説明

破砕装置及び破砕方法

【課題】
塊状或いは長尺材のように回転刃により直接に噛み込むことが難しい破砕対象物を破砕することが可能な破砕方法及び破砕装置を提供する。
【解決手段】
二本の破砕ロータ7、8の外周にそれぞれ設けられた回転刃23、24で破砕対象物14を挟んでその表面を削切する工程と、削切された破砕物を二本の破砕ロータ7、8とその間に配置された中間板9とで分断しつつ環状の細断空間16に送り破砕する工程と、細断空間16内の破砕物17を回転刃23、24及びロータ7、8から付与される攪拌力で複合破砕する工程とを備え、破砕された破砕物の中から規定寸法以下の破砕片45をスクリーン15で選別し、収集する構造を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転するロータに設けられた回転刃により一般の廃棄物あるいは産業廃棄物(以下では破砕対象物ともいう)を一定の大きさ以下の破砕片に細かく裁断・破砕する破砕機構を備えた破砕装置及び破砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
破砕装置は、破砕対象物を剪断刃や回転する刃によって小さな破砕物や破砕片に細断して、大きさがまちまちな破砕対象物を取り扱いが容易な一定のサイズ以下の破砕片(以下では、企図された一定の大きさ以下に破砕された破砕物を破砕片ともいう)に細かく裁断・破砕する装置であり、廃棄物から資源を回収するリサイクルや焼却の前処理工程等に用いられている。
【0003】
このような破砕装置の中には、二本の破砕ロータに回転刃を取付け、破砕ロータと共に回転する回転刃で破砕対象物を挟みこみつつ回転刃で裁断するようにして破砕対象物を破砕する二軸破砕機(例えば、特許文献1参照)と、一本の破砕ロータに回転刃を取付け、破砕ロータによって回転される回転刃を破砕対象物に押し当てて破砕対象物を削るように破砕する一軸破砕機(例えば、特許文献2参照)とがある。
【0004】
二軸破砕機は、破砕対象物を挟みこみつつ回転刃で裁断破砕する破砕機構なので、回転刃に破砕対象物を挟み込まなければ裁断が進まない。破砕された後の破砕物の大きさは、回転刃の幅と回転刃のフックの大きさで決まるため、破砕対象物を小さな破砕片に破砕する際の破砕比(以下では単にサイズリダクションともいう)を大きく取れない欠点がある。また、回転刃の幅やフックの大きさを、破砕対象物に対して相対的に大きく取れば、破砕対象物の引き込み能力は高くなるが、破砕時に回転刃一枚ごとにかかる破砕負荷が大きくなり、特に塊状の破砕対象物の場合は、破砕が困難となる欠点がある。
【0005】
これに対し、一軸破砕機では、破砕対象物に回転刃を押し付けて破砕対象物の一部を削り取る破砕機構なので、破砕ロータに取付けた回転刃の大きさが、破砕対象物に対して相対的に小さくても破砕が行うことができ、サイズリダクションを大きく取れる利点がある。反面、回転刃の大きさが破砕対象物に対して小さいことから、破砕対象物を引き込む能力が不足するという欠点、破砕処理能力が二軸破砕機と比較して少ないという欠点があった。このため、従来の一軸破砕機は、プッシャーなどの押し込み装置を取付け、押し込み装置によって強制的に破砕対象物を回転刃に押し付けることで引き込み能力の不足を補っていた。しかし、破砕する破砕対象物が丸太などの大きな固形物の場合に、押し込み装置で破砕対象物を回転刃に押し付けた状態のままで破砕が進んだときは、回転刃が破砕済みの同じ場所を通過して破砕が進まなくなったり、回転刃の刃形に破砕対象物が削り取られてその刃形が回転刃のガイドとなって破砕対象物の姿勢を固定するようになり、結果として破砕が進まなくなったりするという欠点があった。
【0006】
また、一軸破砕機の押し込み装置を改良して、送りコンベアと送りローラとを用いた押し込み装置で被破砕物を挟み、被破砕物先端部を破砕ロータに向かって片持ち梁状に突出させ、この突出した先端部に回転する破砕ロータの破砕ビットを衝突させることで、大雑把に被破砕物先端部を予破砕する破砕機もある。予破砕された被破砕物は破砕ロータの回転方向に沿うように導かれて機体に固定された複数のアンビルに順次衝突し、その衝撃力によってさらに細かく破砕(本破砕)される。本破砕された木材破砕物は、篩い部材の開口部を通過可能な粒度となるまで破砕ロータの外周側の空間を回りつつ、破砕ビットやアンビルによってさらに衝撃力を加えて破砕され、篩い部材の開口部を通過可能な粒度にまで小さくなって篩い部材の外部へ排出されるようにした装置もある。(例えば、特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−161872号公報(第4−第10頁、図1-図5)
【特許文献2】特開2008−284486号公報(第5−第8頁、図1-図3)
【特許文献3】特開2002−346418号公報(第3−第4頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
大きな破砕対象物でも直接に破砕を開始して一定の大きさ以下の破砕片に破砕することができる破砕機構を一台の装置として組み込むことにより破砕効率とサイズリダクション機能とを向上させた破砕装置および破砕方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の破砕装置は、
離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンと
を備えていることを特徴とする。
【0010】
第1本発明の破砕装置において、前記中間板は、前記二本の破砕ロータのそれぞれに対応して破砕ロータの軸方向に延びた前記刃を構成する側縁を2辺とする矩形状平板からなることが好ましい。
【0011】
第2発明の破砕装置は、離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンと、
前記二本の破砕ロータの負荷をそれぞれ独立して検知するセンサーと、
破砕対象物の量及び/又は物性に対応した破砕ロータの制御パターンを記憶した記憶装置と、
上記センサーで検知された負荷の値に応じて選択された破砕ロータの制御パターンを基に前記二本の破砕ロータの回転方向及び/又は回転数をそれぞれ独立して制御する制御装置と
を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の破砕方法は、
離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンとを備えた破砕装置により、
破砕対象物の表面部を前記回転刃を用いて削切する第一の破砕工程と、
削切された破砕物を前記回転刃と前記中間板の前記刃で破砕する第二の破砕工程と、
前記固定刃と前記回転刃とで破砕物を細かく破砕する第三の破砕工程と、
前記中間板とスクリーンと中間板とで囲まれた環状空間にある破砕物を回転刃で攪拌して破砕する第四の破砕工程と
を有することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の破砕方法において、
破砕装置はさらに二本の破砕ロータをそれぞれを独立して駆動する電動機と、
