説明

破砕機

【課題】制御の複雑化を抑制しつつ破砕効率をより向上した破砕機を提供する。
【解決手段】回転により被破砕物を破砕する破砕装置を備える。破砕装置を回転駆動させる可変容量型の破砕装置用油圧モータ22m,23mを備える。油圧モータ22m,23mの負荷圧の大きさに対応して油圧モータ22m,23mに供給される作動油の流量を制御する電磁比例弁86〜89を備える。油圧モータ22m,23mの負荷圧の大きさに対応して、電磁比例弁86〜89による流量制御と独立して油圧モータ22m,23mの容量の大小を切替える2速切替電磁弁103を備える。電磁比例弁86〜89による流量制御と2速切替電磁弁103による油圧モータ22m,23mの容量の切替えとの組合わせによって制御の複雑化を抑制しつつ破砕装置の回転速度を多様に制御でき、破砕効率をより向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転により被破砕物を破砕する破砕装置を備える破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の破砕機としては、例えば機体の左右両側部に履帯式の走行装置が設けられ、機体の上部に、ホッパと、このホッパに投入された被破砕物とが設置され、また、破砕装置の下側から斜め上方へ向って搬出コンベヤが設けられた自走式破砕機が知られている。
【0003】
破砕部には、回転軸およびこの回転軸の周囲に設けられた複数のカッタを備える破砕装置が対をなして複数配置され、これら破砕装置が流体圧モータである油圧モータによって回転駆動される。そして、対をなす破砕装置は、例えば一方を低速回転、他方を高速回転などさせることにより、被破砕物をせん断破砕するように構成されている。
【0004】
このような破砕機により破砕する被破砕物としては、大別して、例えば廃プラスチック、あるいは金属板などの硬質系と、例えばビニールシートなどの軟質系とがある。
【0005】
このため、破砕装置の負荷が大きく破砕しにくい硬質系の被破砕物を破砕する際には、破砕装置の回転数をそれぞれ減少させ(トルクを増加させ)、それ以外の被破砕物を破砕する際には、破砕装置の回転数をそれぞれ増加させて、破砕効率を確保している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
具体的に、例えば図10(a)および図10(b)に示すように、破砕作業中に、各破砕装置の負荷が大きい、すなわち駆動圧(ポンプ圧)が一定時間(例えば3秒)継続して所定の低速切替圧を上回った場合には、各破砕装置、すなわち油圧モータを低速に切替え、油圧モータの負荷が低下し、一定時間(例えば3秒)継続して駆動圧(ポンプ圧)が高速切替圧を下回った場合には、油圧モータを高速に切替えるように制御する。
【特許文献1】特開平8−24704号公報(第3−4頁、図3−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の破砕機では、油圧モータの速度の切替えが2段階であるに過ぎず、例えば軟質系の被破砕物を破砕する際など、さらに破砕装置の回転速度が必要とされる場合であっても、破砕装置の回転速度を変化させることができず、そのため、軟質系の被破砕物の破砕生産量を増加させたい場合に対応できないという問題点を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、制御の複雑化を抑制しつつ破砕効率をより向上した破砕機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、回転により被破砕物を破砕する破砕装置と、この破砕装置を回転駆動させる可変容量型の流体圧モータと、流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して流体圧モータに供給される流体の流量を制御する電磁比例弁と、流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して、電磁比例弁による流量制御と独立して流体圧モータの容量の大小を切替える電磁切替弁とを具備した破砕機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の破砕機において、電磁比例弁が、流体圧モータの負荷圧が第1閾値以上である場合に流体圧モータに供給される流体の流量を減少させ、電磁切替弁が、流体圧モータの負荷圧が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合に流体圧モータの容量を大きい方に切替えるものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の破砕機において、電磁比例弁が、対をなして設けられ、一方の電磁比例弁が、破砕装置の正転用であり、他方の電磁比例弁が、破砕装置の逆転用であるものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の破砕機において、破砕装置が、対をなして設けられ、一方の破砕装置が、複数のカッタを備える低速駆動用であり、他方の破砕装置が、一方の破砕装置よりも多くのカッタを備え一方の破砕装置よりも高速で回転する高速駆動用であるものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、可変容量型の流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して電磁比例弁により流量制御するとともに、流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して電磁比例弁による流量制御と独立して電磁切替弁により流体圧モータの容量の大小を切替えることで、電磁比例弁による流量制御と電磁切替弁による流体圧モータの容量の切替えとの組合わせによって制御の複雑化を抑制しつつ破砕装置の回転速度を被破砕物の硬さに応じて多様に制御でき、破砕効率をより向上できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、流体圧モータの負荷圧が第1閾値以上である場合に電磁比例弁が流体圧モータに供給される流体の流量を減少させ、流体圧モータの負荷圧が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合に電磁切替弁が流体圧モータの容量を大きい方に切替えることにより、被破砕物の硬さに応じて破砕装置を多様な動作に対応させることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、一方の電磁比例弁を破砕装置の正転用とし、他方の電磁比例弁を破砕装置の逆転用とすることで、破砕装置の正転および逆転に容易に対応でき、被破砕物の様々な破砕動作に対応できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、一方の破砕装置を低速駆動用とし、他方の破砕装置を、一方の破砕装置よりも多くのカッタを備えた高速駆動用とすることで、これら破砕装置の動作を組み合わせることによって、被破砕物の様々な破砕動作に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図6および図7において、10は産廃物などの被破砕物を破砕処理する自走式の破砕機を示し、機体11の左右両側部にこの機体11を走行させる履帯式の走行装置12がそれぞれ設けられ、機体11の上部に、ホッパ13と、このホッパ13に投入された被破砕物を破砕する破砕部としてのシュレッダ14と、シュレッダ14で破砕された被破砕物とが設置され、また、このシュレッダ14の下側から斜め上方へ向って搬出コンベヤ15が設けられている。
