説明

睡眠呼吸障害防止装置及び防止方法

【課題】睡眠者によって異なる睡眠呼吸障害防止を効率的に適用する。
【解決手段】本発明の一態様は、睡眠者の睡眠呼吸障害を防止する装置であって、人体の背中の両側に膨張及び収縮により動作するようにそれぞれ設けられる第1及び第2のエアーチャンバと、第1及び第2のエアーチャンバに膨張のためのエアーを供給するエアー供給ユニットと、第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する動作選択部と、動作選択部により選択された第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるようにエアー供給ユニット及び第1または第2のエアーチャンバへのエアーの供給と排出を制御する制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠者が睡眠呼吸障害を防止するのに適した姿勢変化方向を選択できるようにするとともに、姿勢の変化を維持する時間を設定できるようにすることで、睡眠者に応じた相違する睡眠呼吸障害防止特性に効率的に適用できる睡眠呼吸障害防止装置及び防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、睡眠呼吸障害として分類される習慣性いびき及び上気道抵抗症候群などは、睡眠中に上気道を繰り返し閉鎖する疾患であって、これは夜間の睡眠効率を低下させて熟眠を妨害し、特に血液中の酸素飽和度を低下させるという結果をもたらす(Chokroverty S. (1994) Sleep Disorder Medicine. Butterworth-Heinemann)。
【0003】
このような睡眠呼吸障害は昼間の眠気や、集中力の低下のほか、記憶力の低下、学習能力の低下及び慢性疲労などを誘発し、産業現場及び作業場における事故、運転中の居眠り運転による交通事故などを引き起こすことで、社会経済的に大きな損失をもたらしている。
【0004】
近年は、このような睡眠呼吸障害が肥満、高血圧、糖尿病、認知症(痴呆)、心血管系疾患、心臓マヒ、性機能減退、脳血管疾患、脳卒中、及び新陳代謝症候群の発生と非常に密接な関係があるという研究結果が報告されている(Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl Med 2000; 342:1378-1384)。
【0005】
このような問題を解決するための方法や装置が多く開発されており、そのうちの1つは図1に示すように、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20-0236225号の「いびきを感知していびき防止用枕を駆動する装置」がある。この登録実用新案は本出願人に譲渡された。いびき防止装置は、いびき及び各種雑音を入力させて所望のいびき信号を出力するいびき信号感知部10、いびき信号感知部10から印加される信号を分析していびき信号であることが確認されると、回転モータ駆動部40を作動させる制御部30、制御部30から印加される信号を格納するか、制御部30に出力させるメモリ部60、制御部30から印加される信号により回転モータ42が駆動されることで、姿勢変形プレート46が動作して枕の形状が変わるようにする回転モータ駆動部40からなるいびき防止用枕を駆動する装置において、制御部30はいびき信号感知部10から印加されるいびき信号及び雑音信号を信号処理して最終データを算出し、最終データが閾値よりも大きい値を持続的に有する持続時間を算出して設定時間と比較した後、大きければ持続時間の間に存在する最大点の個数を算出し、最大点の個数が設定された最大点の個数よりも大きければ、いびき信号であると判断し、いびき信号が選択された回数だけ感知されれば、回転モータ駆動部40に駆動信号を印加して回転モータ42を駆動せしめる装置である。
【0006】
このような従来の一実施形態によるいびき防止装置はいびきを感知していびきであると判断すると、自動的にいびき防止用枕を駆動させて枕を一側に傾かせることでいびきをかかないようにする装置である。
【0007】
図2A乃至図2Cは、従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す側面図であり、大韓民国特許庁に出願して登録された登録実用新案第20-0395890号の「いびき軽減装置」がある。