説明

睡眠関連呼吸障害を処置するための方法及び組成物

本明細書中では、O−デスメチルベンラファキシン又はデュロキセチンの投与を含む、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)を処置する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国仮特許出願第60/922,466号(2007年4月9日出願)の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書中に開示されることは、睡眠関連呼吸障害を処置するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
この数年間にわたって、多くの努力が、様々な呼吸障害に関する互いに関連性のない一群の研究に注がれてきた。呼吸障害は主に睡眠時に生じ、起きている時間の間中眠気の形で持続するという結果を伴う。それにより、呼吸障害は、相当な経済的損失(例えば、数千時間の失われたマンアワー)又は労働安全係数(例えば、大型機械操作期間中の従業員の不注意)として現れる。睡眠関連障害は、呼吸における反復的減少(呼吸低下)、呼吸の周期的中断(無呼吸)、又は、換気における連続的な低下若しくは持続した低下によって特徴づけられる。
【0004】
一般には、睡眠時無呼吸は、睡眠期間中における鼻及び口における空気流の間欠的な中断として定義される。慣例によって、継続期間が少なくとも10秒である無呼吸が重大であると見なされているが、ほとんどの個体では、無呼吸は継続期間が20秒〜30秒であり、それは、2分〜3分もの長さになることがある。臨床的に重大であるにちがいない無呼吸の最少の回数に関しては多少の不確実さがある一方で、ほとんどの個体が医療機関を認識するようになるまでに、ほとんどの個体は睡眠1時間あたり少なくとも10回〜15回の事象を経験する。
【0005】
睡眠時無呼吸は、中枢性、閉塞性及び混合型の3つのタイプに分類されている。中枢性睡眠時無呼吸では、すべての呼吸筋に対する神経衝動が一時的になくなる。閉塞性睡眠時無呼吸では、空気流が、口腔咽頭気道の閉塞のために、継続している呼吸衝動にもかかわらず中断する。混合型無呼吸は、中枢性無呼吸及びその後の閉塞性要素からなるものであり、閉塞性睡眠時無呼吸の異型である。最も一般的なタイプの無呼吸が閉塞性睡眠時無呼吸である。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、働く成人男性の24%及び働く成人女性の9%もの多くで確認されており、最大有病率が60歳代においてである。習慣的な重度のいびきが、これはOSASのほぼ変化しない特徴の1つであるが、中年男性の最大24%において、また、類似した年齢の女性の14%において記述されており、より高齢者ではさらにより大きい有病率である。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の明確な事象が上気道の閉塞であり、頻繁には、口腔咽頭のレベルでの上気道の閉塞である。生じる無呼吸は一般には、個体が睡眠状態から短時間目を覚まし、それにより、気道の開存性を回復し、従って、空気流を回復するまで、進行性タイプの窒息を引き起こす。
【0008】
OSASにおける上気道のつぶれにつながる重要な要因の1つが、気道の安定性を維持するための気道の開大筋及び外転筋の能力を超える吸気行為の期間中に、重大な減圧が生じることである。睡眠は、開大筋及び外転筋を含む上気道の筋肉の活動を低下させることによって非常に重要な役割を果たす。
【0009】
OSASを有するほとんどの個体において、気道の開存性もまた構造的に損なわれており、従って、閉塞の素因となっている。少数の個体では、構造的障害は通常、明白な解剖学的異常(すなわち、アデノイド口蓋扁桃肥大、下顎後退症又は巨舌症)に起因する。しかしながら、OSASの素因を有する個体の大多数では、構造的異常は、単に気道サイズにおけるかすかな低下であり、すなわち、「咽頭の込み合い」である。肥満もまた、しばしば、上気道に見られるサイズにおける低下の一因である。いびきをかくという行為は、いびきは実際には、上気道内腔のサイズにおける減少から生じる口蓋軟組織及び咽頭軟組織の高振動数の振動であるので、通常の場合、水腫が軟組織に生じることにより狭小化を悪化させる。
【0010】
OSASを特徴づける夜間の窒息及び睡眠からの目覚めからなる反復性エピソードは一連の二次的な生理学的事象を引き起こし、そのような二次的な生理学的事象が、その結果として、この症候群の様々な臨床的合併症を生じさせる。最も一般的な症状発現が、反復性の目覚め応答によって誘導される睡眠の断片化及び徐波睡眠の喪失から生じると考えられる神経精神医学的障害及び行動障害である。夜間の脳低酸素症もまた、重要な役割を果たし得る。最も広汎性の症状発現は、日中の過度の眠気である。OSASは、日中の眠気の主な原因の1つとして現在では認識され、自動車事故のような問題に対する重要な危険因子として関わっている。他の関連した症状には、知的障害、記憶喪失、人格障害及びインポテンスが含まれる。
【0011】
その他の大きな症状発現は、事実上、心呼吸系であり、夜間窒息の反復性エピソードから生じると考えられる。ほとんどの個体が、1分あたり30回〜50回の脈拍への無呼吸期間中における心臓の周期的な徐脈化を示し、その後、換気段階期間中における1分あたり90回〜120回の頻脈を明確に示す。少数の個体が、継続期間が8秒〜12秒の不全収縮を伴う重症の徐脈、又は、非持続性の心室頻拍を含めて、危険な頻拍性不整脈を発症する。OSASはまた、基礎的心臓疾患を有する患者では左心室不全を悪化させる。この合併症は、それぞれの閉塞性事象の期間中における増大した左心室後負荷(これは、増大した負の胸腔内圧に対して二次的である)、反復性の夜間低酸素症、及び、長期に及ぶ亢進した交感神経副腎活動の組み合わされた影響に起因する可能性が最も高い。
【0012】
現在、睡眠時無呼吸及び他の睡眠関連呼吸障害を有する成人のための最も一般的な処置が、陽圧気道圧(PAP)(例えば、持続性陽圧気道圧(CPAP)など)を送達する機械的形態の治療である。PAP処置下において、個体は、睡眠する時に鼻を覆うぴったり合ったプラスチックマスクを装着する。このマスクはコンプレッサに取り付けられ、コンプレッサにより、空気が強制的に鼻の中に入れられ、これにより、陽圧が患者の気道の内部において生じさせられる。この方法の原理は、気道を加圧することにより、気道のつぶれを防止し、従って、閉塞性睡眠時無呼吸を防止する機械的な「副子固定」(splinting)作用がもたらされることである。治療的応答が、PAP処置を受ける患者において認められるが、多くの患者がこの装置又は圧力に耐えることができず、処置を拒否する。そのうえ、近年の内密モニタリング調査では、PAP処置の長期コンプライアンスが非常に不良であることが明確に示される。
【0013】
上気道及び頭蓋顔面の様々な外科的手法がこれまで、OSASの処置のために試みられている。アデノイド口蓋扁桃摘出は、多くの小児におけるOSASのための効果的な治療法であることが報告されているが、上気道の手術が、OSASの成人患者において治療的であることは希である。外科的成功は一般には、無呼吸の発生における50%の減少であると見なされる。また、利益が得られない個体に対して、手術から利益を得る個体を特定するための有用なスクリーニング方法は1つもない。
【0014】
従って、様々な睡眠関連呼吸障害に苦しむ個体のための処置が求められている。患者のコンプライアンスを容易にする、睡眠関連呼吸障害の実用的な処置もまた依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/922,466号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本明細書中では、O−デスメチルベンラファキシン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む、1つ又はそれ以上の睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマー又は(−)−エナンチオマーのどちらかについて濃縮される。いくつかの実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(−)−エナンチオマーについて濃縮される。いくつかの実施形態において、(−)−O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマーを実質的に含まない。
【0018】
本明細書中ではまた、デュロキセチン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む、1つ又はそれ以上の睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法が提供される。
【0019】
特定の実施形態において、睡眠関連呼吸障害は閉塞性睡眠時無呼吸である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
4.1 処置方法
本明細書中では、O−デスメチルベンラファキシンによる処置方法が提供される。特定の実施形態において、治療用調製物は、O−デスメチルベンラファキシンの主として一方のエナンチオマーを提供するために濃縮することができる。エナンチオマー濃縮された混合物は、例えば、少なくとも60molパーセントの一方のエナンチオマーを含むことができ、或いは、より好ましくは、少なくとも75molパーセント、90molパーセント、95molパーセント又は99molパーセントの一方のエナンチオマーを含むことができる。特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(−)−エナンチオマーが濃縮される。特定の実施形態において、(−)−O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマーを実質的に含まない。特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマーが濃縮される。特定の実施形態において、(+)−O−デスメチルベンラファキシンは(−)−エナンチオマーを実質的に含まない。実質的に含まないとは、この用語が本明細書中で使用される場合、混入物又はそれほど望まれない物質が、例えば、組成物又は化合物混合物において、目的とする化合物の量に対して比較されたとき、10%未満を構成すること、又は、5%未満を構成すること、又は、4%未満を構成すること、又は、3%未満を構成すること、又は、2%未満を構成すること、又は、1%未満を構成することを意味する。例えば、組成物又は化合物混合物が98グラムの(−)−エナンチオマー及び2グラムの(+)−エナンチオマーを含有するならば、その組成物又は化合物混合物は、98molパーセントの(−)−エナンチオマー及びわずかに2%の(+)−エナンチオマーを含有すると言われる。
