説明

砲撃体検出装置、砲撃体検出方法及び砲撃体検出プログラム

【課題】個人が携行可能な小型の砲撃体検出装置を提供する。
【解決手段】衝撃波検出手段(音響センサ3)により、砲撃体1から発射された飛翔体2(銃弾)が発生する衝撃波wの音圧が3次元方向で検出され、音圧検出信号uが出力される。砲撃体方位算出手段(処理装置4)により、衝撃波検出手段(音響センサ3)から出力された音圧検出信号uに基づいて、同衝撃波検出手段(音響センサ3)の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndが算出されて方位情報pが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、砲撃体検出装置、砲撃体検出方法及び砲撃体検出プログラムに係り、たとえば、人間が遠距離から不意に銃砲などの砲撃体により狙撃されたとき、砲撃体の存在する方位を特定する場合に用いて好適な砲撃体検出装置、砲撃体検出方法及び砲撃体検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の紛争などでは、人間が遠距離からライフルなどの銃砲により狙撃される被害を受けることがある。一般に、人間が遠距離から不意に狙撃された場合、狙撃者の方位や位置を咄嗟に特定することは極めて困難である。すなわち、通常、砲撃体の方位を検出する場合、銃砲などの砲撃体が弾丸などの飛翔体を発射する際の発砲音の方位を観測する。ところが、銃砲などの砲撃体にサイレンサなどの消音器が装着されて発砲音が小さくなっている場合、あるいは砲撃体が遠距離にあって発砲音が減衰してしまう場合などでは、砲撃体の方位を検出することが不可能である。このため、狙撃者の方位や位置を咄嗟に特定する技術が提案されている。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された砲撃体位置明確化のためのシステムがある。
このシステムでは、アンテナを形成する複数の間隔を空けた音響センサにより衝撃波信号が計測される。また、上記複数の音響センサにより砲口爆風信号が計測される。計測された衝撃波信号及び砲口爆風信号から、砲撃体距離の初期推定値が決定される。初期弾丸速度及び弾丸抗力係数が仮定される。弾丸軌跡に沿った瞬時弾丸速度を反復的に算出して更新することにより、砲撃体距離が得られる。
【0004】
また、特許文献2に記載されたコンパクト砲撃体位置特定システムでは、少なくとも2つの間隔を空けたセンサが備えられている。同各センサは、サポート構造により、既知の場所に支持されている。各センサは、実質的に球状の本体と、加速度計と、プロセッサとを備えている。本体は、少なくとも、2方向への動きのために上記サポート構造により弾性的に支持されている。加速度計は、本体に囲われ、同本体に加わる力に応答して出力信号を生成する機能を有し、上記力が、超音速発射体によって生成された衝撃波の圧力勾配により生成され、上記出力信号が当該センサにおける圧力勾配の大きさ及び方向並びに上記衝撃波の到着時間を示す。プロセッサは、少なくとも2つのセンサからの出力信号及び到着時間を処理して、上記超音速発射体の軌跡を決定するためのパラメータ情報を提供する。
【0005】
また、特許文献3に記載された弾丸位置標定装置では、予め離隔設置された少なくとも4個以上の音響センサにより、弾丸の発射音、飛翔音及び爆発音などが受波され、音波伝搬経路の温度及び風による音波の屈折などが補正される。そして、弾丸発射位置付近及び着弾位置付近の地図データ、及び、弾丸の発射音が各センサに到達する時間差、又は、飛翔音が各センサにて消滅したときの時間差などを利用することにより、弾丸の爆発、不発に関わりなく、弾丸の発射位置推定、飛翔経路の推定、着弾点の推定、爆発高度の推定、弾種の推定などが行われる。
【0006】
また、特許文献4に記載された発射体弾道を決定する装置では、間隔を空けて配設された少なくとも2つのセンサが備えられ、同各センサは、超音速発射体が生成する衝撃波に遭遇することができ、かつ衝撃波に応答して単位指向ベクトルの方位角と仰角に関する信号を生成する。そして、各センサに関する上記単位指向ベクトルが上記信号から計算され、同単位指向ベクトルに基づいて発射体の弾道が計算され、上記衝撃波の円錐形状に基づいて、同弾道から時間が逆計算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−512650号公報
【特許文献2】特表2008−510996号公報
【特許文献3】特開2000−205794号公報
【特許文献4】特表2004−536286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載されたシステムでは、衝撃波及び砲口爆風を検出することにより砲撃体距離が推定されるが、複数の音響センサが用いられ、飛翔体(弾丸)が空気中に飛翔する際の衝撃波が個々の音響センサに到達する時間差を利用して砲撃体の位置が特定される構成とされているので、車両などに搭載するサイズよりも小型化することが困難であり、個人が携行することができないという課題がある。
【0009】