【0019】
走行装置12は、それぞれ走行装置用流体圧モータである走行装置用油圧モータ12mを備え、これらの油圧モータ12mの正転および逆転により左右の履帯12aをそれぞれ前進方向および後進方向に回行駆動するものである。
【0020】
ホッパ13は、機体11の後端部寄り上に前端側が回動可能に軸支され、ホッパリフト用流体圧アクチュエータであるホッパリフト用油圧シリンダ13cにより下方から支持され、このホッパリフト用油圧シリンダ13cの伸縮によって、後端側が上下に回動することで傾斜して被破砕物をシュレッダ14へと落下投入させるものである。
【0021】
シュレッダ14は、ホッパ13から被破砕物が投入される固定シュータ21の底部に対をなす破砕装置22,23が配置され、固定シュータ21の上部に、飛散防止用のシールドカバー24が開閉可能に配置されている。
【0022】
破砕装置22,23は、図4および図5に示されるように、回転軸としての低速軸22aおよび回転軸としての高速軸23aと、これら軸22a,23aの周囲に配置されたカッタ部22b,23bとを備え、軸22a,23aが、可変容量型の流体圧モータとしての破砕装置用油圧モータ22m,23mにより回転駆動されることで、カッタ部22b,23bによって被破砕物を破砕するものである。なお、一方の破砕装置22は、低速駆動用であり、他方の破砕装置23は高速駆動用である。
【0023】
軸22a,23aは、機体11の前後方向に沿って、かつ、互いに略平行に配置されている。これら軸22a,23aの間隔は、カッタ部22b,23bの回転軌道の一部が軸方向から見て互いに重なるように設定されている。
【0024】
一方のカッタ部22bは、低速軸22aの軸方向に互いに略等間隔に離間されて複数配置されている。また、一方のカッタ部22bは、低速軸22aの軸方向から見て、この低速軸22aの中心軸を中心とする略菱形状のカッタ基体部22cと、このカッタ基体部22cの長対角線の両端の両側方にそれぞれ設けられたカッタ22dとを備えている。したがって、カッタ22dは、1つのカッタ部22bにつき4つ配置されている。
【0025】
他方のカッタ部23bは、高速軸23aの軸方向に互いに略等間隔に離間され、機体11の前後方向に一方のカッタ部22bと交互にそれぞれ配置されている。また、他方のカッタ部23bは、高速軸23aの軸方向から見て、この高速軸23aの中心軸を中心とする略正三角形状のカッタ基体部23cと、このカッタ基体部23cの各頂点の両側にそれぞれ設けられたカッタ23dとを備えている。したがって、カッタ23dは、1つのカッタ部23bにつき6つ配置されている。
【0026】
搬出コンベヤ15は、コンベヤフレームの先端部側面に取付けられた搬出コンベヤ用油圧モータ15mにより、無端状の搬出ベルト15aを回行駆動するものである。
【0027】
搬出コンベヤ15の上側には、破砕片中の鉄系破砕片を分離する磁選機25が配置されている。この磁選機25は、搬出コンベヤ15と略直交するように配置された無端状の図示されない磁選機ベルトを、磁選機用流体圧モータである磁選機用油圧モータ25mによって磁力発生手段まわりに駆動することにより、磁力発生手段からの磁力を図示されない磁選機ベルト越しに作用させて、鉄筋などの磁性物を磁選機ベルトに吸着させた後、搬出コンベヤ15と略直交する方向に運搬してその搬出コンベヤ15の側方に落下させるようになっている。また、この磁選機25は、磁選機格納用流体圧アクチュエータである磁選機格納用油圧シリンダ25cの伸縮により、使用時と非使用時とで、磁選機25の位置を可変させるものである。
【0028】
さらに、機体11の前端部寄りの上部には、エンジンE(図1)と、このエンジンEにより駆動され各種油圧モータおよび油圧シリンダに作動油を供給する流体圧ポンプである油圧ポンプP1〜P4(図1および図2)などで構成される動力装置26が搭載されている。
【0029】
そして、上記破砕機10の油圧回路は、図1および図2に示されるように、可変容量型のメインポンプである油圧ポンプP1,P2の各吐出路41,42にそれぞれメインコントロールバルブCV1が連通され、第3の油圧ポンプP3の吐出路43に流量制御バルブCV2が連通され、パイロットポンプである第4の油圧ポンプP4の吐出路44に制御弁としてのパイロットマニホールド45が連通されている。
【0030】
また、油圧ポンプP1,P2は、それぞれポンプ容量可変手段としてのレギュレータである斜板制御手段47,48により吐出流量を制御される。これら斜板制御手段47,48はパワーシフト圧制御用、あるいは全馬力制御用などの電磁比例弁50の出力側に接続されているとともに、ライン51,52を介してネガティブコントロール圧制御弁53(以下、ネガコン圧制御弁53という)に連通されている。
【0031】
このネガコン圧制御弁53は、ライン51に3ポート2位置方向制御弁であるネガティブコントロール圧切替電磁弁55(以下、ネガコン圧切替電磁弁55という)が接続され、このネガコン圧切替電磁弁55に対して電磁比例減圧弁としての速度調整用ネガティブコントロール圧設定電磁比例弁56(以下、ネガコン圧設定電磁比例弁56という)が接続されているとともに、ライン52に3ポート2位置方向制御弁であるネガティブコントロール圧切替電磁弁57(以下、ネガコン圧切替電磁弁57という)が接続され、このネガコン圧切替電磁弁57に対して電磁比例減圧弁としての速度調整用ネガティブコントロール圧設定電磁比例弁58(以下、ネガコン圧設定電磁比例弁58という)が接続されている。また、ネガコン圧切替電磁弁55,57のそれぞれの入力側に対して、ライン61,62を介してネガティブコントロール圧選択弁63(以下、ネガコン圧選択弁63という)が連通されている。
【0032】
ネガコン圧切替電磁弁55,57は、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって、油圧ポンプP1,P2の斜板制御手段47,48に対して供給するネガティブコントロール圧を、ネガコン圧選択弁63からの出力圧と、コントローラC(図3)からの電気信号に対応するネガコン圧設定電磁比例弁56,58での設定圧とのいずれか一方に選択的に切替えるものである。
