説明

石炭ガス化複合発電プラント

【課題】プラントの設置コストを削減でき、かつ、プラントの効率の低下防止が可能な石炭ガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【解決手段】石炭が導かれるガス化炉9と、ガス化炉9においてガス化された燃料ガスが燃焼する燃焼器17を備えるガスタービン16と、ガスタービン16から導出された排ガスによって蒸気を発生する排熱回収ボイラ23と、排熱回収ボイラ23において発生した蒸気が導かれる蒸気タービン25と、蒸気タービン25およびガスタービン16によって駆動されて発電する発電機21と、ガスタービン16から導出された排ガスの一部が導かれて二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置13と、を備え、二酸化炭素は、石炭をガス化炉9へと搬送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、乾式給炭空気吹きの石炭ガス化複合発電プラントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾式給炭空気吹きの石炭ガス化複合発電プラントは、原炭バンカーから微粉炭機へと石炭が供給され、微粉炭機において石炭が微粉砕される。粉砕された石炭(以下「微粉炭」という。)は、微粉炭集塵器で捕集され微粉炭ビンおよび微粉炭ホッパを経てガス化炉へと供給される。
【0003】
微粉炭が微粉炭ホッパからガス化炉に供給される際には、空気分離器によって空気から分離した不活性ガスである窒素ガスを用いて、微粉炭がガス化炉に搬送される。また、空気分離器によって空気から分離された酸素は、ガス化炉へと導かれて、窒素ガスによって搬送された微粉炭を燃焼させる。微粉炭は、ガス化炉内おいて部分燃焼・熱分解された後、ガス化されて生成ガスとなる。
【0004】
生成された生成ガスからは、フィルタを介して生成ガス中に含まれるチャーが分離される。フィルタによって分離されたチャーは、ガス化炉へ回収されて微粉炭と共に燃焼される。その際に、チャーは、空気分離器によって発生させた窒素ガスによってガス化炉へと搬送される。また、チャーを分離するフィルタは、空気分離器によって発生させた窒素ガスを用いて逆洗することによって目詰まりが防止される。
【0005】
フィルタを通過した生成ガスは、ガス精製装置において生成ガス中に含まれる硫黄化合物や窒素化合物などが取り除かれて燃料ガスとしてガスタービンへと導かれる。ガスタービンに導かれた燃料ガスは、ガスタービンの燃焼器において空気と共に燃焼されて排ガスとなる。
【0006】
排ガスは、燃焼器から排出されてガスタービンのタービンを回転駆動させる。タービンが回転駆動することによって、同軸上に設けられている圧縮機が回転駆動されて空気を圧縮する。また、回転軸の端部に接続されている発電機により発電する。なお、圧縮機が圧縮した空気は、ガスタービンの燃焼器と、ガス化炉とに供給される。
【0007】
タービンを回転駆動させた排ガスは、排熱回収ボイラへと導かれる。排熱回収ボイラに導かれた排ガスは、排ガス中の熱量によって排熱回収ボイラに導かれた水を蒸気にする。排熱回収ボイラにおいて発生した蒸気は、ガスタービンの回転軸上に設置されている蒸気タービンを回転駆動させる。蒸気タービンに接続されている回転軸は、蒸気タービンが回転駆動されることによって、さらに駆動される。このように、発電機をガスタービンと蒸気タービンとによって駆動させて複合発電して発電効率を向上させている。
【0008】
一方、排熱回収ボイラにおいて水に熱量を与えた排ガスは、煙突から石炭ガス化複合発電プラント外へと排出される。
また、ガスタービンから導出された排ガス中の一部は、微粉炭機へと導かれる。微粉炭機に導かれた排ガスは、乾燥しておりかつ大きな熱量を有するため、原炭バンカーから供給された石炭の乾燥に用いられる。
【0009】
以上のような石炭ガス化複合発電プラントから排出される二酸化炭素の利用について特許文献1には、ガスタービンから導出された排ガスを回収してガスタービンの燃焼器や圧縮機に循環させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−1428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、微粉炭やチャーをガス化炉へと搬送する不活性ガスや、フィルタの逆洗に用いられる不活性ガスを発生させる空気分離器を設ける必要がある。しかし、空気分離器を稼働させるには大きな動力が必要なため、プラント全体の効率が低下するという問題があった。また、空気分離器を設置するためプラントの設備コストが高くなるという問題があった。