理に使用した分散樹脂の質量」として算出する。別途、顔料を1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄して、得られた上記の遊離量を、この「顔料の被覆の処理に使用した分散樹脂の質量」で除して遊離率(%)を求める。
遊離率は小さいほど顔料への被覆率が高く、分散性、分散安定性が良好である。遊離率の好ましい範囲は30%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下である。理想的には0%である。
【0053】
被覆処理は、顔料の微細化工程で同時に行うことが好ましく、具体的には、(i)顔料と、(ii)水溶性の無機塩と、(iii)実質的に(ii)を溶解しない少量の水溶性の有機溶剤、及び(iv)分散樹脂を加え、ニーダー等で機械的に混練して混合物を得る工程(ソルトミリング工程と称する)、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で撹拌しスラリー状とする工程、及び、このスラリーを濾過、水洗して必要により乾燥する工程を経て実施される。
【0054】
上記したソルトミリングについて、さらに具体的に説明する。まず、(i)有機顔料と(ii)水溶性の無機塩の混合物に、湿潤剤として少量の(iii)水溶性の有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して必要により乾燥することにより、微細化された顔料が得られる。なお、油性のワニスに分散して用いる場合には、乾燥前の処理顔料(濾過ケーキと呼ぶ)を一般にフラッシングと呼ばれる方法で、水を除去しながら油性のワニスに分散することも可能である。また水系のワニスに分散する場合は、処理顔料は乾燥する必要がなく、濾過ケーキをそのままワニスに分散することができる。
【0055】
ソルトミリング時に上記(iii)有機溶剤に(iv)少なくとも一部可溶な樹脂を併用することにより、さらに微細で、表面が(iv)少なくとも一部可溶な樹脂による被覆された、乾燥時の顔料の凝集が少ないものが得られる。
なお、(iv)分散樹脂を加えるタイミングは、ソルトミリング工程の初期にすべてを添加してもよく、分割して添加してもよい。また分散工程で添加することも可能である。
【0056】
顔料の被覆に用いる分散樹脂は、前記したように被覆樹脂および顔料への吸着性基を有する高分子化合物であればよい。また両者を併用することも可能であり、好ましい態様である。
被覆樹脂としては、顔料への吸着性基を有する高分子化合物の例としては、特に、側鎖に複素環を有する高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物としては、例えば特開2008−83089号公報の段落番号〔0029〕〜〔0030〕、特開2009−62457号公報の段落番号〔0044〕〜〔0047〕、特開2009−1441269の段落番号〔0025〕から〔0078〕に開示されているものが使用できる。
また、顔料の被覆方法に関しては特開2009−1441269の段落番号〔0025〕から〔0078〕に記載されている処理方法、及び高分子化合物を用いることがより好ましい。
【0057】
上記した被覆処理した顔料を用いる場合でも、被覆樹脂を使用して顔料を分散し、顔料分散組成物として使用することがさらに好ましい。被覆樹脂の含有により、顔料の分散性をさらに向上させることができる。
また、顔料の分散には、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることもできる。
【0058】
公知の顔料分散剤や界面活性剤としては、具体的には例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;
【0059】
ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101、103、106、108、109、111、112、116、130、140、142、161、162、163、164、166、167、170、171、174、176、180、182、2000、2001、2050、2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0060】
被覆樹脂の顔料分散組成物中における含有量としては、既述の顔料の質量に対して、5〜100質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
また公知の顔料分散剤や界面活性剤を併用する場合の顔料分散組成物中における被覆樹脂と公知の顔料分散剤と公知の界面活性剤との合計含有量としては、既述の顔料の質量に対して、5〜200質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましい。
【0061】
また、顔料誘導体は、顔料の被覆に用いる高分子化合物の一つであり、必要に応じて顔料分散組成物に添加される。分散剤と親和性のある部分あるいは極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として着色感光性樹脂組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
【0062】
顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、例えば、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
【0063】
顔料誘導体の顔料分散組成物中における含有量としては、顔料の質量に対して、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行なえると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られ、カラーフィルタを作製するときには良好な色特性を有する高コントラストに構成することができる。
【0064】
分散の方法は、例えば、顔料と被覆樹脂と公知の顔料分散剤と公知の界面活性剤などを予め混合してホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機等を用いて微分散させることによって行うことができる。
【0065】
本発明において(A)着色剤として染料を用いる場合は、均一に溶解された着色感光性樹脂組成物が得られる。
(A)着色剤として使用可能な染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用途として用いられている公知の染料を使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
【0066】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0067】
本発明の着色感光性樹脂組成物における(A)着色剤の含有量としては、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量換算で10部〜50部が好ましく、15部〜40部であることがより好ましい。この範囲にあることで、得られた着色層は十分な色相が得られ、また良好な現像性を示すことができる。
なお、本発明において「固形分」とは、着色感光性樹脂組成物を基板上に付与した着色層を100℃で2分間乾燥した硬化膜中に残存する成分を指す。
従って、本発明の着色感光性樹脂組成物においては、(A)着色剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、及び、(F)脂肪族多官能チオール化合物等が、固形分に包含される。
【0068】
<(B)有機溶剤>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、一般の溶剤を用いて調製することができる。また、上述した顔料分散組成物も、溶剤を用いて調製することができる。本発明に用いる(B)有機溶剤は、沸点が110℃以上200℃以下のものが、塗布性、塗布時のノズル詰まり抑制、硬化膜作製時の溶剤除去性の観点から好ましい。
本発明に用いうる有機溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、並びに3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなど)、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチルなど)、並びに、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、1,3−ブタンジオールジアセテート等;
【0069】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等;
【0070】
ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
アルコール類、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、
芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0071】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の着色感光性樹脂組成物における(B)有機溶剤の含有量は、目的に応じて適宜選択されるが、塗布性等の取り扱い性の観点から、固形分濃度が10質量%〜30質量%となる範囲であることが好ましい。
【0072】
<(C)アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色感光性樹脂組成物は(C)アルカリ可溶性樹脂を1種以上含む。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
【0073】
上記アルカリ可溶性樹脂としてより好ましいものは、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等のアクリル系共重合体のものが挙げられる。
【0074】
酸価としては、20mgKOH/g〜200mgKOH/g、好ましくは30mgKOH/g〜180mgKOH/g、更に好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gの範囲のものが好ましい。
【0075】
本発明に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、CH=C(R)(COOR’)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R’は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕であり、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキルは炭素数1〜8のアルキル基)、ヒドロキシグリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等を挙げることができる。
【0076】
ビニル化合物としては、CH=CR3132〔ここで、R31は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R32は炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表す。〕であり、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等を挙げることができる。
【0077】
上述のような共重合可能な他の単量体は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述の中では、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
【0078】