前記二本の破砕ロータにかかる負荷をそれぞれ独立して検知するセンサーと、
破砕対象物の量及び/又は物性に対応した破砕ロータの制御パターンを記憶した記憶装置と、
上記センサーで検知された負荷の値に応じて選択された破砕ロータの制御パターンを基に前記二本の破砕ロータの駆動電動機の回転方向及び/又は回転数をそれぞれ独立して制御する制御装置とを備え、
破砕対象物投入時に低速で破砕ロータを所定回転数、内側方向と外側方向に回転させ、
破砕対象物投入時の負荷の変化をセンサーで検知する工程と、
センサーで検知された値をあらかじめ登録しておいた破砕パターンと照合する工程と、
投入された破砕対象物に最も近似した最適破砕パターンを選択する工程とを有し、
選択された最適破砕パターンを基に破砕運転制御を行なう
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、破砕装置に削切、分断、剪断、裁断、圧壊・摩壊その他の複合破砕等の種々の破砕機能を一つの機体に組込んだ破砕装置にすることにより、破砕装置に大きなサイズリダクション能力を付与することができる。また、これにより、従来の破砕機では実現できなかった大きな破砕対象物を、一台の破砕装置で企図した大きさ以下の破砕片に細かく破砕することが可能な破砕装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る破砕装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る破砕装置を示す平面図である。
【図3】図2に示す破砕装置のA―A断面を拡大して模式的に示す説明図である。
【図4】図2に示す中間板部分を拡大して模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の破砕装置の運転制御の一実施形態に係るフローチャートの例を示す図である。
【図6】本発明による破砕装置の運転制御パターンの一実施形態に係るメモリ内容を示す図である。
【図7】本発明の破砕装置の主要部を模式的に展開して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る破砕装置及び破砕方法の実施形態を図面に基づき説明する。
【0017】
本発明の破砕装置は、一実施形態として図1乃至図4に示すように、破砕対象物の投入に供されるホッパー1と、該ホッパー1の下部に設けられた破砕室2と、破砕室2の下部に取付けられた排出シュート3とこれらを収納するハウジング4から破砕装置本体が形成されている。
【0018】
破砕室2は、図2及び図3に示すように、ハウジングの側壁5、6と、端壁12、13とで画成され、二本の破砕ロータ7、8(以下では単にロータともいう)と未破砕の破砕対象物14の支持台を兼ねる中間板9、固定刃10、11とを有している。二本のロータ7、8は、後述するように、破砕ロータ7、8の回転軸方向に配設された複数の回転刃23、24が互いに接触しない距離に離間して平行に配置され、端壁12、13に取付けられたベアリング20、21によって回動自在に支持されている。破砕室2を形成する壁5、6、12、13(側壁、端壁)の上部は、破砕対象物を取り込み易くするために上方に向かって広がるように開口してホッパー1を形成し、破砕室2の下方にあるロータ7、8の下には、破砕されて落下する破砕物17を受けるスクリーン15が取付けられている。
【0019】
ロータ7、8は、それぞれ独立して、ベクトルインバータモータなどの可変速制御可能な電動機25、26により相互に独立した回転の方向、回転速度、出力トルクで回転駆動されるように構成される。これにより、ロータ7、8は、図3及び図4の矢印で示すような方向、即ち、破砕室2から中間板9を経て固定刃10、11への方向(以下ではこの方向を内側方向ともいう)及び固定刃10、11側から中間板9を経て破砕室2側方向(以下ではこの方向を外側方向ともいう)の回転方向に駆動される。また、ロータ7、8にかかる負荷が軽ければ、回転速度を上げたり、軽いトルクの省エネルギー運転(以下省エネ運転ともいう)にしたり、また、後述するように破砕負荷が極度に増加したり極度に低下したりしたときは、ロータ7、8を逆転するように制御される。
【0020】
ロータ7、8の外周表面には、回転刃23、24が取り付けられている。図2では、それぞれのロータ7、8の周面からの高さの等しい回転刃23、24が、ロータ7、8の回転軸方向の全長にわたって、軸方向の所定位置に1本ずつ、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして配設され、ロータ7、8の周面の殆どの部分には回転刃23、24が配設されていない。このため、後に詳述する中間板9の側縁37乃至39とロータ7、8の外周とは、略全長にわたって回転刃23、24が存在せず、長い隙間40、換言すれば、回転刃23、24の突出量の寸法(例えば、30mm)の長い隙間40が中間板9とロータ7、8の外周面との間に形成されている。
【0021】
このような回転刃23、24の突出の寸法(回転刃23、24の先端がロータ7、8の外周面から突出した刃の高さ)は、中間板9とロータ7、8の外周面との間の隙間40の寸法より僅かに小さく、換言すれば、後述する細断空間16の厚みにもなるので、破砕装置に投入される破砕対象物の種類によって、回転刃の形状と同様に突出の寸法も破砕対象物に適合した値に選択して決定される。例えば、破砕対象物14が柔らかい物性、破砕し易い物性を持った物質の時は、単一の回転刃にかかる負荷は小さいので、回転刃23、24が大きな形状、周面から高く突出した形状であっても破砕を行なうことができ、回転刃を大きくした分だけ破砕装置の破砕効率を上げることができる。逆に、破砕対象物14が硬い物性、破砕し難い物性の物質の時は、単一の回転刃にかかる破砕負荷が大きいので、回転刃23、24は、その負荷に応じて小さくて剛性のある刃、周面からの突出量を少なくした形状の刃にして、同じロータの駆動力でも確実に破砕対象物の破砕が行えるようにするのが好ましく、このようにすることにより、回転刃の損傷を防ぎ、或いは、定格負荷を超えて生じる運転停止の事態も減じ、破砕装置全体としての稼働率を上げ、破砕効率を高めることができる。
【0022】
また、回転刃23、24は、いずれも破損時等に、それぞれが独立して交換できるように補強具28を用いて着脱自在にロータ7、8の外周面に固着されている。回転刃23、24は、内側方向に回転する時、中間板9と協働し及び/または固定刃10、11と噛合うことにより破砕物17を破砕するようになっている。図2に示す回転刃23、24は、例えば、一辺が約40mm程の長さの三角形の刃先をロータ周面から外側に約30mm突出するようにロータの周壁に取付けられた構造を有し、このような構造の回転刃23、24が、例えば、20本、ロータ7、8の回転軸方向の全長にわたって、軸方向の所定位置に1本ずつ、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして取付けられている。この回転刃の大きさや突出量、その本数は破砕機に投入される破砕対象物の種類によって適宜選択して決定される。
【0023】