さらには、空気分離器は、連続運転に対する信頼性が劣るという問題があった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プラントの設置コストを削減でき、かつ、プラントの効率の低下防止が可能な石炭ガス化複合発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の石炭ガス化複合発電プラントは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、石炭を微粉砕する粉砕機と、該粉砕機が微粉砕した石炭が導かれるガス化炉と、該ガス化炉においてガス化された燃料ガスが燃焼する燃焼器を備えるガスタービンと、該ガスタービンから導出された排ガスによって蒸気を発生する排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラにおいて発生した蒸気が導かれる蒸気タービンと、該蒸気タービンおよび前記ガスタービンによって駆動されて発電する発電機と、前記ガスタービンから導出された排ガスの一部が導かれて二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、を備え、前記二酸化炭素を用いて、石炭およびチャーのホッパを加圧し、前記二酸化炭素を搬送ガスとして前記ガス化炉へと搬送することを特徴とする。
【0014】
従来は、粉砕機によって微粉砕された石炭をガス化炉へと搬送するために空気分離器によって発生させた不活性ガスである窒素ガスを用いていた。しかし、空気分離器を稼働させるためには、大きな動力が必要となり石炭ガス化複合発電プラントの効率が低下するという問題があった。また、石炭ガス化複合発電プラントに空気分離器を設ける必要があるため、空気分離器の設置コストがかかり石炭ガス化複合発電プラントのコストが増すという問題があった。また、空気分離器は、その連続運転時における信頼性が劣るという問題があった。
【0015】
本発明は、二酸化炭素回収装置を設けて、ガスタービンから導出される排ガス中の二酸化炭素を回収することとした。二酸化炭素回収装置によって回収される二酸化炭素は、不活性ガスである。そのため、回収した二酸化炭素をガス化炉へ石炭を搬送するために用いることができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる装置を設ける必要がなくなり、石炭ガス化複合発電プラントの設備コストを低減することができ、かつ、石炭ガス化複合発電プラントの効率低下を防止することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、前記二酸化炭素回収装置は、前記ガス化炉と前記燃焼器との間に設けられることを特徴とする。
【0017】
ガス化炉によって生成される燃料ガス中には、二酸化炭素が含まれている。そこで、ガス化炉と燃焼器との間に二酸化炭素回収装置を設けることとした。そのため、ガス化炉から導出される燃料ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素回収装置によって回収することができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる必要がないため、石炭ガス化複合発電プラントの設備コストを低減するとともに、石炭ガス化複合発電プラントの効率低下を防止することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、前記二酸化炭素回収装置の上流側には、燃料ガス中の一酸化炭素を所定量の二酸化炭素に製造する一酸化炭素シフトコンバータが設けられることを特徴とする。
【0019】
一酸化炭素は、水蒸気と触媒上で反応させることによって二酸化炭素へと生成される。そこで、一酸化炭素シフトコンバータを二酸化炭素回収装置の上流側に設けることとした。そのため、ガス化炉から導出される燃料ガス中の二酸化炭素量だけでは所定量に満たない場合であっても、一酸化炭素シフトコンバータを介して二酸化炭素を生成し、二酸化炭素回収装置に所定量の二酸化炭素を供給することができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる必要がないため、石炭ガス化複合発電プラントの設備コストを低減するとともに、石炭ガス化複合発電プラントの効率低下を防止することができる。
なお、所定量の二酸化炭素とは、通常二酸化炭素回収装置に導かれる燃料ガス中の10%相当の量をいうが、この量は石炭およびチャーの搬送システムの構成により異なる場合がある。
【0020】
