破砕面部材
【課題】 耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを材料が噛み込まれて行く方向へ交互に配置した破砕面部材を安価に製造する。
【解決手段】 少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体10の表面に、材料の噛み込み方向に所定間隔で配列された横リブ12,12・・・を設ける。横リブ12は、ベース層21と同じ易溶接性金属からなり、かつそのベース層21の厚さと同じかこれより低い高さである。隣接する横リブ12,12の間に、被覆ブロック20,20・・を固定配列する。被覆ブロック20は、易溶接性金属からなるベース層21の表面に耐摩耗性金属層22が積層された複合体であり、被覆ブロック20のベース層21とこれを挟む横リブ12,12との溶接により部材本体10の表面に固定される。横リブ12の上に、耐磨耗性金属層22より耐磨耗性が低い材料31を被覆ブロック20の表面とほぼ同じ高さに充填することにより、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックが材料噛み込み方向へ交互に配置される。
【解決手段】 少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体10の表面に、材料の噛み込み方向に所定間隔で配列された横リブ12,12・・・を設ける。横リブ12は、ベース層21と同じ易溶接性金属からなり、かつそのベース層21の厚さと同じかこれより低い高さである。隣接する横リブ12,12の間に、被覆ブロック20,20・・を固定配列する。被覆ブロック20は、易溶接性金属からなるベース層21の表面に耐摩耗性金属層22が積層された複合体であり、被覆ブロック20のベース層21とこれを挟む横リブ12,12との溶接により部材本体10の表面に固定される。横リブ12の上に、耐磨耗性金属層22より耐磨耗性が低い材料31を被覆ブロック20の表面とほぼ同じ高さに充填することにより、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックが材料噛み込み方向へ交互に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用される破砕面部材に関する。この形式の粉砕機として、例えばロール粉砕機、コーンクラッシャー、リングロールミル、竪型ローラミル、エッジランナー等がある。破砕面部材とは、このような粉砕機において破砕面を構成するロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等を言う。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鉱石、石炭、コークス、黒鉛、転炉、高炉スラグ、石灰石、クリンカー、岩石等の各種材料を粉砕するために、ロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等の破砕面部材を組み合わせた種々の粉砕機が使用されている。
【0003】
このような粉砕機における粉砕効率を高めるために、本出願人は、少なくとも表層部分に耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを、材料が噛み込まれて行く方向へ交互に配置した破砕面部材を先に開発し、特許も取得した(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特公平02−039939号公報
【0005】
この破砕面部材は、実際の作製では母材の表面に複数のフラットバーを噛み込み方向へ所定間隔で溶接することにより、母材の表面に耐摩耗性の低いブロックとしてのリブを形成する。必要に応じて、隣接するフラットバーの間に複数の短いフラットバーを噛み込み方向に直角な方向へ所定間隔で溶接することにより、リブを角枠状に形成する。そして、リブに囲まれた溝状の凹部や枡状の凹部に耐摩耗性の高い金属材料を肉盛り溶接により充填することにより、耐摩耗性の高いブロックを形成する。
【0006】
しかしながら、耐摩耗性の高いブロックを肉盛り溶接で形成しようとすると、一般に下向き自動アーク溶接が用いられるが、これによる肉盛り溶接ではビード幅は10〜30mmでビード高さは3〜5mmに過ぎない。一方、耐摩耗性の高いブロックの高さは、破砕面部材によっては60mm以上を要求される。また、破砕面部材の大きさもミルローラでは2mを超えることともある。このような巨大な破砕面部材の表面全体に肉盛り溶接で耐摩耗性の高いブロックを形成しようとすると大変な時間がかかり、これが破砕面部材のコストを引き下げる際の大きな障害になっている。
【0007】
この問題を解決するための一つの対策として、本出願人は肉盛り溶接を縦向き単層肉盛り溶接により効率的に行なうことを提案し、特許も取得した(特許文献2)。
【0008】
【特許文献2】特許第2863768号公報
【0009】
