説明

石油残渣のペレット化

【課題】0.1〜10mmの寸法範囲、本質的に0の針入度、約200〜約400°Fの軟化点温度、0.1〜10重量%の残留水含有率、および10重量%未満の硫黄含有率を有する実質的に球状の均一な石油残渣を製造するための方法および装置の提供。
【解決手段】放出される物質の投げ出し直径より大きい直径を有するペレット化槽36の上端にある自由空間中に融解された状態にある石油残渣を回転するプリル化ペレッド46に供給し、放出された石油残渣が分断されて球状の液体ペレットへと成形され、そして液体のスプレイおよび/または浴中に下方に落下させて固化する。本装置は上方にあるプリル化帯、これの下方の球体形成帯、これの下方の冷却帯、これの下方にある浴、および垂直軸のまわりで回転可能であり、また融解された物質を外方に向けて放射状に投射するための多数の排出オリフィスを有するプリル化ヘッドを備えた直立したペレット化槽を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油残渣をペレット化するための方法および装置に関し、この場合、残渣は回転するプリル化ヘッド(prilling head)を使用することにより融解状態(molten state)でプリル化され、プリル化ヘッドによってつくられる残渣の液体粒子が、固化する前に球体に形成され、次いで球状の粒子が急冷されそして実質的に球状に固化される。本発明は周囲温度で保存されそして/あるいは出荷されることができる石油残渣ペレットにも関する。本発明はペレット化されそして周囲温度で保存/出荷されることができる硬い石油残渣を生成するために、高温での制御された空気酸化によって比較的軟らかい石油残渣を硬化することにも関する。
【背景技術】
【0002】
石油の蒸留からの残渣には舗装用アスファルトおよび燃料を含めて多くの用途がある。道路建設に使用される舗装等級のアスファルトは最近のSHRT規格、粘度(通常、60°Fで200〜5000ポイズ)、針入度(通常30より大きく200dmmまで)、15°F/25°Fの針入度比(通常約0.3以上)、延性、温度感受性およびその他を含めて多くの規格に合格せねばならない。
【0003】
「空気吹き込み」とも称される、石油の残渣留分の空気との高温での接触は、ある種の等級の残渣を舗装用アスファルトとして使用するのに好適にするためにこれの特性を改良するのに便利な方法である。しかしながら、保存および/または出荷のためにペレット化されることができる比較的硬い残渣を得るように比較的軟らかい残渣を空気吹き込みするという実用的な応用は、先行技術に開示されていないようにおもわれる。本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、「軟らかい残渣」または「低い軟化点温度」とは0以上の針入度と200°F以下のRing and Ball(R&B)軟化点温度とを有する石油残渣を意味する。「硬い残渣」または「高い軟化点温度」とは本質的に0の針入度と200°F以上のR&B軟化点温度とを有する石油残渣を意味する。
【0004】
残渣またはアスファルテンの空気吹き込みの装置および方法を開示する代表的な文献には、Roedigerの米国特許第2,616,837号、Finkらの2,627,498号、Biribauerらの2,861,939号、Morrisらの2,889,296号、Fauberの3,462,359号、Fauberの3,598,716号、Alexanderの3,751,278号、Forsterらの3,779,892号、Forsterらの3,868,315号、Senoltらの3,935,093号、Pagenらの3,989,616号、Cushmanらの4,052,290号、Espensheidらの4,207,117号、Clementoniらの4,283,230号、Boyerの4,332,671号、Rankelの4,933,067号、Begliardiらの4,975,176号、Moranらの5,228,977号、Moranらの5,320,739号、Romineらの5,932,186号およびGooswillingenらの5,939,474号がある。空気吹き込み技術は、例えばBITUROXの商標名で商業的に利用できる。
【0005】
舗装用アスファルトとは対照的に、燃料として燃焼される燃料等級の石油残渣に関する規格の厳しさは一層より少ない。残渣は石炭および石油コークスに比べてより大きい発熱量とより良い燃焼特性を一般に有し、このことは、燃焼を助けるために石炭およびコークスに残渣が添加されている理由である。しかしながら軟化点が低い重質の残渣は、取り扱いおよび包装に著しい要求を伴わずには保存および/または輸送を行うのは困難である。この軟化点の低い物質は周囲温度で最初固体であるように見えるときでさえ、時間の経過とともにこのものは高い温度で液体の流動特性を示す。この物質は半固体として、純粋な液体製品として、またはカットバック液体製品として典型的に輸送されてきた。半固体状のものは、漏れおよびこぼれを防止するために閉鎖された容器中で出荷されねばならず、使用の前に通常再び加熱され、またこのようにして物質を包装しそして取り扱う費用が大きいので容量の比較的小さい製品に対して応用が限定される。
【0006】
純粋な液体製品としては、重質の残渣は物質を液体状態に保持するのに十分な温度に保たれる。この方法は費用もかかりまた実際的な応用に制限がある。
【0007】
カットバック液体製品としては、重質の残渣は軽質の炭化水素と混合され、混合物がより低い温度で液体状態に保たれる。この結果、残渣と配合される軽質炭化水素は価値が実質的に低下される。
【0008】
