説明

石油ファンヒーター用回路基板

【課題】石油ファンヒーターにおいて、操作パネルの高機能化に比例して操作基板と制御基板との配線本数が増加しコネクタやケーブルのコストアップ、さらに操作基板の仕様変更に伴う制御基板の変更による開発イニシャルのコストアップが問題である。
【解決手段】操作基板と制御基板の双方にそれぞれCPUを搭載し、CPU間をシリアル通信で結ぶ事により接続線の本数を2本から5本とし、さらに操作パネルがタッチパネルに変更となっても、シリアル通信での接続であるため制御基板と接続線の本数を変更する必要が無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油ファンヒーターに使用する回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油ファンヒーターは、灯油等の燃料を制御して燃焼を行うものであり、その構造は電気ヒーターより複雑であり、制御を行う回路基板も大型となる。そのため一般的には表示や操作を行う操作基板と、本体の制御を行う制御基板との2枚に分かれ、操作基板は人が操作しやすい例えば機器本体の上部表面に配置され、制御基板は機器本体の内部に配置される。
【0003】
また、燃焼制御はCPUによって行われるが、このCPUは比較的基板サイズに制約が少なく、複雑な燃焼制御を行う部品が配置された制御基板側に搭載される。
【0004】
操作基板は、LCD、LEDランプ等の表示装置とスイッチ等の入力装置が搭載され、操作パネル内に組み込まれる事が多い。
【0005】
操作パネルと制御基板との接続はケーブルによるが、制御基板にのみ搭載されたCPUにより全ての制御を行うため、操作基板に搭載されたLCD、LEDランプ等の表示装置とスイッチ等の入力装置の数に比例して接続ケーブルの本数も必要となり、20本〜40本程度と多数の配線を必要としている。また最近は石油ファンヒータも高機能化しており、例えば人感センサーを利用して燃焼を制御したりするものもあり、今後も接続ケーブルの配線本数は増加傾向にある。
【0006】
さらに、制御基板にのみ搭載されたCPUにより操作基板と制御基板の両方を制御する関係で、操作パネルの仕様に変更が生じた場合には、操作基板を変更するだけでなく、制御基板も同時に変更する必要があるなど無駄も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−48672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、石油ファンヒーターの高機能化に比例して操作基板と制御基板との間で必要とする接続線の本数が増加する点と、操作パネルの仕様変更のみであっても、操作基板とその制御を行うCPUが搭載された制御基板の双方を新しくする必要がある点である。
【0009】
本発明は、操作基板と制御基板との接続ケーブルの配線本数を減らし、操作パネルの仕様変更があったとしても操作基板の変更のみで制御基板が影響されないよう、操作基板と制御基板の双方にCPUを搭載して、このCPU間をシリアル通信で結ぶ事と、接続ケーブルの配線本数を電源を含み2本から5本とする事を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
操作基板用CPUと制御基板用CPUというようにCPUを2つに分ける事により、スマートフォンに採用されているような指先の多点検出が可能なタッチパネルを操作パネルに採用したとしても、タッチパネルの複雑な制御は操作パネル側の操作基板に搭載されたCPUが全て行い、操作の結果のみ制御基板のCPUにシリアル通信で伝えれば良く、例えば従来の操作パネルから最新型のタッチパネルに操作パネルを変更したとしても、シリアル通信でつながっているのであれば制御基板を変更する必要がないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は石油ファンヒーター回路基板の接続例を示したブロック図である。(実施例1)
【図2】図2は石油ファンヒーター回路基板の接続例を示したブロック図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0012】
操作基板と制御基板をシリアル通信で結び、配線本数を2本から5本とすると共に、操作基板の仕様が変更となっても制御基板を共通で利用できるという目的を、最小の部品点数で実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明装置の1実施例のブロック図であって、1は操作パネル、2は操作基板、3はLCD、4はLEDランプ、5はスイッチ、6は操作基板用CPU、7はシリアル通信線、8は制御基板、9は制御基板用CPUである。
【0014】
