説明

研磨方法

【課題】短い研磨時間で、高い平坦度を得ながら被加工物の両面を夫々所定量加工する研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨方法は、被加工物10の両面10A、10Bを同時に研磨して所定の厚みToに調整するために、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qを異なる値に設定する工程と、偏光分離膜13を基準に被加工物10の両面10A、10Bの各加工量L、Mを測定する工程と、被加工物10を第1の加工時間Xで研磨加工する工程と、上定盤35及び下定盤36に対して、被加工物10の両面10A、10Bを反転させる工程と、反転させた被加工物10を第2の加工時間Yで研磨加工する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面ラップ盤で被加工物の両面を研磨して所定の厚みに調整する研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面ラップ盤は、水晶基盤や半導体ウエハ、またハードディスク用のガラス基板等の薄板状被加工物を両面同時に研磨加工するものであり、両面同時に加工することによって、研磨時間を短縮している。
【0003】
また、特許文献1に記載の両面ラップ盤では、被加工物が両面ラップ盤の上定盤と下定盤との間に配置され、両面ラップ盤が回転することによって、被加工物の上下面が同時に研磨されるが、被加工物の研磨代の約半分が研磨されると、両面ラップ盤から被加工物を取り外し、被加工物の上下面を反転させて両面ラップ盤に再配置する。そして、被加工物の両面を前記と同様に目標の厚みになるまで研磨する。このように、研磨の途中において被加工物を反転させることにより、上面と下面との研摩状態の相違を矯正して、所望の厚みで高い平坦度を有する被加工物を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−149386号公報(段落[0018]〜[0022]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した先行技術では、被加工物の上下面の間に接合面等の基準面を有し、上面をその基準面から所定量加工し、また下面をその基準面から所定量加工したうえで、被加工物を所望の厚みにすることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、短い研磨時間で、高い平坦度を得ながら被加工物の両面を夫々所定量加工する研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、前記被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、前記上定盤及び下定盤に対して前記被加工物の被研磨面を反転させる工程と、前記反転させた被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間で研磨加工する工程と、を有し、前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴としている。
【0008】
この方法によれば、第1及び第2の加工時間は、上定盤と下定盤の加工レートと、被加工物の各加工量とに基づいて算出される。そして、被研磨面の一方の面は、上定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、下定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。一方、被研磨面の他方の面は、下定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、上定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。そして、一方の面と他方の面が夫々所定量加工されることによって、被加工物は所定の厚みとなる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、前記被加工物は接合面を有し、前記接合面を基準として前記加工量が設定されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、前記接合面は前記被研磨面に対して傾斜しており、前記接合面の端部を基準に前記加工量を測定することを特徴としている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、前記被加工物は、接合した光学フィルタであることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、前記接合面は前記被研磨面と平行であることを特徴としている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明では、前記被加工物に対して、前記上定盤と下定盤との回転速度差を設けることによって、前記上定盤と下定盤との加工レートを異なる値に設定することを特徴としている。
【0014】
また、請求項7に記載の発明では、前記上定盤と下定盤の研磨材の粗さ、または硬さに差を設けることによって、前記上定盤と下定盤との加工レートを異なる値に設定することを特徴としている。
【0015】
