説明

短尺ドレンブロックとこれを用いた舗装道路の排水構造

【課題】 集水機能の低下を補うことができる短尺のドレンブロックと、これを用いた舗装道路の排水構造を提供する。
【解決手段】 排水方向の長さを長尺ドレンブロック2よりも短く形成し、排水方向に貫通してドレンブロック2の排水路に接続される短尺排水路16Aを内部に有するコンクリート製の短尺管本体17Aから構成する。短尺管本体17Aの上面1aから短尺排水路16Aに至る当該短尺管本体17Aの上部を、長尺ドレンブロック2の管本体のポーラスコンクリート層と同じ厚さのポーラスコンクリート層18から構成する。短尺管本体17Aに、その上面1aから短尺排水路16Aに通ずる集水路Sを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短尺ドレンブロックとこれを用いた舗装道路の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主要な国道などに多用されている舗装技術として、排水性舗装がある。この排水性舗装は、路盤上に敷設した不透水層の上に、多孔質なアスファルト混合物よりなる透水機能を有する排水層を施工するものである。敷設された排水性舗装では、水分が排水層の内部を浸透して不透水層の上を流れて排水される。このため、道路の表面に水が溜まらなくなり、車両の走行安全性が向上する。また、排水性舗装された道路では、排水層内の空隙によって、エンジン音やタイヤのエアポンピング音などが吸音され、交通騒音が低減されるという利点がある。
【0003】
かかる排水性舗装における道路脇での排水構造には、横断面形状が略矩形状に形成された側溝管が設けられる。この側溝管として、ドレンブロックを採用したものがある(例えば、特許文献1参照)。
このドレンブロックは、横断面形状が略矩形状に形成され、かつ、長手方向に貫通する排水路を内部に有するコンクリート製の管本体より構成されている。そして、ドレンブロックは、その上面が排水性舗装の排水層表面と一致するように道路脇に埋設されるとともに、管本体の上面から排水路に至る当該管本体の上部が、排水性舗装の排水層よりも厚さの大きいポーラスコンクリート層から構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−84457号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のドレンブロックでは、その上面の水分や排水層の表面を流れる水分は、ポーラスコンクリート層の上面から下方に浸透し、排水路に導かれるようになっている。また、道路の排水層の内部を流れる水分は、ドレンブロックのポーラスコンクリート層から内部に浸透し、無数の空隙を介して排水路に導かれるようになっている。
しかしながら、上記のドレンブロックのポーラスコンクリート層に形成される空隙には、異物が詰まり易く、水分を管本体の内部に取り込む集水機能が低下する場合がある。集水機能が低下すると、ドレンブロックの上面に水分が溜まり易くなる。そればかりか、排水性舗装の排水性の早期低下を招く場合もある。
この対策としては、ポーラスコンクリート層に形成される空隙率を大きくし、空隙への異物の詰まりを抑えることによって、集水機能を保持するさせることが考えられる。しかし、この対策では、空隙率を大きくすることによって、管本体の構造強度が低下する恐れがある。
そこで、本発明は、集水機能の低下を補うことができる短尺ドレンブロックと、これを用いた舗装道路の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、排水方向に貫通する排水路を内部に有する管本体の上面から前記排水路に至る当該管本体の上部がポーラスコンクリート層からなるドレンブロックに接続され、排水方向の長さが前記ドレンブロックよりも短く形成され、前記ドレンブロックとともに前記舗装表面または舗装内部を流れる水分を内部に取り込む短尺ドレンブロックであって、排水方向に貫通して前記排水路に接続される短尺排水路を内部に有するコンクリート製の短尺管本体からなり、前記短尺管本体の上面から前記短尺排水路に至る当該短尺管本体の上部が前記管本体のポーラスコンクリート層と同じ厚さのポーラスコンクリート層から構成され、前記短尺管本体には、その上面から前記短尺排水路に通ずる集水路が形成されていることを特徴とする。
