研磨機
【課題】回転運動する研磨体では回転方向に研磨機8が引っ張られて動いてしまうため研磨角度が安定せず、また研磨粉が強制的に排除されないので刃先15aの角度が安定せず切れ味が悪いという問題があった。
【解決手段】刃物15の刃先15aを研磨するための研磨機8であって、一軸方向5に往復運動する研磨体3を備え、該研磨体3の表面に前記一軸方向5に沿った溝3aを有すること。
【解決手段】刃物15の刃先15aを研磨するための研磨機8であって、一軸方向5に往復運動する研磨体3を備え、該研磨体3の表面に前記一軸方向5に沿った溝3aを有すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モーターの出力軸に連結した回転研磨体を有し、前記回転研磨体を回転させて包丁の刃先に当接する事により、包丁の刃先を研磨する電動包丁研磨機が使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、回転面を有する独楽型の砥石を有し、前記砥石の表面の砥石の粒を付着させていない部分に、研磨方向に対して略垂直方向となる溝が形成された手動研磨機が開示されている。
【0004】
この溝は研磨で発生した残渣の排出溝として利用される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−083558号公報
【特許文献2】実開平4−109860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1では、刃物が回転研磨体に対して跳ね返り易く、刃物を研磨する角度が安定しにくいという場合がある。
【0007】
また、特許文献2では、砥石の研磨によって発生した残渣が、研磨面から排除されにくくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みて本発明の研磨機は、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の研磨機によれば、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有することで、研磨速度が速くなるとともに、研磨後の刃先の角度が安定し易くなり、切れ味のよい刃物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】研磨体の斜視図である。
【図2】研磨体の上面図である。
【図3】研磨体の正面図である。
【図4】研磨体の側面図である。
【図5】研磨体の研磨面における断面図である。
【図6】研磨体の模式的に説明する三面図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図7】研磨体の研磨面における拡大模式図であり、(a)は開気孔過少、(b)は標準的な開気孔、(c)は開気孔過多である。
【図8】研磨機の第一実施形態の斜視図である。
【図9】研磨機の第一実施形態の上面図である。
【図10】研磨機の第一実施形態の側面図である。
【図11】研磨機の第二実施形態の斜視図である。
【図12】研磨機の第二実施形態の上面図である。
【図13】研磨機の第二実施形態の側面図である。
【図14】研磨機の第三実施形態の斜視図である。
【図15】研磨機の第三実施形態の上面図である。
【図16】研磨機の第三実施形態の側面図である。
【図17】研磨機の第三実施形態の分解斜視図であり、(a)は研磨機全体の分解図、(b)は柄内部の分解図である。
【図18】研磨機の第三実施形態における研磨状態を示す側面図であり、(a)は第一端側での研磨状態、(b)は第二端側での研磨状態を示すものである。
【図19】研磨機の第三実施形態における研磨状態を示す上面図であり、(a)は第一端側での研磨状態、(b)は第二端側での研磨状態を示すものである。
【図20】案内板における仕切り構造と研磨体の関係を説明するための拡大断面図である。
【図21】研磨機の第一実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図22】研磨機の第二実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図23】研磨機の第三実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図24】研磨機の一実施形態の他の実施例における平面図である。
【図25】研磨機の第一実施形態の他の実施例の側面図である。
【図26】(a)〜(c)は研磨体を回転させたときの各突出量である。
【図27】(a)は研磨体の溝に平行な断面図、(b)は研磨体の溝に垂直な断面図、(c)は研磨体の溝に垂直な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
本発明の研磨機の第一実施形態は、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有する研磨機である。
【0012】
まず、研磨体3について図1〜6を用いて説明する。
【0013】
図6(a)では、研磨体3の曲面3cに溝3aが一軸方向5に対して平行に複数形成されていること、(b)では、研磨体3の平面3bと曲面3cとにおいて一定の間隔Pで溝3aが複数形成されていること、(c)では、研磨体3の平面3bに溝3aが一軸方向5に対して平行かつ均等に複数形成されていることが示されている。
【0014】
刃物15を砥ぐ過程において、研磨体3の中央付近に残渣16が発生し始めるが、すぐに溝3aの中に入り込み、一軸方向5での往復運動による揺動によって溝3aの中央から両端に向かって引っ張られて移動していき、残渣16は順次排除されていく。
【0015】
これは研磨体3の往復運動により、残渣16が振動することにより、研磨体3の溝3aから残渣16を詰まることなく排除され易くするというものである。
【0016】
これによって、研磨体3の表面に残渣16が滞留することを低減して、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0017】
ここで往復運動については、例えば後述される一実施形態のように、電動モーターと、該電動モーターの回転に伴い一軸方向5に往復運動する研磨体3を備えることで、容易に実現することができる。
【0018】
なお、溝3aを平面視したときの形状は、直線的であることが好ましいが、曲線的であったり、刃物15の種類に応じて、溝3aが途中で複数に分岐をしたり、あるいは複数の溝3aが途中で合流するなどする構造にしても所定の効果を得ることができる。
【0019】
また、溝3aは残渣16の排出が容易である点で、一軸方向5に対して略平行であることが好ましいが、傾斜している部分があるなどのように、一部平行でない部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0020】
溝3aの数は、単数であっても、複数であってもよい。また溝3aが複数の場合、溝3aの間隔Pや幅W1は、一定で設けられていることが好ましいが、一部に一定ではなく不規則な部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0021】
溝同士の間隔Pは溝の幅W1よりも大きいことが、研磨面3dの面積を確保して研磨速度を所定以上に維持することができる点で好ましい。
【0022】
ここで研磨体3の研磨面3dとは、研磨体3の研磨に使用される表面のことであって、溝3a以外の部分に相当する。あるいは、研磨体3の一軸方向5に沿った平行な面であり、かつ、溝3aが形成されていない領域に相当すると言い換えることもできる。
【0023】
また、溝3aの形状は、連続的であることが好ましいが、一部に断続的な部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0024】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記溝は前記一軸方向に対して平行となることが好ましい。
【0025】
これにより、刃先15aが一軸方向5に平行であるがために、刃先15aが溝3aにはまってしまって、刃先15aが刃こぼれしてしまうというようなことがない。
【0026】
さらに前記研摩体はアルミナ、もしくはシリコンナイトライドからなることにより、金属包丁よりも高い硬度を得ることができ、耐摩耗性も良好である。
ここで、セラミック包丁に対しては、ダイヤモンド砥粒を表面に付着させたものを使用することが好ましい。
【0027】
さらに前記研磨体の開気孔率は10〜30%であることが好ましい。
【0028】
ここで開気孔17は図7に示され、直線方向に開気孔17と交差する回数が多いほど、研磨速度が速くなると考えられる。
【0029】
開気孔率がこの範囲であれば、有効的に研磨に寄与する開気孔17のエッジ部分が確保され、研磨速度を維持して安定した切れ味を有することができる。