固体のままにとどまるペレット化された残渣は、自由流動性であり、また容易に保存され、包装され、輸送されまた取り扱われる。軟化点温度の低い残渣をペレット化する従来の試みは残渣を固体の被覆でカプセル封入することに頼ってきた。残渣の被覆はカプセル封入方法を複雑化し、組成的に不均一な製品を生じ、被覆材料が一般に高価であるため費用を増大し、費用の破裂または破断のためそして/あるいは被覆が水溶性である場合の水による被覆の溶解のためつねに有効であるとは限らず、また被覆は残渣の燃焼特性に悪影響を及ぼす可能性がある。様々なカプセル封入の装置および方法論を教示する代表的な文献には、Somervilleの米国特許第3,015,128号、Somervilleの3,310,612号、Dannellyの4,123,206号、Dannellyの4,128,409号、Sodicksonの4,386,895号およびRossの5,637,350号がある。
【0009】
Teppoらの米国特許第4,931,231号には、融解した形のアスファルトを円環状の細長い流れとして冷却水中に直接流入させそしてこの細長い流れを個々の固体粒子へとばらばらにすることによりアスファルト物質の個々のペレットを製造するための方法が開示されている。ばらばらにすることの結果生成される粒子は球状でなくまた流動および/または取り扱いの特性が好ましくない。例えば、粒子は製造時に粉塵がないであろうが、ギザギザした縁がなんらかあるので取り扱いに際してかなりの粉塵を生成することになろう。
【0010】
Cerboの米国特許第3,877,918号は粉砕された固体のガラス粒子を、回転式受け器が用いられるビーズ(bead)加熱炉のドラフト管内に遠心的に投入することにより球状のガラス粒子を製造する装置を開示している。回転式受け器は均一に分散した固体のガラス粒子の雲状物を形成し、この粒子は、ガラス粒子を加熱しそして表面張力によって球体に成形するように加熱炉の膨張室内へと上方に導かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術には、融解された状態で残渣を回転するプリル化ヘッドへ供給し、プリル化ヘッドから排出される残渣が粒子へと破砕されそして、粒子が高温の帯域を重力によって通過するにつれ、融解された残渣の表面張力のために球体へと成形されることを可能にし、次いで融解された物質を冷却媒体中で急冷して粒子をその実質的に球状の形に固化することによる、球状の石油残渣ペレットを製造するための方法および装置が開示されているようにはおもわれない。また、高い軟化点温度を有し、実質的に球状で、組成的に均一である(被覆されていない)石油残渣ペレットについても、燃料また燃料添加物として燃焼工程で使用するために、周囲温度での保存および出荷のための球状の残渣ペレットを製造するための方法および装置についても従来なんら開示されていないようにおもわれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、周囲温度において常態で固体であるが、高温で液化されることができる石油残渣のような物質から実質的に球状の粒子が製造される。本発明では、最終的な使用に先立つ周囲温度での保存および出荷に好適な組成的に均一なペレット化された石油残渣が製造される。このペレットは比較的硬くまた200°F以上の軟化点を有し、従って保存および輸送の周囲温度で互いに固着しない。この供給原料が十分に硬くない場合、これは高温での空気酸化によって硬化されることができる。残渣は、高温蒸気の空間に残渣を排出する回転するプリル化ヘッドを使用することによりプリル化される。プリル化ヘッドから残渣が投げ出されそして重力によって落下するにつれ、残渣は小さい小片に壊れ、これが液体であるうちに球体を形成する。液体状態で球体が形成された後、ペレットは例えば、水の霧状物中に球体を通過させそしてこれを水浴中で収集することにより固化される。
【0013】
広範にみて、本発明は石油残渣をペレット化する方法を提供する。本方法は、(1)残渣をそれが液体状態にある温度まで加熱し、(2)入口と液体によって連通しており、放射状に配列された多数の排出オリフィスを有する遠心プリル化ヘッドの入口に高温の残渣を連続的に供給し、(3)排出される残渣の投げ出し直径より大きい直径を有するペレット化槽の上端の近くにある自由空間内に高温の残渣をオリフィスから排出するようにプリル化ヘッドを回転し、(4)排出された残渣が分断され、またこの残渣が液体であるペレット化槽の高温の帯域において実質的に球状のペレットを形成しそして、残渣が可溶でなくまたペレットを冷却/固化させるのに有効である温度に保持されている冷却媒体と接触するように残渣が下方に向かって落下するようにし、(5)固化したペレットと冷却媒体との混合物をペレット化槽から抜き出し、そして(6)冷却媒体からペレットを実質的に分離する、ことを包含する。
【0014】
プリル化ヘッド中の排出オリフィスは、プリル化ヘッドの周縁において垂直方向に間隔のある上方および下方の複数の(a plurality of;多数の)列に配置されるのが好ましい。下方の1つ以上の列は上方の1つ以上の列に比べて、プリル化ヘッドの回転軸からみてより小さい半径において配置されることができる。プリル化ヘッドは最上列のオリフィスから最下列のオリフィスへと先細る周縁を有し、また約10〜5000rpmで回転されることができる。プリル化ヘッドは約2インチ〜約5フィートの直径を有し、オリフィスは約1/32インチ〜約1インチの直径およびオリフィス1つあたり残渣約1〜約1000ポンド/時の製造能力を有し、投げ出し直径は約1〜約15フィートでありまたペレットは約0.1〜約10mmの範囲の寸法を有するのが好ましい。
【0015】
冷却媒体は水であるのが好ましく、また水浴はペレット化槽内で約40〜約190°Fの温度に保たれる。水は、球状のペレットが浴中に入る前にこれを少なくとも部分的に冷却するために、浴の上方の冷却帯での内側に向けられた噴霧、例えば微細な霧状物としてペレット化槽内に導入されるのが好ましい。ペレット化槽から抜き出されるスラリーは冷却帯中に導入される水より約50°Fを超えては温かくないのが好ましい。本方法は、冷却工程から水を収集し、また濾過し、冷却し、そして冷却された水を冷却帯に循環する工程も包含してよい。
【0016】