特許文献2に記載されたシステムでは、超音速発射体の軌跡が決定されるが、上記特許文献1と同様に、複数のセンサを隔離して配置する必要があり、人間が無理なく持ち運べるサイズに小型化することが困難であるという課題がある。
【0010】
特許文献3に記載された弾丸位置標定装置では、弾丸などの高速飛翔体の発射位置推定精度及び着弾位置推定精度が向上する共に、弾道及び弾種などが推定されるが、4個以上の音響センサを隔離して配置する必要があり、上記特許文献1と同様に、個人が携行できる程度に小型化することが困難であるという課題がある。
【0011】
特許文献4に記載された装置では、2つのセンサを隔離して配置する必要があり、上記特許文献1と同様に、人間が無理なく持ち運べるサイズに小型化することが困難であるという課題がある。
【0012】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、個人が携行可能な小型の砲撃体検出装置、砲撃体検出方法及び砲撃体検出プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、砲撃体検出装置に係り、砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出手段と、該衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出手段とを備えてなることを特徴としている。
【0014】
この発明の第2の構成は、砲撃体検出方法に係り、砲撃体検出装置を、衝撃波検出手段と、砲撃体方位算出手段とから構成しておき、前記衝撃波検出手段が、砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出処理と、前記砲撃体方位算出手段が、前記衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出処理とを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の構成によれば、個人が携行可能な小型の砲撃体検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態である砲撃体検出装置の要部の電気的構成及び同砲撃体検出装置が用いられる環境を示す模式図である。
【図2】音響センサ3から出力される音圧検出信号uの縦方向及び横方向の信号レベルの例を示す図である。
【図3】この発明の第2の実施形態である砲撃体検出装置の要部の電気的構成及び同砲撃体検出装置が用いられる環境を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記砲撃体方位算出手段(処理装置)が、上記衝撃波検出手段(1個の3軸音響センサ)から出力される上記音圧検出信号に基づいて上記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている上記飛翔体の推定飛翔速度及び上記衝撃波の到来方位に基づいて、衝撃波検出手段(3軸音響センサ)の位置を基準とする上記砲撃体の推定方位を算出する構成とされている砲撃体検出装置を実現する。
【0018】
また、砲撃体検出装置は、上記砲撃体方位算出手段(処理装置)で生成された上記方位情報を報知する方位情報報知手段(指示器)を備えている。
【0019】
また、上記衝撃波検出手段は、上記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサを有し、上記砲撃体方位算出手段(処理装置)は、上記3軸音響センサ(衝撃波検出手段)から出力される上記音圧検出信号の信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で突然変化した場合、上記飛翔体が発生する上記衝撃波として判定し、判定された上記衝撃波の到来方位に基づいて上記砲撃体の方位を算出して上記方位情報を生成する構成とされている。
【0020】
また、上記衝撃波検出手段は、上記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する複数の3軸音響センサを有し、上記砲撃体方位算出手段(処理装置)は、上記衝撃波検出手段(複数の3軸音響センサ)の上記各3軸音響センサから出力される上記音圧検出信号に基づいて上記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている上記飛翔体の推定飛翔速度、上記衝撃波の到来方位に基づいて、衝撃波検出手段(3軸音響センサ)の位置を基準とする上記砲撃体の推定方位を算出すると共に、算出された上記砲撃体の推定方位、上記各3軸音響センサの位置及び三角測量の原理を用いて上記砲撃体の位置を算出し、上記砲撃体の推定方位及び位置を表す方位・位置情報を生成する構成とされている。
【0021】
また、砲撃体検出装置は、上記砲撃体方位算出手段(処理装置)で生成された上記方位・位置情報を報知する方位・位置情報報知手段(指示器)を備えている。
【実施形態1】
【0022】
図1は、この発明の第1の実施形態である砲撃体検出装置の要部の電気的構成及び同砲撃体検出装置が用いられる環境を示す模式図である。