さらに、前記二酸化炭素回収装置は、石炭またはチャーの搬送およびそのホッパの加圧に必要な所定量以上の二酸化炭素を回収した場合、プラント外(たとえば地中など)へ貯留する貯留設備に前記回収された二酸化炭素を導くことにより、石炭ガス化複合発電プラントから直接大気に放出される二酸化炭素を低減することができる。
【0021】
また、石炭またはチャーを供給するホッパは、石炭またはチャーをガス化炉に供給するため、不活性ガス(例えば、二酸化炭素)を用いて加圧されるが、石炭またはチャーをガス化炉に供給後空となった場合、一旦減圧・排気して、次の石炭を受け入れる必要がある。この際、排ガスは通常大気に放出される。
【0022】
そこで、前記ホッパ内を減圧および排気をする減圧排気系統は、二酸化炭素を大気放出せず、石炭ガス化複合発電プラント外に設けられた貯留設備へ貯留することとした。そのため、石炭ガス化複合発電プラントから大気に放出する二酸化炭素の排出量を低減することでき、地球温暖化防止になる。
【0023】
さらに、本発明に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、前記二酸化炭素回収装置は、前記排熱回収ボイラの下流側に設けられることを特徴とする。
【0024】
ガスタービンから導出される排ガス中には、二酸化炭素が含まれていて、その排ガスを、排熱回収ボイラに導いている。そして、前記排熱回収ボイラから排出された前記排ガス中に含まれる二酸化炭素は、前記排熱回収ボイラの下流側に設けられた二酸化炭素回収装置により回収される。そのため、前記排熱回収ボイラから導出される排ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素回収装置によって回収することができる。
【0025】
さらに、前記二酸化炭素回収装置によって回収された二酸化炭素は、石炭・チャーの搬送およびそのホッパの加圧に必要な所定量以上の二酸化炭素を回収した場合、プラント外へ貯留する貯留設備に前記回収された二酸化炭素を導くことにより、石炭ガス化複合発電プラントから直接大気に放出する二酸化炭素を低減することができる。
【0026】
また、前述と同様に石炭ガス化複合発電プラントから大気に放出する二酸化炭素の排出量を低減することができ、地球温暖化防止になる。
【発明の効果】
【0027】
ガスタービンから導出される排ガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置を設けることにより回収される。二酸化炭素回収装置によって回収される二酸化炭素は、不活性ガスである。そのため、回収された二酸化炭素をガス化炉へ石炭を搬送するために用いることができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる装置を設ける必要がなくなり、石炭ガス化複合発電プラントの設備コストを低減することができ、かつ、石炭ガス化複合発電プラントの効率低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図が示されている。
図1に示されているように、石炭を燃料とする石炭ガス化複合発電プラント(IGCC;Integrated Coal Gasification Combined Cycle)1は、主として、石炭供給設備2と、石炭供給設備2から供給された石炭をガス化する石炭ガス化炉(ガス化炉)9と、石炭ガス化炉9によってガス化された燃料ガスを燃焼して駆動されるガスタービン16と、ガスタービン16から導出される排ガスの熱を利用して発生した蒸気が導かれる蒸気タービン25と、ガスタービン16および蒸気タービン25によって駆動される発電機21と、ガスタービン16から導出される排ガスの一部が導かれる二酸化炭素回収装置13とを備えている。
【0030】
石炭供給設備2は、石炭ガス化炉9の上流側に設けられており、石炭ガス化炉9へと微粉炭を供給する。
石炭供給設備2は、原料炭が備蓄されている原炭バンカー3と、原料炭を微粉砕する微粉炭機4と、微粉炭機4に粉砕された微粉炭内のダストを捕集する微粉炭集塵器5と、微粉炭を貯留する微粉炭ホッパ7とを備えている。
【0031】
原炭バンカー3から微粉炭機4へと導かれた原料炭は、微粉炭機4によって数μm〜数百μmの微粉炭に粉砕される。微粉炭機4が粉砕した微粉炭は、微粉炭集塵器5によって捕集される。微粉炭集塵器5において捕集された微粉炭は、微粉炭を貯蔵する微粉炭ビン6を経て、微粉炭ホッパ7へと導かれる。
【0032】
微粉炭ホッパ7内の微粉炭は、後述する二酸化炭素回収装置13から供給される二酸化炭素ガスによって所定の圧力まで加圧され、その後一定流量ずつ石炭ガス化炉9へと搬送される。ここで、二酸化炭素ガスは、微粉炭を石炭ガス化炉9へと搬送する微粉炭搬送ガスとして用いられる。