また、請求項8に記載の発明では、被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、同一厚さの複数の被加工物から、前記被加工物の各加工量が同じである被加工物を選別する工程と、前記選別された被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、前記上定盤及び下定盤に対して前記選別された被加工物の被研磨面を反転させる工程と、前記反転させた被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間で研磨加工する工程と、を有し、前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴としている。
【0016】
この方法によれば、第1及び第2の加工時間は、上定盤と下定盤の加工レートと、被加工物の各加工量とに基づいて算出される。そして、選別された複数の被加工物の一方の面は、上定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、下定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。一方、選別された複数の被加工物の他方の面は、下定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、上定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。そして、一方の面と他方の面が夫々所定量加工されることによって、選別された複数の被加工物は所定の厚みとなる。
【0017】
また、請求項9に記載の発明では、被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、同一厚さの複数の被加工物から、前記被加工物の各加工量に応じて被加工物を区分する工程と、少なくとも2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間に配置する工程と、2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、前記上定盤及び下定盤に対して、第1の区分に属する被加工物の被研磨面を反転させる工程と、前記2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間の所定時間で研磨加工する工程と、前記上定盤及び下定盤に対して、第2の区分に属する被加工物の被研磨面を反転させる工程と、前記2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間内の残り時間で研磨加工する工程とを有し、前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴としている。
【0018】
この方法によれば、第1及び第2の加工時間は、上定盤と下定盤の加工レートと、被加工物の各加工量とに基づいて算出される。そして、第1の区分に属する被加工物の一方の面は、上定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、下定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。一方、第1の区分に属する被加工物の他方の面は、下定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、上定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、所定量加工されることになる。そして、一方の面と他方の面が夫々所定量加工されることによって、第1の区分に属する被加工物は所定の厚みとなる。また、第2の区分に属する被加工物の一方の面は、上定盤の加工レートで第1の時間と第2の時間内の所定時間と間、加工され、反転後、下定盤の加工レートで第2の時間内の残り時間で加工されて、第1の区分の被加工物とは異なる所定量加工されることになる。一方、第2の区分に属する被加工物の他方の面は、下定盤の加工レートで第1の時間と第2の時間内の所定時間と間、加工され、反転後、上定盤の加工レートで第2の時間内の残り時間で加工されて、第1の区分の被加工物とは異なる所定量加工されることになる。そして、一方の面と他方の面が夫々所定量加工されることによって、第2の区分に属する被加工物は第1の被加工物と同じ所定の厚みとなる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、第1及び第2の加工時間は、上定盤と下定盤の加工レートと、被加工物の各加工量とに基づいて算出される。そして、被研磨面の一方の面は、上定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、下定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、或る所定量加工されることなる。一方、被研磨面の他方の面は、下定盤の加工レートで第1の時間で加工され、反転後、上定盤の加工レートで第2の時間で加工されて、別の所定量加工されることになる。そして、一方の面と他方の面が夫々所定量加工されることによって、被加工物は所定の厚みとなる。従って、両面同時に加工することで研磨加工時間が短縮され、被加工物を反転させることで平坦度の高い被加工面が得られ、上定盤と下定盤の加工レートに応じて加工時間を割り振ることで、被加工物の両面を夫々所定量加工することができるとともに、被加工物を所定の厚さに調整することができる。