また、分子側鎖にポリオキシアルキレン基を有する樹脂もアルカリ可溶性樹脂として好ましいものである。
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリテトラメチレングリコール鎖、或いはこれらの併用も可能であり、これらの鎖の末端は、水素原子或いは直鎖若しくは分岐のアルキル基である。
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基の繰り返し単位は1〜20が好ましく、2〜12がより好ましい。
側鎖にポリオキシアルキレン基を有するアクリル系共重合体は、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートなど、及びこれらの末端OH基をアルキル封鎖した化合物、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートなどを共重合成分として含むアクリル系共重合体が好ましい。
【0079】
アルカリ可溶性樹脂は、既に述べたように、20mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲の酸価を有する。酸価が200mgKOH/g以下であれば、アルカリ可溶性樹脂がアルカリに対する溶解性が大きくなりすぎず、現像適正範囲(現像ラチチュード)が狭くなることを防止することができる。一方、20mgKOH/g以上あれば、アルカリに対する溶解性が小さくなり難いので、現像時間の長時間化を防止することができる。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量Mw(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、着色感光性樹脂組成物を塗布等の工程に使用しやすい粘度範囲を実現するために、また膜強度を確保するために、2,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜50,000である。
【0080】
また、本発明に使用可能な着色感光性樹脂組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることが好ましい。この重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、重合性基を有しないアルカリ可溶性樹脂と併用してもよい。
重合性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、アリール基、(メタ)アクリル基、アリールオキシアルキル基等を側鎖に含有したポリマー等が有用である。このような重合性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液での現像が可能であって、更に光硬化性と熱硬化性を備えたものであり、好ましい。中でも側鎖重合性基としてアリール基を有する樹脂は着色感光性樹脂組成物の硬化性が高く、耐熱分解性が高いためより好ましい。
以下、重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂の好適な例を示すが、1分子中に、COOH基、OH基等のアルカリ可溶性基と、重合性二重結合(炭素−炭素間不飽和結合)と、を含むものであれば下記に示すものに限定されるものではない。
【0081】
すなわち、
(1)予めイソシアネート基とOH基とを反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ、(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含む化合物と、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と、の反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂
(2)カルボキシル基を含むアクリル樹脂と、分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物と、の反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂
(3)酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂
(4)OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂が挙げられる。
上記のうち、特に(1)及び(2)の樹脂が好ましい。
【0082】
具体例として、OH基を有する、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する、例えば、メタクリル酸と、これらと共重合可能なアクリル系若しくはビニル系化合物等のモノマーと、の共重合体に、OH基に対し反応性を有するエポキシ環と重合性二重結合を有する化合物(例えば、グリシジルアクリレートなどの化合物)を反応させて得られる化合物等を使用できる。OH基との反応では、エポキシ環の他に、酸無水物、イソシアネート基、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。
また、特開平6−102669号公報、特開平6−1938号公報に記載のエポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。
【0083】
COOH基のようなアルカリ可溶化基と重合性二重結合とを併せ持つ化合物として、例えば、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製);Photomer 6173(COOH基含有Polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.Ltd,製);ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製);サイクロマーPシリーズ、プラクセルCF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製);Ebecryl3800(ダイセルサイテック(株)製)、などが挙げられる。
【0084】
アルカリ可溶性樹脂の着色感光性樹脂組成物における含有量としては、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量基準で3部〜50部の範囲であることが好ましく、5部〜30部がより好ましい。
【0085】
<(D)エチレン性不飽和化合物>
本発明における着色感光性樹脂組成物は、(D)エチレン性不飽和化合物を含有する。
本発明に用いることができるエチレン性不飽和化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0086】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応生成物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応生成物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0087】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0088】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0089】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0090】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0091】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0092】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0093】
一般式(IV)
CH=C(R33)COOCHCH(R34)OH (IV)
(ただし、R33及びR34は、各々独立に、H又はCHを示す。)
【0094】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた着色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0095】
その他の例としては、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0096】
これらのエチレン性不飽和化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な着色感光性樹脂組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。着色画素の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、及び、未露光部の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、及び、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、着色感光性樹脂組成物中の他の成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤)との相溶性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板と着色画素との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0097】
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(日本製紙ケミカル社製)、DPHA(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)が好ましい。
【0098】
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学工業(株)製)がより好ましい。
【0099】
着色感光性樹脂組成物における(D)エチレン性不飽和化合物の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量換算で5部〜55部であることが好ましく、10部〜50部であることがより好ましく、15部〜45部であることが更に好ましい。
【0100】
<(E)光重合開始剤>
本発明における着色感光性樹脂組成物は、(E)光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤は、光により分解し、前記(D)エチレン性不飽和化合物の重合を開始、促進する化合物であり、紫外光レーザーの波長に感度を有するものが好ましい。
光重合開始剤としては、レーザーの露光波長に吸収を有するものであることが好ましく、紫外光レーザーの波長に吸収のない場合でも、後述する増感色素と併用することによって紫外光レーザーの波長に感度を有するようにすることが可能である。また、光重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0101】
本発明で用いられる光重合開始剤としては、(E-1)下記一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤を1種以上と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含むことを特徴とする。
【0102】
