説明

睫毛および/または眉毛用のトリートメント

【課題】 睫毛および眉毛にハリおよびコシを与え、継続して塗布したときに睫毛および眉毛自体の成長を促進させて、睫毛および眉毛そのものを長くしたり、太く(濃く)することができ、場合によっては睫毛および眉毛の数を増やすことのできる、安全性に優れる睫毛および/または眉毛用のトリートメントの提供。
【解決手段】 加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有する本発明の睫毛および/または眉毛用のトリートメントによって、上記の課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は睫毛および/または眉毛用のトリートメントに関する。より詳細には、本発明は、睫毛および眉毛にハリおよびコシを与え、継続して塗布したときには睫毛および眉毛自体の成長を促進させて、睫毛および眉毛そのものを長くしたり、太く(濃く)することができ、場合によっては睫毛および眉毛の数を増やすことのできる、睫毛および/または眉毛用のトリートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
睫毛や眉毛は、一般に年齢を重ねると細くなったり、短くなったりして痩せることが多い。また、人によっては、生まれつき、または若いときから、睫毛や眉毛が短かったり、本数が少なかったり、細くて薄いことがある。
【0003】
特に女性では、長くて濃い睫毛は、目をパッチリとさせて、魅力的な美しさを与えることから、睫毛を長く濃くするためのマスカラなどのアイメーキャップ用品が、近年多くの女性に広く用いられているようになっている。
マスカラの普及に伴って、睫毛をより濃く、しかも長くみせることのできるマスカラが求められるようになっており、かかる点からマスカラに用いる成分の種類や配合についての研究が従来から色々行われている。そのような従来技術としては、マスカラに配合する着色剤の量を増やしたり、微細繊維を配合したり、睫毛への着色剤や微細繊維の付着を良好にするための成分を配合したマスカラが開発されている。しかし、従来のマスカラの殆どは、マスカラを塗布しているときだけ、睫毛を外観上で一時的に濃くしたり長く見せ得るに過ぎず、マスカラを落とした後は、睫毛の濃さや長さは、マスカラを塗布する前の状態に戻ってしまうものであった。
【0004】
また、濃い眉毛は、顔をメリハリのあるクッキリとした感じにし、特に男性では精悍な印象を与える。女性の場合は、眉墨を用いて眉を濃く所望の形に整えることが行われているが、男性の場合は眉墨の使用には抵抗があり、眉墨によらずに眉毛自体を濃くすることのできる製品が求められていた。
【0005】
上記の状況下に本発明者は、種々研究を重ねてきた。そして、加水分解卵殻膜が、睫毛自体の成長を促進させて、睫毛そのものを長くしたり、太くしたりすることができ、場合によっては睫毛の数をも増やすことができることを見出し、そのような知見に基づいて加水分解卵殻膜を配合したマスカラを開発して先に出願した(特許文献1を参照)。
本発明者の開発した特許文献1のマスカラは、睫毛を外観上で長く、濃く見せて、目にパッチリとした印象を与えて魅力的な美しさを発現させ得るアイメーキャップ効果を有すると共に、睫毛に継続して塗布使用することにより、睫毛自体の成長を促進して、睫毛そのものを長くしたり、太くすることができ、場合によっては更に睫毛の数を増やす働きを有するという点で優れた効果を有するが、睫毛に塗布するマスカラであるため、眉毛には使用しにくく、特に男性には用いにくいものである。
【特許文献1】特開2005−126381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、睫毛だけでなく、眉毛にも用いることができ、睫毛および/または眉毛に塗布したときに、睫毛および/または眉毛にハリおよびコシを与えて元気にし、継続して使用することによって睫毛および/または眉毛自体の成長を促進させて、睫毛および/または眉毛を太くしたり、長くしたり、場合によっては睫毛および/または眉毛の数をも増やすことができ、しかも人体に対する安全性に優れる睫毛および/または眉毛用のトリートメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成すべく、本発明者は鋭意検討を重ねてきた。その結果、加水分解卵殻膜と共に更に加水分解ケラチンを併用すると、睫毛および眉毛のいずれに対してもハリおよびコシを付与できることを見出した。
