説明

短繊維の計量装置及びその装置を用いた短繊維の供給方法

【課題】鋼繊維等の短繊維を精度良く計量して供給することが可能な計量装置及びその装置を用いた短繊維の供給方法を提供する。
【解決手段】短繊維1が連続供給装置3から計量装置5に供給された後、計量装置5にて短繊維1の重量を精度良く測定しつつ、予め設定された所定値になるように短繊維1の量を細かく調整する。そして、上記所定値に調整された短繊維1は、コンクリート混練機6に供給されて短繊維1を含むコンクリートが製作される。短繊維1を測定する計量装置5は、連続供給装置3から供給された短繊維1を貯留する容器7と、容器7の下端開口部13を開閉する可動扉8と、容器7内に供給された短繊維1の重量を測定する測定器9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートに混合される短繊維の重量を測定する計量測定装置及びこの装置を用いた短繊維の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリートの強度や剛性を高め、或いは、爆裂を防止するために、コンクリートに短繊維を混合する技術が用いられている。
【0003】
短繊維入りのコンクリートを製造するための装置として、例えば、特許文献1には、鋼繊維を大量に貯留するとともに、予め設定された所定量の鋼繊維を供給するための供給部と、この供給部から供給された鋼繊維とコンクリートとを混合するための混練部と、を備えたコンクリート混練装置が開示されている。このコンクリート混練装置の供給部では、貯留された鋼繊維の重量を測定し、供給前後での重量の減少量を鋼繊維の供給量として求めている。例えば、コンクリートと混合する鋼繊維の所定量を50kgとし、供給部の現在の貯留重量を500kgとした場合、貯留重量が450kgになるまで鋼繊維を混練部に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−53102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコンクリート混練装置では、繊維が絡まり供給時の誤差が大きくなり、所定量の鋼繊維を精度良く供給できないという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、鋼繊維等の短繊維を精度良く計量して供給することが可能な計量装置及びその装置を用いた短繊維の供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の短繊維の計量装置は、コンクリート混合用の短繊維の供給装置から供給された当該短繊維を貯留するための、下端が開口する容器と、
前記容器の下端側開口部を開閉可能な可動扉と、
前記容器内の前記短繊維の重量を測定するための測定器と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、供給装置から容器内に供給された短繊維の重量を測定するための測定器を備えているので、短繊維の重量を精度良く測定することができる。したがって、容器内の短繊維を所望の量に正確に調整することができる。
【0009】
また、本発明によれば、容器の下端側開口部を開閉可能な可動扉を備えているので、正確に測定された短繊維を下端側開口部からすべて排出することができる。そして、排出された短繊維をコンクリートと混合することにより、高品質のコンクリートを製作できる。
【0010】
また、本発明において、前記可動扉は、
前記下端側開口部を覆うように設けられ、前記容器の下端部に取り付けられたヒンジを支点として回動可能な扉と、
一端が前記容器に、他端が前記扉に接続され、前記扉を回動させるための駆動装置と、を備えることとしても良い。
【0011】
本発明によれば、可動扉は簡易な機構なので故障が少ない。また、安価に製作することができる。
【0012】
また、本発明において、前記容器は、その上端から下端まで内寸が同一である形状、或いは、上端から下端に向かって内寸が大きくなる形状を有するとしても良い。
【0013】
本発明によれば、容器は、その上端から下端まで内寸が同一、或いは、上端から下端に向かって内寸が大きくなる形状なので、可動扉を開くと短繊維はスムーズに落下し、このため、短繊維の排出口である下端側開口部で短繊維が絡み合って塊状となり、下端側開口部を閉塞することが無い。したがって、容器内のすべての短繊維を短時間で効率良く排出することができる。
【0014】
また、本発明は、コンクリート混合用の短繊維の供給装置から供給された当該短繊維を貯留するための、下端が開口する容器と、前記容器の下端側開口部を開閉可能な可動扉と、前記容器内の前記短繊維の重量を測定するための測定器と、を備える計量装置を用いた前記短繊維の供給方法において、
前記供給装置から供給された前記短繊維を前記容器内に貯留し、
前記容器内の前記短繊維の重量を測定しつつ、前記容器内の前記短繊維の重量が予め設定された所定値になるように前記短繊維の量を調整し、
