説明

矩形布片の短辺出し装置

【課題】 ランドリー工場で洗濯・乾燥後の矩形布片を自動で展開させる際に、布片の短辺を確実に且つ安定姿勢で現出させるようにする。
【解決手段】 丸めた状態で搬送されてくる矩形布片Yを自動で方形状に展開させる展開装置に使用される矩形布片の短辺出し装置であって、1つの布片角端Ycを保持して布片Yを吊下げ状態で支持する角端吊持装置5と、角端吊持装置5から吊下げられた布片Yの下端角端Ydを挟持する下端挟持装置61と、角端吊持装置5と下端挟持装置61とで保持された布片Yの下部寄り位置にエアを吹き付けて布片下部側を略三角形状に展張させるブロワ65と、ブロワ65によって展張された布片下部側の短辺Yaを略水平姿勢にする姿勢変更装置52,54と、下部側短辺Ycを略水平で直線状に展張させた状態で布片下部側を吸着させる吸着ボックス66とを備えていることにより、布片の短辺を確実に且つ安定姿勢で現出させ得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ランドリー工場等において、洗濯・乾燥後の丸まった状態の矩形布片をきれいに展開させる際の矩形布片の短辺出し装置に関し、特にフェイスタオルやバスタオル等の比較的小面積の矩形布片を対象にした短辺出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランドリー工場では、入荷したフェイスタオルやバスタオル(以下、矩形布片という)は、洗濯・乾燥後にきれいに折畳んで出荷されるが、洗濯・乾燥後の矩形布片は、丸まった状態で乾燥機から取出される。
【0003】
そして、従来では、一般に、山積み状態の矩形布片群から丸まった状態の矩形布片を1枚ずつ取り分け、その矩形布片から作業員が手作業で1つの短辺側側縁を捜し出して伸展させ、その伸展させた短辺側側縁を折畳み装置の投入コンベア上に載せた後、該矩形布片の後行側を短辺方向に広げて整形しながら折畳み装置側に送り込ませている。
【0004】
ところで、ランドリー工場では、1日に大量の矩形布片を展開処理をしなければならないが、上記のように手作業による展開方法では、矩形布片の展開作業が面倒であるとともに、1枚当たりの処理時間が長くなって作業能率が悪かった。
【0005】
このような手作業による矩形布片展開方法の問題点を改善するために、本出願人の関連会社から特開2002−113300号公報に示される矩形布片の展開装置が提案されている。この公知例の矩形布片展開装置は、図22に示すように、供給コンベア201で洗濯・乾燥後の矩形布片を丸めた状態で所定位置まで順次供給し、その所定位置に供給された布片を吊上げ装置202で所定高さまで吊上げ、その吊上げた布片を仮保持装置203で受け取って仮保持し、仮保持装置203で吊下げている布片の任意の箇所を保持して該布片を台板243上で水平方向に引き摺って、該布片の終端である布片角端を現出させ(角端出し装置204で行われる)、角端取り装置205で台板243上に現出させた布片角端付近を保持して布片を垂れ下げ支持し(後述の図23)、角端取り装置205で垂れ下げ支持している布片を横引き装置206で水平方向に横たわらせ(後述の図24)、横たわった状態の布片長辺側の角端付近とそこから適宜距離だけ離間する箇所の2位置を2位置保持装置207で同高さに保持し(後述の図25)、該2位置保持装置207で保持した布片を縁出しコンベア208に載せて布片長辺側の一方の側縁を現出させ(後述の図25、図26)、載せ掛け装置210により縁出しコンベア208上で縁出しされた布片長辺部の2位置を保持して該布片をローラ209上を引き摺りながら該ローラ209上に載せ掛け、吊下げ装置211でローラ209上に載せ掛けた布片の一方の短辺側端縁の2箇所を保持して該布片を展開状態で吊下げ、吊下げ装置211に吊下げられた展開状態の布片を進退装置212により搬送コンベア214上に移乗させ得るように構成されている。尚、この図22の矩形布片展開装置の詳細は、特開2002−113300号公報に記載されている。
【0006】
ところで、この図22の矩形布片展開装置による布片展開工程においては、布片をローラ209上に載せ掛ける前に布片の一辺(この公知例の展開装置では布片長辺)を現出させることが必要であるが、この布片の縁(長辺)出しは図23〜図26に示すようにして行われる。
【0007】
まず、図23に示すように、角端取り装置205のチャック251で1つの布片角端Ycを保持して布片Yを垂れ下げ支持し、その布片角端Yc付近を横引き装置206のチャック261で保持する(図23の符号261′)。次に、図24に示すように、布片角端Ycを保持しているチャック261を後退させて布片Yを台板253とチャック261との間で水平方向に横たわらせ、その横たわった状態の布片Yの角端Yc付近とそこから適宜距離だけ離間する箇所の2位置を2位置保持装置207の2つのチャック271,272で同高さに保持する(図24の符号271′,272′)。次に、図25に示すように、2位置保持装置207の各チャック271,272で保持した布片Yを縁出しコンベア208に載せて布片長辺側の一方の側縁を符号Ybの状態からYb′のように現出させる。その後、各チャック271,272を開放させると、図26に示すように、布片Yが縁出しコンベア208上に落とされるとともに布片の先行側長辺Ybが縁出しされた状態で縁出しコンベア終端部に設置している載せ台282上に現出するようになっている。尚、この縁出しされた布片長辺Ybは、載せ掛け装置210の2つのチャックで保持されて、ローラ209上に載せ掛けられる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−113300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図22〜図26に示す公知の矩形布片展開装置では、図26に示すように縁出しコンベア208の終端部の載せ台282上に布片Yの一辺(長辺)Ybを縁出しするまでの工程において、図24に示すように布片Yを台板253と横引き装置206のチャック261との間に横引きしている布片Yの2位置を2位置保持装置207の2つのチャック271,272で同高さに保持するようにしているが、台板253側の布片一端部は該台板253上に単に載せているだけなので、該布片Yの上縁部分Yeの中間部が下方に撓むことがある。その場合、布片上縁部分Yeにおける、2つのチャック271,272で掴持する部分の高さに高差が生じることがある。