例えば、破砕対象物14が柔らかい物性、破砕し易い物性の時は、ロータ7、8にかかる負荷も少ないので、ロータ7、8に多くの回転刃を形成し、多くの回転刃で破砕を行ない、破砕効率を上げることができる。例えば、ロータ7、8の回転軸方向の全長にわたって、ロータ7、8の軸方向の所定位置に3本ずつの回転刃23、24が、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして配設されたときは、ロータ7、8の回転軸方向の特定の位置にある破砕対象物14と回転刃23、24との接触部分が、ロータ7及び/又は8の一回転ごとに回転刃23及び/又は24から3回の破砕の作用を受けることになり、同じ駆動力の場合に、破砕装置全体としての破砕能力を高めることができる。
【0024】
回転刃23、24の回転駆動は、電動機25、26の回転力が、それぞれ減速機29a、29b、カプリング36a、36b及びロータ7、8を介して伝達される。電動機25、26は、図2に示す制御装置27に接続され、破砕対象物を破砕する負荷の状況に応じて、ロータ7、8がそれぞれ独立した回転方向と回転速度・回転力(出力トルク)で駆動されるよう、制御装置27によって制御される。例えば、電動機に供給する電流が定格電流値を超えたら、いずれの電動機25、26も優先して駆動を一旦停止される。
【0025】
二本のロータ7、8の間に設けられた中間板9は、図2及び図3の実施形態では、回転刃23、24と対峙する上方の辺が、略直角の断面でロータ7、8の回転軸方向に直線状に延びた側縁37乃至39が断面直角の軸方向に延びる刃を上側に形成した矩形状の中間板31、32、33を使用している。この中間板31、32、33は、図4で示すように、矩形の中間板31、32、33の板の幅寸法を変えて階段状に積上げることにより、中間板の側縁37、38、39が、回転刃23、24の刃先の回転により形成される円形の軌跡46、49にそれぞれ接するような僅かな隙間、例えば、0.5mm程度の隙間47(図4)を有して、軌跡46、49に沿うように多段に重ねて台板35にボルト34で着脱自在に取り付けられている。
【0026】
また、中間板9の側縁37乃至39は上述のような隙間で取り付けられるので、ロータ7、8の外周との間に形成される隙間40は、中間板9の取付け位置によって殆んど変わらない。しかし、中間板9の中の最も上に位置する中間板31の取付け位置を、二本のロータ7、8の回転軸22を結んだ線から遠ざける方向(図4の下の方向)に位置させるときは、破砕対象物14を支える位置が低くなり、側縁37と回転刃の刃先が形成する回転軌跡46、49とが成す角度が小さくなるので、回転刃23、24によって削切された破砕物17が細断空間16に引き込まれ易くなる。逆に、回転軸22を結んだ線から近づける方向(図4の上の方向)に位置させるときは、側縁37と回転軌跡46、51とが成す角度が直角に近くなるので回転刃23、24によって削切された破砕物17が細断空間16に引き込まれ難くなる。このような中間板31の取付け位置の高さは、破砕対象物の硬さや、大きさなどに応じての調整され、引き込まれ難い物性、破砕され難い破砕対象物の時は、回転軸22を結んだ線から遠ざけ、引き込まれ易い物性の破砕対象物の時は中間板31の取付け位置を回転軸22を結んだ線に近づける方向に調整することにより、ロータの駆動力や回転刃の大きさとの整合性を高め破砕能力を高めるようにしている。なお、図示の実施形態において中間板9の側縁37乃至39の形成する刃は直線状に軸方向に延びているが、回転刃と干渉しなければ、直線状でなくとも良い。
【0027】
なお、中間板の側縁37乃至39を複数に分割し、多段に台板35に取付ける場合に、刃先の回転の軌跡46、49方向のみならず、図2に示すように、ロータ7、8の回転軸方向に分割した中間板42、43、44としてボルト34で台板35に取付けた中間板9を用いても良い。これらの多段の中間板31乃至33や軸方向に分割された中間板42乃至44は、その一部に破損が生じたときに、破損した箇所の中間板例えば、31乃至33、42乃至44のいずれか破砕した中間板だけを取外して正常な側縁37乃至39を持つ中間板と交換することができるので、中間板9の補修が簡便になり、破砕装置の稼働率を高めることができる。
【0028】
なお、上述の中間板9に用いた中間の語は、本発明の説明を平易にするため、破砕ロータ7と8との間に位置する板として、便宜的に使用した語である。従って、中間板9は、破砕対象物14をロータ7、8の間に支え、破砕物17がロータ7、8の間を抜けて細断空間16に落下するのを防ぐとともに、回転刃23、24によって削られた破砕物17が、中間板の側縁37乃至39と回転刃23、24の刃先との間の僅かな隙間47を通ることによって分断されながら、ロータ7、8の外周と中間板9との隙間40を経て、細断空間16に落下させる機能を持たせた支持台のような部品なので、著しく磨耗し易い部材でない限り中間板9は、金属やセラミックの単なる平板材でも良く、ロータ7、8に対峙する側縁37乃至39がある程度の耐磨耗性を有した素材であれば、他の材質の中間板であっても本発明の中間板の機能は果たせるものである。
【0029】
また、中間板9は、例えば、中間板9の側縁部分(図3の37乃至39に対応する部分)について、該側縁37乃至39部分のみを、耐久性のあるセラミックやハイス等の刃材としたり、該側縁37乃至39部分の形状を回転刃23、24の刃先と噛合う山型の刃型の固定刃或いは平型の固定刃を用いたりしても良く、材質や形状を変えた中間板としても本発明の思想を逸脱しないことは言うまでもない。さらにまた、中間板9は、上記のような機能を有した板なので、その積み上げ段数も、図3に示した3段に限らず、破砕する破砕対象物の種類や物性、その大きさによっては、例えば、1段とか2段或いは4段以上に重ねた中間板にしても良いことは云うまでもない。
【0030】
固定刃10、11の取付け位置は、図2及び図3に示すように、二本のロータ7、8の回転軸22を結んだ線より高い位置において側壁5、6に取付けられている。固定刃10、11は、回転刃23、24の回転時に、この回転刃23、24と噛合って破砕物を切断・破砕する刃先を有している。図2の例は、回転刃23、24が三角形の刃型なので、固定刃10、11は、この三角形の刃と噛合う山型の形状(以下では山刃型固定刃ともいう)をした刃先48を有している。この刃先48は、回転刃23、24が、内側方向の回転のときに、破砕対象物を切削する向きの刃を有し、ロータ7、8が内側方向の回転のときに回転刃23、24の刃先(図2の例では、三角形)と噛合って、破砕物17を山刃48の形に切断或いは裁断・破砕する向きに刃先が形成されている。
【0031】
このような山刃型固定刃10、11の刃先の向きの構造は、ロータ7、8が外側方向の回転するときには回転刃23、24の刃先が固定刃10、11の刃先と噛合うものの、刃の向きが逆なので、いわゆる裁断とか切断する刃というよりは、むしろ、回転刃の背面と固定刃の山刃の背面とが噛合うことによる摩擦による切断・破砕が行われたり固定刃10、11や回転刃23、24の刃先に付着している破砕物17の残滓の除去をしたりする働きとなる。
【0032】