【0030】
またあるいは、0.2〜2%の開気孔率で管理すれば、所定の硬度を確保することができ、研磨体3の磨耗を低減することができると考えられる。なお、0.2未満でも使用可能であるが、プレス成型などで作製するのは困難である。
【0031】
以上のような開気孔率は、φ17mmタブレットを用いた水中アルキメデス法(JIS C2141−1992)に準じる見掛け気孔率として測定することができる。
【0032】
さらに、前記溝の幅は前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて広くなることが好ましい。
【0033】
これにより、図14のように溝3aにおける残渣16が排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。特に好ましくは、研磨体3の中央部付近に比べて両端部付近で2〜4倍広がっているのが好ましい。
【0034】
また、研磨体3の中央部においては溝3aの幅W1が一定であって、広がっていない状態としておけば、刃先15aが研磨体3の研磨面3dと接触する面積を稼げるので、研磨速度の低下を低減できる点で好ましい。
【0035】
さらに、前記溝の深さは前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて深くなることが好ましい。
【0036】
さらに、前記溝の深さDは前記研磨体の両端側に向かうにつれて深くなることが好ましい。
【0037】
これにより、溝3aにおける残渣16が排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。特に好ましくは、研磨体3の中央部付近に比べて両端部付近で2〜4倍深いことが好ましい。
【0038】
さらに、前記溝の底面は前記一軸方向に対して垂直な断面視において、曲線状であることが好ましい。
【0039】
さらに、前記溝は前記一軸方向に対し垂直な断面視において、溝3aの底部が曲線状であることが好ましい。
【0040】
これにより、溝3aにおける残渣16が途中で引っかかることなく排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。
【0041】
このような溝3aの底部が曲線状の溝3aは、図27(a)、(b)、(c)で示されるように、少なくとも前記研磨体3の両端側に形成されていれば良い。
【0042】
ここで図27(a)は図24をY−Y方向、(b)は図24をX−X方向の断面で視たものである。
【0043】
また、このような溝3aは切削加工でも製作できるが、型、レーザーなどで加工する場合に作製し易い。
【0044】
さらに、前記研磨体は柱状体であり、前記一軸方向に沿って形成された平面でなる研磨面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面でなる研磨面とを有することが好ましい。
【0045】
さらに、前記研磨体が、前記一軸方向に沿って形成された平面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面とからなる研磨面を備えたことが好ましい。
【0046】
なお、研磨体3の研磨面3dとは、研磨体3の研磨に使用される表面のことであって、溝3a以外の部分である。
【0047】
また、研磨体3の特定面とは、研磨体3の特定の箇所における研磨面3dのことである。
【0048】
これにより、研磨体3の研磨面3dを刃先15aの形状に合わせて自由に使い分けすることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0049】
これは刃物15に当接する研磨面3dからの圧力の調整や、刃先15aの微細で複雑な形状の部分の研磨において、例えば、研磨体3の平面3bか曲面3cのうち都合の良い方を選択すれば研磨をし易いからである。
【0050】
以下に、この研磨体3を使用した各実施形態を図8〜10を用いて説明する。
【0051】
柄2から外側に延びた出力軸1aと連結した研磨体3が一軸方向5に往復運動することを示しており、図1の研磨体3が使用されている。
【0052】
これにより刃物15の刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0053】
これは砥石である研磨体3が一軸方向5に往復運動することにより、刃物15から研磨により発生した残渣16が、一軸方向5と同じ方向である溝3aに沿って移動するので、残渣16が排出され易くなっているというものである。
【0054】
溝3aに溜まってしまった残渣16は、従来品のような単なる遠心力では排除され難く、本発明の実施形態の研磨体3の往復運動がより細かくなる程、超音波振動のように働いて、研磨体3の外側へ残渣16を随時押し出して排除することを容易にしている。
【0055】
また、細かい往復運動である程、刃物15と研磨体3との間での角度θはずれにくい。
【0056】
さらに、前記研磨体は開気孔率が異なる少なくとも2種の研磨面を前記一軸方向に沿って有する多角柱状体であることが好ましい。
【0057】
これにより図25、図26のように、粗研磨時と仕上げ研磨時とで自由に研磨体3の面をセットして使い分けることができる。
【0058】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸とした円柱体であることが好ましい。
【0059】
これにより、研磨体3を回転させれば新たな研磨面3dを使用できるので、安定した研磨速度と角度θを得ることができる。
【0060】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸として自由回転することが好ましい。
【0061】
これにより、刃先15aを動かすのに合わせて研磨体3も自由回転するので、研磨体3の同一箇所で研磨されることがなく、安定した研磨速度と角度θを得られる。
【0062】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸として自動回転することが好ましい。
【0063】
これにより、刃先15aが動かない場合でも研磨体3が回転するため、研磨体3の同一箇所で研磨されることがないので安定した研磨速度と角度θを得られる。
【0064】
このような自動回転機構は出力軸1aについて、往復運動に加えて更に自動回転機構を追加することで可能になる。例えば、出力軸1aに回転ローラーを接触させて、出力軸1aを自動回転させるなどすればよい。
【0065】
さらに、本発明の研磨機の第二実施形態は、前記研磨体3を包み込むように設けられた保護体を有し、該保護体には前記研磨面を露出可能に設けた開口部を備えたことが好ましい。
【0066】
<第二実施形態>
次に本発明の研磨機の第二実施形態を図11〜13に示す。
【0067】
本実施形態において、保護体4に形成された開口部4aに研磨体3の特定の箇所における研磨面3dが露出していることを示している。
【0068】
これにより、刃先15aを研磨体3の特定の箇所における研磨面3dだけを当接させることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0069】
これは研磨体3の特定の箇所における研磨面3dを開口部4aから露出させることで、刃先15aと研磨面3dとの位置関係が安定するので、研磨体3の研磨面3dの特定の箇所における研磨面3dだけを研磨に使用することが可能だからである。
【0070】
開口部4aの形状は研磨体3を平面視したときの輪郭に沿っていることが好ましく、すなわち、研磨体3の輪郭に開口部4aの輪郭が相似関係になっているというものである。
【0071】
具体的には、開口部4aの寸法は作業性から検討して、縦20〜30mm×横12〜16mm程度が好ましい。
【0072】
これにより、研磨体3と開口部4aとの間の隙間を最小限に抑えることができるので、刃物15の先端が隙間に入り込んでしまうことを低減することができる。
【0073】
さらに、本発明の研磨機の第二実施形態は、前記研磨面が前記開口部から突出するように設けられることが好ましい。
【0074】
これにより、研磨体3の特定の箇所(平面3bや曲面3c)における研磨面3dを開口部4aから露出させることで、研磨体3の平面3bもしくは曲面3cを優先的に刃物15に当接させることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0075】
これは刃物15と保護体4との研磨作業中における瞬間的な接触に起因する刃物15と研磨体3との間での圧力の変動を低減できるからである。
【0076】
ここで研磨体3の突出量Tは作業性から検討して、保護体4の表面から0.5〜1mm突出しているのが好ましい。
【0077】
<第三実施形態>