【0010】
そして、布片Yの上縁部分Yeにおける両チャック271,272の掴持部分に高差が生じると、両チャック271,272が下動して(符号271′272)布片上縁部分Yeを掴持するときに、該両チャックがそれぞれ布片上縁部分Yeを掴持できないことがあり、その場合は以後の工程がうまく行えない。即ち、図25、図26に示すように、布片長辺Ybの縁出しが行えず、布片Yの展張作業が失敗するという問題があった。
【0011】
このように、矩形布片を丸めた状態から自動で方形状に展開させるようにした矩形布片展開装置において、一連の布片展開工程の中で布片Yの1つ側縁(長辺又は短辺)を現出させる処理は重要であり、展開の失敗を極力少なくするためには、どのようにして布片側縁を現出させるかが大きな課題となっている。
【0012】
そこで、本願発明は、丸めた状態の矩形布片を自動で方形状に展開させ得るようにした矩形布片展開装置において、矩形布片の1つの側縁(短辺)を確実に現出させ得るようにした矩形布片の短辺出し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0014】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、丸めた状態で搬送されてくる矩形布片を自動で方形状に展開させる展開装置に使用される矩形布片の短辺出し装置を対象にしている。
【0015】
尚、矩形布片の展開装置としては、例えば上記特開2002−113300号公報に示されるものがあるが、矩形布片を丸めた状態から自動で方形状に展開させるには、次のようにして行われる。
【0016】
まず、丸めた状態で搬送されてくる矩形布片の任意の箇所を保持して所定高さまで吊上げ、その吊上げた布片の下端(1つの角端となる)を手掛かりにして布片の一辺(短辺)の側縁を現出させ、その一辺の側縁を引き摺り、以後の所定の工程を経ることにより、矩形布片を自動で方形状に展開させる。
【0017】
そして、本願請求項1の短辺出し装置は、一連の展開工程において矩形布片の1つ短辺を現出させるためのものである。
【0018】
本願請求項1の短辺出し装置は、1つの布片角端を保持して布片を吊下げ状態で支持する角端吊持装置と、該角端吊持装置から吊下げられた布片の下端角端を挟持する下端挟持装置と、角端吊持装置と下端挟持装置とで保持された布片の下部寄り位置にエアを吹き付けて布片下部側を略三角形状に展張させるブロワと、該ブロワによって展張された布片下部側の短辺を略水平姿勢にする姿勢変更装置と、下部側短辺を略水平で直線状に展張させた状態で布片下部側を吸着させる吸着ボックスとを備えている。
【0019】
上記角端吊持装置には、布片角端を保持するチャックを有し、該チャックで1つの布片角端を保持した状態で布片を垂れ下げ支持し得る。尚、垂れ下げ支持された布片の下端には、上記チャックで保持された1つの布片角端の対角角端が位置するようになる。
【0020】
角端吊持装置で垂れ下げ支持された布片の下端は、下端挟持装置で挟持されるが、該下端挟持装置で布片下端を挟持した状態では、角端吊持装置と下端挟持装置とで布片の上下2つの対角角端が保持されている。
【0021】
上記ブロワは、角端吊持装置と下端挟持装置とで保持された上下向き姿勢の布片に対して、その下部寄り位置に略水平方向からエアを吹き付けることにより、布片下部の自由状態にある(保持されていない)角端側をはためかして、布片下部側を略三角形状に展張させるものである。尚、布片下部側が略三角形状に展張された状態では、布片の下部側短辺が傾斜している。
【0022】
上記姿勢変更装置は、傾斜状態にある布片の下部側短辺を略水平姿勢に変更するためのもので、例えば角端吊持装置による布片上端吊持部を下端挟持装置による布片下端挟持部を中心にして弧回動させることにより、布片の下部側短辺を略水平姿勢に変更できる。
【0023】
上記吸着ボックスは、布片下部側を展張状態で吸着させるものであり、該吸着ボックスの布片吸着面には小孔からなる多数の吸気穴が形成されている。そして、吸着ボックス内をバキュームファンで吸引することにより、多数の吸気穴部分で布片下部側を展張状態で吸着させ得るようになっている。
【0024】
このように、吸着ボックスの吸着面に布片下部側が吸着された状態では、布片の下部側短辺が略水平で直線状に展張された状態で保持されており、そのことがこの短辺出し装置による布片短辺出し状態となる。
【0025】
本願請求項1の短辺出し装置では、上記のように最終的に布片下部側を吸着ボックスの吸着面に吸着・保持させることができるので、その下部側短辺が安定姿勢で現出している。そして、吸着ボックスの吸着面で短辺出しされた布片の下部側短辺は、次の工程となる短辺取り装置のチャックで受け取られるが、該下部側短辺が安定姿勢で現出しているので、その下部側短辺の受け取りが確実に行える。
【0026】