これは、睡眠者の呼吸を検出し、いびきの感知時に内部に注入される空気により膨張して睡眠者の睡眠姿勢を直すエアパッド71と、エアパッド71に結合されて検出された呼吸を後段に伝達し、空気の注入及び排出通路としての役割を果たすエアーチューブ72と、エアーチューブ72へ伝達される呼吸を電気的な信号に変換するセンサと、センサから出力される呼吸感知信号を前置増幅する前置増幅器と、前置増幅器から出力される呼吸感知信号を複数の帯域別にフィルタリングして心拍/呼吸/いびき判断用信号として出力する帯域フィルタ部と、機能及びモード変換信号を入力するための機能入力部と、機能入力部から入力された信号に対応してa)前置増幅器及び帯域フィルタ部によりそれぞれ獲得される信号を基にいびきの有無を判断し、b)呼吸状態を表示するように制御し、c)いびきであると判断するとエアパッドを膨張させるための空気注入信号を発生し、d)エアパッドの膨張後にいびきが感知されなければ、設定時間の後にエアパッドに流入した空気を排気するように制御信号を発生する中央処理装置73と、中央処理装置73から出力される状態表示制御信号に応じて睡眠者の呼吸状態、心拍状態などを画面に表示するディスプレイと、中央処理装置73から出力される発光ダイオード制御信号と空気注入制御信号及び排気制御信号を各対象駆動信号として出力する駆動部と、駆動部から出力される発光ダイオード駆動信号に応じて電源の供給があるか否かと機能動作状態を視覚的に表示する発光ダイオード(LED)と、駆動部から出力される空気注入信号に応じてエアパッド71に空気を注入するポンプを駆動させるモータと、駆動部から出力される排気制御信号に応じて排気弁を開閉する排気ソレノイドとを含んで構成される。
【0008】
このような従来の他の実施形態によるいびき防止装置はエアーパッド71を用いて姿勢の変化を誘導することでいびきを防止する。
【0009】
しかしながら、このような従来の一実施形態に係るいびき防止装置は、いびきを感知した後にいびき防止用枕が傾いた状態で使用者が手動でリセットさせなければ、元に戻るのは不可能であり、カムとプレートとの間の機械的摩擦によって騒音が生じ、睡眠者の熟睡をむしろ妨害するという問題を有していた。
【0010】
また、従来の他の実施形態に係るいびき防止装置は、中央に位置するエアパッド71の膨張により睡眠者が不便を感じるほか、睡眠者が自ら姿勢を変える形となるため、能動型とならないだけでなく、睡眠者を起こしてしまうため、熟睡を妨害し、睡眠時の動きや位置変更により睡眠者がエアパッド71の膨張部位から逸脱する場合、このような姿勢変化すら誘導できなくなることから、これも動作の信頼性に問題を有していた。また、従来のいびき防止装置は睡眠者によって睡眠呼吸障害の防止に適した姿勢変化の方向や維持時間が違うにもかかわらず、これを反映できる如何なる手段も備えていないため、睡眠呼吸障害の防止に効率的に対処できない問題を有していた。
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20-0236225号
【特許文献2】大韓民国登録実用新案第20-0395890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、エアーチャンバの膨張によって睡眠者を覚醒させることなく睡眠姿勢を自然に変化させることで、睡眠者が睡眠呼吸障害を起すことのないようにするとともに熟睡を維持させ、睡眠者が睡眠呼吸障害を防止するのに適した姿勢変化の方向を選択するようにするとともに姿勢変化を維持する時間を設定できるようにすることで、睡眠者によって異なる睡眠呼吸障害防止を効率的に適用するようにする睡眠呼吸障害防止装置及び方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態として、睡眠呼吸障害防止装置は、睡眠者の睡眠呼吸障害を防止する装置であって、人体の背中の両側に膨張及び収縮により動作するようにそれぞれ設けられる第1及び第2のエアーチャンバと、第1及び第2のエアーチャンバに膨張のためのエアーを供給するエアー供給ユニットと、第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する動作選択部と、動作選択部により選択された第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるようにエアー供給ユニット及び第1または第2のエアーチャンバへのエアーの供給と排出を制御する制御部とを含む。
【0013】
本発明の他の実施形態として、睡眠呼吸障害防止方法は、人体の背中の両側に膨張及び収縮により動作するように配置された第1及び第2のエアーチャンバにより睡眠者の睡眠呼吸障害を防止する方法であって、第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する選択段階と、選択段階により選択された第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させることで睡眠者の姿勢を変化させる姿勢変換段階とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、睡眠者の背中に設けられるエアーチャンバの膨張によって睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、それによって睡眠者が熟睡を維持できるという効果を奏する。また、エアーチャンバが睡眠者の背中に正確に位置することで、エアーチャンバの膨張及び睡眠者の睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、睡眠者が睡眠呼吸障害を防止するのに適した姿勢変化方向を選択するようにするとともに、睡眠者によって異なる睡眠呼吸障害防止に効率的に適用することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0016】