上記の構成にかかる短尺ドレンブロックをドレンブロックに接続し、互いの上面が舗装表面と一致するように道路に埋設すれば、ドレンブロック及び短尺ドレンブロックのポーラスコンクリート層に形成される空隙が異物などによって目詰まりする場合がある。空隙が目詰まりすると、水分を短尺管本体の内部に取り込む集水機能が低下する。このように集水機能が低下した場合においても、短尺管本体の上面から短尺排水路に通ずる集水路によって、当該短尺管本体の上面を流れる水分を短尺排水路に直接導くことができる。
【0007】
また、上記の短尺ドレンブロックにおいて、前記排水路が前記管本体の内部に複数設けられている場合には、前記短尺排水路は、前記複数の排水路の断面形状を包含する断面形状に形成されているのが好ましい。
この場合には、上流側に配置されるドレンブロックの各排水路を流れる水分の量に不均等が生じても、短尺ドレンブロックの短尺排水路で合流される。合流された水分は、下流側に配置されるドレンブロックの各排水路に分配される。従って、下流側の各排水路を流れる水分の量が略均等化されるので、下流側の排水路の容積を有効活用することができる。
【0008】
また、上記の短尺ドレンブロックを緩やかに曲がる道路に設置する場合においては、前記短尺管本体の平面形状が台形状または扇形状に形成されているのが好ましい。
この場合には、平面形状が台形状または扇形状に形成された短尺ドレンブロックを、ドレンブロック同士の間に配置することによって、緩やかに曲がる道路の円弧形状に極力沿わせることができる。また、ドレンブロックの長手方向端部を斜めに切断する必要がないので、現場での施工性にも優れる。
【0009】
一方、本発明にかかる短尺ドレンブロックは、上記のドレンブロックに接続するだけではなく、管本体が普通コンクリートのみで形成された通常のドレンブロックに接続することも可能である。さらに、管本体がポーラスコンクリート層を有するドレンブロックまたは普通コンクリートのみで構成されたドレンブロックに接続される短尺ドレンブロックは、短尺管本体が普通コンクリートのみで構成されてもよい。
すなわち、本発明の短尺ドレンブロックは、排水方向に貫通する排水路を内部に有する管本体からなるドレンブロックに接続され、排水方向の長さが前記ドレンブロックよりも短く形成され、前記舗装表面または舗装内部を流れる水分を内部に取り込む短尺ドレンブロックであって、排水方向に貫通して前記排水路に接続される短尺排水路を内部に有するコンクリート製の短尺管本体からなり、前記短尺管本体には、その上面から前記短尺排水路に通ずる集水路が形成されていることを特徴とする。
上記の構成にかかる短尺ドレンブロックをドレンブロックに接続し、互いの上面が舗装表面と一致するように道路に埋設すれば、短尺管本体の上面から短尺排水路に通ずる集水路によって、当該短尺管本体の上面を流れる水分を短尺排水路に導くことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドレンブロック及び短尺ドレンブロックのポーラスコンクリート層が異物などで目詰まりした場合においても、短尺管本体の上面から短尺排水路に通ずる集水路によって、短尺管本体の上面を流れる水分を短尺排水路に直接導くことができるので、集水機能の低下を補うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる短尺ドレンブロック1が長尺ドレンブロック(ドレンブロック)2に接続され、舗装Pが施された道路Rの脇に設置された状態を示している。なお、この道路Rにおける排水方向は、当該道路Rの縦断方向とする。
図1に示すように、この道路Rでは、プレキャストコンクリート製の境界ブロック3を介して歩道部4と車道部5に区分されている。境界ブロック3は、砕石層6の上に打設された基礎コンクリート7の上に設置されており、その境界ブロック3を支持する砕石層6は、路盤8上に敷設されている。
【0012】
車道部5には、舗装として、例えば排水性舗装Pが施されている。この排水性舗装Rは、路盤8上に不透水層9を敷設するとともに、この不透水層9の上に多孔質なアスファルト混合物よりなる透水機能を有する排水層10を敷設することによって構成されている。
なお、不透水層9と排水層10との間は、タックコート11を塗布することによって接着性を向上させている。
【0013】
短長尺のドレンブロック1,2は、排水性舗装Pよりなる車道部5の道路脇部分(境界ブロック3の車道部5側)に埋設されている。そして、短尺ドレンブロック1と長尺ドレンブロック2とが、道路Rの縦断方向で交互に並ぶように接続されている。
なお、短尺ドレンブロック1は、道路Rの規模や設置環境によって、その配置数や配置位置が適宜選択される。例えば、長尺ドレンブロック2が2つ以上連続して接続された端部に、短尺ドレンブロック1を接続してもよい。
