説明

短ストローク式流れ制御バルブ

短ストローク式の速度制御トリムを提供するために適用された短ストローク式流れ制御バルブ又は装置。本発明によって構成されるバルブは、スペーサの介在によって互いに分離されると共に、バルブのシートリングと、ボンネットとの間にクランプ固定されるバルブギャラリー内に、軸線方向に位置する複数の積層ディスク又はケージとを備える。ケージ内の流体流路は、複数の絞り要素又はプラグ突出部を形成するプラグによって制御されるように絞られ、プラグによって形成されるプラグ突出部の数は、バルブに備えられるケージの数と等しいことが好ましい。プラグのプラグ突出部は、積層ディスク又はケージを通る流体流れを縦一列になって制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、流れ制御装置に関し、特に、空間上又は設計上の制約に適応するため、短ストローク式の速度制御トリムを提供するために適用された、特殊な構成を有する制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常運転時に直線的に移動するステム及びプラグを備える制御バルブが知られている。直線移動式バルブと呼ばれることの多いこれらのバルブにおいて、プラグは、多様な蛇行性及び/又は非蛇行性流路を構成するディスクスタック又はバルブケージの中に移動可能に配置される。このような直線移動式バルブの中には、バルブケージの外部から内部に向かって放射状に流体が流れる「オーバープラグフロー」方式のものが存在し、この方式では、流体がバルブケージの流路を介して流れた結果、流体の圧力が降下する。この構成では、バルブは、プラグを持ち上げてシートリングから離間させることによって開状態となり、流体は、バルブケージの内部から開放されたシートリングを介してバルブの外部へと流出する。一方、プラグの座表面がシートリングの相補的な座表面に密接に係合することで、バルブが閉状態となる。
【0003】
オーバープラグフロー方式の代替案として、他の直線移動式バルブは、流体がバルブケージの外側から内部へ、軸方向に上方に流れる「アンダープラグフロー」として構成され、この方式では、流体がバルブケージの流体流路を介して外部に放射状に流れた結果、流体の圧力が降下する。この構成では、バルブは、プラグを持ち上げて上記シートリングから離間させることによって開状態となり、流体は、バルブケージの内部へ流入した後、バルブケージの流体流路を介して放射状に外部に流出する。一方、プラグの座表面がシートリングの相補的な座表面に密接に係合することで、バルブが閉状態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直線移動式制御バルブは、工程内で流量と圧力を制御するために用いられることが多い。しかしながら、実際の使用や、バルブの設計において、空間上及び設計上の制約により最大許容ストロークが制限される場合がある。このような設計制約は、例えば、バルブのステムシールでの漏れを防止するため、有毒又は放射能工程の流体との関連で使用される蛇腹シールの使用に起因する。従って、直線移動式制御バルブの技術分野において、短ストローク式の速度制御トリムを提供することを可能とする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、従来の通常ストローク式制御バルブと同一の速度制御能力を有する短ストローク式制御バルブを提供することにより、この特定の必要性に対処するものである。これらの点、及び本発明の他の特性、有利性について、以下に詳細に説明する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、短ストローク式の速度制御トリムを提供するために適用された短ストローク式流れ制御装置又はバルブを提供する。本発明によって構成されるバルブは、スペーサの介在により互いに分離されると共に、バルブのシートリング及びボンネットの間にクランプ固定されるバルブギャラリー内に軸線方向に配置される複数のディスクスタック又はケージを備える。ケージ内の流体通路は、複数の絞り要素又はプラグ突出部を形成するプラグによって制御されるように絞られ、プラグによって形成されるプラグ突出部の数は、バルブに設けられるバルブケージの数と等しいことが好ましい。プラグのプラグ突出部は、縦一列になって、ディスクスタック又はケージを通過する流体の流れを制御する。シートリングを閉じるためにシートリングに接触するプラグ突出部以外のプラグの絞り要素又はプラグ突出部のすべては、プラグの残部よりも大径であり、えんどう豆状に形成されると共に、絞り要素又はプラグ突出部を通る少なくとも一つの流体流路を備える。この流体流路のプラグ突出部内における流れ領域は、所定のシート穴速度基準を満たすように設計される。
【0007】