図3は本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示す構成図であり、図4A及び図4Bは、本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示す正面図及び背面図である。図示のように、本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置100は、人体の背中の両側に設けられる第1及び2のエアーチャンバ120、130と、第1及び2のエアーチャンバ120、130に膨張のためのエアーを供給するエアー供給ユニット140と、第1及び2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかまたはこれらを交互に動作させるように選択する動作選択部150と、動作選択部150により選択された第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかまたはこれらを交互に動作させるようにする制御部160とを含む。
【0017】
第1及び第2のエアーチャンバ120、130は睡眠者の背中で両側、具体的には左側と右側に膨張及び収縮することによって動作するようにそれぞれ設けられる。
【0018】
一方、第1及び2のエアーチャンバ120、130が睡眠者の動きによって元の位置から逸脱することで所望する機能が行えないことを防止するために、第1及び2のエアーチャンバ120、130が設けられる人体着用手段110を更に含むことができる。
【0019】
人体着用手段110は図示していないが、防寒用ジャケットやジャンバー状を有することができ、睡眠時に着用することを考慮して、図4A及び図4Bに示すように、チョッキ状に形成されるのが好ましく、袖のない衣服であるチョッキ状を有することで、袖のある衣服よりも通気性に優れるため、睡眠中に体温が上昇する要因を防止する。
【0020】
人体着用手段110がチョッキ状の場合、前留めのみある形態、前留め及び横開けのある形態、または留め及び開けのない形態など多様な形態が可能であるが、本実施形態では前留め及び横開けのある形態を有することができ、そのために睡眠者の上体の前面を覆う一対の前面部111と、睡眠者の上体の背面を覆う背面部112を含み、前面部111間の前留めと、前面部111と背面部112との間の横開けは使い勝手が良く、間隔の調節が容易なファスナ(fastener;113)で分離可能に連結される。
【0021】
人体着用手段110のファスナ113は一例に過ぎず、その他にも前留めと横開けとの連結のために、ジッパーや、輪ゴム、スナップボタンなど多様な脱付着手段が同一の種類または互いに異なる種類を組み合わせて用いられ得る。
【0022】
一方、本実施形態とは違って、人体着用手段110はリュック状を有することができ、この場合、背面両側に第1及び第2のエアーチャンバ120、130が設けられ、睡眠者の両肩に支持されるように肩ベルトと睡眠者の腹部の下の骨盤をつつむように骨盤ベルトをそれぞれ設けることができ、リュック状を有することで睡眠者との接触部位を最小化するとともに、腹部肥満者が着用する場合、腹部の圧迫に対する不快感を解消し、睡眠中の覚醒の誘発の可能性を取り除く。
【0023】
人体着用手段110は本実施形態のようなチョッキ状だけでなくリュック状の場合でも睡眠者が着用することで着用性と使い勝手に対する多角的な考慮を通じてウェアラブル(wearable)手段のデザインが採用されており、このようなウェアラブルデザインにおいては機能的構造と適した素材の選択が必須である。特に、素材の場合は、快適性、安全性、電磁波遮断機能、静電気防止機能、及び絶縁機能など、人体に有害な要素を管理する素材を選択することができる。また、素材を通じて睡眠時に放出される汗を排出させるだけでなく、温度調節機能を果たすために、汗が出やすい脇の部位や身体の前後左右に通風口を設計することで、衣服内の熱や湿気が速やかに排出されるようにして快適性を向上させ、素材と人体との摩擦を最小化できる縫製方法への考慮が必要である。従って、人体着用手段110は、キトサン繊維、銀繊維、または竹繊維などの健康指向型素材や、アクアトランスまたはクールマックスメッシュなどのハイテク素材、またはオーガニックコットン、テンセル、または天然ミネラルイオン健康繊維など、環境にやさしい素材が用いられ、第1及び第2のエアーチャンバ120、130の膨張と収縮を考慮してネオプレン、スパンデックスなどを用いることができる。
【0024】
また、人体着用手段110の代わりに、図5に示すように、第1及び第2のエアーチャンバ120、130が睡眠者の背中の両側に対応する位置に膨張及び収縮可能に設けられるマットレス190を用いることができる。
【0025】
