研磨修正用プレート及び研磨装置
【課題】研磨装置から取り出す際に、滑りを防止して安全に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供する。
【解決手段】両面研磨装置20の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレート1は、周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部14は厚さ中央部を含むことを特徴とする。
【解決手段】両面研磨装置20の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレート1は、周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部14は厚さ中央部を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置の定盤の研磨面の修正に用いられる研磨修正用プレート及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体や水晶振動子を製造する過程において、素板となるウェーハの表面の傷や歪みを除去するために、研磨装置によるウェーハの研磨が行われている。
図10は、従来における両面研磨装置20の斜視図である。両面研磨装置20は、回転中心に配置された駆動軸23と、駆動軸23によって回転駆動されるサンギア24と、このサンギア24の周囲にサンギア24と同心状に設けられた環状の下定盤27と、下定盤27の周囲に配置されサンギア24と同心に形成されて回転駆動されるインターナルギア26と、下定盤27の上方に配置される環状の上定盤25とを備えている。サンギア24とインターナルギア26の間には、水晶ウェーハ等のワークWを保持したキャリア21が配置される。
【0003】
ワークWの研磨を行うには、キャリア21の保持孔21pにウェーハ等のワークWを収納し、キャリア21の外周面に設けられた歯車21gがサンギア24とインターナルギア26に同時に噛合するようにキャリア21を組み込む。さらに、上定盤25と下定盤27とでキャリア21を挟み込んで荷重をかける。そして、研磨面に研磨材(スラリー)を供給しつつ、駆動機構(不図示)を駆動させて、サンギア24と、インターナルギア26と、上定盤25と、下定盤27とを回転させる。これにより、図11に示すように、サンギア24とインターナルギア26に噛合しているキャリア21は、サンギア24の回りを自転公転しながら回転するいわゆる遊星運動を行う。上下定盤25,27は各々反対方向又は同一方向に回転させることによって、ワークWの研磨を行う。
【0004】
ワークの研磨加工を繰り返すうちに、上下の定盤の研磨面の平坦度は低下するため、ある程度の回数や時間だけ研磨加工を行った後には、定盤の研磨面を平坦に修正する作業が必要となる。この作業は「定盤修正」と呼ばれる。
【0005】
定盤修正を行う際には、キャリアを研磨装置から取り出し、その代わりに鋳物やステンレスで形成された修正用のキャリアをセットする。ここで、両面研磨装置用と片面研磨装置用を含めた修正用のキャリアを、以下「研磨修正用プレート」という。そして、ワークの研磨加工の場合と同じように、定盤に荷重を掛け、研磨面に研磨材を供給しつつ、研磨修正用プレート及び定盤を回転させる。この回転を数十分から数時間行う。
【0006】
近年、半導体や特にパネルの研磨に代表されるように、ウェーハが大型になり、それに伴い、研磨装置や研磨修正用プレートも大型になっている。研磨修正用プレートは、直径約800mmのものも存在する。
【0007】
このように研磨修正用プレートが大型であることや、定盤修正を行うと研磨修正用プレートと定盤とが研磨材を介して密着することから、定盤修正後の研磨修正用プレートを取り外す際に大きな力が必要となる。また、一般的に、研磨修正用プレートを取り出す際には、作業者が研磨修正用プレートの歯車部を掴んで持ち上げ、移動することが行われているが、研磨修正用プレートの歯車部は研磨材等で濡れているため、掴んだ研磨修正用プレートが滑って落下する危険性がある。また、定盤上に落下した場合には、定盤に傷を付け、再修正に多大な時間を要する虞がある。
【0008】
従来における両面研磨装置用の研磨修正用プレートとしては、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の研磨修正用プレートは、両主面の外周付近に凸状の修正部が設けられている。そして、研磨修正用プレートの径を定盤の巾とほぼ同一にして、研磨修正用プレートの修正部が定盤の外周及び内周付近に位置するようにしている。
【0009】
このように、特許文献1では研磨修正用プレートに凸状の修正部を設けているため、研磨修正用プレートを定盤上に載置した場合に、研磨修正用プレートの歯車部と定盤面との間に隙間ができる。したがって、この隙間にリフト用の冶具を差し込んで、当該冶具で研磨修正用プレートを研磨装置から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−297488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の修正部が設けられた研磨修正用プレートは、定盤との接触面積が小さくなり、定盤修正の効果が低下するという問題点がある。
また、研磨修正用プレートの歯車部と定盤面との間にリフト用の冶具を差し込んだ場合に、当該冶具が定盤面に接触して定盤面にキズがついてしまう可能性がある。
【0012】
また、特許文献1に記載の研磨修正用プレートは、使用により修正部が摩耗した場合、定盤面との隙間が小さくなって、隙間に冶具を差し込み難くなり、取り出しが困難になるという問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、研磨装置から取り出す際に、滑りを防止して安全に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、研磨装置の定盤に傷を付けることなく、研磨装置から容易に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
