説明

石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法

【課題】本発明の目的は石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能な構成がシンプルで小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムを提供する。
【解決手段】本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、石炭を燃料として燃焼させる石炭焚きボイラと、前記石炭焚きボイラの下流側に設置されて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収する脱塵装置と、前記脱塵装置の下流側に設置されて該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収する脱硫装置を設置し、前記脱塵装置の上流側に燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバーを内部に備えた粗粒分級器を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭焚きボイラを備えた火力発電プラントでは石炭焚きボイラから排出した燃焼ガスを浄化する燃焼ガス浄化システムを備えている。
【0003】
石炭焚きボイラを備えた火力発電プラントの燃焼ガス浄化システムとしては、例えば、特開2002−349835号公報に記載されているように、石炭焚きボイラの下流側に設置されて燃焼ガスに含まれている窒素酸化物(以下NOxと表記)を除去する脱硝装置と、脱硝装置の下流側に設置されて燃焼ガスに含まれている石炭灰を除去する脱塵装置と、脱塵装置の下流側に設置されて硫黄酸化物(以下SOxと表記)を除去する脱硫装置を備えた技術が開示されている。
【0004】
特開2002−349835号公報には記載されていないが、脱硝装置には内部に触媒が挿入されており、還元剤として注入するアンモニア(以下NHと表記)とNOxとの反応を促進して窒素(以下Nと表記)に転換して脱硝するように構成されている。
【0005】
また脱塵装置には燃焼ガスに含まれている石炭灰を除去する集塵器が用いられており、脱硫装置には燃焼ガス中のSOxを吸収して除去する湿式脱硫装置が用いられている。
【0006】
通常、前記脱塵装置としては石炭灰を荷電して除去する乾式電気集塵器(以下乾式EPと表記)が用いられており、脱硫装置としては燃焼ガス中に石灰石スラリーを噴霧してSOxを吸収し石膏にする湿式脱硫装置が用いられている。
【0007】
この乾式EPで脱塵した石炭灰は、フライアッシュセメントおよびコンクリート混和材として有効利用されている。
【0008】
フライアッシュはJIS A6201−1999に品質が規格化されている。石炭灰中の未燃分が低いほど、更に、45μm以上の粗粒灰が少ないほど高品質である。
【0009】
燃焼ガス中の石炭灰を荷電して除去する乾式EPは、その内部の上流側にて粗粒灰を捕集し、下流側にて細粒灰を捕集するように構成されている。
【0010】
乾式EPの内部の下流側で捕集された細粒灰は高品質灰として有効利用できる。一方、乾式EPの内部の上流側で捕集された粗粒灰のなかには有効利用されずに埋め立て処分される石炭灰がある。
【0011】
近年、埋め立て地の枯渇化が問題になっており、埋め立てする石炭灰の減容化あるいは有効利用が課題になっている。
【0012】
そこで、例えば、特開2006−233408号公報には、石炭灰を溶融してスラグ化し、この溶融スラグに空気を吹き付けて繊維化したフライアッシュファイバーを製造することで、石炭灰を有効利用する技術が開示されている。
【0013】
また、特開平8−266830号公報には、フライアッシュセメントやコンクリート混和材として利用できない未燃分の多い石炭灰に対して、捕集して貯留してある未燃分残留石炭灰の原粉を分級するためにルーバー型分級器を用いて未燃分の多い粗粒灰を除去し、フライアッシュセメントやコンクリート混和材として利用できる細粒の石炭灰を抽出する技術が開示されている。
【0014】
また、特開平10−300020号公報には、石炭をペースト状にして燃焼させる加圧流動層ボイラの燃焼ガス浄化システムとして、加圧流動層ボイラから供給する燃焼ガスに含まれた灰を捕集する脱塵装置として粗粒灰を捕集する一段目の脱塵装置と細粒灰を捕集する二段目の脱塵装置とを直列に設置し、一段目の脱塵装置で捕集した粗粒灰をホッパに貯蔵してホッパに貯蔵された粗粒灰を加圧流体によってボイラに戻すように構成することで、捕集した粗粒灰だけをボイラに戻して前記加圧流動層ボイラから供給される燃焼ガスで駆動されるガスタービンのタービン翼の磨耗を防止する技術が開示されている。
【0015】
【特許文献1】特開2002−349835号公報
【特許文献2】特開2006−233408号公報
【特許文献3】特開平8−266830号公報
【特許文献4】特開平10−300020号公報
【非特許文献1】JIS A6201−1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記した従来技術の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムでは、石炭焚きボイラから
排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を得るために、石炭灰を分級する分級器を設置するだけでなく、更に燃焼ガス中から捕集した石炭灰を貯留するホッパと、このホッパに貯留した石炭灰を気流搬送するガス源の供給設備を設置、或いは気流搬送される石炭灰を分級して細粒を捕集する別の脱塵装置を設置する必要があるので、これらの機器を設置するために石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの構成が複雑で大型化してしまうという問題がある。