縦向き単層肉盛り溶接の使用により、溶接時間は短縮される。しかし、溶接姿勢、リブ形状等の面で制限が多く、その実力を十分に発揮する機会は多くない。加えて、巨大な破砕面部材の場合、溶接方法に関係なく、大掛かりな施工が要求され、溶接時間が短縮されても、全体的は施工時間はそれほど短縮されない。その一例を粉砕ローラについて説明する。
【0010】
粉砕ローラでは、大きいものは外径が2mを超え、幅は50cmを超える。しかも、外周面は回転方向に湾曲するだけでなく、自転車のタイヤのように回転軸方向でも湾曲したスフェリカルローラも使用されている。このような2方向に湾曲するスフェリカルローラの外周面に施工を行なう場合、易溶接鋼からなるローラ本体の外周面に、耐摩耗性の高いブロックの高さに相当する深さの溝を、両側部分を除いて全周にわたって形成する。この溝内に易溶接鋼からなる多数枚の横向きフラットバーを周方向に所定間隔で溶接する。更に隣接する横向きフラットバー間に、周方向を向く多数枚の短い縦向きフラットバーをローラ軸に平行な方向に所定間隔で溶接する。
【0011】
これにより、ローラ本体の外周面に、縦横のリブにより画成された軸方向及び周方向に並ぶ多数の枡形凹部が形成される。多数の枡形凹部は千鳥状に設けられることもある。最後に、多数の枡形凹部内に順番に耐摩耗性金属を肉盛り溶接していく。
【0012】
肉盛り溶接作業では、ローラが巨大なために、ローラを立て、水平なボスで軸支すると共に、これを足場で囲うことが必要である。そして、溶接する凹部などの作業部位を上に向けるために、作業の進行に伴い、ローラを周方向に回転させる。回転軸方向の中央部では、凹部は真上を向くため、ローラを周方向に回転させさえすれば、溶接施工は比較的容易である。しかし両側部では、凹部は横に傾く。比較的小径のローラは比較的容易に横に傾けることができ、両側部でも凹部を真上に向けることができる。しかし、巨大ローラの場合は横に傾けるのが困難なため、両側部では横に傾いた凹部内に肉盛り溶接を行わざるを得ない。その結果、高度の熟練を要求され、作業能率は著しく低下し、品質の安定性が低下する懸念もある。
【0013】
このように、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを材料が噛み込まれて行く方向(周方向)へ交互に配置した粉砕ローラは、粉砕性能及び耐久性に著しく優れるものの、製作、とりわけ耐磨耗性金属の肉盛り施工に多大の手間がかかり、その結果として非常に高価なものになっている。このため、現状では需要の広がりが阻害されており、価格の引き下げが大きな課題になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、製造コストの大幅引き下げが可能な破砕面部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するめに、本発明の破砕面部材は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性金属が被覆された破砕面部材であって、少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体と、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合体からなり、前記部材本体の表面を前記耐摩耗性金属にて覆うべく当該表面に配列されて固定された多数の被覆ブロックとを具備しており、前記被覆ブロックは、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達すると共に材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔からなる貫通孔を有し、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接することにより、前記部材本体に固定される。
【0016】
破砕面部材、例えば巨大粉砕ローラの表面に耐磨耗性金属を肉盛り溶接することは、前述したとおり非常な困難を伴う。しかし、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合被覆ブロックを製造することは、工場内で流れ作業的に効率よく製造することができる。そして、これを耐磨耗性部材の部材本体の表面に接合する作業は、易溶接性金属同士の接合であり、肉盛り溶接にくらべると格段に容易である。そして、完成した製品は、表面が耐磨耗性金属で被覆されることになり、その表面に耐磨耗性金属を肉盛り溶接にした製品とくらべて機械的性能面で遜色のないものとなる。
【0017】
本発明のより好ましい構成は、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さとほぼ同じ高さ、すなわち前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さの横リブが、材料の噛み込み方向に所定間隔で形成されると共に、隣接する横リブ間に前記被覆ブロックが配列され、各被覆ブロックのベース層とこれを挟む横リブとの溶接により、横リブ間に配列された被覆ブロックが前記部材本体に固定される構成である。
