説明

破断開口容易な容器の製造方法

【課題】樹脂製容器に対してレーザーの照射により破断容易な弱化部を形成する場合に、容器を回転させたり、レーザーを移動させたり、特別な用具を使用したりすることなく、搬送されている容器に対して側方からレーザーを照射するだけで、容器の円筒状に膨出した部分で周方向の全体にわたって略均一な破断強度で弱化部を形成できるようにする。
【解決手段】容器の搬送路の少なくとも片側に、搬送方向に沿って順次に複数のレーザー照射源を固定的に設置し、それらから照射するレーザー11、12、13を、搬送方向に沿って容器1を縦方向で二等分する仮想平面の付近で焦点を合わせるように、複数の方向から一点に向けて照射して、そのような複数方向からのレーザー11、12、13の照射を容器の両側に行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーの照射により破断容易な弱化部が形成される樹脂製容器の製造方法に関し、特に、回転することなく搬送されている樹脂製の容器に対して側方からレーザーを照射する場合に、容器の円筒状に膨出した部分でも周方向の全体にわたって略均一な破断強度で弱化部を形成できるような破断開口容易な容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
破断容易な弱化部が形成された密封容器で、弱化部の破断により開口されるような、破断開口容易な樹脂製の容器について、レーザーの照射により破断容易な弱化部を形成するということが、例えば下記の特許文献等により従来から公知となっている。
【0003】
すなわち、下記の特許文献1には、二枚の樹脂製シートを貼り合わせることで形成される流路を備えた容器(注出嘴を備えたスタンディングパウチ)について、流路(注出嘴)の部分にレーザーを照射することで、容器開口用溝部(弱化部)を形成する際に、レーザーの照射による、その照射方向に沿った溝部の形成範囲が、流路の形成部位における樹脂製シートの膨出量より大きいようにする、ということが開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、容器本体と封鎖体とが破断容易な弱化部を介して一体的に形成されたポリエステル樹脂製の容器について、容器本体と封鎖体との境界を通る仮想平面に沿ってレーザーを照射することで弱化部を形成する、具体的には、容器を回転(自転)させながら、容器を1秒間で1回転させる間にレーザーを照射する、ということが開示されている。
【特許文献1】特開2004−25670号公報
【特許文献2】特許第3929065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようにレーザーの照射によって破断容易な弱化部を形成している樹脂製の容器では、弱化部の破断強度を全体的に均一でムラのないものにするために、レーザーを照射する際には、容器の周方向に延びる弱化部の全体にわたって略均一なレーザーエネルギーを付与できるようにすることが必要となる。
【0006】
そのように容器の周方向に延びる弱化部の破断強度を全体的に均一でムラのないものにするために、上記の特許文献2に開示された発明では、容器を回転(自転)させながらレーザーを照射したり、或いは、容器の周りを廻るようにレーザーを移動させながら照射しているが、そのためには、容器を回転させたり、レーザーを移動させたりするための装置が必要となる。
【0007】
これに対して、上記の特許文献1に開示された発明では、回転することなく搬送されている容器に対して、側方からレーザーを固定的に照射しており、そのような状態で、容器の膨出した流路の形成部位に形成される溝部を常時適性な深さにする(即ち、弱化部である溝部での破断強度を全体的に均一でムラのないものにする)ために、「レーザーの照射による、その照射方向に沿った溝部の形成範囲が、流路の形成部位における樹脂製シートの膨出量より大きい」ようにしている。
【0008】
しかしながら、そのように「レーザーの照射による、その照射方向に沿った溝部の形成範囲を、流路の形成部位における樹脂製シートの膨出量より大きくする」場合には、容器を回転させたり、レーザーを移動させたりする必要がないものの、出力されるレーザーの焦点深度にばらつきを持たせるための「ガルバノ偏光レンズ」等の特別な用具が必要になる。また、レーザーの焦点深度のばらつきの程度によって、弱化部が形成される部分での容器の膨出量が制限されることにもなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、樹脂製容器に対してレーザーの照射により破断容易な弱化部を形成するための方法について、容器を回転させたり、レーザーを移動させたり、特別な用具を使用したりすることなく、搬送されている容器に対して側方からレーザーを照射するだけで、容器の円筒状に膨出した部分で周方向の全体にわたって略均一な破断強度で弱化部を形成できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために、回転することなく搬送されている樹脂製の容器に対して、側方からレーザーを照射することで破断容易な弱化部を形成するための方法として、容器の搬送路の少なくとも片側に、搬送方向に沿って順次に複数のレーザー照射源を固定的に設置し、それらから照射するレーザーを、搬送方向に沿って容器を縦方向で二等分する仮想平面の付近で焦点を合わせるように、複数の方向から一点に向けて照射して、そのような複数方向からのレーザーの照射を容器の両側に行うようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のような本発明の破断開口容易な容器の製造方法によれば、回転することなく搬送されている樹脂製の容器に向けて、側方の複数方向からそれぞれレーザーを照射することにより、容器の片側で、円筒状に膨出した部分に対しても、各方向から当該部分の表面に当たるレーザーエネルギーの総和により、容器の周方向で全体にわたって略均一なレーザーエネルギーを付与することができる。