説明

石炭灰を主原料として用いた舗装材

【課題】安価で防草性を有する物質を主原料として用いた舗装材を提供することを課題とする。
【解決手段】石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、副原料として高炉スラグ、焼却灰、石灰、石膏とからなる固化材を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭灰を主原料として用いた舗装材に関し、詳しくは副原料として固化材を用いてなる石炭灰を主原料として用いた舗装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送電線の敷地内舗装には、例えば敷砂利、防草マット、アスファルト、コンクリート舗装など様々な工法による舗装が実施されており、これらの中でも、耐久性および防草効果の観点からコンクリート舗装が主として実施されている。
【0003】
また、粒度分布の異なる複数種類の石炭灰を所定の粒度分布となるように配合することにより、雑草の育成を抑制する機能を備えた舗装材が得られることが知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−90012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したコンクリート舗装では、以下に記す課題が生じていた。
(1)舗装に要する費用が高価なものとなっていた。
(2)経年劣化によりひび割れ個所が生じると、そのひび割れ個所から草木が生えてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、安価で防草性を有する物質を主原料として用いた舗装材を提供することである。
そこで、本発明者らは、上述の条件を満たし、しかも環境負荷が小さい石炭灰を舗装材の主原料として使用することについて鋭意検討を重ねた結果、特許文献1の舗装材のように、ことさら粒度分布に拘ることなく所望の性能を有する舗装材を得ることが可能であることを見出して、本発明を完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、副原料として高炉スラグ、焼却灰、石灰、石膏とからなる固化材を用いてなる構成である。
この構成によれば、安価に且つ防草効果を有する舗装材を提供することができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、前記固化材は、高炉スラグと、焼却灰と、石灰と、石膏との容積比が5:2:2:1からなる構成である。
この構成によれば、請求項1の舗装材より、さらに安価に且つ防草効果を有する舗装材を提供することができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、前記主原料と前記副原料との容積比が7:3ないし9:1(70%:30%〜90%:10%までの範囲であり、例えば80%:20%なども含んでいる)からなる構成である。
この構成によれば、請求項2の舗装材より、さらに安価に且つ防草効果を有する舗装材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の実施例を説明する。なお、本発明において主原料となる石炭灰は、クリンカアッシュである。また、副原料は、寺沢建設株式会社製の固化材(ハーデン)である。この固化材は、主成分が高炉スラグ、焼却灰、石灰、石膏とから混合物であり、その容積比は、5:2:2:1からなるものである。
【0010】
(実施例1)
この実施例1は、クリンカアッシュと固化材との容積比を9:1として配合した舗装材である。この舗装材を舗装材Aとする。
【0011】
(実施例2)
この実施例2は、クリンカアッシュと固化材との容積比を8:2として配合した舗装材である。この舗装材を舗装材Bとする。
【0012】
(実施例3)
この実施例3は、クリンカアッシュと固化材との容積比を7:3として配合した舗装材である。この舗装材を舗装材Cとする。
【0013】
次に、上記舗装材A〜Cを同条件において、「透水係数」、「間隙率(%)」、「圧縮強度(t/m2)」を算出する試験を実施した。以下、表1に、その結果を示す。
【0014】
【表1】

【0015】
表1に記載の「透水係数」の数値は、「0.092〜0.029」の間であり、一般の土壌に比べ十分に高い透水性を有しており、自然排水が可能である。
【0016】
また、同様に「間隙率(%)」の数値は、「35.8〜38.5」の間であり、約40%程度の間隙があり、降雨に対する一時的な保水効果を有している。
【0017】
また、同様に「圧縮強度(t/m2)」の数値は、「12〜35」の間であり、必要な強度を有している。
【0018】
続いて、この舗装材A〜Cと、コンクリートと、アスファルトと、防草マットにおいて、雑草、耐久性、汎用性、コスト、環境および、これらの総合評価を実施した。以下、表2に、その結果を示す。
【0019】
【表2】


なお、この評価において「×」は「悪い」、「△」は「普通」、「○」は「良い」、「◎」は「特に良い」評価を意味している。
【0020】
舗装材A〜Cを使用すると、雑草の活着や、その舗装材A〜C下の土壌からの雑草の育成はない。そのため、舗装材A〜Cは、コンクリートと同等の防草効果を有している。
また、舗装材A〜Cを使用すると、コスト面においてコンクリート舗装より約20%低減することができる。
また、舗装材A〜Cは、産業廃棄物である石炭灰を有効活用している。
また、舗装材A〜Cは、透水性が良く、保水効果を有するため、排水設備が不要である。
【0021】
また、舗装材A〜Cは、固化後も人力で粉砕できるものであり、使用後に撤去する場合、周囲土壌との混入処理が可能である。従って、産業廃棄物処理が不要となり、また有害物質を含まないため環境負荷が小さい。
【0022】
この表2からも明らかなように、舗装材A〜Cは全ての評価項目において「良い」評価となっている。そのため、舗装材A〜Cの総合評価は「特に良い」となり、コンクリートの総合評価である「良い」を上回るものとなっている。
また、舗装材A〜Cの適用個所は、鉄塔敷地のみでなく、住宅、公園等にも適用可能である。
【0023】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、石炭灰はクリンカアッシュを例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、各種石炭灰であっても構わない。
【0024】
また、実施例では、固化材の主成分である高炉スラグ、焼却灰、石灰、石膏の容積比、5:2:2:1からなる例を説明した。しかし、これに限定されることなく、容積比が±10%の範囲内であれば変動しても構わない。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、副原料として高炉スラグ、焼却灰、石灰、石膏とからなる固化材を用いてなる石炭灰を主原料として用いた舗装材。
【請求項2】
請求項1に記載の石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、
前記固化材は、
高炉スラグと、焼却灰と、石灰と、石膏との容積比が5:2:2:1からなる石炭灰を主原料として用いた舗装材。
【請求項3】
請求項2に記載の石炭灰を主原料として用いた舗装材であって、
前記主原料と前記副原料との容積比が7:3ないし9:1からなる石炭灰を主原料として用いた舗装材。









【公開番号】特開2007−77597(P2007−77597A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263649(P2005−263649)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000212739)株式会社シーテック (21)
【出願人】(505344605)寺沢建設株式会社 (2)
【Fターム(参考)】