マットレス190は上面に睡眠者が横になれる面を提供し、マットレス190の背面のうち、睡眠者の背中に位置する部位に相応する部分の左側と右側に第1及び第2のエアーチャンバ120、130が設けられ、これによって背面から膨張する第1または第2のエアーチャンバ120、130が地面を押すことで左側または右側に傾く。従って、第1または第2のエアーチャンバ120、130の膨張によってマットレス190そのものが傾くことで、マットレス190に横たわった睡眠者が睡眠中に姿勢を変えても左側または右側側臥位への姿勢変換が正確に行なわれるようにする。
【0026】
マットレス190は睡眠者へクッション感を与えるためにエアーの注入を可能にした構造を有したり、弾性を提供するスプリングや発泡剤などを内側に設置または入れることができる。
【0027】
第1及び第2のエアーチャンバ120、130は、人体着用手段110の背面部112またはマットレス190に収縮及び膨張可能に設けられてエアー供給ユニット140から供給されるエアーにより膨張し、収縮と膨張が可能な構造または/及び材質からなるが、構造的にはシャーリング処理またはダーツ処理された部分を含むことができ、材質としては膨張と収縮が可能な合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、繊維などの材料からなることができ、睡眠者の姿勢を変化、例えば仰臥位から側臥位に変更させるのに十分な体積を有する。
【0028】
エアー供給ユニット140は第1及び第2のエアーチャンバ120、130に膨張のためのエアーをそれぞれ供給するのに一対でなり得るが、これとは違って、本実施形態でのように単一からなり、エアー供給ライン141の分岐された最端を通じて第1及び第2のエアーチャンバ120、130にエアーを共有するようにすることが好ましく、第1及び第2のエアーチャンバ120、130にエアーを供給するために圧縮されたガスを用いることができ、好ましくはポンプによりエアーを供給するエアーポンプが用いられる。
【0029】
動作選択部150は第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかを動作させたり、第1及び第2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させるために使用者が選択することができる多数のボタンが設けられ、このような使用者の選択によってそれぞれ該当する信号を制御部160に出力する。
【0030】
制御部160は、動作選択部150により選択された第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかを動作させたり、第1及び第2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させるようにエアー供給ユニット140の駆動を制御するとともに、第1または第2のエアーチャンバ120、130へのエアー供給とエアー排出を制御することで睡眠者の姿勢を変化、例えば、仰臥位から左側または右側側臥位に変更させて睡眠者の上気道を開放させることで睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0031】
制御部160は第1または第2のエアーチャンバ120、130にエアーを供給するとともに第1または第2のエアーチャンバ120、130からエアーを排出させるため、エアー供給ユニット140がエアーポンプである場合、正回転及び逆回転によりこれを可能にし、これに限らず、本実施形態でのようにエアー供給ライン141から第1及び第2のエアーチャンバ120、130それぞれに連結される分岐された側に設けられる3方向弁161、162を用いることができるが、この3方向弁161、162の動作によってエアー供給ユニット140から供給されるエアーを第1または第2のエアーチャンバ120、130に選択的に供給することができるとともに第1または第2のエアーチャンバ120、130に充填されたエアーを睡眠者の体重による加圧によって排出させることができる。3方向弁161、162は好ましくはソレノイド弁が用いられる。
【0032】
一方、本発明の睡眠呼吸防止装置は、第1または第2のエアーチャンバ120、130が膨張したときの膨張を維持する時間を設定できる維持時間設定部170を更に含む。従って、制御部160は、第1または第2のエアーチャンバ120、130が膨張及び収縮が繰り返して動作されたとき維持時間設定部170によって設定された時間の間、例えば、15分、30分、45分または60分の間、第1または第2のエアーチャンバ120、130を膨張させる。また、制御部160は、第1または第2のエアーチャンバ120、130が膨張した後、維持時間設定部170による設定時間が経過してから、第1または第2のエアーチャンバ120、130からエアーが排出されるように3方向弁161、162を制御する。
【0033】