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態を図14〜16に示す。
【0078】
本実施形態においては、前記開口部4aと所定の間隔W2で対向するように設けられる案内板4bを有している。
【0079】
この案内板4bは開口部4a上に位置し、仕切構造4cで支持されている。
【0080】
図20は図14をY−Y方向の断面で視たものであり、研磨体3の一軸方向5を仕切り構造4cで遮断しており、これにより、刃物15を研磨体3に当接させる向き及び刃物15への研磨体3の圧力を安定にすることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0081】
これは研磨体3と案内板4bとの間に刃物15を案内することで、刃物15の動きを適切な範囲に制限することが容易だからである。
【0082】
ここで案内板4bと開口部4aとの間隔W2は、1〜2mmであって、さらに図16に示すように仕切構造4cに近くなるほど狭くなっていくことが好ましい。
【0083】
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態は、前記案内板は、前記開口部を前記一軸方向の両端である第一端側(手前側)と第二端側(奥側)とに分けて仕切る構造を備えたことが好ましい。
【0084】
これにより、刃先15aの一方面を開口部4aの第一端側6で研磨するときは、刃先15aを第二端側7に向けることになり、刃先15aの他方面を開口部4aの第二端側で研磨するときは、刃先15aを第一端側6に向けることになるので、刃物15の両面を利き手の持ち変えなく研磨することが容易であり、刃先15aが仕切構造4cを越えてしまうことを低減できる。
【0085】
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態は、前記案内板と前記開口部との間隔が調整可能であることが好ましい。
【0086】
これにより、様々な形状の刃物15に対応して、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0087】
これは刃物15の厚さに応じて、案内板4bを交換するなどして案内板4bと開口部4aとの間隔W2を調整可能にすることで、研磨体3に対して刃物15の中心線がなす角度θを調節することが可能だからである。
【0088】
ここで最適な角度θは刃物15の切れ味の持続性の面から刃物15を断面視したときの中心線と、研磨面3dとのなす角度θが10〜20°で設定されることが多いが、刃物15の角度θが大刃と小刃の2種類ある場合は、案内板4bを使い分けることとなり、大刃用で5〜10°、小刃用で20〜30°の角度θをなしうる案内板4bであることが好ましい。
【0089】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記研磨体は中心軸を備え、該中心軸からの距離が各々異なる複数の平面を備えた回転体であることが好ましい。
【0090】
前記一軸方向を軸として回転することで、前記研磨面が前記開口部から突出する量を調節可能であることが好ましい。
【0091】
これにより、図26に示すように、研磨体3が開口部4aの面からの突出する量Tによって、角度θを調整することができる。
【0092】
次に、本発明の一実施形態として、電動モーター1と研磨体3との連結構造について説明する。
【0093】
図17は本発明の研磨機の第三実施形態の分解斜視断面図であり、(a)は研磨機全体の分解図、(b)は柄内部の分解図である。
【0094】
電動モーター1の回転運動は、ギア10と楕円カム11とで直線往復運動に変換されるものであり、楕円カム11にはシャフト12が接続されており、そのシャフト12がスリーブ13をとおり研磨体3に接続されている。
【0095】
シャフト12はスリーブ13で一軸方向5が安定して保持され、研磨体3を往復運動させることにより砥ぎの力を発生させるというものである。
【0096】
研磨体3の往復運動数は20〜300Hzで、振幅は0.5mmとすることが、残渣16の排出能力や、研磨体3の磨耗に対する寿命の維持の点で好ましい。
【0097】
研磨体3の材質は砥石としての寿命の観点から、アルミナセラミックやシリコンナイトライドが好適であるが、研磨体3は砥石として使用可能なものであれば構わず、アルミナやシリコンナイトライドのようなセラミックだけに限定されない。
【0098】
研磨体3の溝3aの深さDは0.1〜0.3mm、溝3a間の間隔W1は0.4〜0.5mmが、残渣16を随時排出し易いという点で好適である。
【0099】
溝3aの形成は、最初から研磨体3を金型で成型する際に同時に形成することもできるが、別途NCマイクロ加工で形成しても良い。
【0100】
柄2や保護体4の材質はABS樹脂で作ることが適しているが、PP(ポリプロピレン)やPS(ポリスチレン)のような材質でもかまわない。
【0101】
図18は、刃物15の刃先15aを案内板4bにてガイドして研磨体3に刃先15aを安定して当てることができることを示している。
【0102】
図19は、刃物15の刃先15aを案内板4bにてガイドして研磨体3に刃先15aを安定して当接することができることを示している。
【0103】
なお、図21は本発明の研磨機の第一実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4が取り付けられておらず、研磨体3全体が露出している状態を示しているものである。
【0104】
また、図22は本発明の研磨機の第二実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4と、案内板4bが取り付けられておらず、研磨体3の一部が露出している状態を示しているものである。
【0105】
また、図23は本発明の研磨機の第三実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4と、さらに案内板4bが取り付けられた状態を示しているものである。
【0106】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、電動モーター1を更に備え、該電動モーター1は回転運動を直線往復運動に変換するギア10と楕円カム11とを有し、前記ギア10の回転に対して前記楕円カム11が回転する比率を変えることで、前記往復運動の周波数を調節可能であることが好ましい。
【0107】
これにより粗研磨時と仕上げ研磨時で研磨速度を使い分けることができる。
【0108】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記往復運動の周波数の設定範囲が20〜300Hzであることが好ましい。
【0109】
これにより刃物15の共振が低減されるとともに、残渣16の排出が円滑な音波振動となる。また、刃先15aと研磨体3との研磨時の引っかかりが低減されて、刃先15aでの研磨ムラを低減させることができる。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
(試料作製)
研磨体3の溝3aの有無、平面3bと曲面3cの有無、開口部4aを有する保護体4の有無、研磨体3の開口部4aからの突出量T、案内板4bの有無、仕切構造4cの有無の条件を変えた各研磨機8を試料として作成した結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
ここで、試料4は第一実施形態に対応するものであり、試料8は第二実施形態に対応するものであり、試料1、試料3、試料5、試料6は第三実施形態に対応するものである。
【0113】
試料1,5,6については突出量Tが異なるだけであるが、試料3については平面3bもしくは曲面3cの一方を有するものである。
【0114】
試料2については研磨体3に溝3aがない以外は試料1と同じでものである。
【0115】
試料9については案内板4bが存在するが、仕切構造4cがないので、片側方向からのみの研磨となっている。
【0116】
試料10については従来のグラインダー(いわゆる回転砥石)のような研磨機8に相当するものである。
【0117】
(評価方法)
表1に記載した各条件の研磨機8を用いて、ステンレス製の金属包丁の刃先15aの研磨を順次おこなった。
【0118】
研磨条件は、金属包丁を片刃ずつ、片道10秒で砥ぐものとし、本多式切れ味試験機にて各金属包丁の切れ味を比較した。
【0119】
本多式切れ味試験の条件としては、測定環境は温室内、試験紙は上質用紙、紙形状は厚さ0.038mm×幅8mm、紙束は400枚/束、負荷荷重は800g、摺動速度は20mm/g、測定方法は試験紙を固定して紙束を1往復させ、そのときに切断された紙の枚数を測定した結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