【0014】
この短長尺のドレンブロック1,2は、路盤8における車道部5の端部に砕石層12を敷設し、この砕石層12の上に打設された調整モルタル13上に設置されている。この調整モルタル13に設置されることによって、短長尺のドレンブロック1,2の上面1a,2aが、排水層10の表面10a(舗装表面)と面一となるように高さ調整されている。
また、本実施形態では、車道部5の路盤8内における短長尺のドレンブロック1,2よりも下方に、雨水管14が埋設されている。短長尺のドレンブロック1,2に流れ込んだ雨水(水分)は、道路Rの縦断方向に所定の間隔をおいて設けられた下水升などを介して、上記の雨水管14に流下するようになっている。
【0015】
図2にも示すように、長尺ドレンブロック2は、横断面形状が略矩形に形成され、かつ、排水方向(図2の左右方向)に貫通する断面円形状の長尺排水路(排水路)16Bを内部に有するプレキャストコンクリート製の長尺管本体(管本体)17Bより構成されている。そして、長尺ドレンブロック2の排水方向の長さLbは、約1mに形成されている。
また、この長尺ドレンブロック2は、長尺管本体17Bにおける横断面の略上半分が、排水性舗装Pの排水層10より厚さの大きいポーラスコンクリート層18より構成されている。そして、同長尺管本体17Bにおける横断面の略下半分が、前記上半分と略同厚の普通コンクリート層19より構成されている。
長尺排水路16Bは、長尺管本体17Bの断面中央部に配置されており、当該長尺排水路16Bの中心が、ポーラスコンクリート層18と普通コンクリート層19とが接合する接合面あたりに位置している。
【0016】
上記の長尺ドレンブロック2における長尺管本体17Bの長手方向中途部には、複数の導水孔20が形成されている。これらの導水孔20は、排水層10から長尺排水路16B内への集水をより確実にするためのもので、長尺管本体17Bにおけるポーラスコンクリート層18の側壁上部から長尺排水路16Bに通じるように形成されている。
また、短尺ドレンブロック1が接続される長尺管本体17Bの両側の接続面21には、長尺側係合部22が形成されている。この長尺側係合部22は、一方の接続面21(図3の左側)では凸状に形成されており、他方の接続面21(図3の右側)では凹状に形成されている。
【0017】
図3にも示すように、短尺ドレンブロック1は、横断面形状が略矩形に形成され、かつ、排水方向(図3の前後方向)に貫通する断面円形状の排水路16Aを内部に有するプレキャストコンクリート製の短尺管本体17Aより構成されている。そして、短尺ドレンブロック1の排水方向の長さLaが、約0.3mに形成されており、長尺ドレンブロック2の排水方向の長さLbよりも短く(短尺に)なっている。
また、この短尺ドレンブロック1は、短尺管本体17Aにおける横断面の略上半分が、排水性舗装Pの排水層10より厚さの大きいポーラスコンクリート層18より構成されている。そして、同短尺管本体17Aにおける横断面の略下半分が、前記上半分と略同厚の普通コンクリート層19より構成されている。
短尺排水路16Aは、短尺管本体17Aの断面中央部に配置されており、当該短尺排水路16Aの中心がポーラスコンクリート層18と普通コンクリート層19とが接合する接合面あたりに位置している。
【0018】
上記の短尺ドレンブロック1の短尺管本体17Aには、その上面1aから排水路16Aに通ずる集水路Sが形成されている。具体的には、短尺管本体17Aの上面1aに長方形状の開口部25が形成され、この開口部25から排水路16Aに向かって先細るように導入部26が形成されることで集水路Sが構成されている。
前記開口部25には、ステンレスなどからなる長方形状の蓋パネル27が取り付けられている。そして、蓋パネル27には、当該蓋パネル27の長手方向に複数のスリット27aが形成されている。このスリット27aが形成されることによって、異物が雨水とともに短尺排水路16A側に侵入するのを極力防ぐようになっている。
なお、蓋パネル27は、道路Rを通過する自動車の走行に支障がないように、ボルトなどによって短尺管本体17Aに強固かつ路面から突出しないように固定されている。
【0019】
また、長尺ドレンブロック2が接続される短尺管本体17Aの両側の接続面28には、長尺側係合部22と係合する短尺側係合部29が形成されている。この短尺側係合部29は、一方の接続面28(図2の手前側)では凸状に形成されており、他方の接続面28(図2の後側)では凹状に形成されている。短尺ドレンブロック1と長尺ドレンブロック2とを接続する場合には、凹状の長尺側係合部22に、凸状の短尺側係合部29を係合させることによって、互いのブロックがずれないように接続することができる。なお、長尺側係合部22と短尺側係合部29とは、互いのブロックがずれないように接続することができればよく、その形状などを本実施形態に限定するものではない。