なお、図3に示す53は、破砕ロータ7、8の内側方向の回転でみたときに、固定刃10、11の下手側に設けられた蔽い板である。この蔽い板53は、破砕ロータ7、8が内側方向に回転し、回転刃23と固定刃10、回転刃24と固定刃11とがそれぞれ噛合って破砕物を裁断したり、固定刃10、11から破砕物が押し出されたりしたときに、破砕物17が破砕室2内に飛散するのを防止する蔽いとなるものである。
【0033】
図2及び図3に示すスクリーン15a、15bは、破砕物中に混在する一定の大きさ以下の破砕片45が通ることができる寸法を有した穴18(破砕装置において、予め企図された大きさ以下に破砕された破砕片が通過できる穴)が形成され、該スクリーンをロータ7、8に沿って破砕対象物を裁断及び/又は破砕用の回転刃23、24がロータ7、8の周面から突出する寸法(例30mm)と略同じ間隔をあけて、ロータ7、8の下方の周面に沿うように取付けられる。これにより、ロータ7、8の下面とスクリーン15との間で、中間板9から固定刃10、11に至る間には、回転刃23、24の突出寸法乃至は突出寸法より僅かに大きい寸法の厚みをもって所定角度にわたって部分環状すなわち半円弧状の細断空間16a、16bが形成され、破砕物17がこの細断空間でも破砕されるようにするため、スクリーン15には、摩耗及び破砕の外力に対して充分の強度をもった材料を使用している。
【0034】
細断空間16では、中間板9とロータ7、8との協働によって破砕された破砕物17を受けて破砕片45をスクリーン15で分離すると同時に、後述する如く回転刃23、24の回転力を用いた破砕物17の破砕も行なわれる。
【0035】
図2に示す41は、ロータ7、8と電動機25,26との間に取り付けられて、ロータにかかる破砕負荷の大きさを検出するセンサー、例えば、電流計である。制御装置27には、破砕装置に投入された破砕対象物の種類や破砕量に応じたロータの回転制御をするのに必要な各種のデータが制御パターンとしてメモリ50に予め入力され記録されている。これにより、制御装置27は、ロータ7、8のそれぞれのセンサー41から入力される信号に基づいて、破砕対象物14の性状及び/又は破砕対象物14の量を判断して、投入された破砕対象物14の破砕に最適な制御パターンを制御装置のメモリ50に予め記憶されている制御パターンの中から選定し、そのパターンの制御値を基準にして各ロータに取付けられている回転刃23、24の回転速度、回転方向及び/又はトルクが破砕効率の向上に適した値になるように電動機25、26の制御を行う。
【0036】
最近の破砕機は、破砕対象物の種類ごとに最適な破砕能力を発揮できるように対応させた専用の破砕機もあるが、廃棄物(破砕対象物)の種類や大きさ、破砕量は一様でないことが多い。このために、区分された破砕対象物の専用の破砕機であっても投入される破砕対象物の物性や大きさ、投入された量をある程度、判断して、破砕運転制御のパターンを決定することが必要とされる。センサー41は、後述するように、このような破砕機制御にも使用される。
【0037】
なお、破砕対象物14ごとの最適な破砕パターンの制御値は、破砕装置による破砕テストの結果に基き予め定められたパターンとして破砕装置の制御装置のメモリ50に記憶され、その後の破砕装置の破砕運転時には、記憶されているパターン値を修正して再記憶され、徐々に改良された破砕パターンへ更新されるようになっている。
【0038】
また、破砕ロータ7、8及びこれを支えるベアリング20、21を有するハウジング4のある破砕装置本体側と、減速機29a、29b及び電動機25、26を有する駆動装置側とは、カプリング36を境に分離可能な構造を有して架台30に載置され、これにより、ハウジング4に収納されている破砕装置本体又は電動機などの補修のときは、カプリング36で分離することにより、破砕装置本体と電動機25、26のある駆動装置側とを分離し、補修部分だけを移動及び/または交換するなど、必要な補修作業ができる構造を有している。
【0039】
このような本発明の実施形態の破砕装置について、その働きを説明する。
【0040】
図1乃至図4において、破砕室2の二本のロータ7、8は、互いの回転刃23、24が接触しない間隔に回転軸22を離間して設けられているので、ホッパー1に投入された破砕対象物14の外形が、回転刃23、24の間隔よりも大きな寸法のときは、二本のロータ7、8の外周面の上に乗るような状態で破砕対象物14が支えられ、破砕が開始される。この状態で、回転刃23、24が内側方向に例えば、120rpm、で回転すると、回転刃の刃先は、周速で1.9m/秒で破砕対象物14に喰いこみ、破砕対象物14は、回転刃23、24による切削作用によってその表面側を削るようにして徐々に破砕される。回転刃23、24によって切削された破砕物17につながる部分があれば、破砕物17につながった部分も切削された破砕物17から引張り力を受けて破砕対象物から引き裂かれる等、破砕対象物14の表面は、回転刃による切削部分を中心にして切削以外の外力も受けながら削り取る作用を伴って第一段階の破砕(以下では「削切破砕」ともいう)が行われる。
【0041】
削切破砕によって外形の寸法が小さくなった破砕対象物14は、二本のロータ7、8の間を抜けて、中間板9の上に移動し、中間板9に支えられながら、ロータ7、8に面する部分は、ロータ7、8によって内側方向に回転する回転刃23、24で引っ掻かれるような削切作用を受け続ける。また、ロータ7とロータ8との間隔よりも小さい寸法の破砕対象物14は、最初から中間板9で支えられた状態で、回転刃23、24によって表面部分を削切破砕されるので、破砕装置に投入された総ての破砕対象物は、回転刃23、24の回転によって破砕物17となり、隙間40に引き込まれる。
【0042】
削切破砕されて隙間40に引き込まれた破砕物17は、内側方向に回転する回転刃23、24からの回転力及びロータ7、8からの摩擦回転力を受けるので、回転刃23、24の刃先及び/又は固定刃との協働作用による切断、例えば、破砕物17が中間板9の側縁37乃至39を摺りながら移動する間に、摺動による切断作用、中間板9とロータ7、8との間に挟まれた状態で回転刃23、24の回転力を受けて生じる引張力による裂断作用及び/もしくは回転刃23、24による切断作用を受け、分断された破砕物17になる。このようにして破砕対象物14から削切され隙間40に引き込まれた破砕物17は、短く分断された状態になる第二段階の破砕(以下では回転刃23、24と中間板9との協働作用によるこのような破砕をまとめて「分断破砕」ともいう)されつつ細断空間16に引き込まれる。
【0043】
細断空間16には、隙間40において、回転刃23、24や中間板9によって分断破砕されずにロータ7、8や回転刃23、24の回転力を受けて、そのまま、細断空間16に破砕物17も引き込まれてくる。細断空間16に引き込まれた破砕物の中でスクリーンの穴18を通り抜けることができる破砕片45は、排出シュート3を経て収集トレー19に落下し、まとめて破砕機の外へ回収される。
【0044】