この形態の砲撃体検出装置は、同図に示すように、たとえば、砲撃体1(銃砲)から発射された飛翔体2(すなわち、銃弾)が空気中に衝撃波wを発生する環境で用いられ、音響センサ3と、処理装置4と、指示器5とから構成されている。衝撃波wは、飛翔体2を頂点とする円錐形状で模式的に表されている。音響センサ3は、たとえば人間が装着するヘルメットの頂上部などに装備され、衝撃波wの音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサで構成されている。3軸音響センサは、X軸、Y軸及びZ軸の3次元方向に指向性を有する圧電素子で構成され、砲撃体1から発射された超音速の飛翔体2が発生する衝撃波wの音圧を、X軸、Y軸及びZ軸の3次元方向で検出し、3次元の音圧検出信号uを出力する。
【0023】
処理装置4は、砲撃体検出プログラムに基づいて動作するコンピュータで構成され、音響センサ3から出力された音圧検出信号uに基づいて、同音響センサ3の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndを算出して方位情報pを生成する。この処理装置4は、特に、この実施形態では、音響センサ3から出力される音圧検出信号uに基づいて最初に検出した衝撃波wの到来方位mdを観測し、予め設定されている飛翔体2(銃弾)の推定飛翔速度及び同衝撃波wの到来方位mdに基づいて、同音響センサ3の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndを算出する。この場合、処理装置4は、音響センサ3から出力される音圧検出信号uの信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で変化した場合、飛翔体2が発生する衝撃波wとして判定し、判定された衝撃波wの到来方位mdに基づいて砲撃体1の概ねの推定方位ndを算出して方位情報pを生成する。この処理装置4は、たとえば上記ヘルメットの後部や側面などに装備されている。指示器5は、たとえばイヤホンなどで構成され、処理装置4で生成された方位情報pを報知する。
【0024】
図2は、音響センサ3から出力される音圧検出信号uの縦方向及び横方向の信号レベルの例を示す図であり、縦軸に信号レベル、及び横軸に時間がとられている。
この図を参照して、この形態の砲撃体検出装置に用いられる砲撃体検出方法の処理内容について説明する。
この砲撃体検出装置では、衝撃波検出手段(音響センサ3)により、砲撃体1から発射された飛翔体2(銃弾)が発生する衝撃波wの音圧が3次元方向で検出され、音圧検出信号uが出力される(衝撃波検出処理)。砲撃体方位算出手段(処理装置4)により、衝撃波検出手段(音響センサ3)から出力された音圧検出信号uに基づいて、同衝撃波検出手段(音響センサ3)の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndが算出されて方位情報pが生成される(砲撃体方位算出処理)。この砲撃体方位算出処理では、砲撃体方位算出手段(処理装置4)により、衝撃波検出手段(音響センサ3)から出力される音圧検出信号uに基づいて衝撃波wの到来方位mdが観測され、予め設定されている飛翔体2(銃弾)の推定飛翔速度及び衝撃波wの到来方位mdに基づいて、衝撃波検出手段(音響センサ3)の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndが算出される。
【0025】
この場合、衝撃波検出手段を、衝撃波wの音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサで構成しておき、砲撃体方位算出処理では、砲撃体方位算出手段(処理装置4)により、3軸音響センサから出力される音圧検出信号uの信号レベルが連続的に観測され、観測された信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で突然変化した場合、飛翔体2が発生する衝撃波wとして判定され、判定された衝撃波wの到来方位mdに基づいて砲撃体1の推定方位ndが算出される。そして、方位情報報知手段(指示器5)により、砲撃体方位算出手段(処理装置4)で生成された方位情報pが報知される(方位情報報知処理)。
【0026】
すなわち、この砲撃体検出装置では、音響センサ3が、飛翔体2から発生する衝撃波wに遭遇したとき、同音響センサ3から音圧検出信号uが出力される。処理装置4では、音響センサ3を構成する3軸音響センサから出力される音圧検出信号uが連続的に観測され、図2(a)に示すように、縦方向の指向性を有する音響センサの初期の音圧検出信号uの信号レベルは、約0dBから突然約4dBに変化してから約0dBに減衰する一方、図2(b)に示すように、横方向の指向性を有する音響センサの初期の音圧検出信号uの信号レベルは、約0dBから突然約−12dBに変化してから約0dBに減衰する。また、図2(c)に示すように、縦方向の指向性を有する音響センサの後期の音圧検出信号uの信号レベルは、約0dBから突然約4dBに変化し、図2(a)に示す初期の場合よりも長時間で約0dBに減衰する一方、図2(d)に示すように、横方向の指向性を有する音響センサの後期の音圧検出信号uの信号レベルは、約0dBから突然約−12dBに変化し、図2(b)に示す初期の場合よりも長時間で約0dBに減衰する。