尚、本願発明の短辺出し装置が使用される矩形布片展開装置には、該短辺出し装置より前工程に、多数の布片を順次丸めた状態で所定位置まで搬送させる供給コンベアと、該供給コンベアの所定位置で待機している布片を吊上げる吊上げ装置と、吊上げた布片の下端部(1つの布片角端)を現出させる角端出し装置と、その1つの布片角端を受け取る角端取り装置とがそれぞれ設けられ、該角端取り装置から1つの布片角端を角端吊持装置で受け取って該布片を垂れ下げ支持する。他方、上記のように本願の短辺出し装置で短辺出しされた布片は、該布片の短辺を短辺取り装置で受け取った後、順次以後の工程を経て方形状に展開される。
【0027】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の矩形布片の短辺出し装置において、吸着ボックスに吸着させた布片下部側の短辺部分の間隔をもった2箇所を吸着ボックスの吸着面に対して開閉自在に押える2つの押え板を有している。
【0028】
各押え板は、例えばシリンダによって、吸着ボックスの吸着面を開放する開位置と該吸着面に接合する閉位置との間で変位させ得るようになっている。そして、布片下部側が吸着ボックス吸着面の前面に対面する前は、各押え板が上記開位置にあって布片下部側が吸着ボックス吸着面の前面で展張可能になっており、該布片下部側が吸着ボックス吸着面に吸着された後に、各押え板が吸着ボックス吸着面に接合する閉位置まで変位するようになっている。
【0029】
この請求項2の短辺出し装置では、上記請求項1のように布片下部側を吸着ボックスの吸着面に吸着させた後に、各押え板で布片下部側の短辺部分の間隔をもった2箇所を押えることができ、布片下部側の短辺部分を一層確実に保持できる。尚、次の工程となる短辺取り工程では、各押え板で布片短辺部分の間隔をもった2箇所を押えた状態で、該両押え板の間の短辺部分を短辺取り装置のチャックで受け取るようになっているが、各押え板で布片短辺部分を押えていると、短辺取り装置のチャックで布片短辺を掴持するときに該布片短辺が動かない。
【発明の効果】
【0030】
本願請求項1の矩形布片の短辺出し装置では、1つの布片短辺を現出させるのに、上記のように角端吊持装置と下端挟持装置とで布片の上下各端部(上下の各対角角端)を保持した状態で、ブロワにより下部側短辺を現出させ、姿勢変更装置により下部側短辺を略水平姿勢にし、吸着ボックスで布片の下部側短辺を略水平で直線状に展張させた状態で吸着させ得るようになっているので、布片の下部側短辺を確実に且つ安定姿勢で現出させることができるという効果がある。尚、このように布片の下部側短辺を確実に且つ安定姿勢で現出させることができると、次の工程となる短辺取り工程において布片短辺を確実に受け取ることができ、以後の工程において矩形布片の展開作業を正常に行える。
【0031】
又、本願請求項2の矩形布片の短辺出し装置では、吸着ボックスの吸着面に布片下部側を吸着させた後、該布片下部側の短辺部分の2箇所を各押え板で押えることができるので、布片の下部側短辺を一層安定姿勢で保持することができる(短辺取り装置のチャックで布片短辺を掴持する作業が確実に行える)という効果がある。
【実施例】
【0032】
図1〜図21を参照して本願実施例の矩形布片の短辺出し装置を説明する。尚、図1には本願実施例の短辺出し装置を採用した矩形布片展開装置の全体図を示し、図2〜図21には図1の矩形布片展開装置の個別装置部分を示している。又、以下の説明で、前、後、左、右の各方向は、図1の状態での各方向を示すものである。
【0033】
図1の矩形布片展開装置は、
洗濯・乾燥後の矩形布片Yを順次処理すべき所定位置まで供給するための供給コンベア1と(図2)、
供給コンベア1で所定位置に供給された布片Yの任意の位置を保持して所定高さまで吊上げる吊上げ装置2と(図2)、
吊上げ装置2で吊上げた布片Yの下端に位置する1つの布片角端Ycを現出させる角端出し装置3と(図2〜図8)、
角端出し装置3で現出させた布片角端Ycを受け取る角端取り装置4と(図9)、
角端取り装置4で垂れ下げ支持している布片Yの上端寄り付近を受け取って吊持する角端吊持装置5と(図10〜図13)、
角端吊持装置5で吊持されている布片Yの下端側短辺Yaを現出させる短辺出し装置6と(図11〜図14)、
短辺出し装置6で現出させた布片短辺Yaを受け取る短辺取り装置8と(図14〜図18)、
短辺取り装置8で保持している布片短辺Yaを受け取って横引きすることで布片Yの長辺Ybを現出させる長辺出し装置9と(図18〜図19)、
長辺出し装置9で現出させた布片長辺Ybを受け取って後述の姿勢補正装置11のベルト上に横引きしながら載せ掛ける載せ掛け装置10と(図19〜図20)、
載せ掛け装置10で布片Yを載せ掛けて該布片Yを正常姿勢に整える姿勢補正装置11と(図19〜図21)、
姿勢補正装置11で正常姿勢に整えた展開布片Yを搬出コンベア13上に移乗させる受渡し装置12(図19〜図21)、
とを有して構成されている。尚、これらの各装置は、図示しないフレーム枠(機枠)内に設置されている。
【0034】
供給コンベア1(図1及び図2)は、幅方向に分割した2条の分割ベルト1a,1bを小間隔の空所1cを隔てて左右2本の共通軸に巻き掛けたもので、モータ18で左から右に走行するようになっている。両分割ベルト間の空所1cの終端寄り位置には検出器(光電管)19が設けられている。そして、図2に示すように、供給コンベア1の始端部上に載せられた布片Yが終端寄り位置の検出器19で検出される位置(図2に符号Y′で示す鎖線図示位置)まで搬送されたときに、該検出器19からの信号でモータ18を停止させる(供給コンベア1が停止する)ようになっている。従って、供給コンベア1上に供給される各布片Yは、順次供給コンベア1の終端寄りの所定位置(停止位置)まで搬送されてそこで待機するようになっている。
【0035】