【0017】
本発明の目的は石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能な構成がシンプルで小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、石炭を燃料として燃焼させる石炭
焚きボイラと、前記石炭焚きボイラの下流側に設置されて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収する脱塵装置と、前記脱塵装置の下流側に設置されて該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収する脱硫装置を設置し、前記脱塵装置の上流側に燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバーを内部に備えた粗粒分級器を設置したことを特徴とする。
【0019】
また本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、石炭を燃料として燃焼させる石炭焚きボイラと、前記石炭焚きボイラの下流側に設置されて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収する脱塵装置と、前記脱塵装置の下流側に設置されて該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収する脱硫装置を設置し、前記脱塵装置の内部に燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバーを内部に備えた粗粒分級器を設置したことを特徴とする。
【0020】
本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法は、石炭焚きボイラで燃料の石炭を空気と混合して燃焼させて燃焼ガスを発生させ、前記石炭焚きボイラの下流側に設置した脱硝装置にて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減し、前記脱硝装置の下流側に設置した粗粒分級器に備えられた配設角度が調節可能なルーバーによって該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒を分級して除去し、前記粗粒分級器の下流側に設置した脱塵装置にて該粗粒分級器を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収し、前記脱塵装置の下流側に設置した脱硫装置で該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明の実施例である石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1に本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの一実施例を示す。
【0024】
図1に示した本実施例の石炭灰有効利用の石炭燃焼ガス浄化システムにおいて、石炭焚きボイラ1には燃料の石炭20と燃焼用の空気21とを供給して燃料の石炭を燃焼し、高温の燃焼ガスを生成する。
【0025】
石炭焚きボイラ1の内部で生成した燃焼ガスの温度は約1600〜1800℃の高温になる。
【0026】
この高温の燃焼ガスは石炭焚きボイラ1に設置した蒸気の需要先に供給する蒸気を発生させる熱交換器4との熱交換によって減温され、石炭焚きボイラ1の下流側に設置された脱硝装置22に供給される。
【0027】
脱硝装置22では還元剤としてNHを供給し、脱硝装置22の内部に充填した脱硝触媒を燃焼ガスに接触させることによって燃焼ガス中に含まれているNOxをNに還元させ、NOxの濃度を低減させる。
【0028】
この脱硝装置22を流下した燃焼ガス5は該脱硝装置22の下流側に設置され、石炭焚きボイラ1に供給する燃焼用の空気を予熱する空気予熱器2に供給されるが、前記空気予熱器2にて押込通風ファン(以下FDFと表記)6で外部から取り込んだ空気21とこの燃焼ガス5とを熱交換し、さらに温度が低下した燃焼ガス5は、ルーバー30を内部に備えた粗粒分級器3に供給される。
【0029】
また前記空気予熱器2にて燃焼ガス5との熱交換によって昇温した空気は石炭焚きボイラ1に燃焼用の空気21として使用する。
【0030】
そして前記空気予熱器2から粗粒分級器3に供給された燃焼ガス5は、この粗粒分級器3の内部に備えられ、設置角度を調節された複数のルーバー30の間を流下することにより、燃焼ガス5中に含まれた石炭灰のうち粒径が45μmよりも大きな粗粒をルーバー30と衝突させて下方に落下させることで、粒径が45μm以上の石炭灰の粗粒が除去される。
【0031】
更に粗粒分級器3を流下した石炭灰のうち粗粒分級器3によって粗粒が除去された燃焼ガス5は、該粗粒分級器3の下流側に設置された脱塵装置である乾式EP9に流入する。
【0032】
前記乾式EP9は燃焼ガス中の石炭灰を荷電して除去するように構成されているものであり、この乾式EP9の内部に設置した石炭灰を捕集する複数の捕集箇所となる回収室(上流側の回収室が2区灰の細粒よりは比較的粒度が大きい細粒の1区灰、下流側の回収室が細粒の2区灰)にて燃焼ガス5中からほぼ全量の石炭灰が回収される。
【0033】
前記乾式EP9を流下して石炭灰が除去された燃焼ガス5は該乾式EP9の下流側に設置された脱硫装置10に供給され、この脱硫装置10で石灰石(CaCO)と水を混ぜ合わせたスラリーを燃焼ガス5に噴霧して、気液接触により燃焼ガス5中のSOxを吸収して取り除く。
【0034】
そして前記脱硫装置10から排出された燃焼ガス5は、煙突11を通じて大気中に放出される。
【0035】