【0033】
ネガコン圧設定電磁比例弁56,58は、ライン64を介してタンクTに接続されている。
【0034】
ネガコン圧選択弁63は、ライン61が出口に接続されたシャトル弁65と、ライン62が出口に接続されたシャトル弁66とを備え、これらシャトル弁65,66の一方の入口に、油圧ポンプP1,P2の容量を可変操作するためのポンプ容量操作弁67が接続され、かつ、シャトル弁65,66の他方の入口に、メインコントロールバルブCV1のネガティブコントロール圧通路69,70(以下、ネガコン圧通路69,70という)が接続されている。
【0035】
また、メインコントロールバルブCV1の内部には、一端面および他端面に供給されるパイロット圧によりストローク制御される図示されないスプールが、各アクチュエータに対応してそれぞれ設けられ、これらの各スプールにより方向制御および流量制御された作動油により各アクチュエータの動作を制御、すなわち前記の走行装置用油圧モータ12mおよび破砕装置用油圧モータ22m,23mの各正逆転動作を制御する。
【0036】
走行装置用油圧モータ12mのそれぞれに対応するメインコントロールバルブCV1内の各スプールは、一端および他端にそれぞれ図示されないパイロット通路から供給されるパイロット圧を受けて変位するが、これらのパイロット通路は、オペレータにより操作されるパイロット操作器73,74の出力側に連通されている。
【0037】
このパイロット操作器73,74は、1つの操作ペダルあるいはレバーで操作可能な複数のパイロットバルブ(リモコン弁)75,76を備え、これらのパイロットバルブ75,76は、油圧ポンプP4からパイロットマニホールド45を介してパイロット元圧すなわちパイロット1次圧の供給を受け、ペダル操作あるいはレバー操作でその操作量に応じて発生したパイロット2次圧をパイロット通路を経てメインコントロールバルブCV1の各スプールの一端または他端に出力し、これらのスプールを変位させる。
【0038】
また、破砕装置用油圧モータ22m,23mのそれぞれに対応するメインコントロールバルブCV1内の各スプールは、パイロット通路81,82およびパイロット通路83,84から供給されるパイロット圧を受けて変位するが、これらのパイロット通路81,82およびパイロット通路81,82は、それぞれ破砕装置制御部としてのシュレッダ作動バルブ85の出力側に連通されている。
【0039】
このシュレッダ作動バルブ85は、対をなす電磁比例弁としての3ポート2位置比例制御弁である低速軸作動用電磁比例弁86,87と、対をなす電磁比例弁としての3ポート2位置比例制御弁である高速軸作動用電磁比例弁88,89とを備え、一方の低速軸作動用電磁比例弁86が低速で駆動される破砕装置用油圧モータ22m用のスプールの一端側に、他方の低速軸作動用電磁比例弁87が破砕装置用油圧モータ22m用のスプールの他端側に、それぞれ接続されているとともに、一方の高速軸作動用電磁比例弁88が高速で駆動される破砕装置用油圧モータ23m用のスプールの一端側に、他方の高速軸作動用電磁比例弁89が破砕装置用油圧モータ23m用のスプールの他端側に、それぞれ接続されている。また、これら電磁比例弁86〜89は、それぞれライン90を介してタンクTと接続されている。
【0040】
一方の低速軸作動用電磁比例弁86は、例えば破砕装置用油圧モータ22mの正転用であり、他方の低速軸作動用電磁比例弁87は、例えば破砕装置用油圧モータ22mの逆転用である。そして、これら低速軸作動用電磁比例弁86,87は、メインコントロールバルブCV1の破砕装置用油圧モータ22m用のスプールに供給するパイロット圧を、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号に応じて設定することで、破砕装置用油圧モータ22m、すなわち破砕装置22の低速軸22aを正逆転制御している。
【0041】
また、一方の高速軸作動用電磁比例弁88は、例えば破砕装置用油圧モータ23mの正転用であり、他方の高速軸作動用電磁比例弁89は、例えば破砕装置用油圧モータ23mの逆転用である。そして、これら高速軸作動用電磁比例弁88,89は、メインコントロールバルブCV1の破砕装置用油圧モータ23m用のスプールに供給するパイロット圧を設定することで、破砕装置用油圧モータ23m、すなわち破砕装置23の高速軸23aを正逆転制御している。
【0042】
さらに、破砕装置用油圧モータ22m,23mは、それぞれモータ容量可変手段である斜板制御手段91,92により容量を制御される。これら斜板制御手段91,92はライン93を介してパイロットマニホールド45に連通されている。
【0043】
そして、パイロットマニホールド45は、油圧ポンプP4の吐出路44に逆止弁95を介して蓄圧用のアキュームレータ96が接続されているとともに、吐出路44の逆止弁95の下流側に電磁弁としての3ポート2位置方向制御弁である油圧ロック弁100によりパイロット操作されるバルブ101の入力側が接続され、このバルブ101の出力側に電磁弁としての3ポート2位置方向制御弁である走行ロック弁102の入力側が接続され、かつ、吐出路44の逆止弁95の上流側に電磁切替弁としての3ポート2位置方向制御弁である2速切替電磁弁103が接続されている。
【0044】
バルブ101と走行ロック弁102との接続部は、シュレッダ作動バルブ85の各電磁比例弁86〜89とライン105を介して接続され、このライン105から分岐されたライン107がネガコン圧選択弁63のポンプ容量操作弁67の入力ポートに接続され、このライン107から分岐されたライン108を介してネガコン圧制御弁53の各ネガコン圧設定電磁比例弁56,58が接続されている。また、油圧ロック弁100、バルブ101、走行ロック弁102および2速切替電磁弁103は、ライン109を介してタンクTに接続されている。
【0045】
油圧ロック弁100は、ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって切替えられ、油圧ポンプP4から出力されたパイロット圧によりバルブ101をパイロット操作することで、油圧ポンプP4から出力されたパイロット圧を、シュレッダ作動バルブ85およびネガコン圧選択弁63へと供給可能とするものである。
【0046】
走行ロック弁102は、ライン110を介してパイロット操作器73,74のパイロットバルブ75,76の入力ポートと接続されており、ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって切替えられ、パイロット操作器73,74のパイロットバルブ75,76の入力ポートを油圧ポンプP4またはタンクTのいずれか一方に連通させるものである。
【0047】