さらに、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤に加えて、(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤、および(E-5)キサントン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含むことがさらに好ましい。(E-4)ベンゾフェノン系化合物、および(E-5)キサントン系化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を使用することによって、さらに高感度となり、結果的に光重合開始剤の添加量を減少させることが可能となり、着色の無い高輝度なカラーフィルタを得ることができる。
【0103】
−(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤−
【0104】
【化3】

【0105】
〔一般式(1)において、Rは炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。〕
【0106】
一般式(1)におけるR1 の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等を挙げることができる。
また、R1 の炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
さらに、Rの炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびこれらの芳香環上にアルキル基、アルコキシル基、アミノ基、などの置換基を有するものを挙げることができる。
【0107】
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含することを意味する。例えば、「アルキル基」との表記は、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0108】
一般式(1)において、R1 としては、例えば、メチル基、エチル基等が好ましい。
【0109】
一般式(1)において、RおよびRの炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチ基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等を挙げることができる。
また、RおよびRの炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基の他に、ビシクロ[1.1.0]ブタン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ノルカナン、ノルピナン、ノルボルナン等のビシクロアルカン骨格を有する基、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン、トリシクロ[3.3.0.03,7]オクタン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等のトリシクロアルカン骨格を有する基、スピロ[4.5]デカン、ジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン、トリスピロ[2.2.2.2.2.2]ペンタデカン、トリスピロ[2.2.2.2.2.3]ヘキサデカン、トリスピロ[2.2.2.2.211.2]ペンタデカン、トリスピロ[2.0.2.1.2.1]ウンデカン、ペンタスピロ[2.0.2.1.1.210.0.213.1.2]オクタデカン等のスピロアルカン骨格を有する基、テルペン骨格を有する基、アダマンタン骨格を有する基等を挙げることができる。炭素数3〜20のシクロアルキル基のうちRおよびRとしては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましい。
【0110】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が好ましい。
一般式(1)のRにおける炭素数6〜20のアリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびこれらの芳香環上にアルキル基、アルコキシル基、アミノ基、などの置換基を有するものを挙げることができ、中でもフェニル黄、トリル基、ナフチル基が好ましく、トリル基がもっとも好ましい。
【0111】
一般式(1)のR〜Rの直鎖もしくは分岐のアルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は置換基を有してもいてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基:メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基:炭素数4〜20の含酸素複素環基:炭素数4〜20の含窒素複素環基:炭素数4〜20の含硫黄複素環基:(R-(CH)p−O)q−基(ここでRは炭素数4〜20の含酸素複素環基、炭素数4〜20の含窒素複素環基、または炭素数4〜20の含硫黄複素環基であり、pは0〜6の整数を表し、qは1〜5の整数を表す。):フェニル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等を挙げることができる。
【0112】
一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤は、下記一般式(2)で表される化合物、または下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0113】
【化4】

【0114】
【化5】

【0115】
〔一般式(2)および一般式(3)において、R〜Rは一般式(1)におけるR〜Rとそれぞれ同義である。複数あるRはそれぞれ独立に炭素数4〜20の含酸素複素環基、炭素数4〜20の含窒素複素環基、または炭素数4〜20の含硫黄複素環基を示し、複数あるRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、または炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基を表し、nは1〜5の整数、mは0〜5の整数を表し、(n+m)≦5であり、pは0〜6の整数を表す。〕
【0116】
一般式(2)および一般式(3)において、Rの炭素数4〜20の1価の含酸素複素環式基、炭素数4〜20の1価の含窒素複素環式基または炭素数4〜20の1価の含硫黄複素環式基としては、例えば、チオラニル基、アゼピニル基、ジヒドロアゼピニル基、ジオキソラニル基、トリアジニル基、オキサチアニル基、チアゾーリル基、オキサジアジニル基、ジオキサインダニイル基、ジヒアナフタレニル基、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピロリニル基、モルホニル基、ピペラジニル基、キヌクリジニル基、インドーリル基、イソインドーリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリジニル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、プテリジニル基、カルバゾーリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、チオキサンテニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサチイニル基、フェノキサジニル基、チアントレニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0117】
一般式(2)および一般式(3)において、Rとしては、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が好ましい。
【0118】
一般式(2)および一般式(3)において、Rの炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等を挙げることができる。
また、Rの炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0119】
また、Rの炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
また、Rの炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0120】
一般式(2)および一般式(3)において、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
【0121】
一般式(2)および一般式(3)において、nは1が好ましく、mは0、1または2が好ましく、特に1であることが好ましく、pは0、1または2が好ましく、特に1であることが好ましい。
【0122】
本発明に用いることのできる(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤の例としては、以下の化合物を挙げることができる。なお、これらの化合物に限定されるものではない。
【0123】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
【0124】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
【0125】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
【0126】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)ベンゾイル]−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等であり、さらに、
【0127】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
【0128】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
【0129】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−2−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−3−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
【0130】
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルオキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)、
エタノン−1−[9−エチル−6−[2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル]−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)
等を挙げることができる。
【0131】
さらに、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアOXE−02、ADEKA社製N−1919などが特に好適である。
【0132】
<(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤>
(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤としては、3個のアリール基を置換したイミダゾール環の2量体なら何でもよいが、特に、下記一般式(4)、または一般式(5)で表される重合開始剤が好ましい。
【0133】
【化6】

【0134】
一般式(4)中、Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜9のアリール基を示し、Bは炭素数1から12の置換もしくは無置換のアルコキシ基、あるいは−COO−R(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜9のアリール基を示す。)を示し、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。
