説明

瞼及び眉の着色のための化粧用製剤

【課題】特に皮膚の小皺及び小孔の中への流展が回避される前記欠点に関して改善された瞼及び眉の着色のための水性化粧用製剤を提案すること。
【解決手段】瞼及び眉の着色のための水性化粧用製剤であって、
ポリビニルピロリドン0.1重量%〜5重量%、
エタノール及びプロパノールの群から選ばれるアルコール4重量%〜25重量%、
保湿剤2重量%〜15重量%、
ポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリエーテル変性ポリシロキサン0.1重量%〜5重量%、
並びに着色剤を含有し、
かつ粘度50mPa・s未満(ブルックフィールド、25℃)を有する製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は瞼及び眉の着色のための化粧用製剤に関する。前記皮膚部位の着色は、従来、主に刷毛、ペンシル等を用いて塗布される比較的高粘度の製剤を用いて行われてきた。前記形式で正確に塗布することは非常に困難である。更に、所望の皮膚部位に均一な色塗布を施すために貯蔵容器から製剤を何度も取り出す必要がある。その際に製剤が塗布器具から滴下することはしばしば避けられない。そのため今日では、前記の取扱問題が広範囲に解決されている多重毛細管塗布装置が使用されている。毛細管塗布装置における問題点は、製剤を塗布装置の毛細管システムによってその貯蔵容器から送出できるようにするために、該製剤を比較的低い粘度にしなければならないことである。しかし、また該製剤は企図された目的に対して製剤に課された要件も満たさなければならない。即ち、該製剤は、眼の領域に充分な持続性を有し、化粧落とし時に容易に再び除去することができる可能な限り色のりのよい塗布を生じるべきである。これは製剤がその低い粘度のために容易に皮膚の中に侵入し、これが化粧落とし時の除去を困難にするので、低い粘度の製剤によっては非常に達成が困難な性質である。低い粘度の製剤は、小皺及び皮膚小孔の中に侵入し、その中で流展する傾向があり、その結果、ある程度滑らかな周縁を有する着色された皮膚領域の発生は困難である。むしろ、ほつれた外観像が生じる。技術的側面に関していえば、従って、毛細管塗布装置のための製剤の適用可能性は、粘度が低いだけではまだ不充分である。つまり、そのために製剤が塗布装置の非使用中に乾燥せず、それによって塗布要素、例えば、焼結体尖端部の毛細管機能が損なわれないことに配慮されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
上記から出発して本発明の課題は、特に皮膚の小皺及び小孔の中への流展が回避される、前記欠点に関して改善された瞼及び眉の着色のための化粧用製剤を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は以下の水性製剤によって解決される。この製剤はポリビニルピロリドン0.1重量%〜5重量%、エタノール及びプロパノールの群から選ばれるアルコール4重量%〜25重量%、保湿剤2重量%〜15重量%、ポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリエーテル変性ポリシロキサン0.1重量%〜5重量%、並びに着色剤を含有し、かつ粘度50mPa・s未満(ブルックフィールド、25℃)を有する。この粘度は、粘度計(ブルックフィールドLV DV−IIIウルトラ、毎分回転数=20.0、主軸=CPE−40、剪断速度=150/秒)を用いて20℃で算出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
この種の製剤は、問題なく毛細管塗布装置を用いて瞼又は眉に塗布することができ、小皺及び皮膚の小孔の中への製剤の流展が回避され、これは特にポリビニルピロリドンのお陰である。この製剤は、皮膚から問題になる程度の水分を奪うことなく、皮膚上で容易に乾燥する。他方、この製剤は塗布装置の毛細管塗布要素内で乾燥する傾向を殆ど示さず、これは特に保湿剤と上記アルコールの一つとの組合せによって生ぜしめられる。保湿剤の例としては、グリセリン、1,3−ブタンジオール及びプロピレングリコールが挙げられる。アルコールは、塗布装置の非使用中における製剤の乾燥を阻止する。場合によって生じ得る皮膚に対するアルコールの水分剥奪作用は、皮膚上で水分供給体の機能を有する保湿剤によって補償される。製剤中に含有される増粘物質にもかかわらず、特にビニルピロリドン及び例えば、着色剤としても添加される顔料にも毛細管塗布装置内での使用に充分な粘度値を保証するために、ポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル又はポリエーテル変性ポリシロキサンが添加されている。これらの物質は製剤の粘度上昇に逆作用し、前記物質の混合が特に効果的である。それにも拘らず、この製剤が小皺及び皮膚小孔で殆ど流展しない傾向を有することは驚くべきことであって、これは前記物質の混合物の添加の場合に特別な程度に生じ、好ましくは個々の物質又は物質混合物を基準に0.2重量%〜5重量%の濃度範囲で処理される。