また、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨装置から取り出す際に、滑りを防止して安全かつ容易に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]研磨装置の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレートであって、周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むことを特徴とする研磨修正用プレート。
本発明によれば、研磨修正用プレートの周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むため、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨修正用プレートを研磨装置から取り出す際に滑りを防止することができ、安全に研磨修正用プレートを取り出すことが可能となる。
【0015】
[適用例2]前記凹部は前記周側面の周方向に沿って伸びている溝であることを特徴とする適用例1に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、研磨修正用プレートの向きに関わらず、リフト用の冶具を凹部に容易に差し込むことができ、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0016】
[適用例3]前記凹部は前記周側面の周方向に複数並んでいることを特徴とする適用例1に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、複数の凹部にリフト用の冶具を差し込めば冶具が固定されて滑り難くなり、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0017】
[適用例4]前記凹部の底が段差を有することを特徴とする適用例1から3の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、凹部の段差にリフト用の冶具を差し込めば、凹部及び段差で冶具が滑り難くなるため、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0018】
[適用例5]前記凹部の底が歯溝であることを特徴とする適用例1から3の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、凹部と歯溝でリフト用の冶具を滑り難くすることができるため、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0019】
[適用例6]前記周側面は外周側面と内周側面とを含み、前記外周側面と前記内周側面との少なくとも一方に前記凹部が形成されていることを特徴とする適用例1から5の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、外周側面と内周側面との少なくとも一方に凹部を設けることで、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨装置から研磨修正用プレートを取り出す際に滑りを防止し、安全かつ容易に研磨修正用プレートを取り出すことが可能となる。
【0020】
[適用例7]適用例1から6の何れか1例に記載の研磨修正用プレートを備えている研磨装置。
本発明によれば、研磨装置から安全かつ容易に研磨修正用プレートを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は第1実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すA−A線断面図である。
【図2】同実施形態に係る研磨修正用プレートがセットされた両面研磨装置の斜視図である。
【図3】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図4】(a)は第2実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すB−B線断面図である。
【図5】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図6】(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すC−C線断面図である。
【図7】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図8】(a)は第4実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すD−D線断面図である。
【図9】貫通孔の形状の変形例を説明するための図である。
【図10】従来の両面研磨装置の斜視図である。
【図11】図10に示す両面研磨装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る研磨修正用プレートについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。図1(a)は第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の模式的平面図であり、図1(b)は研磨修正用プレート1の側面図であり、図1(c)は研磨修正用プレート1の図1(a)に示すA−A線断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、研磨修正用プレート1は円板形状を有しており、研磨修正用プレート1の主面中央部には、厚さ方向に貫通する貫通孔12が設けられている。研磨修正用プレート1の外周側面は段差を有し、当該段差を構成する凹部は本実施形態では「溝」である。すなわち、研磨修正用プレート1の外周側面の、厚さ方向中央部には、当該外周側面に沿って溝14が設けられている。また、外周側面の溝14が設けられている部分以外には、歯車16が設けられている。溝14は、図2に示すような両面研磨装置20にセットされている研磨修正用プレート1を取り外す際に、図3に示すようなリフト用の冶具30を差し込むために使用される。
【0024】
図2は、この研磨修正用プレート1を配置した両面研磨装置20の斜視図である。両面研磨装置20の中心部には、駆動軸23が配置されるとともに、当該駆動軸23によって回転駆動されるサンギア24が配置されている。このサンギア24の周囲には、サンギア24と同心状に環状の下定盤27が配置されている。サンギア24の外周の外側であって、下定盤27の周囲には、サンギア24と同心に配置されて回転駆動されるインターナルギア26が設けられている。下定盤27の上方には環状の上定盤25が設けられている。サンギア24とインターナルギア26の間には、ワーク研磨用のキャリアの代わりに、研磨修正用プレート1が配置されている。