【0020】
なお、短長尺のドレンブロック1,2における短長尺の管本体17A,17Bの上面1a,2aには、車道5側の横断勾配とほぼ同じ勾配i(概ね2%程度)が付されている。また、ポーラスコンクリート層18と普通コンクリート層19との境界部(目地部)には、発泡ゴムなどの遮水シート(図示せず)が挿入されている。この遮水シートによって、ポーラスコンクリート層18と普通コンクリート層19との間の水密性が確保されている。
【0021】
図4〜6は、集水路Sが形成された短尺ドレンブロック1の変形例を示している。
図4に示す第1の変形例にかかる短尺ドレンブロック1は、略正方形状の開口部25が、短尺排水路16Aの真上、かつ、排水方向に2箇所並ぶように形成されている。そして、各開口部25から短尺排水路16Aに向かって導水部21が形成されている。また、各開口部25には、蓋パネル27がそれぞれ取り付けられており、蓋パネル27のスリット27aの方向が互いに直交するように取り付けられている。スリット27aの方向を変えることで、集水性の向上が図られている。
【0022】
図5に示す第2の変形例にかかる短尺ドレンブロック1は、開口部25が、道路Rの境界ブロック3側で排水方向に延びるように形成されている。そして、開口部25の一端部(図5の手前側端部)から短尺排水路16Aに向かって導水部21が傾斜して形成されている。
図6に示す第3の変形例にかかる短尺ドレンブロック1は、開口部25が、道路Rの境界ブロック3側の上角部で排水方向に2箇所並ぶように形成されている。そして、各開口部25から短尺排水路16Aに向かって導水部21が形成されている。
なお、集水路Sを構成する開口部25及び導水部21の形状やレイアウトは、短尺管本体17Aの上面1aの雨水を短尺排水路16Aに導くことができればよく、上記した集水路Sに限定するものではない。
【0023】
ここで、道路Rの雨水の流れについて説明する。
道路Rの排水層10に取り込まれた雨水は、当該排水層10の内部(舗装内部)を道路Rの横断方向に流れる。そして、ポーラスコンクリート層18から短長尺のドレンブロック1,2の内部に浸透し、無数の空隙を介して各排水路16A,16Bに導かれる。この時、長尺ドレンブロック2では、雨水の一部が導水孔20を通って直接長尺排水路16Bに導かれる。
短長尺のドレンブロック1,2の上面1a,2aの雨水や、排水層10の表面10aを流れる雨水は、ポーラスコンクリート層18の上面1a,2aから下方に浸透して各排水路16A,16Bに導かれる。この時、雨水の一部は、短尺ドレンブロック1の集水路Sから直接短尺排水路16Aに導かれる。
また、短長尺のドレンブロック1,2のポーラスコンクリート層18に形成される空隙が、異物などで目詰まりし、当該ポーラスコンクリート層18の集水機能が低下した場合においては、雨水が集水路Sを通って直接短尺排水路16Aに導かれる。
【0024】
上記のように構成された短尺ドレンブロック1によれば、ポーラスコンクリート層18に形成される空隙が異物などで目詰まりし、集水機能が低下した場合においても、短尺管本体17Aの上面1aから短尺排水路16Aに通ずる集水路Sによって、当該短尺管本体17Aの上面1aの雨水を短尺排水路16Aに直接導くことができる。また、集水路Sによって集水機能の低下を補うことができるので、道路脇に雨水が溜まり難く、排水性舗装Pの排水性が早期に低下するのを未然に防止することができる。
また、短尺ドレンブロック1は、排水方向の長さが短く形成されているので、路面荷重からの曲げモーメントに対して強度的に有利となる。従って、集水路Sの開口部25の大きさを大きく形成することができる。
【0025】
図7は、本発明の第2実施形態に係る短尺ドレンブロック1が、長尺ドレンブロック2に接続される状態を模式的に示している。
本実施形態の短尺ドレンブロック1が、第1実施形態の短尺ドレンブロック1と異なる点は、長尺排水路16Bが長尺管本体Bの内部に、例えば2つ設けられており、短尺排水路16Aが、この2つの長尺排水路16Bの断面形状を包含する断面形状に形成されている点である。具体的には、図7に示すように、各長尺ドレンブロック2の長尺管本体17Bの内部には、2つの長尺排水路16Bが水平方向に並設されている。そして、短尺ドレンブロック1の短尺管本体17Aの内部には、2つの長尺排水路16Bの断面形状を包含するように、断面長円状の短尺排水路16Aが形成されている。