吊上げ装置2(図1、図2)は、布片Yの任意箇所を保持するチャック21と該チャック21を昇降させる昇降装置(この実施例ではシリンダ)22とを有している。又、この吊上げ装置2は、モータ23と索(タイミングベルト)24からなる左右動装置により、供給コンベア1上の布片停止位置の直上方位置と角端出し装置3の両ローラ31,32(後述する)の直上方位置(符号2′の位置)との間で左右に移動せしめられる。
【0036】
角端出し装置3(図2〜図8)は、布片Yの上下中間位置を挟持して該布片Yを上方に繰り上げる作用をする一対のローラ31,32を有している。この各ローラ31,32は、左右向きで前後に並置している。又、この各ローラ31,32は、一方のローラ31が基準側取付台33の下部寄り位置に支持され、他方のローラ32が揺動側取付台34の下部寄り位置に支持されている。
【0037】
揺動側取付台34の下部側(ローラ32の支持側)は基準側取付台33に対してシリンダ38により離間方向(図2の状態)に揺動せしめ得るようになっており、該揺動側取付台34が離間方向に揺動した状態では、その揺動側取付台34に支持されているローラ32が図2及び図5に符号32′で示すように基準側取付台33のローラ31に対して離間するようになっている。
【0038】
各ローラ31,32は、モータ35によりプーリ・ベルト・ギヤ等からなる動力伝達機構36によって、両ローラ間に挟持される布片Yを上方に繰り上げる方向(図6の矢印方向)に回転される。
【0039】
両ローラ31,32が接合した状態(図5〜図7)では、その接合部の上下にクサビ形の空間部ができる。そして、両ローラ31,32間の基部側位置には、該接合部の下面側直近位置をローラ長さ方向に監視する検出器(光電管)37が設置されている。この検出器37は、両ローラ31,32の接合部の下面側直近位置に布片Yが存在するか否かを検出するものである。尚、この検出器37は、基準側取付台33の右側外側面に取付けられている。
【0040】
このように、検出器37を、両ローラ31,32の接合部の下面側直近位置を監視するように設置すると、後述するように布片下端Ycが両ローラ接合部に近接したことを検出できる。
【0041】
両ローラ31,32(及び各取付台33,34)は、反転装置(この実施例ではモータを使用)39により上下裏返しに反転させ得るようにしている。即ち、両ローラ31,32(及び各取付台33,34)を反転装置(モータ)39により、図5に実線図示する状態から鎖線図示する状態までの角度180°の範囲で弧回動させ得るようになっている。尚、両ローラの反転中心は、両ローラの接合部の延長線上に位置させている。
【0042】
この角端出し装置3は、次のように機能する。まず、図2に示すように、吊上げ装置2が布片Yを吊上げて該吊上げ装置2が両ローラ31,32の直上方(符号2′の位置)に移動してくる前は、一方のローラ32が符号32′のように他方のローラ31から離間した位置で待機している。尚、吊上げ装置2のチャック21は、供給コンベア1上にある丸めた状態の布片Yの任意の箇所を掴持して吊上げるが、吊上げられた布片Yの下端Ycには、多くの場合、1つの布片角端が位置するようになる。
【0043】
そして、布片Yを吊上げた吊上げ装置2が鎖線図示する位置(符号2′の位置)まで移動するときに、吊上げ布片Yの下部側が両ローラ31,32′間の間隔内に進入し、その後にローラ32′が閉動作して両ローラ31,32で吊上げ布片Yの上下中間位置を両側から挟持する。その後、吊上げ装置2のチャック21′が開放して、図3に示すように布片Yの上下中間部が両ローラ31,32で挟持された状態で布片上半部がローラ31,32に載置される。このとき、図6に示すように、布片Yにおける両ローラ31,32で挟持されている部分(両ローラ接合部)より下方部分は垂れ下げられていて、検出器37が布片の存在を検出している(ON状態である)。尚、布片垂れ下げ部分の下端Ycには、多くの場合、1つの布片角端が位置している。
【0044】
次に、モータ35が布片繰り上げ側に作動して両ローラ31,32を図6の矢印方向に回転させ、布片垂れ下げ部分を上方に繰り上げていく。そして、図7に示すように、布片垂れ下げ部の下端Ycが検出器37の監視位置より上方まで繰り上げられると、該検出器37が布片非検出状態(OFF)となり、直ちにモータ35を停止する信号が発せられる。尚、検出器37が布片検出状態(ON)から布片非検出状態(OFF)になったときが、特許請求範囲中の両ローラ接合部の下面側直近位置に布片角端Ycが位置したことを検出したときである。
【0045】
この図7の状態では、両ローラ31,32の接合部に布片垂れ下げ部分の下端(1つの布片角端)Ycの直近位置が位置している。
【0046】
次に、図7の状態から、反転装置(モータ)39により、両ローラ31,32(及び両取付台33,34)が上下裏返しに反転され、図8に示すように両ローラ31,32の接合部で1つの布片角端Ycを挟持した状態で布片全体を棒状に垂れ下げる。
【0047】
図8に示すように、両ローラ31,32の接合部から垂れ下げられた布片Yは、角端取り装置4に受け取られるが、この角端取り装置4は、図1及び図9に示すように、チャック41と、該チャック41を左右に進退させる左右動用シリンダ42と、該左右動用シリンダ42とともにチャック41を前後動させる前後動用シリンダ43とを有している。チャック41は、図6〜図8に示すように両ローラ接合部の下面側近傍高さ位置で左右及び前後に移動せしめられる。
【0048】
