説明

研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材

熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上側及び/又は下側に、被覆されていない乾燥した基材に対して0.1〜90質量%の範囲の量で施与することによって得られる、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材において、熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、(i)バイオポリマー、会合増粘剤、及び完全に合成由来の増粘剤から成る群から選択されるポリマー性増粘剤を0.01質量%〜10質量%の範囲の量で、及び場合により(ii)約60℃の温度から熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する硬化剤を含むことを特徴とする、前記平面状基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材、並びに家庭及び産業における表面清浄用のワイピングクロスとしてのその使用に関する。
【0002】
WO01/94436からは、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物をベースとする弾性発泡体の製造法が公知である。この方法の場合、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、乳化剤、発泡剤、硬化剤、及び場合により通常の添加剤を含有する水溶液又は水性分散液が、120℃〜300℃に加熱されることによって発泡し、前記初期縮合物が架橋される。メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2より大きい。このモル比は例えば、1:1.0〜1:1.9である。そのようにして得られる連続気泡のフレキシブルな発泡体は、主に、建築物及び建築物部材の断熱用及び遮音用に、車両及び航空機の室内の断熱用及び遮音用に、並びに、例えば冷凍倉庫における低温断熱用に使用される。前記発泡体は、断熱包装材料及び緩衝包装材料としても、並びに架橋メラミン樹脂の高い硬度に基づき、軽度に研磨作用を持つ清浄用スポンジ、研ぎスポンジ及びつや出しスポンジ用にも用いられる。
【0003】
US−B6,713,156には、他の物体への摩擦に際して、その表面が研ぎ作用を発揮する平面状基材が記載されている。そのような研磨基材は、例えば、ポリマーを平面状下地(Unterlage)、例えば不織布又は紙上に吹き付け、発泡又は印刷することによって、前記ポリマーをその上に不均一に塗布し、かつ硬化させることによって得られる。その際、ポリマーの硬化は素早く行われなければならない。なぜなら、ポリマーの不均一な塗布が基材の研ぎ作用の原因になっているからである。使用されるポリマー組成物は、−10℃を上回る最低造膜温度(MFT)を有し、かつ少なくとも0℃、たいてい20℃〜105℃のTgを有する少なくとも1つのポリマーを含有する。このポリマー組成物は、添加剤、例えば可塑剤、架橋剤、デンプン、ポリビニルアルコール、ホルムアルデヒドと共に熱硬化可能な作用物、例えばメラミン、尿素及びフェノールを20質量%まで含有してよい。塗布量は、不織布及び他の多孔性基材に対して、一般的に20質量%より多く、好ましくは30〜50質量%である。不均一にポリマーで被覆された基材は、例えば、家庭及び産業において、摩きクロスとして、及びワイピングクロスとして、化粧用クロスとして、及び傷口治療用の綿球として使用される。
【0004】
US2005/0202232からは、少なくとも1つのシート状のメラミンフォーム層及び少なくとも1つの補強層とから成る製品が公知である。メラミンフォームとして、BASF SEのBasotect(R)が挙げられる。Basotect(R)は、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物をベースとする連続気泡発泡体である。シート状のメラミンフォーム層、及びセルロース繊維又は天然若しくは合成の紡織繊維からの同様にシート状の補強層は、例えばホットメルト接着剤により互いに接合される。しかしながら、それらは補強層の種類に依存して、例えば熱及び場合により圧力の作用によって直接互いに組み合わせることもできる。少なくともシートの一面にメラミンフォーム層を有する、そのようにして得られる製品は、メラミンフォーム層の高い硬度ゆえに、家庭及び産業で表面清浄用及び保護用の商品として使用される。好ましくは、これは使用後に処分される使い捨て商品である。たいてい、それは5mm未満、好ましくは0.85〜2mmの厚さを持つクロスである。
【0005】
それぞれ尿素、メラミン及びホルムアルデヒドとからの縮合物をベースとする水性バインダー又は粉末として、BASF SE,67056 LudwigshafenのKauramin(R)及びKaurit(R)として販売される膠剤(Leim)及び含浸用樹脂が、家具産業及び建築産業において、薄板状の木質材料、例えばパーティクルボード、合板及びセキ板の製造のために使用される(Technische Information Kaurit(R)を参照のこと)。含浸用樹脂で含浸された紙類は、硬質の表面を有する。そのような製品は、例えばラミネートフロアの表面において、又は家具の装飾において見られる(Technische Information Kauramin(R)を参照のこと)。
【0006】
紙の湿潤強度を高めるために、例えば、紙の製造に際して、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂が、シート形成前に紙料に添加される(例えばUrecoll(R) K,BASF SE,67056 Ludwigshafen)。紙料中に存在する樹脂の量は、乾燥紙料に対して、例えば約0.5〜1質量%である。
【0007】
使用後に使い捨てられることが意図されている、公知のワイピングクロス、例えばキッチンペーパー又はティッシュは、殊に湿潤状態では、十分なワイピング効果を保証するために満足のいく安定性を有さない。
【0008】