更に、各研磨面の加工量が異なる場合であっても、上定盤と下定盤の加工レートを変更することなく、予め設定した研磨条件で加工できるので、基準面に対する様々な厚みを有する被加工物に容易に対応できる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明によれば、被加工物の接合面を基準として被研磨面の各加工量が設定されるので、被加工物を所定の厚さに調整することができるとともに、接合面と被研磨面との寸法精度が良好なものとなる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明によれば、接合面は被研磨面に対して傾斜していても、被加工物の接合面を基準として被研磨面の各加工量が設定されるので、被加工物を所定の厚さに調整することができるとともに、接合面と被研磨面との寸法精度が良好なものとなる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明によれば、光入出面である被研磨面と接合面との寸法精度が良く、光入出面の面精度が良いビームスプリッタを得ることができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、被加工物の接合面を基準として被研磨面の各加工量が設定されるので、被加工物を所定の厚さに調整することができるとともに、接合面と被研磨面との寸法精度が良好なものとなる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明によれば、上定盤と下定盤との回転速度差を設けることによって、上定盤と下定盤との加工レートが異なる値に設定されるので、加工レート差を簡単に且つ確実に設定することができる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明によれば、上定盤と下定盤の研磨材の粗さ、または硬さに差を設けることによって、上定盤と下定盤との加工レートを異なる値に設定するので、加工レート差を簡単に且つ確実に設定することができる。
【0026】
また、請求項8に記載の発明によれば、複数の被加工物を纏めて、被加工物の被研磨面から夫々同時に所定量加工するとともに、所定の厚さに調整することになり、生産性が向上し、製造コストを抑制することができる。更に、各研磨面の加工量が異なる場合であっても、上定盤と下定盤の加工レートを変更することなく、予め設定した研磨条件で加工できるので、基準面に対する様々な厚みを有する被加工物に容易に対応できる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明によれば、被研磨面からの加工量が異なる複数の被加工物を纏めて、被加工物の被研磨面から夫々同時に所定量加工するとともに、所定の厚さに調整することになり、生産性が向上し、製造コストを抑制することができる。更に、各研磨面の加工量が異なる場合であっても、上定盤と下定盤の加工レートを変更することなく、予め設定した研磨条件で加工できるので、基準面に対する様々な厚みを有する被加工物に容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】は、本発明の実施形態である研磨方法を適用する光学素子の製造方法の前工程を示す図
【図2】は、本発明の実施形態である研磨方法を適用する光学素子の製造方法の後工程を示す図
【図3】は、本発明の実施形態である研磨方法を適用する光学素子を示す図
【図4】は、本発明の実施形態である研磨方法を用いる両面ラップ盤の概略説明図
【図5】は、両面ラップ盤の要部を示す断面図
【図6】は、本発明の実施形態である研磨方法による加工例を示す図
【図7】は、本発明の実施形態である研磨方法による別の加工例を示す図
【図8】は、本発明の実施形態である研磨方法を適用する別の光学素子を示す図
【図9】は、本発明の実施形態である研磨方法を適用するさらに別の光学素子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0030】
図1、図2は、本実施形態である研磨方法を適用するビームスプリッタの製造方法を説明する工程図である。ビームスプリッタは、偏光分離膜を介して2つの三角柱状のガラスプリズムを接合することにより立方体状に構成したものであり、偏光分離膜において所定の偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を反射する機能を有する。図1(a)〜(d)、図2(a)〜(j)の工程順に製造し、その後工程で本実施形態である研磨が行なわれる。
【0031】
図1(a)に示すように、複数のガラス平板50が用意される。ガラス平板50は、均一な厚みの矩形状の板ガラス51と、板ガラス51の上面に形成される偏光分離膜13と、板ガラス51の下面にマッチング膜53とを備える。
【0032】
図1(b)は積層体60の形成工程を示す図である。積層体60は、治具90を用いて複数のガラス平板50を水平方向にずらした状態で積層されるものである。
【0033】
治具90は、水平な板状のベース部91と、ベース部91上に配設される水平支持部92と、ベース部91上で水平方向及び垂直方向に可動する垂直支持部93とを備える。
【0034】
ガラス平板50が偏光分離膜13を上向きにしてベース部91に載置され、ガラス平板50の一端部が水平支持部92に当接して配置される。このガラス平板50の上面に、次のガラス平板50が積まれる。ガラス平板50を積むときに、次のガラス平板50は、ガラスの厚み相当の距離だけ下のガラス平板50から突出するように水平方向にずらして配置される。同様にして、更にガラス平板50が積み重ねられることによって、積層体60となる。
【0035】