【0021】
本明細書中では、治療上有効量のO−デスメチルベンラファキシン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を患者に投与することを含む、1つ又はそれ以上の睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法が提供される。
【0022】
特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマー又は(−)−エナンチオマーのどちらかについて濃縮される。いくつかの実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは(−)−エナンチオマーについて濃縮される。いくつかの実施形態において、(−)−O−デスメチルベンラファキシンは(+)−エナンチオマーを実質的に含まない。
【0023】
特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは第2の活性薬剤との併用で投与される。特定のそのような実施形態において、第2の薬剤は、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は、呼吸衝動を安定化させる薬剤である。
【0024】
特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは陽圧気道圧処置との併用で投与される。
【0025】
特定の実施形態において、O−デスメチルベンラファキシンは、経口投与、舌下投与又は経口吸入によって投与される。
【0026】
特定の実施形態において、睡眠関連呼吸障害は閉塞性睡眠時無呼吸である。
【0027】
本明細書中ではまた、治療上有効量のデュロキセチン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を、そのような処置を必要としている患者に投与することを含む、1つ又はそれ以上の睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法が提供される。
【0028】
特定の実施形態において、デュロキセチンは第2の活性薬剤との併用で投与される。特定のそのような実施形態において、第2の薬剤は、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は、呼吸衝動を安定化させる薬剤である。
【0029】
特定の実施形態において、デュロキセチンは陽圧気道圧処置との併用で投与される。
【0030】
特定の実施形態において、デュロキセチンは、経口投与、舌下投与又は経口吸入によって投与される。
【0031】
特定の実施形態において、睡眠関連呼吸障害は閉塞性睡眠時無呼吸である。
【0032】
O−デスメチルベンラファキシン又はデュロキセチンが睡眠増強剤との併用で投与される特定の実施形態において、睡眠増強剤は好適な睡眠増強剤のいずれかであり得る。そのような睡眠増強剤には、エスゾピクロン、ジフェンヒドラミン、ラメルテオン、ベンゾジアゼピン系化合物(例えば、フルラゼパム、クアゼパム、トリアゾラム、エスタゾラム及びテマゼパム)、非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(例えば、ゾルピデム又はザレプロン)、メラトニン、ガボキサドール、抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミン)、鎮静性抗うつ剤(例えば、トラゾドン、アミトリプチリン及びドキセピン)、及び/又は、それらの医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、睡眠増強剤はエスゾピクロンである。
【0033】
O−デスメチルベンラファキシン又はデュロキセチンが、日中の過度の眠気を処置する薬剤との併用で投与される特定の実施形態において、日中の過度の眠気を処置する薬剤は、日中の過度の眠気を処置する好適な任意の薬剤であり得る。日中の過度の眠気を処置するそのような薬剤には、モダフィニル、カフェイン、アンフェタミン系化合物(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン及びlevo−アンフェタミン)、SDZ−NV1−085、マジンドール、メチルフェニダート、及び/又は、それらの医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
O−デスメチルベンラファキシン又はデュロキセチンが抗肥満剤との併用で投与される特定の実施形態において、抗肥満剤は好適な任意の抗肥満剤であり得る。そのような抗肥満剤には、オルリスタット、シブトラミン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、ベンゾフェタミン、マジンドール、デキストロアンフェタミン、リモナバン、セチリスタット、GT389−255、APD356、プラムリンチド/AC137、PYY3−36、AC162352/PYY3−36、オキシントモジュリン、TM30338、AOD9604、オレオイル−エストロン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、プソイドエフェドリン、及び/又は、それらの医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
O−デスメチルベンラファキシン又はデュロキセチンが、呼吸衝動を安定化させる薬剤との併用で投与される特定の実施形態において、呼吸衝動を安定化させる薬剤は、呼吸衝動を安定化させる好適な任意の薬剤から選択される。呼吸衝動を安定化させるそのような薬剤には、トピラメート、アマンタジン、ブプロピオン、モダフィニル、r−モダフィニル、SDZ−NV1−085、5−HT1Aアゴニスト(例えば、ブスピロン、ゲピロン、アルネスピロン及びORG13011)、ゾニサミド、及び/又は、それらの医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書中に提供される活性薬剤、又は、その医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物、及び、第2の活性薬剤を患者に投与することを、同じ投与経路又は異なる投与経路によって同時又は逐次的に行うことができる。特定の活性薬剤のために用いられる特定の投与経路の好適性は、活性薬剤自体(例えば、活性薬剤が、血流に入る前に分解することなく、経口投与され得るかどうか)、及び、処置されている疾患に依存する。本明細書中に提供される化合物についての投与の1つが経口である。第2の活性薬剤又は成分についての様々な投与経路が当業者には公知である。例えば、Physicians' Desk Reference(60thed., 2006)を参照のこと。
【0037】
(−)−O−デスメチルベンラファキシン及びデュロキセチンはともに、セロトニン(5−HT)再取り込み及びノルエピネフリン(NE)再取り込みの両方の阻害を示す。特定の理論によって限定されることはないが、この二重阻害は中枢神経系における5−HT及びNEの増大したレベルを生じさせる。特定の理論によって限定されることはないが、この二重阻害活性により、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)を処置するためのこれらの化合物の有用性がもたらされ得る。さらに、特定の理論によって限定されることはないが、脳における5−HT及びNEのレベルの上昇により、上気道筋の緊張を調節する神経(例えば、第XII脳神経(舌下神経)など)の刺激が生じ、このことが、その結果として、おとがい舌筋を抑制(control)する。特定の理論によって限定されることはないが、これらの筋肉の緊張を調節することにより、睡眠期間中の上気道の開存性が維持され、それにより、無呼吸エピソードが防止されると考えられる。
【0038】
本明細書中ではまた、本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)の代謝産物の使用が提供される。用語「代謝産物」は、正常な生理学的条件のもとでの親化合物の代謝によって産生される化合物を包含することが意図される。例えば、N−メチル基が、対応するN−デスメチル代謝産物を産生するために切断されることがある。具体的な代謝産物には、その親化合物と類似する活性を示す代謝産物(例えば、1つ又はそれ以上の睡眠関連呼吸障害を患者において処置するために好適である代謝産物)が含まれる。
【0039】
本明細書中に提供される化合物、又は、その医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物の服用量は、様々な要因に依存して、例えば、処置される具体的な適用症;患者の年齢及び状態;並びに、存在するならば、使用された第2の活性薬剤の量;投与経路;並びに、処置によって求められる結果などに依存して変化する。一般には、本明細書中に提供される化合物、又は、その医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物は、1日あたり約0.001mg〜約1000mgの量で使用することができ、また、従来の様式(例えば、処置期間、防止期間又は管理期間の毎日に投与される同じ量)で、又は、周期的に(例えば、1週間続けて、1週間休む)、又は、処置の経過期間中に増減する量で調節することが可能である。