また、第1または第2のエアーチャンバ120、130が初期、好ましくは電源がオンとなった時点から第1または第2のエアーチャンバ120、130が動作し始める時間、例えば、電源がオンとなった後、睡眠者が睡眠に入って睡眠呼吸障害を起す時間を設定できる動作時間設定部180をさらに含むことができる。従って、制御部160は動作時間設定部180によって設定された時間が経過した後、第1または第2のエアーチャンバ120、130を動作させるようにエアー供給ユニット140及び3方向弁161、162をそれぞれ制御する。
【0034】
一方、制御部160は維持時間設定部170及び動作時間設定部180によって設定された時間をカウントして、これらに設定された時間が経過したときに信号を出力するタイマ163を有することで、時間維持設定部170及び動作時間設定部180に設定された時間の経過を認識する。
【0035】
このような構造からなる睡眠呼吸障害防止装置100の動作は、本発明に係る睡眠呼吸障害防止方法についての詳細な説明で説明する。
【0036】
図6A乃至図6Cは、本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示すフローチャートである。図示のように、本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置は、睡眠者の姿勢変換方向を選択する選択段階(S22)と、選択段階によって選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130を動作させることで、睡眠者の姿勢を変化させる姿勢変換段階(S30)を含む。選択段階(S22)は第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する段階である。使用者が動作選択部150により第1のエアーチャンバ120を動作させるモード、第2のエアーチャンバ130を動作させるモード、そして第1及び2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させるモードのうちのいずれかを選択することで、睡眠者の睡眠呼吸障害防止モードに適したモードを選択する。
【0037】
一方、第1または第2のエアーチャンバ120、130の動作が始まる時間を設定する動作時間設定段階S21と、第1または第2のエアーチャンバ120、130の動作時に膨張を維持する時間を設定する維持時間設定段階S23を更に含み、このような動作時間設定段階S21及び維持時間設定時間S23は本実施形態で選択段階S22の前後にそれぞれ行なうが、これに限らず、その順序を変えることができる。動作時間設定段階S21は初期、例えば、本発明に伴う睡眠呼吸障害防止装置100に対する電源をオンにした後(S10)から第1及び2のエアーチャンバ120、130が動作するまでの時間を動作時間設定部180によって設定することができ、このときの動作時間は、一例として、電源がオンになってから睡眠者が睡眠に入り睡眠呼吸障害が発生する時間であり、睡眠者に応じて異ならせて設定することができる。維持時間設定段階S23は第1または第2のエアーチャンバ120、130が膨張と収縮を繰り返すことによって動作時に膨張した後、このような膨張を維持する時間であって、睡眠者によって睡眠呼吸障害防止に効果的な時間を設定することができ、維持時間設定部170の操作によって設定され、このとき、膨張維持時間は例えば、15分から60分の間を任意に設定するか、15分、30分、45分、60分とのように定められた時間のうちのいずれかから選択することができる。一方、睡眠者は人体着用手段110の着用前やマットレス190に横になる前に電源をオンにすることができ(S10)、これに限らず、人体着用手段110を着用した状態またはマットレス190に横たわった状態で電源をオンにすることができる(S10)。姿勢変換段階(S30)は選択段階(S22)によって選択された第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかを動作させるか、第1及び第2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させることで睡眠者の姿勢を変化させる段階であって、これを詳細に説明すると次の通りとなる。
【0038】
まず、段階(S31)でタイマ163のカウントによって動作時間設定段階(S21)で設定された動作時間が経過したのかを判断する。動作時間が経過すると、制御部160がエアー供給ユニット140及び3方向弁161、162の制御によって第1及び第2のエアーチャンバ120、130を動作させるようにする。
【0039】
その後、段階(S32)で、上記選択段階(S22)で第1及び第2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させるように選択したかを判断し、第1及び第2のエアーチャンバ120、130のいずれか1つのみを動作させるモードである場合、段階(S33)に進み、制御部160が選択段階(S22)で選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130を膨張させる。その次の段階(S34)で、選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130を膨張させた後、維持時間設定段階(S23)で設定された膨張維持時間を経過したのかを判断し、膨張維持時間が経過していれば段階(S35)に進み、膨張された第1または第2のエアーチャンバ120、130からエアーが排出されるように制御部160が3方向弁161、162を制御することで、選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130が維持時間設定段階(S23)によって設定された時間の間だけ膨張するようにする。