表2において、○は100枚以上、△は50〜99枚、×は50枚未満の切断枚数を示している。
【0122】
試料1,試料3,試料5,試料9が優れた切れ味であったのは、研磨体3の溝3aの効果であり、試料4は保護体4と開口部4aが無い点,試料6は突出量Tが少ない点、試料8は案内板4bが無い点で試料1,試料3,試料5,試料9には切れ味が及ばないものの、使用上は問題のない範囲であった。
【0123】
試料1は研磨体3の表面に溝3aを有し、平面3bと曲面3cとの研磨面3dを有し、開口部4aを有する保護体4を有するとともに、研磨体3の突出量Tが十分(2mm)を有し、刃先を所定角度θで維持する案内板4bを有し、案内板4bと研磨体3の間への刃先15aの挿入量を調整できる仕切構造4cを有する、本発明の標準条件を満たすものであるので切れ味がよい。
【0124】
試料3は研磨面3dが平面3bだけのものであるが本実施例においては複雑な刃先15aの構造を有していないので切れ味がよい。試料5は突出量Tが1mmであるが2mmのものと大差なく切れ味が良い。
【0125】
試料9はで仕切構造4cがないが、刃物15の一方面に対しては利き腕を使えないという不具合のため、研磨時間がかかることを除けば、切れ味は良いという結果になっている。
【0126】
但し、試料2,試料10は溝3aがないため刃の角度が斑になりやすかったので、切れ味が悪くなったと考えられる。
【0127】
試料7は研磨体3が突出していないので本実施例では刃先15a全体を研磨することはできないが、刃物15の先端をピンポイントで研磨することはできる。
【0128】
なお、試料7は研磨面3dが突出していないので研磨できないものとして扱った。
【0129】
試料9については仕切構造4cがないので研磨する際に刃物15を持ち替えるという手間が生じていた。
【0130】
(実施例2)
さらに実施例1に準じて行った実施例2の評価結果を表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
実施例1(標準条件)を基準として、表3における溝3aと往復方向の関係、溝3aの両端側における幅W1の広さ、溝3aの両端側における深さD2、溝3aの底部における形状、研磨体3の一軸方向5を回転軸とした自由回転の可否、研磨体3を自動的に自転できるか否か、往復運動の周波数の各条件を変えて、切れ味、寿命を評価したものが実施例2である。
【0133】
一軸方向5が研磨時の刃先15aに対して垂直な方向の実施例11と、刃先15aに対して平行な方向の実施例12とを比較すると、切れ味において実施例11が優れていることがわかる。
【0134】
溝3aが研磨体3の両端側に向かい直線状の実施例13と、幅W1が広くなる実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が残渣16の排出が円滑なので優れていることがわかる。
【0135】
溝3aが研磨体3の両端側に向かい平坦な実施例14と、深さDが深くなる実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が残渣16の排出が円滑なので優れていることがわかる。
【0136】
溝3aが一軸方向5に垂直に断面視した時、矩形である実施例15と、下に凸な放物線である実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が優れていることがわかる。
【0137】
研磨体3が一軸方向5を軸として自由回転する実施例16と、固定である実施例11とを比較すると、寿命において実施例16が優れていることがわかる。
【0138】
研磨体3が一軸方向5を軸として自動回転する実施例17と、固定である実施例11とを比較すると、寿命において実施例17が優れていることがわかる。
【0139】
実施例11と実施例18〜21を比較すると、実施例18では周波数が低すぎて残渣16の排出応力が低下して切れ味が劣り、実施例21では周波数が高すぎて、研磨体3の寿命が急激に低下することから往復運動の周波数の設定範囲は20〜300Hzであることが好ましい。
【0140】
(実施例3)
研摩体3の材質としてはアルミナとシリコンナイトライドを用意し、前記研磨体3の開気孔率は9〜40%として切れ味を評価した。
【0141】
その結果を表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】
試料22〜29に示すように試料22、26では開気孔率が低いため研磨速度が遅くなり研磨に時間がかかり切れ味が悪くなる。
【0144】
試料25、29では開気孔率が大きくなり過ぎて開気孔17同士が繋がってしまうため有効的に研磨に寄与する気孔のエッジ部分が少なくなるので、やはり研磨速度が遅くなり切れ味が悪くなる。
【符号の説明】
【0145】
1:電動モーター
1a:出力軸
2:柄
3:研磨体
3a:溝(およびその底部)
3b:平面
3c:曲面
3d:研磨面(研磨体の研磨に使用される表面)
4:保護体
4a:開口部
4b:案内板
4c:仕切構造
5:一軸方向
6:第一端側(手前側)
7:第二端側(奥側)
8:研磨機
10:ギア
11:カム
12:シャフト
13:スリーブ
14:回転中心
15:刃物
15a:刃先
16:残渣
17:開気孔
W1:溝の幅
W2:間隔
D:溝の深さ
D1:(中央側の)溝深さ
D2:(端部側の)溝深さ
P:溝の間隔
T:突出量
θ:角度
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モーターの出力軸に連結した回転研磨体を有し、前記回転研磨体を回転させて包丁の刃先に当接する事により、包丁の刃先を研磨する電動包丁研磨機が使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、回転面を有する独楽型の砥石を有し、前記砥石の表面の砥石の粒を付着させていない部分に、研磨方向に対して略垂直方向となる溝が形成された手動研磨機が開示されている。
【0004】
この溝は研磨で発生した残渣の排出溝として利用される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−083558号公報
【特許文献2】実開平4−109860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1では、刃物が回転研磨体に対して跳ね返り易く、刃物を研磨する角度が安定しにくいという場合がある。
【0007】
また、特許文献2では、砥石の研磨によって発生した残渣が、研磨面から排除されにくくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みて本発明の研磨機は、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の研磨機によれば、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有することで、研磨速度が速くなるとともに、研磨後の刃先の角度が安定し易くなり、切れ味のよい刃物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】研磨体の斜視図である。
【図2】研磨体の上面図である。
【図3】研磨体の正面図である。
【図4】研磨体の側面図である。
【図5】研磨体の研磨面における断面図である。
【図6】研磨体の模式的に説明する三面図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図7】研磨体の研磨面における拡大模式図であり、(a)は開気孔過少、(b)は標準的な開気孔、(c)は開気孔過多である。
【図8】研磨機の第一実施形態の斜視図である。
【図9】研磨機の第一実施形態の上面図である。
【図10】研磨機の第一実施形態の側面図である。
【図11】研磨機の第二実施形態の斜視図である。
【図12】研磨機の第二実施形態の上面図である。
【図13】研磨機の第二実施形態の側面図である。
【図14】研磨機の第三実施形態の斜視図である。
【図15】研磨機の第三実施形態の上面図である。
【図16】研磨機の第三実施形態の側面図である。
【図17】研磨機の第三実施形態の分解斜視図であり、(a)は研磨機全体の分解図、(b)は柄内部の分解図である。
【図18】研磨機の第三実施形態における研磨状態を示す側面図であり、(a)は第一端側での研磨状態、(b)は第二端側での研磨状態を示すものである。
【図19】研磨機の第三実施形態における研磨状態を示す上面図であり、(a)は第一端側での研磨状態、(b)は第二端側での研磨状態を示すものである。
【図20】案内板における仕切り構造と研磨体の関係を説明するための拡大断面図である。