2速切替電磁弁103は、ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって切替えられることにより、破砕装置用油圧モータ22m,23mの斜板制御手段91,92を介して各破砕装置用油圧モータ22m,23mの容量の大小を切替える破砕装置切替部である。
【0048】
一方、流量制御バルブCV2は、吐出路43からフィルタ111および減圧弁112を介して供給される圧油によりそれぞれパイロット操作可能な電磁比例弁としての4ポート3位置比例制御弁である切替弁113,114,115を備えている。
【0049】
切替弁113は、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって切替えられることにより、油圧ポンプP3から搬出コンベヤ用油圧モータ15mのいずれか一方のポートに減圧弁117を介して作動油(作動流体)を加圧供給するとともに、他方のポートからの戻り油(戻り流体)を戻り通路118を介してタンクTへと導くことで、搬出コンベヤ用油圧モータ15mを正転あるいは逆転させるものである。なお、搬出コンベヤ用油圧モータ15mの各ポートに接続されるライン121,122には、それぞれ戻り通路118との間に油圧を所定値以下に設定するためのリリーフ弁123,124が接続されている。
【0050】
同様に、切替弁114は、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって切替えられることにより、油圧ポンプP3から磁選機用油圧モータ25mの一方のポートに減圧弁127を介して作動油を加圧供給するとともに、他方のポートからの戻り油を戻り通路118を介してタンクTへと導くことで、磁選機用油圧モータ25mを正転あるいは逆転させるものである。なお、磁選機用油圧モータ25mの各ポートに接続されるライン128,129には、それぞれ戻り通路118との間に油圧を所定値以下に設定するためのリリーフ弁131,132が接続されている。
【0051】
さらに、切替弁115は、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)からの電気信号によって電磁弁としての4ポート2位置方向制御弁であるアタッチメント切替電磁弁135と連動して切替えられることにより、ホッパリフト用油圧シリンダ13c側と磁選機格納用油圧シリンダ25cとのいずれか一方に選択的に接続される。そして、この切替弁115は、ホッパリフト用油圧シリンダ13c側と接続された状態では、油圧ポンプP3から減圧弁137およびアタッチメント切替電磁弁135を介してホッパリフト用油圧シリンダ13cのヘッド側室あるいはロッド側室の一方に作動油を加圧供給するとともに、他方からの戻り油をタンクTへと導くことで、ホッパリフト用油圧シリンダ13cを伸縮制御し、磁選機格納用油圧シリンダ25cに接続された状態では、油圧ポンプP3から減圧弁137およびアタッチメント切替電磁弁135を介して磁選機格納用油圧シリンダ25cのヘッド側室あるいはロッド側室の一方に作動油を加圧供給するとともに、他方からの戻り油をタンクTへと導くことで、磁選機格納用油圧シリンダ25cを伸縮制御する。
【0052】
ホッパリフト用油圧シリンダ13cは、流速制御弁141を介してアタッチメント切替電磁弁135および切替弁115と接続されている。流速制御弁141は、ホッパリフト用油圧シリンダ13cのヘッド側室と切替弁115との間に接続されるスローリターン弁142およびパイロットチェック弁143と、ホッパリフト用油圧シリンダ13cのロッド側室とアタッチメント切替電磁弁135との間に接続されるスローリターン弁144とを備え、パイロットチェック弁143のパイロット圧がスローリターン弁144とアタッチメント切替電磁弁135とを接続するライン145から供給されている。なお、パイロットチェック弁143と切替弁115とを接続するライン146には、戻り通路118との間に、油圧を所定値以下に設定するためのリリーフ弁147が接続され、アタッチメント切替電磁弁135と切替弁115とを接続するライン148には、戻り通路118との間に、油圧を所定値以下に設定するためのリリーフ弁149が接続されている。
【0053】
また、磁選機格納用油圧シリンダ25cは、制御弁151を介してアタッチメント切替電磁弁135およびタンクTと接続されている。制御弁151は、磁選機格納用油圧シリンダ25cのヘッド側室に接続されるスローリターン弁152と、磁選機格納用油圧シリンダ25cのロッド側室に接続されるスローリターン弁153およびパイロットチェック弁154と、スローリターン弁152およびパイロットチェック弁154に接続される4ポート3位置方向制御弁である切替弁155とを備えている。また、パイロットチェック弁154のパイロット圧が、スローリターン弁152と切替弁155とを接続するライン156から供給されている。
【0054】
切替弁155は、アタッチメント切替電磁弁135とスローリターン弁157を介して接続され、各ソレノイドに供給されるコントローラC(図3)から供給される電気信号によってアタッチメント切替電磁弁135と連動して切替えられることにより、油圧ポンプP3から磁選機格納用油圧シリンダ25cのヘッド側室とロッド側室との一方に作動油(作動流体)を加圧供給するとともに、他方のからの戻り油(戻り流体)をタンクTへと導くことで、磁選機格納用油圧シリンダ25cを伸縮させるものである。
【0055】
戻り通路118は、リリーフ弁161とシーケンス弁162とを介して油圧ポンプP3の吐出路43に接続されている。
【0056】
シーケンス弁162は、シャトル弁163を介してパイロット圧が入力され、このシャトル弁163の一方の入口には、減圧弁112の下流側が接続され、シャトル弁163の他方の入口には、シャトル弁164の出口が接続されている。また、シャトル弁164の一方の入口には、減圧弁137のドレン側が接続され、シャトル弁164の他方の入口には、シャトル弁165の出口が接続されている。さらに、シャトル弁165の一方の入口には、減圧弁127のドレン側が接続され、シャトル弁165の他方の入口には、減圧弁117のドレン側が接続されている。
【0057】
そして、これらリリーフ弁161とシーケンス弁162とにより、油圧ポンプP3からの吐出圧が略一定に維持されるように構成されている。
【0058】
さらに、コントローラCには、上記油圧回路の各弁50,55〜58,86〜89,100,102,103,113〜115,135,155の各ソレノイドが電気的に接続されている。また、図3に示されるように、コントローラCには、破砕部駆動スイッチ(破砕装置駆動スイッチ)としてのシュレッダ駆動スイッチSが接続され、このシュレッダ駆動スイッチSがオフの状態ではシュレッダ14の駆動を停止状態とし、シュレッダ駆動スイッチSがオンされた状態でのみ、各弁86〜89,103のソレノイドに電気信号を出力してシュレッダ14の駆動を可能とする。さらに、このコントローラCは、負荷圧検出手段としてのシュレッダ駆動圧センサ167が接続されている。このシュレッダ駆動圧センサ167は、油圧ポンプP1,P2のいずれかのポンプ圧を介して低速駆動用の破砕装置用油圧モータ22mの負荷圧Laを検出する低速軸駆動圧センサ167aと、油圧ポンプP1,P2のいずれかのポンプ圧を介して高速駆動用の破砕装置用油圧モータ23mの負荷圧Lbを検出する高速軸駆動圧センサ167bとを備え、コントローラCは、これらセンサ167a,167bにより検出された負荷圧La,Lbの大きさに対応した電気信号を各弁86〜89,103のソレノイドに出力することで、このソレノイドを比例制御し、シュレッダ14の駆動を制御可能である。