【0025】
次に、上記構成の研磨修正用プレート1を用いて両面研磨装置20の上下定盤25,27を修正した後、研磨修正用プレート1を両面研磨装置20から取り出す際の動作について説明する。
まず、両面研磨装置20からワーク研磨用のキャリアを外す。そして、当該ワーク研磨用のキャリアに代えて、研磨修正用プレート1の歯車16がサンギア24とインターナルギア26とに同時に噛合するように研磨修正用プレート1を両面研磨装置20に組み込み、上定盤25と下定盤27とで研磨修正用プレート1を挟み込こんで、研磨修正用プレート1と上下定盤25,27とを接触させる。そして、上下定盤25,27に研磨材を供給しながら、サンギア24、インターナルギア26、上下定盤25,27を回転させ、研磨修正用プレート1を遊星運動させる。これを所定時間行うことで、定盤修正が終了する。
【0026】
研磨修正用プレート1を両面研磨装置20から取り出す際には、図3に示すように、リフト用の冶具30を研磨修正用プレート1の溝14に差し込む。そして、研磨修正用プレート1を冶具30で下定盤27から持ち上げて、両面研磨装置20外に移動させる。
【0027】
このように、両面研磨装置20にセットされている研磨修正用プレート1を取り外す際に、研磨修正用プレート1の外周側面に設けられている溝14に冶具30を差し込むようにしたため、冶具30は上下定盤25,27と接触することがなく、上下定盤25,27が冶具30で傷つくことがない。
【0028】
また、研磨修正用プレート1の溝14で冶具30を支持することができるため、研磨修正用プレート1を持ち上げて移動している際に、滑って研磨修正用プレート1が落下する危険性がなくなり、安全かつ容易に、両面研磨装置20から研磨修正用プレート1を取り出すことができる。
【0029】
また、溝14は外周面の周方向に沿って設けられているため、研磨修正用プレート1の向きに関わりなく、容易に冶具30を差し込むことができる。
また、溝14を研磨修正用プレート1の外周側面の厚さ方向中央部に配置することで、研磨修正用プレート1が摩耗したとしても、溝14と研磨修正用プレート1の主面との高さが同一となるのを遅くすることができるため、研磨修正用プレート1の寿命を長くすることができる。また、研磨修正用プレート1は使用する毎に表裏を反転することが一般的であるため、溝14を研磨修正用プレート1の外周側面の厚さ方向中央部に配置した方が使い勝手がよい。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図4(a)は第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの模式的平面図であり、図4(b)は研磨修正用プレート1Aの側面図であり、図4(c)は研磨修正用プレート1Aの図4(a)に示すB−B線断面図である。
【0031】
本実施形態では、研磨修正用プレート1Aの外周側面の段差を構成する凹部は「孔」である。すなわち、研磨修正用プレート1Aの外周側面の、厚さ方向中央部には、回転対称に4つの孔14a,14b,14c,14dが並んでいる。
この孔14a,14b,14c,14dは、厚さ方向よりも円周方向に長い長孔となっている。
【0032】
このような形状を有する研磨修正用プレート1Aを両面研磨装置20から取り出す場合には、本実施形態では図5に示す冶具30aを用いる。当該冶具30aのU字型の部材の各先端部内側に設けられた2つの爪部32それぞれを、研磨修正用プレート1Aの孔14a,14cに差し込こむ。これにより、研磨修正用プレート1Aは2点で固定され、研磨修正用プレート1Aの円周方向への滑りを防止することができ、研磨修正用プレート1Aを安全かつ容易に取り出すことができる。
【0033】
なお、研磨修正用プレート1Aに設ける孔の数と位置は本実施形態に限定されるものではない。例えば、孔の数は2つでも3つでも、或いは5つ以上であってもよく、また、孔の断面形状は円形であっても矩形であってもよい。孔の位置については、2つの孔に爪部を差し込んだ状態で研磨修正用プレート1Aを持ち上げた時に、研磨修正用プレート1Aが2つの孔を結ぶ線を回転軸として回転しないように、重心が研磨修正用プレート1Aの中心部となるように孔の位置を決定するのが好ましい。
【0034】
なお、図5に示すように、爪部32の他に、冶具30aの一部を孔14bに差し込むようにすることで、研磨修正用プレート1Aを3点で支持することができ、重心の位置に関わらず、研磨修正用プレート1Aの回転を防止し、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Aを取り出すことができる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。上述した実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図6(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Bの模式的平面図であり、図6(b)は研磨修正用プレート1Bの側面図であり、図6(c)は研磨修正用プレート1Bの図6(a)に示すC−C線断面図である。
【0036】
第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Bは、第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の溝14の底に2つの段差18を設けている。2つの段差18は回転対称に配置されている。
【0037】
このような形状の研磨修正用プレート1Bを両面研磨装置20から取り出す場合には、本実施形態では図7に示す冶具30bを用いる。冶具30bのU字型の部材の各先端部内側に設けられた2つの爪部32それぞれを、2つの段差18それぞれに差し込こむ。これにより、溝14と孔18で冶具30bが固定されるため、研磨修正用プレート1Bを冶具30bで掴んで持ち上げた時の研磨修正用プレート1Bの回転や滑りを防止することができ、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Bを取り出すことができる。
【0038】