【図21】研磨機の第一実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図22】研磨機の第二実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図23】研磨機の第三実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真である。
【図24】研磨機の一実施形態の他の実施例における平面図である。
【図25】研磨機の第一実施形態の他の実施例の側面図である。
【図26】(a)〜(c)は研磨体を回転させたときの各突出量である。
【図27】(a)は研磨体の溝に平行な断面図、(b)は研磨体の溝に垂直な断面図、(c)は研磨体の溝に垂直な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
本発明の研磨機の第一実施形態は、刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有する研磨機である。
【0012】
まず、研磨体3について図1〜6を用いて説明する。
【0013】
図6(a)では、研磨体3の曲面3cに溝3aが一軸方向5に対して平行に複数形成されていること、(b)では、研磨体3の平面3bと曲面3cとにおいて一定の間隔Pで溝3aが複数形成されていること、(c)では、研磨体3の平面3bに溝3aが一軸方向5に対して平行かつ均等に複数形成されていることが示されている。
【0014】
刃物15を砥ぐ過程において、研磨体3の中央付近に残渣16が発生し始めるが、すぐに溝3aの中に入り込み、一軸方向5での往復運動による揺動によって溝3aの中央から両端に向かって引っ張られて移動していき、残渣16は順次排除されていく。
【0015】
これは研磨体3の往復運動により、残渣16が振動することにより、研磨体3の溝3aから残渣16を詰まることなく排除され易くするというものである。
【0016】
これによって、研磨体3の表面に残渣16が滞留することを低減して、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0017】
ここで往復運動については、例えば後述される一実施形態のように、電動モーターと、該電動モーターの回転に伴い一軸方向5に往復運動する研磨体3を備えることで、容易に実現することができる。
【0018】
なお、溝3aを平面視したときの形状は、直線的であることが好ましいが、曲線的であったり、刃物15の種類に応じて、溝3aが途中で複数に分岐をしたり、あるいは複数の溝3aが途中で合流するなどする構造にしても所定の効果を得ることができる。
【0019】
また、溝3aは残渣16の排出が容易である点で、一軸方向5に対して略平行であることが好ましいが、傾斜している部分があるなどのように、一部平行でない部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0020】
溝3aの数は、単数であっても、複数であってもよい。また溝3aが複数の場合、溝3aの間隔Pや幅W1は、一定で設けられていることが好ましいが、一部に一定ではなく不規則な部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0021】
溝同士の間隔Pは溝の幅W1よりも大きいことが、研磨面3dの面積を確保して研磨速度を所定以上に維持することができる点で好ましい。
【0022】
ここで研磨体3の研磨面3dとは、研磨体3の研磨に使用される表面のことであって、溝3a以外の部分に相当する。あるいは、研磨体3の一軸方向5に沿った平行な面であり、かつ、溝3aが形成されていない領域に相当すると言い換えることもできる。
【0023】
また、溝3aの形状は、連続的であることが好ましいが、一部に断続的な部分があったとしても所定の効果を得ることができる。
【0024】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記溝は前記一軸方向に対して平行となることが好ましい。
【0025】
これにより、刃先15aが一軸方向5に平行であるがために、刃先15aが溝3aにはまってしまって、刃先15aが刃こぼれしてしまうというようなことがない。
【0026】
さらに前記研摩体はアルミナ、もしくはシリコンナイトライドからなることにより、金属包丁よりも高い硬度を得ることができ、耐摩耗性も良好である。
ここで、セラミック包丁に対しては、ダイヤモンド砥粒を表面に付着させたものを使用することが好ましい。
【0027】
さらに前記研磨体の開気孔率は10〜30%であることが好ましい。
【0028】
ここで開気孔17は図7に示され、直線方向に開気孔17と交差する回数が多いほど、研磨速度が速くなると考えられる。
【0029】
開気孔率がこの範囲であれば、有効的に研磨に寄与する開気孔17のエッジ部分が確保され、研磨速度を維持して安定した切れ味を有することができる。
【0030】
またあるいは、0.2〜2%の開気孔率で管理すれば、所定の硬度を確保することができ、研磨体3の磨耗を低減することができると考えられる。なお、0.2未満でも使用可能であるが、プレス成型などで作製するのは困難である。
【0031】
以上のような開気孔率は、φ17mmタブレットを用いた水中アルキメデス法(JIS C2141−1992)に準じる見掛け気孔率として測定することができる。
【0032】
さらに、前記溝の幅は前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて広くなることが好ましい。
【0033】
これにより、図14のように溝3aにおける残渣16が排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。特に好ましくは、研磨体3の中央部付近に比べて両端部付近で2〜4倍広がっているのが好ましい。
【0034】
また、研磨体3の中央部においては溝3aの幅W1が一定であって、広がっていない状態としておけば、刃先15aが研磨体3の研磨面3dと接触する面積を稼げるので、研磨速度の低下を低減できる点で好ましい。
【0035】
さらに、前記溝の深さは前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて深くなることが好ましい。
【0036】
さらに、前記溝の深さDは前記研磨体の両端側に向かうにつれて深くなることが好ましい。
【0037】
これにより、溝3aにおける残渣16が排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。特に好ましくは、研磨体3の中央部付近に比べて両端部付近で2〜4倍深いことが好ましい。
【0038】
さらに、前記溝の底面は前記一軸方向に対して垂直な断面視において、曲線状であることが好ましい。
【0039】
さらに、前記溝は前記一軸方向に対し垂直な断面視において、溝3aの底部が曲線状であることが好ましい。
【0040】
これにより、溝3aにおける残渣16が途中で引っかかることなく排出され易くなり、残渣16が溜まらずに安定した研磨速度と角度が得られる。
【0041】
このような溝3aの底部が曲線状の溝3aは、図27(a)、(b)、(c)で示されるように、少なくとも前記研磨体3の両端側に形成されていれば良い。
【0042】
ここで図27(a)は図24をY−Y方向、(b)は図24をX−X方向の断面で視たものである。
【0043】
また、このような溝3aは切削加工でも製作できるが、型、レーザーなどで加工する場合に作製し易い。
【0044】
さらに、前記研磨体は柱状体であり、前記一軸方向に沿って形成された平面でなる研磨面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面でなる研磨面とを有することが好ましい。
【0045】
さらに、前記研磨体が、前記一軸方向に沿って形成された平面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面とからなる研磨面を備えたことが好ましい。
【0046】
なお、研磨体3の研磨面3dとは、研磨体3の研磨に使用される表面のことであって、溝3a以外の部分である。
【0047】
また、研磨体3の特定面とは、研磨体3の特定の箇所における研磨面3dのことである。
【0048】
これにより、研磨体3の研磨面3dを刃先15aの形状に合わせて自由に使い分けすることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0049】
これは刃物15に当接する研磨面3dからの圧力の調整や、刃先15aの微細で複雑な形状の部分の研磨において、例えば、研磨体3の平面3bか曲面3cのうち都合の良い方を選択すれば研磨をし易いからである。
【0050】
以下に、この研磨体3を使用した各実施形態を図8〜10を用いて説明する。
【0051】
柄2から外側に延びた出力軸1aと連結した研磨体3が一軸方向5に往復運動することを示しており、図1の研磨体3が使用されている。