ところで、前記乾式EP9にて燃焼ガス5中から除去される石炭灰であるフライアッシュの品質は、JIS A6201−1999により規格化されている。
【0036】
コンクリート混和材として適する順にフライアッシュの品質は1種から4種まで規定されており、その中で、石炭灰中の未燃分と粒径が規定されている。
【0037】
フライアッシュ1種は未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下、フライアッシュ2種は未燃分5%以下、粒径45μm以上が40%以下、フライアッシュ3種は未燃分8%以下、粒径45μm以上が40%以下、およびフライアッシュ4種は未燃分5%以下、粒径45μm以上が70%以下である。
【0038】
したがって、前記粗粒分級器3に求められる脱塵性能は、粒径45μm以上の石炭灰を除去できる能力を有することである。
【0039】
前記乾式EP9の脱塵性能は脱塵率で98%以上であり、図1に示した乾式EP9は、乾式EP9の内部に設置された石炭灰の捕集箇所となる回収室が二箇所あり、上流側の回収室が1区灰、下流側の回収室が2区灰と呼ばれている。
【0040】
前記乾式EP9で除去されて回収される石炭灰のうち、粗粒ほど上流側の捕集箇所の回収室で捕集され、細粒ほど下流側の捕集箇所の回収室で捕集されることから、上流側の回収室の1区灰は粗粒が多く、下流側の回収室の二区灰は細粒が多い。
【0041】
したがって前記二区灰は細粒が多いので、そのままでJIS規格のフライアッシュ1種の未燃分5%以下、粒径45μm以上が40%以下に適合した高品質の石炭灰として有効利用できる。
【0042】
本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいては、図1に示したように乾式EP9の上流側に粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバー30を内部に備えた粗粒分級器3を設置し、前記したようにこの粗粒分級器3によって燃焼ガス5中に含まれた石炭灰のうち粒径が45μmより大きな粗粒を除去している。
【0043】
このため、粗粒分級器3の下流側に設置した前記乾式EP9の内部では、細粒の石炭灰の捕集箇所となる下流側の回収室の2区灰だけでなく、上流側の回収室の1区灰で捕集される石炭灰にも粗粒を少なくすることができ、そのまま有効利用できる高品質の細粒の2区灰に加えて1区灰もそのまま有効利用できる高品質な粒径の石炭灰が得られるようになっている。
【0044】
前記乾式EP9の内部の上流側の回収室に回収された1区灰の細粒は、排出流路41を通じて外部に定期的に取り出され、下流側の回収室に回収された2区灰の細粒は、排出流路42を通じて外部に定期的に取り出されるように構成されている。
【0045】
また、乾式EP9の内部に設置された上流側の捕集箇所の回収室に回収された1区灰は定期的に抜き出して乾式EP9に設けた粒径分布測定器31に供給され、この粒径分布測定器31によって前記1区灰の石炭灰の粒径分布を測定する。
【0046】
前記乾式EP9の粒径分布測定器31で測定された1区灰の粒径分布の測定データは前記乾式EP9の上流側に設置した粗粒分級器3の内部に設置した複数のルーバー30の角度を調整する制御装置32に入力され、前記制御装置32において粒径分布測定器31で測定された前記1区灰の粒径分布の測定データに基づいた最適なルーバー角度を演算して前記粗粒分級器3のルーバー30に対して指令信号を出力し、前記粗粒分級器3のルーバー30を適切な角度に操作して燃焼ガス5に含まれる石炭灰のうち粒径が45μm以上の粗粒がルーバー30に衝突して落下するようにして、粒径45μm以上の粗粒を除去するものである。
【0047】
即ち、粒径分布測定器31で測定された前記1区灰の粒径分布の測定データは、横軸に石炭灰の粒径(μm)、縦軸にその累計体積割合(%)をとった場合に、図8に示したようなカーブとして表される。尚、石炭灰の粒径45μmの位置は図8に点線として示している。
【0048】
前記乾式EP9の内部の上流側の回収室で捕集される1区灰がJIS規格のフライアッシュ1種の未燃分5%以下、粒径45μm以上が40%以下に適合した高品質の石炭灰を満たすようにするためには、上流側の粗粒分級器3のルーバー30を適正な角度に調節することによって燃焼ガス5中に含まれる石炭灰のうち粒径が45μmより大きな粗粒を除去させる必要がある。
【0049】
そこで、前記制御装置32においては粒径分布測定器31で測定して入力した1区灰の粒径分布の測定データが図8に実線Aのカーブとして示すように45μmの粒径が累積体積割合90%〜93%となる粒径分布を維持するように、制御装置32から粗粒分級器3のルーバー30に対して指令信号として出力し、ルーバー30を適切な角度に調節して前記粗粒分級器3で粒径が45μmより大きな粗粒を燃焼ガス5から分級して除去するものである。
【0050】
例えば粒径分布測定器31で測定した1区灰の粒径分布の測定データが図8に実線Aのカーブとして示された粒径分布の場合は、粒径45μmの石炭灰が累計体積割合90%となっており、丁度、JIS規格のフライアッシュ1種の品質を満たしている状況となっているので前記制御装置32から指令信号は出力せずに粗粒分級器3のルーバー30の角度はそのままの状態を保持させて、前記粗粒分級器3で粒径が45μmより大きな粗粒を燃焼ガス5から分級して除去する。
【0051】
また、1区灰の粒径分布の測定データが図8に破線Bのカーブとして示された粒径分布の場合は、粒径45μmの石炭灰が粗粒分級器3ではあまり補足されずに下流側の乾式EP9に流下している状況を示しているので、前記制御装置32によって最適なルーバー角度を演算してルーバー30の角度を操作する指令信号を出力し、前記粗粒分級器3のルーバー30を燃焼ガスの流れに対して角度が大きくなるように調節して前記粗粒分級器3で粒径が45μmより大きな粗粒を燃焼ガス5から分級して除去する。
【0052】