【0135】
【化7】

【0136】
一般式(5)中、X、XおよびXは相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜9のアリール基を示す。但し、X、XおよびXの2個以上が同時に水素原子をとることはない。
【0137】
ヘキサアリールビスイミダゾール化合物の具体例としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5.5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)ビスイミダゾール等のビスイミダゾール系化合物;
【0138】
2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(p−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(m−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(4−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(3−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、
【0139】
2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール等の化合物を挙げることができる。
【0140】
上記の中でも、特に好ましい化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール(B−CIM、保土ヶ谷化学工業)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール(HABI1311、日本シーベルヘグナー)、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール(黒金化成)があげられる。
【0141】
<(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤>
(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノンなどを好適に挙げることができる。
【0142】
特に好ましい(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1であり、このうち2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が着色が無く、高感度で、揮発性が低いため最も好ましい。
【0143】
(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤は、後述する(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤に比べて、ラジカル発生効率が高く、また、発生したラジカルの安定性が高いため、酸素などによるクエンチの影響を受けにくいため、より高い重合効率を得ることができる。
【0144】
<(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤>
(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0145】
<(E-5)キサントン系光重合開始剤>
(E-5)キサントン系光重合開始剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0146】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、(E)光重合開始剤が、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤、(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤、(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤、及び(E-5)キサントン系光重合開始剤以外の他の構造の光重合開始剤を併用してもよい。
(E−4)ベンゾフェノン系光重合開始剤および(E−5)キサントン系光重合開始剤は、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群から選ばれる光重合開始剤と、組合わせて用いることで、増感効果があり好ましい。
【0147】
併用可能なその他の構造の光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物などが挙げられる。
【0148】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0149】
オキシジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
【0150】
ケタール化合物としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
【0151】
ベンゾイン化合物としてはm−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0152】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、1,2−ジ(9−アクリジニル)エタン、1,3−ジ(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ジ(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ジ(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ジ(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ジ(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ジ(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ジ(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ジ(9−アクリジニル)デカン、1,11−ジ(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ジ(9−アクリジニル)ドデカン等のジ(9−アクリジニル)アルカン、などを挙げることができる。
【0153】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化琥珀酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0154】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0155】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0156】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書ならびに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0157】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報に記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報に記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0158】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報、特開2000−131837号公報、特開2002−107916号公報、特許第2764769号公報、特開2002−116539号公報等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0159】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2002−328465号明細書等に記載される化合物等が挙げられる。
【0160】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群から選ばれる光重合開始剤を1種以上と、を含む。
さらに(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤および(E-5)キサントン系光重合開始剤から選ばれる光重合開始剤を1種以上含むことがさらに好ましい。
即ち、(E)光重合開始剤として、(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E−3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤および(E-5)キサントン系光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種と、を含む態様が好ましく挙げられる。
【0161】
(E)光重合開始剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量基準で0.1%〜20%であることが好ましく、より好ましくは0.5%〜15%、特に好ましくは3%〜15%である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0162】
<(F)脂肪族多官能チオール化合物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(F)脂肪族多官能チオール化合物を含有する。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、脂肪族多官能チオール化合物を含むことで、感度を高め、且つ、微細なコンタクトホールを形成することができる。本発明において「脂肪族多官能チオール化合物」とは、チオール基を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
【0163】
脂肪族多官能チオール化合物としては、分子量100以上の低分子化合物が好ましく、具体的には、分子量100〜1500であることが好ましく、200〜600が更に好ましい。脂肪族多官能チオール化合物はチオール基を分子内に2〜10個有することが好ましく、2〜6個有することがさらに好ましい。
【0164】
脂肪族多官能チオール化合物としては、液経時増粘防止、液経時感度低下防止の観点から、2級のチオール基を少なくとも1個含む化合物であることが好ましく、2級のチオール基を2個以上含むことがより好ましい。また、同様の観点から、1級のチオール基を含まないことが特に好ましい。
2級のチオール基としては、例えば、3-メルカプトブチレートが好ましい。
【0165】
本発明に使用される脂肪族多官能チオール化合物の例としては、1,2−エタンジチオール、l,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−へキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、
【0166】
エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(4−メルカプトイソバレレート)、ジエチレングリコールビス(4−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4−メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3−メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトバレレート)等が例示される。