スクリーンの穴18より大きな寸法のまま細断空間16に残った破砕物17は、ロータの外周面の摩擦による内側方向の回転力を受けつつ、回転刃23、24からは引っ掻かれるような内側方向の回転力を受けて固定刃10、11方向に送られる。固定刃10、11の山刃が回転刃23、24と噛合うところでは、噛合い箇所にある破砕物17を山刃の形に裁断する作用がある。また、細断空間16内の破砕物17は、ロータ7、8及び/又は回転刃23、24から内側方向の回転力を強く受けるので、回転刃23、24と噛合っていない山刃48の部分での山刃の孔から押し出される作用を受け、押し出し力による破砕等も組み合わされた第三段階の破砕(以下ではこれらをまとめて裁断破砕ともいう)が行われる。
【0045】
山刃型固定刃10、11を通過する間に裁断破砕された破砕物17は、一辺が山刃48の大きさとほぼ同じ寸法の大きさにまで破砕されていれば、細長い形状のまま固定刃10、11の山刃48を通り抜けることもできる。しかし、固定刃10、11を通る殆んどの破砕物は、山刃48の形とほぼ同じ大きさを有した破砕物17となってロータ7、8の回転とともに破砕室2に再び送られ、ここでホッパー1から投入される破砕対象物14と混合されて再び、分断破砕の破砕工程及びそれに続く破砕作用を受ける。
【0046】
なお、ロータ7、8が外側方向の回転のときは、回転刃23、24の刃先は、いわゆる刃としての向きが回転方向の向きとは反対向きなので、物を切断する刃としての裁断機能は小さいが、回転刃23、24部は、破砕室2の破砕対象物を中間板9側からホッパー1側に移動させ、細断空間16の破砕物17を固定刃10、11側から中間板9側に移動させるように機能する。一方、中間板部の隙間47や固定刃10、11の山刃部分は狭いので、この部分の破砕物17は内側回転のときと同様に分断されたり剪断破砕されたりする。また、隙間の狭くない中間板の隙間40付近の破砕物17は、その残滓の移動や除去がなされ、或いは、刃の背面に付着している破砕物の残滓の除去が行われる。
【0047】
一方、分断破砕されずに細断空間16に残った破砕物17は、回転刃の回転により、引続いて裁断破砕を受けつつ、細断空間内で次に述べるような破砕作用を受ける。また、細断空間においてスクリーンに面して山型固定刃10、11方向へ移動する破砕物17の中で、スクリーンの穴18を通り抜ける程度に小さく破砕された破砕物17は、破砕片45として、細断空間16から収集トレー19に落下し、これにより、この破砕装置の運転中は、細断空間16の破砕物17の量が次第に減少し、破砕装置にかかる破砕負荷は徐々に減少する。
【0048】
細断空間16に引き込まれた後、上述した裁断破砕を受ける前の破砕物17や裁断破砕を受けないままに細断空間16に滞留している破砕物17は、ロータ7、8表面から受ける摩擦回転力及び回転刃23、24から受ける回転力によって内側方向や外側方向の回転の力及び/又は回転軸方向の力を受け、破砕装置の運転中は継続して激しく攪拌され続ける。このときのロータ及び回転刃の回転周速度は上述のように例えば、1.9m/秒の速度を有しているので、破砕装置の運転中は、ロータの回転方向に拘わらず、細断空間の破砕物17が受ける攪拌力は、破砕物同士の激しい衝突、破砕物相互の擦れ合い等の作用による破砕や圧壊、破砕物とロータの外周の壁面及び/又はスクリーン15の壁面との間の摩擦破壊、スクリーンの穴18に引っかかった状態で受ける回転刃23、24による切断、山型固定刃10、11を通過する前の破砕物17との間に挟まれた状態で次の破砕物に押されて生じる圧壊等の破砕作用となり、破砕物17は、第四段階の破砕によって、次第に細かく破砕(以下では「複合破砕」ともいう)される。複合破砕された破砕物17の中でスクリーンの穴18を通り抜ける程度の寸法以下に小さく破砕された破砕物は、細断空間16内を移動する間に順次、破砕片45として、収集トレー19に落下する。一方、スクリーンの穴18を通過できずに細断空間16に残った破砕物17は、さらにロータ7、8及び/又は回転刃23、24の作用を受け続けて裁断破砕及び複合破砕が繰り返される。
【0049】
この複合破砕では、回転刃23、24と固定刃による裁断破砕のような刃の形状や大きさによって決まる破砕ではないが、複合破砕によって得られる破砕物17の大きさは、破砕装置が有する刃の寸法よりも小さな寸法の破砕片にまで破砕することができる。
【0050】
例えば、回転刃23、24及びこれと噛合う固定刃10、11の大きさが一辺40mmの山型の刃を用いる時であっても、複合破砕時には、破砕物17を更に細かく破砕でき、細断空間のスクリーン15の穴の大きさを約10mmの穴にすれば、破砕対象物14は、この穴18を通過する10mm以下の破砕片45として、破砕装置から、収集することができる。
【0051】
このようにして破砕装置に投入された破砕対象物14は、回転刃23、24により削切する第一の破砕工程と、削切された破砕物17を回転刃23、24と中間板9との協働作用で分断する第二の破砕工程と、回転刃の回転軸を中心に中間板9と対向する位置に設けられた固定刃10、11と回転刃23、24とを用いて前記削切された破砕物17及び/又は分断された破砕物17を裁断する第三の破砕工程と、破砕された破砕物の中に混入する一定の大きさ以下の破砕片45をスクリーンの穴18で選別する工程と、細断空間16にある破砕物17を回転刃23、24及び/又はロータ7、8で攪拌して複合的に破砕する第四の破砕工程とを経る間に、ホッパー1に投入された破砕対象物14は、一定の大きさ以下の破砕片45となって、排出シュート3から破砕装置の外へ排出され、収集トレー19に集められて次の処理工程に送られたり、又は破砕装置外に回収されたりする。
【0052】
このような工程を有する本発明の破砕装置は、例えば、回転刃23、24の回転軸22の軸間距離が380mmの装置を用いて、直径が500乃至600mmの木の丸太材の破砕対象物14を10mm以下の破砕片45にまで、一台の装置で直接に破砕することもできるものであり、従来にない大きなサイズリダクション機能を有するものである。
【0053】
なお、ロータを回転駆動する原動機は説明の都合上、電動機26、27としているが、電動機に限らず、油圧式の回転原動機やその他の可変速の原動機も本発明の駆動動力源として用いることもできる。電動機以外の駆動動力源を用いたときも、ロータ7、8が、それぞれに必要な回転方向と回転速度について、他のロータと独立して駆動制御できるように、原動機を各ロータ7、8に独立して取り付けることが好ましい。
【0054】
図5は、本発明の破砕装置の運転制御の一例を示すフローチャートであり、破砕対象物の破砕は、例えば、図6に一例として示すようなメモリ内容の制御パターンの値を基に、このフローチャートに従って破砕運転のための電動機の運転制御が行なわれる。
【0055】
このとき、破砕対象物の硬さや脆さ等の物性及び/又は量の判断、その物性に応じた破砕パターン、例えば、図6に示す切削負荷、破砕ロータの駆動負荷及び/又は電動機による駆動出力(以下では単に駆動負荷ともいう)P1−P6の値、破砕装置の安全のために、破砕ロータの回転を一旦、停止させるのが好ましいと判断する、破砕対象物の物性に応じて決められる定格負荷P0の値、破砕ロータの運転時間及び/又は電動機による破砕ロータの駆動時間(以下では単に破砕ロータの運転時間ともいう)T1-T7の最適値、破砕ロータの回転によって破砕対象物の姿勢を変えた後も、破砕負荷が増えずに、破砕物がほぼ存在しないと推測されてカウンタでカウントした数に基き、破砕運転を終了させるように判断するカウント回数の設定値N1等が破砕パターンによって制御装置に与えられ、これらの値に従って図5のフローチャートに例示するような破砕制御が行われる。