また、1区灰の粒径分布の測定データが図8に一点鎖線Cのカーブとして示された粒径分布の場合は、粒径45μmの石炭灰が粗粒分級器3で補足され過ぎた状況を示しているので、前記制御装置32によって最適なルーバー角度を演算してルーバー30の角度を操作する指令信号を出力し、前記粗粒分級器3のルーバー30を燃焼ガスの流れに対して角度が小さくなるように調節して前記粗粒分級器3で粒径が45μmより大きな粗粒を燃焼ガス5から分級して除去する。
【0053】
この結果、前記乾式EP9の内部に設置された上流側の捕集箇所の回収室で捕集される1区灰の粒径分布を監視して粗粒分級器3のルーバー30の角度を適切な角度に調整することで、捕集される1区灰の石炭灰の粒度を細粒に正確に調整することが可能となり、高精度の細粒からなる二区灰だけでなく前記1区灰でも安定してJIS規格のフライアッシュ1種に該当する未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下の規定に適合する石炭灰を得ることができる。
【0054】
次に、図2を用いて図1に示した本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムに使用されている粗粒分級器3について説明する。
【0055】
図2の上部に粗粒分級器3の上面図を、下部に粗粒分級器3の側面図を示しているが、粗粒分級器3は、内部にルーバー30を備えたルーバー型の粗粒分級器を採用している。このルーバー型の粗粒分級器3は、気流と粉塵の慣性力の差を利用した脱塵装置である。
【0056】
ルーバー30は、複数の板を平行に一定の間隔および角度を持って粗粒分級器3の内部に取り付けたものであり、粗粒分級器3の高さ方向に前記ルーバー30を複数枚並べた構成となっている。
【0057】
そして上流側に設置された石炭焚きボイラ1、脱硝装置22及び空気予熱器2を順次流下した燃焼ガス5と前記燃焼ガス5に同伴される石炭灰は、粗粒分級器3に流入する。
【0058】
粗粒分級器3の内部に流入した石炭灰のうち粒径が45μmより大きな粗粒は、粗粒分級器3の内部に取り付けたルーバー30に衝突して落下し、捕集される。
【0059】
また粗粒分級器3の内部に流入した石炭灰のうち粒径が45μmより小さな細粒と燃焼ガス5は内部に取り付けたルーバー30の間の間隙をすり抜けて下流側の乾式EP9に流下する。
【0060】
粗粒分級器3の内部に設置したルーバー30は、その設置角度を粗粒分級器3の内部を流下する燃焼ガス5の流れ方向に対してルーバー30の傾斜が大きくなる角度にすれば、ルーバー30に衝突する石炭灰の粒子数が増加し、脱塵率は高くなる。
【0061】
一方、燃焼ガス5の流れ方向に対してルーバー30の傾斜が小さくなる水平に近づく角度にすれば、ルーバー30に衝突する石炭灰の粒子数が減少し、脱塵率は低くなる。
【0062】
また、粗粒分級器3のルーバー30に衝突する石炭灰の粒子の衝突可否は、粒子の粒径および比重によっても異なる。石炭灰の粒径および比重は、石炭の種類、および石炭を粉砕した時の粒径によって異なるため、粗粒分級器3の運用に合わせてルーバー30の設置角度を調整し、脱塵率を調節することが望ましい。
【0063】
次に、図3を用いて図2に示した前記粗粒分級器3の変形例について説明する。
【0064】
図3の上部に粗粒分級器3の上面図を、下部に粗粒分級器3の側面図を示しているが、本変形例のルーバー型の粗粒分級器3でも、ルーバー30は複数の板を平行に一定の間隔および角度を持って粗粒分級器3の内部に取り付けられて、粗粒分級器3の幅方向に該ルーバー30を複数枚並べた構成となっている。
【0065】
ところで、石炭焚きボイラ1から排出される燃焼ガス5中の微量有害物質として水銀が問題になっている。燃焼ガス5中に水銀はガス状の金属水銀として存在し、塩素と反応して塩化水銀ガスを生成する。
【0066】
ガス状の金属水銀そのものは燃焼ガス5に含まれている石炭灰に吸着しにくいが、塩化水銀ガスは燃焼ガス5に含まれている石炭灰に吸着し易い。
【0067】
また、石炭焚きボイラ1から排出される燃焼ガス5中のSOxガスの数%は三酸化硫黄ガスとなり、この三酸化硫黄ガスは燃焼ガスに含まれている石炭灰に吸着する。
【0068】
また、三酸化硫黄ガスが酸露点以下に低下した箇所では硫酸ミストなり、機器の配管を腐食させる要因となる。前記粗粒分級器3はこの三酸化硫黄ガスの酸露点の温度以上で使用することが望ましい。
【0069】
上記した理由から、石炭焚きボイラ1から排出される燃焼ガス5中の塩化水銀ガスおよび三酸化硫黄ガスの石炭灰への吸着量を増加させることにより、大気に放出される水銀が低減でき、機器の腐食も抑制することができる。
【0070】
次に、図4を用いて図2に示した前記粗粒分級器3の別の変形例について説明する。
【0071】
図4は本変形例の粗粒分級器3に設置された新たなルーバー構造を示すものであり、本実施例のルーバー30aは、図4に示したように粗粒分級器3の内部を流下する燃焼ガス5の流れ方向に対して、ルーバー30aがルーバーの山部30bとルーバーの谷部30cとが連続して複数形成されたくさび型形状のルーバー30aの構造を採用した。
【0072】
このくさび型形状のルーバー30aを粗粒分級器3の内部に配設することにより、隣接するくさび型形状のルーバー30aの間隙の流路において、流下する燃焼ガス5に多数の渦流れ5bを形成して、燃焼ガス5の滞留時間を稼ぐことができる。
【0073】
この結果、燃焼ガス5中の塩化水銀ガス及び三酸化硫黄ガスは、くさび型形状のルーバー30aの間隙の流路に滞留して流下する燃焼ガス5と十分に接触することが出来るので、この燃焼ガス5に含まれている石炭灰に塩化水銀ガス及び三酸化硫黄ガスが吸着される灰吸着量を増加させることになる。
【0074】
なお、図4に示した前記ルーバー30aの形状はルーバーの山部30bとルーバーの谷部30cとが曲線状に連続した波型形状であってもよい。
【0075】