【0167】
これらの中でも、2級のチオール基を2個以上有するトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)が好ましい。
【0168】
脂肪族多官能チオール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族多官能チオール化合物の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量基準で0.01部〜10部であることが好ましく、より好ましくは0.2部〜5部、特に好ましくは0.5部〜3部である。この範囲内では、低露光量の紫外光レーザーにおいても高感度が得られ、かつ着色がなく、パターン形成性が良好な着色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0169】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、上記成分の他に、更に、目的に応じて種々の公知の添加剤を用いることができる。
以下、そのような添加剤について述べる。
【0170】
(増感剤)
本発明の着色感光性樹脂組成物には、感度向上の観点から、さらに増感剤を添加することが好ましい。この増感剤が吸収しうる波長の露光により光重合開始剤成分のラジカル発生反応や、それによるエチレン性不飽和化合物の重合反応が促進されるものである。
このような増感剤としては、公知の分光増感剤又は染料、又は光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料又は顔料が挙げられる。
【0171】
本発明に用いることのできる好ましい増感剤として、下記に例示する分光増感色素又は染料が挙げられる。
特公平37−13034号公報に記載のスチリル系色素;特開昭62−143044号公報に記載の陽イオン染料;特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩;特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物;特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類;特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンテン染料;特開平2−226148号公報及び特開平2−226149号公報記載のアクリジン類;特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類;特公昭46−42363号公報記載のシアニン類;特開平2−63053号記載のベンゾフラン色素;特開平2−85858号公報、特開平2−216154号公報の共役ケトン色素;特開昭57−10605号公報記載の色素;特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体;特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素;特開昭62−31844号公報、特開昭62−31848号公報、特開昭62−143043号公報記載のキサンテン系色素;特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン;特開平2−179643号公報記載の色素;特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素;特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素;特開昭59−89303号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−129257号公報記載のメロシアニン色素;特開平8−334897号公報記載のベンゾピラン系色素が挙げられる。
【0172】
増感色素の他の好ましい態様として、以下の化合物群に属しており、且つ、350〜450nmに極大吸収波長を有する色素が挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)が挙げられる。
【0173】
増感剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分100部に対し、質量基準で0.01部〜10部であることが好ましく、より好ましくは0.1部〜5部、特に好ましくは0.3部〜2部である。この範囲で、着色が無く、高感度で、パタン形成性のよい着色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0174】
(樹脂)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、皮膜特性向上、現像特性付与などの目的で、前記した(C)アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を含んでもよい。ここで(C)アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂としては、エポキシ樹脂、顔料被覆用の樹脂、高分子分散剤などの高分子化合物を示す。
以下にこれらの樹脂の中のエポキシ樹脂について詳述する。なお、顔料被覆用の樹脂、及び高分子分散剤については、後述する。
【0175】
着色感光性樹脂組成物の調製時には、上記アルカリ可溶性樹脂に加え、更に下記のエポキシ樹脂も添加することが好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ環を分子中に2個以上有する化合物が挙げられる。
例えば、ビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上、東都化成(株)製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上、ナガセケムテックス(株)製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上、ダイセル化学工業(株)製)などが挙げられ、その他にも、これらと類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型エポキシ樹脂も使用可能なものとして挙げることができる。
また、Ebecryl 3700、3701、600(以上、ダイセルサイテック(株)製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
【0176】
クレゾールノボラック型としては、エポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704など(以上、東都化成(株)製)、デナコールEM−125など(以上ナガセケムテックス製)、ビフェニル型としては、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルビフェニルなど、脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上、ダイセル化学工業(株)製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上、東都化成(株)製)、Epiclon430、同673、同695、同850S、同4032(以上、DIC(株)製)などを挙げることができる。
【0177】
また、1,1,2,2−テトラキス(p−グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(p−グリシジルオキシフェニル)メタン、トリグリシジルトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
【0178】
この中で好ましいのは、「分子量/エポキシ環の数」が100以上であり、より好ましいものは130〜500である。「分子量/エポキシ環の数」が小さいと硬化性が高く、硬化時の収縮が大きく、また大きすぎると硬化性が不足し、信頼性に欠けたり、平坦性が悪くなったりして好ましくない。
この条件を満たす具体的な好ましい化合物としては、エポトートYD−115、118T、127、YDF−170、YDPN−638、YDPN−701、プラクセルGL−61、GL−62、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニル、セロキサイド2021、2081、エポリードGT−302、GT−403、EHPE−3150などが挙げられる。
【0179】
エポキシ樹脂を用いる場合の添加量としては、着色感光性樹脂組成物の固形分中、0.1質量%〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%がもっとも好ましい。この範囲の添加量であると、光重合性を阻害することなく十分な露光感度が得られ、かつ熱重合性を併せ持つことから高度な耐熱、耐薬品性を付与することが出来、さらに着色感光性樹脂組成物の保存安定性も保つことができる。
【0180】
(界面活性剤)
顔料濃度を大きくすると塗布液のチキソ性が一般的に大きくなるため、基板上に着色感光性樹脂組成物を塗布又は転写して着色感光性樹脂組成物層(着色層塗膜)形成後の膜厚ムラを生じやすい。また特に、スリットコート法による着色感光性樹脂組成物層(着色層塗膜)形成では、乾燥までに着色感光性樹脂組成物層形成用の塗布液がレベリングして均一な厚みの塗膜を形成することが重要である。このため、前記着色感光性樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
塗布性を向上するための界面活性剤としてはノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が添加される。
【0181】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール類、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0182】
具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシアルキレンジアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類などのノニオン系界面活性剤がある。
【0183】
これらの具体例は、例えば、アデカプルロニックシリーズ、アデカノールシリーズ、テトロニックシリーズ(以上、ADEKA(株)製)、エマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ(以上、花王(株)製)、エレミノールシリーズ、ノニポールシリーズ、オクタポールシリーズ、ドデカポールシリーズ、ニューポールシリーズ(以上、三洋化成(株)製)、パイオニンシリーズ(以上、竹本油脂(株)製)、ニッサンノニオンシリーズ(以上、日油(株)製)などである。これらの市販されているものが適宜使用できる。好ましいHLB値は8〜20、更に好ましくは10〜17である。
【0184】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。
具体的市販品としては、例えばメガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同780、同781、同R30、同R08、(以上、DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(以上、JEMCO(株)製)などである。
【0185】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、Momentive Performance Materials Japan社製)等を挙げることができる。
【0186】