【0040】
好適な任意の投与経路を本明細書中に提供される処置方法のために使用することができる。そのような経路には、経口投与、粘膜投与(例えば、鼻腔投与、舌下投与、膣投与、口内投与又は直腸投与)、非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、ボーラス注入による投与、筋肉内投与又は動脈内投与)、局所投与(例えば、点眼剤又は他の眼用調製物による投与)、経皮(transdermal)投与又は経皮(transcutaneous)投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)が患者に投与される。特定の実施形態において、患者は哺乳動物であり、例えば、ヒトなどであり、又は、ヒト以外の哺乳動物である。
【0042】
4.2 医薬組成物及び剤形
患者に投与されるとき、本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)、及び/又は、別の活性薬剤は、医薬組成物として投与することができる。様々な医薬組成物を個々の単一単位剤形の調製において使用することができる。本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形は、本明細書中に提供される化合物、又は、その医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む。医薬組成物及び剤形は1つ又はそれ以上の賦形剤をさらに含むことができる。
【0043】
剤形の例には、錠剤;カプレット;カプセル、例えば、軟らかい弾性ゼラチンカプセルなど;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散物剤;坐薬;粉末剤;エアロゾル剤(例えば、鼻スプレー剤又は吸入剤);ゲル;患者への経口投与又は粘膜投与のために好適な液体剤形(懸濁物(例えば、水性若しくは非水性の液体懸濁物、水中油型エマルション又は油中水型液体エマルション)、溶液及びエリキシル剤を含む);患者への非経口投与のために好適な液体剤形;局所投与のために好適な点眼剤又は他の眼用調製物;及び、患者への非経口投与のために好適な液体剤形を提供するために再構成され得る無菌の固体(例えば、結晶性又は非晶質の固体)が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
剤形の組成、形状及びタイプは典型的には、その使用に依存して変化する。例えば、疾患の急性処置において使用される剤形は、同じ疾患の長期にわたる処置において使用される剤形よりも多い量の、そのような剤形が含む有効成分の1つ又はそれ以上を含有することができる。同様に、非経口用の剤形は、同じ疾患を処置するために使用される経口用の剤形よりも少ない量の、そのような剤形が含む有効成分の1つ又はそれ以上を含有することができる。具体的な剤形が使用されるこれらの様式及び他の様式は互いに異なり、当業者には容易に明らかである。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990))を参照のこと。
【0045】
医薬的に許容されるキャリアは当分野では周知であり、これらには、例えば、水溶液(例えば、水又は生理学的緩衝化生理的食塩水)、或いは、他の溶媒又はビヒクル(例えば、グリコール、グリセロール、オイル(例えば、オリーブ油又は注射可能な有機エステルなど)が含まれる。1つの好ましい実施形態において、そのような医薬組成物がヒトへの投与のためのものであるとき、水溶液はパイロジェンを含まないか、又は、実質的にパイロジェンを含まない。賦形剤を、例えば、薬剤の遅延放出を達成するために、或いは、1つ又はそれ以上の細胞、組織又は器官を選択的に標的とするために選ぶことができる。医薬組成物は、投薬単位剤形、例えば、錠剤、カプセル、スプリンクル(sprinkle)カプセル、顆粒、粉末剤、シロップ、坐薬又は注射剤などであることが可能である。組成物はまた、経皮送達システム、例えば、皮膚パッチに存在させることができる。
【0046】
医薬的に許容されるキャリアは、例えば、化合物(例えば、デュロキセチン又はO−デスメチルベンラファキシンなど)を安定化させるために、又は、化合物(例えば、デュロキセチン又はO−デスメチルベンラファキシンなど)の吸収を増大させるために作用する生理学的に許容される薬剤を含有することができる。そのような生理学的に許容される薬剤には、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース又はデキストリンなど)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸又はグルタチオンなど)、キレート化剤、低分子量タンパク質、或いは、他の安定剤又は賦形剤が含まれる。生理学的に許容される薬剤を含めて、医薬的に許容されるキャリアの選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。医薬組成物(調製物)はまた、例えば、活性薬剤をその中に取り込んでいることができるリポソーム又は他のポリマーマトリックスが可能である。例えば、リン脂質又は他の脂質からなるリポソームは、作製及び投与することが比較的簡便である非毒性の、生理学的に許容される代謝可能なキャリアである。
【0047】
表現「医薬的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に相応して、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答、或いは、他の問題又は合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織との接触での使用のために好適であるそのような化合物、材料、組成物及び/又は剤形を示すために本明細書中では用いられる。
【0048】
本明細書中で使用される表現「医薬的に許容されるキャリア」は、医薬的に許容される材料、組成物又はビヒクル(例えば、液体又は固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料など)を意味する。それぞれのキャリアが、配合物のそれ以外の成分との適合性を有し、かつ、患者に対して有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。医薬的に許容されるキャリアとして役立ち得る材料のいくつかの例には、下記のものが含まれる。(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロースなど;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなど;(3)セルロース及びその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートなど;(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えば、カカオ脂及び坐薬ワックスなど;(9)オイル、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油など;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコールなど;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなど;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなど;(13)寒天;(14)緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど;(15)アルギン酸;(16)パイロジェン非含有水;(17)等張性生理的食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝剤溶液;及び(21)医薬配合物において用いられる他の非毒性の適合性物質。
【0049】
本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)を含有する医薬組成物(調製物)を、例えば、経口(例えば、水性又は非水性の溶液又は懸濁物等の水薬、錠剤、ボーラス剤、粉末剤、顆粒、舌への適用のためのペースト);舌下;肛門、直腸又は膣(例えば、ペッサリー、クリーム又はフォームとして);非経口(例えば、無菌の溶液又は懸濁物として、筋肉内、静脈内、皮下又はクモ膜下を含む);鼻腔;腹腔内;皮下;経皮(例えば、皮膚に貼付されるパッチとして);及び局所的(例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏又はスプレー剤として)を含めて、数多くの投与経路のいずれかによって対象に投与することができる。化合物はまた、経口吸入のために配合することができる。特定の実施形態において、本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)は無菌水に単に溶解又は懸濁することができる。適切な投与経路及び投与経路のために好適な組成物の詳細が、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号及び同第4,172,896号、並びに、それらにおいて引用される特許に見出され得る。最も好ましい投与経路が経口経路である。
【0050】
配合物は、好都合には単位剤形で提供することができ、薬学の分野において周知である任意の方法によって調製することができる。単一剤形を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる有効成分の量は、処置されている宿主、具体的な投与様式に依存して変化する。単一剤形を製造するためにキャリア材料と組み合わせることができる有効成分の量は一般には、治療的効果を生じさせる化合物の量である。一般には、100パーセントのうち、この量は約1パーセントから約99パーセントの有効成分にまで及び、好ましくは、約5パーセントから約70パーセントにまで及び、最も好ましくは、約10パーセントから約30パーセントにまで及ぶ。