【0018】
この構成によると、部材本体の表面に形成された横リブは、被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さである。このため、横リブとベース層が通常の溶接により簡単に接合される。つまり、背の低い横リブを使用することにより、材料の噛み込み方向に被覆ブロックが簡単に固定配列されると共に、その被覆ブロック列が材料の噛み込み方向に横リブ分の隙間をあけて配列されることになる。
【0019】
そして、被覆ブロック列間の横リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して耐磨耗性の低いブロックを形成するならば、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを、材料が噛み込まれて行く方向へ交互に配置した冒頭の破砕面構造が、非常に簡単に実現される。ここにおける充填材(耐磨耗性の低い材料)としては、ろう材(例えばNiを10%含む低ヒュームのニッケル銅など)に代表される比較的低融点の金属材の他、補修剤などとして使用されるエポキシ樹脂などの樹脂材の使用も可能である。また、軟鋼、高クロム鋳鉄ライナーなどの耐磨耗性の低い金属部材を嵌め込み、ろう付けなどにより固定するような構造でもよい。この構造はろう材の節約につながり経済的である。
【0020】
この横リブを用いたブロック固定構造では、隣接する横リブ部間に複数の縦リブを所定間隔で形成することができる。縦リブも横リブと同様に易溶接性金属からなり、被覆ブロックにおけるベース層の厚さとほぼ同じ高さ、すなわち前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さである。このような縦リブを併用することにより、被覆ブロックは升形の凹部内に収容されることになり、周囲をリブで囲まれることから、部材本体への固定がより確実になる。
【0021】
横リブの場合と同様に、縦リブ上にも、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して耐磨耗性の低いブロックを形成することが可能である。横リブ及び縦リブは、部材本体の表面にフラットバーなどの別部材を溶接することで形成できるが、鋳造で一体形成することも可能である。
【0022】
被覆ブロックに関しては、特に、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達する貫通孔を設けることが必須である。これにより、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接し、前記した横リブ、縦リブなしでも被覆ブロックを部材本体に固定することができる。ただし、この場合も、横リブ、縦リブとの併用を妨げるものではない。リブとの併用により、被覆ブロックを部材本体により強固に接合することができる。
【0023】
部材本体との溶接後に被覆ブロックの表面に凹部が残るが、この凹部は噛み込み促進のためのスリットとして残すことができるし、耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して、耐摩耗性の低いブロックを形成することもできる。いずれにしても、貫通孔は、材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔とすることが必須である。そうすることにより、噛み込み性も耐摩耗性の低いブロックとしての性能も向上する。
【0024】
この長孔は、材料の噛み込み方向に対して必ずしも直角である必要はなく、傾斜していてもよい。噛み込み促進用の長穴や耐磨耗性の低いブロックを噛み込み方向に対して斜めに形成することは施工上容易でないが、被覆ブロックを製造する際に傾斜した長孔を形成することは容易である。つまり、被覆ブロックにおける長孔を傾斜させることにより、噛み込み方向に対して傾いた噛み込み促進用の長穴や耐磨耗性の低いブロックを容易に形成できるのである。
【0025】
被覆ブロックにおける貫通孔は、部材本体の表面における位置決めに利用できる。すなわち、被覆ブロックの貫通孔に裏面側から挿入される凸部を部材本体の表面に設けることにより、被覆ブロックは部材本体の表面に沿った方向で位置決めされる。
【0026】
前記凸部は、被覆ブロックのベース層に挿入され、耐磨耗性金属層に達しない高さとするのがよい。そうすることにより、この凸部をベース層と溶接でき、被覆ブロックの固定に利用することができる。
【0027】
本発明の破砕面部材を構成する部材の材質について説明する。部材本体の少なくとも表層部を構成する易溶接性金属としては、具体的にはSF炭素鋼鍛造品、SC炭素鋼鋳鋼品、SS400軟鋼、14%オーステナイトマンガン鋼、SCW410溶接構造用鋳鋼等を用いることができる。
【0028】