なお、本実施形態では、溝14の底に段差18を設けるとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示す第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの孔14a、14b,14c,14dの底に段差18を設けてもよい。
【0039】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。上述した実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図8(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Cの模式的平面図であり、図8(b)は研磨修正用プレート1Cの側面図であり、図8(c)は研磨修正用プレート1Cの図8(a)に示すD−D線断面図である。
【0040】
第4実施形態に係る研磨修正用プレート1Cは、第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の溝14の底に歯溝19を設けている。
このように歯溝19を設けることで、研磨修正用プレート1Cを図3に示す冶具30や図7に示す冶具30bで掴んだ場合に、溝14と歯溝19で冶具30,30bの滑りや回転を防止することができ、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Cを取り出すことができる。
【0041】
溝14の底に歯溝19を形成する方法としては、溝14の底に溝14と一体型に歯溝19を形成してもよいが、別部品としての、歯溝19を有するリングで、溝14の底を被覆してもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、溝14の底に歯溝19を設けるとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示す第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの孔14a、14b,14c,14dの底に歯溝19を設けてもよい。
【0043】
以上説明したように、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に溝14、孔14a,14b,14c,14d等の凹部を設けたため、両面研磨装置20から研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cを取り出す際に、滑りを防止することができ、上下定盤25,27に傷を付けることなく、安全かつ容易に取り出すことが可能となる。また、従来のように研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの主面に修正部を設けていないため、定盤修正の効果を低減させることがない。
さらに、凹部の底に段差18や歯溝19を設けることで、より一層滑り防止効果が高まる。
【0044】
なお、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に設けた溝14、孔14a,14b,14c,14d等の「凹部」は、研磨修正用プレートの主面と外周面との交わり部分に対して行う「面取り」とは異なるものである。
【0045】
なお、上述した実施形態では、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの外周側面に溝14、孔14a,14b,14c,14d等の凹部を設けた場合について説明したが、凹部を設ける位置は内周側面であってもよい。すなわち、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの貫通孔12等により形成される内周側面に凹部を設けてもよい。この場合、凹部は、内周側面のみに設けてもよいし、内周側面と外周側面の両方に設けてもよい。内周側面に凹部を設けた場合には、作業者が当該凹部との段差を手で掴んで、研磨修正用プレートを両面研磨装置20から取り出すようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cに断面形状が円形の貫通孔12を設ける場合について説明したが、貫通孔の形状は円形に限定されず、例えば、図9に示すような形状の貫通孔12aを設けてもよい。
また、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に設ける段差の凹部は、厚さ中央部に限らず、厚さ方向の任意の位置に設けることができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、研磨時に上定盤25と下定盤27を回転駆動するように構成したが、これに限定されることはなく、上定盤25を停止しつつ下定盤27のみを回転駆動させる構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、研磨修正用プレートを両面研磨装置20に用いる場合について説明したが、片面研磨装置に用いることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1………研磨修正用プレート、12、12a………貫通孔、14………溝、14a,14b,14c,14d………孔、16………歯車、18………段差、19………歯溝、20………両面研磨装置、21………キャリア、23………駆動軸、24………サンギア、25………上定盤、26………インターナルギア、27………下定盤、30,30a,30b、………冶具、32………爪部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置の定盤の研磨面の修正に用いられる研磨修正用プレート及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体や水晶振動子を製造する過程において、素板となるウェーハの表面の傷や歪みを除去するために、研磨装置によるウェーハの研磨が行われている。
図10は、従来における両面研磨装置20の斜視図である。両面研磨装置20は、回転中心に配置された駆動軸23と、駆動軸23によって回転駆動されるサンギア24と、このサンギア24の周囲にサンギア24と同心状に設けられた環状の下定盤27と、下定盤27の周囲に配置されサンギア24と同心に形成されて回転駆動されるインターナルギア26と、下定盤27の上方に配置される環状の上定盤25とを備えている。サンギア24とインターナルギア26の間には、水晶ウェーハ等のワークWを保持したキャリア21が配置される。