本発明に係る短ストローク式制御バルブにおいて、ディスクスタック又はケージは、各々、プラグの流体漏れや、多様な隙間流れによる影響を低減するための迷宮溝及びシールを特徴付ける。加えて、細長絞りの必要性に応じて、各ケージ内の迷宮溝の数はステージ毎に異なる。さらに、ディスクスタック又はケージの各々のCvを変更することで、バルブの総合注文特性曲線が変化する。さらに、本発明に係るバルブを備える流体システムの上流側からのいかなる流れ抵抗も、プラグの上昇具合が同一であるとき、ステージ(すなわち、ケージやプラグ突出部)の数を変更することで軽減することができる。この関連で、バルブに設けられるケージ又はディスクスタックの数と、プラグ突出部の数(これらは上述のように等しいことが好ましい)は、特定の目的に基づいて変更することができる。さらに、プラグもまた、バランス状態又はアンバランス状態に構成される。
【0008】
本発明は、添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明を参照することによって最も理解し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記特徴及び他の特徴は、以下に示す図面を参照することでより明確になる。
【図1】本発明に従って構成された短ストローク式制御バルブの一実施の形態を示す断面図であって、プラグが閉位置にある場合を示す。
【図2】本発明に従って構成された短ストローク式制御バルブの一実施の形態を示す断面図であって、プラグが開位置にある場合を示す。 上記図面及び詳細な説明において、同一の要素を示すため共通の参照番号を使用している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施の形態を示すための目的でのみ描き、本発明を限定するものではない図面を参照すると、図1及び図2は、本発明によって構成される短ストローク式制御バルブ10の断面図を示す。詳細は後述するが、バルブ10は、図1において、閉状態が示され、図2において、バルブ10内の流体の流れを許容する開状態が示されている。
【0011】
このバルブ10は、流入路14及び流出路16を形成するバルブ本体12を備える。この流入路14及び流出路16の各々は、バルブ本体12に形成される内室又はバルブギャラリー18に連通する。本体12に加えて、バルブ10は、本体12に当接すると共に、ギャラリー18を部分的に包囲するボンネット20を備える。図1及び図2に示されるように、ボンネット20の本体12への取付は、ナットとボルトとの組み合わせからなる機械的締付具22を介して容易に行うことが好ましいが、他の取付方法も、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で採用することができる。ボンネット20は、ボンネット20を軸線方向に貫通するように延設される穴24を備え、この穴24の用途については、以下に詳細に説明する。
【0012】
本体12のギャラリー18内には、環状シートリング26が配置される。このシートリング26は、環状に構成されるとともに、一端がテーパ状座表面30によって覆われる流入開口28を備える。シートリング26は、流入開口28が流入路14とギャラリー18との間に流体流路を効果的に形成するように、本体12内、特にこの本体12内のギャラリー18内に方向付けられる。この流入開口28に加えて、シートリング26は、シートリング26の放射状に延設されるフランジ部の上面及び底面の各々に、図1及び図2の視点から見て、相対向する環状上側溝32及び環状底側溝34を備える。この上側溝32及び底側溝34の各々の内部には、Oリング又はガスケットのようなシール部材が配置され、これらの用途については、以下に詳細に説明する。
【0013】
シートリング26に加えて、ギャラリー18には、3つの流れ制御要素、特に、第1(下方)ディスクスタック又はケージ36、第2(中間)ディスクスタック又はケージ38及び第3(上方)ディスクスタック又はケージ40が配置される。この第1、第2及び第3ケージ36、38、40は各々、好適には、環状に形成されると共に、これら3つのケージ(すなわち、これら3つのケージの内側及び外周面の間)を放射状に貫通するように延設され、多様な蛇行性又は/及び非蛇行性の流体エネルギー消散流体通路を形成する。バルブ10において、第1ケージ36は、環状の第1スペーサ42の介在によりシートリング26から分離される。より具体的には、第1ケージ36の底面は、図1及び図2に示す視点から見て、第1スペーサ42の対向する底面がシートリング26の放射状に延設されるフランジ部の上面に当接する状態で、第1スペーサ42の上面に当接する。
【0014】
第1スペーサ42によってシートリング26から分離される第1ケージ36と同様に、第2ケージ38は、環状の第2スペーサ44の介在により第1ケージ36から分離される。この関連で、図1及び図2に示す視点から見て、ケージ38の底面は、第2スペーサ44の底面が第1ケージ36の上面に当接する状態で、第2スペーサ44の上面に当接する。同様に、第3ケージ40は、環状の第3スペーサ46の介在により第2ケージ38と分離される。より具体的には、図1及び図2に示す視点から見て、第3ケージ40の底面は、第3スペーサ46の底面が第2ケージ38の上面に当接する状態で、第3スペーサ46の上面に当接する。
【0015】
上記第1、第2及び第3のスペーサ42、44、46に加え、バルブ10は、ボンネット20と第1ケージ36との間に延設される環状の第4スペーサ48を備える。より具体的には、図1及び図2に示す視点から見て、第4スペーサ48の上面は、第4スペーサ48の対向する底面が第3ケージ40の上面に当接する状態で、ボンネット20に当接する。第3ケージ40に当接する底面に対向する第4スペーサ48の上面には、Oリング又はガスケットのようなシール部材を収容する環状溝50が配置される。