本方法は、ペレット化槽の上端の近くで蒸気を排気する工程および/またはプリル化ヘッドの近傍に温度が実質的に一定である帯域を維持するためにペレット化槽の上端を加熱する工程もまた包含してよい。さらに本方法は、回収されたペレットをペレット化槽から遠く離れた場所に周囲温度で輸送する工程を含み、ここで、燃料油のためのカッターストック(cutterstock)またはこれに類するものと混合した燃焼改良剤あるいはコークスおよび/または石炭への添加剤としてペレットが燃焼のために使用される。
【0017】
加熱工程に供給される石油残渣は本質的に0の針入度と、200〜400°F、一層望ましくは約230〜約350°Fの軟化点とを有する。残渣は溶媒脱アスファルト法からのアスファルテンに富む留分として得られるのが好ましい。残渣供給物は約350〜約700°Fの温度に加熱されるのが好ましく、また分離部から回収されたペレットは0.1〜10重量%の残留水含有率を有してよい。本方法は輸送された残渣ペレットを例えば、燃焼用の燃料として、石炭および/または石油コークスの燃焼への添加剤としてまたは燃料油中のカッターストックとの配合成分として燃焼することを含むことができる。
【0018】
本方法はさらに、プリル化のための残渣供給物として使用するのに好適な硬い残渣をつくるために、残渣の針入度を本質的に0まで低下しまた軟化点を200°F以上に上昇するのに有効な時間にわたって軟らかい石油残渣を約350〜700°Fの温度で空気と接触させる工程を含む。軟らかい残渣は常圧蒸留塔残渣としてまたは、石油残渣の溶媒脱アスファルト、特にプロパン脱アスファルトからのアスファルテンに富む留分として得ることができる。空気接触工程は約2〜約5時間にわたるのが好ましい。
【0019】
本発明の別な局面では、軟らかい石油残渣から石油残渣ペレットを製造する方法が提供される。この方法は、0より大きい針入度と約200°以下の軟化点温度とを有する軟らかい残渣を、本質的に0の針入度と200°F以上の軟化点温度とを有する硬い残渣をつくるのに有効な時間にわたって温度が約350〜約700°Fの空気と接触させ、そして硬い残渣をペレットに成形することをさらに含む。この方法はまた、ペレットを例えば燃料または燃料添加剤として燃焼することも含んでよい。
【0020】
本発明の別な局面では、周囲温度において常態では固体であるが、高温で液化されることができる石油残渣のような物質から球状のペレットを製造するためのペレット化器が提供される。このペレット化器は、上方にあるプリル化帯、該プリル化帯の下方の高温の球体形成帯、該球体形成帯の下方の冷却帯および該冷却帯の下にある下方の液体冷却浴を有する直立したペレッ化槽を包含する。プリル化ヘッドはプリル化帯の中央に配置されまた垂直軸のまわりで回転可能である。プリル化ヘッドは融解された物質を外方に向けて放射状に投射するための多数の(複数の)オリフィスを有する。プリル化ヘッドの投げ出し直径はペレット化槽の内径より小さい。物質をプリル化ヘッドに供給するためのプロセス配管が設けられている。球体形成帯の垂直高さは、プリル化ヘッドから排出された液体物質を、液体状態にあるうちに実質的に球状に成形するのに十分である。浴内で収集すべき球体の少なくとも外表面を冷却しそして固化するために、液体の冷却媒体、望ましくは霧状物の形の水を冷却帯内に内方に向けて噴霧するためにノズルが設置されてよい。ペレット化槽内の浴の温度を比較的低く保つために水をノズルおよび浴に供給するための別な管が設置される。浴の水の中のペレットのスラリーを抜き出すために別な管が設置される。スラリーのペレットを脱水するための固液分離器が設置される。
【0021】
ペレット化器は、プリル化ヘッドへの供給物質のために好適な硬い残渣を生成するために残渣の針入度を本質的に0まで低下しそして軟化点温度を200°F以上にまで上げるのに有効な時間にわたって、0より大きい針入度を有し、望ましくは100dmm未満である軟らかい残渣を、約350〜約700°Fの温度で空気と接触させるための酸化槽もまた包含してよい。望ましくは、ペレット化器は石油残渣の溶媒脱アスファルトから軟らかい残渣をアスファルテン留分として得るための溶媒脱アスファルト装置をさらに包含してよい。
【0022】
プリル化ヘッドの排出オリフィスは、プリル化ヘッドの周縁において垂直方向に間隔のある上方および下方の複数の列に配置されるのが好ましく、この場合、下方の1つ以上の列が上方の1つ以上の列に比べて、プリル化ヘッドの回転軸からみてより小さい半径において配置される。プリル化ヘッドは直径が比較的大きい最上列から直径が比較的小さい最下列まで連続的にまたは段階的に先細る端縁を有してよい。別な1態様で、プリル化ヘッドは直径の異なる複数のリングを含み、各々のリングの外側の周縁にオリフィスが形成されており、これらのリングが次々に下がってプリル化ヘッドに固定されており、また下方に続いているリングの各々が、先にあるリングより小さい直径を有する。ペレット化器は、プリル化ヘッドを約10〜約5000rpmで回転するための駆動機を包含するのが好ましく、しかも該プリル化ヘッドが約2インチ〜約5フィートの直径を有し、またオリフィスが約1/32インチ〜約1インチの直径およびオリフィス1つあたり融解物質約1〜約1000ポンド/時の製造能力を有する。
【0023】
冷却媒体は水であるのが好ましく、またペレット化器はペレット化槽内の浴を約40〜約190°Fの温度に保持するための冷却器もまた包含するのが好ましい。水性の浴は少量の非発泡性の界面活性剤を含有するのが好ましい。槽は、浴が入った円錐形の底を有し、またスラリーを抜き出し管内に供給するための排出部を該円錐形の底の下端に有するのが好ましい。固液分離器から回収される冷却媒体を濾過するためのフィルターが設けられてよく、濾過された水を冷却するための冷却器および冷却された水を供給管に循環するための循環管が設けられてよい。
【0024】
ペレット化槽の上端の近くでペレット化槽から蒸気を抜き出すための排気管が設けられるのが好ましい。特に、運転開始操作に際してプリル化ヘッドに隣接して温度が実質的に一定の帯域を維持するために槽の上端を加熱するための加熱器もまた設けられてよい。好ましい1態様では、球体形成帯に水蒸気を導入するための管が設けられる。
【0025】