【0033】
また、微粉炭ホッパ7内には、微粉炭搬送ガスである二酸化炭素ガスが供給されることによって加圧状態となっている。しかし、微粉炭ホッパ7内の微粉炭が全て石炭ガス化炉9へと供給されて、微粉炭ホッパ7が空になった場合には、微粉炭ホッパ7内を減圧・排気する必要がある。そこで、空になった微粉炭ホッパ7に接続されている減圧排気系統の弁(図示せず)を開くことにより微粉炭ホッパ7内の減圧・排気を行う。排ガスである二酸化炭素は、図1の場合には、煙突24の入口にもどされ、大気放出される。
【0034】
石炭ガス化炉9は、下方から上方へと生成した生成ガスが流されるように形成された石炭ガス化部(図示せず)と、石炭ガス化部の下流側に接続されて、上方から下方へと生成ガスが流されるように形成された熱交換部(図示せず)とを備えている。
石炭ガス化部には、下方から、コンバスタ(図示せず)及びリダクタ(図示せず)が設けられている。コンバスタは、微粉炭及びチャーの一部分を燃焼させている。コンバスタには、噴流床が採用されているが、流動床式や固定床式であっても構わない。
【0035】
コンバスタ及びリダクタには、それぞれ、コンバスタバーナー(図示せず)及びリダクタバーナー(図示せず)が設けられている。これらのバーナーに対して微粉炭ホッパ7から微粉炭が供給される。
コンバスタバーナーには、後述するガスタービン16の圧縮機19が圧縮した空気が供給されるようになっている。すなわち、本実施形態の石炭ガス化複合発電プラント1は、いわゆる空気吹きとなっている。ここで、ガスタービン16の圧縮機19から供給される空気は、ガス化剤として用いられる。
【0036】
リダクタは、コンバスタからの高温ガスによって微粉炭をガス化させている。これにより、微粉炭から一酸化炭素や水素等の可燃性の生成ガスが生成される。石炭ガス化反応は、微粉炭及びチャー中の炭素が高温ガス中の二酸化炭素及び水分と反応して一酸化炭素や水素を生成する吸熱反応である。
【0037】
石炭ガス化炉9のリダクタにおいて生成された生成ガスは、ポーラスフィルタ10へと導かれる。ポーラスフィルタ10は、生成ガスが通過することによって生成ガス中に混在するチャーを捕捉する。ポーラスフィルタ10によって捕捉されたチャーは、チャーを貯蔵するチャービン11を経て、チャーホッパ12へと導かれる。
【0038】
チャーホッパ12に回収されたチャーは、二酸化炭素回収装置13によって供給される二酸化炭素ガスとともに石炭ガス化炉9のコンバスタバーナーへと返送されてリサイクルされる。
また、チャーホッパ12内は、チャーを石炭ガス化炉9へと返送するガスである二酸化炭素ガスが供給されることによって加圧状態となっている。しかし、チャーホッパ12内のチャーが全て石炭ガス化炉9へと供給されて、チャーホッパ12が空になった場合には、チャーホッパ12内を減圧・排気する必要がある。そこで、空になったチャーホッパ12に接続されている減圧排気系統の弁を開くことによりチャーホッパ12内の減圧・排気を行う。排ガスである二酸化炭素は、高圧のガスのため、全て生成ガスにもどされ(図示せず)大気には放出されない。
【0039】
ポーラスフィルタ10を通過した生成ガスには、硫化水素や硫化カルボニルといった硫黄化合物が含まれている。そのため、ポーラスフィルタ10からガス精製装置15へと生成ガスを導く。ガス精製装置15は、硫化カルボニル変換器(図示せず)と、硫化水素吸収塔(図示せず)と、硫化水素燃焼炉(図示せず)とを備えている。
【0040】
硫化カルボニル変換器は、導かれた生成ガス中の硫化カルボニルを触媒反応によって硫化水素へと変換する。硫化カルボニル変換器によって変換された硫化水素を含む生成ガスは、硫化水素吸収塔へと導かれる。硫化水素吸収塔に導かれた生成ガス中の硫化水素は、ジアチルエタノールアミン(MEDA)系の吸収液によって硫黄分が吸収される。ジアチルエタノールアミン系の吸収液に吸収されて硫黄分が除去された生成ガスは、燃料ガスとなって硫化水素吸収塔から導出される。
一方、ジアチルエタノールアミン系の吸収液に吸収された硫黄分は、硫化水素燃焼炉に導かれて燃焼されて石膏として回収される。
【0041】
硫化水素吸収塔から導出された燃料ガスは、ガス精製装置15からガスタービン16へと導かれる。ガスタービン16に導かれた燃料ガスは、ガスタービン16の燃焼器17へと送られる。ガスタービン16は、燃焼器17と、燃焼器17によって燃焼された排ガスによって駆動されるタービン18と、燃焼器17へと高圧空気を送り出す圧縮機19とを備えている。
【0042】
燃焼器17では、導かれた燃料ガスと、空気とが燃焼されて排ガスが排出される。燃焼器17から排出される排ガスは、タービン18へと導かれる。タービン18に導かれた排ガスは、タービン18を回転駆動する。タービン18が排ガスによって駆動されることによって、タービン18に接続されている回転軸20が回転される。