【0051】
これらの配合物又は組成物を調製する方法では、本明細書中に提供される化合物をキャリア及び必要な場合には1つ又はそれ以上の補助的成分とともに連携させることが含まれる。一般には、配合物は、本明細書中に提供される化合物を、液体キャリア、又は、細かく分割された固体キャリア、又は、両者とともに均一かつ十分に連携させ、その後、必要ならば、製造物を形状化することによって調製される。
【0052】
経口投与のために好適な配合物は、カプセル、カシェ剤、ピル、錠剤、ロゼンジ(味付けがなされた基剤、通常的にはスクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムが使用される)、粉末剤、顆粒の形態であり得るか、或いは、水性又は非水性の液体における溶液又は懸濁物としてであり得るか、或いは、水中油型又は油中水型の液体エマルションとしてであり得るか、或いは、エリキシル剤又はシロップとしてであり得るか、或いは、パスチル(pastille)剤(不活性な基剤(例えば、ゼラチン及びグリセリンなど)、又は、スクロース及びアラビアゴムが使用される)としてであり得るか、及び/或いは、口腔洗浄剤などとしてであり得る(ただし、それぞれが、所定量の本明細書中に提供される化合物を有効成分として含有する)。本明細書中に開示される化合物はまた、ボーラス剤、舐剤又はペーストとして投与することができる。
【0053】
経口投与のための固体の剤形(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末剤及び顆粒など)では、有効成分が、1つ又はそれ以上の医薬的に許容されるキャリア(例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど)及び/又は下記のいずれかと混合される。(1)フィラー又は増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴムなど;(3)湿潤剤、例えば、グリセロールなど;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなど;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィンなど;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤化剤、例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなど;(8)吸収剤、例えば、カオリン粘土及びベントナイト粘土など;(9)滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物など;及び(10)着色剤。カプセル、錠剤及びピルの場合、医薬組成物はまた、緩衝化剤を含むことができる。類似するタイプの固体組成物はまた、高分子量のポリエチレングリコールなどと同様に、ラクトース又は乳糖のような賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル及び硬く充填されたゼラチンカプセルにおけるフィラーとして用いることができる。
【0054】
錠剤を、必要な場合には1つ又はそれ以上の補助的成分を用いて、圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮された錠剤を、バインダー(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレート又は架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤又は分散化剤を使用して調製することができる。成形された錠剤を、不活性な液体希釈剤により湿らされる粉末化された化合物の混合物を好適な装置で成形することによって作製することができる。
【0055】
錠剤、及び、医薬組成物の他の固体剤形(例えば、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒など)は、必要な場合には、コーティング及び外皮(例えば、医薬品配合の技術分野において周知である腸溶性コーティング及び他のコーティングなど)を伴って刻み目を付けることができ、又は、そのようなコーティング及び外皮を伴って調製することができる。錠剤、及び、医薬組成物の他の固体剤形はまた、例えば、所望される放出プロフィルを提供するための様々な割合でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、その中の有効成分の緩速放出又は制御放出を提供するように配合することができる。錠剤、及び、医薬組成物の他の固体剤形は、例えば、細菌保持フィルターによるろ過によって、或いは、無菌水又は何らかの他の無菌の注射可能な媒体に使用直前に溶解させることができる無菌の固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって滅菌することができる。これらの組成物はまた、乳濁剤を必要な場合には含有することができ、また、有効成分(1つ又はそれ以上)を、必要な場合には遅延様式で、胃腸管の特定の部分においてだけ、又は、胃腸管の特定の部分において優先的に放出する組成とすることができる。使用することができる埋め込み用組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれるが、これらに限定されない。有効成分はまた、適切であるならば、上記で記載された賦形剤の1つ又はそれ以上とのマイクロカプセル化形態であることが可能である。
【0056】
活性薬剤を経口投与するための液体剤形には、医薬的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁物、シロップ及びエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。有効成分に加えて、液体剤形は、当分野において一般に使用される不活性な希釈剤(例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸エチル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル(具体的には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及び、ソルビタンの脂肪酸エステルなど)、並びに、これらの混合物など)を含有することができる。
【0057】
不活性な希釈剤のほかに、経口用組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤化剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、芳香剤、並びに、保存剤など)を含むことができる。
【0058】
懸濁物は、活性な化合物に加えて、懸濁化剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びに、それらの混合物など)を含有することができる。
【0059】
直腸投与、膣投与又は尿道投与のための配合物は坐薬として提供することができ、この場合、坐薬は、1つ又はそれ以上の活性薬剤を、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬ワックス又はサリチレートを含む1つ又はそれ以上の好適な非刺激性の賦形剤又はキャリアと混合することによって調製することができ、そのような坐薬は室温で固体であり、しかし、体温で液体であり、従って、直腸又は膣腔において融解し、活性な化合物を放出する。
【0060】
代替として、又は、加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤ又は他の管腔内デバイスを介する送達のために配合することができる。そのようなデバイスを介する送達は、膀胱、尿道、子宮、直腸又は腸への送達のために特に有用である。
【0061】
膣投与のために好適である配合物にはまた、適切であることが当分野では公知であるようなキャリアを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー配合物が含まれる。
【0062】
本明細書中に開示される化合物の局所投与又は経皮投与のための剤形には、粉末剤、スプレー剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤が含まれる。活性な化合物を、医薬的に許容されるキャリア、及び、必要とされ得る何らかの保存剤、緩衝剤又は噴射剤と無菌条件下で混合することができる。
【0063】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性な化合物に加えて、賦形剤(例えば、動物脂肪及び植物脂肪、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又は、これらの混合物など)を含有することができる。
【0064】
粉末剤及びスプレー剤は、本明細書中に提供される化合物に加えて、賦形剤(例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、各種ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又は、これらの物質の混合物など)を含有することができる。スプレー剤はさらに、慣例的な噴射剤(例えば、クロロフルオロ炭化水素及び揮発性の非置換炭化水素(例えば、ブタン及びプロパンなど)など)を含有することができる。
【0065】
経皮パッチは、身体への化合物の制御された放出を提供するというさらなる利点を有する。そのような剤形を、化合物を適正な媒体に溶解又は分散することによって作製することができる。吸収強化剤もまた、皮膚を横断する化合物の流束を増大させるために使用することができる。そのような流束の速度を、速度制御膜を提供すること、或いは、化合物をポリマーマトリックス又はゲルに分散することのどちらかによって制御することができる。
【0066】