しかも、加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを併用すると、加水分解卵殻膜を単独で用いた場合に比べて、睫毛および眉毛の成長促進作用が一層大きくなり、そのため加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有するトリートメントを睫毛および眉毛に継続して塗布すると、睫毛および眉毛自体の成長が一層促進されて、睫毛および眉毛そのものが、加水分解卵殻膜を単独で用いた場合に比べて、一層短期間に太く、長くなり、さらに場合によっては睫毛および眉毛の数も増えることを見出して本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有することを特徴とする、睫毛および/または眉毛用のトリートメントである。
そして、本発明は、
(2) トリートメントの全質量に基づいて、加水分解卵殻膜を0.01〜1質量%および加水分解ケラチンを0.01〜0.5質量%の割合で含有する前記(1)のトリートメントを好ましい態様として包含する。
【発明の効果】
【0009】
加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有する本発明のトリートメントは、睫毛および眉毛の両方に有効で、睫毛に塗布することで睫毛にハリおよびコシを与え、また眉毛に塗布することで眉毛にハリおよびコシを与えて、睫毛および眉毛を元気な状態にすることができる。
加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有する本発明のトリートメントは、加水分解卵殻膜を含有するものに比べて睫毛および眉毛の成長促進作用が一層大きく、睫毛および/または眉毛に継続して塗布することにより、睫毛および眉毛自体の成長が一層促進されて、睫毛および眉毛そのものが、加水分解卵殻膜を単独で用いた場合に比べてより短期間に太く、長くなり、さらに場合によっては睫毛および眉毛の数も増やすことができる。
【0010】
本発明のトリートメントは、睫毛および眉毛の両方に共通して用いる両用タイプ、または睫毛および眉毛のいずれか一方に用いる専用タイプにすることができる。
そして、両用タイプにしたときには、睫毛および眉毛の両方に同時にハリおよびコシを与え、しかもそれらの成長を促進させることができる。
また、睫毛専用タイプにしたときには、マスカラとの兼用にすることができ、それによって睫毛を外観上で長く、濃く見せて、目にパッチリとした印象を与えて魅力的な美しさを発現させ得るアイメーキャップ効果を有すると共に、睫毛に継続して塗布することにより、睫毛自体の成長を促進して、睫毛そのものを長くしたり、太くすることができ、場合によっては更に睫毛の数を増やすことができる。
また、眉毛専用タイプにしたときには、睫毛の手入れは不要で、眉毛にハリおよびコシを与えたり眉毛を太くすることを望む消費者、特に男性の消費者の要望に適合した製品にでき、眉毛に継続して塗布することにより、眉毛の成長を促進して、眉毛を太く、長くすることができ、場合によっては眉毛の数を増やすことができる。
さらに、本発明のトリートメントは、天然物である卵に由来する加水分解卵殻膜および天然物である羊毛などに主に由来する加水分解ケラチンを配合したものであるため、安全性においても優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜であり、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでいる。
本発明のトリートメントで用いている加水分解卵殻膜は、鳥類の卵の内側にあるそのような卵殻膜(外卵殻膜および/または内卵殻膜)を、蛋白質分解酵素、酸、アルカリなどを用いて加水分解したものであり、加水分解処理によって水などの液体への溶解性または乳化性が向上している。本発明では、加水分解卵殻膜として、水に可溶であるかまたは水に易分散性の加水分解卵殻膜であればいずれも好適に用いることができ、具体例としては、キューピー株式会社製の「EMプロテイン」(商品名)などを挙げることができる。
【0012】
ケラチンは、人を含めた動物の表皮、角、爪、ウロコ、毛、羽などのような、元々は皮膚に由来する、体の一番外側に存在する組織の主体をなす蛋白質である。加水分解ケラチンは、そのようなケラチンを蛋白質分解酵素、酸、アルカリなどを用いて加水分解したものであり、加水分解処理によって水などの液体への溶解性または乳化性が向上している。本発明では、加水分解ケラチンとして、眼の粘膜および結膜並びに皮膚に対して害を与えず、しかも水に可溶であるかまたは水に易分散性の加水分解ケラチンであればいずれも好適に用いることができ、具体例としては、羊毛に由来する株式会社成和製の「プロモイスWK−H」(商品名)、羊毛に由来する株式会社成和製の「プロモイスWK」(商品名)などを挙げることができる。
【0013】