固液分離器には振動篩があるのが好ましい。ペレット化器はペレットを振動篩から周囲温度の貯槽、包装部および/または出荷部に移送するためのコンベヤーベルトをさらに包含してよい。
【0026】
別な局面において本発明は、0.1〜10mmの範囲の寸法、本質的に0の針入度、約200〜約400°F、望ましくは約230〜350°Fの軟化点温度、0.1〜10重量%の残留水含有率、および10重量%より小さい硫黄含有率を有し、実質的に球状で組成が均一であり燃焼に好適である石油残渣ペレットを提供する。残渣ペレットは、軟らかい残渣を硬い残渣に転換するのに有効な時間、望ましくは2〜5時間にわたってこの軟らかい残渣を高温の空気と接触させることを包含する方法により製造される硬い残渣を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】硬い石油残渣を本発明に従ってペレット化する方法の1態様についての簡単化されたプロセス流れ図である。
【図2】プリル化に先立って、柔らかい残渣を硬い残渣に転換するための該柔らかい残渣の空気酸化を含む図1の方法の別な態様についての簡単化されたプロセス流れ図である。
【図3】本発明の1態様に従うペレット化器の簡略化された流れ図である。
【図4】本発明に従うプリル化ヘッドの1態様についての簡略化された概略図である。
【図5】本発明に従うプリル化ヘッドの別な1態様についての簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に従ってペレット化するのに好適な石油残渣には、アスファルテンに富む任意の物質、特に、ROSE、DEMEX、SOLVAHLなどの商標で商業的に利用できる溶媒脱アスファルト法技術で実施される、プロパンまたは他の溶媒での溶媒脱アスファルトからのアスファルテン留分がある。本明細書および特許請求の範囲で用いられる場合、「残渣」という用語は例えば、常圧蒸留塔塔底物、真空蒸留塔塔底物、ビスブレーカー残渣、熱分解器残渣、ソーカー(soaker)残渣、水添処理器残渣、水添分解器残渣などのような石油残渣に由来するアスファルテンを含有する他の源泉もまた含む。残渣は0〜400°Fの軟化点温度、0〜100dmmの針入度、および0〜10重量%の硫黄含有率を有してよい。プロパン脱アスファルトからの残渣および常圧蒸留塔塔底物は典型的に200°F以下の軟化点温度を有する。代表的な石油残渣およびその特性を下記の表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
石油残渣は軟らかい残渣および硬い残渣の2つの群に分けることができ、これらは、ASTM D3461−85に従って測定されるR&B軟化点温度およびASTM D5によって測定される針入度によって互いに区別される。軟らかい残渣のR&B軟化点温度は一般に200°F以下であり、そしてその針入度は0より大きく、また硬い残渣は約200°Fおよびそれ以上のR&B軟化点温度と本質的に0の針入度とを有するであろう。石油残渣のR&B軟化点温度は、残渣の粘度が約1,000,000cStでありそして固体から半固体への相転移が起きる温度として定義される。より軟らかい残渣からつくられるペレットは互いに粘着しまた周囲条件での保存および輸送の可能性が劣るであろう。従って、軟らかい残渣は、これらの物質を化学的に変性する(空気酸化または他の適当な方法によって)か、あるいは得られるペレットを非浸透性の被覆でカプセル封入するように予め処理されない限り、商業的のペレット化するのに一般に不適当である。対照的に硬い残渣からつくられるペレットは、予備処理なしでも保存および輸送の可能性が高い。
【0031】
本発明に従うとき、軟らかい残渣は穏和な圧力(<50psig)および中程度の温度(350〜700°F)において典型的に操作される慣用の空気吹き込み反応器内で空気を噴入させることにより先ず酸化される。残渣は、一定温度での空気吹き込み時間および単位重量あたりの空気流量に応じて硬化する。典型的な空気吹き込み時間は2〜5時間である。しかし、空気吹き込み時間は、温度および/または残渣の単位重量あたりの空気流量を増加することにより減少されることができる。軟らかい残渣中に存在する樹脂のいくらかが酸化されまたアスファルテンに転化される。樹脂およびアスファルテンのいくらかは、軽質炭化水素、軽質炭化水素液体および排出ガス(CO、CO、ガス状炭化水素およびHを含有する)へと転化される。空気吹き込み法では、残渣の発熱量が一般に低下するが残渣のR&B軟化点温度と酸素含有率は増加する。R&Bが200°F以上である酸化された残渣はペレット化に好適である。
【0032】
本発明は、軟らかい残渣および硬い残渣の双方からペレットまたはプリルを製造する方法である。本発明の1つの態様によると、硬い残渣10、つまり200°F以上のR&B軟化点温度を有するものが、直接に、つまり何らかの予備処理なしにペレット化されることができる(図1参照)。軟らかい残渣12は、これをペレット化に一層好適にするために、R&B軟化点温度が200°F以上の硬化された残渣へとこれを転化するために高温および穏和な圧力での空気酸化または空気吹き込み14に先ずかけられるのが好ましい(図2)。硬い残渣および硬化された軟らかい残渣の双方のペレット化は、遠心プリル化装置を使用するペレット化工程16を用いて実施される。遠心プリル化装置は、大きなプリル化能力、いろいろな寸法のペレットをまた様々な残渣から製造する融通性、操作の容易さ、自己清浄化能力、そして運転開始および運転停止の容易さを有する。
【0033】
ペレット化16では、保存、輸送および燃料特性が良好である実質的に球状であるペレットが製造される。ペレット化16からのペレットは、場合によってはパッド上での、またはピット、サイロ、タンクもしくはドラム中での貯蔵部18(図1)に送られ、あるいは貯蔵には袋、箱、ドラム缶などの中に包装することが含まれてよい。次いでペレットはトラック、貨車、船舶、艀などによる出荷部20に送られてよい。ペレットは図2に示すように出荷の後に貯蔵されることもできる。次いで、典型的にそれから熱回収が行われる煙道ガス24を得るために、技術上知られた残渣燃焼にとって好適なように設計された慣用の燃焼装置22中で、ペレットが空気によって燃焼されるのが好ましい。しかしながら、本発明はペレットの燃焼のみにかならずしも限定されず、別な用途を有していてもよい。