【0052】
これにより刃物15の刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0053】
これは砥石である研磨体3が一軸方向5に往復運動することにより、刃物15から研磨により発生した残渣16が、一軸方向5と同じ方向である溝3aに沿って移動するので、残渣16が排出され易くなっているというものである。
【0054】
溝3aに溜まってしまった残渣16は、従来品のような単なる遠心力では排除され難く、本発明の実施形態の研磨体3の往復運動がより細かくなる程、超音波振動のように働いて、研磨体3の外側へ残渣16を随時押し出して排除することを容易にしている。
【0055】
また、細かい往復運動である程、刃物15と研磨体3との間での角度θはずれにくい。
【0056】
さらに、前記研磨体は開気孔率が異なる少なくとも2種の研磨面を前記一軸方向に沿って有する多角柱状体であることが好ましい。
【0057】
これにより図25、図26のように、粗研磨時と仕上げ研磨時とで自由に研磨体3の面をセットして使い分けることができる。
【0058】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸とした円柱体であることが好ましい。
【0059】
これにより、研磨体3を回転させれば新たな研磨面3dを使用できるので、安定した研磨速度と角度θを得ることができる。
【0060】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸として自由回転することが好ましい。
【0061】
これにより、刃先15aを動かすのに合わせて研磨体3も自由回転するので、研磨体3の同一箇所で研磨されることがなく、安定した研磨速度と角度θを得られる。
【0062】
さらに、前記研磨体が前記一軸方向を軸として自動回転することが好ましい。
【0063】
これにより、刃先15aが動かない場合でも研磨体3が回転するため、研磨体3の同一箇所で研磨されることがないので安定した研磨速度と角度θを得られる。
【0064】
このような自動回転機構は出力軸1aについて、往復運動に加えて更に自動回転機構を追加することで可能になる。例えば、出力軸1aに回転ローラーを接触させて、出力軸1aを自動回転させるなどすればよい。
【0065】
さらに、本発明の研磨機の第二実施形態は、前記研磨体3を包み込むように設けられた保護体を有し、該保護体には前記研磨面を露出可能に設けた開口部を備えたことが好ましい。
【0066】
<第二実施形態>
次に本発明の研磨機の第二実施形態を図11〜13に示す。
【0067】
本実施形態において、保護体4に形成された開口部4aに研磨体3の特定の箇所における研磨面3dが露出していることを示している。
【0068】
これにより、刃先15aを研磨体3の特定の箇所における研磨面3dだけを当接させることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0069】
これは研磨体3の特定の箇所における研磨面3dを開口部4aから露出させることで、刃先15aと研磨面3dとの位置関係が安定するので、研磨体3の研磨面3dの特定の箇所における研磨面3dだけを研磨に使用することが可能だからである。
【0070】
開口部4aの形状は研磨体3を平面視したときの輪郭に沿っていることが好ましく、すなわち、研磨体3の輪郭に開口部4aの輪郭が相似関係になっているというものである。
【0071】
具体的には、開口部4aの寸法は作業性から検討して、縦20〜30mm×横12〜16mm程度が好ましい。
【0072】
これにより、研磨体3と開口部4aとの間の隙間を最小限に抑えることができるので、刃物15の先端が隙間に入り込んでしまうことを低減することができる。
【0073】
さらに、本発明の研磨機の第二実施形態は、前記研磨面が前記開口部から突出するように設けられることが好ましい。
【0074】
これにより、研磨体3の特定の箇所(平面3bや曲面3c)における研磨面3dを開口部4aから露出させることで、研磨体3の平面3bもしくは曲面3cを優先的に刃物15に当接させることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0075】
これは刃物15と保護体4との研磨作業中における瞬間的な接触に起因する刃物15と研磨体3との間での圧力の変動を低減できるからである。
【0076】
ここで研磨体3の突出量Tは作業性から検討して、保護体4の表面から0.5〜1mm突出しているのが好ましい。
【0077】
<第三実施形態>
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態を図14〜16に示す。
【0078】
本実施形態においては、前記開口部4aと所定の間隔W2で対向するように設けられる案内板4bを有している。
【0079】
この案内板4bは開口部4a上に位置し、仕切構造4cで支持されている。
【0080】
図20は図14をY−Y方向の断面で視たものであり、研磨体3の一軸方向5を仕切り構造4cで遮断しており、これにより、刃物15を研磨体3に当接させる向き及び刃物15への研磨体3の圧力を安定にすることができ、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0081】
これは研磨体3と案内板4bとの間に刃物15を案内することで、刃物15の動きを適切な範囲に制限することが容易だからである。
【0082】
ここで案内板4bと開口部4aとの間隔W2は、1〜2mmであって、さらに図16に示すように仕切構造4cに近くなるほど狭くなっていくことが好ましい。
【0083】
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態は、前記案内板は、前記開口部を前記一軸方向の両端である第一端側(手前側)と第二端側(奥側)とに分けて仕切る構造を備えたことが好ましい。
【0084】
これにより、刃先15aの一方面を開口部4aの第一端側6で研磨するときは、刃先15aを第二端側7に向けることになり、刃先15aの他方面を開口部4aの第二端側で研磨するときは、刃先15aを第一端側6に向けることになるので、刃物15の両面を利き手の持ち変えなく研磨することが容易であり、刃先15aが仕切構造4cを越えてしまうことを低減できる。
【0085】
さらに、本発明の研磨機の第三実施形態は、前記案内板と前記開口部との間隔が調整可能であることが好ましい。
【0086】
これにより、様々な形状の刃物15に対応して、刃先15aにおける斑を低減し、円滑な研磨を可能にしている。
【0087】
これは刃物15の厚さに応じて、案内板4bを交換するなどして案内板4bと開口部4aとの間隔W2を調整可能にすることで、研磨体3に対して刃物15の中心線がなす角度θを調節することが可能だからである。
【0088】
ここで最適な角度θは刃物15の切れ味の持続性の面から刃物15を断面視したときの中心線と、研磨面3dとのなす角度θが10〜20°で設定されることが多いが、刃物15の角度θが大刃と小刃の2種類ある場合は、案内板4bを使い分けることとなり、大刃用で5〜10°、小刃用で20〜30°の角度θをなしうる案内板4bであることが好ましい。
【0089】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記研磨体は中心軸を備え、該中心軸からの距離が各々異なる複数の平面を備えた回転体であることが好ましい。
【0090】
前記一軸方向を軸として回転することで、前記研磨面が前記開口部から突出する量を調節可能であることが好ましい。
【0091】
これにより、図26に示すように、研磨体3が開口部4aの面からの突出する量Tによって、角度θを調整することができる。
【0092】
次に、本発明の一実施形態として、電動モーター1と研磨体3との連結構造について説明する。
【0093】
図17は本発明の研磨機の第三実施形態の分解斜視断面図であり、(a)は研磨機全体の分解図、(b)は柄内部の分解図である。
【0094】
電動モーター1の回転運動は、ギア10と楕円カム11とで直線往復運動に変換されるものであり、楕円カム11にはシャフト12が接続されており、そのシャフト12がスリーブ13をとおり研磨体3に接続されている。
【0095】
シャフト12はスリーブ13で一軸方向5が安定して保持され、研磨体3を往復運動させることにより砥ぎの力を発生させるというものである。
【0096】
研磨体3の往復運動数は20〜300Hzで、振幅は0.5mmとすることが、残渣16の排出能力や、研磨体3の磨耗に対する寿命の維持の点で好ましい。
【0097】
研磨体3の材質は砥石としての寿命の観点から、アルミナセラミックやシリコンナイトライドが好適であるが、研磨体3は砥石として使用可能なものであれば構わず、アルミナやシリコンナイトライドのようなセラミックだけに限定されない。