【0059】
なお、図3には、シュレッダ14の制御回りの要部のみを示し、その他の部分を省略している。
【0060】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0061】
(油圧ロック制御)
油圧ロック弁100が切替位置Bの状態では、油圧ポンプP4から供給されたパイロット1次圧がロックされ、また、バルブ101が切替位置Bの状態となっており、油圧回路が作動しない。一方、コントローラCから油圧ロック弁100のソレノイドに電気信号が供給されてこのソレノイドが励磁されると、油圧ロック弁100が切替位置Aに切替わることで、油圧ポンプP4から供給されたパイロット1次圧がバルブ101に供給されてこのバルブ101が切替位置Aに切替わり、パイロット1次圧がライン105を介してネガコン圧制御弁53、パイロット操作器73,74およびシュレッダ作動バルブ85に供給され、各種動作が可能となる。
【0062】
(油圧ポンプ容量制御)
各油圧ポンプP1,P2の容量は、コントローラCから電磁比例弁50のソレノイドに供給される電気信号に応じて電磁比例弁50が比例制御されることにより斜板制御手段47,48にパイロット圧が供給され、このパイロット圧により斜板制御手段47,48を介して各油圧ポンプP1,P2の斜板の傾転角が可変されることで、それぞれ制御される。
【0063】
また、斜板制御手段47,48に供給されるネガティブコントロール圧としては、ネガコン圧制御弁53とネガコン圧選択弁63とにより、メインコントロールバルブCV1からのネガティブコントロール圧、オペレータの操作量に応じてポンプ容量操作弁67から発生するパイロット2次圧、あるいは、ネガコン圧設定電磁比例弁56,58による設定圧のいずれかが選択される。
【0064】
すなわち、コントローラCから各ソレノイドに供給された電気信号に対応してネガコン圧設定電磁比例弁56,58により設定されたパイロット2次圧を斜板制御手段47,48に供給する場合には、コントローラCからネガコン圧切替電磁弁55,57の各ソレノイドに電気信号を供給してこれらソレノイドを励磁してネガコン圧切替電磁弁55,57を切替位置Aに切替える。
【0065】
また、メインコントロールバルブCV1からのネガティブコントロール圧、あるいはオペレータによる操作レバーの操作量に応じてポンプ容量操作弁67から発生するパイロット2次圧を斜板制御手段47,48に供給する場合には、コントローラCからネガコン圧切替電磁弁55,57の各ソレノイドに電気信号を供給してこれらソレノイドの励磁を解除してネガコン圧切替電磁弁55,57を切替位置Bに切替える。このとき、メインコントロールバルブCV1からのネガティブコントロール圧と、ポンプ容量操作弁67から発生するパイロット2次圧とは、高圧側がネガコン圧選択弁63のシャトル弁65,66により選択されて斜板制御手段47,48に供給される。
【0066】
(走行制御)
油圧ロック弁100(バルブ101)が切替位置Aの状態で、コントローラCから走行ロック弁102のソレノイドに供給された電気信号によりこのソレノイドが励磁されて走行ロック弁102が切替位置Aに切替わると、オペレータがパイロット操作器73,74のペダル操作あるいはレバー操作により各パイロットバルブ75,76を操作することで、その操作量に応じて発生したパイロット2次圧が図示されないパイロット通路を経てメインコントロールバルブCV1のスプールに供給されてこのスプールが変位し、走行装置用油圧モータ12m,12mが正転あるいは逆転されることにより、走行装置12の履帯12aが前進方向あるいは後進方向に回行駆動し、破砕機10が前後に走行する。
【0067】
また、コントローラCから走行ロック弁102のソレノイドに供給された電気信号によりこのソレノイドの励磁が解除されると、走行ロック弁102が切替位置Bに切替わることにより、各パイロットバルブ75,76によるパイロット2次圧の供給がロックされることで、走行装置用油圧モータ12m,12mの駆動が停止され、破砕機10の走行が不可能となる。
【0068】
(ホッパ上げ下げ制御)
被破砕物をシュレッダ14にて破砕する際には、ホッパ13の固定シュータ21内に被破砕物を図示されない作業機械などにより投入した後、このホッパ13を傾斜させて被破砕物をシュレッダ14へと落下投入させる。
【0069】
ホッパ13の上げ制御時には、コントローラCあるいは外部リモコンなどから切替弁115のソレノイドおよびアタッチメント切替電磁弁135のソレノイドにそれぞれ供給された電気信号により、切替弁115が中立位置Nから切替位置Aへと切替わるとともに、アタッチメント切替電磁弁135が切替位置Aに切替わる。このため、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁137、切替弁115、ライン146、パイロットチェック弁143およびスローリターン弁142を介してホッパリフト用油圧シリンダ13cのヘッド側室に供給されるとともに、このホッパリフト用油圧シリンダ13cのロッド側室からスローリターン弁144およびアタッチメント切替電磁弁135を介してタンクTへと作動油が戻されることで、ホッパリフト用油圧シリンダ13cが伸び動作し、ホッパ13の後側が上方へと回動し、ホッパ13が傾斜して被破砕物が固定シュータ21内に投入される。
【0070】
ホッパ13の下げ制御時には、コントローラCから切替弁115のソレノイドおよびアタッチメント切替電磁弁135のソレノイドにそれぞれ供給された電気信号により、切替弁115が中立位置Nから切替位置Bへと切替わるとともに、アタッチメント切替電磁弁135のソレノイドの励磁が解除されてこのアタッチメント切替電磁弁135が切替位置Bに切替わる。このため、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁137、切替弁115、ライン148、アタッチメント切替電磁弁135、ライン145およびスローリターン弁144を介してホッパリフト用油圧シリンダ13cのロッド側室に供給されるとともに、このホッパリフト用油圧シリンダ13cのヘッド側室からスローリターン弁142およびライン145側からのパイロット圧によって開いたパイロットチェック弁143、切替弁115および戻り通路118を介してタンクTへと作動油が戻されることで、ホッパリフト用油圧シリンダ13cが縮み動作し、ホッパ13の後側が下方へと回動してホッパ13が下がる。