その結果、容器の円筒状に膨出した部分に形成される弱化部を、容器の周方向で全体にわたり略均一な破断強度に形成することができて、容器を開口させる際にスムーズに弱化部を破断させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
樹脂製容器に対してレーザーの照射により破断容易な弱化部を形成するための方法について、容器を回転させたり、レーザーを移動させたり、特別な用具を使用したりすることなく、搬送されている容器に対して側方からレーザーを照射するだけで、容器の円筒状に膨出した部分で周方向の全体にわたって略均一な破断強度で弱化部を形成できるようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、容器の搬送路の少なくとも片側に、搬送方向に沿って順次に複数のレーザー照射源を固定的に設置し、それらから照射するレーザーを、搬送方向に沿って容器を縦方向で二等分する仮想平面の付近で焦点を合わせるように、複数の方向から一点に向けて照射して、そのような複数方向からのレーザーの照射を容器の両側に行うようにする、ということで実現した。
【実施例】
【0013】
本実施例の方法では、対象となる破断開口容易な容器は、ポリエステル樹脂製の所謂シートフォーム容器と言われる容器であって、図1に示すように、ポリエステル樹脂製の容器1では、円筒状の胴部2と、胴部2よりも小径な円筒状の頭部4と、頭部4よりも小径な円筒状の頸部3とが、胴部2と頭部4が頸部3により繋がっていることで、一つの連通した中空の空間部となるように形成されていると共に、この空間部を囲むように、全体的に見て長方形で薄い板状である縁部5が一体的に形成されてる。
【0014】
そして、そのように胴部2と頸部3と頭部4と縁部5が一体的に形成された容器1は、複数個(例えば六個)の容器1が並列的に配置された状態で、各容器1の縁部5同士を繋ぐ連結部6を介して、複数個(例えば六個)の容器1で一つのユニットとなるように一体的に形成されており、それぞれのユニットにおける各容器1は、連結部6において分離可能なように繋がっている。
【0015】
そのように一つのユニットとして並列的に連結された複数個の容器1には、ユニットの両側のそれぞれで、各容器1の円筒状の頸部3と板状の縁部5とにわたって、容器の配列方向に沿って横方向で一直線となるように、レーザーの照射により溝状に形成された弱化部7が、その部分でポリエステル樹脂の極限粘度が略均一に低下して硬化した状態となるように形成されている。
【0016】
なお、上記のような本実施例のポリエステル樹脂製容器1は、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂を主体とする二枚のシート材を使用してシートフォーム成形法により成形されるものであるが、そのようなポリエステル樹脂製容器の成形方法の一例について、以下に概略的に説明する。
【0017】
シート材を構成するポリエステル樹脂で、二枚のシート材を合わせたときに少なくとも内面側となる樹脂の材質については、イソフタル酸やシクロヘキサンジメタノール等を25〜35モル%含んだ融点が200〜240℃のポリエチレンテレフタレート共重合体が好適に使用される。そのようにシート材の内面側に前記のようなポリエチレンテレフタレート共重合体を使用するのであれば、そのようなポリエステル樹脂による単層構成のシート材に限らず、他のポリエステル樹脂や、ポリエステル樹脂以外の他の合成樹脂による樹脂層を備えた多層構成のシート材であっても良い。
【0018】
そのような二枚のシート材を使用して容器を成形する場合、先ず、図2(A)に示すように、二枚のシート材10,10は、一対の上金型21と一対の下金型22の間に導入される。この一対の上金型21と一対の下金型22には、一対の金型の対向する面の側で、上金型21と下金型22とにわたって、胴部と頸部と頭部とに相当する中空部を半割りにした形状の凹部が、板状の縁部に相当する間隔を置いた状態で、並列的に複数個形成されている。
【0019】
一対の上金型21と一対の下金型22とは、上金型21同士と下金型22同士がそれぞれ個別に合掌される構造となっており、一対の上金型21と一対の下金型22の間に導入された二枚のシート材10,10は、図2(B)に示すように、上金型21同士は半分だけ閉じて、下金型22同士を完全に閉じた状態に合掌させることで、下金型22によるヒートシールにより、胴部に相当する部分の周りを囲む部分で二枚のシート材10,10がヒートシールされて、このヒートシール部分が板状の縁部5となる。
【0020】