【0026】
本実施形態の短尺ドレンブロック1によれば、排水方向上流側(例えば図7の上側)に配置される長尺ドレンブロック2(2U)の各排水路16Bを流れる雨水の量に不均等が生じても、短尺ドレンブロック1の短尺排水路16Aで合流される。合流された雨水は、排水方向下流側(図7の下側)に配置される長尺ドレンブロック2(2D)の各排水路16Bに分配される。従って、排水方向下流側に配置される長尺ドレンブロック2Uの各排水路16Bを流れる雨水の量が略均等化されるので、排水方向下流側の排水路16Bの容積を有効活用することができる。
なお、排水方向上流側の各長尺排水路16Bを流れる雨水の量に大きく不均等が生じる場合としては、2つの長尺排水管16Bのうちの一方に導水孔20が接続され、その導水孔20からより多くの雨水が流入した状態などが想定される。
【0027】
図8は、本発明の第3実施形態に係る短尺ドレンブロック1が、緩やかなカーブを描く道路Rに用いた状態を示している。
本実施形態の短尺ドレンブロック1が、他の実施形態の短尺ドレンブロック1と異なる点は、短尺管本体17Aの平面形状が、台形状に形成されている点である。具体的には、図8に示すように、短尺ドレンブロック1は、長尺ドレンブロック2が接続される道路Rの縦断方向両側の接続面30が、道路Rの縦断方向に互いに近接するように傾斜している。なお、短尺管本体17Aの平面形状は、扇形状に形成されてもよい。
【0028】
本実施形態の短尺ドレンブロック1によれば、平面形状が台形状に形成された短尺ドレンブロック1を、長尺ドレンブロック2同士の間に配置することによって、緩やかに曲がる道路Rの円弧形状に極力沿わせることができる。また、長尺ドレンブロック2の長手方向端部を斜めに切断する必要がないので、現場での施工性にも優れる。
【0029】
なお、上記した各実施形態においては、道路Rの車道部5に排水性舗装Pを敷設した場合を示したが、この排水性舗装Pの代わりに、通常のアスファルト舗装またはコンクリート舗装などが敷設されてもよい。この場合には、短長尺のドレンブロック1,2の上面1a,2aの雨水や、舗装表面10aを流れる雨水は、短尺ドレンブロック1のポーラスコンクリート層18の上面1aから下方に浸透して短尺排水路16Aに導かれる。この時、雨水の一部は、短尺ドレンブロック1の集水路Sから直接短尺排水路16Aに導かれる。また、ポーラスコンクリート層18の空隙が異物で目詰まりし、集水機能が低下した場合においては、集水路Sによって、雨水が短尺排水路16Aに直接導かれる。
【0030】
また、上記した各実施形態においては、短尺ドレンブロック1が、長尺管本体17Bの上部がポーラスコンクリート層18からなる長尺ドレンブロック2に接続された場合を示したが、この長尺ドレンブロック2の代わりに、長尺管本体17Bが普通コンクリートのみで形成された通常の長尺ドレンブロック2に接続することも可能である。
この場合には、舗装表面10aや長尺ドレンブロック2の上面2aを流れる雨水が、短尺ドレンブロック1のポーラスコンクリート層18から内部に浸透し、無数の空隙を介して短尺排水路16Aに導かれる。また、短尺ドレンブロック2のポーラスコンクリート層18に形成される空隙が異物などによって目詰まりし、集水機能が低下した場合においても、集水路Sによって、雨水を短尺排水路16Aに直接導くことができる。
さらに、長尺管本体17Bにポーラスコンクリート層18を有する長尺ドレンブロック2、または、長尺管本体17Bが普通コンクリートのみで構成された長尺ドレンブロック2に接続される短尺ドレンブロック1は、短尺管本体17Aが普通コンクリートのみで構成されてもよい。この場合には、短尺管本体17Aの上面1aを流れる雨水は、集水路Sによって短尺排水路16Aに導かれる。
【0031】
なお、上記実施形態は本発明の例示であってその範囲を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明に含まれるものである。
例えば、短尺ドレンブロック1は、歩道部4に設けられてもよい。歩道部4に設けることよって、歩道部4の舗装表面に雨水が溜まりにくくなり、歩行者が歩道部4を快適に歩行することができる。
また、道路Rにおける排水方向が、当該道路Rの横断方向とされ、短長尺のドレンブロック1,2がその道路Rの横断方向に並ぶように設けられてもよい。さらに、短長尺のドレンブロック1,2が、道路Rの横断方向に並ぶように設けられる場合などにおいて、短尺ドレンブロック1は、その道路Rの横断方向の途中に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる短尺ドレンブロックを用いた道路を示す部分斜視図である。