また、前述した本実施例の石炭灰有効利用の石炭燃焼ガス浄化システムでは、粗粒分級器3としてルーバー型分級器を用いて説明したが、粗粒分級器3としては粗粒を分級できるものであればよく、ルーバーと同じ作用する衝突板がその内部に設置された構成の分級器であっても良い。また、本実施例の粗粒分級器3に代えて沈降速度差を用いた気流分級器や遠心力差を用いたサイクロン分級器であっても良い。
【0076】
本実施例によれば、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法が実現できる。
【実施例2】
【0077】
図5に本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおける他の実施例を示す。
【0078】
図5に示した本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、図1に示した先の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムと概略構成は同じであるので、共通した構成の説明は省略し、相違した構成について以下に説明する。
【0079】
図5に示した本実施例においては、乾式EP9aの内部の前段にルーバー30を設置することによって図1に示した粗粒分級器3の機能を備えた構成の乾式EP9aを採用したものである。
【0080】
そして前記乾式EP9aの内部の前段に設置したルーバー30によって、流下する燃焼ガス5に含まれた石炭灰のうち粒径が45μm以上の粗粒をこのルーバー30に衝突させて粒径45μm以上の粗粒を除去するように構成している。
【0081】
また前記乾式EP9aでは、その内部の前段に設置したルーバー30によって燃焼ガス5に含まれた石炭灰のうち粒径45μm以上の粗粒を衝突させて除去しているので、この乾式EP9aの内部に設置された石炭灰を捕集して回収する捕集箇所となる複数の回収室のうち、上流側から3番目の捕集箇所の回収室で捕集して回収された1区灰は、排出流路41を通じて外部に定期的に抜き出し、同様に上流側から4番目の捕集箇所の回収室で捕集して回収された2区灰も排出流路42を通じて外部に定期的に抜き出されるように構成されている。
【0082】
更に乾式EP9の内部の上流側から3番目の回収室に回収された前記1区灰は、乾式EP9aに付設された粒径分布測定器31に送給され、この粒径分布測定器31にて前記1区灰の石炭灰の粒径分布が測定される。
【0083】
そして前記乾式EP9aの粒径分布測定器31によって測定された1区灰の粒径分布の測定データは乾式EP9aの内部の前段に設置されたルーバー30の角度を調整する制御装置32に入力され、前記制御装置32において粒径分布測定器31で測定された1区灰の粒径分布の測定データに基づいた最適なルーバー角度を演算して指令信号を出力し、前記乾式EP9aに設置されたルーバー30を適切な角度に操作して調節する。
【0084】
この結果、前記乾式EP9の内部に設置された上流側から3番目の回収室で捕集される1区灰の粒径分布を監視して粗粒分級器3のルーバー30の角度を適切な角度に調整することで、捕集される1区灰の石炭灰の粒度を細粒に正確に調整することが可能となり、高精度の細粒からなる二区灰だけでなく前記1区灰でも安定してJIS規格のフライアッシュ1種に該当する未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下の規定に適合する石炭灰を得ることができる。
【0085】
尚、前記乾式EP9aにおいて、石炭灰を荷電する領域は前記乾式EP9aの内部に設置された上流側から3番目及び4番目の捕集箇所である3区および4区である。
【0086】
図5に示した本実施例における乾式EP9aの上流側から3番目の捕集箇所で捕集された石炭灰を回収する複数の回収室で回収した1区灰は、図1に示した先の実施例の乾式EP9では上流側から1番目の捕集箇所の回収室で捕集され回収された1区灰に対応するものとなる。
【0087】
したがって、本実施例では乾式EP9aの1区灰の粒径分布を粒径分布測定器31によって測定し、この粒径分布測定器31で測定した1区灰の粒径分布の測定データは前記乾式EP9aの前段に設置されたルーバー30の角度を調整する制御装置32に入力され、前記制御装置32において粒径分布測定器31で測定された前記1区灰の粒径分布の測定データに基づいた最適なルーバー角度を演算して指令信号を出力し、前記乾式EP9aの前段に設置されたルーバー30を適切な角度に操作して調節するように構成されている。
【0088】
この結果、前記乾式EP9の内部に設置された上流側の捕集箇所の回収室で捕集される1区灰の粒径分布を監視して粗粒分級器3のルーバー30の角度を適切な角度に調整することで、捕集される1区灰の石炭灰の粒度を細粒に正確に調整することが可能となり、高精度の細粒からなる二区灰だけでなく前記1区灰でも安定してJIS規格のフライアッシュ1種に該当する未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下の規定に適合する石炭灰を得ることができる。
【0089】
本実施例によれば、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法が実現できる。
【実施例3】
【0090】
図6に本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおける別の実施例を示す。
【0091】
図6に示した本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、図1に示した先の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムと概略構成は同じであるので、共通した構成の説明は省略し、相違した構成について以下に説明する。
【0092】