被覆ブロックのベース層を構成する易溶接性金属としても、前記易溶接性金属と同様、SS400軟鋼、SC炭素鋼鋳鋼品、機械構造用炭素鋼、SF炭素鋼鍛造品、SCW410溶接構造用鋳鋼等を用いることができる。
【0029】
被覆ブロックのベース層を覆う耐磨耗性金属としては、例えば高クロム鋳鉄系溶着金属、高クロム鋳鉄ロー付け材、タングステンカーバイト肉盛り材、超高合金ロー付け材などを用いることができる。特に好ましいのは、本出願人か開発した特許第3066390号の耐磨耗材である。これは50kg/cm3 以上の高面圧摩擦を受ける面部材に使用される耐磨耗性の肉盛り材であって、重量%でC:0.2〜1.8%、Cr:25%以下、Mn:11〜25%、Ni:10%以下、Si:2.5%以下を含む、マンガンを主な合金成分とするマンガンオーステナイト系合金をマトリックスとして、そのマトリックス中に、別途製造された高硬度炭化物粒子を、断面積比で20〜70%占めるように添加して分散混合させた複合材である。
【0030】
最後に、本発明の破砕面部材を構成する部材の形状、寸法について説明すると、部材本体の形状、寸法は対象物によって決定される。ローラ形状もあればテーブル形状もある。ローラ形状についても前述したタイヤ形状もあれば台錐形状もある。巨大なローラは前述したとおり外径は2mを超え、幅は50cmを超え、重量は10トンを超える。
【0031】
被覆ブロックの平面形状は基本的には四角形であるが、ハニカム形状などでもよく、特にその形状を限定するものではない。被覆ブロックにおける耐磨耗性金属層の厚みは、対象物によって決定される。すなわち、対象物に要求される耐久性等によって決定される。ベース層の厚みについては、耐磨耗性金属層の厚みを1として0.3〜0.7が好ましく、0.4〜0.5が特に好ましい。耐磨耗性金属層に比してベース層が薄すぎるとリブとの接合代が少なくなり、接合強度の不足を招くおそれがある。逆に厚すぎる場合は必要以上に接合代が増加してその後に充填する高価な充填材の量が増加し、製品製造コストを上昇させることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の前提となる粉砕ローラの一部破断正面図、図2は同粉砕ローラの製造工程を示すA−A断面図である。
【0033】
ここにおける破砕面部材は、セメント原料、スラグ、各種鉱石等の粉砕機に使用される粉砕ローラであり、外周面が周方向及び軸方向で湾曲したスフェリカルローラである。この粉砕ローラは、SCW410溶接構造用鋳鋼などの易溶接鋼からなるローラ本体10と、ローラ本体10の外周面に、周方向及び軸方向に千鳥状に並べて固定配列された多数枚の被覆ブロック20,20・・とを備えている。
【0034】
ローラ本体10は、前述したとおり、外周面が周方向及び軸方向で湾曲したスフェリカルローラである。この外周面には、ローラ周方向に延びる断面が円弧状の周溝11が両側部を除いて全周にわたって設けられている。この周溝11の深さは被覆ブロック10の厚みと同じである。
【0035】
この周溝11には、ローラ軸方向で湾曲した多数の横リブ12がローラ周方向に等間隔で設けられている。横リブ12は、ここではフラットバーを曲げて使用し、周溝11内に溶接より固定しているが、鋳造により一体的に形成することも可能である。周溝11内に多数の横リブ12を設けることにより、周溝11はローラ周方向において、ローラ軸方向で湾曲した多数の横溝13に細分割される。
【0036】
横リブ12は、ローラ本体10と同じ易溶接鋼からなり、その高さは周溝11の深さよりも低く、具体的には被覆ブロック20におけるベース層の厚みに対応している。ローラ周方向で隣接する横リブ12,12の間隔、すなわち横溝13の幅は、被覆ブロック20の奥行きに対応している。
【0037】
被覆ブロック20,20・・は、四角形のブロックであり、ローラ本体10の外周面に形成された複数の横溝13,13・・のそれぞれに、横溝13の一側端から他側端へかけて収容されている。各被覆ブロック20は、ローラ本体10と同じ易溶接鋼からなるベース層21の上に耐磨耗性金属層22を被覆成形した2層構造である。
【0038】
ここでベース層21の厚みは、横リブ12の高さと同じかこれよりやや高くなるように設定されている。そして、横リブ12がベース層21より低いことで両者の溶接が可能になる。そして横リブ12と両側の被覆ブロック20,20の各ベース層21を溶接することにより、被覆ブロック20は横溝13内に固定される。ここにおける溶接は易溶接鋼同士の溶接であるため、各横溝13には、所定数の被覆ブロック20,20・・が隙間なく並んで確実にかつ強固に固定されることになる。
【0039】
この段階では、横リブ12上の溶接部14の上に細幅の横溝が形成される。そこで、各横溝にろう材などからなる充填材31を充填する。充填材31は被覆ブロック20における耐磨耗性金属層22より耐磨耗性が低い材料からなり、ろう材の場合はこれを横溝に挿入後、ガス加熱、高周波誘導加熱等で溶融させることなどにより強固に充填固定することができる。補修剤として使用されるエポキシ樹脂の使用も可能であるが、この場合は加熱は必要でない。