【0071】
(シュレッダ制御)
ホッパ13によって固定シュータ21内に投入された被破砕物は、シュレッダ14の駆動によりそれぞれ破砕される。
【0072】
図8のフローチャートに示されるように、まず、オペレータがシュレッダ駆動スイッチSをオンしたかどうかをコントローラCが判断し(ステップ11)、シュレッダ駆動スイッチSがオンされていないと判断すると、コントローラCは、各電磁比例弁86〜89のソレノイドに励磁を解除する電気信号を出力して各電磁比例弁86〜89を切替位置Bとし、かつ、2速切替電磁弁103のソレノイドに電気信号を出力してこの2速切替電磁弁103を切替位置Aとすることで破砕装置用油圧モータ22m,23mによる破砕装置22,23の回転駆動を停止状態とし(ステップ12)、ステップ11に戻る。
【0073】
ステップ11でシュレッダ駆動スイッチSがオンされていると判断すると、コントローラCは、シュレッダ駆動圧センサ167の各センサ167a,167bを介して検出したシュレッダ駆動圧、すなわち各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第1閾値TH1a,TH1b以上であるかどうかを判断する(ステップ13)。
【0074】
このステップ13で、各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第1閾値TH1a,TH1b以上でないと判断した場合には、コントローラCは、例えば被破砕物が軟質系の中でも特に軟質のものであると判断し、各電磁比例弁86〜89のソレノイドに電気信号を出力して各電磁比例弁86〜89を切替位置Aあるいは切替位置Bとするとともに、2速切替電磁弁103のソレノイドを励磁して2速切替電磁弁103を高速側切替位置A(オン状態)とし、破砕装置用油圧モータ22m,23mにより破砕装置22,23を例えば設定速度の100%、すなわち最大速度(例えば破砕装置22が14rpm、破砕装置23が21rpm)で回転駆動させる(ステップ14)。
【0075】
このとき、2速切替電磁弁103が高速側切替位置Aである場合には、油圧ポンプP4からのパイロット一次圧が斜板制御手段91,92にそれぞれ供給されることで、各油圧モータ22m,23mの斜板の傾転角が減少され、各油圧モータ22m,23mの容量が低減されて相対的に小さく設定される。そして、電磁比例弁86(電磁比例弁88)を切替位置A、電磁比例弁87(電磁比例弁89)を切替位置Bとすることで、破砕装置用油圧モータ22m(破砕装置用油圧モータ23m)が正転され、電磁比例弁86(電磁比例弁88)を切替位置B、電磁比例弁87(電磁比例弁89)を切替位置Aとすることで、破砕装置用油圧モータ22m(破砕装置用油圧モータ23m)が逆転される。
【0076】
また、ステップ13で、各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第1閾値TH1a,TH1b以上であると判断した場合には、各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第2閾値TH2a,TH2b以上であるかどうかを判断する(ステップ15)。
【0077】
このステップ15で、各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第2閾値TH2a,TH2b以上でないと判断した場合には、この負荷圧La,Lbが第1閾値TH1a,TH1b以上第2閾値TH2a,TH2b未満の状態が所定時間t1、例えば3秒以上継続したかどうかをコントローラCが判断する(ステップ16)。
【0078】
このステップ16で、所定時間t1以上継続していないと判断した場合には、ステップ14に進み、所定時間t1以上継続したと判断した場合には、コントローラCは、例えば被破砕物が一般的な軟質系のものであると判断し、各電磁比例弁86〜89のソレノイドに電気信号を出力して各電磁比例弁86〜89を切替位置Aあるいは切替位置Bとして破砕装置用油圧モータ22m,23mの出力を所定値、例えば80%程度まで低減とするとともに、2速切替電磁弁103のソレノイドを励磁して2速切替電磁弁103を高速側切替位置A(オン状態)として、破砕装置用油圧モータ22m,23mにより破砕装置22,23を例えば設定速度(最大速度)よりも低下させた任意設定可能な所定速度、例えば最大速度の80%程度の中間速度で回転駆動させ(ステップ17)、ステップ11に戻る。
【0079】
一方、ステップ15で、各油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが、それぞれ所定の第2閾値TH2a,TH2b以上であると判断した場合には、この負荷圧La,Lbが第2閾値TH2a,TH2b以上の状態が所定時間t2、例えば3秒以上継続したかどうかをコントローラCが判断する(ステップ18)。
【0080】
このステップ18で、所定時間t2以上継続していないと判断した場合には、ステップ14に進み、所定時間t2以上継続したと判断した場合には、コントローラCは、例えば被破砕物が硬質系のものであると判断し、各電磁比例弁86〜89のソレノイドに電気信号を出力して各電磁比例弁86〜89を切替位置Aあるいは切替位置Bとして破砕装置用油圧モータ22m,23mの出力を所定値、例えば80%程度まで低減とするとともに、2速切替電磁弁103のソレノイドの励磁を解除して2速切替電磁弁103を低速側切替位置B(オフ状態)として、破砕装置用油圧モータ22m,23mにより破砕装置22,23を軟質系の被破砕物の破砕時よりもさらに低下させた低下速度で回転駆動させ(ステップ19)、ステップ11に戻る。
【0081】
このように2速切替電磁弁103が低速側切替位置Bである場合には、斜板制御手段91,92がタンクTに連通されることで、各油圧モータ22m,23mの斜板の傾転角が増加され、各油圧モータ22m,23mの容量が増加されて相対的に大きく設定される。
【0082】
したがって、図9(a)に示されるように、シュレッダ14のシュレッダ駆動圧、すなわち負荷圧La,Lbが図中の丸数字(1)まで増加する間は、100%の最大速度で破砕装置22,23が駆動され、負荷圧La,Lbが図中の丸数字(1)まで増加した状態が所定時間t1以上継続すると、図9(b)中の丸数字(1)に示されるように破砕装置22,23の回転速度が最大速度の80%程度の中間速度まで低減されてトルクが増加され、また、図9(a)中の丸数字(2)に示されるように負荷圧La,Lbが増加した後、この状態が所定時間t2以上継続すると、図9(b)中の丸数字(2)に示されるように破砕装置22,23の回転速度がさらに低下速度まで低減されてさらにトルクが増加される(減速側制御)。さらに、図9(a)中の丸数字(3)に示されるように負荷圧La,Lbが減少した後、この状態が所定時間t2以上継続すると、図9(b)中の丸数字(3)に示されるように破砕装置22,23の回転速度が中間速度まで増加され、また、図9(a)中の丸数字(4)に示されるように負荷圧La,Lbがさらに減少した後、この状態が所定時間t1以上継続すると、図9(b)中の丸数字(4)に示されるように破砕装置22,23の回転速度が最大速度までさらに増加される(増速側制御)。