【0003】
ワークWの研磨を行うには、キャリア21の保持孔21pにウェーハ等のワークWを収納し、キャリア21の外周面に設けられた歯車21gがサンギア24とインターナルギア26に同時に噛合するようにキャリア21を組み込む。さらに、上定盤25と下定盤27とでキャリア21を挟み込んで荷重をかける。そして、研磨面に研磨材(スラリー)を供給しつつ、駆動機構(不図示)を駆動させて、サンギア24と、インターナルギア26と、上定盤25と、下定盤27とを回転させる。これにより、図11に示すように、サンギア24とインターナルギア26に噛合しているキャリア21は、サンギア24の回りを自転公転しながら回転するいわゆる遊星運動を行う。上下定盤25,27は各々反対方向又は同一方向に回転させることによって、ワークWの研磨を行う。
【0004】
ワークの研磨加工を繰り返すうちに、上下の定盤の研磨面の平坦度は低下するため、ある程度の回数や時間だけ研磨加工を行った後には、定盤の研磨面を平坦に修正する作業が必要となる。この作業は「定盤修正」と呼ばれる。
【0005】
定盤修正を行う際には、キャリアを研磨装置から取り出し、その代わりに鋳物やステンレスで形成された修正用のキャリアをセットする。ここで、両面研磨装置用と片面研磨装置用を含めた修正用のキャリアを、以下「研磨修正用プレート」という。そして、ワークの研磨加工の場合と同じように、定盤に荷重を掛け、研磨面に研磨材を供給しつつ、研磨修正用プレート及び定盤を回転させる。この回転を数十分から数時間行う。
【0006】
近年、半導体や特にパネルの研磨に代表されるように、ウェーハが大型になり、それに伴い、研磨装置や研磨修正用プレートも大型になっている。研磨修正用プレートは、直径約800mmのものも存在する。
【0007】
このように研磨修正用プレートが大型であることや、定盤修正を行うと研磨修正用プレートと定盤とが研磨材を介して密着することから、定盤修正後の研磨修正用プレートを取り外す際に大きな力が必要となる。また、一般的に、研磨修正用プレートを取り出す際には、作業者が研磨修正用プレートの歯車部を掴んで持ち上げ、移動することが行われているが、研磨修正用プレートの歯車部は研磨材等で濡れているため、掴んだ研磨修正用プレートが滑って落下する危険性がある。また、定盤上に落下した場合には、定盤に傷を付け、再修正に多大な時間を要する虞がある。
【0008】
従来における両面研磨装置用の研磨修正用プレートとしては、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の研磨修正用プレートは、両主面の外周付近に凸状の修正部が設けられている。そして、研磨修正用プレートの径を定盤の巾とほぼ同一にして、研磨修正用プレートの修正部が定盤の外周及び内周付近に位置するようにしている。
【0009】
このように、特許文献1では研磨修正用プレートに凸状の修正部を設けているため、研磨修正用プレートを定盤上に載置した場合に、研磨修正用プレートの歯車部と定盤面との間に隙間ができる。したがって、この隙間にリフト用の冶具を差し込んで、当該冶具で研磨修正用プレートを研磨装置から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−297488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の修正部が設けられた研磨修正用プレートは、定盤との接触面積が小さくなり、定盤修正の効果が低下するという問題点がある。
また、研磨修正用プレートの歯車部と定盤面との間にリフト用の冶具を差し込んだ場合に、当該冶具が定盤面に接触して定盤面にキズがついてしまう可能性がある。
【0012】
また、特許文献1に記載の研磨修正用プレートは、使用により修正部が摩耗した場合、定盤面との隙間が小さくなって、隙間に冶具を差し込み難くなり、取り出しが困難になるという問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、研磨装置から取り出す際に、滑りを防止して安全に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、研磨装置の定盤に傷を付けることなく、研磨装置から容易に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
また、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨装置から取り出す際に、滑りを防止して安全かつ容易に取り出すことが可能な研磨修正用プレート及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]研磨装置の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレートであって、周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むことを特徴とする研磨修正用プレート。
本発明によれば、研磨修正用プレートの周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むため、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨修正用プレートを研磨装置から取り出す際に滑りを防止することができ、安全に研磨修正用プレートを取り出すことが可能となる。
【0015】
[適用例2]前記凹部は前記周側面の周方向に沿って伸びている溝であることを特徴とする適用例1に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、研磨修正用プレートの向きに関わらず、リフト用の冶具を凹部に容易に差し込むことができ、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0016】
[適用例3]前記凹部は前記周側面の周方向に複数並んでいることを特徴とする適用例1に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、複数の凹部にリフト用の冶具を差し込めば冶具が固定されて滑り難くなり、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0017】