本発明のトリートメントでは、トリートメントの全質量に基づいて、加水分解卵殻膜の含有量は、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.7質量%であることがより好ましく、0.01〜0.5質量%であることが更に好ましい。
また、加水分解ケラチンの含有量は、トリートメントの全質量に基づいて、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.01〜0.1質量%であることがより好ましく、0.01〜0.05質量%であることが更に好ましい。
トリートメントの全質量に基づいて、加水分解卵殻膜の含有量が0.01質量%未満であると、睫毛および眉毛の成長促進効果が小さくなり、睫毛および眉毛自体を太くしたり、長くしたりすることが困難になり易い。一方、加水分解卵殻膜の含有量が1質量%を超えると、コストが上昇し、また粘着性が増加して使用感の不良を招き易くなるので好ましくない。
また、トリートメントの全質量に基づいて、加水分解ケラチンの含有量が0.01質量%未満であると、睫毛および眉毛の成長促進効果が小さくなり、睫毛および眉毛自体を太くしたり、長くしたりすることが困難になり易い。一方、加水分解ケラチンの含有量が0.5質量%を超えると、コストが上昇し、また粘着性が増加して使用感の不良を招き易くなり、更にダマになり易くなるので好ましくない。
【0014】
本発明のトリートメントは、睫毛および眉毛の両方に共通して用いる両用タイプであってもよいし、睫毛用の専用タイプであってもよいし、または眉毛用の専用タイプであってもよい。
本発明のトリートメントは、睫毛および眉毛への塗布の容易性、睫毛および眉毛に塗布した後の乾燥の容易性、人体への安全性などの点から、水を主体とする液体媒体中に加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンが溶解または乳化されていることが好ましい。
本発明のトリートメントは、睫毛および眉毛の両方に用いる両用タイプであるか、睫毛用の専用テイプであるか、または眉毛用の専用タイプであるかに応じて、各タイプに有用な種々の成分を溶解または分散含有させた水性乳化液の形態であることが好ましい。
【0015】
本発明のトリートメントが、睫毛および眉毛の両方に用いる両用タイプである場合および眉毛用の専用タイプである場合は、加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンと共に、睫毛と眉毛または眉毛にハリおよびコシ、艶、ボリュームなどを与えるための成分、保湿剤、消炎剤、防腐剤、pH調整剤、乳化剤、前記した成分を水中に分散または溶解させるための成分、睫毛、眉毛および目元に栄養を与えるための栄養成分、それらの成分を睫毛および眉毛に付着させるための付着剤などを含有することができ、前記した成分の1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明のトリートメントが、睫毛および眉毛の両方に用いる両用タイプの場合および眉毛用の専用タイプである場合は、着色剤を含有していてもよいが、トリートメントを塗った後の眉毛を自然な状態にして男性であっても使用し易くするためには、着色剤を配合せずにトリートメントを透明またはそれに近い状態にすることが好ましい。
【0017】
本発明のトリートメントが、睫毛用の専用タイプである場合にも、加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンと共に、睫毛にハリおよびコシ、艶、ボリュームなどを与えるための成分、保湿剤、消炎剤、防腐剤、pH調整剤、乳化剤、前記した成分を水中に分散または溶解させるための成分、睫毛および目元に栄養を与えるための栄養成分、それらの成分を睫毛および眉毛に付着させるための付着剤などを用いることができ、前記した成分の1種または2種以上を用いることができる。
そして、本発明のトリートメントが睫毛用の専用タイプである場合は、着色成分や繊維粉末などを含まない透明な液状のトリートメントであってもよいし、または着色剤、睫毛を長くみせるための繊維粉末、着色剤や繊維粉末を睫毛に付着させるための付着剤などを更に含有するマスカラ兼用のトリートメント(すなわちマスカラ)であってもいずれでもよい。
【0018】