眼用配合物、眼用軟膏、粉末剤及び溶液などもまた、範囲内であるとして意図される。
【0067】
本明細書中で使用される表現「非経口投与」及び表現「非経口投与される(された)」は、経腸投与及び局所投与とは異なる、通常的には注射による投与様式を意味し、これには、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内及び胸骨内への注射及び注入が含まれる。
【0068】
非経口投与のために好適な医薬組成物は、1つ又はそれ以上の活性薬剤を、1つ又はそれ以上の医薬的に許容される滅菌された等張性の水性又は非水性の溶液、分散物、懸濁物又はエマルションとの組合せで、或いは、滅菌された注射用の溶液又は分散物に使用直前に再構成され得る無菌の粉末との組合せで含み、この場合、そのような医薬組成物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、配合物をその意図された被投与者の血液と等張性にする溶質、又は、懸濁化剤若しくは増粘剤を含有することができる。
【0069】
医薬組成物において用いることができる好適な水性キャリア及び非水性キャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)及びその好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油など)、並びに、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)が含まれるが、これらに限定されない。適正な流動性を、例えば、コーティング物質(例えば、レシチンなど)の使用によって、また、分散物の場合には要求される粒子サイズの維持によって、また、界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0070】
これらの組成物はまた、補助剤(例えば、保存剤、湿潤化剤、乳化剤及び分散化剤など)を含有することができる。微生物の作用を防止することを、様々な抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール及びソルビン酸など)を含むことによって保証することができる。等張性薬剤(例えば、糖及び塩化ナトリウムなど)を組成物に含ませることもまた望ましい場合がある。加えて、注射可能な医薬形態物の長期間に及ぶ吸収を、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど)を含むことによってもたらすことができる。
【0071】
いくつかの場合には、薬物の効果を延ばすために、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。このことを、水溶性が不良である結晶性物質又は非晶質物質の液体懸濁物の使用によって達成することができる。その場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存しており、薬物の吸収速度は結果的には、結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。代替として、非経口投与された薬物形態物の遅れた吸収が、薬物をオイルビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0072】
注射可能なデポー剤形は、当該化合物のマイクロカプセル化されたマトリックスを生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリドなど)において形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比率、及び、用いられる具体的なポリマーの性質に依存して、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー剤の注射可能な配合物はまた、薬物を、身体組織との適合性を有するリポソーム又はマイクロエマルションに封入することによって調製される。
【0073】
本明細書中に開示される化合物がヒト及び動物に対して医薬品として投与されるとき、化合物はそれ自体として与えることができ、又は、例えば、0.1%〜99.5%(より好ましくは0.5%〜90%)の有効成分を医薬的に許容されるキャリアとの組合せで含有する医薬組成物として与えることができる。
【0074】
様々な導入方法がまた、再充填可能なデバイス又は生分解性のデバイスによって提供され得る。様々な徐放性のポリマーデバイスが、タンパク質性のバイオ医薬品を含めて、薬物の制御された放出のために近年では開発され、インビボで試験されている。生分解性ポリマー及び非分解性ポリマーの両方を含めて、様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を、特定の標的部位における化合物の持続した放出のためのインプラントを形成するために使用することができる。
【0075】
医薬組成物における有効成分の実際の投薬量レベルは、所望される治療的応答を、特定の患者、組成物及び投与様式について、その患者に対して毒性であることを伴うことなく達成するために効果的である有効成分の量を得るように変化させることができる。
【0076】
選択された投薬量レベルは、用いられる具体的な活性薬剤又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられている具体的な化合物の排出時間、処置の継続期間、用いられる具体的な化合物との組合せで使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態及び以前の病歴、並びに、医学分野において周知である同様な要因を含む様々な要因に依存する。
【0077】
当分野における通常の技能を有する医師又は獣医師は、要求される医薬組成物の有効量を容易に決定及び処方することができる。例えば、そのような医師又は獣医師は、医薬組成物において用いられる薬剤の用量を、所望される治療的効果を達成するために要求されるレベルよりも低いレベルで開始することができ、そして、投薬量を、所望される効果が達成されるまで徐々に増大させることができる。
【0078】
一般には、活性薬剤の好適な1日用量は、治療的効果を生じさせるために効果的な最低用量である化合物の量である。そのような有効用量は一般には、上記で記載される要因に依存する。
【0079】
所望されるならば、活性な化合物の1日の有効用量は、必要な場合には単位剤形で、1日を通して適切な間隔で分けて投与される1個、2個、3個、4個、5個、6個又はそれ以上の分割用量物として投与することができる。特定の実施形態において、活性な化合物は1日に2回又は3回投与することができる。好ましい実施形態において、活性な化合物は1日に1回投与される。
【0080】
この処置を受ける患者は、処置の必要性のある任意の動物であり、これには、霊長類(具体的には、ヒト)及び他の哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなど)、並びに、一般には家禽及びペットが含まれる。
【0081】
特定の実施形態において、本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)は単独で使用することができ、或いは、別の処置又は別のタイプの治療剤を併用して投与することができる。本明細書中で使用される表現「併用投与」は、2つ以上の異なる治療化合物を、前回に投与された治療化合物が体内で依然として効果的である間に第2の化合物が投与されるように投与する任意の形態を示す(例えば、これら2つの化合物が患者において同時に効果的であり、これにより、これら2つの化合物の相乗的な効果を含むことができる)。例えば、異なる治療化合物を、同じ配合物又は別個の配合物のどちらかで、同時又は逐次的のどちらかで投与することができる。従って、そのような処置を受ける患者は、異なる治療化合物の組み合わされた効果から利益を得ることができる。加えて、「併用投与」は、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)を、本明細書中に提供される化合物が体内で効果的である間に行われる第2の非医薬品処置(例えば、陽圧気道圧処置)との組合せで投与する任意の形態を示す(例えば、処置の2つの機構が患者において同時に効果的であり、これにより、これら2つの機構の相乗的な効果を含むことができる)。従って、そのような処置を受ける個体は、異なる治療の組み合わされた効果から利益を得ることができる。
【0082】
本明細書中に開示される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)が対象(例えば、哺乳動物、好ましくはヒト)に治療上有効量(用量)で投与されることが意図される。「治療上有効量」は、所望される治療的効果(例えば、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止)を誘発するために十分である化合物の濃度を意味する。一般には、化合物の有効量は、対象の体重、性別、年齢及び病歴に従って変化することが理解される。有効量に影響を及ぼす他の要因には、患者の状態の重篤度、処置されている障害、化合物の安定性、及び、所望されるならば、活性薬剤とともに投与されている別のタイプの治療剤が含まれ得るが、これらに限定されない。より大きい総用量を薬剤の多数回の投与によって送達することができる。効力及び投薬量を決定するための方法は当業者に公知である(Isselbacher et al. (1996), Harrison's Principles of Internal Medicine 13 ed., 1814-1882、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0083】