[適用例4]前記凹部の底が段差を有することを特徴とする適用例1から3の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、凹部の段差にリフト用の冶具を差し込めば、凹部及び段差で冶具が滑り難くなるため、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0018】
[適用例5]前記凹部の底が歯溝であることを特徴とする適用例1から3の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、凹部と歯溝でリフト用の冶具を滑り難くすることができるため、研磨修正用プレートを安全かつ容易に研磨装置から取り出すことができる。
【0019】
[適用例6]前記周側面は外周側面と内周側面とを含み、前記外周側面と前記内周側面との少なくとも一方に前記凹部が形成されていることを特徴とする適用例1から5の何れか1例に記載の研磨修正用プレート。
本発明によれば、外周側面と内周側面との少なくとも一方に凹部を設けることで、定盤修正の効果を低減させることなく、研磨装置から研磨修正用プレートを取り出す際に滑りを防止し、安全かつ容易に研磨修正用プレートを取り出すことが可能となる。
【0020】
[適用例7]適用例1から6の何れか1例に記載の研磨修正用プレートを備えている研磨装置。
本発明によれば、研磨装置から安全かつ容易に研磨修正用プレートを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は第1実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すA−A線断面図である。
【図2】同実施形態に係る研磨修正用プレートがセットされた両面研磨装置の斜視図である。
【図3】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図4】(a)は第2実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すB−B線断面図である。
【図5】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図6】(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すC−C線断面図である。
【図7】同実施形態に係る研磨修正用プレートを冶具で掴んだ様子を示す図である。
【図8】(a)は第4実施形態に係る研磨修正用プレートの模式的平面図であり、(b)は研磨修正用プレートの側面図であり、(c)は研磨修正用プレートの(a)に示すD−D線断面図である。
【図9】貫通孔の形状の変形例を説明するための図である。
【図10】従来の両面研磨装置の斜視図である。
【図11】図10に示す両面研磨装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る研磨修正用プレートについて、添付の図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。図1(a)は第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の模式的平面図であり、図1(b)は研磨修正用プレート1の側面図であり、図1(c)は研磨修正用プレート1の図1(a)に示すA−A線断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、研磨修正用プレート1は円板形状を有しており、研磨修正用プレート1の主面中央部には、厚さ方向に貫通する貫通孔12が設けられている。研磨修正用プレート1の外周側面は段差を有し、当該段差を構成する凹部は本実施形態では「溝」である。すなわち、研磨修正用プレート1の外周側面の、厚さ方向中央部には、当該外周側面に沿って溝14が設けられている。また、外周側面の溝14が設けられている部分以外には、歯車16が設けられている。溝14は、図2に示すような両面研磨装置20にセットされている研磨修正用プレート1を取り外す際に、図3に示すようなリフト用の冶具30を差し込むために使用される。
【0024】
図2は、この研磨修正用プレート1を配置した両面研磨装置20の斜視図である。両面研磨装置20の中心部には、駆動軸23が配置されるとともに、当該駆動軸23によって回転駆動されるサンギア24が配置されている。このサンギア24の周囲には、サンギア24と同心状に環状の下定盤27が配置されている。サンギア24の外周の外側であって、下定盤27の周囲には、サンギア24と同心に配置されて回転駆動されるインターナルギア26が設けられている。下定盤27の上方には環状の上定盤25が設けられている。サンギア24とインターナルギア26の間には、ワーク研磨用のキャリアの代わりに、研磨修正用プレート1が配置されている。
【0025】
次に、上記構成の研磨修正用プレート1を用いて両面研磨装置20の上下定盤25,27を修正した後、研磨修正用プレート1を両面研磨装置20から取り出す際の動作について説明する。
まず、両面研磨装置20からワーク研磨用のキャリアを外す。そして、当該ワーク研磨用のキャリアに代えて、研磨修正用プレート1の歯車16がサンギア24とインターナルギア26とに同時に噛合するように研磨修正用プレート1を両面研磨装置20に組み込み、上定盤25と下定盤27とで研磨修正用プレート1を挟み込こんで、研磨修正用プレート1と上下定盤25,27とを接触させる。そして、上下定盤25,27に研磨材を供給しながら、サンギア24、インターナルギア26、上下定盤25,27を回転させ、研磨修正用プレート1を遊星運動させる。これを所定時間行うことで、定盤修正が終了する。
【0026】
研磨修正用プレート1を両面研磨装置20から取り出す際には、図3に示すように、リフト用の冶具30を研磨修正用プレート1の溝14に差し込む。そして、研磨修正用プレート1を冶具30で下定盤27から持ち上げて、両面研磨装置20外に移動させる。
【0027】
このように、両面研磨装置20にセットされている研磨修正用プレート1を取り外す際に、研磨修正用プレート1の外周側面に設けられている溝14に冶具30を差し込むようにしたため、冶具30は上下定盤25,27と接触することがなく、上下定盤25,27が冶具30で傷つくことがない。
【0028】