【0098】
研磨体3の溝3aの深さDは0.1〜0.3mm、溝3a間の間隔W1は0.4〜0.5mmが、残渣16を随時排出し易いという点で好適である。
【0099】
溝3aの形成は、最初から研磨体3を金型で成型する際に同時に形成することもできるが、別途NCマイクロ加工で形成しても良い。
【0100】
柄2や保護体4の材質はABS樹脂で作ることが適しているが、PP(ポリプロピレン)やPS(ポリスチレン)のような材質でもかまわない。
【0101】
図18は、刃物15の刃先15aを案内板4bにてガイドして研磨体3に刃先15aを安定して当てることができることを示している。
【0102】
図19は、刃物15の刃先15aを案内板4bにてガイドして研磨体3に刃先15aを安定して当接することができることを示している。
【0103】
なお、図21は本発明の研磨機の第一実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4が取り付けられておらず、研磨体3全体が露出している状態を示しているものである。
【0104】
また、図22は本発明の研磨機の第二実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4と、案内板4bが取り付けられておらず、研磨体3の一部が露出している状態を示しているものである。
【0105】
また、図23は本発明の研磨機の第三実施形態に対応する実製品の斜視方向から視た全体写真で、保護体4と、さらに案内板4bが取り付けられた状態を示しているものである。
【0106】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、電動モーター1を更に備え、該電動モーター1は回転運動を直線往復運動に変換するギア10と楕円カム11とを有し、前記ギア10の回転に対して前記楕円カム11が回転する比率を変えることで、前記往復運動の周波数を調節可能であることが好ましい。
【0107】
これにより粗研磨時と仕上げ研磨時で研磨速度を使い分けることができる。
【0108】
さらに、本発明の研磨機の一実施形態によれば、前記往復運動の周波数の設定範囲が20〜300Hzであることが好ましい。
【0109】
これにより刃物15の共振が低減されるとともに、残渣16の排出が円滑な音波振動となる。また、刃先15aと研磨体3との研磨時の引っかかりが低減されて、刃先15aでの研磨ムラを低減させることができる。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
(試料作製)
研磨体3の溝3aの有無、平面3bと曲面3cの有無、開口部4aを有する保護体4の有無、研磨体3の開口部4aからの突出量T、案内板4bの有無、仕切構造4cの有無の条件を変えた各研磨機8を試料として作成した結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
ここで、試料4は第一実施形態に対応するものであり、試料8は第二実施形態に対応するものであり、試料1、試料3、試料5、試料6は第三実施形態に対応するものである。
【0113】
試料1,5,6については突出量Tが異なるだけであるが、試料3については平面3bもしくは曲面3cの一方を有するものである。
【0114】
試料2については研磨体3に溝3aがない以外は試料1と同じでものである。
【0115】
試料9については案内板4bが存在するが、仕切構造4cがないので、片側方向からのみの研磨となっている。
【0116】
試料10については従来のグラインダー(いわゆる回転砥石)のような研磨機8に相当するものである。
【0117】
(評価方法)
表1に記載した各条件の研磨機8を用いて、ステンレス製の金属包丁の刃先15aの研磨を順次おこなった。
【0118】
研磨条件は、金属包丁を片刃ずつ、片道10秒で砥ぐものとし、本多式切れ味試験機にて各金属包丁の切れ味を比較した。
【0119】
本多式切れ味試験の条件としては、測定環境は温室内、試験紙は上質用紙、紙形状は厚さ0.038mm×幅8mm、紙束は400枚/束、負荷荷重は800g、摺動速度は20mm/g、測定方法は試験紙を固定して紙束を1往復させ、そのときに切断された紙の枚数を測定した結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
表2において、○は100枚以上、△は50〜99枚、×は50枚未満の切断枚数を示している。
【0122】
試料1,試料3,試料5,試料9が優れた切れ味であったのは、研磨体3の溝3aの効果であり、試料4は保護体4と開口部4aが無い点,試料6は突出量Tが少ない点、試料8は案内板4bが無い点で試料1,試料3,試料5,試料9には切れ味が及ばないものの、使用上は問題のない範囲であった。
【0123】
試料1は研磨体3の表面に溝3aを有し、平面3bと曲面3cとの研磨面3dを有し、開口部4aを有する保護体4を有するとともに、研磨体3の突出量Tが十分(2mm)を有し、刃先を所定角度θで維持する案内板4bを有し、案内板4bと研磨体3の間への刃先15aの挿入量を調整できる仕切構造4cを有する、本発明の標準条件を満たすものであるので切れ味がよい。
【0124】
試料3は研磨面3dが平面3bだけのものであるが本実施例においては複雑な刃先15aの構造を有していないので切れ味がよい。試料5は突出量Tが1mmであるが2mmのものと大差なく切れ味が良い。
【0125】
試料9はで仕切構造4cがないが、刃物15の一方面に対しては利き腕を使えないという不具合のため、研磨時間がかかることを除けば、切れ味は良いという結果になっている。
【0126】
但し、試料2,試料10は溝3aがないため刃の角度が斑になりやすかったので、切れ味が悪くなったと考えられる。
【0127】
試料7は研磨体3が突出していないので本実施例では刃先15a全体を研磨することはできないが、刃物15の先端をピンポイントで研磨することはできる。
【0128】
なお、試料7は研磨面3dが突出していないので研磨できないものとして扱った。
【0129】
試料9については仕切構造4cがないので研磨する際に刃物15を持ち替えるという手間が生じていた。
【0130】
(実施例2)
さらに実施例1に準じて行った実施例2の評価結果を表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
実施例1(標準条件)を基準として、表3における溝3aと往復方向の関係、溝3aの両端側における幅W1の広さ、溝3aの両端側における深さD2、溝3aの底部における形状、研磨体3の一軸方向5を回転軸とした自由回転の可否、研磨体3を自動的に自転できるか否か、往復運動の周波数の各条件を変えて、切れ味、寿命を評価したものが実施例2である。
【0133】
一軸方向5が研磨時の刃先15aに対して垂直な方向の実施例11と、刃先15aに対して平行な方向の実施例12とを比較すると、切れ味において実施例11が優れていることがわかる。
【0134】
溝3aが研磨体3の両端側に向かい直線状の実施例13と、幅W1が広くなる実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が残渣16の排出が円滑なので優れていることがわかる。
【0135】
溝3aが研磨体3の両端側に向かい平坦な実施例14と、深さDが深くなる実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が残渣16の排出が円滑なので優れていることがわかる。
【0136】
溝3aが一軸方向5に垂直に断面視した時、矩形である実施例15と、下に凸な放物線である実施例11とを比較すると、切れ味において実施例11が優れていることがわかる。
【0137】
研磨体3が一軸方向5を軸として自由回転する実施例16と、固定である実施例11とを比較すると、寿命において実施例16が優れていることがわかる。
【0138】
研磨体3が一軸方向5を軸として自動回転する実施例17と、固定である実施例11とを比較すると、寿命において実施例17が優れていることがわかる。
【0139】
実施例11と実施例18〜21を比較すると、実施例18では周波数が低すぎて残渣16の排出応力が低下して切れ味が劣り、実施例21では周波数が高すぎて、研磨体3の寿命が急激に低下することから往復運動の周波数の設定範囲は20〜300Hzであることが好ましい。
【0140】
(実施例3)
研摩体3の材質としてはアルミナとシリコンナイトライドを用意し、前記研磨体3の開気孔率は9〜40%として切れ味を評価した。
【0141】
その結果を表4に示す。
【0142】
【表4】
【0143】
試料22〜29に示すように試料22、26では開気孔率が低いため研磨速度が遅くなり研磨に時間がかかり切れ味が悪くなる。
【0144】
試料25、29では開気孔率が大きくなり過ぎて開気孔17同士が繋がってしまうため有効的に研磨に寄与する気孔のエッジ部分が少なくなるので、やはり研磨速度が遅くなり切れ味が悪くなる。