【0034】
図3を参照するとして、硬い残渣10(または空気吹き込み装置からのまたは硬化された軟らかい残渣を製造できる他の処理装置からの硬化された軟らかい残渣)はサージドラム30に供給される。サージドラム30の目的は、頂部から管32で排気される、残渣中に含まれる余剰の溶媒を除去し(例えば、溶媒脱アスファルト工程から回収されるアスファルテンから)、また容積式ポンプ34のためにプラスの吸入ヘッドを与えるためでもある。容積式ポンプ34は残渣を好ましい流量でペレット化槽36に供給する。圧力制御弁38および戻り管40を包含するスピルバック(spill back)系統によって、サージドラム30中の残渣の液位が維持されまたペレットの製造における変動に対しての調整もなされる。容積式ポンプ34からの残渣は、残渣トリムヒーター42を通過し、そこでペレット化を成功させるように残渣が所望の操作温度に加熱される。残渣のトリムヒーター42からの典型的な出口温度は、残渣の粘度およびR&B軟化点温度に依存しつつ約350〜約600°Fまたは700°Fの範囲にある。
【0035】
高温の残渣は管44を経てペレット化槽36の頂部に入り、そこで、回転するプリル化ヘッド46内に流入する。回転するヘッド46はペレット化槽36の頂部に直接取り付けられておりまた電気モーター48または他の慣用の駆動機を使用することにより回転される。回転ヘッド46は約10〜約5000RPMの範囲の速度で回転される。
【0036】
回転するヘッド46は、図4および5にそれぞれ設計が示されている先細りするバスケット状体46aまたは複数の直径を有するヘッド46bを含めて様々な設計のものであってよいが、これらに限られることはない。オリフィス50は、以下に一層詳細に論ぜられるように、3角ピッチまたは4角ピッチあるいは他の任意の配置で1列またはそれ以上の列となってヘッド46a、46bの周縁上に均等な間隔にある。オリフィス50の直径は、所望のペレット寸法および寸法分布を生じるように約0.03〜約1インチ(約0.8〜25mm)で変化してよい。回転するヘッド46の直径、RPM、オリフィス50の寸法および流体の温度(粘度)の組み合わせによって、ペレットの寸法および寸法分布、オリフィス1個あたりの残渣の通入量そしてペレットの投げ出し直径が調節される。残渣が回転ヘッド46に入ると、残渣の長くて細い円筒が遠心力によってペレット化槽36の頂部の自由空間内に排出される。残渣がペレット化槽36を通って外方にそして/あるいは下方に移動するにつれ、表面張力が粘性力と慣性力との合力を凌駕するので残渣が球状のペレットへと分裂する。ペレットは、ペレット化槽36の望ましくは円錐形である底54中に保持されている冷却水浴52(図3参照)中を螺旋状に落下する。回転ヘッド46の回転軸と、ペレットがヘッド46から遠のくのが終わり下方に落下し始める場所との間の水平距離は投げ出し半径と称される。投げ出し直径、つまり投げ出し半径の2倍は、ペレットが槽36の壁に当たりそしてその上にたまるのを避けるために、ペレット化槽36の内径より小さいのが好ましい。
【0037】
残渣が回転ヘッド46から流出する際に、ヘッド46に隣接する領域を高温に保持するために、ペレット化槽の頂上部分の内側に水蒸気コイル、電気加熱コイルまたは他の加熱要素56が設けられてよい。ペレット化槽36の頂上部分内の領域の加熱は、主として運転開始に際して行われてよいが、正規の操作に際してペレット化槽36内の蒸気の温度を一定に保持するために行われてもよい。所望ならば水蒸気は、加熱要素56の代わりにまたはこれに加えて運転開始のために槽36を加熱するために管57を経て導入されることができる。運転開始時の水蒸気の導入は、残渣ペレットを好ましくなく酸化するであろうペレット化槽46からの空気を置換するのに役立てられることができる。蒸気の温度を残渣供給物44の温度に近い一定温度に保つことは粘性力を凌駕するのに役立ち、また残渣の投げ出し直径を減少しまた残渣が糸紐状化するのを減らすのを助けることができる。高温の残渣および蒸発されたあらゆる冷却水からの水蒸気によって発生される蒸気は排気管58を通って槽36の頂部から流出しそして所望のままに回収されあるいは燃焼される。
【0038】
ペレットは、ペレット化槽36の底の部分に保持されている冷却水浴52まで螺旋状に移動する。融解した中心核をこの段階でまだ有する可能性のあるペレットの表面が、スプレイノズル60によって発生される水の霧状物によって瞬時に冷却されまた硬化されることが望ましい。表面の硬化されたペレットは、ペレット化槽36からペレットを除去するのを助けそしてペレットの一層の冷却も行うための撹乱を与えるように水がペレット化槽36の底の部分に入る水浴52中に落下する。球状のペレットの平坦化を減少するようにペレットがゆっくりと着床するために、TERGITOLおよびTRITONの商標名で入手できるものを含め、これらには限定されないいろいろな製造者からの1つまたはそれ以上の非発泡性の界面活性剤が低水準(20ppmより少ない)で冷却水中に使用されてよい。冷却水の流量は、管62、64を経由する流入水の入口と流出管66との間の、約10〜約50°F、より望ましくは約15〜約25°Fの温度上昇を与えるように維持されるのが好ましい。
【0039】
ペレットおよび冷却水は、ペレット化器の槽36から、ペレットが脱水される振動篩68のような分離手段までスラリーとして流れる。ペレットは約10重量%までの、望ましくは1重量%または0.1重量%またはそれ以下さえのもの低い残留水含有率を有することがありうる。ペレットはコンベヤーベルト70によって慣用的なサイロ、開放ピット、袋詰め装置またはトラック積み込み施設(図示せず)に輸送されてよい。脱水篩68からの水は水溜め72に流入する。水溜め72は冷却水ポンプ74に対して十分なプラスの吸入ヘッドを与える。あるいは別に、脱水篩(図示せず)から水がポンプの吸入部に直接導入されてよい。冷却水は、例えば微粉および固体が除去されるフィルターのような固体除去要素76を通じてペレット化器にポンプで戻される。冷却水は管80を経てペレット化槽36に循環するために、例えば、空気冷却器78によって、製油所の冷却水系統(図示せず)との熱交換によって、あるいは他の慣用的な冷却手段によって周囲温度まで冷却される。