また、研磨修正用プレート1の溝14で冶具30を支持することができるため、研磨修正用プレート1を持ち上げて移動している際に、滑って研磨修正用プレート1が落下する危険性がなくなり、安全かつ容易に、両面研磨装置20から研磨修正用プレート1を取り出すことができる。
【0029】
また、溝14は外周面の周方向に沿って設けられているため、研磨修正用プレート1の向きに関わりなく、容易に冶具30を差し込むことができる。
また、溝14を研磨修正用プレート1の外周側面の厚さ方向中央部に配置することで、研磨修正用プレート1が摩耗したとしても、溝14と研磨修正用プレート1の主面との高さが同一となるのを遅くすることができるため、研磨修正用プレート1の寿命を長くすることができる。また、研磨修正用プレート1は使用する毎に表裏を反転することが一般的であるため、溝14を研磨修正用プレート1の外周側面の厚さ方向中央部に配置した方が使い勝手がよい。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図4(a)は第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの模式的平面図であり、図4(b)は研磨修正用プレート1Aの側面図であり、図4(c)は研磨修正用プレート1Aの図4(a)に示すB−B線断面図である。
【0031】
本実施形態では、研磨修正用プレート1Aの外周側面の段差を構成する凹部は「孔」である。すなわち、研磨修正用プレート1Aの外周側面の、厚さ方向中央部には、回転対称に4つの孔14a,14b,14c,14dが並んでいる。
この孔14a,14b,14c,14dは、厚さ方向よりも円周方向に長い長孔となっている。
【0032】
このような形状を有する研磨修正用プレート1Aを両面研磨装置20から取り出す場合には、本実施形態では図5に示す冶具30aを用いる。当該冶具30aのU字型の部材の各先端部内側に設けられた2つの爪部32それぞれを、研磨修正用プレート1Aの孔14a,14cに差し込こむ。これにより、研磨修正用プレート1Aは2点で固定され、研磨修正用プレート1Aの円周方向への滑りを防止することができ、研磨修正用プレート1Aを安全かつ容易に取り出すことができる。
【0033】
なお、研磨修正用プレート1Aに設ける孔の数と位置は本実施形態に限定されるものではない。例えば、孔の数は2つでも3つでも、或いは5つ以上であってもよく、また、孔の断面形状は円形であっても矩形であってもよい。孔の位置については、2つの孔に爪部を差し込んだ状態で研磨修正用プレート1Aを持ち上げた時に、研磨修正用プレート1Aが2つの孔を結ぶ線を回転軸として回転しないように、重心が研磨修正用プレート1Aの中心部となるように孔の位置を決定するのが好ましい。
【0034】
なお、図5に示すように、爪部32の他に、冶具30aの一部を孔14bに差し込むようにすることで、研磨修正用プレート1Aを3点で支持することができ、重心の位置に関わらず、研磨修正用プレート1Aの回転を防止し、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Aを取り出すことができる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。上述した実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図6(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Bの模式的平面図であり、図6(b)は研磨修正用プレート1Bの側面図であり、図6(c)は研磨修正用プレート1Bの図6(a)に示すC−C線断面図である。
【0036】
第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Bは、第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の溝14の底に2つの段差18を設けている。2つの段差18は回転対称に配置されている。
【0037】
このような形状の研磨修正用プレート1Bを両面研磨装置20から取り出す場合には、本実施形態では図7に示す冶具30bを用いる。冶具30bのU字型の部材の各先端部内側に設けられた2つの爪部32それぞれを、2つの段差18それぞれに差し込こむ。これにより、溝14と孔18で冶具30bが固定されるため、研磨修正用プレート1Bを冶具30bで掴んで持ち上げた時の研磨修正用プレート1Bの回転や滑りを防止することができ、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Bを取り出すことができる。
【0038】
なお、本実施形態では、溝14の底に段差18を設けるとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示す第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの孔14a、14b,14c,14dの底に段差18を設けてもよい。
【0039】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る研磨修正用プレートについて説明する。上述した実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図8(a)は第3実施形態に係る研磨修正用プレート1Cの模式的平面図であり、図8(b)は研磨修正用プレート1Cの側面図であり、図8(c)は研磨修正用プレート1Cの図8(a)に示すD−D線断面図である。
【0040】
第4実施形態に係る研磨修正用プレート1Cは、第1実施形態に係る研磨修正用プレート1の溝14の底に歯溝19を設けている。
このように歯溝19を設けることで、研磨修正用プレート1Cを図3に示す冶具30や図7に示す冶具30bで掴んだ場合に、溝14と歯溝19で冶具30,30bの滑りや回転を防止することができ、安全かつ容易に研磨修正用プレート1Cを取り出すことができる。
【0041】
溝14の底に歯溝19を形成する方法としては、溝14の底に溝14と一体型に歯溝19を形成してもよいが、別部品としての、歯溝19を有するリングで、溝14の底を被覆してもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、溝14の底に歯溝19を設けるとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示す第2実施形態に係る研磨修正用プレート1Aの孔14a、14b,14c,14dの底に歯溝19を設けてもよい。