このように積み重ねられるときに、図1(b)に示すように、垂直支持部93は、ガラス平板50Aの下面を支持するとともに、その下にあるガラス平板50の端面に当接するように配置される。そして、ガラス平板50Aの上面に紫外線硬化型接着剤が塗布される。次に、次のガラス平板50Bを用意する。このガラス平板50Bがガラス平板50Aの上面に載置され、ガラス平板50Bの上面から加圧して、ガラス平板50A、50B間の接着剤を均一に広げながら、ガラス平板50Bをガラスの厚み相当の距離だけ水平方向にずらす。ガラス平板50の位置がずれないように、図示しない紫外線光源から紫外線硬化型接着剤の完全硬化に必要な紫外線量よりも少ない紫外線を照射し、接着剤を仮硬化させる。同様にして、治具90を用いてガラス平板50を順次水平方向にずらして積み重ねていく。積み重ね終わると、図示しない紫外線光源から紫外線を充分に照射して接着剤を完全硬化させる。これで、ガラス平板50が貼り合わされた階段状の積層体60が得られる。
【0036】
次に図1(c)に示すように、積層体60は、ガラス平板50の平板面に対して45度に傾斜した切断線S1に沿って所定ピッチで、ワイヤソーにより複数ブロックに切断される。これによって、図1(d)に示す複数の積層分割体70が得られる。積層分割体70は図1の紙面方向に延在する平行四辺形柱状をなし、板ガラス51間に等間隔で複数の偏光分離膜13が形成されることになる。
【0037】
次に図2(a) に示すように、積層分割体70は上下両面(切断面)を鏡面加工され、鏡面加工後に上下両面に反射防止膜71がコーティングされる。
【0038】
図2(b)に示すように、 積層分割体70は上下両面に紫外線硬化型接着剤を塗布されて、整合状態で積層される。積層分割体70間に紫外線硬化型接着剤を塗布し、完全硬化に必要な紫外線量より少ない量を照射しておくことにより、各積層分割体70は仮止めされる。
【0039】
次に図2(c)に示すように、上下方向に積層された積層分割体70は、積層分割体70の上下面と直交する切断線S2に沿って所定ピッチで、ワイヤソーにより切断される。この切断によって、仮止め積層体80が得られる。
【0040】
図2(d)に示すように、仮止め積層体80は紫外線硬化型接着剤を介して上下方向に連結されて紙面方向に延在する構成となっている。
【0041】
次に図2(e)の側面図に示すように、仮止め積層体80は切断線S3に沿って所定ピッチで、ワイヤソーにより切断される。この切断線S3は図2(c)の切断線S2と直交している。
【0042】
仮止め積層体80は紫外線硬化型接着剤によって接続された状態にあり、仮止め積層体80を有機溶剤に浸すことによって、充分に硬化していない紫外線硬化型接着剤が溶解され、図2(f)に示すように、複数のビームスプリッタ10に分離される。
【0043】
図3はビームスプリッタ10を示す図である。図3(a)は上記の製造工程によって製造されたビームスプリッタ(以下、「被加工物」ということもある)を示し、図3(b)は、後述する研磨によって鏡面加工され且つ所定の厚さに加工されたビームスプリッタを示している。
【0044】
図3(b)に示すように、ビームスプリッタ10は、2つの三角柱状のガラスプリズム11、12の間に偏光分離膜13を介在させた、厚みToの立方体状をなしている。
【0045】
上記の製造工程においてワイヤソーで積層分割体70を切断する際に(図2(C)参照)、偏光分離膜13の両端部から寸法の余裕を持って切断し、また、切断位置のバラツキがある。これによって、図3(a)に示すように、ビームスプリッタ10の上面10Aは偏光分離膜13の上端部から距離L離間し、ビームスプリッタ10の下面10Bは偏光分離膜13の下端部から距離M離間し、ビームスプリッタ10の厚みTは図3(b)に示すビームスプリッタ10の厚みToより大きくなる。
【0046】
そこで、ビームスプリッタ(被加工物)10を厚みToとするために、ビームスプリッタ10の上面10A及び下面10Bを研磨加工する。図4は本実施形態である研磨方法を用いる両面ラップ盤の概略説明図であり、図5は両面ラップ盤の要部を示す断面図である。尚、本実施形態に係る研磨加工はラップ或いはポリッシュ加工である。
【0047】
図4に示すように、両面研磨機である両面ラップ盤30は、遊星歯車機構を構成しており、太陽歯車31と、内歯車32と、複数のキャリア33とを備え、更にキャリア33の上下位置に上定盤35(図5参照)と下定盤36(図5参照)を備える。
【0048】
太陽歯車31は、下定盤36を貫通した駆動軸(図略)に取り付けてあり、駆動軸を介して回転駆動させられる。太陽歯車31の外周側には歯車が設けられ、内歯車32の内周側には歯車が設けられており、太陽歯車31及び内歯車32の各歯車と噛み合うように、キャリア33の外周側には歯車が設けられている。
【0049】
太陽歯車31が回転駆動されると、これに噛み合っている各キャリア33は、自転回転するとともに内歯車32の歯車との噛み合いによって、太陽歯車31の周囲を公転回転する。
【0050】
各キャリア33は、矩形状の貫通穴である複数の保持部34を有する。保持部34には被加工物であるビームスプリッタ10が保持される。
【0051】
図5に示すように、上定盤35の下面にはウレタンパッドからなる研磨材37が貼り付けられ、下定盤36の上面にはウレタンパッドからなる研磨材38が貼り付けられている。キャリア33に保持された被加工物10は、研磨材37、38を介して、上定盤35と下定盤36で上下から挟み込まれる。このとき、上定盤35に圧力が印加され、被加工物10は研磨材37、38に押圧される。
【0052】
太陽歯車31、内歯車32、上定盤35、及び下定盤36が夫々回転することで、被加工物10の上下面10A、10Bが研磨材37、38によって研磨加工される。
【0053】
ここで、被加工物10の厚みTを厚みToに調整し、且つ上面10Aから寸法Lだけ研磨加工し、また下面10Bから寸法Mだけ研磨加工するために、加工レートと加工時間が設定される。