これらの界面活性剤は、着色感光性樹脂組成物層を形成するための塗布液100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下で用いられる。界面活性剤の量が5質量部を超える場合は、塗布乾燥での表面あれが生じやすく、平滑性が悪化しやすくなる。
【0187】
また、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、着色感光性樹脂組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、メトキシフェノキシ酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0188】
(アルコキシシラン化合物)
本発明に用いられる着色感光性樹脂組成物には、基板との密着性向上といった観点から、アルコキシシラン化合物、なかでもシランカップリング剤を使用することができる。
シランカップリング剤は、無機材料と化学結合可能な加水分解性基としてアルコキシシリル基を有するものが好ましく、有機樹脂との間で相互作用若しくは結合形成して親和性を示す(メタ)アクリロイル、フェニル、エポキシシランであることが好ましく、その中でも(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシランであることがより好ましい。
シランカップリング剤を用いる場合の添加量としては、本発明に用いられる着色感光性樹脂組成物中の全固形分中、0.2質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜3.0質量%がより好ましい。
【0189】
(共増感剤)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、所望により共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0190】
共増感剤の別の例としては、スルフィド類、例えば、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0191】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0192】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、1質量%〜25質量%の範囲がより好ましく、1.5質量%〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0193】
(重合禁止剤)
本発明においては、着色感光性樹脂組成物の製造中或いは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、フェノキサジン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0194】
熱重合防止剤の添加量は、着色感光性樹脂組成物に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させることもできる。高級脂肪酸誘導体の添加量は、着色感光性樹脂組成物の0.5質量%〜10質量%が好ましい。
【0195】
(可塑剤)
更に、本発明においては、着色感光性樹脂組成物の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、エチレン性不飽和化合物と樹脂との合計質量に対して、10質量%以下を添加することができる。
上記成分を含む本発明の着色感光性樹脂組成物は、紫外光レーザーの露光に対して高感度で硬化し、パターン形成性に優れ、且つ、形成された着色パターンは、形状、可視光の透過性ともに良好であり、カラーフィルタ用の着色パターン形成に好適に用いられる。
【0196】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色感光性樹脂組成物を適切な基板上に塗布し、紫外線レーザーによるパターン状の露光により露光領域を硬化させ、未露光領域を現像除去することで、着色パターンが形成される。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を付与して該着色感光性樹脂組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、該着色層を、波長300nm〜380nmの紫外光レーザーを用いてパターン状に露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含む。
以下、前述のような各成分を含む着色感光性樹脂組成物による着色パターン(着色画素)を有するカラーフィルタの製造方法について、工程順に説明する。
【0197】
〔着色層形成工程〕
まず、基板上に、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を付与して該着色感光性樹脂組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程(塗布工程)を実施する。
この際、用いられる基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板が挙げられる。更に、プラスチック基板も可能である。これらの基板は、格子状などにブラックマトリックスを形成し、格子の空いた部分に着色画素が形成される。
また、本発明では上記したTFT電極を設けた基板も用いることができ、TFT電極を設けた基板に平坦化層を設けた基板、あるいは密着層を設けた基板も使用できる。
なお、本発明で「TFT基板」とは、TFT(Thin Film Transistor)電極を、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの透明基板上に設けた基板のことである。
【0198】
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。基板は大型(おおむね1辺1m以上)である方が、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0199】
基板上に着色感光性樹脂組成物を付与して着色層を形成する方法には、特に制限はなく、塗布する方法、予め作製された塗膜を転写する方法など公知の方法をとることができる。塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布等の付与方法を適用することができる。中でもスリット塗布が精度と速さの観点で好ましい。
また、既述のように、予め仮支持体上に上記付与方法によって付与して形成した塗膜を、基板上に転写する方法を適用することもできる。
転写方法に関しては、特開2006−23696号公報の段落番号[0023]、[0036]〜[0051]や、特開2006−47592号公報の段落番号[0096]〜[0108]に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
【0200】
着色感光性樹脂組成物の塗膜の厚さは、充分な色再現領域を得るために、乾燥後の膜厚が、2.0μm〜5.0μmとなるように形成することが好ましく、2.3μm〜3.0μmとすることがより好ましい。また、COA用途の場合、良好な絶縁性を得るためには乾燥後の膜厚は3.0μm〜4.5μmとすることがより好ましい。
【0201】
〔乾燥工程〕
上記のような着色感光性樹脂組成物の塗布が終了した後、真空乾燥(VCD)により溶剤を乾燥させることができる。またさらに、基板上の塗膜を加熱乾燥(プリベーク)させて着色感光性樹脂組成物層を得てもよい。
塗膜のプリベーク温度は、60℃〜140℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。また、プリベーク時間は、30秒〜300秒が好ましく、80秒〜200秒がより好ましい。
【0202】
〔露光工程〕
その後、基板上に形成された着色感光性樹脂組成物層に対して、前述のような紫外光レーザーによるパターン露光が行われる。露光工程については、先に詳述したとおりである。パターン露光は、マスクを介した露光、走査露光のいずれであってもよい。この露光により、露光領域が重合、硬化する。
【0203】
〔現像工程〕
本発明においては、前述のようなパターン露光終了後、着色感光性樹脂組成物層の未露光領域(未硬化領域)を除去して、着色画素(着色パターン)を形成する。
以下、未露光領域を除去する工程(現像工程)について説明する。
なお、着色画素を形成する際、この現像工程後、必要に応じて更に他の工程を設けることもできる。
【0204】
本発明において、現像工程では、露光後の着色感光性樹脂組成物層を現像する。
露光領域はパターン状に硬化しており、現像処理では、アルカリ現像処理を行うことにより、上記露光工程での未照射部分(未硬化部分)を、現像液に溶出させで除去し、光硬化した部分だけを残すことによって、着色画素パターンが形成される。
【0205】
現像液としては、有機アルカリ現像液や無機アルカリ現像液又はその混合液が使用される。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ性化合物を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後に純水で洗浄(リンス)する。
【0206】
現像温度としては20℃〜35℃が好ましく、23℃〜30℃がより好ましい。現像時間は、30秒〜120秒が好ましく、40秒〜90秒がより好ましい。これらのうち、現像温度と現像時間の好ましい組み合わせは、例えば、温度25℃では50秒〜100秒であり、温度30℃では40秒〜80秒であることが挙げられる。
また、シャワー圧は、0.01MPa〜0.5MPaが好ましく、0.05MPa〜0.3MPaが好ましく、0.1MPa〜0.3MPaが好ましい。
これらの条件を選択することによって、着色画素パターンの形状を、矩形にしたり、順テーパーにしたり、任意に設計することができる。
【0207】
〔ポストベーク工程〕
ポストベーク工程では、着色感光性樹脂組成物層の硬化を完全なものとするために、現像された着色感光性樹脂組成物層をベークする。ベークする方法は、現像・リンス後の着色感光性樹脂組成物層(パターン状のもの)を有する基板を、ホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で加熱することによって行うことができる。
ベークの条件としては、温度は、150℃〜260℃が好ましく、180℃〜260℃がより好ましく、200℃〜240℃が最も好ましい。ベーク時間は、10分間〜150分間が好ましく、20分間〜120分間がより好ましく、30分間〜90分間が最も好ましい。
【0208】
<カラーフィルタ>
このようにして、任意の基板上に、着色パターン(着色画素)が形成される。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、少なくとも前記本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて形成された着色パターンを有するものであり、前記本発明のカラーフィルタの製造方法により、生産性よく製造される。
【0209】
なお、前記カラーフィルタの製造方法では、本発明の特徴である着色画素の形成についてのみ説明したが、本発明の着色感光性樹脂組成物の着色剤として、赤色顔料、緑色顔料青色顔料をそれぞれ含有する着色感光性樹脂組成物を用いることで、赤色画素(R)、緑色画素(G)、青色画素(B)が形成される。
従って、RGB3色相の着色画素、遮光層等、複数色相の着色パターンを形成するときは、それぞれの色相を有する着色感光性樹脂組成物の基板上への付与、所望により行うプリベーク、露光、現像、及びポストベークのサイクルを、所望の色相数だけ繰り返す方法を用いてもよいし、各色相ごとに着色感光性樹脂組成物の付与、プリベーク、露光、及び現像を行ってから、最後に全色相分まとめてポストベークを行なってもよい。
これにより、所望の色相よりなる着色画素を備えたカラーフィルタが作製される。