そして、この角端取り装置4は、チャック41が図1に示す後側待機位置(後述する角端吊持装置5のチャック51の直下位置)にある状態から、前後動用シリンダ43が伸長して該チャックを前側待機位置まで移動させ(図6〜図8の状態、及び図9の実線図示状態となる)、布片Yが図8の状態及び図9の実線図示状態に垂れ下げられたときに左右動用シリンダ42が縮小してチャック41で垂れ下げ布片Yの上端近傍位置を掴持して該チャックを図9の符号41Aの位置まで移動させ、次に前後動用シリンダ43が縮小してチャックを符号41Bの位置まで移動させ、続いて左右動用シリンダ42が伸長してチャックを符号41Cの位置まで移動させる(この符号41Cのチャック位置が布片受け渡し位置となる)。尚、その間に布片は、符号Yの位置から、チャック41に吊持された状態で、Y1の位置、Y2の位置を経て、Y3の位置まで移動する。
【0049】
角端取り装置4のチャック41で受け取った布片Yは、図10に示すように、チャック41で掴持した部分の上に若干高さだけ突出しているが、この突出部(符号Yc部分)は布片Yの1つの角端Ycである。
【0050】
角端取り装置4のチャック41で保持された布片Yは、角端吊持装置5で受け取られる。この角端吊持装置5は、図1及び図10に示すように、チャック51と、該チャック51を前後動させる第1の前後動用シリンダ52と、該第1の前後動用シリンダ52ごとチャック51を前後動させる第2の前後動用シリンダ53と、それらの全体(51,52,53)を上下動させる上下動装置(モータ54及び索55)とを有している。尚、角端吊持装置5は、後述の短辺出し装置6の一部として機能するものである。
【0051】
この角端吊持装置5のチャック51は、図10に示すように、受け渡し位置にある角端取り装置4のチャック41の直上方で待機している。そして、角端取り装置4のチャック41が布片Yを保持して受け渡し位置まで移動してきたときに、モータ54が下動側に作動して角端吊持装置5のチャック51を角端取り装置側チャック41に近接する位置(符号51′の位置)まで降下させ、そこで該角端吊持装置側チャック51で布片Yの上端部(1つの布片角端Yc)を角端取り装置側チャック41から受け取るようになっている。そして、角端吊持装置側チャック51で布片上端部(1つの布片角端Yc)を受け取った後、モータ54が上動側に作動して布片Yを図11に示す高さまで吊上げる。この角端吊持装置5のチャック51で布片Yを吊上げた状態(図11)では、1つの布片角端Ycが該チャック51で掴持されている一方、その掴持角端Ycの対角位置にある1つの布片角端Ydが吊上げ布片Yの最下端に位置するようになる。
【0052】
角端吊持装置5で吊上げられた布片Yは、図11〜図14に示すように短辺出し装置6によって布片下部側の短辺Ya(図13、図14)が現出される。この短辺出し装置6は、角端吊持装置5のチャック51から垂れ下げられた布片Yの下端(対角角端Ydとなる)を挟持する下端挟持装置61と、チャック51と下端挟持装置61とで布片Yの2つの対角角端Yc,Ydを保持した状態で布片Yの下端側短辺を広げる作用をするブロワ65と、該ブロワ65によって展張された布片下部側の短辺Yaを略水平姿勢に変更する姿勢変更装置(この姿勢変更装置は、この実施例では角端吊持装置5のシリンダ52とモータ54とで担当している)と、吊下げ布片Yの下部側部分を広げた状態で吸着させる吸着ボックス66と、該吸着ボックス66に吸着させた布片Yの下部側部分を押える2つの押え板70,70とを有している。
【0053】
下端挟持装置61は、図11〜図13に示すように、それぞれシリンダ62,62で一対の挟持片63,63を近接・離間方向に進退操作させるようにしたものである。この下端挟持装置61は、角端吊持装置5による布片受取り位置(図11のチャック51の位置の直下)よりやや後側において、各挟持片63,63が左右各側から近接・離間するように設置されている。尚、角端吊持装置5のチャック51で吊下げている布片Yは、角端吊持装置5の前後動用シリンダ53を伸長させることによって、両挟持片63,63間の直上方に位置させることができる。
【0054】
下端挟持装置61の各挟持片63,63には、図12に示すように両挟持片63,63間に布片Yが存在するか否かを検出する一対(発光側と受光側)の検出器(光電管)64,64が設けられている。この検出器64,64は、吊上げられていく布片Yの最下端(対角角端)Ydを検出するものである。尚、吊上げた布片Yの最下端Ydの位置は、前後方向に若干バラツキがあるので、この実施例では左右一対の検出器64,64を前後方向に小間隔をもって3組設置して、該3組の検出器64,64が全てONになった時点で、布片Yの下端(1つの対角角端)Ydが挟持片63,63の挟持部高さに位置したと判断するようにしている。
【0055】
そして、この各検出器64,64から布片下端検出信号が発せられると、角端吊持装置5のモータ54を停止させ、下端挟持装置61の各シリンダ62,62を伸長させて、図12に鎖線図示するように布片下端部(対角角端)Yd′を両挟持片63,63で挟持するようになっている。
【0056】
ブロワ65は、図13に示すように布片Yの上下対角角端Yc,Ydをそれぞれ角端吊持装置5のチャック51と下端挟持装置61(両挟持片63,63)で保持した状態で、その布片Yの下部寄り位置に向けてエアAを吹き付けることで該布片下部寄り部分をはためかせて、チャック51と挟持片63,63間で保持している布片Yを図13の符号Y′のように略三角形状に展張させるようになっている。このとき、略三角形状に展張した布片Y′の下部側短辺Yaがほぼ直線状に展張される。
【0057】