【0040】
図3のペレット化器の典型的な操作条件を以下の表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
本発明は、石油残渣をペレット化するために遠心押し出し手段46を使用することを開示する。遠心押し出し手段46は残渣をペレット化するための低価格で、処理量が大きく、融通性があり、そして自己清浄性の手段となる。オリフィス50は回転ヘッド46の周縁上に位置する。所望の製造を行うのに必要なオリフィス50の数はヘッド46の直径を増大することによりそして/あるいは1列になったオリフィス50の間の距離を減少しかつオリフィス50を軸方向に沿って複数のレベルに間隔をあけることによって増加される。オリフィス50は3角ピッチまたは4角ピッチであるいは別な配置で軸方向に間隔をあけられることができる。
【0043】
回転ヘッド46は、図4および5にそれぞれ示す、先細りするバスケット状体46aまたは複数の直径を有する設計のヘッド46bを含むがこれらに限定されない様々な設計のものであってよい。ヘッド46の直径と回転速度との組み合わせによって、残渣が遠心ヘッド46から押し出される遠心力が決まる。例えば、ヘッド46bのいろいろな周縁にオリフィス50を設けることにより、融解した/粘着性の粒子の衝突に対する傾向がいずれも最小になると考えられるが、これは異なる投げ出し直径があり、従って残渣粒子が冷却されそして固化される前に残渣粒子の集塊化が防止されることによる。所望ならば、ヘッド46bの異なるリング47a〜cは、例えば、それぞれの周縁において大体同じ遠心力を得るように異なる速度で回転されることができる。
【0044】
回転速度およびヘッド46の直径以外の他の操作パラメータはオリフィス50の直径、残渣温度、周囲温度、ヘッド50の内側の残渣流通チャンネル(図示せず)の寸法、残渣の粘度および表面張力である。これらの要因および、それらのペレット寸法、オリフィス1個あたりの製造速度、投げ出し直径およびジェットの切断長さとの関係を以下に説明する。
【0045】
オリフィス50の寸法はペレットの寸法に影響する。粘度(温度)、回転速度、ヘッド46の直径および通入量が所与であると、オリフィス50の寸法がより小さいとより小さいペレットが生成する一方、寸法がより大きいとより大きいペレットが生成する。同一の操作条件について、投げ出し直径はオリフィス50の寸法が減少すると増大する。回転速度、ヘッド46の直径および通入量を調整することにより、寸法範囲がいろいろなペレットが製造されることができる。通入量に依存しつつオリフィス50の数は10以下から700以上であってよい。
【0046】
遠心ヘッド46の回転速度および直径は、残渣の押し出しが行われる遠心力に影響する。他の条件が一定のままであると仮定すると、RPMを増大するとペレット寸法が減少しまた投げ出し直径が増大する。ヘッド46の直径が増大すると遠心力が増大し、また遠心力を一定に保つために、ヘッド46の直径の比率の平方根に比例してRPMが減少されることができる。オリフィス50の1個あたりの製造速度がより大きいとより大きい回転速度が一般に必要である。典型的なRPMの範囲は10〜5000である。遠心ヘッド46の直径は2インチから5フィートまで変化してよい。
【0047】
一般に残渣の粘度は温度の低下とともに指数関数的に増大する。様々な温度における残渣の粘度は、それが2つの温度で知られている限り、当業者にとって既知のASTM技術を用いて内挿によって推定されることができる。粘度は生成されるペレットの寸法に影響し、他の条件が同じであるとすると残渣の粘度がより大きいとより大きペレットが生成される。
【0048】
実施例1および2
R&B軟化点温度265°Fおよび292°Fを有する、溶媒脱アスファルトから製造される2つの石油残渣について実験を実施した。実験設備は供給タンクオーブン、ペレット化器残渣ポンプ、加熱された供給管、残渣を遠心ヘッドに供給するための密封部、多オリフィス遠心ヘッド、ヘッドを駆動するためのモーターおよびベルト、およびペレット収集トレイからなる。ドラムオーブン中で残渣を所望の操作温度まで加熱し、そしてペレット化器残渣ポンプによって回転する遠心ヘッドにポンプで送入した。ペレット化器残渣ポンプは5gpmまでポンプ送入することができるギアポンプであった。高い温度、中程度の圧力で密封すると、残渣の輸送時に供給管と遠心ヘッドとの間に正圧の漏洩防止的な接続がなされた。
【0049】
各々のペレット化実験の前にポンプを較正した。残渣が遠心ヘッド中に流入する時、残渣の長くて細い円筒がペレット化器の頂部の自由空間中に遠心力によって排出された。残渣が蒸気の空間中で下方に移動する時、表面張力が粘性力と慣性力との合力を凌駕するので残渣が球状のペレットへと分裂した。ペレットは、冷却水浴が保持されている収集トレイ中に螺旋状に落下した。
【0050】
実験用の遠心ヘッドは金属のチャンバー内に収納しまた灯油燃焼の2基の空気加熱器を用いてチャンバー内の蒸気を残渣の供給温度近くに保った。誘導コイル加熱器を用いて遠心ヘッドを残渣温度近くまで加熱した。球状のペレットを形成するように粘性力を凌駕するために金属チャンバーを加熱した。これによって投げ出し直径も減少しまた残渣の糸紐状化が防止された。単一のおよび複数のオリフィスで実験を実施した。そして大きな通入量でペレットが首尾よく製造された。複数のオリフィスで操作する場合、蒸気空間中でまたはペレット収集トレイ内に落下する際にペレットは集塊化しなかった。
【0051】
実施例1および2は、本発明の原理に従って遠心押し出し装置を使用することによる残渣のペレット化操作を例解し、またこの装置のペレットを首尾よく製造する能力を例証した。残渣の特性および操作パラメータを下記の表3に示す。