【0054】
つまり、被加工物10を厚みTから厚みToにするのに、厚みの差C=T−To分だけ両面を研磨加工する必要がある。また上面10Aの研磨による加工量はLであり、下面10Bの研磨による加工量はMであることから、総加工量Cは式(1)のようになる。
総加工量C=L+M ・・・式(1)
【0055】
上定盤35の研磨材37による加工レートをP、下定盤36の研磨材38による加工レートをQとする。尚、加工レートとは、単位時間当たりの研磨加工量(例えば、単位はmm/分)である。
【0056】
更に本実施形態では、研磨加工の途中で被加工物10を反転させて更に研磨加工する。まず、被加工物10の上面10Aが研磨材37(上定盤35)によって研磨され、その下面10Bが研磨材38(下定盤36)によって研磨される。この研磨加工を工程1とする。次に研磨加工の途中で、上定盤35及び下定盤36に対して、被加工物10の両面を反転させる。そして、被加工物10の上面10Aが研磨材38(下定盤36)によって研磨され、その下面10Bが研磨材37(上定盤35)によって研磨される。反転させた後の研磨加工を工程2とする。
【0057】
ここで、工程1における加工時間をX、工程2における加工時間をYとする。総加工量Cを研磨加工する総加工時間Zは(X+Y)である。
【0058】
このように、途中で反転させて研磨加工した場合、上面10Aの加工量Lは、工程1、2の各加工時間X、Yと上下定盤35、36の各加工レートP、Qより、式(2)のようになる。
L=PX+QY ・・・式(2)
【0059】
また、下面10Bの加工量Mは、工程1、2の各加工時間X、Yと上下定盤35、36の各加工レートP、Qより、式(3)のようになる。
M=QX+PY ・・・式(3)
【0060】
上記の式(2)と式(3)から、工程1の加工時間X、及び工程2の加工時間Yは、式(4)、式(5)として得られる。
X=(LP−MQ)/(P2−Q2) ・・・式(4)
Y=(MP−LQ)/(P2−Q2) ・・・式(5)
【0061】
従って、偏光分離膜13の上端部から被加工物10の上面10Aまでの距離(加工量L)を測定し、偏光分離膜13の下端部から被加工物10の下面10Bまでの距離(加工量M)を測定して、更に上定盤35の加工レートP及び下定盤36の加工レートQを設定して、その各値と式(4)、式(5)を用いると、工程1と工程2の加工時間X、Yを算出することができ、その加工時間で被加工物10を研磨加工すればよい。
【0062】
例えば、先に説明した図1、図2の製造工程によって、多数のビームスプリッタ(被加工物)10が製造される。これらの被加工物10の厚みTを測定し、その厚みTに応じて厚み区分けする。次に、1つの厚み区分における複数の被加工物10の両面の加工量L、Mを測定し、更に、加工量L、Mに応じて加工量区分けする。
【0063】
所定の加工量区分に区分けされた複数の被加工物10を両面ラップ盤30の保持部34(図4、図5参照)に装着する。
【0064】
次に、加工レートP、Q、及び工程1、2の加工時間X、Yを設定する。
【0065】
ここで、所定の加工量区分における総加工量Cが2mm、測定の結果、上面10Aからの加工量Lが1.012mm、下面10Bからの加工量Mが0.988mmであるとする。予め上定盤35の加工レートPを0.1mm/分、下定盤36の加工レートQを0.105mm/分と設定する。この加工レートP、Qは、研磨加工の精度や加工時間等の性能・コストに基づいて設定される。
【0066】
工程1、2の加工時間X、Yは、加工量L、Mと、加工レートP、Q、及び式(4)、式(5)によって算出される。図6は、上定盤35の加工レートPを0.1mm/分、下定盤36の加工レートQを0.105mm/分に設定した場合の、式(4)、式(5)から算出した加工例を示す表である。加工量Lが1.012mm、加工量Mが0.988mmであると、表の加工例1〜21の中で加工例5が対応する。この加工例5に基づいて、両面ラップ盤30による工程1の加工時間Xが2.48分、工程2の加工時間Yが7.28分に設定される。尚、図6では、総加工時間Z(工程1と工程2の加工時間X、Yの和)を一定として、加工量L、M毎に加工例1〜21を示している。
【0067】
これらの加工時間X、Yを設定して、両面ラップ盤30で研磨加工すると、被加工物10の上面10Aは、工程1によって上定盤35の加工レートP(0.1mm/分)で2.48分加工され、反転後、工程2によって下定盤36の加工レートQ(0.105mm/分)で7.28分加工されて、上面10Aの加工量Lは1.012mmとなる。
【0068】
また、被加工物10の下面10Bは、工程1によって下定盤36の加工レートQ(0.105mm/分)で2.48分加工され、反転後、工程2によって上定盤35の加工レートP(0.1mm/分)で7.28分加工され、下面10Bの加工量Mは0.988mmとなる。そして総加工量Cは2mmとなる。これで、偏光分離膜13からのバラツキを取り除いた、厚みToが2mmのビームスプリッタ10が得られる。
【0069】
上記の加工例は、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qの差を比較的に小さく設定し、被加工物10両面の研磨加工精度を上げている。上下定盤35、36の加工レートP、Qの差を変えて、加工時間を短縮させることもできる。この場合には、上定盤35と下定盤36との回転速度差が大きくなるようにして、上下定盤35、36の加工レート差を大きくする。または、上下定盤35、36に設けた各研磨材37、38の粗さ、または硬さの差が大きくなるようにして、上下定盤35、36の加工レートP、Qの差を大きくしてもよい。更に、研磨材37、38に替えて、上下定盤35、36と被加工物10との間に介在させる研磨ペレットの番手の差を大きくしてもよい。