本発明の主体は、操作基板2と制御基板8との接続方法にあるので、操作基板2と制御基板8の回路の説明とソフトの説明および機構系の説明は省略する。
【0015】
操作パネル1には、LCD3、LEDランプ4、スイッチ5、操作基板用CPU6などが搭載された操作基板2が組み込まれているが、操作基板2にCPUを搭載する事により、制御基板8とのシリアル通信が可能となった。
【0016】
従来の基板においても操作基板と制御基板の2枚にわかれていたが、CPUは制御基板にのみ搭載されているため、操作基板に搭載されたLCD、LEDランプ、スイッチの数量に合せた配線が必要となり、操作基板と制御基板との接続には、20ピンから40ピンと多極のケーブルが必要であった。
【0017】
実施例のように操作基板2と制御基板8にそれぞれCPUを搭載した事により、2枚の基板間にてシリアル通信が可能となり、シリアル通信線7を2線式(I2C)とする事により電源を含めた接続線の本数を4本とする事ができた。
【0018】
なお、シリアル通信にはその他、1線式(1−Wire)、3線式(SPI)などもあるので、シリアル通信線7は2本から5本の本数で構成するのが良い。
【0019】
制御基板8は石油ファンヒーターの燃焼制御を行うが、燃焼制御の動作シーケンスは基本的に同じであり、例えば操作パネルに人感センサー等の高機能センサーが追加されたとしても燃焼に関わる動作シーケンスは同じであるため、制御基板8は変更する必要がない。つまり操作基板2の仕様が変更となったとしても、シリアル通信線7と制御基板8は交換する必要がなく、そのまま利用できる。
【実施例2】
【0020】
図2は、本発明装置の1実施例のブロック図であって、1と2、6から9は実施例1と同様なため説明を省略する。10はタッチパネルである。
【0021】
タッチパネル10は、表示と入力の2つの機能を備えており、アイコンや画像等をLCDに表示すると共に、LCDの表面に導電膜が張り付けられており、この導電膜と指先との間での静電容量の変化をとらえて指先の位置を検出し、アイコンや画像等をタッチするとスイッチONとなるような入出力機能を持つ装置である。
【0022】
本発明の主体は、操作基板2と制御基板8との接続方法にあるので、タッチパネル10の回路の説明と機構系の説明は省略する。
【0023】
最近はスマートフォンで採用されているような、指先の動きに連動して視覚的に操作しやすいタッチパネルが一般的になりつつあるが、LCDはグラフィック表示可能なドットマトリクス方式、導電膜は指先の多点検出を可能とするため縦と横に走る多数の電極列が必要となっている。
【0024】
従来のような制御基板のみにCPUを搭載して、操作基板と必要な配線本数で結ぶ方法では、タッチパネルの採用は非現実的な設計になってしまう。
【0025】
その点、操作基板2にタッチパネル制御を可能とする操作基板用CPU6を搭載し、制御基板8に燃焼制御を行う制御基板用CPU9を搭載し、両CPU間をシリアル通信で結ぶ方法であれば、タッチパネルの採用は合理的な設計となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
操作部と制御部それぞれ基板が分かれ接続線で結ばれているような装置であれば、双方の基板にCPUを搭載してシリアル通信を行う事により、接続線の配線本数を減らす用途として適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 操作パネル
2 操作基板
3 LCD
4 LEDランプ
5 スイッチ
6 操作基板用CPU
7 シリアル通信線
8 制御基板
9 制御基板用CPU
10 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油ファンヒーターにおいて、LCDやLEDランプ等の表示装置とスイッチ等の入力装置が搭載された操作基板が組み込まれる操作パネルと、本体内部で燃焼などの制御を行う制御基板とにそれぞれCPUを搭載して、CPU間をシリアル通信で結ぶ事により接続線の本数を2本から5本とした事を特徴とする石油ファンヒーター用回路基板。
【請求項2】
請求項1記載の操作パネルをタッチパネルとしても、タッチパネルと本体内部の制御基板とはシリアル通信で結ばれているので、接続線の本数も制御基板も変更する必要が無い事を特徴とする石油ファンヒーター用回路基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−193928(P2012−193928A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59965(P2011−59965)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(593137417)株式会社電興社 (2)
【Fターム(参考)】