本明細書中にはまた、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)の医薬的に許容される塩又は溶媒和物が提供される。特定の理論によって限定されることはないが、デュロキセチン及びベンラファキシンはアミンであるので、デュロキセチン及びベンラファキシンは本質的に塩基性であり、従って、多数の無機酸及び有機酸と反応して、医薬的に許容される酸付加塩を形成する。そのような塩を形成するために一般に用いられる酸には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸及びリン酸など、同様にまた、有機酸、例えば、パラ−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸及び酢酸など、並びに、関連した無機酸及び有機酸が含まれる。従って、そのような医薬的に許容される塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオレート(propiolate)、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、馬尿酸塩、グルコン酸塩、ラクトビオン酸塩及び同様な塩が含まれる。
【0084】
本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン又は(−)−O−デスメチルベンラファキシン)の医薬的に許容される酸付加塩はまた、例えば、水、メタノール、エタノール及びジメチルホルムアミドなどとの様々な溶媒和物として存在することができる。そのような溶媒和物の混合物もまた調製することができる。そのような溶媒和物の起源は結晶化の溶媒に由来し得るか、或いは、調製又は結晶化の溶媒に固有的であり得るか、或いは、そのような溶媒に対して偶発的であり得る。
【0085】
湿潤化剤、乳化剤及び滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど)、同様にまた、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤及び芳香剤、保存剤、並びに、酸化防止剤もまた、組成物に存在させることができる。
【0086】
医薬的に許容される酸化防止剤の例には、下記のものが含まれる。(1)水溶性の酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性の酸化防止剤、例えば、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガラート及びα−トコフェロールなど;及び(3)金属キレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸及びリン酸など。
【0087】
本明細書中にはまた、下記のものを含むキットが提供される。
a)本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)及び医薬的に許容される賦形剤を含む1つ又はそれ以上の単一剤形;及び
b)そのような単一剤形を睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置のために投与するための説明書。
【0088】
本明細書中にはまた、下記のものを含むキットが提供される。
a)本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)を含む第1の医薬配合物;
b)睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は、呼吸衝動を安定化させる薬剤のうちの少なくとも1つを含む第2の医薬配合物;及び
c)第1の医薬配合物及び第2の医薬配合物を投与するための説明書。
【0089】
特定の実施形態において、本明細書中には、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の配合物、又は、本明細書中に記載されるようなキットを製造すること、及び、そのような配合物又はキットを睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止において使用することの利益を医療提供者に売り込むことによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0090】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、若しくは、呼吸衝動を安定化させる薬剤との併用で投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の配合物、又は、本明細書中に記載されるようなキットを製造すること、及び、そのような配合物又はキットを睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止において使用することの利益を医療提供者に売り込むことによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0091】
特定の実施形態において、本明細書中には、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の配合物、又は、本明細書中に記載されるようなキットを販売するための流通網を提供すること、及び、そのような配合物を、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)を処置又は防止するために使用するための、患者又は医師に対する説明資料を提供することによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0092】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、若しくは、呼吸衝動を安定化させる薬剤との併用で投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の配合物、又は、本明細書中に記載されるようなキットを販売するための流通網を提供すること、及び、そのような配合物を、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)を処置又は防止するために使用するための、患者又は医師に対する説明資料を提供することによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0093】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止のために投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の適切な配合物及び投薬量を決定すること、特定された配合物の治療プロファイリングを動物における効力及び毒性について行うこと、及び、特定された調製物を、許容され得る治療プロフィルを有するとして販売するための流通網を提供することによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。特定の実施形態において、この方法はさらに、調製物を医療提供者に売り込むための販売グループを提供することを含む。
【0094】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止において、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は、呼吸衝動を安定化させる薬剤との併用で投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の適切な配合物及び投薬量を決定すること、特定された配合物の治療プロファイリングを動物における効力及び毒性について行うこと、及び、特定された調製物を、許容され得る治療プロフィルを有するとして販売するための流通網を提供することによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。特定の実施形態において、この方法はさらに、調製物を医療提供者に売り込むための販売グループを提供することを含む。
【0095】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止のために投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の適切な配合物及び投薬量を決定すること、及び、そのような配合物のさらなる開発及び販売についての権利を第三者にライセンスすることによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0096】
特定の実施形態において、本明細書中には、睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸など)の処置又は防止において、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は、呼吸衝動を安定化させる薬剤との併用で投与されるための、本明細書中に提供される化合物(例えば、デュロキセチン、(±)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン又は(+)−O−デスメチルベンラファキシン)の適切な配合物及び投薬量を決定すること、及び、そのような配合物のさらなる開発及び販売についての権利を第三者にライセンスすることによって、医薬品事業を行うための方法が提供される。
【0097】
用語「医療提供者」は、人、地域社会などに医療サービスを提供する個人又は団体を示す。「医療提供者」の例には、医師、病院、生涯介護の退職高齢者コミュニティー、高度看護施設、亜急性介護施設、診療所、複数専門医診療所、独立外来センター、家庭健康機関及びHMOが含まれる。
【0098】
本明細書中で使用される場合、障害又は状態を「防止する」治療剤は、統計学的サンプルにおいて、非処置の対照サンプルと比較して、処置されたサンプルにおける障害又は状態の発生を低下させるか、或いは、非処置の対照サンプルと比較して、障害若しくは状態の1つ若しくはそれ以上の症状の発症を遅らせるか、又は、障害若しくは状態の1つ若しくはそれ以上の症状の重篤度を軽減する化合物を示す。
【0099】