【0070】
このようにして、上下定盤35、36の加工レートP、Qの差を大きくした加工例を図7に示す。この表の加工例1〜21では、上定盤35の加工レートPが0.1mm/分、下定盤36の加工レートQが0.15mm/分に設定されて、上下定盤35、36の加工レート差は0.05である。図6の加工レート差は0.005であり、図6、図7から明らかなように、図7の加工例では総加工時間Zが短縮されている。
【0071】
上記実施形態によれば、研磨方法は、被加工物10の両面10A、10Bを同時に研磨して所定の厚みToに調整するために、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qを異なる値に設定する工程と、偏光分離膜13を基準に被加工物10の両面10A、10Bの各加工量L、Mを測定する工程と、被加工物10を工程1の加工時間(第1の加工時間)Xで研磨加工する工程と、上定盤35及び下定盤6に対して、被加工物10の両面10A、10Bを反転させる工程と、反転させた被加工物10を工程2の加工時間(第2の加工時間)Yで研磨加工する工程とを有する。
【0072】
この方法によると、被加工物10の上面(一方の面)10Aは、上定盤35の加工レートPで工程1の加工時間Xで加工され、反転後、下定盤36の加工レートQで工程2の加工時間Yで加工され、或る所定量L加工されることなる。一方、被加工物10の下面(他方の面)10Bは、下定盤36の加工レートQで工程1の加工時間Xで加工され、反転後、上定盤35の加工レートPで工程2の加工時間Yで加工され、別の所定量M加工されることになる。そして、上面10Aと下面10Bが夫々所定量L、M加工されることによって、被加工物10は所定の厚みToとなる。従って、両面同時に加工することで研磨加工時間が短縮され、被加工物10を反転させることで平坦度の高い被加工面が得られ、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qに応じて加工時間X、Yを割り振ることで、被加工物10の両面10A、10Bを夫々所定量L、M加工することができるとともに、被加工物10を所定の厚さToに調整することができる。また、被加工物10の加工量L、Mが様々な場合であっても、加工レートP、Qを加工量L、Mに対応して変えることなく、加工時間X、Yを変えることで容易に対応できる。
【0073】
また、上記実施形態によれば、被加工物10は偏光分離膜(接合面)13を有して、この偏光分離膜13を基準として加工量L、Mが設定されることによって、両面10A、10Bと偏光分離膜13との寸法精度が良好なものとなるとともに、被加工物10を所定の厚さToに調整することができる。
【0074】
また、上記実施形態によれば、光入出面である両面と偏光分離膜との寸法精度が良く、光入出面の面精度が良いビームスプリッタ10を得ることができる。
【0075】
また、上記実施形態によれば、加工時間X、Yは、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qと、偏光分離膜13を基準とした被加工物10の両面10A、10Bの各加工量L、Mとに基づいて算出されることによって、加工時間X、Yを正確に設定することができる。
【0076】
また、上記第施形態によれば、被加工物10に対して、上定盤35と下定盤36との回転速度差を設けることによって、上定盤35と下定盤36との加工レートP、Qが異なる値に設定されるので、加工レート差を簡単に且つ確実に設定することができる。
【0077】
また、上記実施形態によれば、上定盤35と下定盤36の研磨材37、38の粗さ、または硬さに差を設けることによって、上定盤35と下定盤36との加工レートP、Qを異なる値に設定するので、加工レート差を簡単に且つ確実に設定することができる。
【0078】
また、上記実施形態によれば、研磨方法は、被加工物10の両面10A、10Bを同時に研磨して所定の厚みToに調整するために、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qを異なる値に設定する工程と、偏光分離膜13を基準に被加工物10の厚さTと両面10A、10Bの各加工量L、Mとを測定する工程と、複数の同一厚さTの被加工物10から、両面10A、10Bの各加工量L、Mが同じである被加工物10を選別する工程とを有する。更に、研磨方法は、選別された被加工物10を工程1の加工時間Xで研磨加工する工程と、上定盤35及び下定盤36に対して、選別された被加工物10の両面10A、10Bを反転させる工程と、反転させた被加工物10を工程2の加工時間Yで研磨加工する工程とを有する。
【0079】
この方法によると、複数の被加工物10を纏めて、被加工物10の両面10A、10Bから夫々同時に所定量L、B加工するとともに、所定の厚さToに調整することになり、生産性が向上し、製造コストを抑制することができる。
【0080】
尚、上記第実施形態では、図1、図2の製造工程によって、製造された多数のビームスプリッタ(被加工物)10の中から、厚み区分と加工量区分とが同じ被加工物10を選別し、この選別した被加工物10を纏めて、両面ラップ盤30で研磨加工する方法を示したが、本発明はこれに限らず、下記の方法によって研磨加工してもよい。
【0081】