【0043】
以上説明したように、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に溝14、孔14a,14b,14c,14d等の凹部を設けたため、両面研磨装置20から研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cを取り出す際に、滑りを防止することができ、上下定盤25,27に傷を付けることなく、安全かつ容易に取り出すことが可能となる。また、従来のように研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの主面に修正部を設けていないため、定盤修正の効果を低減させることがない。
さらに、凹部の底に段差18や歯溝19を設けることで、より一層滑り防止効果が高まる。
【0044】
なお、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に設けた溝14、孔14a,14b,14c,14d等の「凹部」は、研磨修正用プレートの主面と外周面との交わり部分に対して行う「面取り」とは異なるものである。
【0045】
なお、上述した実施形態では、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの外周側面に溝14、孔14a,14b,14c,14d等の凹部を設けた場合について説明したが、凹部を設ける位置は内周側面であってもよい。すなわち、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの貫通孔12等により形成される内周側面に凹部を設けてもよい。この場合、凹部は、内周側面のみに設けてもよいし、内周側面と外周側面の両方に設けてもよい。内周側面に凹部を設けた場合には、作業者が当該凹部との段差を手で掴んで、研磨修正用プレートを両面研磨装置20から取り出すようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cに断面形状が円形の貫通孔12を設ける場合について説明したが、貫通孔の形状は円形に限定されず、例えば、図9に示すような形状の貫通孔12aを設けてもよい。
また、研磨修正用プレート1,1A,1B,1Cの周側面に設ける段差の凹部は、厚さ中央部に限らず、厚さ方向の任意の位置に設けることができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、研磨時に上定盤25と下定盤27を回転駆動するように構成したが、これに限定されることはなく、上定盤25を停止しつつ下定盤27のみを回転駆動させる構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、研磨修正用プレートを両面研磨装置20に用いる場合について説明したが、片面研磨装置に用いることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1………研磨修正用プレート、12、12a………貫通孔、14………溝、14a,14b,14c,14d………孔、16………歯車、18………段差、19………歯溝、20………両面研磨装置、21………キャリア、23………駆動軸、24………サンギア、25………上定盤、26………インターナルギア、27………下定盤、30,30a,30b、………冶具、32………爪部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨装置の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレートであって、
周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むことを特徴とする研磨修正用プレート。
【請求項2】
前記凹部は前記周側面の周方向に沿って伸びている溝であることを特徴とする請求項1に記載の研磨修正用プレート。
【請求項3】
前記凹部は前記周側面の周方向に複数並んでいることを特徴とする請求項1に記載の研磨修正用プレート。
【請求項4】
前記凹部の底が段差を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項5】
前記凹部の底が歯溝であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項6】
前記周側面は外周側面と内周側面とを含み、
前記外周側面と前記内周側面との少なくとも一方に前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の研磨修正用プレートを備えている研磨装置。
【請求項1】
研磨装置の研磨面を平坦に研磨するために用いられる研磨修正用プレートであって、
周側面が厚み方向に段差を有し、該段差の凹部は厚さ中央部を含むことを特徴とする研磨修正用プレート。
【請求項2】
前記凹部は前記周側面の周方向に沿って伸びている溝であることを特徴とする請求項1に記載の研磨修正用プレート。
【請求項3】
前記凹部は前記周側面の周方向に複数並んでいることを特徴とする請求項1に記載の研磨修正用プレート。
【請求項4】
前記凹部の底が段差を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項5】
前記凹部の底が歯溝であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項6】
前記周側面は外周側面と内周側面とを含み、
前記外周側面と前記内周側面との少なくとも一方に前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の研磨修正用プレート。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の研磨修正用プレートを備えている研磨装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−94937(P2013−94937A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242675(P2011−242675)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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