【0043】
圧縮機19は、回転軸20上に接続されていて、回転軸20が回転されることによって、回転駆動して、空気を圧縮する。圧縮機19によって圧縮された空気は、燃焼器17と石炭ガス化炉9とへ導かれる。また、回転軸20には、発電機21が接続されている。そのため、回転軸20が回転することによって、発電機21が駆動して発電する。
【0044】
タービン18を回転駆動させた排ガスは、排熱回収ボイラ23へと導かれる。排熱回収ボイラ23は、タービン18から導かれた排ガスの熱によって蒸気を発生するものである。排熱回収ボイラ23において熱を回収された排ガスは、煙突24から石炭ガス化複合発電プラント1の外へと排出される。
また、タービン18を回転駆動させた排ガスの一部は、微粉炭機4へと導かれる。タービン18から導出された排ガスは、高温で乾燥しているため微粉炭機4内の微粉炭を乾燥させるために用いられる。
【0045】
排熱回収ボイラ23においてタービン18から導かれた高温の排ガスによって発生された蒸気は、蒸気タービン25へと供給される。蒸気タービン25は、ガスタービン18と同回転軸20に接続されており、いわゆる一軸式のコンバインドシステムとなっている。なお、一軸式のコンバインドシステムに限らず、別軸式のコンバインドシステムであっても構わない。
【0046】
タービン18によって駆動されている回転軸20は、蒸気タービン25によって駆動力が増加する。そのため、回転軸20に接続されている発電機21の発電量が増加する。
蒸気タービン25を回転駆動した蒸気は、復水器26へと導かれる。蒸気タービン25を回転駆動した蒸気は、復水器26で冷却されて水に戻された後、排熱回収ボイラ23へと導かれる。
【0047】
次に、二酸化炭素の回収、供給の流れについて説明する。
ガスタービン16のタービン18から導出された高温の乾燥した排ガスは、微粉炭機4へと導かれる。微粉炭機4に導かれた排ガスは、微粉炭機4内の微粉炭を乾燥する。微粉炭機4に導かれた排ガスは、微粉炭集塵器5を経て二酸化炭素回収装置13へと導かれる。
【0048】
二酸化炭素回収装置13に導かれた排ガスは、排ガス中の二酸化炭素が回収される。二酸化炭素回収装置13によって回収された二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置用圧縮機27によって昇圧される。二酸化炭素回収装置用圧縮機27によって昇圧された二酸化炭素は、微粉炭ホッパ7と、チャーホッパ12と、ポーラスフィルタ10とへ導いても良い(図示しない)。
なお、二酸化炭素回収装置13によって二酸化炭素が回収された排ガスは、排熱回収ボイラ23から導出された排ガスと共に煙突24へと導かれる。
【0049】
微粉炭ホッパ7に導かれた二酸化炭素は、微粉炭を石炭ガス化炉9へと搬送する微粉炭搬送ガスとして用いられる。
チャーホッパ12に導かれた二酸化炭素は、チャーを石炭ガス化炉9へ返送するチャー搬送ガスとして用いられる。
【0050】
ポーラスフィルタ10に導かれた二酸化炭素は、ポーラスフィルタ10の目詰まりを防止するための逆洗用のガスに用いても良い(図示しない)。
なお、二酸化炭素は、不活性ガスであるため微粉炭やチャーの引火を防止することができる。
【0051】
以上の通り、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
ガスタービン16から導出された排ガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置13によって回収する。二酸化炭素回収装置13によって回収される二酸化炭素は、不活性ガスであるため、石炭ガス化炉(ガス化炉)9へ石炭を搬送するために二酸化炭素を用いることができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる装置を設ける必要がないため、石炭ガス化複合発電プラント1の設備コストを低減するとともに、石炭ガス化複合発電プラント1の効率低下を防止することができる。
【0052】
また、二酸化炭素回収装置13に導かれる排ガスは、石炭の乾燥に必要である。しかし、ファン(図示せず)等はすでに設置されており、二酸化炭素回収のため二酸化炭素回収装置13を設ける以外に新たに別の機器の設置は不要である。よって、設備コストの増加と動力の増加を最小限に抑えることが可能となる。