【0210】
<液晶表示装置>
本発明の組成物からなる着色パターンを備えたカラーフィルタは、色相に優れ、画素形状が良く、またコンタクトホールの形状が良好であることから、液晶表示装置用のカラーフィルタとして好適である。
このようなカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、高品位の画像を表示することができる。
表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0211】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供すると特に好適である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は前述のような通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率及び剥離液耐性が必要である。本発明のカラーフィルタは、紫外光レーザーによる露光方法に加え、本発明が規定する画素の色相や膜厚を選択することによって、露光光である紫外光レーザーの透過性を高めるものと考えられる。これによって、着色画素の硬化性が向上し、欠けや剥がれ、ヨレのない画素を形成できるので、TFT基板上に直接または間接的に設けた着色層の特に剥離液耐性が向上し、COA方式の液晶表示装置に有用である。低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
【0212】
さらにCOA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜40μm程度の矩形、もしくは、直径1〜40μmφの円形ないしは楕円形、あるいはコの字型等の、画素断面の形状が矩形からテーパー形状であるコンタクトホール(導通路)を形成する必要があり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。コンタクトホールの画素断面の形状が矩形からテーパー形状を有しない場合や、開口が不十分な場合には、透明導電膜の断線や導通不良を起し、そのようなカラーフィルタを画像表示装置に用いる場合には、表示不良の原因となる場合があるが、本発明の着色組成物を用いることでコンタクトホールの形状悪化やつぶれによる問題点の発生が抑制されるという利点をも有するものである。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0213】
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。
これらの部材については、例えば、「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
【0214】
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊デイスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木 隆明)などに記載されている。
【0215】
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【実施例】
【0216】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0217】
−側鎖に複素環を有する高分子化合物の合成−
(重合体1の合成)
単量体1(下記構造)27.0部、メチルメタクリレート 126.0部、メタクリル酸 27.0部、および1-メトキシ-2-プロパノール 420.0部を、窒素置換した三つ口フラスコに導入し、撹拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて撹拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製 V−65)を1.69部加え、90℃にて2時間加熱撹拌を行った。2時間後、さらにV−65を1.69部加え、3時間加熱撹拌の後、重合体1の30質量%溶液を得た。得られた重合体1の重量平均分子量をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、2.0万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。
【0218】
(重合体2の合成)
単量体2(下記構造)27.0部、メチルメタクリレート 126.0部、メタクリル酸27.0部、および1-メトキシ-2-プロパノール 420.0部を、窒素置換した三
口フラスコに導入し、撹拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて撹拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温した。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を1.80部加え、90℃にて2時間加熱撹拌を行った。2時間後、さらにV−65を1.80部加え、3時間加熱撹拌の後、重合体2の30質量%溶液を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、得られた重合体2の重量平均分子量を測定した結果、2.1万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、99mgKOH/gであった。
【0219】
【化8】

【0220】
実施例及び比較例に用いた顔料分散液1〜6を調製するために用いる、被覆顔料1〜5について詳細を示す。
【0221】
(被覆顔料1の調製)
顔料(C.I.Pigment Red254 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 CROMOPHTAL RED BP) 50部、塩化ナトリウム 500部、上記の重合体1の溶液 20部、およびジエチレングリコール 100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、9時間混練した。次に、この混合物を約3リットルの水中に投入し、ハイスピードミキサーで約1時間撹拌した後に、ろ過、水洗して塩化ナトリウムおよび溶剤を除き、乾燥して被覆顔料1を調製した。
【0222】
(被覆顔料2の調製)
被覆顔料1の調製において、Pigment Red254の代わりに、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 CROMOPHTAL RED A2B)を用いて、他は被覆顔料1の調製と同様にして、被覆顔料2を調製した。
【0223】
(被覆顔料3の調製)
被覆顔料1の調製において、Pigment Red254の代わりに、C.I.Pigment Blue 15:6を用いて、他は被覆顔料1の調製と同様にして、被覆顔料3を調製した。
【0224】
(被覆顔料4の調製)
被覆顔料1の調製において、Pigment Red254の代わりに、Yellow Pigment E4GN−GT(ランクセス社製)を用いて、また重合体1の代わりに重合体2を用いて、他は被覆顔料1の調製と同様にして、被覆顔料4を調製した。
【0225】
(被覆顔料5の調製)
被覆顔料1の調製において、Pigment Red254の代わりに、C.I.ピグメントバイオレット23を用いて、他は被覆顔料1の調製と同様にして、被覆顔料5を調製した。
【0226】
実施例及び比較例に用いた顔料分散液1〜6について詳細を示す。
【0227】
(顔料分散液1の調製)
被覆顔料1の顔料相当分35部に対し、分散剤としてDisperBYK161(BYK-CHEMIE社製)14部、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部の組成にて、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、混合溶液を調製し、さらに0.1mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ウルトラアペックスミル(寿工業社製)にて6時間分散処理を行なった。
【0228】
(顔料分散液2の調製)
顔料分散液1の調製において、被覆顔料1の代わりに、被覆顔料2を用いて、他は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液2を調製した。
【0229】
(顔料分散液3の調製)
顔料分散液1の調製において、被覆顔料1の代わりに、被覆顔料4を用いて、他は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液3を調製した。
【0230】
(顔料分散液4の調製)
顔料分散液1の調製において、被覆顔料1の代わりに、被覆顔料3と被覆顔料5を、被覆顔料3/被覆顔料5=100/40の質量比となり、その総量が顔料分散液1の調製における被覆顔料1と同量となるように用いて、他は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液4を調製した。
【0231】
(顔料分散液5の調製)
顔料分散液5に用いる顔料の合成法とそれを用いた分散液の調製法を以下に示す。
(ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の合成)
フタロジニトリル、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。
ハロゲン化は、塩化スルフリル 3.1部、無水塩化アルミニウム 3.7部、塩化ナトリウム 0.46部、亜鉛フタロシアニン 1部を40℃で混合し、臭素 2.2部を滴下して行った。80℃で15時間反応し、その後、反応混合物を水に投入し、部分臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーを濾過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、2.6部の精製された部分臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。
【0232】
この部分臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料 1部、粉砕した塩化ナトリウム 7部、ジエチレングリコール 1.6部、キシレン 0.09部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水100部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕した部分臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。
得られた部分臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、質量分析によるハロゲン含有量分析から、平均組成はZnPcBr10Clで(Pc;フタロシアニン)、1分子中に平均10個の臭素を含有するものであった。
【0233】
(顔料分散液5の調製)
直径0.5mmのジルコニアビーズを仕込んだ五十嵐機械製造社製高速分散機「TSC−6H」に、前記で得た部分臭素化亜鉛フタロシアニン顔料 14.9部、ビックケミー社製アクリル系分散剤「BYK−2001」 7.2部、PGMEA 78部を仕込み、毎分2000回転で8時間攪拌して、顔料分散液5を調製した。
【0234】
(顔料分散液6の調製)
顔料分散液1の調製において、被覆顔料1の代わりに、被覆顔料3を用いて、他は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液6を調製した。
【0235】
実施例及び比較例に用いたバインダー樹脂について詳細を示す。
【0236】
(アルカリ可溶性樹脂1:アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比=80/20)の合成)
