説明

破砕機能付撹拌軸

【課題】 廃プラスチック連続熱分解作業に於いて熱分解槽内への空気の侵入を隔絶させて熱分解終了時の固形炭化物を排出することは可能か。
【解決手段】 熱分解時の撹拌作用を妨げることのない上下動ロットによって熱分解槽槽底とバルブ間に発生する固化残渣物を槽内方向より突き崩し破壊させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃プラスチック熱分解に於いて排出口を閉塞する残渣物を除去させる破砕機能を持つ中空撹拌軸に納めたロットに関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックの熱分解方法はバッチ型が主流で連続型は問題が多いため開発が遅れている。
バッチ型は槽の蓄又は供給口と残渣物排出口を兼ねたハッチより廃プラを供給して締め切り、熱分解後の残渣物の取り出しも同じような方法で行われている。
【0003】
バッチでなければ困難な理由に廃プラ形状の複雑な形と大小や比重の違い、多量の水分の付着、汚れ、廃プラ以外の金属及び非鉄金属、ガラス、陶器などの選別不充分な処理物があり、これらの熱分解槽への供給時にはまず静電気が発生し、機器部品の隙間へのフラフの噛み込みによる送り込み不良とこれらの処理物と共に同伴して侵入する空気の遮断の問題があったため連続熱分解を拒んでいた。
【0004】
もう一つの問題は熱分解後に槽内に残る炭化物の排出の困難があった。その原因は異物の混入によるものでバルブの開閉時にバルブに噛み込みを起こして作動しなくなる。
又熱分解温度が高い状態が長時間続くとバルブシートの損傷によって大気の侵入を遮断することが不可能になり、熱分解槽に空気が入って燃焼又は爆発の危険があった。
【0005】
球面バルブを使用するとバルブ球体と熱分解槽内に設けた撹拌羽根の掻き面との距離が機構上必要な関係で、その空間は撹拌羽根が旋回しても掻き残りが生じてその掻き残りが高熱によって固化し、分解槽底部に密栓状となって残渣物の排出は不可能になった。
【0006】
この密栓状の廃プラ残渣物はバルブとの接触側は半溶融状で槽内に近づく程に炭化が進み、熱分解時間約1時間経過により焼き固まった状態になる。
バルブ面と掻き羽根の距離は零にはならないので毎回槽外より削る状態が起きていた。
【0007】
しかしこの半炭化状態の密栓は熱分解上必要なバルブ助材となり、バルブのシートが劣化してもなお気密を補っている。
熱分解が完了したバッチごとにこの密栓を槽内より破壊することに成功した。
【特許文献1】 特開2000−198988 生物系特定産業技術研究推進機構
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は熱分解槽内の掻き羽根とバルブ中子の上面間に廃プラ供給時の未分解物が落ち込み、その上に次々と重なって積み重なる廃プラが熱分解時の加熱により炭化状態で固着し、バルブを開放してもバルブの更に下部位は排出した残渣物を冷却させる装置と大気の侵入防止のバルブ等で構成され、熱分解途上で排出が不可能になる。
空気を入れずに栓を作った廃プラ炭化物の除去は可能か。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は熱分解槽内に供給した廃プラを反転混練させる撹拌機軸を中空軸として中空内にロットを通し、ロット先端に設けた前記固化炭化物を破壊する圧縮金具により破砕する。
【0010】
まず缶底バルブを開いた後に前記ロットを油圧作動によりバルブ開状態の径に近い金具で突き抜く。この状態時には缶底バルブ以下の残渣物排出口バルブは閉状態のままで空気の侵入はない。
【0011】
油圧によるロットの上下動にて閉塞していた炭化物が落下すると、撹拌軸の回転に関係なくロットが上方に引き上げられた時に、上下方向はそのまま停止している中空軸とレーキの旋回によって粉体化した残渣物をバルブ穴に突き落とす。
【発明の効果】
【0012】
本発明の中空軸撹拌内を貫通したロットは油圧の作動にて上下動をさせ、閉塞炭化物を除去する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
約1時間間隔で熱分解させるための廃プラの供給と残渣物の排出に於いて、熱分解によって焼き固まった廃プラ炭化物を空気の侵入を隔絶させて熱分解槽より排出させる。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明装置の1実施例の断面図であって、IHコイル10を外周に巻きつけた熱分解槽1の内部にレーキ6とレーキを支えるボス5とそのボスは大きく中央を空洞状に空間を作り、掻き羽根のレーキと繋がらない部分はえぐってある。
【0015】
この凸状の空洞部分を排出口塞ぎ板12は上下作動し、ロット3は撹拌軸2とは同期せずに回転する。
バルブ取付座7の下部にバルブ8を接合するがバルブの回転体との間に距離が生じる。廃プラ供給時やレーキ6の回転時にこのポケットに廃プラは落ち込んで炭化して硬化する。
【0016】
硬化した廃プラは槽内に近い所は炭化して遠い位置の穴の中の廃プラは順に半炭化未処理の状態で固形化している。前記バルブを開放しても詰まって栓をした状態の半炭化物は除去が困難である。バルブを開けて突くことは出来ない。
突き棒等による清掃は空気の侵入によって熱分解槽内の炭化残渣物が燃焼する。
【0017】
固形炭化物の残量カロリーは5000kcal以上残しているため着火が早く、槽内は600℃以上に加熱されている状態で前記残量カロリーを持っているので爆発する。
【0018】
そこでバルブ以下の排出側は炭化物を取り出して50℃以下に冷却させる機能と取り出し時の空気の隔絶を可能な機構が必要になってくる。この冷却と冷却後の粉炭の取り出し機構の説明は省略する。
【0019】
外部より炭化栓状の固形物の除去が不可能なら槽内より固化した炭化物を突き落とす手段を用いる。
この方法である撹拌軸の中空空間にロットを通して突き落とすことに成功した。
炭化物を突き落として排出口が開くと撹拌機の回転によって中央に粉炭を掻き寄せる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
廃プラスチック熱分解による残渣物が高温であるため酸素との結合による発火爆発の危険防止の理由で熱分解を連続して創業することが出来なかった。
連続熱分解よって大幅な時間短縮と省エネを実現することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明の残渣物破砕機能付撹拌軸の実施方法を示した断面の説明図である。(実施例1)
【図2】 本発明の残渣物破砕機能付撹拌軸のロット先端部と残渣物排出口の関係を示した断面の説明図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0022】
1 熱分解槽
2 撹拌軸
3 ロット
4 シリンダー
5 ボス
6 レーキ
7 バルブ取付座
8 バルブ
9 駆動部
10 IHコイル
11 残渣物排出口
12 排出口塞ぎ板
13 円盤
14 一文字羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック熱分解槽に設けた撹拌軸を中空軸として中空軸内にロットを通し、ロット下部先端に残渣物排出口を塞ぐ塞ぎ板の下部にロットと共に上下及び回転する円盤と一文字羽根を設け、中空軸を貫通したロットを上下作動させる推力シリンダーとロットを回転させる電動機で構成する請求項1の撹拌軸。
【請求項2】
前記請求項1の撹拌軸羽根の中央部にロット先端と塞ぎ板とを自由動にして塞ぎ板を収納させる空間を設けた請求項1と2の撹拌軸。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−87279(P2013−87279A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245951(P2011−245951)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(509301770)
【Fターム(参考)】