【0027】
この場合、X軸方向の信号レベルとY軸方向の信号レベルとの比率が、ほぼ−3:1となるので、衝撃波wの到来方位mdは、逆TAN(−3)により、Y軸方向を基準として約−72度と算出される。そして、処理装置4では、その音圧検出信号uについて、方位がどちらの方向に移動するか観測する。たとえば、相対方位が左から右に変化した場合、飛翔体2は、相対的に左から右の方向へ飛翔したと判定される。衝撃波wの到来方位mdは、飛翔体2が超音速で飛翔するため、砲撃体1の方位とはずれがある。このため、処理装置4では、衝撃波wの到来方位mdと飛翔体2の推定飛翔速度とから、音響センサ3の位置から砲撃体1までの概ねの推定方位ndを計算する。たとえば、飛翔体2の飛翔速度がマッハ2(音速の2倍)の場合、衝撃波wの進行方向と飛翔体2の飛翔方向との間には、逆TAN(1/2)の角度のずれが生じる。
【0028】
従って、砲撃体1の推定方位ndは、衝撃波wに直交する衝撃波到来方位mdから逆TAN(2)の角度ほど左の方位である。処理装置4では、衝撃波wの到来方位mdから砲撃体の概ねの推定方位ndを算出し、指示器5に砲撃体の方位情報pを出力する。指示器5は、方位情報pを、たとえば合成音声などにより人間に報知する。
【0029】
以上のように、この第1の実施形態では、砲撃体1が弾丸などの飛翔体2を発射した際の発射音が消音器(サイレンサ)などを使用することにより検出されない場合でも、飛翔体2が空気中を飛翔する際に発生させる衝撃波wを検出することによって、砲撃体1の概ねの推定方位ndを推定することができる。また、音響センサ3が1個の3軸音響センサで構成され、処理装置4により砲撃体1の推定方位ndが検出されるので、個人が携行可能な小型の砲撃体検出装置が実現する。
【実施形態2】
【0030】
図3は、この発明の第2の実施形態である砲撃体検出装置の要部の電気的構成及び同砲撃体検出装置が用いられる環境を示す模式図である。
この形態の砲撃体検出装置では、図3に示すように、図1の砲撃体検出装置の構成に加え、音響センサ3と同様の音響センサ6が設けられ、また、図1中の処理装置4に代えて、新たな機能が加えられた処理装置4Aが設けられている。音響センサ3,6は、たとえば人間が装着するヘルメットの頂上部などに装備されている。処理装置4Aは、音響センサ3,6から出力される3次元の音圧検出信号u,vに基づいて衝撃波wの到来方位mdを観測し、予め設定されている飛翔体2の推定飛翔速度、衝撃波wの到来方位mdに基づいて、音響センサ3,6の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndを算出すると共に、算出された砲撃体1の推定方位nd、音響センサ3,6の位置及び三角測量の原理を用いて砲撃体1の位置を算出し、砲撃体1の推定方位nd及び位置を表す方位・位置情報qを生成する。また、指示器5は、たとえば合成音声などにより方位・位置情報qを報知する。
【0031】
この砲撃体検出装置では、処理装置4Aにより、音響センサ3,6の各3軸音響センサから出力される音圧検出信号u,vに基づいて衝撃波wの到来方位mdが観測され、予め設定されている飛翔体2の推定飛翔速度、衝撃波wの到来方位mdに基づいて、音響センサ3,6の位置を基準とする砲撃体1の推定方位ndが算出されると共に、算出された砲撃体1の推定方位nd、音響センサ3,6の位置及び三角測量の原理を用いて砲撃体1の位置が算出され、砲撃体1の推定方位及び位置を表す方位・位置情報qが生成される(砲撃体方位算出処理)。そして、指示器5により、処理装置4Aで生成された方位・位置情報qが報知される(方位・位置情報報知処理)。
【0032】
以上のように、この第2の実施形態では、複数の音響センサ3,6が設けられているので、第1の実施形態の利点に加え、処理装置4Aにより、砲撃体1の推定方位nd及び位置を表す方位・位置情報qが生成されて報知される。
【0033】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、第2の実施形態では、複数の音響センサは、2つに限定されず、ヘルメットなどに装備可能であれば、3つ以上でも良い。また、図1及び図3中の指示器5は、情報を視覚的に報知するものでも良い。
【0034】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0035】
(付記1)砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出手段と、該衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出手段とを備えてなる砲撃体検出装置。
【0036】
(付記2)前記砲撃体方位算出手段は、前記衝撃波検出手段から出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度及び前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出する構成とされている付記1記載の砲撃体検出装置。
【0037】
(付記3)前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位情報を報知する方位情報報知手段を備えてなる付記1又は2記載の砲撃体検出装置。