【0016】
さらに図1及び図2に示すように、第2スペーサ44と第1ケージ36との間に、環状第1シール52が部分的に捕捉される。同様に、第3スペーサ46と第2ケージ38との間に、環状第2シール54が部分的に捕捉され、さらに、第4スペーサ48と第3ケージ40との間に、環状第3シール56が部分的に捕捉される。バルブ10において、第2及び第3スペーサ44、46は、好適には、互いに同一形状及び同一寸法に構成される。しかしながら、第1スペーサ42は、第2及び第3スペーサ44、46と比較して実質的に高さが低く、第4スペーサ48は、第2及び第3スペーサ44、46と比較して高さが高い。
【0017】
さらに図1及び図2に示すように、第1スペーサ42の内周面全体に、複数の迷宮溝58が形成される。すなわち、第1スペーサ42内の迷宮溝58は、シートリング26の放射状に延設されるフランジ部の上面から第1ケージ36まで延設される。迷宮溝58は、第2及び第3スペーサ44、46の内周面部分にもまた形成される。より具体的には、迷宮溝58は、第2スペーサ44の内周面の上部に形成され、第2スぺーサ44の迷宮溝58は、第2スペーサ44の上面に向かって延設されるため、第2ケージ38に向かって延設されることになる。同様に、迷宮溝58は、第3スペーサ46の内周面の上部に形成され、この第3スぺーサ46の迷宮溝58は、第3スペーサ46の上面に向かって延設されるため、第3ケージ40に向かって延設されることになる。第1、第2及び第3スペーサ42、44、46の迷宮溝58は、バルブ10内において、迷宮シールを形成するために用いられるが、詳細は後述する。
【0018】
図1及び図2から明らかなように、第1、第2及び第3ケージ36、38、40及び第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48が、前述の態様でシートリング26の上方に積層されると、これら特定の構成要素の外周面は、互いに実質的に整列する。積層された第1、第2及び第3ケージ36、38、40及び第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、28の内周面もまた、互いに実質的に整列する。重要なのは、第1、第2及び第3シール52、54、56の内周面もまた、積層された第1、第2及び第3ケージ36、38、40及び第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48と実質的に整列するように、第1、第2及び第3シール52、54、56が方向付けられることである。しかしながら、シートリング26の流入開口28を形成するシートリング26の内周面は、整列した第1、第2及び第3ケージ36、38、40並びに第1、第2、第3及び第4ペーサ42、44、46、48との関連で内側に放射状に方向付けられる。
【0019】
上記に加えて、バルブ10において、積層されたシートリング26、第1、第2及び第3ケージ36、38、40、並びに第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48、並びに第1、第2及び第3シール52、54、56は、図1及び図2に示す視点から見た軸線上で、かつボンネット20と本体12の間に効果的に圧縮される。その結果、シートリング26の底面溝34内に配置されるガスケットは、シートリング26から放射状に延設されるフランジ部と本体12との間に効果的に圧縮され、これらの間に流体密封シールを形成する。加えて、シートリング26の上面溝32内に配置されるガスケットは、シートリング26から放射状に延設されるフランジ部と、第1スペーサ42の底面との間に効果的に圧縮され、これらの間に流体密封シールを形成する。同様に、第4スペーサ48の溝50内に配置されるガスケットは、ボンネット20と、第4スペーサ48によって第4スペーサ48との間に効果的に圧縮され、ボンネット20と第4スペーサとの間に流体密封シールを形成する。
【0020】
本発明によって構成されるバルブ10は、さらに細長く略々円筒状に形成されたプラグ60を備える。プラグ60の一端に一体的に、軸線方向に突出するように、細長く略々円筒状に形成されたステム62が接続される。図1及び図2に示されるように、プラグ60は、その大部分がギャラリー18内に位置し、特に、第1、第2及び第3ケージ36、38、40並びに第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48の縦一列に整列した内周面によって集合的に形成される延設穴64内に位置する。プラグ60から突出するステム62は、ボンネット20によって形成される穴24を通って上昇する。図1及び図2には示されていなが、ボンネット20から突出するステム62の一部は、図1及び図2の視点から見て、本体12とボンネット20に対して上側方向又は下側方向のどちらか一方にステムを選択的に移動させるように動作するアクチュエータと機械的に連結されることとなる。この点において、穴24とステム62は、ステム62が穴24内を摺動可能に移動可能となるような大きさに互いに相対的に形成される。当業者によって理解されるように、ステム62が上方及び下方へ交互に選択的に移動するのに伴い、プラグ60も、本体12及びボンネット20と相対的に、特に、積層されたシートリング26、第1、第2及び第3ケージ36、38、40、及び第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48と相対的に上方又は下方へ同時に移動する。この点において、詳細は後述するが、プラグ60は、ステム62によって、上述の図1に示す閉位置と図2に示す開位置とを選択的に移動可能である。