又、上記のように略三角形状に展張させた布片Y′(図13)は、その上端Ycを保持するチャック51を姿勢変更装置(シリンダ52とモータ54)により布片下端Ydの挟持部(両挟持片63,63による挟持部)を中心にして後方且つ下方に移動させると、チャック51′による布片上端保持部と両挟持片63,63による布片下端保持部とで保持されている布片が符号Y″(図13)で示す姿勢になり、そのとき布片Y″の下部側短辺が符号Ya′で示すように略水平になる。尚、角端吊持装置5のチャックを符号51の位置から符号51′の位置に移動させるには、モータ54を下動側に作動させるとともに第1のシリンダ52を縮小させることで行える。
【0058】
吸着ボックス66は、その右側面が上記略三角形状に展張される布片Y″の左側に近接するように設置されている。この吸着ボックス66の右側面には、そのほぼ全面に小孔からなる多数の吸気穴67,67・・が形成されており、吸着ボックス66内をバキュームファン69で吸引することによりボックス右側面(吸気穴67形成面)に布片の下部寄り展張部分を吸着させ得るようになっている。
【0059】
吸着ボックス66の下面部には、前後中央部からやや前側に寄った位置に、上方に向けて凹入する適宜容積の凹部68が形成されている。この凹部68は、後述する(図15)ように短辺取り装置8の2つのチャック81,82を下方から進入させるためのものである。
【0060】
又、吸着ボックス66の右側面(吸気穴形成面)下端部には、凹部68を挟んでその両側に布片Y″(図13)の下辺部分を押える2つの押え板70,70が設けられている。この各押え板70,70は、それぞれシリンダ71,71によって水平向き姿勢(図11、図13)と吸着ボックス右側面に接合する上向きで姿勢(図14)との間で上下に揺動させ得るようになっている。
【0061】
この各押え板70,70は、通常は水平姿勢(開位置となる)に開放されているが、布片が図13の符号Y″で示す姿勢(下端短辺Ya′が水平)で吸着ボックス66の右側面に吸着された後、図14に示すようにそれぞれシリンダ71,71で立ち起こされて(閉位置となる)、該各押え板70,70で布片の下辺部を前後に間隔をもった2位置で押えることができるようになっている。そして、図14に示すように、両押え板70,70で布片Yの下辺部を押えた状態では、凹部68部分に布片の下部側短辺Yaが直線状態で保持されるようになる。尚、両押え板70,70で布片下辺部を押えた後、角端吊持装置5のチャック51が開放して、布片の上部側が吸着ボックス66の上部に載せられる。
【0062】
吸着ボックス66は、シリンダ72によって図14の実線図示位置と鎖線図示位置(符号66′の位置)の間で左右に進退せしめられる。尚、符号73は、吸着ボックス66のレールである。
【0063】
短辺取り装置8は、図14及び図15に示すように、吸着ボックス右側面の凹部68部分で展張している布片下辺部(下部側短辺Ya)を受け取るものである。そして、この短辺取り装置8は、図14〜図17に示すように、固定側と可動側の2つのチャック81,82と、可動側チャック82を固定側チャック81に近接・離間させるシリンダ83と、両チャック81,82を上向きと横向き(左向き)に変更させる姿勢変更装置(シリンダ)85と、それら(81,82,83,85)を上下動させる上下動装置(モータ86及び索87)とを有している。
【0064】
短辺取り装置8の可動側チャック82は、図16に示すように、シリンダ83を伸長させると固定側チャック81に近接し、シリンダ83を縮小させると鎖線図示(符号82′)するように固定側チャック81から適宜距離(例えば10〜15cm程度)だけ離間するようになっている。又、可動側チャック82による布片掴持力は、比較的ゆるいものであり、該可動側チャック82で布片を掴持した状態で固定側チャック81から離間方向に移動したときに、可動側チャック82の掴持部分が布片に対して摺動するようになっている。
【0065】
各チャック81,82及びシリンダ83は、取付台84に対して軸棒を中心に回転可能に取付けられており、シリンダ83で軸棒を回転させることにより、各チャック81,82を図14〜図16に示す上向き姿勢と図17及び図18に示す横向き(左向き)姿勢との角度90°の範囲で変位させ得るようになっている。
【0066】
この短辺取り装置8は、次のように作動する。まず、布片短辺受け取り前は、図14に示すように各チャック81,82が近接状態で且つ上向き姿勢で、右移動した位置での吸着ボックス66′(図14の鎖線図示位置)の右側面で展張されている布片下辺部Yaの直下位置で待機している。そして、ボックス右側面で布片Yの下部側が展張・保持された吸着ボックス66が右移動した後(図14に鎖線図示する符号66′の状態)、図15に示すように短辺取り装置8のモータ86が上動側に作動して、両チャック81,82により凹部68部分で展張している布片下辺部(布片短辺Ya)を掴持する。このとき、固定側チャック81は、布片短辺Yaの後側角端側に寄った位置を掴持している。その後、吸着ボックス66側の両押え板70,70が符号70′,70′で示すように水平姿勢まで開放し、続いて吸着ボックス66が図15に鎖線図示する元の位置まで後退する。この状態では、図16に示すように2つのチャック81,82が近接した状態で布片Yの短辺Yaを比較的狭い範囲で掴持している。続いて、シリンダ83が縮小して可動側チャック82を鎖線図示(符号82′)する位置まで後退させ、そのとき可動側チャック82の掴持部分が布片に摺動して、布片短辺を符号Ya′で示すように所定長さだけ直線状に展張させるようになる。
【0067】
ところで、図16に示すように両チャック81,82が上向き状態では、布片Yの大部分が下方に垂れ下がっていて、両チャック81,82′間で保持している布片短辺Ya′が下向きになっている。従って、該布片短辺Ya′を後述の長辺出し装置9のチャック91で掴持することが困難となる。
【0068】