【0056】
なお、電動機25、26は、同じ制御装置27によって制御されるが、電動機25、26及び電動機により駆動される破砕ロータ7、8は、機械的には全く独立して回転でき、駆動される構造になっているので、図5のフローチャートにおいても、特に、二つの破砕ロータと書いてないSTにおいては、それぞれの破砕ロータ7、8は、各破砕ロータが有するセンサー41によって検出される値に応じて、他の破砕ロータから独立して個別に回転方向及び回転速度が制御される。
【0057】
図5において、ステップ1(以下では、ステップをSTとも略記する)は、破砕装置のホッパー1に破砕対象物14が投入されて、破砕を開始する。この運転開始時に、投入された破砕対象物の物性と量を推測・判断するために、二本の破砕ロータを短時間、低速で内側方向の回転と外側方向に回転する動作を数回繰り返す。このとき、それぞれのロータ7、8にかかる負荷の大きさと負荷の量(例えば、負荷の大きさと各大きさがかかった時間の積)の変化をセンサー41で検出する(ST2)。
【0058】
例えば、破砕ロータを上記のように短時間、両方向に回転させれば、ロータ7、8の全長にわたって分散して取付けられている回転刃23、24が、破砕対象物14を少しずつ破砕したり、回転刃23、24と破砕対象物14との当りを変えたり、或いは、破砕物17を分断したり裁断するので、その時々の負荷の大きさの変化量は、それぞれのロータ7、8にかかる負荷の量として、センサー41によって検出される。この値は、破砕対象物の物性に応じた特有の値があるので、このときのセンサー41の検出結果に基き、投入された破砕対象物の物性を推定し、その物性に最も近似した破砕制御パターン(例えば、図6)を選択し、その制御パターンに従って破砕装置の運転を開始し、制御装置27は、その選択された破砕パターンで電動機25、26、破砕ロータ7、8の運転制御をする。
【0059】
なお、この制御パターンはすべての破砕対象物を網羅しているわけでもないので、曖昧に近似した破砕パターンで破砕運転の制御がおこなわれることもある。また個別の破砕制御では、ST3以下の制御を行なう間に、破砕運転者の判断で、選択された制御パターンと異なる運転時間や駆動負荷の値を手動で入れて制御を行う事態もあり、このような曖昧なパターンの選択や運転者の判断により、制御値が入力された場合は、入力された破砕力や運転時間をそれぞれの制御負荷値によって、あらかじめ記憶されている破砕パターンを修正した制御の値及び/又は新しい値を持った破砕パターンとしての創製も行われ、メモリ50に記憶する機構も組み込まれている。
【0060】
破砕負荷が定格値P1より大きいかというST3の判断において、負荷が定格値P1より小さい(NO)と判断された軽負荷のときは、破砕ロータを高速で運転(ST9)して破砕効率を上げたり、ST11以下のSTのような省エネ運転をしたりする。
【0061】
定格値P1より大きい(YES)と判断された重負荷のときは、二つのロータ7、8を低速回転(ST4)させつつ、それぞれのロータ7、8のセンサー41に基く独立した制御により、上述したような削切破砕、分断破砕、裁断破砕、複合破砕などが行なわれるように制御装置27で、破砕ロータを制御する。本発明の破砕装置が有するこのような破砕工程を組合わせて破砕装置をできる限り停止させずに運転することにより、破砕負荷の大きい破砕対象物の破砕を続けさせ、破砕装置の運転効率を向上させる。
【0062】
ST4の破砕において、ロータの回転刃23、24が破砕対象物14に食い込むとか破砕室2における破砕対象物14の偏在等でいずれかのロータ及び/又は双方のロータ7、8に過大な負荷P4がかかるとか、偏在が原因で回転刃23、24の破損や電動機25、26の焼損のおそれがある負荷P4がかかった状態のまま(二つのP4の値は破砕対象物の物性によって異なる。物性ごとにいずれかの負荷の値がP4としてパターンに記憶されている)、設定のT3時間継続したときは、ST5の判断はYESとなり、破砕対象物の破砕が充分に破砕されずに重負荷のままの状態にあるとか、破砕に何らかの支障が生じ、破砕効率が低下していると推測されるとしてST6へすすむ。
【0063】
一方、ST4の破砕において、負荷の値P4の状態の破砕が、設定されたT3時間継続しないときは、ST5の判断はNOとなり、多量の破砕対象物14の破砕が順調に行われて破砕対象物が減少したとみなして再びST2に戻り、破砕対象物の破砕負荷の量を測定する。このとき、破砕装置に新しい破砕対象物14が次々と投入されていれば、ST3で再び(YES)、重負荷と判断され、制御装置27による運転は、ST4以下の破砕制御が行われる。
【0064】
破砕対象物の追加投入の量が少なく、センサー41の検出値が、ST3で破砕負荷がP1より大きくない(NO)と判断されれば、ST9以下の軽負荷の破砕制御サイクルで破砕が続けられる。
【0065】
ST5において、いずれかのロータに定格値P4より大きな負荷がかかっていて、この過大な状態が一定のT3時間以上継続している(YES)ときは、ST6以下のステップでは、破砕の異常状態、例えば、二本のロータ7、8が二本とも定常の状態の回転でないのか、一方のロータだけが過負荷なのかを判断して破砕を継続する。
【0066】
ST6において、P4以上の負荷がロータにかかっていて、かつ、二つのロータ7、8の負荷の差が定格値P5よりも大きくない (NO)と判断されるときは、二つのロータ共に過大な負荷がかかっていると推測する。このような状態は、削切破砕工程で各ロータの回転刃23、24が破砕対象物14に食い込んだとき、分断破砕で回転刃23、24と中間板9との間に破砕物17が挟みこまれたとき、細断空間16に多くの破砕物17が入り込み複合破砕も裁断破砕もでき難い状態になったことなどが考えられる。
【0067】
これらのいずれの状態でもST7のようにして二本のロータ7、8を外側方向に回転させれば、その状態は解消される。回転刃23、24と破砕対象物14との食い込みや、回転刃23、24と中間板9とに食い込みがあれば、これらの食い込みが外側方向の回転によって外れ、また、細断空間16の固定刃10、11側に詰まるように偏在していた破砕物17も、ロータ7、8の外側方向の回転によって、細断空間16内に分散されるからである。
【0068】
この外側方向に回転させる時間は、上記の食い込みを外し破砕対象物14の位置を変えたり、細断空間16の破砕対象物の偏在をなくす時間であれば良い。短い時間で異常な破砕状態は解消されるので、再びST4に戻り、重負荷を前提とした破砕運転が続けられる。
【0069】
一方、ST6では、P4以上の負荷がロータにかかっていて、二つのロータ7、8の負荷の差が定格値P5よりも大きい(YES)と判断されるときは、一方のロータだけに異常な負荷状態があると推定されるので、ST8へ進む。
【0070】