【0021】
バルブ10のプラグ60は、略々円筒状に形成された同一形状の3つのプラグ突出部を備え、より具体的には、第1(底側)プラグ突出部66と、第2(中間)プラグ突出部68と、第3(上側)プラグ突出部70とを備える。第1及び第3プラグ突出部66、70は、一対の連続溝72が有する空間によって第2プラグ突出部68と分離され、各溝72は、断面視略々U状に形成される。バルブ10において、第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70の外径は、互いに等しいと共に、穴64の径よりわずかに小さいため、プラグ60は、穴64の中で閉位置と開位置との間で移動することができる。
【0022】
第1、第2及びプラグ突出部66、68、70の各々の内部には、少なくとも1つの流体流路74が形成される。図1及び図2から明らかなように、これらの流体流路74は、互いに略々直線的に縦一列に整列され、第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70の整列した軸から半径方向に離間するが、これらと略々平行関係を有するように延設される。より具体的には、第1プラグ突出部66内に配置される流体流路74は、第1プラグ突出部66の底面と、第1プラグ突出部66を第2プラグ突出部68から分離する溝72との間に延設される。第2プラグ突出部68内に配置される流体流路74は、第1プラグ突出部70内に配置される流体流路74が第3プラグ突出部70の上面と、第3プラグ突出部70を第2プラグ突出部68から分離する溝72との間に延設された状態で、溝72間に延設される。図1及び図2には明示されていないが、各溝72は、好適には、断面がえんどう豆状に形成される。
【0023】
第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70に加え、プラグ60は、図1及び図2に示す視点から見て、第3プラグ突出部70の上面から軸線方向に突出する円筒状のプラグ体76を備える。これとの関連で、ステム62は、プラグ体76に連結されるとともに、プラグ体76から軸線方向に延設される。また、図1及び図2にからもまた明らかなように、プラグ体76の外径は、第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70の外径よりも小さい。プラグ60は、また、図1及び図2に示す視点から見て、第1プラグ突出部66の底面から軸線方向に延設されるシール突出部78を備える。このシール突出部78は、プラグ60が閉位置に移動したときに、シートリング26によって形成されるシール面30と相補的に噛み合うような寸法及び構成を有すると共に、テーパ状に形成される周辺シール面80を備える。
【0024】
上述のように、バルブ10、特に、バルブ10のプラグ60が閉位置又は遮断位置にある場合が図1に示されている。プラグ60が閉位置に位置するときに、プラグ60の座突出部78に形成される座表面80は、シートリング26によって形成される相補的な座表面30上に強固に着座し、座表面30との間をシールする。その結果、図1の流れ方向を示す矢印によって指定された方向に、本体12の流入路14を介して流入する流体は、シートリング26の流入開口28内へは流れるが、穴64(すなわちギャラリー18)内への流体の流入は、プラグ60によって効果的に妨げられる。プラグ60が閉位置に位置するときには、プラグ体76の一部は、ボンネット20によって形成される相補的な開口82内に位置し、この開口82は、第1、第2及び第3ケージ36、38、40並びに第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48の整列された内周面によって集合的に形成された穴64と同軸上に整列する。
【0025】
図1及び図2に示す視点から見て、第1プラグ突出部66の底面を第1ケージ36の底面より上方へ持ち上げるに充分な量のステム62の上方への移動によって、プラグ60の開位置への移動が促進される。理解できるように、そのようなプラグ60の上方への移動は、シール面30、80が互いに分離されることを促進し、これによって、流体の穴64内への流体の流入が許容される。図2は、バルブ10のプラグ60の全開状態を示し、すなわち、図1及び図2に示す視点から見て、プラグ60が最も上方に移動した状態を示す。
【0026】