【0005】
それぞれ所望の着色度に応じて着色剤の割合は0.1重量%〜15重量%になり、好ましくは顔料が使用される。該顔料は易溶性着色剤と比較して一般により強い着色を生じる。毛細管システムへの使用は、粒子サイズ分布90%累積値相当粒径D90%<10μmの顔料の粒子サイズ分布が順守されるとき、問題なく可能である。製剤の含水量は35重量%〜85重量%になる。
【0006】
添加剤、例えば、手入れ剤−アロエ ヴェラ、カミラ シネンシス、トコフェロール又はパンテノール−及び保存剤は、好ましくは合計最大5重量%に制限されている。
【0007】
実施例1:
眉の着色用の低粘度液
脱イオン水4) 70.1重量%
エタノール 20.0重量%
グリセリン 5.0重量%
PVP K 151) 2.0重量%
ポリエーテル変性ポリシロキサン2) 2.0重量%
着色剤
C.I.16035(赤色色素) 0.6重量%
C.I.42090(青色色素) 0.1重量%
C.I.19140(黄色色素) 0.2重量%
【0008】
ペンシル尖端を有する毛細管システムに対して粘度約3.0mPa・sを有する褐色の液体が得られる。
【0009】
実施例2:
脱イオン水 68.4重量%
1,3−ブタンジオール 12.0重量%
エタノール 8.0重量%
PVP K 151) 3.0重量%
ポリオキシエチレン−グリセリン−ステアリン酸エステル3) 0.5重量%
(CAS68553−11−7)
C.I.42090(青色色素) 7.8重量%
カメリア シネンシス葉抽出物 0.1重量%
メチルパラベン 0.2重量%
【0010】
得られた青色のアイライン溶液は可撓性の焼結体尖端部を有する毛細管塗布装置に使用することができ、約4mPa・s(25℃、ブルックフィールド)の粘度を有する。
【0011】
実施例3:
黒色顔料を有する瞼の着色用の黒色液体
脱イオン水 65.0重量%
ポリオキシエチレン−グリセリン−ステアリン酸エステル3)
(CAS 68553−11−7) 1.0重量%
ポリエーテル変性ポリシロキサン2) 0.5重量%
PVP K 301) 0.5重量%
プロピレングリコール 10.0重量%
エタノール 8.0重量%
C.I.77266(無機黒色顔料) 15.0重量%
【0012】
粘度約10mPa・s(ブルックフィールド、25℃)を有する黒色アイライン液が得られた。
【0013】
実施例に関するその他の詳細:
1)例えば、名称PVP K15又はPVP K30のもとにISP社、50996ケルンから入手できる。
2)例えば、商品名アビルB8851のもとにゴールドシュミット社、45127エッセンから入手できる。
3)名称PEG−30−グリセリルステアリン酸塩のもとでも知られている。例えば、商品名タガトSのもとにゴールドシュミット社、45117エッセンから入手できる。
4)dem.=鉱物質除去(demineralisiert)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞼及び眉の着色のための水性化粧用製剤であって、
ポリビニルピロリドン0.1重量%〜5重量%、
エタノール及びプロパノールの群から選ばれるアルコール4重量%〜25重量%、
保湿剤2重量%〜15重量%、
ポリオキシエチレン−グリセリン脂肪酸エステル及び/又はポリエーテル変性ポリシロキサン0.1重量%〜5重量%、
並びに着色剤を含有し、
かつ粘度50mPa・s未満(ブルックフィールド、25℃)を有する製剤。
【請求項2】
着色剤の割合が0.1重量%〜15重量%であることを特徴とする請求項1記載の製剤。
【請求項3】
着色剤として粒子サイズ分布90%累積値相当粒径D90%<10μmを有する顔料を含有していることを特徴とする請求項2記載の製剤。
【請求項4】
添加剤を最大5重量%含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の製剤。
【請求項5】
水を35重量%〜85重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の製剤。

【公開番号】特開2008−101001(P2008−101001A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271120(P2007−271120)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(504314306)ファーバー‐カステル アクチエンゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】