WO出願2008/000665 A2から、少なくとも1つの仕上げ加工剤による紙及び紙製品の仕上げ加工法が公知であり、その際、紙又は紙製品の上面及び/又は下面に、少なくとも1つの仕上げ加工剤がパターンの形で施与される。この方法の場合、公知の仕上げ加工法と比較して、匹敵する特性の紙類を製造するために必要な仕上げ加工材の量はより少量である。仕上げ加工剤として、なかでもメラミン/ホルムアルデヒド樹脂及び尿素/ホルムアルデヒド樹脂も考慮に入れられる。粘度改善添加剤、増粘剤とも呼ばれるものは、挙げられていない。
【0009】
本発明は、家庭及び産業で表面清浄用の研磨表面を有する基材を提供するという課題に基づく。
【0010】
前記課題は本発明によれば、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上側及び/又は下側に、被覆されていない乾燥した基材に対して0.1〜90質量%の範囲の量で施与し、前記初期縮合物を架橋し、そして処理された基材を乾燥させることによって得られる、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材において、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、
(i)バイオポリマー、会合増粘剤、及び完全に合成由来の増粘剤から成る群から選択されるポリマー性増粘剤を0.01質量%〜10質量%の範囲の量で、及び場合により
(ii)約60℃の温度から熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する硬化剤
を含むことを特徴とする、前記フレキシブルな平面状基材によって解決される。
【0011】
前記課題は本発明によれば同様に、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上側及び/又は下側に、被覆されていない乾燥した基材に対して0.1〜90質量%の範囲の量で施与し、引き続き前記初期縮合物を架橋し、そして処理された基材を乾燥させる、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材を製造するための方法において、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、
(i)バイオポリマー、会合増粘剤、及び完全に合成由来の増粘剤から成る群から選択されるポリマー性増粘剤を0.01質量%〜10質量%の範囲の量で、及び場合により
(ii)約60℃の温度から熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する硬化剤
を含むことを特徴とする、前記製造方法によって解決される。
【0012】
研磨表面とは、この表面が他の表面をおおって移動した場合に、他の表面に摩擦作用若しくは磨き作用を及ぼすことであると理解されるべきである。例えばティッシュからの紙類が使用に際して実際には磨き作用を示さない一方で、本発明による基材は、ガラス物質、金属物質又はプラスチック物質からの表面のワイピングに際して、これらの表面の清浄に所望されている磨き作用を発揮する。しかしながら、その際、研ぎ作用はエメリーペーパーのものよりずっと僅かであるので、本発明による基材は、汚れを除去するために僅かな研ぎ作用のみが所望されており、そのため本発明による基材を用いてワイピングされた材料の表面が実際に傷つけられることのない全ての適用に関して考慮に入れられる。本発明による製品は、好ましくは使い捨て商品として用いられるが、しかしながらその都度の適用次第では、繰り返し使用することも可能である。
【0013】
平面状基材の例は、紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(不織布を含む)である。
【0014】
紙、厚紙及びボール紙は、全ての種類のセルロース繊維から製造可能であり、天然セルロース繊維からのみならず、再生繊維、殊に新しい繊維("バージン繊維")と混合して頻繁に用いられる古紙からの繊維から製造することができる。繊維は水中でパルプへと懸濁され、このパルプが網上で脱水されてシートが形成される。パルプを製造するための繊維質として、製紙業におけるそれに関して慣例の全ての品質、例えば木材パルプ、漂白化学パルプ及び未漂白化学パルプ並びに全ての一年生植物からの紙料が考慮に入れられる。木材パルプには、例えば砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、加圧式砕木パルプ、セミケミカルパルプ、高収率パルプ及びリファイナーメカニカルパルプ(RMP)が属する。ケミカルパルプとして、例えば硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ及びソーダパルプが挙げられる。有利には、未漂白クラフトパルプとも呼ばれる、未漂白パルプが用いられる。紙料の製造に適した一年生植物は、例えばイネ、コムギ、サトウキビ及びケナフである。本発明による製品用の平面状基材を表す紙製品の坪量は、例えば7.5〜500g/m2、好ましくは10〜150g/m2、殊に10〜100g/m2である。とりわけ有利な平面状基材は、ティッシュからの紙類並びに構造化された表面を持っている紙類、例えば家庭で通常用いられるキッチンペーパーである。そのような紙製品は、例えば10〜60g/m2の坪量を有する。使用される平面状基材は一層から成っていてよいか、又は例えば、なお湿潤な層を製造直後に重ね合わせ、かつ圧縮するか、又は既に乾燥した層を、相応する接着剤により互いに接着することによって、複数の層から構成されていてよい。
【0015】
同様に平面状基材として考慮に入れられる、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物及びフリース(いわゆる不織布を含む)は、通常、紡織繊維又は紡織繊維の混合物から成る。このための例は、木綿、セルロース、麻、羊毛、ポリアミド、例えばナイロン、Perlon(R)又はポリカプロラクタム、ポリエステル及びポリアクリロニトリルからの繊維である。ティッシュと不織布の例は、あらゆる種類の清浄用クロス、例えば家庭用清浄用クロスである。
【0016】