その研磨加工法は、上定盤35と下定盤36の加工レートP、Qを異なる値に設定する工程と、偏光分離膜13を基準に被加工物10の厚さTと両面10A、10Bの各加工量L、Mとを測定する工程と、同一厚さTの複数の被加工物10から、両面10A、10Bの各加工量L、Mに応じて被加工物10を区分する加工量区分工程と、2つの加工量区分に属する被加工物10を上定盤35と下定盤36との間に配置する工程とを有する。2つの加工量区分のうち、第1の加工量区分の両面10A、10Bの各加工量L1、M1とし、加工量L1、M1を加工すると被加工物10の厚みはToとなる。また、第2の加工量区分の両面10A、10Bの各加工量L2、M2とし、加工量L2、M2を加工すると被加工物10の厚みはToとなる。
【0082】
更に、研磨加工法は、工程1の加工時間Xで、2つの加工量区分に属する被加工物10を研磨加工する工程と、上定盤35及び下定盤36に対して、第1の加工量区分に属する被加工物10の両面10A、10Bを反転させる工程と、工程2の加工時間Y内の所定時間Y1で、2つの加工量区分に属する被加工物10を研磨加工する工程と、上定盤35及び下定盤36に対して、第2の加工量区分に属する被加工物10の両面10A、10Bを反転させる工程と、工程2の加工時間内Yの残り時間Y2で、2つの加工量区分に属する被加工物10を研磨加工する工程とを有する。
【0083】
この方法によると、第1の加工量区分に属する被加工物10の上面10Aは、上定盤35の加工レートPで工程1の加工時間Xで加工され、反転後、下定盤36の加工レートQで工程2の加工時間Yで加工され、所定量L1加工される。一方、第1の加工量区分に属する被加工物10の下面10Bは、下定盤36の加工レートQで工程1の加工時間Xで加工され、反転後、上定盤35の加工レートPで工程2の加工時間Yで加工され、所定量M1加工される。
【0084】
そして、上面10Aと下面10Bが夫々所定量L1、M1加工されることによって、第1の加工量区分に属する被加工物10は所定の厚みToとなる。
【0085】
また、第2の加工量区分に属する被加工物10の上面10Aは、上定盤35の加工レートPで工程1の加工時間Xと工程2の加工時間Y内の所定時間Y1と間、加工され、反転後、下定盤36の加工レートQで工程2の加工時間Y内の残り時間Y2で加工され、第1の加工量区分の被加工物10とは異なる所定量L2加工される。一方、第2の加工量区分に属する被加工物10の下面10Bは、下定盤36の加工レートQで工程1の加工時間Xと工程2の加工時間Y内の所定時間Y1と間、加工され、反転後、上定盤35の加工レートPで工程2の加工時間Y内の残り時間Y2で加工され、第1の加工量区分の被加工物10とは異なる所定量M2加工される。
【0086】
そして、上面10Aと下面10Bが夫々所定量L2、M2加工されることによって、第2の加工量区分に属する被加工物10は第1加工量区分の被加工物10と同じ所定の厚みToとなる。
【0087】
加工量区分は上記のように2つに限らずに、もっと多数の加工量区分の被加工物10を本実施形態の研磨方向によって加工することができる。
【0088】
これによって、両面からの加工量が異なる複数の被加工物10を纏めて、被加工物10の両面10A、10Bから夫々同時に所定量加工するとともに、所定の厚さに調整することになり、生産性が向上し、製造コストを抑制することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、被加工物としてビームスプリッタに適用した研磨方向を示したが、本発明はこれに限らず、被加工物は図8に示す光学フィルタ210に適用してもよい。
【0090】
光学フィルタ210は、2つの平板状ガラスからなり、夫々の分光特性が異なるガラス211、212を接合面213で接合したものである。2つのガラス211、212は屈折率が異なるもの、また、ND特性の異なるものであってもよい。
【0091】
光学フィルタ210を所定の厚みに調整するとともに、各ガラス211、212を各所定の厚みに研磨加工するために、上定盤35と下定盤36との各加工レートP、Qを設定し、光学フィルタ(被加工物)210の両面210A、210Bの各加工量を測定し、更に、光学フィルタ210を所定の加工時間で両面同時に研磨加工した後、上定盤35及び下定盤6に対して、光学フィルタ210の両面210A、210Bを反転させて、反転させた光学フィルタ210を別の所定時間で両面同時に研磨加工する。
【0092】
これによって、光入出面である両面と接合面との寸法精度が良く、光入出面の面精度が良い光学フィルタ210を得ることができる。
【0093】
また、本実施形態では、被加工物として、図9に示すガラスブロック310に適用してもよい。ガラスブロック310は、外形サイズの異なる2つの矩形状のガラス311、312を接合面313で接合したものである。2つのガラス311、312は、夫々の分光特性、屈折率等の光学特性が異なるものである。
【0094】
ガラスブロック310を所定の厚みに調整するとともに、各ガラス311、312を各所定の厚みに研磨加工するために、上定盤35と下定盤36との各加工レートP、Qを設定し、ガラスブロック(被加工物)310の両面310A、3210Bの各加工量を測定し、更に、ガラスブロック310を所定の加工時間で両面同時に研磨加工した後、上定盤35及び下定盤36に対して、ガラスブロック310の両面310A、310Bを反転させて、反転させたガラスブロック310を別の所定時間で両面同時に研磨加工する。
【0095】
これによって、光入出面である両面と接合面との寸法精度が良く、光入出面の面精度が良い光ガラスブロック310を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、両面ラップ盤で被加工物の両面を研磨して所定の厚みに調整する研磨方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 ビームスプリッタ(被加工物)