ST8では、負荷が大きい側のロータをT4時間の間、外側方向に回転させる。この場合に、一方のロータの負荷だけが過大となる原因は、ST6で記した原因と同様な原因と推測され、負荷の過大な側の回転刃が破砕対象物14に食い込んだり、固定刃との間に破砕物17を多量に挟んで詰まらせたり、そのロータのある側の細断空間16だけに多量の破砕物17が偏在したり、負荷が大きい側のロータのある側の固定刃と回転刃との間に破砕物17が偏在して生じる異常状態と推定される。これらは、負荷が大きいとセンサー41で検出された側のロータを、制御パターンで設定されているT4時間の間、外側方向に回転して(ST8)異常状態を解消させ、再び、ST4に戻って重負荷の破砕運転を続ける。
【0071】
以上のようにして重負荷の破砕を開始して、破砕が進み、二本のロータ7、8共に破砕にかかる負荷が減少したとセンサー41で検出されたときは、二つのロータ7、8共に定格値P4より低い負荷状態で、設定T3時間以上運転が継続し、上述のように、破砕装置の重負荷運転は必要ないと判断されるので、制御装置27は、ST9以下の軽負荷運転の制御及び/又は破砕運転を停止するかの判断をST3で行う。
【0072】
ST3で、破砕負荷が定格値P1より大きくない(NO)と判断されたときは、軽負荷に対応してロータに取付けられた回転刃23、24が高速回転で運転され(ST9)、破砕装置では効率の良い破砕運転が行なわれる。
【0073】
ST10は、上記したT1時間の高速運転の後、ロータ7、8にかかる負荷の量をセンサー41で測定して制御の継続を判断するSTである。T1時間の間の破砕運転をした後も引き続いて定格値P2以下の負荷にならないとST10において判断された(NO)時は、ST3で軽負荷と判断した以上の破砕負荷が残っていると推測され、重負荷破砕の制御の方が好ましかったとか、ST3の判断で軽負荷破砕を開始した後に、再び破砕対象物14が投入されて破砕負荷が増大していること等が考えられる。制御装置27は、再びST2に戻り、破砕負荷の物性の測定、破砕量の推測、ST3による負荷の多さの判断をして、その判断結果に応じて、重負荷ならST4以下の運転制御、軽負荷ならST9以下の運転制御をすることにより、破砕装置が効率良く破砕運転を行なうように運転制御を行う。
【0074】
高速回転による破砕の後、定格値P2以下の負荷がT1時間、継続した(YES)とST10において判断された時は、破砕が順調に進んだと推測されST11の省エネ運転にすすむ。
【0075】
ST12は、ST11の省エネ運転を継続した後の制御を判断するSTであり、省エネ運転による破砕の後、定格値P3以下の負荷がT2時間、継続した(YES)とST12で判断された時は、破砕がさらに順調に進んだと推測し、ST13以下の運転停止の判断制御のSTに進む。
【0076】
ST13は、ST11の省エネ運転よりも小さな定格値P6以下の負荷がT6時間、継続した(YES)とで判断された時は、破砕がさらに順調に進んだか、又は、破砕対象物の切削された同じ空洞部を回転刃が回転していて、破砕負荷が定格値P6以下になっていると推測し、カウンタ(図示省略)に1を加算し(ST15)、ST16でカウンタの加算値が設定値N1に達していない(NO)時は、ST17に進む。ST17は、破砕対象物の切削された同じ空洞部を回転刃が回転しているかもしれない事態の解消を図るために、二つのロータ7、8をT7時間逆転させるSTであり、この逆転をさせた後にST9に進む。
【0077】
一方、ST13において、定格値P6以下の負荷がT6時間、継続されない(NO)と判断された時は、何らかの破砕負荷が残っていると推測されるので、上述のカウンタの数をリセットして累積された加算値をゼロに戻し(ST14)、再び、ST9の高速回転の破砕に戻り、ST10以降の破砕制御を行う。
【0078】
また、ST13において、定格値P6以下の負荷がT6時間、継続した(YES)と判断され、カウンタに1を加算(ST15)するSTを繰返した結果、ST16において、カウンタの加算値が設定値N1に達した(YES)と判断された時は、破砕装置で破砕する破砕物は残っていないと推測し、破砕運転を終了する(ST18)。
【0079】
この省エネ運転中、即ち、T2の運転時間中に、仮に破砕対象物が新たに投入されるなどして、定格値P3より大きい負荷が生じたときは、ST12の判断は、NOとなる。破砕装置に未破砕の破砕物があると判断してST9に戻る。ホッパー1に新しく破砕対象物が投入されているときも、ST12でNOの判断となりST9へ進む。
【0080】
なお、上記の説明では、ST12、ST13、ST16でNOと判断されたときに戻るSTは、ST9のロータの高速回転としたが、破砕装置が使用される場所、破砕対象物の内容が予めわかっていて、破砕負荷の測定(ST2)をたびたび行う必要がないときは、制御の戻りを、適宜、ST9にしてもよい。また、逆に、破砕負荷の測定(ST2)をたびたび行う必要があるときは、ST12、ST13、ST16でNOと判断されたときに戻るSTを、ST2とすることもできる。この場合でも本発明の実質的な破砕機能は損なわれずに本発明が意図した破砕が実現できる。
【0081】
このようにして、本発明では、効率のよい破砕運転制御が行われるように、制御装置のメモリには、破砕対象物の物性に応じた破砕ロータの駆動負荷の値、破砕ロータの運転時間が破砕ロータを駆動する電動機の制御パターンとして予め記憶されている。
【0082】
また、その一方で、制御装置は、記憶されている破砕パターンとして定められ、記憶されている破砕ロータの駆動負荷の値P1-P6、破砕ロータの運転時間T1-T7に従った制御の破砕運転を進める過程において、破砕装置の運転者により、それぞれ、設定されたP1-P6の値、T1-T7の値と異なる値の手動制御が、繰り返し行なわれるようなときは、その破砕対象物の破砕パターンである駆動負荷の値P1-P6、運転時間T1-T7のパターンの値の修正を行ってメモリに記憶することも行われる。
【0083】
このような手動制御とメモリの更新及び制御パターンによる自動の破砕制御を繰り返すことによって、次第に本発明の破砕装置の制御は各種の破砕対象物に対応して、一層好ましい破砕制御が可能な制御装置に改良されるようになっている。
【0084】
図7は、このような本発明の破砕装置及び方法を、ロータ7側の部分を取出して模式的に展開して示した説明図である。図7において、縦軸のWは破砕ロータ7の幅を示し、横軸のL=2πr(rは回転刃の回転半径)は、破砕ロータ7、8の円周の長さを示している。図7では、例えば、20本の回転刃23、24がロータの幅方向(縦軸)とロータの円周方向(横軸)共に、できるだけ、相互に間をあけてロータの周面に配設されている例を示してある。この図7及び図2のいずれの場合も、回転刃23、24が、ロータの回転軸方向の全長にわたって、軸方向の所定位置に1本ずつ、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして配設されていることを示している。破砕対象物が破砕されやすい物質のときは、ロータの回転軸方向の全長にわたって、軸方向の所定位置に2本乃至数本の回転刃23、24を、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらした配設として、ロータの1回転ごとに破砕対象物を削切する回数を増やしても良い。