【0040】
その次の段階(S41)で、睡眠呼吸障害防止装置100の電源がオフになったかを判断し、電源がオンの状態であれば選択段階(S22)によって選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130を膨張させる上記段階(S33、S34、S35)を繰り返し行なうことで、選択された第1または第2のエアーチャンバ120、130の収縮及び膨張を繰り返させる。しかし、上記段階(S32)で、第1及び第2のエアーチャンバ120、130を交互に動作させるモードを選択すれば、段階(S36)に進み、制御部160がエアー供給ユニット140及び3方向弁161、162の制御によって第1及び第2のエアーチャンバ120、130のうちのいずれかを膨張させる。
【0041】
その次の段階(S37)で、膨張させたエアーチャンバが膨張を終えると、維持時間設定段階(S23)で設定された膨張維持時間が経過したかを判断する。もし、膨張維持時間が経過していれば、段階(S38)に進み、膨張させたエアーチャンバのエアーを排出させる。
【0042】
その後、段階(S42)で、睡眠呼吸障害防止装置の電源がオフになったかを判断し、電源がオンの状態であれば、段階(S39)に進み、直前に膨張させたエアーチャンバと異なるエアーチャンバを膨張させる。
【0043】
次に、膨張維持時間を経過したかを判断する段階、以下(S37、S38)を電源がオフになるまで繰り返し行なうことで図7Aないし図7C、そして、図8Aないし図8Cに示すように、第1及び2のエアーチャンバ120、130を交互に繰り返し膨張及び収縮させる。
【0044】
その次に、段階(S41)または段階(S42)で、睡眠呼吸障害防止装置100の電源がオフになったかを判断し、電源がオフになれば、動作させる第1または第2のエアーチャンバ120、130のエアーを定められた時間の間排出させるが、このとき、定められた時間は第1及び第2のエアーチャンバ120、130の大きさに比例し、第1及び第2のエアーチャンバ120、130が内側のエアーを十分に排出させることができる時間であるのが好ましい。
【0045】
以上、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来の一実施形態に係るいびき防止装置を示すブロック図である。
【図2A】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す側面図である。
【図2B】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す側面図である。
【図2C】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す側面図である。
【図3】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示す構成図である。
【図4A】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置の人体着用手段を示す正面図である。
【図4B】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置の人体着用手段を示す背面図である。
【図5】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置のマットレスを示す図である。
【図6A】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示すフローチャートである。
【図6B】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示すフローチャートである。
【図6C】本発明に係る睡眠呼吸障害防止装置を示すフローチャートである。
【図7A】本発明の一実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【図7C】本発明の一実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【図8A】本発明の他の実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【図8B】本発明の他の実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【図8C】本発明の他の実施形態に係る睡眠呼吸障害防止装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0047】