そして、姿勢変更装置(シリンダ)85により、上向き姿勢にある両チャック81,82′(図16の状態)を図17に示すように横向き(左向き)姿勢に変更する。この図17の状態では、布片短辺Yaは各チャック81,82による掴持深さ部分で若干横向きになっているが、該短辺Ya部分は概ね上向きになっていて、該短辺Ya部分を後述する長辺出し装置9のチャック91で上方から受け取り得るようになる。
【0069】
長辺出し装置9は、図17〜図18に示すように、短辺取り装置8の両チャック81,82間に保持されている布片上辺部(短辺Ya)を受け取るチャック91と、該チャック91を左右方向に移動させる左右動装置(モータ92及び索93)と、チャック91で右方向に横引きされる布片Yを載せる載せ台94とを有している。
【0070】
長辺出し装置9のチャック91は、前後方向にやや長い掴持部を有している。このチャック91は、短辺取り装置8の両チャック81,82の直上方の待機位置から、載せ台94の右側端部の直上方付近までの範囲で左右に移動される。
【0071】
載せ台94は、チャック91の移動高さよりやや低位置において後側側縁がチャック91の移動位置のほぼ直下に位置するように設置されている。載せ台94の右端寄りの後側側縁には左右に小間隔をもって3つの切欠溝95,95,95が形成されている。この各切欠溝95,95,95には、後述する載せ掛け装置10の3つのチャック101,101,101の各掴持部が進入する(図20)。
【0072】
そして、この長辺出し装置9は、次のように作動する。まず、図17の状態から短辺取り装置8の各チャック81,82が上動したときに、該各チャック81,82間に保持されている布片上辺部(短辺Ya)を長辺出し装置9のチャック91で受け取り(図18の状態)、その後、モータ92が右移動方向に作動してチャック91で保持している布片上辺部(短辺Ya)を右側に横引きして布片垂れ下げ部分を載せ台94上に引き摺る。このように、布片上辺部(短辺Ya)を保持して布片垂れ下げ部分を載せ台94上に引き摺ると、図18の符号Y′で示すように布片垂れ下げ部分が長辺側に展張されながら載せ台94上に載せられる。そして、該チャック91が図18の符号91′で示す終端部まで移動した後に該チャックを開放して、布片Yを載せ台94上に横たわらせる(図19の状態となる)。この状態(図19)では、載せ台94上に載せられた布片Yの後側長辺Ybがほぼ直線状に縁出しされるとともに、該後側長辺Ybの右側端部寄り部分が載せ台94の各切欠溝95,95,95上に乗り上げている。
【0073】
載せ台94上に載せられた布片Y(後側長辺Ybが縁出しされている)は、載せ掛け装置10によって後述する姿勢補正装置11上に載せ掛けられる。この載せ掛け装置10は、載せ台94の3つの切欠溝95,95,95にそれぞれ進入し得る掴持部を持つ3つのチャック101,101,101と、該各チャック101,101,101を前後方向に進退させる前後動装置(モータ102及び索103)とを有している。そして、この載せ掛け装置10は、図20に示すように各チャック101,101,101を、前後動装置(モータ102及び索103)により載せ台94上にある布片Yの長辺Ybを掴持する前方位置と、該布片長辺Ybを掴持して布片を後述の姿勢補正装置11上に載せ掛け得る後方位置との間で進退させ得るようになっている。
【0074】
布片Yを載せ掛ける姿勢補正装置11は、図19及び図20に示すように、前後2つに分割された載せ掛けベルト111,111を有し、該各載せ掛けベルト111,11を載せ台94の各切欠溝95,95,95を形成した部分の直下位置から後側に向けて前後方向に近接させた状態で設置している。各載せ掛けベルト111,111は、上面が左右方向に短い長さで、図21に示すように該各ベルト上面の左右に布片Yを垂れ下げた状態で載せ得るようになっている。又、この各載せ掛けベルト111,111は、個別のモータ112,112でそれぞれ個別に作動せしめられる。
【0075】
尚、図20に示すように、上記載せ掛け装置10の各チャック101,101,101で布片長辺Ybを掴持して該各チャック101が鎖線図示(符号101′)する後方位置まで移動してそこで各チャック101′が開放すると、図21に示すように布片Yの短辺側が両載せ掛けベルト111,111に跨がって載せ掛けられるようになっている。
【0076】
この姿勢補正装置11には、各載せ掛けベルト111,111の下部直近位置に案内板113を有している。この案内板113は、シリンダ115により鉛直姿勢と図21に鎖線図示(符号113′)する右側傾動位置(布片Yを後述の受渡し装置12に案内し得る位置)との間で揺動せしめられる。又、この案内板113には、上部寄り位置の同高さ位置に布片短辺幅より短い間隔をもって2つの検出器(光電管)114,114が設けられていて、この各検出器114,114で各載せ掛けベルト111,111に跨がって載せ掛けられた布片Yの右側短辺Yaの水平度合いを検出し得るようになっている。
【0077】
そして、この姿勢補正装置11は、図21に示すように、布片Yが両載せ掛けベルト111,111に跨がって載せ掛けられた後、各モータ112,112で各載せ掛けベルト111,111を右側送り出し方向に作動させて布片を符号Y′のように送り出し、各検出器114,114がそれぞれ布片Y′の先行側短辺Yaを検出した時点で、それぞれのモータ112,112を停止させることによって、該布片Y′の先行側短辺Yaの水平出し(正常姿勢にする)を行えるようになっている。尚、先行側短辺Yaの水平出しが行われた後、案内板113が符号113′(図21)のように右側に傾動され、両モータ112,112が同時に送り出し方向に作動して、布片Y′を展張状態で受渡し装置12側に送り出す。
【0078】