【符号の説明】
【0145】
1:電動モーター
1a:出力軸
2:柄
3:研磨体
3a:溝(およびその底部)
3b:平面
3c:曲面
3d:研磨面(研磨体の研磨に使用される表面)
4:保護体
4a:開口部
4b:案内板
4c:仕切構造
5:一軸方向
6:第一端側(手前側)
7:第二端側(奥側)
8:研磨機
10:ギア
11:カム
12:シャフト
13:スリーブ
14:回転中心
15:刃物
15a:刃先
16:残渣
17:開気孔
W1:溝の幅
W2:間隔
D:溝の深さ
D1:(中央側の)溝深さ
D2:(端部側の)溝深さ
P:溝の間隔
T:突出量
θ:角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有する研磨機。
【請求項2】
前記溝は一軸方向に平行である、請求項1に記載の研磨機。
【請求項3】
前記研摩体はアルミナ、もしくはシリコンナイトライドからなることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨機。
【請求項4】
前記研磨体の開気孔率は10〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨機。
【請求項5】
前記溝の幅は前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて広くなる、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨機。
【請求項6】
前記溝の深さは前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて深くなる、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨機。
【請求項7】
前記溝の底面は前記一軸方向に対して垂直な断面視において、曲線状である、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨機。
【請求項8】
前記研磨体は柱状体であり、前記一軸方向に沿って形成された平面でなる研磨面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面でなる研磨面とを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項9】
前記研磨体は開気孔率が異なる少なくとも2種の研磨面を前記一軸方向に沿って有する多角柱状体である、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項10】
前記研磨体が前記一軸方向を軸とした円柱体である、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項11】
前記研磨体が前記一軸方向を軸として自由回転する、請求項10に記載の研磨機。
【請求項12】
前記研磨体が前記一軸方向を軸として自動回転する、請求項10に記載の研磨機。
【請求項13】
前記研磨体を包み込むように設けられた保護体を有し、該保護体には前記研磨面を露出可能に設けた開口部を備える、請求項1〜12のいずれかに記載の研磨機。
【請求項14】
前記研磨面が前記開口部から突出するように設けられる、請求項13に記載の研磨機。
【請求項15】
前記開口部の上方に位置し、前記開口部に対して所定の間隔で対向するように設けられる案内板を有する、請求項13または12に記載の研磨機。
【請求項16】
前記案内板は、前記開口部を前記研磨体の一軸方向の両端である第一端側と第二端側とに分けて仕切る構造を備える、請求項15に記載の研磨機。
【請求項17】
前記案内板と前記開口部との間隔が調整可能である、請求項15または16に記載の研磨機。
【請求項18】
前記研磨体は中心軸を備え、該中心軸からの距離が各々異なる複数の平面を備えた回転体である、請求項15〜17のいずれかに記載の研磨機。
【請求項19】
電動モーターを更に備え、該電動モーターは回転運動を直線往復運動に変換するギアと楕円カムとを有し、前記ギアの回転に対して前記楕円カムが回転する比率を変えることで、前記往復運動の周波数を調節可能である、請求項1〜18のいずれかに記載の研磨機。
【請求項20】
前記往復運動の周波数の設定範囲が20〜300Hzである、請求項19に記載の研磨機。
【請求項1】
刃物の刃先を研磨するための研磨機であって、一軸方向に往復運動する研磨体を備え、該研磨体の表面に前記一軸方向に沿った溝を有する研磨機。
【請求項2】
前記溝は一軸方向に平行である、請求項1に記載の研磨機。
【請求項3】
前記研摩体はアルミナ、もしくはシリコンナイトライドからなることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨機。
【請求項4】
前記研磨体の開気孔率は10〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨機。
【請求項5】
前記溝の幅は前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて広くなる、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨機。
【請求項6】
前記溝の深さは前記研磨体の中央部から端部に向かうにつれて深くなる、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨機。
【請求項7】
前記溝の底面は前記一軸方向に対して垂直な断面視において、曲線状である、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨機。
【請求項8】
前記研磨体は柱状体であり、前記一軸方向に沿って形成された平面でなる研磨面と、前記一軸方向に沿って形成された凸曲面でなる研磨面とを有する、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項9】
前記研磨体は開気孔率が異なる少なくとも2種の研磨面を前記一軸方向に沿って有する多角柱状体である、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項10】
前記研磨体が前記一軸方向を軸とした円柱体である、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨機。
【請求項11】
前記研磨体が前記一軸方向を軸として自由回転する、請求項10に記載の研磨機。
【請求項12】
前記研磨体が前記一軸方向を軸として自動回転する、請求項10に記載の研磨機。
【請求項13】
前記研磨体を包み込むように設けられた保護体を有し、該保護体には前記研磨面を露出可能に設けた開口部を備える、請求項1〜12のいずれかに記載の研磨機。
【請求項14】
前記研磨面が前記開口部から突出するように設けられる、請求項13に記載の研磨機。
【請求項15】
前記開口部の上方に位置し、前記開口部に対して所定の間隔で対向するように設けられる案内板を有する、請求項13または12に記載の研磨機。
【請求項16】
前記案内板は、前記開口部を前記研磨体の一軸方向の両端である第一端側と第二端側とに分けて仕切る構造を備える、請求項15に記載の研磨機。
【請求項17】
前記案内板と前記開口部との間隔が調整可能である、請求項15または16に記載の研磨機。
【請求項18】
前記研磨体は中心軸を備え、該中心軸からの距離が各々異なる複数の平面を備えた回転体である、請求項15〜17のいずれかに記載の研磨機。
【請求項19】
電動モーターを更に備え、該電動モーターは回転運動を直線往復運動に変換するギアと楕円カムとを有し、前記ギアの回転に対して前記楕円カムが回転する比率を変えることで、前記往復運動の周波数を調節可能である、請求項1〜18のいずれかに記載の研磨機。
【請求項20】
前記往復運動の周波数の設定範囲が20〜300Hzである、請求項19に記載の研磨機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図26】
【図27】
【図6】
【図17】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図26】
【図27】
【図6】
【図17】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−131368(P2011−131368A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15205(P2010−15205)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]