10A 上面
10B 下面
11、12 ガラスプリズム
13 偏光分離膜
30 両面ラップ盤
31 太陽歯車
32 内歯車
33 キャリア
34 保持部
35 上定盤
36 下定盤
37、38 研磨材
50 ガラス平板
51 板ガラス
53 マッチング膜
60 積層体
70 積層分割体
71 反射防止膜
80 仮止め積層体
90 治具
91 ベース部
92 水平支持部
93 垂直支持部
210 光学フィルタ(被加工物)
213、313 接合面
310 ガラスブロック(被加工物)
L、M 加工量
P、Q 加工レート
S1、S2、S3 切断線
T 被加工物の厚み
X、Y 加工時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、
両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、
前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、
前記被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、
前記上定盤及び下定盤に対して前記被加工物の被研磨面を反転させる工程と、
前記反転させた被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間で研磨加工する工程と、を有し、
前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記被加工物は接合面を有し、前記接合面を基準として前記加工量が設定されることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記接合面は前記被研磨面に対して傾斜しており、前記接合面の端部を基準に前記加工量を測定することを特徴とする請求項2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記被加工物は、接合した光学フィルタであることを特徴とする請求項2に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記接合面は前記被研磨面と平行であることを特徴とする請求項2に記載の研磨方法。
【請求項6】
前記被加工物に対して、前記上定盤と下定盤との回転速度差を設けることによって、前記上定盤と下定盤との加工レートを異なる値に設定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項7】
前記上定盤と下定盤の研磨材の粗さ、または硬さに差を設けることによって、前記上定盤と下定盤との加工レートを異なる値に設定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項8】
被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、
両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、
前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、
同一厚さの複数の被加工物から、前記被加工物の各加工量が同じである被加工物を選別する工程と、
前記選別された被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、
前記上定盤及び下定盤に対して前記選別された被加工物の被研磨面を反転させる工程と、
前記反転させた被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間で研磨加工する工程と、を有し、
前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴とする研磨方法。
【請求項9】
被加工物の互いに対向する被研磨面を同時に研磨する研磨方法であって、
両面研磨機の上定盤と下定盤の加工レートを異なる値に設定する工程と、
前記被研磨面の間に位置する基準面を基準に、前記被加工物の各加工量を測定する工程と、
同一厚さの複数の被加工物から、前記被加工物の各加工量に応じて被加工物を区分する工程と、
少なくとも2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間に配置する工程と、
2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第1の加工時間で研磨加工する工程と、
前記上定盤及び下定盤に対して、第1の区分に属する被加工物の被研磨面を反転させる工程と、
前記2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間の所定時間で研磨加工する工程と、
前記上定盤及び下定盤に対して、第2の区分に属する被加工物の被研磨面を反転させる工程と、
前記2つの区分に属する被加工物を前記上定盤と下定盤との間で第2の加工時間内の残り時間で研磨加工する工程とを有し、
前記第1の加工時間と第2の加工時間とは、前記上定盤と下定盤の加工レートと、前記被加工物の各加工量とに基づいて算出されることを特徴とする研磨方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−125933(P2011−125933A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283755(P2009−283755)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】