図6に示した本実施例においては、空気予熱器2の下流側で粗粒分級器3の上流側となる位置に、該空気予熱器2を流下した燃焼ガス5と熱交換するGGH熱回収器24を設置している。
【0093】
更に脱硫装置10の下流側で煙突11の上流側となる位置に、該脱硫装置10を流下した燃焼ガス5と熱交換するGGH再加熱器25を設置している。
【0094】
そして前記GGH熱回収器24及びGGH再加熱器25との間にはGGH熱回収器24及びGGH再加熱器25で使用する熱媒体26を循環させる循環流路27が配設されている。
【0095】
前記GGH熱回収器24及びGGH再加熱器25の間に配設された循環流路27を流通する熱媒体26は、脱硫装置10の後流に設置したGGH再加熱器25の温媒として利用し、脱硫装置10出口の排ガスを昇温することで煙突11から大気に放出される燃焼ガスの白煙を防止することが可能となる。
【0096】
本実施例では乾式EP9の1区灰の粒径分布を粒径分布測定器31によって測定し、この粒径分布測定器31で測定した1区灰の粒径分布の測定データは制御装置32に入力され、前記制御装置32において粒径分布測定器31で測定された前記1区灰の粒径分布の測定データに基づいた最適なルーバー角度を演算して指令信号を出力し、前記粗粒分級器3の内部に設置されたルーバー30の角度を適切な角度に操作して調節するように構成されている。
【0097】
この結果、前記乾式EP9の内部に設置された上流側の捕集箇所の回収室で捕集される1区灰の粒径分布を監視して粗粒分級器3のルーバー30の角度を適切な角度に調整することで、捕集される1区灰の石炭灰の粒度を細粒に正確に調整することが可能となり、高精度の細粒からなる二区灰だけでなく前記1区灰でも安定してJIS規格のフライアッシュ1種に該当する未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下の規定に適合する石炭灰を得ることができる。
【0098】
本実施例の場合、粗粒分離器3はGGH熱回収器24と乾式EP9の間に設置されることになる。
【0099】
また、本実施例の乾式EP9に代えて、図5に示した実施例の乾式EP9aの構成のようにルーバー30を乾式EP9aの前段に設け、粗粒分級器の機能を乾式EP9a内に備えさせるようにしても良い。
【0100】
本実施例によれば、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法が実現できる。
【実施例4】
【0101】
図7に本発明の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおける更に別の実施例を示す

【0102】
図7に示した本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムは、図6に示した先の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムと概略構成は同じであるので、共通した構成の説明は省略し、相違した構成について以下に説明する。
【0103】
図7に示した本実施例においては、GGH熱回収器の内部の後段にルーバー30を備えた設置することによって図6に示した粗粒分級器3の機能を備えた構成のGGH熱回収器24aを採用したものである。
【0104】
前記GGH熱回収器24aの内部の後段には捕集した石炭灰を回収する複数の回収室が設置されており、更にこのGGH熱回収器24aの内部の後段にルーバー30を設置することによって図1に示した粗粒分級器3の機能を前記GGH熱回収器24aに備えさせた構成にしている。
【0105】
本実施例では乾式EP9の1区灰の粒径分布を粒径分布測定器31によって測定し、この粒径分布測定器31で測定した1区灰の粒径分布の測定データは制御装置32に入力され、前記制御装置32において粒径分布測定器31で測定された前記1区灰の粒径分布の測定データに基づいた最適なルーバー角度を演算して指令信号を出力し、前記GGH熱回収器24aの内部の後段に設置されたルーバー30の角度を適切な角度に操作して調節するように構成されている。
【0106】
この結果、前記乾式EP9の内部に設置された上流側の捕集箇所の回収室で捕集される1区灰の粒径分布を監視して前記GGH熱回収器24aの内部に設置したルーバー30の角度を適切な角度に調整することで、乾式EP9で捕集される1区灰の石炭灰の粒度を細粒に正確に調整することが可能となり、高精度の細粒からなる二区灰だけでなく前記1区灰でも安定してJIS規格のフライアッシュ1種に該当する未燃分3%以下、粒径45μm以上が10%以下の規定に適合する石炭灰を得ることができる。
【0107】
また本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいては、図6に示した構成の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムと同様に脱硫装置10の後流に設置したGGH再加熱器25で燃焼ガスを昇温しているので、煙突11から大気に放出される燃焼ガスの白煙を防止することが可能となるだけでなく、図6の実施例と比べてGGH熱回収器24aと粗粒分級器3とを連絡する燃焼ガスを流下させるダクトを省略することができるので、よりコンパクトな構成にすることが可能となる。
【0108】
本実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいては、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して粗粒を除去する粗粒分級器としてGGH熱回収器24aの内部に設置したルーバー30を用い、このGGH熱回収器24aの下流側に設置した乾式EP9によって捕集して回収した1区灰の粒径分布の測定値に基づいて前記ルーバー角度を調節することによって、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級させた細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムが実現できることから、脱塵装置で捕集する微粒の石炭灰を、直接フライアッシュセメントやコンクリート混和材として有効利用することができる。