胴部に相当する部分の周りがヒートシールにより板状の縁部5が形成された二枚のシート10,10は、220℃まで加熱されて軟化された状態で、頭部に相当する部分よりも更に上方に延びた上端開口部から圧縮空気が送り込まれることにより、図2(C)に示すように、二枚のシート10,10が上金型21と下金型22とに押し付けられるようにブロ一成形されて、一対の下金型22の間には、円筒状の胴部2が形成される。
【0021】
なお、上記のような二枚のシート10,10の金型による成形については、ブロー成形法に限らず、金型側から空気を抜いて金型にシートを吸い付ける真空成形法を適用したり、或いは、ブロー成形法と真空成形法とを併用することで成形しても良いものである。
【0022】
一対の下金型22の複数個の凹部により二枚のシート10,10の間の中空部として形成されたそれぞれの胴部2に対して、図2(D)に示すように、上方から挿入される充填ノズル23により医薬品等の内容物が充填されてから、充填ノズル23が抜き出された後、図2(E)に示すように、一対の上金型21を完全に閉じた状態まで合掌させることで、一対の上金型21の間に円筒状の頸部3と頭部4が形成されると共に、上金型21によるヒートシールにより、頸部3と頭部4を囲む部分で二枚のシート材10,10がヒートシールされて、このヒートシール部分が板状の縁部5となる。
【0023】
そのように医薬品等の内容物が充填・密封された状態で成形された容器は、図2(F)に示すように、上金型21と下金型22とを同時に開くことで、複数個(例えば六個)の容器1が並列的に連結された一つのユニットとして金型から取り出された後、炭酸ガスレーザー等によるレーザー照射によって、図1に示すように、ユニットを構成する各容器1の円筒状の頸部3と板状の縁部5とにわたって一直線となるように、ユニットの両側に弱化部7が形成されることとなる。
【0024】
上記のように二枚のシート材10,10から円筒状の胴部2と頸部3と頭部4及び板状の縁部5を有する容器1の複数個(例えば六個)が一つのユニットとして形成されたポリエステル樹脂製のシートフォーム容器について、本発明の方法では、容器の搬送路の片側に、搬送方向に沿って順次に複数のレーザー照射源を固定的に設置し、それらから照射するレーザーを、搬送方向に沿って容器を縦方向で二等分する仮想平面の付近で焦点を合わせるような状態として、容器の連結方向に沿って搬送しながら、側方からレーザーを照射することで、容器の片側で、図1に示すように弱化部7を形成し、また、その反対側でも、同様に弱化部7を形成するようにしている。
【0025】
すなわち、ポリエステル樹脂製のシートフォーム容器に適用される本実施例の方法では、図3に示すように、ユニットの状態で搬送されている容器1に対して、容器の搬送路の片側で搬送方向に沿って順次に固定的に設置された三箇所のレーザー照射源から、搬送方向に対しての角度θ(5゜〜40゜)となるように搬送方向の上流側と下流側とからそれぞれ照射するレーザー12,13と、それらの間で搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11とを、容器1の縁部5の表面で焦点を合わせるように、三方向から一点に向けて照射することで、ユニットとなっている一連の容器1の頸部3と縁部5とにわたって、ポリエステル樹脂の極限粘度を低下させた破断容易な弱化部を形成している。
【0026】
具体的には、例えば、六本の容器が連結されたユニットを、毎秒14mmの一定速度で直線的に搬送しながら、外径が約7mmの円筒状の頸部3と板状の縁部5とにわたって、縁部5の表面の一点に焦点を合わせた三本のレーザー11、12、13を、合計して12Wの出力となるように照射している。このようなレーザーの照射は、ユニットの両側から一度に行うこともできるが、本実施例の方法では、ユニットを寝かせた状態で搬送しながら片側ずつ個別に照射している。
【0027】
そのようなレーザーの照射によれば、ユニットとして一定速度で搬送されている容器に対して、図3(A)に示すように、板状の縁部5の表面に焦点を合わせた状態で各レーザー11、12、13が照射されてから、ユニットが一定速度で移動して、各レーザー11、12、13の照射点が円筒状の頸部3に移動すると、図3(B)および図3(C)に示すように、焦点を板状の縁部5の表面に合わせた状態のままで、各レーザー11、12、13が円筒状の頸部3の表面の異なる位置にそれぞれ照射されて、さらにユニットが一定速度で移動すると、図3(D)に示すように、板状の縁部5の表面に焦点を合わせた状態で各レーザー11、12、13が照射されることとなる。そのようなレーザー照射がユニットの各容器に繰り返されることで、ユニットを構成する一連の容器の頸部3と縁部5とにわたって一直線に弱化部が形成されることとなる。
【0028】
上記のように弱化部が形成される本実施例の方法によれば、ユニットを構成する一連の容器において、板状の縁部5の部分に対しては勿論のこと、円筒状に頸部3の部分に対しても、三方向からの各レーザー11、12、13のエネルギー総和により、全体にわたって略均一なレーザーエネルギーを付与することができる。その結果、容器の頸部3と縁部5とにわたって形成される弱化部7を、ポリエステル樹脂の極限粘度を略均一に低下させて硬化させることで、全体にわたり略均一な破断強度に形成することができて、容器を開口する際に弱化部7をスムーズに破断させることができる。