用語「処置する」には、予防的処置及び/又は治療的処置が含まれる。用語「予防的又は治療的な」処置は当分野では認識されており、これには、当該組成物の1つ又はそれ以上を宿主に投与することが含まれる。そのような処置が、望まれない状態(例えば、宿主動物の疾患又は他の望まれない状態)の臨床的な症状発現の前に施されるならば、その処置は予防的であり(すなわち、処置は、宿主を、望まれない状態を発症することから保護し)、これに対して、そのような処置が、望まれない状態の症状発現の後に施されるならば、その処置は治療的である(すなわち、処置は、存在する望まれない状態又はその副作用を軽減、改善又は安定化するために意図される)。
【実施例】
【0100】
本明細書中に提供される様々な化合物による、5−HT、NE又はDAの機能的取り込みの阻害について、前記化合物を、ラットの全脳、視床下部又は線条体から調製されたシナプトソームにおいてそれぞれ、或いは、5−HT、NE又はDAについてのクローン化されたヒト輸送体を発現するインビトロ培養された全細胞において試験した。アッセイで用いられた放射性リガンドの濃度は、それらの同族輸送体に関してモノアミン基質についてのK以下であった。化合物を、完全阻害曲線を得るために、5個〜10個の異なる濃度で二連で試験した。その後、IC50値(コントロールの活性を50%阻害する濃度)を阻害曲線の非線形回帰分析によって求めた。
【0101】
5.1 ラットの再取り込み輸送体についてのセロトニンの機能的取り込みアッセイ
5−HT取り込みの定量を、オスWistarラットの皮質から0.32Mスクロース緩衝液において単離されたシナプトソームを使用して行った。放射能標識された5−HTのシナプトソーム(100μgのタンパク質/実験点)による取り込みを、シナプトソームを、ウェルにおいて、試験化合物及び[H]5−ヒドロキシトリプタミン(0.1μCi/実験点)の存在下、37℃で15分間インキュベーションすることによって行わせた。
【0102】
シナプトソーム及び[H]5−ヒドロキシトリプタミンを、25mMのNaHCO、11mMのグルコース及び50μMのアスコルビン酸を含有するクレブス緩衝液(pH7.4)において調製した。このインキュベーション緩衝液を、インキュベーション前の5分間、酸素化した。基礎コントロールを、何らかの取り込みを避けるために、4℃で15分間インキュベーションした。このインキュベーションの後、取り込みを、遊離の[H]5−ヒドロキシトリプタミンを除くための、25mMのNaHCOを含有するクレブス緩衝液で洗浄されたユニフィルター96ウェルGFB Packardプレートによるろ過によって停止させた。その後、取り込みに対応するユニフィルター上に保持されたシナプトソームに付随する放射能を、シンチレーション液を使用するマイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Topcount、Packard)により測定した。非特異的結合を過剰量の非放射性の標識されていないリガンドの存在下で測定した。特異的結合を、非特異的結合を総結合から引くことによって得た。
【0103】
基準化合物が、IC50値を得るために10−11Mから10−5Mにまで及ぶ10個の濃度で試験されたイミプラミンであった。例えば、Perovics and Muller, 「Pharmacological profile of hypericum extract: effect on serotonin uptake by postsynaptic receptors」, Arzeim. Forsch./Drug Res., 45:1145-1148 (1995)を参照のこと。
【0104】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン及び(−)−O−デスメチルベンラファキシンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【0105】
5.2 ヒトの再取り込み輸送体についてのセロトニンの機能的取り込みアッセイ
ヒトのセロトニン再取り込み輸送体の阻害を、発表された方法(Gu H, Wall S, Rudnick G. Stable expression of biogenic amine transporters reveals differences in inhibitor sensitivity, kinetics, and ion dependence. J Biol Chem. 269 (10): 7124-7130, 1994)を使用してHEK−293細胞において発現させた組換えヒトセロトニン輸送体を使用してアッセイした。HEK−293細胞において発現させたヒトセロトニン輸送体をアッセイ前に播種した。試験化合物及び/又はビヒクルを、25℃で20分間、改変Tris−HEPES緩衝液(pH7.1)において細胞(5×10個/ml)とプレインキュベーションし、その後、65nMの[H]セロトニンをさらに10分のインキュベーション期間にわたって加えた。結合した細胞をろ過した。細胞内に取り込まれたトリチウムの量を、[H]セロトニン取り込みを求めるために液体シンチレーションカウンターを使用して計数する。[H]セロトニン取り込みが10μMのフロキセチンと比較して50パーセント以上(≧50%)低下することにより、有意な阻害活性が示される。化合物を、10μM、1μM、0.1μM、0.01μM及び0.001μMでスクリーニングした。アッセイのための基準化合物がフロキセチンであった。この場合、フロキセチンについての7.1nMのIC50値が得られた。
【0106】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン及びデュロキセチンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【0107】
5.3 ラットの再取り込み輸送体についてのドーパミンの機能的取り込みアッセイ
ドーパミン取り込みの定量を、オスWistarラットの線条体から0.32Mスクロース緩衝液において単離されたシナプトソームを使用して行った。放射能標識されたドーパミンのシナプトソーム(20μgのタンパク質/実験点)による取り込みを、シナプトソームを試験化合物及び[H]−ドーパミン(0.1μCi/実験点)の存在下において37℃で15分間インキュベーションすることによって行わせた。実験を深底ウェルで行った。
【0108】
シナプトソーム及び[H]−ドーパミンを、25mMのNaHCO、11mMのグルコース及び50μMのアスコルビン酸を含有するクレブス緩衝液(pH7.4)において調製した。このインキュベーション緩衝液を、インキュベーション前の5分間、酸素化した。基礎コントロールを、何らかの取り込みを避けるために、4℃で15分間インキュベーションした。このインキュベーションの後、取り込みを、遊離の[H]−ドーパミンを除くための、25mMのNaHCOを含有するクレブス緩衝液で洗浄されたユニフィルター96ウェルGFB Packardプレートによるろ過によって停止させた。その後、取り込みに対応するユニフィルター上に保持されたシナプトソームに付随する放射能を、シンチレーション液を使用するマイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Topcount、Packard)により測定した。
【0109】
基準化合物のGRB12909を、IC50値を得るために10−11Mから10−6Mにまで及ぶ8個の濃度で試験した。Jankowsky et al., 「Characterization of sodium-dependent [3H]GBR-12935 binding in brain: a radioligand for selective labeling of the dopamine transport complex」, J. Neurochem, 46:1272-1276 (1986)を参照のこと。
【0110】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン及び(−)−O−デスメチルベンラファキシンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【0111】
5.4 ヒトの再取り込み輸送体についてのドーパミンの機能的取り込みアッセイ
ヒトのドーパミン再取り込み輸送体の阻害を、発表された方法(Pristupa, Z.B., Wilson, J.M., Hoffman, B.J., Kish, S.J. and Niznik, H.B., Pharmacological heterogeneity of the cloned and native human dopamine transporter: dissoaciation of [3H]GBR12,935 binding, Mol. Pharmacol., 45:125-135, 1994)を使用してCHO−K1細胞において発現させた組換えヒトドーパミン輸送体を使用してアッセイした。CHO−K1細胞において発現させたヒト組換えドーパミン輸送体をアッセイ前に播種した。試験化合物及び/又はビヒクルを、25℃で20分間、改変Tris−HEPES緩衝液(pH7.1)において細胞(4×10個/ml)とプレインキュベーションし、その後、50nMの[H]ドーパミンをさらに10分のインキュベーション期間にわたって加えた。溶解物を可溶化細胞から得て、溶解物におけるトリチウムの量を、[H]ドーパミン取り込みを求めるために液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。[H]ドーパミン取り込みが10μMのノミフェンシンと比較して50パーセント以上(≧50%)低下することにより、有意な阻害活性が示される。化合物を、10μM、1μM、0.1μM、0.01μM及び0.001μMでスクリーニングした。アッセイのための基準化合物がノミフェンシンであった。この場合、ノミフェンシンについての11nMのIC50値が得られた。
【0112】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン及びデュロキセチンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【0113】