【0083】
そして、上記制御において、例えば図5(a1)および図5(a2)に示されるように、破砕装置22の低速軸22aと破砕装置23の高速軸23aとを互いに反対方向に回転させる(2軸正/逆反転制御)ことで、被破砕物が圧縮破砕され、図5(b1)および図5(b2)に示されるように、破砕装置22の低速軸22aと破砕装置23の高速軸23aとを同方向に回転させる(2軸同方向回転制御)ことで、被破砕物が引裂き破砕され、また、図5(c1)および図5(c2)に示されるように、破砕装置22の低速軸22aと破砕装置23の高速軸23aとを互いに反対方向に回転させたり、破砕装置22の低速軸22aと破砕装置23の高速軸23aとを互いに同方向あるいは反対方向などに回転させたりすることで、被破砕物が複合破砕される。
【0084】
なお、上記閾値TH1a,TH1b,TH2a,TH2bおよび所定時間t1,t2は、それぞれ可変設定可能としてもよいし、予め設定しておいてもよい。
【0085】
(コンベヤ制御)
シュレッダ14で破砕した破砕片は、搬出コンベヤ15を介して機体11の前方に搬出される。
【0086】
コントローラCから切替弁113のソレノイドに供給された電気信号により、切替弁113が中立位置Nから切替位置Aへと切替わる。このため、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁117およびライン121を介して搬出コンベヤ用油圧モータ15mの一方のポートに供給されるとともに、搬出コンベヤ用油圧モータ15mの他方のポートから、ライン122、切替弁113および戻り通路118を介して作動油がタンクTへと戻されることで、搬出コンベヤ用油圧モータ15mが正転し、搬出ベルト15aが回行駆動されて、シュレッダ14により破砕された破砕片が搬出される。
【0087】
なお、例えば破砕片が引っ掛かった場合などには、コントローラCから切替弁113のソレノイドに供給した電気信号により切替弁113を切替位置Bへと切替えることで、油圧ポンプP3から吐出された圧油を、減圧弁117およびライン122を介して搬出コンベヤ用油圧モータ15mの他方のポートに供給するとともに、搬出コンベヤ用油圧モータ15mの一方のポートから、ライン121、切替弁113および戻り通路118を介して作動油をタンクTへと戻すことで、搬出コンベヤ用油圧モータ15m(搬出ベルト15a)を逆転させて、破砕片の引っ掛かりなどを解消することが可能である。
【0088】
(磁選機制御)
上記コンベヤ制御において、磁選機25を駆動する場合には、まず、磁選機25を搬出コンベヤ15上に下げる。
【0089】
すなわち、磁選機25の下げ制御時には、コントローラCから切替弁115のソレノイド、アタッチメント切替電磁弁135のソレノイド、および、切替弁155のソレノイドにそれぞれ供給された電気信号により、切替弁115が中立位置Nから切替位置Bへと切替わり、アタッチメント切替電磁弁135が切替位置Aに切替わるとともに、切替弁155が中立位置Nから切替位置Bに切替わる。このため、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁137、切替弁115、ライン148、アタッチメント切替電磁弁135、スローリターン弁157、切替弁155、ライン156およびスローリターン弁152を介して磁選機格納用油圧シリンダ25cのヘッド側室に供給されるとともに、この磁選機格納用油圧シリンダ25cのロッド側室からスローリターン弁153、ライン156からのパイロット圧により開いたパイロットチェック弁154および切替弁155を介してタンクTへと作動油が戻されることで、磁選機格納用油圧シリンダ25cが伸び動作し、磁選機25が前側下方へと回動して磁選機25が搬出コンベヤ15上に対向する。
【0090】
そして、このように磁選機25を搬出コンベヤ15に対向させた状態で、コントローラCは、切替弁114のソレノイドに電気信号を供給し、切替弁114を中立位置Nから切替位置A、あるいは切替位置Bへと切替えることで、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁117およびライン128(ライン129)を介して磁選機用油圧モータ25mの一方のポート(他方のポート)に供給されるとともに、磁選機用油圧モータ25mの他方のポート(一方のポート)から、ライン129(ライン128)、切替弁114および戻り通路118を介してタンクTへと戻されることで、磁選機用油圧モータ25mが正転(逆転)し、磁選機ベルトが回行駆動され、磁力発生手段からの磁力により磁選機ベルトに吸着した磁性物が搬出コンベヤ15の側方に搬出落下される。
【0091】
また、磁選機25を使用しない場合には、磁選機25を上げて格納する。
【0092】
すなわち、磁選機25の下げ制御時には、コントローラCから切替弁115のソレノイド、アタッチメント切替電磁弁135のソレノイド、および、切替弁155のソレノイドにそれぞれ供給された電気信号により、切替弁115が中立位置Nから切替位置Bへと切替わり、アタッチメント切替電磁弁135が切替位置Aに切替わるとともに、切替弁155が中立位置Nから切替位置Aに切替わる。このため、油圧ポンプP3から吐出された圧油が、減圧弁137、切替弁115、ライン148、アタッチメント切替電磁弁135、スローリターン弁157、切替弁155、パイロットチェック弁154およびスローリターン弁153を介して磁選機格納用油圧シリンダ25cのロッド側室に供給されるとともに、この磁選機格納用油圧シリンダ25cのヘッド側室からスローリターン弁152、ライン156および切替弁115を介してタンクTへと作動油が戻されることで、磁選機格納用油圧シリンダ25cが縮み動作し、磁選機25が後側上方へと回動して磁選機25が搬出コンベヤ15から離間されて格納される。
【0093】
次に、上記一実施の形態の作用効果を列記する。
【0094】
可変容量型の油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbの大きさに対応して電磁比例弁86〜89により流量制御するとともに、油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbの大きさに対応して電磁比例弁86〜89による流量制御と独立して2速切替電磁弁103により油圧モータ22m,23mの容量の大小を切替えることで、電磁比例弁86〜89による流量制御と2速切替電磁弁103による油圧モータ22m,23mの容量の切替えとを組合わせて制御の複雑化を抑制しつつ破砕装置22,23の回転速度および回転方向などを被破砕物の硬さに応じて多様に制御でき、破砕効率をより向上できる。