睫毛と眉毛の両方に用いる両用タイプ、睫毛用の専用タイプおよび眉毛用の専用タイプのいずれの場合も、睫毛および眉毛に張り、腰、艶、ボリュームなどを与えるための上記した成分として、例えば、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、アクリル系共重合体(例えばマタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル共重合体など)などを用いることができ、これらの含有量は、従来のマスカラなどと同程度とすることができる。また、上記した保湿剤としては、例えばポリビニルピロリドン、1,3−ブチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、プロピレングリコールなどを挙げることができる。上記した防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピレンなどのパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)などを挙げることができる。また、上記した乳化剤としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどを挙げることができ、また睫毛、眉毛、目元などに栄養を与えるための栄養成分としてはビタミンEなどのビタミン類などを挙げることができる。
【0019】
さらに、本発明のトリートメントは、上記した成分の他に、必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸類、ダイズ油、オリーブ油、ヒマシ油、スクワランなどの同植物性油脂類、トリエタノールアミン、ベンジルアルコールなどを含有することができる。
【0020】
本発明のトリートメントが、マスカラ兼用の睫毛専用タイプである場合には、着色剤として、マスカラにおいて従来から使用されているもののいずれもが使用でき、例えば黒色酸化鉄、赤色酸化鉄(ベンガラ)、群青などの顔料、染料、リンゴ酸ジイソステアリルなどの着色補助剤などを挙げることができる。顔料や染料の種類、配合割合、組成などを調整することによって、マスカラ兼用トリートメントの色を、例えば、黒色、濃茶色、明茶色、濃青色、明青色、その他の色調にすることができる。顔料や染料の含有量は、従来のマスカラにおけるのと同様の量とすることができ、一般的には、マスカラ兼用トリートメントの全質量に対して、顔料または染料の5〜15質量%程度とするのがよい。また、リンゴ酸ジイソステアリルなどの着色補助剤の含有量は、顔料や染料の含有量と同程度にすることがマスカラ兼用トリートメント中に顔料や染料を均一に分散させ得る点から好ましい。
【0021】
また、本発明のトリートメントがマスカラ兼用の睫毛専用トリートメントである場合は、上記したように睫毛を長くみせるための繊維粉末を含有することが好ましく、繊維粉末としては、ナイロン粉末などのような合成繊維粉末などを挙げることができる。繊維粉末を含有させる場合は、マスカラ兼用トリートメントの全質量に基づいて、1〜10質量%、特に3〜7質量%程度であることが好ましい。
【0022】
本発明のトリートメントが含有し得る成分は、前記したものに何ら限定されず、化粧品への使用が許可されていて且つ従来からマスカラなどに用いられている成分であって、本発明の効果を損なわないものであれば、いずれの成分を含有していてもよい。
【0023】
本発明のトリートメントのpHは、人体への安全性、腐敗防止、睫毛および眉毛との親和性などの点から、通常、5〜8.5の範囲であることが好ましく、6.5〜8であることが好ましい。
本発明のトリートメントは、ビンやその他の容器に充填し、塗布具を使用して睫毛および/または眉毛に塗布することによって用いることができる。その際に、眉毛への塗布具としては細目のハケなどが好適であり、また睫毛への塗布具はマスカラで汎用されているスクリュータイプの塗布具などが好適である。
【0024】
加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有する本発明のトリートメントが、睫毛および眉毛の成長を促進して睫毛および眉毛自体を太くしたり、長くしたりする効果を有する理由は明確ではないが、加水分解卵殻膜が生体内に発生した有害な活性酸素を低減または消去する作用を有し、さらに加水分解ケラチンが造膜作用を有していて、加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有するトリートメントを睫毛および/または眉毛に塗布すると、睫毛の生えている目元の細胞および/または眉毛が生えている皮膚の細胞に血液補給が円滑に行われるようになって、睫毛および眉毛の成長が促進されることによるものと推測される。
【0025】
本発明のトリートメントの製造方法は特に制限されず、上記した各種成分が変質などを生ずることなく、水を主体とする媒体中に均一に分散および溶解した液状(好ましくは乳化液状)のトリートメントを製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよい。
【実施例】
【0026】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