【0085】
しかし、回転刃23、24の配置は、ロータの幅方向と円周方向のいずれの方向にも、相互に間をあけた配置とし、ロータの回転時の回転刃と破砕対象物とが同時に当ったり、回転刃と破砕対象物との当りが偏ったりして生じる刃の干渉をできる限り少なくするのが好ましい。
【0086】
回転刃23、24は、破砕運転中は、常に、外側方向(図7の左方向)又は内側方向(図7の右方向)の回転に伴って左右に移動させられ、総ての回転刃23が、破砕室2の位置、中間板31乃至33と対峙する位置、細断空間16の位置、山刃型固定刃10の近傍の位置、山刃型固定刃10から破砕室2を経て中間板9に至る位置にあって、それぞれの位置に応じた破砕機能を果たしている。
【0087】
なお、回転刃23の刃の向きは、ロータがいずれの方向に回転する時も刃として機能させる向きでも良い。しかし、ロータが外側方向の回転のときは、刃としての機能がなくても、本発明の装置の機能に支障はないので、図では、内側方向の回転のときにいわゆる切断・裁断する刃として機能する向きに刃が形成されている。
【0088】
なお、図7の例では、回転軸方向の回転刃23は、回転軸方向に20本であり、このような回転刃23と噛合って破砕物を裁断する固定刃10には、ロータに配設された回転刃23の本数に等しい20本の山刃48が形成されている。また、図中の14は破砕対象物、15はスクリーン、18はスクリーンの穴を示している。
【0089】
図7は、本発明の破砕装置の主要な構成を図示するのみならず、本発明の破砕装置の各部における破砕機能も模式的に図示できる。例えば、図7の下半には、破砕室2部分では上述した削切破砕、中間板31乃至33部では上述した分断破砕、スクリーン15がある上述した細断空間では複合破砕、山刃型固定刃10では上述した裁断破砕がそれぞれ行われること及びこれらの破砕工程で破砕された破砕片がスクリーン15を通るときは、穴18より小さな破砕片が穴18から逐次排出されることも理解される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の破砕装置及び破砕方法は、一般の廃棄物が排出される家庭及び産業廃棄物を生じる工場や建築物の解体業者、植林や植木等の農林・植栽分野の産業に使用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 ホッパー
2 破砕室
3 排出シュート
4 ハウジング
5、6 側壁
7、8 ロータ
9、31、32、33、42,43,44 中間板
10、11 固定刃
12、13 端壁
14 破砕対象物
15 スクリーン
16 細断空間
17 破砕物
18 穴
19 収集トレー
20,21 ベアリング
22、 回転軸
23、24 回転刃
25、26 電動機
27 制御装置
28 補強具
29a、29b 減速機
30 架台
34 ボルト
35 台板
36 カプリング
37、38、39 側縁
40 隙間
41 センサー
45 破砕片
46、49 回転刃の刃先が形成する回転軌跡
47 隙間
48 山刃
50 メモリ
53 蔽い板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンと
を備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記中間板は、前記二本の破砕ロータのそれぞれに対応して破砕ロータの軸方向に延びた前記刃を構成する側縁を2辺とする矩形状平板からなることを特徴とする請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンと、
前記二本の破砕ロータの負荷をそれぞれ独立して検知するセンサーと、
破砕対象物の量及び/又は物性に対応した破砕ロータの制御パターンを記憶した記憶装置と、
上記センサーで検知された負荷の値に応じて選択された破砕ロータの制御パターンを基に前記二本の破砕ロータの回転方向及び/又は回転数をそれぞれ独立して制御する制御装置と
を備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項4】
離間して平行に配置され、互いに独立に正逆自在に回転可能な二本の破砕ロータと、
該二本の破砕ロータそれぞれの周面に破砕ロータの回転軸方向に離間しかつ隣同士の角度をずらして固定された複数の回転刃と、
前記二本の破砕ロータの間に配置され、該破砕ロータのそれぞれに配置された前記回転刃の刃先の回転軌跡近傍位置で破砕ロータの軸方向に延びた刃を前記二本の破砕ロータのそれぞれに対向して備えた中間板と、
前記二本の破砕ロータのそれぞれに関し前記中間板とは所定角度をなす位置に配置され前記回転刃と協働する刃を破砕ロータの回転軸方向に並んで備えた固定刃と、
所定寸法以下の破砕物の排出孔を形成すると共に前記二本の破砕ロータのそれぞれの下方に配置されて対応する破砕ロータの周面との間に対応する回転刃の移動を許す距離だけ径方向に離隔して前記破砕ロータの周面と前記中間板と前記固定刃との間に所定角度にわたる環状空間を形成するスクリーンとを備えた破砕装置により破砕対象物を破砕する方法であって、
破砕対象物の表面部を前記回転刃を用いて削切する第一の破砕工程と、
削切された破砕物を前記回転刃と前記中間板の前記刃で破砕する第二の破砕工程と、
前記固定刃と前記回転刃とで破砕物を細かく破砕する第三の破砕工程と、
前記中間板とスクリーンと中間板とで囲まれた環状空間にある破砕物を回転刃で攪拌して破砕する第四の破砕工程とを
有することを特徴とする破砕方法。
【請求項5】
請求項4に記載の破砕方法において、
前記破砕装置はさらに二本の破砕ロータをそれぞれを独立して駆動する電動機と、
前記二本の破砕ロータにかかる負荷をそれぞれ独立して検知するセンサーと、
破砕対象物の量及び/又は物性に対応した破砕ロータの制御パターンを記憶した記憶装置と、
上記センサーで検知された負荷の値に応じて選択された破砕ロータの制御パターンを基に前記二本の破砕ロータの駆動電動機の回転方向及び/又は回転数をそれぞれ独立して制御する制御装置とを備え、
破砕対象物投入時に低速で破砕ロータを所定回転数、内側方向と外側方向に回転させ、
破砕対象物投入時の負荷の変化をセンサーで検知する工程と、
センサーで検知された値をあらかじめ登録しておいた破砕パターンと照合する工程と、
投入された破砕対象物に最も近似した最適破砕パターンを選択する工程とを有し、
選択された最適破砕パターンを基に破砕運転制御を行なう
ことを特徴とする破砕方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−269252(P2010−269252A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123546(P2009−123546)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000121327)遠藤工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】