例えば図2に示すように、プラグ60が開位置へ移動すると、流体は、流入路14から流入開口28を通過し、第1スペーサ42の内側を通過し、その後、第1ケージ36内へ流入する。このようにして、流体は、最初に、第1スペーサ42及び第1ケージ36の内周面によって集合的に形成される穴24の一部を満たす。第1ケージ36の内部に流入する流体は、図2に示す流れ方向矢印によって示される様態で、蛇行性又は/及び非蛇行性流路を介して放射状に外側に流れることができる。第1ケージ36の外周面の流路から流出した後、流体は、本体12によって形成される流出路16内へ流入することができる。
【0027】
図2にも示されるように、第1ケージ36の流体流路を介して外側に、放射状に流れる流体に加え、流体の一部はまた、第1プラグ突出部66によって形成される流体流路74を介して上方に流れる。そのような流体流路74から流体が流出すると、第1プラグ突出部66を第2プラグ突出部68から分離する溝72内へ流体が流入する。プラグ60が開位置に位置するときには、第1及び第2プラグ突出部66、68の間の溝72の少なくとも一部が第2ケージ38、特に、その内周面に半径方向に整列する。これに関連して、第1及び第2プラグ突出部66、68の間の溝72内に流入する流体は、図2示す流れ方向矢印によって示される様態で、第2ケージ38によって形成される蛇行性又は/及び非蛇行性流路介して放射状に外側に流れ、第2ケージ38の外周面でそのような流路から流出した流体はまた、流出路16内へ流入する。
【0028】
第2ケージ38の流体流路を介して、放射状に、外側に流れる流体に加え、流体の一部もまた、第2プラグ突出部68によって形成される流体流路74を介して上方に流れる。流体流路74から流体が流出すると、第2プラグ突出部68を第3プラグ突出部70から分離する溝72内へ流体が流入する。プラグ60が開状態であるときに、第2及び第3プラグ突出部68、70の間の溝72の少なくとも一部が、第3ケージ40、特に、その内周面と半径方向に整列する。これに関連して、第2及び第3プラグ突出部68、70の間の溝72に流入する流体は、図2に示す流れ方向矢印によって示される様態で、第3ケージ40によって形成される蛇行性又は/及び非蛇行性流路を介して、放射状に、外側に流れ、第3ケージ40の外周面のそのような流体流路から流出する流体もまた、流出路16に流入する。
【0029】
さらに図2示すように、第2及び第3プラグ突出部68、70を互いに分離する溝72内に流入する流体の一部はまた、第3プラグ突出部70の流体流路74を介して上方に流れることができる。図2から明らかなように、第3プラグ突出部70の流体流路74から流出する流体は、第4スペーサ48の内周面の一部によって形成される穴64の一部に流入する。このような第3プラグ突出部70の流体流路74を通過する流れによって、バルブ10内において、プラグ60が「バランス状態」となる。しかしながら、当業者であれば、バルブ10のプラグ60が、第3プラグ突出部70の流体流路74に含まれていない場合には、代わりに「アンバランス状態」となることが理解できるであろう。
【0030】
プラグ60が図1に示す閉位置から図2に示す全開位置へ移動すると、プラグ60のプラグ体76が、ボンネット20によって形成される開口82内に次第に後退する。逆に、プラグ62が全開位置から閉位置に戻ると、プラグ体76は、開口82の外側へ部分的に前進する。プラグ体76が開口82の内外に交互に移動するにもかかわらず、図1及び図2に示す視点から見て(プラグ60のバランス状態又はアンバランス状態にかかわらず)、第3プラグ突出部70の上方の穴64に流入する流体のすべては、プラグ体76とボンネット20の間に捕捉される環状シール84によって、これらの間への流入が妨害される。また、当業者によって理解されるように、プラグ60が閉位置と開位置との間を移動する際に、プラグ体76は、シール84の内周面に沿って、交互に摺動可能に移動可能である。プラグ体76とシール84の間をすべての流体が移動可能である限り、そのような流体は、ステム62の外表面と、自身を貫通して延設される穴24を形成するボンネット20の外表面との間に介在する環状パッキン86によって周囲環境へ逃れることが規制される。また、当業者によって理解されるように、プラグ60が閉位置と開位置との間を移動する際に、ステム62は、パッキン86の内周面に沿って摺動して交互に移動可能である。
【0031】
バルブ10において、ケージの数(例えば、第1、第2及び第3ケージ36、38、40)が、プラグ突出部の数(例えば、第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70)と常に等しく、また、これらの数によってバルブ10に含まれる「ステージ」の数が定義されるものと考える。このようにして、図1及び図2に示す構成例において、バルブ10は、プラグ60の第1、第2及び第3ケージ36、38、40及び第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70を含めることによる3つのステージを備える。しかしながら、当業者によって理解されるように、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、バルブ10が、3つより多い又は少ないステージを備えるように構成することができ、バルブ10が備えるステージの数は、2以上、潜在的には3つ又はそれより多くすることが考えられる。バルブ10に設けられるステージの数にかかわらず、第1、第2及び第3シール52、54、56及び上記迷宮溝58は、プラグ60が閉位置と開位置とを移動する際の漏れを低減するために互いに協働する。これについては、上記第1、第2及び第3シール52、54、56及び上記迷宮溝58は、プラグ60が閉位置と開位置との間を移動する際、プラグ60と、積層されたシートリング26、第1、第2及び第3ケージ36、38、40、第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48からなる流れ制御組立体との間を流れる流体の漏れを低減する。