【0038】
(付記4)前記衝撃波検出手段は、前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサを有し、前記砲撃体方位算出手段は、前記3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号の信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で変化した場合、前記飛翔体が発生する前記衝撃波として判定し、判定された前記衝撃波の到来方位に基づいて前記砲撃体の方位を算出して前記方位情報を生成する構成とされている付記1、2又は3記載の砲撃体検出装置。
【0039】
(付記5)前記衝撃波検出手段は、前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する複数の3軸音響センサを有し、前記砲撃体方位算出手段は、前記衝撃波検出手段の前記各3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度、前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出すると共に、算出された前記砲撃体の推定方位、前記各3軸音響センサの位置及び三角測量の原理を用いて前記砲撃体の位置を算出し、前記砲撃体の推定方位及び位置を表す方位・位置情報を生成する構成とされている付記1又は2記載の砲撃体検出装置。
【0040】
(付記6)前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位・位置情報を報知する方位・位置情報報知手段を備えてなる付記5記載の砲撃体検出装置。
【0041】
(付記7)砲撃体検出装置を、衝撃波検出手段と、砲撃体方位算出手段とから構成しておき、前記衝撃波検出手段が、砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出処理と、前記砲撃体方位算出手段が、前記衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出処理とを行う砲撃体検出方法。
【0042】
(付記8)前記砲撃体方位算出処理では、前記衝撃波検出手段から出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度及び前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出する付記7記載の砲撃体検出方法。
【0043】
(付記9)前記砲撃体検出装置に、方位情報報知手段を設けておき、該方位情報報知手段が、前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位情報を報知する方位情報報知処理を行う付記7又は8記載の砲撃体検出方法。
【0044】
(付記10)前記衝撃波検出手段を、前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサで構成しておき、前記砲撃体方位算出処理では、前記3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号の信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で変化した場合、前記飛翔体が発生する前記衝撃波として判定し、判定された前記衝撃波の到来方位に基づいて前記砲撃体の方位を算出する付記7、8又は9記載の砲撃体検出方法。
【0045】
(付記11)前記衝撃波検出手段を、前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する複数の3軸音響センサで構成しておき、前記砲撃体方位算出処理では、前記衝撃波検出手段の前記各3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度、前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出すると共に、算出された前記砲撃体の推定方位、前記各3軸音響センサの位置及び三角測量の原理を用いて前記砲撃体の位置を算出し、前記砲撃体の推定方位及び位置を表す方位・位置情報を生成する付記7又は8記載の砲撃体検出方法。
【0046】
(付記12)前記砲撃体検出装置に、方位・位置情報報知手段を設けておき、該方位・位置情報報知手段が、前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位・位置情報を報知する方位・位置情報報知処理を行う付記11記載の砲撃体検出方法。
【0047】
(付記13)コンピュータを、付記1乃至6のいずれか一に記載の砲撃体方位算出手段として機能させる砲撃体検出プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、個人が携行可能な小型の砲撃体検出装置を実現する場合全般に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 砲撃体