【0052】
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
残渣をそれが液体状態にある温度まで加熱し;
放射状に配列された多数の排出オリフィスを有する遠心プリル化ヘッド(prilling head)の入り口に高温の残渣を連続的に供給し;
排出される残渣の投げ出し(throw−away)直径より大きい直径を有するペレット化槽の上端にある自由空間内に高温の残渣をオリフィスから排出するようにプリル化ヘッドを回転し;
排出された残渣が分断され、また残渣が液体であるペレット化槽の高温の帯域において実質的に球状のペレットを形成しそして、ペレットを実質的に球状に固化させるのに有効な温度に保持された液体冷却媒体の浴内に残渣が下方に向かって落下するようにし;
固化したペレットと冷却媒体とのスラリーをペレット化槽から抜き出し;
冷却媒体からペレットを実質的に分離する:
ことを包含する石油残渣をペレット化する方法。
【請求項2】
残渣が本質的に0の針入度、200〜400°Fの軟化点を有し、また残渣が約350〜約700°Fに加熱される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
0より大きい針入度と約200°以下の軟化点とを有する軟らかい残渣を、その針入度を本質的に0まで低下させそして加熱における残渣供給物として使用するのに好適な硬化された残渣を生成するために軟化点を200°F以上に上げるのに有効な時間にわたって温度が約350〜約700°Fの空気と接触させる工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
空気との接触工程が約2〜約5時間にわたる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
プリル化ヘッドの周縁において排出オリフィスが垂直方向に間隔のある上方および下方の複数の列に配置され、しかも、下方の1つ以上の列が上方の1つ以上の列に比べて、プリル化ヘッドの回転軸からみてより小さい半径において配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プリル化ヘッドが、排出オリフィスの最上列から最下列に向かって先細る周縁を有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プリル化ヘッドが約10〜約5000rpmで回転され、プリル化ヘッドが約2インチ〜約5フィートの直径を有し、オリフィスが約1/32インチ〜約1インチの直径およびオリフィス1個あたり融解物質約1〜約1000ポンド/時の製造能力を有し、投げ出し直径が約1〜約15フィートでありまたペレットが約0.1〜約10mmの範囲の寸法を有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
冷却媒体が水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ペレット化槽内で浴が約40〜約190°Fの温度に保たれる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
球状のペレットが浴に入る前にこれを少なくとも部分的に冷却するために浴の上方の冷却帯内の内側に向かうスプレイとして水がペレット化槽内に導入される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ペレット化槽から抜き出されるスラリーが、冷却帯内に導入される水より約50°Fを超えては温かくない請求項9に記載の方法。
【請求項12】
分離部から水を回収し、回収された水を濾過し、回収された水を冷却しそして回収された水を冷却帯に循環する工程をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
供給物質が約230〜約350°Fの軟化点を有する石油残渣を含み、そして分離部から回収されるペレットが0.1〜10重量%の残留水含有率を有する請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ペレット化槽の上端近くから蒸気を排気する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
運転開始中に、温度が実質的に一定である帯域をプリル化ヘッドに隣接して維持するようにペレット化槽の上端を加熱する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
プリル化ヘッドと浴との間で水蒸気をペレット化槽に導入することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
回収された周囲温度にあるペレットを、ペレット化槽から遠く離れた場所に移送する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
移送されたペレットを燃料または燃料添加剤として燃焼することをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
0より大きい針入度と約200°F以下の軟化点とを有する軟らかい残渣を、本質的に0の針入度と200°F以上の軟化点とを有する硬い残渣を生成するのに有効な時間にわたって約350〜約700°Fの温度で空気と接触させ;
前記硬い残渣を実質的に球状のペレットに成形する:
ことを包含する軟らかい石油残渣から石油残渣ペレットを製造する方法。
【請求項20】
燃料または燃焼添加剤としてペレットを燃焼することをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
0.1〜10mmの範囲の寸法、本質的に0の針入度、約200〜約400°Fの軟化点、0.1〜10重量%の残留水含有率、および10重量%より小さい硫黄含有率を有し、実質的に球状で組成が均一であり燃焼に好適である石油残渣ペレット。