【図2】長尺ドレンブロックの斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる短尺ドレンブロックを示す斜視図である。
【図4】本発明の短尺ドレンブロックの第1の変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の短尺ドレンブロックの第2の変形例を示す斜視図である。
【図6】本発明の短尺ドレンブロックの第3の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる短尺ドレンブロックと、長尺ドレンブロックとの接続関係を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる短尺ドレンブロックを用いた道路を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 短尺ドレンブロック
1a (短尺ドレンブロックの)上面
2 長尺ドレンブロック(ドレンブロック)
2a (長尺ドレンブロックの)上面
10a 排水層の表面(舗装表面)
16A 短尺排水路
16B 長尺排水路(排水路)
17A 短尺管本体
17B 長尺管本体(管本体)
18 ポーラスコンクリート層
P 排水性舗装(舗装)
R 道路
S 集水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水方向に貫通する排水路を内部に有する管本体の上面から前記排水路に至る当該管本体の上部がポーラスコンクリート層からなるドレンブロックに接続され、排水方向の長さが前記ドレンブロックよりも短く形成され、前記ドレンブロックとともに前記舗装表面または舗装内部を流れる水分を内部に取り込む短尺ドレンブロックであって、
排水方向に貫通して前記排水路に接続される短尺排水路を内部に有するコンクリート製の短尺管本体からなり、前記短尺管本体の上面から前記短尺排水路に至る当該短尺管本体の上部が前記管本体のポーラスコンクリート層と同じ厚さのポーラスコンクリート層から構成され、前記短尺管本体には、その上面から前記短尺排水路に通ずる集水路が形成されていることを特徴とする短尺ドレンブロック。
【請求項2】
前記排水路が前記管本体の内部に複数設けられている場合、前記短尺排水路は、前記複数の排水路の断面形状を包含する断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の短尺ドレンブロック。
【請求項3】
前記短尺管本体の平面形状が台形状または扇形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の短尺ドレンブロック。
【請求項4】
前記ドレンブロックに、請求項1〜3のいずれかに記載の短尺ドレンブロックを接続し、互いの上面が舗装表面と一致するように道路に埋設することにより、前記舗装表面または舗装内部を流れる水分を前記ドレンブロック及び前記短尺ドレンブロックの内部に取り込むようにしたことを特徴とする舗装道路の排水構造。
【請求項5】
排水方向に貫通する排水路を内部に有する管本体からなるドレンブロックに接続され、排水方向の長さが前記ドレンブロックよりも短く形成され、前記舗装表面または舗装内部を流れる水分を内部に取り込む短尺ドレンブロックであって、
排水方向に貫通して前記排水路に接続される短尺排水路を内部に有するコンクリート製の短尺管本体からなり、前記短尺管本体には、その上面から前記短尺排水路に通ずる集水路が形成されていることを特徴とする短尺ドレンブロック。
【請求項6】
前記ドレンブロックに請求項5に記載の短尺ドレンブロックを接続し、互いの上面が舗装表面と一致するように道路に埋設することにより、前記舗装表面及び前記ドレンブロックの上面を流れる水分を前記短尺ドレンブロックの内部に取り込むようにしたことを特徴とする舗装道路の排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−57308(P2006−57308A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239658(P2004−239658)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】