平面状基材の厚さは、例えば0.01〜100mm、好ましくは0.05〜10mmである。それは、たいてい0.05〜3mmの範囲内にある。平面状基材は、例えばウェブ又はシートの形で存在する。そのような材料は可撓性である。前記材料はその可撓性を、熱硬化性樹脂の施与及び硬化後にも失わないでいる、すなわち前記熱硬化性樹脂は、どんなに高くても、未処理の基材の可撓性がそのまま引き続き保持されるような量で施与されるべきである。未処理の基材の可撓性は、たしかに熱硬化性樹脂の塗布に基づき減少するが、しかしながら樹脂の量は、剛性の、曲げられない構造が生じないように計量され、この量は例えば家具用単板において通例である。本発明により被覆された紙は、決して脆性であってはならず、かつ曲げた場合や折り畳んだ場合に、ガラスのように破砕するべきではない。本発明により被覆されたボール紙も同様になお破壊させずに曲げることが可能であるが、しかしながら、被覆されていないボール紙と比べて本質的に改善されたワイピング作用を有する。
【0017】
研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材を製造するために、平面状基材、例えばフリース(いわゆる不織布を含む)、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、紙、厚紙及びボール紙をまず、少なくとも1つの熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液又は水性分散液で処理する。
【0018】
熱硬化性樹脂の初期縮合物は、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/グリオキサール初期縮合物及びフェノール/ホルムアルデヒド初期縮合物の群から選択されている。
【0019】
好ましくは、メラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物を使用し、その際、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2より大きい。好ましくは、熱硬化性樹脂として、メラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物が使用され、その際、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.0〜1:1.9である。メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物は、メラミンに加えて他の熱硬化性形成剤(Duroplastbildner)を50質量%まで、好ましくは20質量%まで、かつホルムアルデヒドに加えて他のアルデヒドを50質量%まで、たいてい20質量%まで縮合導入された形で含有してよい。熱硬化性形成剤として、例えばアルキル置換メラミンとアリール置換メラミン、尿素、ウレタン、カルボン酸アミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホン酸アミド、脂肪族アミン、グリコール、フェノール及びフェノール誘導体が考慮に入れられる。アルデヒドとして、例えばホルムアルデヒドを縮合物中で部分的に置き換えるために、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフロール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド及びテレフタルアルデヒドを使用してよい。
【0020】
初期縮合物は、場合により少なくとも1つのアルコールでエーテル化されていてよい。このための例は、一価のC1〜C18アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−オクタノール、デカノール、パルミチルアルコールとステアリルアルコール、多価アルコール、例えばグリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−1,6、3〜20個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、片側が末端封鎖されたグリコールとポリアルキレングリコール、プロピレングリコール−1,2、プロピレングリコール−1,3、ポリプロピレングリコール、ペンタエリトリトール及びトリメチロールプロパンである。
【0021】
熱硬化性樹脂の製造は従来技術に含まれる(Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Completely Revised Edition,Wiley−VCH Verlag GmbH Co.KgaA,Weinheim,"Amino Resins",Vol.2,537−565頁(2003)を参照のこと)。
【0022】
その際、好ましくはメラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物の水溶液又は水性分散液から出発する。固体濃度は、例えば5〜95質量%であり、好ましくは10〜70質量%の範囲内にある。
【0023】
初期縮合物の溶液又は分散液は硬化剤を含むことができるが、硬化剤無しでも使用できる。
【0024】
硬化剤としては約60℃の温度から硬化剤として作用する物質、すなわち熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する物質を選択する;本発明によるこのような硬化剤は、以降、本発明による「遅効性」硬化剤とも呼ぶ。
【0025】
通常、ある物質が本発明による「遅効性」硬化剤であるかどうかは、通常の量の通常の酸硬化剤、例えばギ酸との僅かな比較試験によって確認することができる。本発明による「遅効性」硬化剤が混合された、初期縮合物の溶液又は分散液の粘度向上は、比較可能な初期縮合物の溶液、例えば比較可能な条件で硬化剤としてギ酸が添加された初期縮合物の溶液よりも、ずっとゆっくり進行する。
【0026】
良好に適した本発明による「遅効性」硬化剤は、硬化活性成分として、酸とアンモニア若しくはアミンとの塩を、又はルイス酸(例えば二酸化硫黄)とアンモニア若しくはアミンとの付加生成物を含む。本発明による「遅効性」硬化剤の例は、硝酸アンモニウム、又はBASF SEの製品番号が"硬化剤423"、"硬化剤527"、"硬化剤528"、"硬化剤529"の物質である。
【0027】
特定の場合には、縮合のために挙げた「遅効性」硬化剤を別個に平面状基材に塗布してもよい。
【0028】
本発明による「遅効性」硬化剤の使用量は通常、樹脂に対して0.01〜70質量%、好適には0.05〜60質量%である。
【0029】