110…人体着用手段、111…前面部、112…背面部、113…ファスナ、120…第1のエアーチャンバ、130…第2のエアーチャンバ、140…エアー供給ユニット、141…エアー供給ライン、150…動作選択部、160…制御部、161,162…3方向弁、163…タイマ、170…維持時間設定部、180…動作時間設定部、190…マットレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠者の睡眠呼吸障害を防止する装置であって、
睡眠者の背中の両側に膨張及び収縮により動作するようにそれぞれ設けられる第1及び第2のエアーチャンバと、
前記第1及び第2のエアーチャンバに膨張のためのエアーを供給するエアー供給ユニットと、
前記第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、前記第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する動作選択部と、
前記動作選択部により選択された前記第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、前記第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように前記エアー供給ユニット及び前記第1または第2のエアーチャンバへのエアーの供給と排出を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする睡眠呼吸障害防止装置。
【請求項2】
睡眠者に着用され、前記第1及び第2のエアーチャンバが前記背中の両側に対応する位置に膨張及び収縮可能に配置された人体着用手段
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の睡眠呼吸障害防止装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のエアーチャンバが前記背中の両側に対応する位置に膨張及び収縮可能に設けられるマットレス
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の睡眠呼吸障害防止装置。
【請求項4】
前記第1または第2のエアーチャンバが膨張したときの膨張を維持する時間を設定する維持時間設定部をさらに含み、
前記制御部は前記維持時間設定部により設定された時間の間、前記第1または第2のエアーチャンバを膨張させること
を特徴とする請求項1に記載の睡眠呼吸障害防止装置。
【請求項5】
前記第1または第2のエアーチャンバの動作を始めさせる時間を設定する動作時間設定部をさらに含み、
前記制御部は前記動作時間設定部により設定された時間が経過したとき、前記第1または第2のエアーチャンバを動作させること
を特徴とする請求項1に記載の睡眠呼吸障害防止装置。
【請求項6】
睡眠者の背中の両側に膨張及び収縮により動作するように配置された第1及び第2のエアーチャンバにより睡眠者の睡眠呼吸障害を防止する方法であって、
前記第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、前記第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させるように選択する選択段階と、
前記選択段階により選択された前記第1及び第2のエアーチャンバのうちのいずれかを動作させるか、前記第1及び第2のエアーチャンバを交互に動作させることで睡眠者の姿勢を変化させる姿勢変換段階と、
を含むことを特徴とする睡眠呼吸障害防止方法。
【請求項7】
前記第1または第2のエアーチャンバが膨張したときの膨張を維持する時間を設定する維持時間設定段階をさらに含み、
前記姿勢変換段階は、前記第1または第2のエアーチャンバが前記維持時間設定段階により設定された時間の間だけ膨張するようにすること
を特徴とする請求項6に記載の睡眠呼吸障害防止方法。
【請求項8】
前記第1または第2のエアーチャンバの動作を始めさせる時間を設定する動作時間設定段階をさらに含み、
前記姿勢変換段階は前記動作時間設定段階により設定された時間が経過したとき、前記第1または第2のエアーチャンバが動作し始めるようにすること
を特徴とする請求項6に記載の睡眠呼吸障害防止方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2009−95646(P2009−95646A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170671(P2008−170671)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(507034252)バイオ・スリープ・メッド・カンパニー・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】