【0109】
本実施例によれば、石炭焚きボイラから排出した燃焼ガス中から捕集した石炭灰を分級して細粒の石炭灰を直接回収することが可能なシンプルな構成で小型化した石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム及び石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施例である石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムを示す概略構成図。
【図2】図1に示した本発明の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムに設置された粗粒分級器を示す概略構成図。
【図3】図1に示した本発明の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムに設置された粗粒分級器の変形例を示す概略構成図。
【図4】図1に示した本発明の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムに設置された粗粒分級器の他の変形例を示す概略構成図。
【図5】本発明の他の実施例である石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムを示す概略構成図。
【図6】本発明の別の実施例である石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムを示す概略構成図。
【図7】本発明の更に別の実施例である石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムを示す概略構成図。
【図8】図1に示した本発明の実施例の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおける粒径分布測定器で測定した乾式EP9で回収した1区灰の粒径分布図。
【符号の説明】
【0112】
1:石炭焚きボイラ、2:空気予熱器、3:粗粒分級器、5:燃焼ガス、6:FDF、9:乾式EP、10:脱硫装置、11:煙突、20:石炭、21:空気、22:脱硝装置、24:GGH熱回収器、25:GGH再加熱器、26:熱媒体、27:循環流路、30:ルーバー、31:粒径分布測定器、32:ルーバー角度制御装置、41、42:排出流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃料として燃焼させる石炭焚きボイラと、前記石炭焚きボイラの下流側に設置されて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収する脱塵装置と、前記脱塵装置の下流側に設置されて該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収する脱硫装置を設置し、前記脱塵装置の上流側に燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバーを内部に備えた粗粒分級器を設置したことを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項2】
石炭を燃料として燃焼させる石炭焚きボイラと、前記石炭焚きボイラの下流側に設置されて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減する脱硝装置と、前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収する脱塵装置と、前記脱塵装置の下流側に設置されて該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収する脱硫装置を設置し、前記脱塵装置の内部に燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒の分級を行う配設角度が調節可能なルーバーを内部に備えた粗粒分級器を設置したことを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいて、
前記脱塵装置で捕集して回収した石炭灰の粒径分布を測定する粒径分布測定器と、前記粒径分布測定器による粒径分布の測定値に基づいて前記粗粒分級器のルーバーの配設角度を制御する制御装置が設置されていることを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項4】
請求項1に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいて、前記脱硝装置の下流側に該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換して熱回収する熱交熱器を設置し、この熱交換器は前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換させて前記石炭焚きボイラに供給する燃焼用空気を予熱する空気予熱器と、この空気予熱器を流下した燃焼ガスと熱媒体とを熱交換するGGH熱回収器と、前記脱硫装置の下流側に設置されて前記GGH熱回収器の熱媒体を温媒として使用して該脱硫装置を流下した燃焼ガスを再加熱するGGH再加熱器とから構成されていることを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項5】