撹拌羽を供えた撹拌棒、還流冷却管、温度計を備えた、200mL三つ口フラスコに1−メトキシ−2−プロパノール 54gを入れ、窒素気流下、70℃に加熱した。アリルメタクリレート 10.07g、メタクリレート 1.93g、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.185gを1-メトキシ-2-プロパノール 54gに溶解した溶液をプランジャーポンプを用いて、2.5時間かけて、三つ口フラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに70℃で2時間撹拌した。加熱終了後、水1Lへ投入し、再沈した。析出物を濾過後、真空乾燥させ、9g(収率75%)のポリマー化合物を得た。
重量平均分子量の測定試料0.01gを10mLメスフラスコに秤取り、THF約8mLを加えて室温で溶解した後に全量を10mLにした。この溶液について、GPCを用いて下記条件にて測定したところ、上記ポリマー化合物の重量平均分子量は35000であった。
【0237】
<実施例1>
〔着色感光性樹脂組成物の調製〕
上記で得られた顔料分散液1〜3を用いて、以下の組成の成分を添加し、撹拌混合して実施例1の着色感光性樹脂組成物を調製した。
・顔料分散液1 9.21部
・顔料分散液2 16.63部
・顔料分散液3 2.70部
・アルカリ可溶性樹脂1:上記に記載 5.72部
・エチレン性不飽和化合物1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、カヤラッドDPHA) 6.09部
・エポキシ樹脂:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学工業製、EHPE 3150) 0.60部
・界面活性剤1:メガファックF−781(DIC社製) 0.02部
・光重合開始剤1:下記構造 0.40部
・光重合開始剤3:下記構造 1.20部
・光重合開始剤5:下記構造 0.20部
・脂肪族多官能チオール1:下記構造 0.14部
・溶剤:ジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下、DPDMと称する。) 16.00部
・溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと称する。) 41.09部
【0238】
〔評価〕
得られた着色感光性樹脂組成物を用いて以下の評価を行った。結果はまとめて表4に示す。
【0239】
(光硬化性着色層形成)
ポストベーク後の着色感光性樹脂組成物層の層厚が3.2μmとなるようにスリットとガラス基板との間隔、及び吐出量を調節して、塗布速度120mm/秒で塗布した。
【0240】
−プリベーク工程、露光工程−
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、Nd:YAGレーザー(Pulseo、第三高調波355nm、Spectra−Physics社製)を用いた露光装置にて、光硬化性着色層表面に対し照射エネルギーが約1.0mJ/cmとなるように光学系を調整し、フォトマスクを通して露光を行った。光硬化性着色層表面に対し、20回の多重露光を行うことでパターン露光を行った。
【0241】
−現像工程、ポストベーク工程−
その後、現像装置(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1部、純水を99部の希釈した液)25℃でシャワー圧を0.2MPaに設定して、45秒現像し、純水で洗浄した。
次いで、220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、熱処理済みの画素を有する基板を形成した。
【0242】
(コンタクトホールの形状)
画素部に25μmφのコンタクトホール(以下、適宜「CH」と称する。)形成用の真円状のパターンを有するマスクを用いて露光GAP=200μmで上記の工程でカラーフィルタ用画素を形成し、ポストベイク工程後のCH形状を観察した。
評価基準
○ :CHエッジ部のカケやフリンジが無く、真円状のCHが形成されている。
○△:ややフリンジが見られるが、真円状のCHが形成されている。
△ :フリンジが多く、CHのエッジ部がギザギザしている。
× :CHエッジ部に明らかなカケもしくは大きなフリンジが生じ、CH形状が円形でない。
【0243】
(コンタクトホール残渣)
画素部に25μmφのCH形成用の真円状のパターンを有するマスクを用いて露光GAP=200μmで上記の工程でカラーフィルタ用画素を形成し、ポストベイク工程後のCH内部の残渣をSEMにて観察した。
評価基準
○ :まったく残差が見られない。
○△:CHエッジ部に若干の残渣が見られる。
△ :CH内部に残差が見られる。
× :CH内部が残渣で覆われている。
【0244】
(表面あれ)
上記のように塗布、プリベイク、露光、現像した画素表面の表面粗さ:Ra(中心面平均粗さ)を、AFM(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIII)を用いて測定した。
評価基準
○ :表面粗さRa値が4nm以下である。
○△:表面粗さRa値が4nmを超え6nm以下である。
△ :表面粗さRa値が6nmを超え8nm以下である。
× :表面粗さRa値が8nmを超える。
【0245】
(現像ムラ)
上記のように塗布、プリベイク、露光、現像した直後の画素表面を、光学顕微鏡で落射光にて観察した。
評価基準
○ :まったくムラが観察されず、光沢感がある。
○△:ムラは観察されないが、表面の反射光が弱く、黒ずんで見える。
△ :画素のエッジ部分に反射の強い部分と、弱い部分とが観察され、ムラが見える。
× :画素全体に渡って表面の反射の強い部分と、弱い部分が観察される。
【0246】
(剥離液耐性)
ポストベイク工程後の画素をポジレジスト用の剥離液(ジメチルスルホキシドとN−メチルピロリドンの60/40混合物)に60℃10分間浸漬し、画素の様子を観察し、さらに、試験前後の画素の膜厚を測定し、下記の式で膨潤度を計算した。
膨潤度(%)=試験後の膜厚/試験前の膜厚x100
評価基準
○:画素の剥がれが無く、膨潤度が5%以下。
△:画素の剥がれが無く、膨潤度が5%を超え10%以下。
×:膨潤度が10%より大きいか、画素の剥がれが生じる。
【0247】
〔実施例2〜18、比較例1〜6〕
実施例1における着色感光性樹脂組成物の調製を、各成分の含有量を下記表1〜3に記載した量に変更して行った以外は実施例1と同様にして、実施例2〜18、および比較例1〜6の着色感光性樹脂組成物を調製した。
得られた着色感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の評価を行い、結果を表4に示した。
【0248】
【表1】

【0249】
【表2】

【0250】
【表3】

【0251】
実施例および比較例で用いた光重合開始剤1〜6、エチレン性不飽和化合物2、およびチオール化合物1〜3は下記のとおりである。なお、チオール化合物1、2は脂肪族多官能チオール化合物であり、チオール化合物3は芳香族チオール化合物である。
【0252】
【化9】

【0253】
【化10】

【0254】
【表4】

【0255】
表4の結果より、本発明を用いた実施例はいずれもコンタクトホール形状が良好で、残渣も少なく、画素の表面あれが発生しにくく平坦で、現像ムラが良好であり、しかも硬化して得られた膜は剥離液に対する耐性があることがわかる。
これに対し本発明を用いていない比較例はいずれも、コンタクトホール形状が不良で、残渣もあり、画素の表面があれており、現像ムラが発生し、しかも硬化して得られた膜は剥離液に対する耐性が不良であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)溶剤、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)エチレン性不飽和化合物、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪族多官能チオール化合物を含み、前記(E)光重合開始剤として、(E-1)下記一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤と、(E-2)ヘキサアリールビイミダゾール系光重合開始剤および(E-3)アセトフェノン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤と、を含む紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【化1】


〔一般式(1)において、Rは炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数3〜20のシクロアルキル基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。〕
【請求項2】
前記(F)脂肪族多官能チオール化合物が、2級のチオール基を少なくとも1個含む化合物である請求項1に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物
【請求項3】
さらに、前記(E)光重合開始剤として、(E-4)ベンゾフェノン系光重合開始剤、および(E-5)キサントン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む請求項1または請求項2に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(D)エチレン性不飽和化合物が、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)着色剤が、青色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して4質量%〜10質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)着色剤が、緑色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表されるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して3質量%〜9質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)着色剤が、赤色顔料を含み、且つ前記(E-1)一般式(1)で表わされるオキシム系光重合開始剤の含有量が着色感光性樹脂組成物の固形分に対して1質量%〜6質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
Color−filter On Array方式のカラーフィルタ用である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜請求項7に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
【請求項10】
基板上に、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の紫外光レーザー露光用の着色感光性樹脂組成物を付与して該着色感光性樹脂組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層を、波長300nm〜380nmの紫外光レーザーを用いてパターン状に露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載のカラーフィルタを備えてなる液晶表示装置。

【公開番号】特開2012−14052(P2012−14052A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151961(P2010−151961)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】