【0032】
上記に加え、バルブ10を介して流れる流体に関する上述の記述に基づけば、上記バルブ10は、アンダープラグフロー方式として構成されている。しかし、当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、このバルブ10をオーバープラグ方式として構成することができることを理解するであろう。オーバープラグ方式の場合、流出路16を通って、積層されたシートリング26、第1、第2及び第3ケージ36、38、40、第1、第2、第3及び第4スペーサ42、44、46、48からなる流れ制御組立体へ向かって流体が流れる状態で、流出路16は流入路となる。流体がこの積層流れ制御組立体へ達するとすぐに、流体は、第1、第2及び第3ケージ36、38、40により形成される蛇行性又は/及び非蛇行性流路を介して放射状に内側に流れる。プラグ60が図1に示す閉位置に位置する場合には、流体は、プラグ60の第1、第2及び第3プラグ突出部66、68、70の各々によって、穴64への流入を妨害又は阻止される。
【0033】
しかし、プラグ60が図2に示すように開位置に移動すると、流体は、第3ケージ40の流体流路から、第3及び第2プラグ突出部70、68間の溝72内へ流入し、第2ケージ38の流体流路から、第2及び第1プラグ突出部68、66間の溝72内へ流入し、第1ケージ36の流体流路から、第1ケージ36と第1スペーサ42によって集合的に形成される穴64の部分内へ流入する。第3及び第2プラグ突出部70、68間の溝72へ流入する流体はまた下方に流れ、第1及び第2プラグ突出部66、68及びこれらの間の溝72に形成される流体流路74を介して第1ケージ36と第1スペーサ42によって形成される穴64の一部にも流入する。同様に、第1及び第2プラグ突出部66、68間の溝72へ流入する流体もまた、第1プラグ突出部66内に配置される流体流路74を介して第1ケージ36と第1スペーサ42によって集合的に形成される穴64の部分へ流入する。理解されるように、第1ケージ36と第1スペーサ42によって集合的に形成される穴64の部分に流入する流体は、その後、シートリング26の流入開口28を介して下方に流れ、その後、バルブ10にオーバープラグフロー方式を採用した場合に流入路14によって形成される流出路を通過する。
【0034】
上記実施の形態は、あくまで本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明の範囲は、上記実施の形態に限定されない。明細書に明示されているか、明細書の記載から示唆されるかに関わらず、当業者であれば、本開示内容から、構成、寸法、材料及び製造工程における変更等種々の変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを制御するための短ストローク式バルブであって、
流入路と流出路を形成するハウジングと、
前記流入路と前記流出路との間の前記ハウジング内に配置される流体制御組立体であって、互いに間隔をあけて配置されると共に、その内部を流れる流体のエネルギーを散逸させるように各々構成される、少なくとも2つの第1及び第2ケージを含む流体制御組立体と、
前記ハウジング内に、該ハウジングとの関連で、閉位置と開位置とを相互に移動可能に配置され、前記閉位置に位置するときに、前記第1及び第2ケージを通過する流体の流れを同時に遮るような寸法及び構成を有し、前記開位置に位置するときに、前記第1及び第2ケージを介して、前記流入路から前記流出路への流体の流れを許容するプラグとを備えることを特徴とする短ストローク式バルブ。
【請求項2】
前記プラグは、連続溝によって分割される少なくとも2つの第1及び第2プラグ突出部を備え、該第1及び第2プラグ突出部は、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、前記第1及び第2ケージの各ケージを通過する流体の流れを同時に遮るような寸法及び構成を有し、
前記プラグの前記第1プラグ突出部は、該第1プラグ突出部を貫通して前記溝と連通するように延設される流体流路を含み、該流体流路は、前記バルブが前記開位置に位置するときに、前記第2ケージから前記溝内へ流入する流体が前記流出路へ流入することを許容することを特徴とする請求項1に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項3】
前記第1及び第2プラグ突出部の各々は、第1径を有する略々円筒状に構成され、該第1及び第2のプラグ突出部の間には、前記溝が円周方向に延設され、