前記容器内のすべての前記短繊維をコンクリートの製造設備へ供給することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、容器内の短繊維を所望の量に正確に調整することができる。そして、正確な量の短繊維をすべて排出してコンクリートと混合することにより、高品質のコンクリートを製作できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、短繊維を精度良く計量して供給することが可能な計量装置及びそれを用いた短繊維の供給方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る短繊維を含むコンクリートの製作設備を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る計量装置を示す正面図である。
【図3】本実施形態に係る計量装置を示す側面図である。
【図4】本実施形態に係る計量装置の扉を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る短繊維1を含むコンクリートの製作設備を示す概略図である。
図1に示すように、短繊維1は、まず、連続供給装置3の貯留槽4に大量に投入されて貯留される。次に、予め設定された所定量の短繊維1が連続供給装置3から計量装置5に供給される。そして、計量装置5にて短繊維1の重量を精度良く測定しつつ、予め設定された所定値になるように短繊維1の量を細かく調整する。最後に、上記所定値に調整された短繊維1は、コンクリート混練機6に供給されて短繊維1を含むコンクリートが製作される。
【0020】
短繊維1は、長さが数mm〜60mm程度で、鋼材やプラスチック系材料からなるものを用いる。かかる短繊維1としては、例えば、鋼繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を用いることができる。
【0021】
連続供給装置3は、短繊維1を大量に貯留するとともに、予め設定された所定量の短繊維1を連続的に計量装置5へ供給する一般的な装置である。短繊維1の供給量の測定方法は、背景技術に記載した方法と同様であり、供給前後の短繊維1の重量を測定し、その減少量を供給量とする。このとき、連続供給装置3は、大量の短繊維1を貯留するため、計量器の測定精度は、例えば、±1kg程度であり、グラム単位での計量ができるものではない。
【0022】
図2及び図3は、それぞれ本実施形態に係る計量装置5の正面図及び側面図である。
図2及び図3に示すように、計量装置5は、連続供給装置3から供給された短繊維1を貯留するための、下端が開口する容器7と、容器7の下端開口部13を開閉可能な可動扉8と、容器7内に供給された短繊維1の重量を測定するための測定器9と、を備える。
【0023】
容器7は、例えば、角型の筒状で、上端から下端まで内寸が同一の形状を有する。この容器7の外周面には、外方に突出するように複数の支持板10が取り付けられていて、この支持板10を介して架台11に取り付けられている。
連続供給装置3から供給された短繊維1は、容器7の上端開口部12から容器7内に投入される。
【0024】
可動扉8は、容器7の下端開口部13を覆うように設けられ、容器7の下部に取り付けられたヒンジ14を支点として回動可能な一対のバケット状の扉15と、一端が容器7に、他端が扉15に接続され、各扉15を回動させるための駆動装置16と、を備える。
【0025】
一対の扉15同士を閉じ合わせると、容器7の下端開口部13の全体が覆われて、容器7内に短繊維1を収納することができるようになる。
【0026】
容器7内の短繊維1を排出する際は、閉じた状態の一対の扉15を、駆動装置16で各扉15を互いに離間する方向に回動させることにより、容器7内の下端開口部13が開き、短繊維1を下方に排出することができるようになる。なお、本実施形態においては、駆動装置16としてジャッキを用いたが、これに限定されるものではなく、扉15を開閉できるものであれば他の機構を用いても良い。
【0027】
測定器9は、各支持板10と各架台11との間にそれぞれ設置されている。測定器9は、容器7、可動扉8及び短繊維1の全重量を合計して測定し、それから容器7及び可動扉8の重量分を差し引いて短繊維1の重量とする。なお、本実施形態においては、測定器9として、例えば、±100gの精度で計量可能なロードセルを用いた。
【0028】
容器7及び可動扉8の重量は、予め測定されていて、これらの重量を差し引いた値が測定器9に表示される。すなわち、短繊維1が容器7内に入っていないときには、測定器9は0kgを表示し、容器7内に短繊維1が投入された場合は、その重量を直接表示する。
【0029】
