説明

破片排出スプロケットおよびこのスプロケットを備えたベルトドライブシステム

破片排出スプロケットは、ボディ(100)と、ボディから突出した複数の歯(101)と、ベルト歯を受け、歯と交互に配置された複数の溝(102)と、各溝より径方向の内方に配置され、溝に連結するキャビティ(103)とを備え、キャビティがさらに、ベルトを支持するためのランド(111)を備え、ランドが溝とキャビティの間に配置され、キャビティが、軸方向(A−A)に関して角度(θ)で配置された面(104)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破片排出スプロケット及びシステムに関し、特に、各溝よりも径方向の内方に配置されるとともに溝に連結したキャビティを有する破片排出スプロケットに関し、キャビティは破片を排出するために軸方向に関して角度(θ)で配置された面を備える。
【背景技術】
【0002】
ベルトドライブ動力伝達システムは、自動車、農業、工業、娯楽等を含む広いアプリケーションで日常的に用いられている。典型的なシステムはスプロケットに係合する歯付ベルトを備える。このシステムは、ベルト歯とスプロケット溝の間の積極的な機械的係合によって、駆動側と被駆動側の間の高い動力伝達を可能にする。典型的に、ベルトは歯飛びが生じないようにするため、予荷重を与えられる。ベルトとスプロケットの間の適切な係合と予荷重のための必要なことは、破片がベルトとスプロケットの間に挟まらないようにすることである。
【0003】
オフロード自転車、いわゆるマウンテンバイクは、どんな天候であっても種々の地形において用いられる。湿った天候では地面は泥だらけである。泥および他の破片は自転車のフレーム、タイヤにこびり付き、ドライブトレインに挟まる。ドライブトレインは典型的にはチェーンを備え、最近はベルトを備える。
【0004】
破片はベルト駆動自転車に問題を発生させる。ベルトとスプロケットの間に挟まれた泥および破片は、システムの故障、ベルトの歯飛びおよび早期のベルト損傷につながる。
【0005】
従来技術の代表は米国特許第4,805,388号明細書(1989年)であり、これは強化弾性材料の穀物収穫ベルト11、12を含む穀物収穫ヘッド10を開示し、また連動する駆動スプロケット30とアイドラ溝車50が記載されている。ベルト11または12、スプロケット30および溝車50のシステムは、穀物をコンバインに運搬するために用いられてもよい。ベルト11または12は、上面18に弾性材料の複数のクリート20を有し、底面19に弾性材料の複数の等間隔に配置された駆動ラグ24を有する。スプロケット30は第1および第2側面31、32をそれぞれ有し、また第1および第2キャビティ34、34’により分離される複数の等間隔に配置された径方向に突出した歯33を備える。第1のキャビティ34はスプロケット30の第1の側面31のみで開放する。第2のキャビティ34’はスプロケット30の第2の側面32のみで開放する。各キャビティの深さDはベルト11または12の各駆動ラグ24の高さHを上回り、キャビティ34、34’は、例えばトウモロコシの穀粒、泥そして氷のような異物が駆動スプロケット30とベルト11または12に詰らず、そしてシステムを動作不能にしないように成形される。各ベルト11または12は、軸方向に間隔をあけて設けられて径方向に突出した一対のフランジ52、53を有する円筒状ハブ51を含むアイドル溝車50の周りに掛け回される。フランジ52、53の内部側面54は溝車50の回転55の軸の方向に集中する。各フランジ52または53は溝車50の円周方向に遮られ、連動するベルト11または12に係合して自己洗浄の効果を発揮する。
【0006】
必要なものは各溝から径方向の内方に配置され、溝に連結するキャビティを有する破片排出スプロケットであり、キャビティは破片を排出するために軸方向に関して角(θ)で配置された面を備える。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的は、各溝から径方向の内方に配置され、溝に連結するキャビティを有する破片排出スプロケットであって、キャビティが破片を排出するために軸方向に関して角度(θ)で配置された面を備える破片排出スプロケットを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され、明らかとされる。
【0009】
本発明は、ボディと、ボディから突出した複数の歯と、ベルト歯を受け、歯と交互に配置された複数の溝と、各溝より径方向の内方に配置され、溝に連結するキャビティとを備え、キャビティがさらに、ベルトを支持するためのランドを備え、ランドが溝とキャビティの間に配置され、キャビティが、軸方向に関して角度(θ)で配置された面を備える破片排出スプロケットである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【図1】スプロケット溝の側面図である。
【図2】スプロケットの断面図である。
【図3】スプロケットおよびベルトの上方斜視図である。
【図4】スプロケットおよびベルトの側面図である。
【図5】スプロケットおよびベルトの下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はスプロケット溝の側面図である。歯付ベルト200はスプロケット100に係合する。歯付ベルト200はコグドベルトあるいは同期ベルトと呼ばれ、複数の歯203を備える。各歯203はベルトの幅にわたって延び、すなわち長手軸方向に垂直である。ベルト負荷は無端ベルトの全長にわたって延びる張力コード201により支持される。このような歯付ベルトは従来公知である。
【0012】
スプロケット100はボディ105を備える。ボディ105は半径方向に延びる複数の歯101を備える。各歯101はスプロケットの幅にわたって延び、ベルト溝に係合する。スプロケットはまた、歯101間に交互に配置される溝102を備える。
【0013】
キャビティ103が各溝102から半径方向の内側に配置され、各ベルト歯203の下に配置される。各キャビティ103は溝102に連結する。各キャビティ103は切頭円錐面104を有する。