熱硬化性樹脂の初期縮合物の水溶液又は水性分散液は、場合により、さらに界面活性剤を含有してよい。適しているのは、例えば非イオン性、アニオン性及びカチオン性の界面活性剤、並びに少なくとも1つの非イオン界面活性剤と少なくとも1つのアニオン性界面活性剤とからの混合物、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と少なくとも1つのカチオン性界面活性剤とからの混合物、複数の非イオン性界面活性剤からの混合物、又は複数のカチオン性界面活性剤からの混合物、又は複数のアニオン性界面活性剤からの混合物である。
【0030】
界面活性剤として、例えば全ての界面活性作用物が考慮に入れられる。
【0031】
適当な非イオン界面活性物質の例は、エトキシ化されたモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノールとトリアルキルフェノール(エトキシ化度:3〜50、アルキル基:C3〜C12)並びにエトキシ化された脂肪アルコール(エトキシ化度:3〜80;アルキル基:C8〜C36)である。これについての例は、BASF SE社製の商品名Lutensol(R)又はUnion Carbide社製の商品名Triton(R)である。とりわけ有利なのは、一般式
【化1】

[式中、xは、10〜24の範囲の整数、好適には12〜20の範囲の整数である]
のエトキシ化された線状脂肪アルコールである。変数yは、好ましくは5〜50の範囲、とりわけ有利には8〜40の範囲の整数を表す。エトキシ化された線状脂肪アルコールは、通常、種々のエトキシ化度を有する様々のエトキシ化された脂肪アルコールの混合物として存在する。変数yは、本発明の枠内で平均値(数平均)を表す。適当な非イオン性界面活性物質は、更に、コポリマー、特にエチレンオキシドと少なくとも1つのC3〜C10−アルキレンオキシドとのブロックコポリマー、例えば式
【化2】

[式中、
mは0又は1を表し、Aは脂肪族、脂環式又は芳香族ジオールから誘導される基、例えばエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイル又はビス(シクロヘキシル)メタン−4,4’−ジイルを表し、
B及びB’は相互に無関係にプロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,2−ジイル又はフェニルエタニルを表し、
y1は相互に無関係に2〜100の数を表し、かつ
y2及びy3は相互に無関係に2〜100の数を表し、
その際、y1+y2+y3+y4の合計は有利に20〜400の範囲にあり、これは1000〜20000の範囲の数平均分子量に相当する]
のトリブロックコポリマーである。有利に、Aはエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル又はブタン−1,4−ジイルを表す。Bは有利にプロパン−1,2−ジイルを表す。
【0032】
それ以外に、界面活性物質としては例えば、Zonyl(R)(DuPont)の商標名で市販されている、フッ素で置換されたポリアルキレングリコールが適している。
【0033】
界面活性物質として、非イオン性界面活性剤以外に、アニオン性及びカチオン性の界面活性剤も考慮に入れられる。界面活性物質は、それ単独で、又は混合物として使用することができる。ただし、このための前提条件は、界面活性物質が互いに相溶性であること、つまり互いに沈殿物を生じないことである。この前提は例えば、その都度1つの化合物種からの混合物に、並びに非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とからの混合物に、そして非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とからの混合物に当てはまる。適当なアニオン性界面活性作用物の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである。
【0034】
カチオン性界面活性剤のための例は、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、例えばジメチル−C12〜C18−アルキルベンジルアンモニウムクロリド、第一級、第二級及び第三級の脂肪アミン塩、第四級アミドアミン化合物、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、及びアルキルオキサゾリニウム塩である。
【0035】
とりわけ有利なのは、たいていアルカリ液で中和された形において使用される、例えば硫酸でエステル化された(場合によりアルコキシ化された)アルコールのようなアニオン性界面活性剤である。さらなる通常の乳化剤は、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステルである。さらに、アニオン性乳化剤として、リン酸又は亜リン酸のエステル並びに脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸も使用してよい。通常の乳化剤は、文献中に詳細に記載されている(例えばM.Ash,I.Ash,Handbook of Industrial Surfactants,Third Edition,Synapse Information Resources Inc.を参照のこと)。
【0036】
少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液は、界面活性剤を最大10質量%の量で含有してよい。前記水溶液又は水性分散液が界面活性剤を含有する場合、好ましくは溶液中又は分散液中で存在する界面活性剤の量は0.01〜5質量%である。
【0037】
初期縮合物の水溶液又は水性分散液は、場合により、さらなる通常の添加剤、例えば、粒子状の無機化合物、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、大理石及びコランダムを含有してよい。無機化合物の平均粒径は、例えば1nm〜500μmである。
【0038】
これらの添加剤の量は、溶液又は分散液に対して、例えば0〜100質量%、好ましくは0〜25質量%である。
【0039】
好ましくは、本発明によるフレキシブルな平面状基材は、他表面への摩擦に際して摩き作用を発揮する材料、例えば炭化ケイ素又は酸化アルミニウムを含まない。
【0040】