【0029】
なお、上記のように弱化部7を形成している本実施例の方法において、照射する三本のレーザー11、12、13のそれぞれの具体的な出力と、それに対応するレーザー12およびレーザー13の好適な照射角度θとの関係について、図4〜図9によって以下に詳しく説明する。
【0030】
図4〜図9のそれぞれにおいて、
(A)は、レーザー12、13の照射角度θを横軸に取り、レーザー出力の最大値と最小値の差を縦軸に取ったレーザー出力のバラツキを表したグラフである。
(B)は、照射されるレーザー出力のうち、20%を超える出力で照射される割合を縦軸に取り、レーザー12、13の照射角度θを横軸に取ったグラフである。
(C)は、レーザー12、13の照射角度θが5゜の場合について、照射位置を横軸に取り、照射されるレーザー出力を縦軸に取ったグラフである。
【0031】
図4は、レーザー11、12、13の出力が何れも4Wの場合について、即ち、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11の出力と、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力との比が1:1の場合について、レーザー出力とレーザー2、3の照射角度θとの関係を示すものである。
【0032】
レーザー11、12、13の出力が何れも4Wの場合(レーザー11とレーザー12、13との出力比が1:1の場合)には、
図4(A)から見て、レーザー12、13の照射角度θが5゜〜15゜付近であると、レーザー出力のバラツキの幅が一番狭いことが判る。
また、図4(B)から見て、レーザー12、13の照射角度θが5゜〜15゜(特に5゜付近)であると、レーザー出力の20%を超える出力でのレーザー照射が90%を超えて、最も効率よくレーザ一が照射されていることが判る。
さらに、図4(C)から見て、大きな白丸で示したレーザー出力の総和が10%程のバラツキの範囲内に収まり、均一にレーザー照射がされていることが判る。
【0033】
図5は、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11の出力が3.2Wで、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力が何れも4.4Wである場合について、即ち、レーザー11の出力とレーザー12、13の出力との比が0.8:1.1である場合について、レーザー出力とレーザー12、13の照射角度θとの関係を示すものである。この場合には、図5(A)と図5(B)を検討すると、図5(C)に示すように、レーザー12、13の照射角度θを5゜〜20゜(特に10゜)とした場合が最も効果的であるものと考えられる。
【0034】
図6は、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11の出力が2.4Wで、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力が何れも4.8Wである場合について、即ち、レーザー11の出力とレーザー12、13の出力との比が0.6:1.2である場合について、レーザー出力とレーザー12、13の照射角度θとの関係を示すものである。この場合には、図6(A)と図6(B)を検討すると、図6(C)に示すように、レーザー12、13の照射角度θが5゜〜25゜(特に15゜)の場合が最も効果的であるものと考えられる。
【0035】
図7は、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11の出力が1.6Wで、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力が何れも5.2Wである場合について、即ち、レーザー11の出力とレーザー12、13の出力との比が0.4:1.3である場合について、レーザー出力とレーザー12、13の照射角度θとの関係を示すものである。この場合には、図7(A)と図7(B)を検討すると、図7(C)に示すように、レーザー12、13の照射角度θが10゜〜30゜(特に20゜)の場合が最も効果的であるものと考えられる。
【0036】
図8は、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11の出力が0.8Wで、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力が何れも5.6Wである場合について、即ち、レーザー11の出力とレーザー12、13の出力との比が0.2:1.4である場合について、レーザー出力とレーザー12、13の照射角度θとの関係を示すものである。この場合には、図8(A)と図8(B)を検討すると、図8(C)に示すように、レーザー12、13の照射角度θが15゜〜35゜(特に25゜)の場合が最も効果的であるものと考えられる。
【0037】
図9は、搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザー11は照射しない(出力が0)で、それよりも搬送方向の上流側と下流側とから所定の角度θでそれぞれ照射するレーザー12、13の出力が何れも6Wである場合について、レーザー出力とレーザー12、13の照射角度θとの関係を示すものである。この場合には、図9(A)と図9(B)を検討すると、図9(C)に示すように、レーザー12、13の照射角度θが20゜〜35゜(特に30゜)の場合が最も効果的であるものと考えられる。