5.5 ラットの再取り込み輸送体についてのノルエピネフリンの機能的取り込みアッセイ
ノルエピネフリン取り込みの定量を、オスWistarラットの視床下部から0.32Mスクロース緩衝液において単離されたシナプトソームを使用して行った。放射能標識されたノルエピネフリンのシナプトソーム(100μgのタンパク質/実験点)による取り込みを、シナプトソームを試験化合物及び[H]−ノルエピネフリン(0.1μCi/実験点)の存在下において37℃で20分間インキュベーションすることによって行わせた。実験を深底ウェルで行った。
【0114】
シナプトソーム及び[H]−ノルエピネフリンを、25mMのNaHCO、11mMのグルコース及び50μMのアスコルビン酸を含有するクレブス緩衝液(pH7.4)において調製した。このインキュベーション緩衝液を、インキュベーション前の5分間、酸素化した。基礎コントロールを、何らかの取り込みを避けるために、4℃で20分間インキュベーションした。このインキュベーションの後、取り込みを、遊離の[H]−ノルエピネフリンを除くための、25mMのNaHCOを含有するクレブス緩衝液で洗浄されたユニフィルター96ウェルGFB Packardプレートによるろ過によって停止させた。その後、取り込みに対応するユニフィルター上に保持されたシナプトソームに付随する放射能を、シンチレーション液を使用するマイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Topcount、Packard)により測定した。
【0115】
基準化合物が、IC50値を得るために10−11Mから10−5Mにまで及ぶ13個の濃度で試験されたプロトリプチリンであった。Perovics and Muller, 「Pharmacological profile of hypericum extract: effect on serotonin uptake by postsynaptic receptors」, Arzeim. Forsch./Drug Res., 45:1145-1148 (1995)を参照のこと。
【0116】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン及び(−)−O−デスメチルベンラファキシンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【0117】
5.6 ヒトの再取り込み輸送体についてのノルエピネフリンの機能的取り込みアッセイ
ヒトのノルエピネフリン再取り込み輸送体の阻害を、発表された方法(Galli A, DeFelice LJ, Duke BJ, Moore KR, Blakely RD, Sodium dependent norepinephrine-induced currents in norepinephrine-transporter-transfected HEK-293 cells blocked by cocaine and antidepressants, J Exp Biol, 198:2197-2212, 1995)を使用してMDCK細胞において発現させた組換えヒトノルエピネフリン輸送体を使用してアッセイした。細胞をアッセイの1日前に播種した。試験化合物及び/又はビヒクルを、25℃で20分間、改変Tris−HEPES緩衝液(pH7.1)において細胞(2×10個/ml)とプレインキュベーションし、その後、25nMの[H]ノルエピネフリンをさらに10分のインキュベーション期間にわたって加えた。溶解物を可溶化細胞から得て、溶解物におけるトリチウムの量を、[H]ノルエピネフリン取り込みを求めるために液体シンチレーションカウンターを使用して測定した。[H]ノルエピネフリン取り込みが10μMのデシプラミンと比較して50パーセント以上(≧50%)低下することにより、有意な阻害活性が示される。化合物を、10μM、1μM、0.1μM、0.01μM及び0.001μMでスクリーニングした。アッセイのための基準化合物がデシプラミンであった。この場合、デシプラミンについての1.9nMのIC50値が得られた。
【0118】
ベンラファキシン、ラセミ状O−デスメチルベンラファキシン、(+)−O−デスメチルベンラファキシン、(−)−O−デスメチルベンラファキシン及びデュロキセチンをこのアッセイで評価した。結果が表1に示される。
【表1】


【表2】

【0119】
表2に示されるデータを発表された方法に従って得た。HEK293細胞において発現させたクローン化ヒトセロトニン受容体に対する[H]−パロキセチンの結合の阻害についてのIC50値(及び計算されたK値)を、Galli A, DeFelice LJ, Duke BJ, Moore KR, Blakely RD, 「Sodium-dependent norepinephrine-induced currents in norepinephrine-transporter-transfected HEK-293 cells blocked by cocaine and antidepressants」, Journal of Experimental Biology, 198:2197-2212 (1995)に従って求めた。MDCK細胞において発現させたクローン化ヒトノルエピネフリン受容体に対する[125I]−RTI−55の結合の阻害についてのIC50値(及び計算されたK値)を、Shearman LP, McReynolds AM, Zhou FC, Meyer JS, 「Relationship between [125I]RTI-55-labeled cocaine binding sites and the serotonine transporter in rat placenta」, American Journal of Physiology, 275: C1621-9 (1998)に従って求めた。
【0120】
本明細書中で言及されるすべての刊行物及び特許は、それぞれの個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、本明細書によりそれらの全体において参照によって組み込まれる。矛盾する場合には、本明細書中のいずれかの定義も含めて、本出願が優先する。
【0121】
様々な具体的な実施形態が議論されているが、上記明細書は例示であり、限定ではない。多くの変化が、本明細書及び下記の請求項を検討したとき、当業者には明らかになる。本発明の完全な範囲は、請求項を均等物のそれらの完全な範囲と一緒に参照することによって、また、本明細書をそのような様々な変化と一緒に参照することによって決定されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量のO−デスメチルベンラファキシン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を患者に投与することを含む、睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法。
【請求項2】
前記O−デスメチルベンラファキシンが(+)−エナンチオマーについて濃縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記O−デスメチルベンラファキシンが(−)−エナンチオマーについて濃縮される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記O−デスメチルベンラファキシンが(+)−O−デスメチルベンラファキシンを実質的に含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記O−デスメチルベンラファキシンが第2の活性薬剤との併用で投与され、前記第2の活性薬剤が、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は呼吸衝動を安定化させる薬剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記O−デスメチルベンラファキシンが陽圧気道圧処置との併用で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記O−デスメチルベンラファキシンが、経口投与、舌下投与又は経口吸入によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
治療上有効量のデュロキセチン又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を患者に投与することを含む、睡眠関連呼吸障害を患者において処置する方法。
【請求項9】
前記デュロキセチンが第2の活性薬剤との併用で投与され、前記第2の活性薬剤が、睡眠増強剤、日中の過度の眠気を処置する薬剤、抗肥満剤、又は呼吸衝動を安定化させる薬剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記デュロキセチンが陽圧気道圧処置との併用で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記デュロキセチンが、経口投与、舌下投与又は経口吸入によって投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記睡眠関連呼吸障害が閉塞性睡眠時無呼吸である、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2010−523662(P2010−523662A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503031(P2010−503031)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/004508
【国際公開番号】WO2008/124128
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(595166778)セプラコール・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Sepracor Inc.
【Fターム(参考)】