そして、測定器9で短繊維1の重量を測定しながら、容器7内の短繊維1の重量が予め設定した設定値となるように、容器7内の短繊維1の量を調整する。短繊維1として鋼繊維を用いた際の調整方法は、例えば、容器7内の鋼繊維が上記所定値よりも多い場合は、磁石を容器7内に入れてその磁石に余分な分の鋼繊維を磁着させて容器7外に除去したり、容器7内の鋼繊維が上記所定値よりも少ない場合は、不足分の鋼繊維を磁石に磁着させて容器7内に投入する。
【0030】
こうして、容器7内の短繊維1の重量を調整することにより、短繊維1の重量が上記所定値になったら、図4に示すように、駆動装置16を駆動させて一対の扉15を同時に開き、容器7内のすべての短繊維1を下方に排出する。このとき、容器7は、上端から下端まで内寸が一定の形状を有しているので、短繊維1が容器7内に残ること無く、短時間ですべて排出される。容器7の下には、コンクリート混練機6が設けられていて、容器7から排出された短繊維1は、コンクリートと混合される。
【0031】
以上説明した本実施形態における短繊維1の計量装置5によれば、連続供給装置3から供給された短繊維1の重量を測定するための測定器9を備えているので、短繊維1の重量を精度良く測定することができる。したがって、短繊維1を上記所定値に正確に調整することができる。
【0032】
また、可動扉8を備えているので、正確に測定された短繊維1をすべて排出することができる。排出された短繊維1をコンクリートと混合することにより、高品質のコンクリートを製作できる。
【0033】
また、容器7は、上端から下端まで内寸が同一なので、可動扉8が開くと短繊維1はスムーズに落下し、このため、下端開口部13で短繊維1が絡み合って塊状となって、当該開口部13を閉塞することが無い。したがって、容器7内のすべての短繊維1を短時間で効率良く排出することができる。
【0034】
また、計量装置5は簡易な機構なので故障が少ない。また、安価に製作することができる。
【0035】
なお、本実施形態においては、容器7として、角型のものを用いたが、この形状に限定されるものではなく、円型のものを用いても良い。
【0036】
また、本実施形態においては、容器7として、上端から下端まで内寸が同一のものを用いたが、これに限定されるものではなく、容器7の内寸が上端開口部12から下端開口部13に向かって大きくなる角錐型や円錐型等の形状のものでも良く、この形状によれば、可動扉8が開くと短繊維1はスムーズに落下する。このため、下端開口部13で短繊維1が絡み合って塊状となり、当該開口部13を閉塞するようなことが無い。したがって、容器7内のすべての短繊維1を短時間で効率良く排出することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 短繊維
3 連続供給装置
4 貯留槽
5 計量装置
6 コンクリート混練機
7 容器
8 可動扉
9 測定器
10 支持板
11 架台
12 上端開口部
13 下端開口部
14 ヒンジ
15 扉
16 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート混合用の短繊維の供給装置から供給された当該短繊維を貯留するための、下端が開口する容器と、
前記容器の下端側開口部を開閉可能な可動扉と、
前記容器内の前記短繊維の重量を測定するための測定器と、を備えることを特徴とする短繊維の計量装置。
【請求項2】
前記可動扉は、
前記下端側開口部を覆うように設けられ、前記容器の下端部に取り付けられたヒンジを支点として回動可能な扉と、
一端が前記容器に、他端が前記扉に接続され、前記扉を回動させるための駆動装置と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の短繊維の計量装置。
【請求項3】
前記容器は、その上端から下端まで内寸が同一である形状、或いは、上端から下端に向かって内寸が大きくなる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の短繊維の計量装置。
【請求項4】
コンクリート混合用の短繊維の供給装置から供給された当該短繊維を貯留するための、下端が開口する容器と、前記容器の下端側開口部を開閉可能な可動扉と、前記容器内の前記短繊維の重量を測定するための測定器と、を備える計量装置を用いた前記短繊維の供給方法において、
前記供給装置から供給された前記短繊維を前記容器内に貯留し、
前記容器内の前記短繊維の重量を測定しつつ、前記容器内の前記短繊維の重量が予め設定された所定値になるように前記短繊維の量を調整し、
前記容器内のすべての前記短繊維をコンクリートの製造設備へ供給することを特徴とする短繊維の供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−51257(P2011−51257A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202962(P2009−202962)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【Fターム(参考)】