請求項1に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいて、前記脱硝装置の下流側に該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換して熱回収する熱交熱器が設置されており、この熱交換器は前記脱硝装置の下流側に設置されて該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換させて前記石炭焚きボイラに供給する燃焼用空気を予熱する空気予熱器と、前記粗粒分級器の内部に備えさせて該空気予熱器を流下した燃焼ガスと熱媒体とを熱交換するGGH熱回収器と、前記脱硫装置の下流側に設置されて前記粗粒分級器の内部に備えたGGH熱回収器の熱媒体を温媒として使用して該脱硫装置を流下した燃焼ガスを再加熱するGGH再加熱器とから構成されていることを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいて、前記粗粒分級器は、前記ルーバーがほぼ一定の間隔及び角度でもって複数取り付けられている構成のルーバー型粗粒分級器であることを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項7】
請求項6に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムにおいて、前記粗粒分級器に設置された前記ルーバーは、燃焼ガスの流れ方向に対して、くさび型、あるいは波型形状に形成されていることを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システム。
【請求項8】
石炭焚きボイラで燃料の石炭を空気と混合して燃焼させて燃焼ガスを発生させ、前記石炭焚きボイラの下流側に設置した脱硝装置にて該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガス中の窒素酸化物を低減し、前記脱硝装置の下流側に設置した粗粒分級器に備えられた配設角度が調節可能なルーバーによって該石炭焚きボイラから排出させた燃焼ガスに含まれている石炭灰のうち粗粒を分級して除去し、前記粗粒分級器の下流側に設置した脱塵装置にて該粗粒分級器を流下した燃焼ガスに含まれる石炭灰の細粒を捕集して回収し、前記脱塵装置の下流側に設置した脱硫装置で該脱塵装置を流下した燃焼ガス中の硫黄酸化物を吸収させるようにしたことを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法。
【請求項9】
請求項8に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法において、前記脱塵装置で捕集して回収した石炭灰の粒径分布の測定値に基づいて前記粗粒分級器のルーバーの配設角度を制御することによって燃焼ガスに含まれる石炭灰から粗粒を除去し、前記脱塵装置にて粗粒が除去された燃焼ガスに含まれる石炭灰から細粒を捕集して回収するようにしたことを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法において、前記脱塵装置で捕集して回収した石炭灰の粒径分布を測定し、この測定した粒径分布の測定値に基づいて前記粗粒分級器のルーバーの配設角度を制御して石炭灰の粗粒を除去するようにしたことを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法。
【請求項11】
請求項8に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法において、前記脱硝装置の下流側に設置された熱交熱器によって該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換して熱回収し、この熱交換器の1つを構成する前記脱硝装置の下流側に設置した空気予熱器によって該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換させて前記石炭焚きボイラに供給する燃焼用空気を予熱し、この熱交換器の1つを構成する前記空気予熱器の下流側に設置したGGH熱回収器によって該空気予熱器を流下した燃焼ガスと熱媒体とを熱交換し、この熱交換器の1つを構成する前記脱硫装置の下流側に設置したGGH再加熱器によって該GGH熱回収器の熱媒体を温媒として使用して脱硫装置を流下した燃焼ガスを再加熱することを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法。
【請求項12】
請求項8に記載の石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法において、前記脱硝装置の下流側に設置された熱交熱器によって該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換して熱回収し、この熱交換器の1つを構成する前記脱硝装置の下流側に設置した空気予熱器によって該脱硝装置を流下した燃焼ガスと熱交換させて前記石炭焚きボイラに供給する燃焼用空気を予熱し、前記粗粒分級器の内部に備えられてこの熱交換器の1つを構成するGGH熱回収器によって該空気予熱器を流下した燃焼ガスと熱媒体とを熱交換し、前記脱硫装置の下流側に設置したGGH再加熱器によって前記粗粒分級器の内部に備えたGGH熱回収器の熱媒体を温媒として使用して該脱硫装置を流下した燃焼ガスを再加熱することを特徴とする石炭焚きボイラの燃焼ガス浄化システムの運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−125378(P2010−125378A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302000(P2008−302000)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】