本発明によるフレキシブルな平面状基材、例えば、紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)、好適には織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)は、前述の通常の添加剤の他に、又は前述の添加剤の代わりに、さらに作用物質と効果物質を、好適には0.01質量%〜10質量%の範囲の量で、特に好適には0.01質量%〜1質量%の範囲の量で含むことができる。
【0041】
このような作用物質と効果物質は好ましくは、芳香剤、着色剤、又は顔料、ワックス、界面活性剤、界面活性物質、両親媒性ポリマー、表面保護剤、光沢付与物質、抗菌性仕上げ剤、殺生剤、銀イオン、ナノ粒子、シリコーンである。
【0042】
作用物質と効果物質、好適には揮発性の作用物質と効果物質、例えば芳香剤、又は水不溶性の作用物質と効果物質、例えばワックス若しくはシリコーンは、カプセル化されて、好ましくはマイクロカプセルで存在していてよい。
【0043】
作用物質と効果物質は任意のやり方で、本発明によるフレキシブルな平面状基材の上、又はその中に導入することができる。これらの物質は好ましくは、樹脂と同じ加工工程で平面状基材に施与される。これらの物質は特に好ましくは、樹脂溶液若しくは分散液の一部として使用される。
【0044】
良好に適した方法においては、作用物質と効果物質、好適にはカプセル化されていない、若しくは(マイクロ)カプセル化された芳香剤を、作成された初期縮合物の水溶液又は水性分散液に添加し、それからこれを平面状基材の上、好適には紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)の上に塗布する。
【0045】
さらに良好に適した方法においては、作用物質と効果物質、好適にはカプセル化されていない、若しくは(マイクロ)カプセル化された芳香剤を、初期縮合物の水溶液又は水性分散液を製造する際に添加し、そしてそれからこれを平面状基材の上、好適には紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)の上に塗布する。
【0046】
さらに良好に適した方法においては、作用物質と効果物質、好適にはカプセル化されていない、又は(マイクロ)カプセル化された芳香剤を、初期縮合物の製造の際に添加する。それからこの混合物を、平面状基材状への塗布直前に、水溶液又は水性分散液に移し、そしてそれから平面状基材の上、好適には紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)の上に塗布する。
【0047】
前述の作用物質と効果物質、好適には(マイクロ)カプセル化された作用物質と効果物質、特に好適には(マイクロ)カプセル化された揮発性の作用物質と効果物質、例えば芳香剤、及び/又は水不溶性の作用物質と効果物質、例えばワックス若しくはシリコーンは通常、機械的応力、例えば磨き、ワイピング、若しくはその他の清浄化の際に、本発明によるフレキシブルな平面状基材から部分的に、又は完全に放出される。
【0048】
樹脂塗布の際に良好かつ可能な限り均一な樹脂の分散、好適にはその深部層ではなく基材表面での良好かつ可能な限り均一な樹脂の分散を達成するためには、特定のレオロジー挙動、又は初期縮合物の水溶液若しくは水性分散液の特定の粘度が必要となる。初期縮合物の水溶液若しくは水性分散液は、基材上で容易に伸ばせるように充分に液状でなければならないが、伸ばす際に素早く基材の深部層に浸透、又は吸い取られるほど液状ではない。
【0049】
さらに、基材上、例えば紙、厚紙、ボール紙、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、及びフリース(いわゆる不織布を含む)の上への初期縮合物の水溶液又は水性分散液の均一な転写を保証するため、適切な樹脂塗布装置、例えば印刷ローラによって初期縮合物の水溶液又は水性分散液の良好かつ可能な限り均一な分散を得ることが重要である。
【0050】
さらに重要なのは、初期縮合物の水溶液又は水性分散液の適切な粘度を調整することであり、これによってスプレー法で初期縮合物の水溶液又は水性分散液を塗布する際に初期縮合物の液滴サイズが可能な限り小さくなり、液滴がスプレーノズルを詰まらせることなく、基材上に均一に分散される。
【0051】
従って初期縮合物の水溶液又は水性分散液は、ポリマー性増粘剤を、初期縮合物の水溶液又は水性分散液に対して0.01〜10質量%の範囲、好適には0.01〜5質量%の範囲で含む。
【0052】
このようなポリマー性増粘剤は、以下のものからなる群から選択される:
a)バイオポリマー、例えば
a1)多糖類、例えばデンプン、グアール粉末、イナゴマメ粉末、アガール−アガール、ペクチン、アラビアガム、キサンタン;
a2)タンパク質、例えばゼラチン、カゼイン;
b)会合増粘剤、例えば
b1)変性セルロース、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC);
b2)変性デンプン、例えばヒドロキシエチルデンプン、及びヒドロキシプロピルデンプン;
c)完全に合成由来の増粘剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、及びポリエチレングリコール。
【0053】
もちろんまた、前記増粘剤a)、及び/又はb)、及び/又はc)のそれぞれの混合物も含まれる。
【0054】
本発明による製品を製造するために、初期縮合物の溶液又は分散液(以下で"調製溶液"とも呼ぶ)は、基材に面全体にわたって塗布するか、又はパターンの形で塗布することができる。調製溶液は、平面状基材に塗布する前に、例えば空気又は他のガスの混入によって発泡させてもよい。次いで硬化及び乾燥後に、Basotect(R)のようなメラミンとホルムアルデヒドをベースとする熱硬化性樹脂からの公知の発泡体とは対照的に、フォームの気泡がナノメーター範囲の平均直径、例えば1〜1000nmの範囲の平均直径を有する、フォームで被覆されている平面状基材が得られる。
【0055】
調整溶液の粘度、つまり硬化剤を有する、若しくはこれを有さない初期縮合物の水溶液又は水性分散液の粘度は通常、本発明による増粘剤の添加により調整され、そしてその後、基材上に施与され、それから引き続き硬化される。
【0056】