【0053】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の石炭ガス化複合発電プラントは、ガス精製装置と燃焼器との間に二酸化炭素回収装置を設け、二酸化炭素回収装置の上流側に一酸化炭素シフトコンバータを設ける点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成、二酸化炭素の回収、供給の流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図2には、本発明の第2実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図が示されている。
二酸化炭素回収装置13は、ガス精製装置15とガスタービン16との間に設けられている。また、一酸化炭素を二酸化炭素に転換する一酸化炭素シフトコンバータ28は、ガス精製装置15と二酸化炭素回収装置13との間に設けられている。
【0055】
ガス精製装置15によって硫黄分が除去された燃料ガスには、一酸化炭素が約30%含まれている。一酸化炭素を含む燃料ガスは、一酸化炭素シフトコンバータ28へと導かれる。一酸化炭素シフトコンバータ28は、触媒を用いて、一酸化炭素と水蒸気とを触媒反応させて二酸化炭素と水素とを発生するものである。一酸化炭素シフトコンバータ28に導かれた燃料ガス中の一酸化炭素は、所要量の二酸化炭素量分になるように転換される。
なお、所定量の二酸化炭素とは、二酸化炭素回収装置13に導かれる燃料ガス中の10%相当の量をいう。
【0056】
一酸化炭素シフトコンバータ28によって転換された二酸化炭素は、燃料ガスとともに二酸化炭素回収装置13へと導かれる。転換された二酸化炭素と、ガス精製装置15から導出された燃料ガス中の二酸化炭素とは、二酸化炭素回収装置13によって所要量だけ回収される。二酸化炭素回収装置13よって回収された二酸化炭素は、一部が二酸化炭素回収装置用圧縮機27によって昇圧されて微粉炭ホッパ7と、チャーホッパ12と、さらにポーラスフィルタ10とに導いても良い(図示しない)。残りの二酸化炭素は、石炭ガス化複合発電プラント1の地中に設けられている二酸化炭素貯留設備30へと導かれる。
二酸化炭素回収装置13によって回収されなかった二酸化炭素と、燃料ガスとは、ガスタービン16の燃焼器17へと導かれる。
【0057】
以上の通り、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
石炭ガス化炉9によって生成される燃料ガス中には、二酸化炭素が含まれている。そこで、ガス精製装置15と、ガスタービン16の燃焼器17との間に二酸化炭素回収装置13を設けることとした。そのため、石炭ガス化炉9から導出された燃料ガス中の二酸化炭素を二酸化炭素回収装置13によって回収することができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる必要がないため、石炭ガス化複合発電プラント1の設備コストを低減するとともに、石炭ガス化複合発電プラント1の効率低下を防止することができる。
【0058】
一酸化炭素シフトコンバータ28は、二酸化炭素回収装置13の上流側に設けることとした。そのため、石炭ガス化炉9から導出される燃料ガス中の二酸化炭素量だけでは所定量に満たない場合であっても、一酸化炭素シフトコンバータ28を介して二酸化炭素に転換し、二酸化炭素回収装置13に所定量の二酸化炭素を供給することができる。したがって、不活性ガスを別途発生させる必要がないため、石炭ガス化複合発電プラント1の設備コストを低減するとともに、石炭ガス化複合発電プラント1の効率低下を防止することができる。
【0059】
前記二酸化炭素回収装置13により回収された二酸化炭素は、微粉炭やチャーの搬送およびその微粉炭ホッパ7やチャーホッパ12の加圧に必要な所定量以上の二酸化炭素を回収し、石炭ガス化複合発電プラント1外に貯留することにより、石炭ガス化複合発電プラント1から直接大気に放出される二酸化炭素を低減することができる。
【0060】
また、微粉炭ホッパ7やチャーホッパ12内の減圧・排気をする減圧排気系統は、前記二酸化炭素を大気に放出せず、石炭ガス化複合発電プラント1外に設けられている貯留設備30へ接続し、貯留することとした。そのため、石炭ガス化複合発電プラント1から大気に放出する二酸化炭素の排出量を低減することでき、地球温暖化防止になる。
【0061】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の石炭ガス化複合発電プラントは、排熱回収ボイラと煙突との間に二酸化炭素回収装置を設ける点で第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成、二酸化炭素の回収、供給の流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図3には、本発明の第3実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントの概略構成図が示されている。