【請求項22】
200°F以下の軟化点と0より大きい針入度とを有する軟らかい残渣を硬い残渣に転換するのに有効な時間にわたってこの軟らかい残渣を高温の空気と接触させることを包含する方法により製造される硬い残渣を含む請求項21に記載の残渣ペレット。
【請求項23】
上方にあるプリル化帯、該プリル化帯の下方の球体形成帯、該球体形成帯の下方の冷却帯および該冷却帯の下にある下方の冷却浴を備えた直立したペレット化槽;
垂直軸のまわりで回転可能であり、また供給物質を外方に向けて放射状に投射するための多数の(複数の)オリフィスを有する、プリル化帯内にあって中央に配置されているプリル化ヘッドであって、しかも、該プリル化ヘッドの投げ出し直径がペレット化槽の内径より小さいもの;
融解された供給物質をプリル化ヘッドに供給するための管;
プリル化ヘッドから排出された物質が実質的に球状の液体ペレットを形成できるのに十分な垂直高さの球体形成帯;
浴内で収集すべき液体ペレットを冷却しそして少なくとも部分的に固化するために、液体の冷却媒体を冷却帯内に内方に向けて噴霧するためのノズル;
冷却媒体をノズルに対してそして、ペレット化槽内の浴の深さを維持するために浴に対して供給するための管;
冷却媒体中のペレットのスラリーを抜き出すための管;
スラリーからペレットを回収するための固−液分離器:
を包含する、高温で融解されることができる常態で固体の供給物質から球状のペレットを製造するためのペレット化器。
【請求項24】
プリル化ヘッドへの供給物質として好適な硬い残渣を生成するために、軟らかい残渣の針入度を本質的に0まで低下させそして軟化点を約200°F以上にまで上げるのに有効な時間にわたって、0より大きい針入度と約200°F以下の軟化点とを有する軟らかい残渣を、約350〜約700°Fの温度で空気と接触させるための酸化槽;
融解された供給物の供給管に硬い残渣を供給するための工程の管:
をさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項25】
石油残渣の溶媒脱アスファルトから軟らかい残渣をアスファルテン留分として得るための溶媒脱アスファルト装置をさらに包含する請求項24に記載のペレット化器。
【請求項26】
プリル化ヘッドに供給される物質を加熱するための加熱器をさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項27】
プリル化ヘッドの周縁において排出オリフィスが垂直方向に間隔がある上方および下方の複数の列に配置され、しかも、下方の1つ以上の列が上方の1つ以上の列に比べて、プリル化ヘッドの回転軸からみてより小さい半径において配置されている請求項23に記載のペレット化器。
【請求項28】
プリル化ヘッドが、最上列から最下列に向かって先細る周縁を有する請求項27に記載のペレット化器。
【請求項29】
プリル化ヘッドが直径の異なる複数のリングを含み、各々のリングの外側の周縁にオリフィスが形成されており、しかも、これらのリングが次々に下がってプリル化ヘッドに固定されており、また下方に続いているリングの各々が、先にあるリングより小さい直径を有する請求項27に記載のペレット化器。
【請求項30】
プリル化ヘッドを約10〜約5000rpmで回転するための駆動機をさらに包含し、しかも、該プリル化ヘッドが約2インチ〜約5フィートの直径を有し、またオリフィスが約1/32インチ〜約1インチの直径およびオリフィス1つあたり供給物質約1〜約1000ポンド/時の製造能力を有する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項31】
冷却媒体が水を含み、そして、ペレット化槽内の浴を約40〜約190°Fの温度に保持するための冷却器をさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項32】
浴が少量の非発泡性の界面活性剤を含有する請求項31に記載のペレット化器。
【請求項33】
槽が、浴の入った円錐形の底を有し、またスラリーを抜き出し管内に供給するための排出部を該円錐形の底の下端に有する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項34】
固液分離器から回収される冷却媒体を濾過するためのフィルター、回収された冷却媒体を冷却するための冷却器、および冷却された冷却媒体を供給管に循環するための循環管をさらに包含する請求項33に記載のペレット化器。
【請求項35】
ペレット化槽の上端の近くで蒸気を抜き出すための排気管をさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項36】
温度が実質的に一定の帯域をプリル化ヘッドに隣接して維持するために槽の上端を加熱する加熱器をさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項37】
固液分離器が振動篩を含む請求項23に記載のペレット化器。
【請求項38】
ペレットを振動篩から周囲温度の貯槽に移送するためのコンベヤーベルトをさらに包含する請求項23に記載のペレット化器。
【請求項39】
球体形成帯に水蒸気を導入するための管をさらに包含する請求項22に記載のペレット化器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17022(P2011−17022A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207995(P2010−207995)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2000−356399(P2000−356399)の分割
【原出願日】平成12年11月22日(2000.11.22)
【出願人】(599057216)ケロッグ ブラウン アンド ルート,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】