2 飛翔体
3,6 音響センサ(衝撃波検出手段)
4,4A 処理装置(砲撃体方位算出手段)
5 指示器(方位情報報知手段、方位・位置情報報知手段)
w 衝撃波
md 到来方位
nd 推定方位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出手段と、
該衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出手段とを備えてなることを特徴とする砲撃体検出装置。
【請求項2】
前記砲撃体方位算出手段は、
前記衝撃波検出手段から出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度及び前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の砲撃体検出装置。
【請求項3】
前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位情報を報知する方位情報報知手段を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の砲撃体検出装置。
【請求項4】
前記衝撃波検出手段は、
前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサを有し、
前記砲撃体方位算出手段は、
前記3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号の信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で変化した場合、前記飛翔体が発生する前記衝撃波として判定し、判定された前記衝撃波の到来方位に基づいて前記砲撃体の方位を算出して前記方位情報を生成する構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の砲撃体検出装置。
【請求項5】
前記衝撃波検出手段は、
前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する複数の3軸音響センサを有し、
前記砲撃体方位算出手段は、
前記衝撃波検出手段の前記各3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度、前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出すると共に、算出された前記砲撃体の推定方位、前記各3軸音響センサの位置及び三角測量の原理を用いて前記砲撃体の位置を算出し、前記砲撃体の推定方位及び位置を表す方位・位置情報を生成する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の砲撃体検出装置。
【請求項6】
前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位・位置情報を報知する方位・位置情報報知手段を備えてなることを特徴とする請求項5記載の砲撃体検出装置。
【請求項7】
砲撃体検出装置を、衝撃波検出手段と、砲撃体方位算出手段とから構成しておき、
前記衝撃波検出手段が、砲撃体から発射された飛翔体が発生する衝撃波の音圧を3次元方向で検出し、音圧検出信号を出力する衝撃波検出処理と、
前記砲撃体方位算出手段が、前記衝撃波検出手段から出力された前記音圧検出信号に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出して方位情報を生成する砲撃体方位算出処理とを行うことを特徴とする砲撃体検出方法。
【請求項8】
前記砲撃体方位算出処理では、
前記衝撃波検出手段から出力される前記音圧検出信号に基づいて前記衝撃波の到来方位を観測し、予め設定されている前記飛翔体の推定飛翔速度及び前記衝撃波の到来方位に基づいて、該衝撃波検出手段の位置を基準とする前記砲撃体の推定方位を算出することを特徴とする請求項7記載の砲撃体検出方法。
【請求項9】
前記砲撃体検出装置に、方位情報報知手段を設けておき、
該方位情報報知手段が、前記砲撃体方位算出手段で生成された前記方位情報を報知する方位情報報知処理を行うことを特徴とする請求項7又は8記載の砲撃体検出方法。
【請求項10】
前記衝撃波検出手段を、前記衝撃波の音圧を3次元方向で検出する1個の3軸音響センサで構成しておき、
前記砲撃体方位算出処理では、
前記3軸音響センサから出力される前記音圧検出信号の信号レベルを連続的に観測し、観測した信号レベルが単位時間当りに一定以上の変化率で変化した場合、前記飛翔体が発生する前記衝撃波として判定し、判定された前記衝撃波の到来方位に基づいて前記砲撃体の方位を算出することを特徴とする請求項7、8又は9記載の砲撃体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21821(P2012−21821A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158308(P2010−158308)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】