前記第1及び第2プラグ突出部は、各々端面を形成し、前記第1プラグ突出部の前記流体流路は、前記溝と、前記第1プラグ突出部の前記端面との間に延設され、
前記プラグは、前記第2プラグ突出部の前記端面から軸線方向に突出すると共に、前記第1径より小さい第2径を有する略々円筒状のプラグ体をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項4】
前記プラグの前記第2プラグ突出部は、該第2プラグ突出部を貫通するように、前記溝と、該第2プラグ突出部の前記端面との間に延設される流体流路を備えることを特徴とする請求項3に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項5】
前記プラグは、前記第1プラグ突出部の前記端面から軸線方向に突出すると共に、周辺シール面を形成するシール突出部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項6】
前記流体制御組立体は、自身を貫通する流れ開口を有するシートリングと、該流れ開口を取り囲むシール面とをさらに備え、前記プラグの前記シール面と、前記シートリングは、相補的な構成を有すると共に、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、互いの密封状態が維持されることを特徴とする請求項5に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項7】
前記第1及び第2プラグ突出部の各々は、略々円筒状に構成され、該第1及び第2のプラグ突出部の間には、前記溝が円周方向に延設され、
前記流体制御組立体は、前記第1及び前記第2ケージ間に延設される少なくとも一つの第1スペーサをさらに備え、該第1スペーサは、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、前記溝が該第1スペーサと共に放射方向に整列するような寸法及び構成を有することを特徴とする請求項2に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項8】
前記プラグは、前記第1プラグ突出部から突出すると共に、周辺シール面を形成するシール突出部をさらに備え、
前記流体制御組立体は、自身を貫通するように延設される流れ開口を形成する環状シートリングと、前記流れ開口を取り囲むシール面とをさらに備え、
前記シートリングは、第2スペーサによって前記第1ケージから分離され、
前記プラグの前記シール面と前記シートリングは、相補的な構成を有すると共に、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、互いの密封状態が維持されることを特徴とする請求項7に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項9】
前記第1及び第2ケージと前記第1及び第2スペーサは、各々、内周面を有する略々環状に構成され、
前記シートリング、前記第1及び第2ケージ並びに前記第1及び第2スペーサは、前記内周面が、少なくとも部分的に前記プラグを収容するような寸法及び構成を有する略々円筒状の穴を集合的に形成するように、互いに上下方向に積層されることを特徴とする請求項8に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項10】
前記第1及び第2ケージは、各々好ましくは、上下方向に互いに積層されると共に、自身を貫通するように放射状に延設される複数のエネルギー散逸流体流路を形成する複数のディスクを備えることを特徴とする請求項9に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項11】
前記第1ケージと前記第1スペーサとの間に部分的に捕捉される環状第1シールを備え、該環状第1シールは、部分的に前記穴を形成することを特徴とする請求項9に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項12】
流体の流れを制御するための短ストローク式バルブであって、
流入路と流出路を形成するハウジングと、
前記流入路と前記流出路との間の前記ハウジング内に配置される流体制御組立体であって、互いに間隔をあけて配置されると共に、その内部を流れる流体のエネルギーを散逸させるように各々構成される、少なくとも3つの第1、第2及び第3ケージを備える流体制御組立体と、
前記ハウジング内に、該ハウジングとの関連で、閉位置と開位置とを相互に移動可能に配置されるプラグとを備え、該プラグは、互いに間隔をあけて配置され、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、前記第1、第2及び第3ケージの各々を通過する流体の流れを同時に遮ると共に、前記プラグが前記開位置に位置するときに、前記第1、第2及び第3ケージを介して、前記流入路から前記流出路への流体の流れを許容するような寸法及び構成を有する少なくとも3つの第1、第2及び第3プラグ突出部を備えることを特徴とする短ストローク式バルブ。
【請求項13】
前記第1及び第2プラグ突出部は、連続的な第1溝によって分離され、
前記第2及び第3プラグ突出部は、連続的な第2溝によって分離され、