受渡し装置12は、ベルト121と、該ベルト121の背面に接・離する押えローラ122と、案内板123とを有している。押えローラ122は、姿勢補正装置11の案内板113′で案内されてくる布片の先行側端縁をベルト121側に押付けて案内板123側に送り出すものである。
【0079】
受渡し装置12の案内板123は、シリンダ124で鉛直姿勢と搬出コンベア13上に布片を受け渡す右側傾動姿勢(符号123′)との間で揺動せしめられる。
【0080】
そして、受渡し装置12で受け取った布片Yは、傾動状態の案内板123′を経て、搬出コンベア13上に移乗される。尚、搬出コンベア13上に載せられた布片Yは、図示しない折畳み装置側に搬送される。
【0081】
この実施例の矩形布片展開装置は、図2のように供給コンベア1で順次供給される丸めた状態の布片Yを、図2〜図21に示す各工程を経て自動で方形状に展開できる。
【0082】
又、この実施例では、上記したように、短辺出し装置6(主として図11〜図14)によって、布片下部側の短辺Yaを確実に且つ安定姿勢で現出させることができるので、次の工程となる短辺取り工程において布片短辺を確実に受け取ることができ、以後の工程において矩形布片の展開作業を正常に行える。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本願実施例の短辺出し装置を備えた矩形布片展開装置の全体斜視図である。
【図2】図1の展開装置の供給コンベア、吊上げ装置、角端出し装置部分の拡大斜視図である。
【図3】図1の矩形布片展開装置の角端出し装置における図2からの状態変化図である。
【図4】図3の角端出し装置を前側から見た側面図である。
【図5】図4の角端出し装置の左側面図である。
【図6】角端出し装置の作用を示す図5の一部拡大図である。
【図7】図6からの状態変化図である。
【図8】図7からの状態変化図である。
【図9】布片を角端出し装置から角端取り装置に受け渡す際の説明図である。
【図10】布片を角端取り装置から角端吊持装置に受け渡す際の説明図である。
【図11】布片を角端吊持装置から短辺出し装置に受け渡す際の説明図である。
【図12】図11の一部拡大側面図である。
【図13】図11からの状態変化図である。
【図14】図13からの状態変化図である。
【図15】図14からの状態変化図で、布片を短辺出し装置から短辺取り装置に受け渡す際の説明図である。
【図16】短辺取り装置の一部拡大斜視図である。
【図17】図16からの状態変化図である。
【図18】布片を短辺取り装置から長辺出し装置で受け取って長辺出しする際の説明図である。
【図19】長辺出しされた布片と載せ掛け装置との関係を示す斜視図である。
【図20】図19からの状態変化を示す一部拡大図である。
【図21】布片の最終処理工程を示す斜視図である。
【図22】公知の矩形布片展開装置の全体斜視図である。
【図23】図22における布片の縁出し装置部分の拡大斜視図である。
【図24】図23からの状態変化図である。
【図25】図24からの状態変化図である。
【図26】図25からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0084】
1は供給コンベア、2は吊上げ装置、3は角端出し装置、4は角端取り装置、5は角端吊持装置、6は短辺出し装置、8は短辺取り装置、9は長辺出し装置、10は載せ掛け装置、11は姿勢補正装置、12は受渡し装置、13は搬出コンベア、31,32はローラ、33,34は取付台、35はモータ、37は検出器、39は反転装置(モータ)、41は角端取り装置のチャック、51は角端吊持装置のチャック、52はシリンダ(姿勢変更装置の一部となる)、54はモータ(姿勢変更装置の一部となる)、61は短辺出し装置の下端挟持装置、66は吸着ボックス、81,82は短辺取り装置のチャック、91は長辺出し装置のチャック、101は載せ掛け装置のチャック、111は載せ掛けベルト、Yは矩形布片、Yaは布片の短辺、Ybは布片の長辺、Ycは布片の角端、Ydは布片の対角角端である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸めた状態で搬送されてくる矩形布片(Y)を自動で方形状に展開させる展開装置に使用される矩形布片の短辺出し装置であって、
1つの布片角端(Yc)を保持して布片(Y)を吊下げ状態で支持する角端吊持装置(5)と、
該角端吊持装置(5)から吊下げられた布片(Y)の下端角端(Yd)を挟持する下端挟持装置(61)と、
前記角端吊持装置(5)と前記下端挟持装置(61)とで保持された布片(Y)の下部寄り位置にエアを吹き付けて布片下部側を略三角形状に展張させるブロワ(65)と、
該ブロワ(65)によって展張された布片下部側の短辺(Ya)を略水平姿勢にする姿勢変更装置(52,54)と、
下部側短辺(Ya)を略水平で直線状に展張させた状態で布片下部側を吸着させる吸着ボックス(66)とを備えた、
ことを特徴とする矩形布片の短辺出し装置。
【請求項2】
請求項1において、
吸着ボックス(66)に吸着させた布片下部側の短辺(Ya)部分の間隔をもった2箇所を前記吸着ボックス(66)の吸着面に対して開閉自在に押える2つの押え板(70,70)を有している、
ことを特徴とする矩形布片の短辺出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−45205(P2009−45205A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213584(P2007−213584)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(502407130)株式会社プレックス (75)
【Fターム(参考)】