【0038】
以上、本発明の破断開口容易な容器の製造方法の一実施例について説明したが、本発明の方法は、上記の実施例に示した具体的な方法にのみ限定されるものではなく、例えば、対象となる容器については、上記の実施例に示したような複数個の容器が一連に形成されたポリエステル樹脂製のシートフォーム容器に限られるものではなく、その他の容器に対しても適用可能であり、また、レーザーを照射する際に、本実施例の方法では、容器を寝かせた状態で搬送しながら上からレーザーを照射しているが、容器を立てた状態で搬送しながら横からレーザーを照射しても良い等、適宜に変更可能なものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の破断開口容易な容器の製造方法について、対象となる容器の一例であるポリエステル樹脂製シートフォーム容器を示す正面図。
【図2】図1に示した容器の製造工程を示す断面説明図。
【図3】図1に示した容器について、搬送中の容器に対してレーザー照射により弱化部を形成するときの状態を示す説明図。
【図4】直交する方向から照射するレーザーと所定角度θから照射するレーザーとの出力比が1:1の場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【図5】直交する方向から照射するレーザーと所定角度θから照射するレーザーとの出力比が0.8:1.1の場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【図6】直交する方向から照射するレーザーと所定角度θから照射するレーザーとの出力比が0.6:1.2の場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【図7】直交する方向から照射するレーザーと所定角度θから照射するレーザーとの出力比が0.4:1.3の場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【図8】直交する方向から照射するレーザーと所定角度θから照射するレーザーとの出力比が0.2:1.4の場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【図9】直交する方向からレーザーを照射せず、所定角度θからのみレーザーを照射する場合について、レーザー出力とレーザー照射角度θとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0040】
1 容器
2 胴部
3 頸部
4 頭部
5 縁部
7 弱化部
11 レーザー
12 レーザー
13 レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することなく搬送されている樹脂製の容器に対して、側方からレーザーを照射することで破断容易な弱化部を形成するための方法として、容器の搬送路の少なくとも片側に、搬送方向に沿って順次に複数のレーザー照射源を固定的に設置し、それらから照射するレーザーを、搬送方向に沿って容器を縦方向で二等分する仮想平面の付近で焦点を合わせるように、複数の方向から一点に向けて照射して、そのような複数方向からのレーザーの照射を容器の両側に行うようにしたことを特徴とする破断開口容易な容器の製造方法。
【請求項2】
複数の方向から一点に向けて照射するレーザーが、搬送方向に対して5゜〜40゜の角度となるように搬送方向の上流側と下流側とからそれぞれ照射するレーザーと、それらの間で搬送方向に対して直交する方向から照射するレーザーとであることを特徴とする請求項1に記載の破断開口容易な容器の製造方法。
【請求項3】
複数の方向から一点に向けて照射するレーザーが、搬送方向に対して5゜〜40゜の角度となるように搬送方向の上流側と下流側とからそれぞれ照射するレーザーであることを特徴とする請求項1に記載の破断開口容易な容器の製造方法。
【請求項4】
ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂を主体とする二枚のシート材を貼り合わせて、その間に独立した複数の空間部を形成することで、少なくとも中空の胴部に続く円筒状の頸部と扁平な縁部とを有する複数個の容器が、並列的に連続して形成されているのに対して、この一連の容器の頸部と縁部とにわたって、縁部の表面に焦点を合わせた複数方向からのレーザーを照射することで、ポリエステル樹脂の極限粘度を低下させた破断容易な弱化部を形成していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の破断開口容易な容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−137889(P2010−137889A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315778(P2008−315778)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】