【0027】
《実施例1》[眉毛用の透明トリートメントの製造]
(1) 以下の表1に示す成分を表1に示す量で混合し、混合装置を用いて均一に分散乳化させて、加水分解卵殻膜(キューピー株式会社製「EMプロテイン」)および加水分解ケラチン(株式会社成和製「プロモイスWK−H」)を含有する無色透明な睫毛および眉毛両用のトリートメント(pH7.1)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたトリートメントを従来マスカラに用いられているのと同様のスクリュー方塗布ブラシを内蔵したトリートメント用容器に充填した。
【0028】
【表1】

【0029】
《試験例1》
上記の実施例1で得られたトリートメントを、男性モニター3名(A:45歳、B:50歳、C:62歳)および女性モニター2名(D:52歳、E:60歳)の両方の眉毛に毎日1回(就寝前)の割合で適量を塗布してもらい、翌朝の洗顔時に水で洗い落とすという操作を60日間にわたって継続して繰り返してもらった。
その結果、男性モニターのうちの2名(モニターAとC)および女性モニター2名において、塗布開始前に比べて、眉毛の本数が増え、眉毛が太くなって、眉毛が濃くなった。
【0030】
《実施例2》[睫用のトリートメントの製造]
(1) 以下の表2に示す成分を表2に示す量で混合し、混合装置を用いて均一に分散乳化させて、加水分解卵殻膜(キューピー株式会社製「EMプロテイン」)および加水分解ケラチン(株式会社成和製「プロモイスWK−H」)を含有する無色透明な睫毛用のトリートメント(pH6.8)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたトリートメントを従来マスカラに用いられているのと同様のスクリュー方塗布ブラシを内蔵したトリートメント用容器に充填した。
【0031】
【表2】

【0032】
《試験例2》
(1) 上記の実施例2で得られた睫用のトリートメントを、女性モニター5名(F:25歳、G:27歳、H:33歳、I:47歳、J:50歳)の右目の睫毛に、毎日1回(午前中に塗布)の割合で適量を塗布してもらい、塗布した後14時間後に水で洗い落とすという操作を60日間にわたって継続して繰り返してもらった。
(2) 比較のために、上記の実施例2において、加水分解ケラチンを添加しなかった以外は、実施例2と同様にしてトリートメントを製造し、そのトリートメントを、上記(1)と同じ女性モニター5名の左目の睫毛に、毎日1回(午前中に塗布)の割合で適量を塗布してもらい、塗布した後14時間後に水で洗い落とすという操作を60日間にわたって継続して繰り返してもらった。
(3) 60日後に、良く洗顔して両目の睫毛に塗布したトリートメントを完全に落とした状態で、モニターの右目の上瞼と下瞼のまつげ、および左目の上瞼と下瞼のまつげを写真撮影した。前記写真に基づいて、右目の上瞼のほぼ中央部に位置する睫毛のうち最も長い睫毛の長さを測定し、同時に左目の上瞼のほぼ中央部に位置する睫毛のうち最も長い睫毛の長さを測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0033】
【表3】

【0034】
(4) 上記した表3の結果にみるように、加水分解卵殻膜と共に加水分解ケラチンを含有する本発明のトリートメントは、加水分解卵殻膜を含有するトリートメントに比べて、睫毛の成長を一層大きく促進した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の睫毛および/または眉毛用のトリートメントは、睫毛および眉毛にハリおよびコシを与え、継続して塗布したときに睫毛および眉毛自体の成長を促進させて、睫毛および眉毛そのものを長くしたり、太く(濃く)することができ、場合によっては睫毛および眉毛の数を増やすことができ、しかも安全性に優れているため、睫毛および/または眉毛用のトリートメントとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解卵殻膜および加水分解ケラチンを含有することを特徴とする、睫毛および/または眉毛用のトリートメント。
【請求項2】
トリートメントの全質量に基づいて、加水分解卵殻膜を0.01〜1質量%および加水分解ケラチンを0.01〜0.5質量%の割合で含有する請求項1に記載のトリートメント。

【公開番号】特開2007−238585(P2007−238585A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67380(P2006−67380)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(502451878)
【Fターム(参考)】