【0014】
面104は軸方向に関して傾斜を有する。キャビティ103および面104は動作中、ベルト歯203とスプロケット102の間にかかった破片を排出するために用いられる。
【0015】
面104は実質的に連続であり、つまり溝102へ連結していることを除いて、面にギャップあるいは開口はない。これによりスプロケットの耐トルク強度を維持することができ、これは、もしスロットあるいは他の開口がキャビティ103の径方向の下方においてスプロケットボディに形成されたならば弱められたかもしれない。スプロケット100は、破片を排出するために径方向へ向いた開口を備えない。
【0016】
図2はスプロケットの断面図である。面104は傾斜を有する。傾斜は軸A−Aに沿った軸方向に関して続く。言い換えれば、面104のテーパ形状の軸が軸A−Aに整列する。軸A−Aはスプロケットの回転軸である。面104の傾斜は角度としてさらに説明される。角度(θ)は0°よりも大きく約20°までの範囲であるが、スプロケットから破片を排出するために十分な傾斜であることが好ましい。
【0017】
破片はキャビティ103から軸A−Aの方向に排出されるように示されている。破片は、自動車が道でぬかるんだ状態で運転されているときのような、通常の運転においてベルトとスプロケット間に挟まるかもしれない。
【0018】
キャビティ103はスプロケットの全幅(W)にわたって延びており、これにより、各キャビティ103の各端部(115,116)がスプロケット(120,121)の各側部において開放し、いずれかの端部115または116から破片がキャビティを出る。他の実施形態では、一方の端部(115,116)のみが開放している。
【0019】
図3はスプロケットおよびベルトの上方斜視図である。この図において各キャビティ103は同一方向にテーパ状である。これは、破片が各キャビティから同一方向に、例えば自転車の一方向に、排出されることを意味する。他の実施形態では、各キャビティ103のテーパ方向がスプロケットの各側部の間において交互に替っていてもよい。
【0020】
図4はスプロケットおよびベルトの側面図である。各キャビティ103は、キャビティが溝102に連結するところにリストリクション110を有する。リストリクション110は、歯203がキャビティへ侵入するのを防ぎつつ歯203を支持するランディング111を備える。
【0021】
図5はスプロケットおよびベルトの下方斜視図である。スプロケット100は、従来公知の締め具を用いてラグ145において駆動軸(図示せず)に連結することができる。本発明のベルトドライブおよびスプロケットは、ベルトとスプロケットの間に破片が挟まるおそれがある、自転車、エンジン、他の工業アプリケーションに用いられてもよい。
【0022】
本発明の形態が説明されたが、当業者にとって、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく変形が各部分の構造および関連した部分に施されてもよいことは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ(100)と、
前記ボディから突出した複数の歯(101)と、
ベルト歯を受け、前記歯と交互に配列された複数の溝(102)と、
各溝より径方向の内方に配置され、前記溝に連結するキャビティ(103)とを備え、
前記キャビティがさらに、ベルトを支持するためのランド(111)を備え、前記ランドが前記溝と前記キャビティの間に配置され、
前記キャビティが、軸方向(A−A)に関して角度(θ)で配置された面(104)を備える
破片排出スプロケット。
【請求項2】
前記面が切頭円錐状である請求項1に記載の破片排出スプロケット。
【請求項3】
前記キャビティが、前記キャビティから破片を排出するための開口端をさらに備える請求項1に記載の破片排出スプロケット。
【請求項4】
前記角度(θ)が0°より大きく約20°までの範囲である請求項1に記載の破片排出スプロケット。
【請求項5】
歯付ベルトと、
ボディを備えるスプロケットと、
前記歯付ベルトに係合するために前記ボディから突出した複数の歯と、
ベルト歯を受ける複数の溝と、
各溝より径方向の内方に配置されるとともに前記溝に連結し、破片を排出するために軸方向に関して傾斜した面を有するキャビティと
を備えるベルトドライブ。
【請求項6】
前記キャビティがさらに、前記スプロケットの各側部に開口を備える請求項5に記載のベルトドライブシステム。
【請求項7】
前記面が切頭円錐状である請求項5に記載のベルトドライブシステム。
【請求項8】
前記面が各歯の間において連続的である請求項5に記載のベルトドライブシステム。
【請求項9】
歯が前記キャビティに侵入できないようにランディングをさらに備える請求項5に記載のベルトドライブシステム。
【請求項10】
ボディと、
ベルトに係合するために前記ボディから径方向に突出した複数の歯と、
前記歯の間に配置され、ベルト歯を受ける複数の溝と、
各溝より径方向の内方に配置され、前記溝に連結するキャビティとを備え、
前記キャビティが、破片を排出するために軸方向に関して整列された切頭円錐状である面を有し、
前記キャビティが、前記スプロケットの各側部に開口端を有し、
前記キャビティが、ベルトを支持するためのランドであって、前記溝と前記キャビティの間に配置されたランドをさらに備える
スプロケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515881(P2012−515881A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546270(P2011−546270)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/000121
【国際公開番号】WO2010/085325
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】