【0095】
すなわち、油圧モータの容量を連続的に制御する従来の場合には、破砕装置の回転速度を中間速度に設定するためには制御系が複雑になるのに対して、本実施の形態では、電磁比例弁86〜89と2速切替電磁弁103とを用いた安価な制御系により容易に中間回転数を設定できる。
【0096】
このため、2速切替電磁弁103により油圧モータ22m,23mの容量を小さく設定した状態で、電磁比例弁86〜89による流量制御によって破砕装置22,23をそれぞれ最大速度、あるいは最大速度の80%程度の中間速度で駆動させることで、特に軟質系の被破砕物の破砕の際に、通常の場合には最大速度よりも低下させた速度で駆動させ、被破砕物がより軟質で破砕装置22,23に回転速度が要求される場合には最大速度で駆動させることができるなど、軟質系の被破砕物の破砕生産量の増加に容易に対応できる。
【0097】
また、2速切替電磁弁103により油圧モータ22m,23mの容量を大きく設定した状態で、電磁比例弁86〜89による流量制御によって破砕装置22,23をそれぞれ最大速度の80%程度の低下速度で駆動させることで、特に硬質系の被破砕物の破砕の際に大きなトルクを得ることができ、硬質系の被破砕物を確実に破砕できる。
【0098】
油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが第1閾値TH1a,TH1b以上である場合に電磁比例弁86〜89が油圧モータ22m,23mに供給される作動油の流量を減少させ、油圧モータ22m,23mの負荷圧La,Lbが第1閾値TH1a,TH1bよりも大きい第2閾値TH2a,TH2b以上である場合に2速切替電磁弁103が油圧モータ22m,23mの斜板の傾転角を、斜板制御手段91,92を介して増加させて容量を相対的に大きい方に切替えることにより、被破砕物の硬さに応じて破砕装置22,23を多様な動作(少なくとも3種類の動作)に対応させることができる。
【0099】
一方の電磁比例弁86,88を破砕装置22,23の正転用とし、他方の電磁比例弁87,89を破砕装置22,23の逆転用とすることで、破砕装置22,23の正転および逆転に容易に対応でき、これら破砕装置22の正逆転と、破砕装置23の正逆転とを組合わせて、被破砕物の様々な破砕動作に対応できる。
【0100】
一方の破砕装置22を低速駆動用とし、他方の破砕装置23を、一方の破砕装置22のカッタ22dよりも多いカッタ23dを備えた高速駆動用とすることで、これら破砕装置22,23の動作を組み合わせることによって、被破砕物の様々な破砕動作に対応できる。
【0101】
この結果、上記破砕機10は、軟質系の被破砕物としては例えばブルーシート、硬質系の被破砕物としては例えば50ccバイク程度まで破砕することが可能になる。
【0102】
なお、上記一実施の形態において、破砕装置は、低速駆動用のものと高速駆動用のものとを対をなして組合わせたが、例えば一定速度で駆動する破砕装置を複数用いてもよい。
【0103】
また、2速切替電磁弁103は、コントローラCから供給される電気信号だけでなく、所定のスイッチ操作により切替えてもよい。
【0104】
さらに、各破砕装置の形状およびカッタ数などは、上記構成に限定されるものではない。
【0105】
そして、流量制御バルブCV2側などの細部の各種構成は、上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明に係る破砕機の一実施の形態の一部を示す油圧回路図である。
【図2】同上破砕機の他部を示す油圧回路図である。
【図3】同上破砕機の要部を示すブロック図である。
【図4】同上破砕機の破砕装置を示す平面図である。
【図5】(a1)および(a2)は同上破砕装置による圧縮破砕動作を示す説明図、(b1)および(b2)は同上破砕装置による引裂き破砕動作を示す説明図、(c1)および(c2)は同上破砕装置による複合破砕動作を示す説明図である。
【図6】同上破砕機を示す平面図である。
【図7】同上破砕機を示す側面図である。
【図8】同上破砕機の制御を示すフローチャートである。
【図9】(a)は同上破砕機の流体圧モータの負荷圧変化を示すグラフ、(b)は(a)の負荷圧変化に対応して制御した破砕装置の速度を示すグラフである。
【図10】(a)は従来例の破砕機の負荷圧変化に対応する回転数の制御を示すグラフ、(b)は(a)の制御に対応するトルクの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0107】
10 破砕機
22,23 破砕装置
22d,23d カッタ
22m,23m 流体圧モータとしての破砕装置用油圧モータ
86,87 電磁比例弁としての低速軸作動用電磁比例弁
88,89 電磁比例弁としての高速軸作動用電磁比例弁
103 電磁切替弁としての2速切替電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転により被破砕物を破砕する破砕装置と、
この破砕装置を回転駆動させる可変容量型の流体圧モータと、
流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して流体圧モータに供給される流体の流量を制御する電磁比例弁と、
流体圧モータの負荷圧の大きさに対応して、電磁比例弁による流量制御と独立して流体圧モータの容量の大小を切替える電磁切替弁と
を具備したことを特徴とする破砕機。
【請求項2】
電磁比例弁は、流体圧モータの負荷圧が第1閾値以上である場合に流体圧モータに供給される流体の流量を減少させ、
電磁切替弁は、流体圧モータの負荷圧が第1閾値よりも大きい第2閾値以上である場合に流体圧モータの容量を大きい方に切替える
ことを特徴とする請求項1記載の破砕機。
【請求項3】
電磁比例弁は、対をなして設けられ、
一方の電磁比例弁は、破砕装置の正転用であり、
他方の電磁比例弁は、破砕装置の逆転用である
ことを特徴とする請求項1または2記載の破砕機。
【請求項4】
破砕装置は、対をなして設けられ、
一方の破砕装置は、複数のカッタを備える低速駆動用であり、
他方の破砕装置は、一方の破砕装置よりも多くのカッタを備え一方の破砕装置よりも高速で回転する高速駆動用である
ことを特徴とする請求項3記載の破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−69388(P2010−69388A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238074(P2008−238074)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】