アミノ樹脂含有調製溶液の粘度は慣用的に、無機酸若しくは有機酸ベースの「即効性」硬化剤の添加によって変化させる。このことにより、すでに室温で、及びとりわけ約40〜60℃という高められた温度で、調製溶液中の樹脂の比較的迅速なさらなる縮合が起こり、このことは通常、調製溶液の粘度向上につながる。とは言えこの工程は制御性が非常に悪く、このことによって、相応するさらに縮合された調製溶液の作業時間が非常に短くなってしまう。このことはとりわけ、連続的な塗布稼働で欠点となる。
【0057】
本発明により調製溶液の所望の粘度を、制御不能なさらなる縮合をさせずに調整することが可能になる。
【0058】
本発明による調製溶液は、好ましくは未発泡状態で、その都度考慮される下地に施与される。調製溶液は例えば、噴霧塗布、ナイフ塗布、ロール塗布、印刷塗布によって、又は当業者に公知である、他の適した技術的な装置、例えばサイズプレス、フィルムプレス、エアブラシ、カーテンコーティングユニットにより、平面状下地に施与することができる。好ましくは、樹脂が基材に侵入することを低下させるために、非接触法、又は平面状基材への出来る限り小さい圧力を用いた方法が適用される。
【0059】
塗布は片面又は両面に、同時に又は連続して行うことができる。調製溶液により平面状基材に塗布される熱硬化性樹脂の量は、被覆されていない乾燥した平面状基材の坪量に対して、例えば0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜50質量%、殊に0.5〜30質量%である。
【0060】
よってこの量は基本的に、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂による平面状基材の含浸によって装飾シートの製造に適用される量よりも少ない。その都度基材に塗布される初期縮合物の量は、本発明による製品の可撓性、柔軟性及び取り扱い性に決定的な影響を与える。
【0061】
それ以外に、調製溶液若しくは硬化樹脂を基材に分散させることは、本発明による製品の可撓性に著しい影響を与える。調製溶液は、例えば不均一に下地に施与することができ、その際、前記調製溶液は例えば下地を面全体で覆うが、その上に均一には分散されていない。さらなる変法は、調製溶液をパターンに従って平面状基材に印刷することである。よって例えばとりわけ可撓性の製品は、調製溶液を平行ストリップの形で、又は点状に下地に印刷すると得られる。
【0062】
調製溶液を平面状下地に施与した後、熱硬化性樹脂の架橋及び熱硬化性樹脂の初期縮合物のコートを備えた平面状基材の乾燥を行い、その際、架橋と乾燥は同時に、又は連続して進行させてよい。好ましい実施態様においては、熱硬化性樹脂を湿潤雰囲気で架橋させ、そしてその後に生成物を乾燥させる。樹脂の熱硬化と生成物の乾燥は例えば、20〜250℃の温度範囲、好ましくは20〜200℃の範囲、特に好ましくは20〜150℃の範囲で行うことができる。
【0063】
乾燥工程は例えば、気体式乾燥機、又はIR乾燥機で行うこともできる。その都度適用される温度が高ければ高いほど、それだけ一層、乾燥装置中で乾燥されるべき材料の滞留時間は短くなる。所望の場合、本発明による生成物は、乾燥後さらに最大300℃の温度で温度処理することができる。300℃より高い温度も、樹脂を硬化するために適用可能だが、しかしながら、その時に必要とされる滞留時間は非常に短い。
【0064】
本発明による方法は、現在の知見レベルによれば樹脂が基材に均質に分散されていないフレキシブルな平面状基材につながるが、基材の表面に残る、すなわち塗布された層として残る。
【0065】
家庭及び産業で表面清浄用のワイピングクロスとして使用される、フレキシブルな平面状基材が得られる。それらは殊に、金属、ガラス、陶磁器、プラスチック及び木材からの物体の表面清浄用の研磨ワイピングクロスとして適している。本発明による製品は、殊に使い捨て商品として適しているが、しかしながら、場合により、繰り返し使用することができる。なかでも、下地として織布又はフリースを有する本発明による製品の場合には、繰り返し使用される。
【0066】
実施例の中の百分率表示は、文脈から他に明らかでない限り、質量パーセントを意味する。
【0067】
実施例
硬化剤タイプの相違(「即効性」と「遅効性」硬化剤)
BASF SEの含浸樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂)100gからの溶液(表参照)を、記載された量で硬化剤と混合し、そして蓋付きのガラス瓶に満たした。これらの混合物を室温にて手で振り混ぜ、そしてこの際に試料の粘度を評価した。以下の表に、溶液が作業可能になった時点が記載されている。
【0068】
【表1】

【0069】
BASF SEの硬化剤527、硬化剤528、硬化剤529は、有機アミンをベースとしている。
【0070】
被覆された紙の製造
調製溶液1(比較用)
メラミン及びホルムアルデヒドからの粉末状初期縮合物(Kauramin(R) KMT 773(粉末、BASF))と水から、完全脱塩水をビーカーに装入し、前記粉末をゆっくりと入れ、かつ混合物を引き続き1時間、最も高い段階に調整されたUltra−Turrax(R)で処理することによって、20%の水溶液を製造した。その後、初期縮合物の水溶液を、ひだ付き濾紙を介して濾過した。この溶液30gに、ギ酸(100%)3.5g及びフッ素で置換された界面活性作用物(Zonyl(R) FS 300,DuPont)100μlを加えて、そしてこの混合物を6分間、70℃の温度にて乾燥機内に貯蔵した。
【0071】
調製溶液2(本発明によるもの)
メラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物(Kauramin(R) KMT 753(溶液、BASF))及び水から、完全脱塩水と含浸溶液とを混合することによって28%の水溶液を製造した。この溶液30gに、硬化剤528(80%のもの)0.25g、及びフッ素で置換された界面活性作用物(Zonyl(R) FS 300, DuPont)100μl、並びにグアール粉末0.042gを加え、この結果、調製溶液2の粘度は、約150mPa*sの値であった。
【0072】
調製溶液2a(本発明によるもの、効果物質有り)
メラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物(Kauramin(R) KMT 753(溶液、BASF))、及び水から、完全脱塩水と含浸溶液とを混合することによって28%の水溶液を製造した。この溶液30gに、フッ素で置換された界面活性作用物(Zonyl(R) FS 300, DuPont)100μl、並びにグアール粉末0.042gを加え、この結果、調製溶液2aの粘度は、約128mPa*sの値であった。この溶液中に、使用される樹脂の質量に対して2質量%の芳香剤カプセルを分散させた。溶液を紙に押しつける5分前に、この樹脂溶液をギ酸0.48g(樹脂の固体含分に対して10質量%に相当)と混合した。
【0073】
調製溶液3(本発明によるもの、硬化剤無し)
メラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物(Kauramin(R) KMT 753(溶液、BASF))及び水から、完全脱塩水と含浸溶液とを混合することによって28%の水溶液を製造した。この溶液30gに、フッ素で置換された界面活性作用物(Zonyl(R) FS 300, DuPont)100μl、並びにグアール粉末0.042gを加え、この結果、調製溶液2の粘度は、約137mPa*sの値であった。
【0074】
実施例1(転写プレス、調製溶液2)
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(R)(Premium)−キッチンペーパー、SCA)に、調製溶液2の一部を転写法で片面だけに塗布した。被覆された材料をこの後、アルミニウム製プレート上に置き、そして乾燥機中で20分、120℃で乾燥させた。その後、紙は乾燥し、かつ架橋していた。適用された樹脂の量は、乾燥キッチンペーパーに対して13%であった。
【0075】
実施例2(印刷機、調製溶液2)
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(R)(Premium)−キッチンペーパー、SCA)に、調製溶液2の一部を印刷機で片面だけに塗布した。被覆された材料をこの後、アルミニウム製プレート上に置き、そして乾燥機中で20分、120℃で乾燥させた。その後、紙は乾燥し、かつ架橋していた。適用された樹脂の量は、乾燥キッチンペーパーに対して5%であった。
【0076】
実施例3(印刷機、調製溶液3)
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(R)(Premium)−キッチンペーパー、SCA)に、調製溶液3の一部を印刷機で片面だけに塗布した。被覆された材料をこの後、アルミニウム製プレート上に置き、そして乾燥機中で60分、120℃で乾燥させた。その後、紙は乾燥し、かつ架橋していた。適用された樹脂の量は、乾燥キッチンペーパーに対して5%であった。
【0077】
実施例4(比較用、調製溶液1)
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(R)(Premium)−キッチンペーパー、SCA)に、調製溶液1の一部を印刷機で片面だけに塗布を試みた。この塗布は非常に不均質に進行し、調製溶液1の粘度は素早く上昇し、かつ調製溶液1は紙を均一に濡らさなかった。印刷ローラからの処理された紙の分離は、紙を壊さずに行うことは不可能であり、紙は印刷ローラと強力に接着していた。
【0078】
実施例5(転写プレス、効果物質ありの変法、調製溶液2a)
53g/m2の坪量を有する23.8cm×25.7cmの大きさの一枚のキッチンペーパー(TORK(R)(Premium)−キッチンペーパー、SCA)に、調製溶液2aの一部を転写法で片面だけに塗布した。被覆された材料をこの後、アルミニウム製プレート上に置き、そして乾燥機中で20分、120℃で乾燥させた。その後、紙は乾燥し、かつ架橋していた。適用された樹脂の量は、乾燥キッチンペーパーに対して12質量%であった。
【0079】
洗浄作用
実施例に従って得られる被覆された紙を、ワイピングクロスとしてのその適性に関して試験し、かつ市販の未被覆の紙と比較した。このために、試験されるべき試験体をその都度、直径13mm、質量600gの円筒形ポンチの一面に接着剤で固定した。振動機(クロックメーター)にガラス板を固定した。引き続き、ガラス板上にパーマネントマーカーで複数のストライプを描いた(パーマネントマーカーEdding 3000)。この面に円筒形ポンチを設置し、その際、試験されるべき試験体と接着されているポンチの面は、その都度ガラス板上に載っていた。ガラス板の清浄されるべき箇所を選択的に、完全脱塩水0.5mlで湿らせた。振動機は、5cmのガラス板の水平偏向にて20回の往復ストローク/分で作動させた。湿潤状態で30ストローク若しくは5ストロークを行い、そしてマーク除去の程度を測定した:このためにガラス板を反射スキャナで撮像し、そしてソフトウェア「Image J(NIH)」を用いて、クロスの摩擦作用により変化したEddingストライプの平均灰色値を測定した。この後、対照用パターンと比較して、相対的な洗浄作用(0%=効果無し、100%=完全除去)を測定した。実施した試験及びその際に得られた結果は、次の表の中で示されている。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例6(転写プレス、調製溶液2)
35g/m2の坪量を有する20cm×20cmのティッシュの大きな一片上に、調製溶液2の一部を転写法で片面だけに塗布した。被覆された材料をこの後、アルミニウム製プレート上に置き、そして乾燥機中で20分、120℃で乾燥させた。この後、基材は乾燥し、樹脂層は硬化した。適用された樹脂の量は、被覆されていない材料の坪量に対して7.8%であった。
【0082】
このように製造された材料のパターンは、共焦点ラマン顕微鏡を用いて、ティッシュ内部のメラミン分布を調べた。
【0083】
試料調製と測定手法:共焦点ラマン顕微鏡:
試料から、立体スキャン(XZ方向)を撮像した。この際に焦点平面はレーザーによる加熱に基づき常に変化するため、試料はエポキシ樹脂に埋め込み、そして切断面を用意した。この切断面を側方(XY平面)で走査する(対物100×、励起532nm)。これは、試料の厚さにわたる化学組成のイメージに相当する。各成分の特徴的なシグナルは積分され、そして空間配置(XY)に対して擬似カラーで描かれる。
【0084】
この際、評価のために以下のバンドを利用した:
メラミン:975cm−1 エポキシ樹脂:3075cm−1 紙:3130〜3620cm−1
【0085】
ラマンマッピングの結果:
紙の上側には、非常に薄いメラミン層がある。この被覆は、隣接繊維に対する中間空間へのクロス吸収性が原因で、最大25μの試料深さまで浸透している。ただしそれ以上の深さでは、クロス中にメラミンは検出できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上側及び/又は下側に、被覆されていない乾燥した基材に対して0.1〜90質量%の範囲の量で施与し、前記初期縮合物を架橋し、そして処理された基材を乾燥させることによって得られる、研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材において、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、
(i)バイオポリマー、会合増粘剤、及び完全に合成由来の増粘剤から成る群から選択されるポリマー性増粘剤を0.01質量%〜10質量%の範囲の量で、及び場合により
(ii)約60℃の温度から熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する硬化剤
を含むことを特徴とする、前記フレキシブルな平面状基材。
【請求項2】
熱硬化性樹脂の初期縮合物が、メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/ホルムアルデヒド初期縮合物、尿素/グリオキサール初期縮合物、及びフェノール/ホルムアルデヒド初期縮合物の群から選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項3】
熱硬化性樹脂としてメラミンとホルムアルデヒドからの初期縮合物を使用し、この際、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が、1:2より大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項4】
熱硬化性樹脂として、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:1.0〜1:1.9の初期縮合物を使用することを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項5】
前記基材が、フリース(いわゆる不織布を含む)、織布(いわゆるティッシュを含む)、編物、紙、厚紙、及びボール紙の群から選択されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項6】
前記基材が、セルロース繊維からの紙若しくはフリース(いわゆる不織布を含む)であるか、又はセルロース繊維からの織布(いわゆるティッシュを含む)であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項7】
初期縮合物の溶液又は分散液が、少なくとも1つの硬化剤(ii)を含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項8】
初期縮合物の溶液又は分散液が、少なくとも1つの界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項9】
初期縮合物の溶液又は分散液が、少なくとも1つのポリマー性増粘剤(i)を0.01〜5質量%含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項10】
初期縮合物の溶液又は分散液が、基材上の面全体に施与されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項11】
初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、パターンの形で基材上に施与されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項12】
初期縮合物の水溶液で処理された基材が、20〜150℃の範囲の温度で硬化され、乾燥されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項13】
熱硬化性樹脂の量が、被覆されていない乾燥した基材に対して0.5〜50質量%であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項14】
通常の添加剤に加えて、又は通常の添加剤の代わりに、作用物質と効果物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項15】
通常の添加剤に加えて、又は通常の添加剤の代わりに、カプセル化された形で使用される作用物質と効果物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材。
【請求項16】
家庭及び産業における表面清浄用のワイピングクロスとしての、請求項1から15までのいずれか1項に記載のフレキシブルな平面状基材の使用。
【請求項17】
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液を、フレキシブルな平面状基材の上側及び/又は下側に、被覆されていない乾燥した基材に対して0.1〜90質量%の範囲の量で施与し、引き続き前記初期縮合物を架橋し、そして処理された基材を乾燥させる、請求項1から16までのいずれか1項に記載の研磨表面を有するフレキシブルな平面状基材を製造するための方法において、
熱硬化性樹脂の少なくとも1つの初期縮合物の水溶液又は水性分散液が、
(i)バイオポリマー、会合増粘剤、及び完全に合成由来の増粘剤から成る群から選択されるポリマー性増粘剤を0.01質量%〜10質量%の範囲で、及び場合により
(ii)約60℃の温度から熱硬化性樹脂のさらなる縮合を触媒する硬化剤、
を含むことを特徴とする、前記製造方法。

【公表番号】特表2011−528632(P2011−528632A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519132(P2011−519132)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059224
【国際公開番号】WO2010/010046
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】