排熱回収ボイラ23と煙突24との間には、二酸化炭素回収装置13が設けられている。
排熱回収ボイラ23に導かれた水に熱を与えた排ガスには、二酸化炭素が10%程度含まれている。排ガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置13によって回収される。二酸化炭素回収装置13によって回収された二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置用圧縮機27によって昇圧されて微粉炭ホッパ7と、チャーホッパ12と、ポーラスフィルタ10とへ導いても良い(図示しない)。
二酸化炭素回収装置13によって回収されなかった二酸化炭素を含む排ガスは、煙突24へと導かれる。
【0063】
以上の通り、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
二酸化炭素回収装置13は、排熱回収ボイラ23の下流側に設けることとした。そのため、排熱回収ボイラ23から導出される排ガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収装置13によって回収することができる。したがって、石炭ガス化複合発電プラント1から排出される二酸化炭素の量を削減することができる。
【0064】
微粉炭やチャーの搬送およびその微粉炭ホッパ7やチャーホッパ12の加圧に必要な所定量以上の二酸化炭素を回収し、石炭ガス化複合発電プラント1外に貯留することにより、石炭ガス化複合発電プラント1から直接大気に放出される二酸化炭素を低減することができる。
【0065】
微粉炭ホッパ7やチャーホッパ12内の減圧・排気をする減圧排気系統は、前記二酸化炭素を大気に放出せず、石炭ガス化複合発電プラント1外に設けられている貯留設備30へ接続し、貯留することとした。そのため、石炭ガス化複合発電プラント1から大気に放出する二酸化炭素の排出量を低減することができ、地球温暖化防止になる。
【符号の説明】
【0066】
1 石炭ガス化複合発電プラント
2 石炭供給設備
3 原炭バンカー
4 微粉炭機
5 微粉炭集塵器
6 微粉炭ビン
7 微粉炭ホッパ
9 ガス化炉(石炭ガス化炉)
10 ポーラスフィルタ
11 チャービン
12 チャーホッパ
13 二酸化炭素回収装置
15 ガス精製装置
16 ガスタービン
17 燃焼器
18 タービン
19 圧縮機
20 回転軸
21 発電機
23 排熱回収ボイラ
24 煙突
25 蒸気タービン
26 復水器
27 二酸化炭素回収装置用圧縮機
28 一酸化炭素シフトコンバータ
30 貯留設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭が導かれるガス化炉と、
該ガス化炉においてガス化された燃料ガスが燃焼する燃焼器を備えるガスタービンと、
該ガスタービンから導出された排ガスによって蒸気を発生する排熱回収ボイラと、
該排熱回収ボイラにおいて発生した蒸気が導かれる蒸気タービンと、
該蒸気タービンおよび前記ガスタービンによって駆動されて発電する発電機と、
前記ガスタービンから導出された排ガスの一部が導かれて二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、を備え、
前記二酸化炭素により、石炭を前記ガス化炉へと搬送することを特徴とする石炭ガス化複合発電プラント。
【請求項2】
前記二酸化炭素回収装置は、前記ガス化炉と前記燃焼器との間に設けられる請求項1に記載の石炭ガス化複合発電プラント。
【請求項3】
前記二酸化炭素回収装置の上流側には、燃料ガス中の一酸化炭素を所定量の二酸化炭素に製造する一酸化炭素シフトコンバータが設けられる請求項2に記載の石炭ガス化複合発電プラント。
【請求項4】
前記二酸化炭素回収装置は、前記排熱回収ボイラの下流側に設けられる請求項1に記載の石炭ガス化複合発電プラント。
【請求項5】
前記ガス化炉に石炭またはチャーを供給するホッパ内が空の場合には、前記ホッパ内の排ガスを二酸化炭素を貯留する貯留設備に導く請求項2から請求項4のいずれかに記載の石炭ガス化複合発電プラント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−208513(P2011−208513A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74618(P2010−74618)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】