前記プラグの前記第1プラグ突出部は、該第1プラグ突出部を貫通して前記第1溝と連通するように延設される流体流路を備え、該第1プラグ突出部の流体流路は、前記バルブが前記開位置に位置するときに、前記第2ケージから前記第1溝内へ流入する流体が、前記流出路へ流入するのを許容し、
前記プラグの前記第2プラグ突出部は、該第2プラグ突出部を貫通して前記第1及び第2溝と連通するように延設される流体流路を備え、該第2プラグ突出部の流体流路は、前記バルブが前記開位置に位置するときに、前記第3ケージから前記第2溝内へ流入する流体が、前記流出路へ流入するのを許容することを特徴とする請求項12に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項14】
前記第1、第2及び第3プラグ突出部の各々は、第1径を有する略々円筒状に構成され、該第1及び第2のプラグ突出部の間には、前記第1溝が円周方向に延設され、該第2及び第3のプラグ突出部の間には、前記第2溝が円周方向に延設され、
前記第1及び第3プラグ突出部は、各々端面を有し、前記第1プラグ突出部の前記流体流路は、前記第1溝と、前記第1プラグ突出部の前記端面との間に延設され、
前記プラグは、前記第3プラグ突出部の前記端面から軸線方向に突出すると共に、前記第1径より小さい第2径を有する略々円筒状のプラグ体をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項15】
前記プラグの前記第3プラグ突出部は、該第3プラグ突出部を貫通するように、前記第2溝と、該第3プラグ突出部の前記端面との間に延設される流体流路を備えることを特徴とする請求項14に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項16】
前記流体制御組立体は、前記第1及び前記第2ケージ間に延設される第1スペーサと、前記第2及び前記第3ケージ間に延設される第2スペーサとを備え、前記第1スペーサは、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、前記第1溝が該第1スペーサと共に放射方向に整列するような寸法及び構成を有すると共に、前記第2スペーサは、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、前記第2溝が該第2スペーサと共に放射方向に整列するような寸法及び構成を有することを特徴とする請求項14に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項17】
前記プラグは、前記第1プラグ突出部から突出すると共に、周辺シール面を有するシール突出部をさらに備え、
前記流体制御組立体は、自身を貫通する流れ開口を有する環状シートリングと、該環状シートリングを貫通するように延設される環状シートリングと、該流れ開口を取り囲むシール面とをさらに備え、
前記シートリングは、第3スペーサによって前記第1ケージから分離され、
前記プラグの前記シール面と前記シートリングは、相補的な構成を有すると共に、前記プラグが前記閉位置に位置するときに、互いの密封状態が維持されることを特徴とする請求項16に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項18】
前記第1、第2及び第3ケージ並びに前記第1、第2及び第3スペーサは、各々内周面を有する略々環状に構成され、
前記シートリング、前記第1、第2及び第3ケージ並びに前記第1、第2及び第3スペーサは、前記内周面が、少なくとも部分的に前記プラグを収容するような寸法及び構成を有する略々円筒状の穴を集合的に形成するように、互いに上下方向に積層されることを特徴とする請求項17に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項19】
前記第1、第2及び第3ケージは、各々好ましくは、上下方向に互いに積層されると共に、自身を貫通するように放射状に延設される複数のエネルギー散逸流体流路を形成する複数のディスクを備えることを特徴とする請求項18に記載の短ストローク式バルブ。
【請求項20】
前記第1ケージと前記第1スペーサとの間に部分的に捕捉される環状第1シールと、前記第2ケージと前記第2スペーサとの間に部分的に捕捉される環状第2シールとを備え、前記環状第1及び第2シールは、部分的に前記穴を形成することを特徴とする請求項18に記載の短ストローク式バルブ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528289(P2012−528289A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513145(P2012−513145)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/035853
【国際公開番号】WO2010/138425
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(510292272)コントロール コンポーネンツ,インク (1)
【Fターム(参考)】