【0040】
かくして、該粉砕ローラの表面では、耐磨耗性が高い材料である耐磨耗性金属層21と、耐磨耗性が低い材料である充填材31とが、材料噛み込み方向であるローラ周方向に交互に繰り返されることになる。しかも、粉砕ローラの製造において、耐磨耗性金属の肉盛り溶接は必要とせず、通常の溶接のみで簡単かつ経済的に製造することができる。
【0041】
横リブ12の幅W1は耐磨耗性が低い材料の幅に対応する。この幅W1は被覆ブロック20の奥行き(材料噛み込み方向における幅W2)の0.1〜1倍が好ましい。被覆ブロック20の幅W2に比して横リブ12の幅W1が小さすぎると材料の噛み込み性能等が不足する。逆に大きすぎる場合は噛み込み性能は向上するが、被覆ブロック20における耐磨耗性金属層22のエッジ部が粉砕原料による磨耗を受けやすくなり、早期磨耗が生じるようになる。
【0042】
図3は本発明の前提となる別の粉砕ローラのブロック配置図、図4は図3中のB−B断面図である。
【0043】
該粉砕ローラでは、横リブ12,12・・の各間に並ぶ被覆ブロック20,20・・の各間に縦リブ15が形成されている。縦リブ15は隣接する横リブ12,12の間でローラ軸方向に所定間隔で整列しており、横リブ12,12と同じ材質、同じ高さである。被覆ブロック20は、そのベース層21がローラ周方向で横リブ12,12に固定され、ローラ軸方向で縦リブ15,15に固定されることにより、ローラ本体10により強固に接合される。縦リブ15,15の溶接部16,16上の隙間にも耐磨耗性が低いろう材などからなる充填材32が充填されている。
【0044】
図5は本発明の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図6は図5中のC−C断面図である。
【0045】
本実施形態の粉砕ローラでは、ローラ本体10の溝11内に多数個の被覆ブロック20が周方向及び軸方向に千鳥状に配列されている。横リブ12及び縦リブ15は使用されておらず、ローラ周方向及び軸方向で隣接する被覆ブロック20,20は接触している。そして、横リブ12及び縦リブ15を使用する代わりに、被覆ブロック20として貫通孔23をもつものが使用されている。貫通孔23は被覆ブロック20のベース層21及び耐磨耗性金属層22を厚み方向に貫通しており、かつ被覆ブロック20の横幅方向(ローラ軸方向)に長い長孔とされている。
【0046】
個々の被覆ブロック20は、貫通孔23を通してベース層21をローラ本体10の周溝11の底面に溶接を行うことにより、ローラ本体10の周溝11内に固定されている。貫通孔23内には、溶接部24の上に積層して耐磨耗性が低いろう材などからなる充填材33が充填されている。
【0047】
このような粉砕ローラでは、リブなしで被覆ブロック20がローラ本体10の表面に固定されている。被覆ブロック20表面では、充填材33がローラ軸方向に並ぶことにより耐磨耗性が低い材料部分が直線状に形成され、これがローラ周方向に間欠的に繰り返されることにより、材料噛み込み方向で耐磨耗性が高い材料と耐磨耗性が低い材料とが交互に繰り返されることになる。
【0048】
図7は本発明の別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図8は図7中のD−D断面図である。
【0049】
本実施形態の粉砕ローラでは、貫通孔23をもつ被覆ブロック20の固定に前述した横リブ12が併用されている。被覆ブロック20はベース層21と横リブ12との溶接及び貫通孔23を通したベース層21と周溝11の底面との溶接によりローラ本体10に固定さている。横リブ12上の溶接部14の上に充填材31を充填する。充填材31は耐磨耗性の低い材料となるので、必ずしも貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填する必要ない。貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填しない場合、ここに横長の凹部ができる。これは噛み込み性の向上に起用するので、凹部を放置することに問題はない。貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填すれば、ここにも耐磨耗性が低い材料ラインが形成される。
【0050】
図9は本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図10は図9中のE−E断面図である。
【0051】
本実施形態の粉砕ローラでは、貫通孔23をもつ被覆ブロック20の固定に前述した縦リブ15が併用されている。縦リブ15の溶接部16上の充填材32は、材料噛み込み方向に繰り返される耐磨耗性の低い材料として機能しないので、貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填することが望まれる。貫通孔23内の溶接部24上に充填した充填材33は、噛み込み方向に直角な耐磨耗性が低い材料ラインを形成する。
【0052】
貫通孔23をもつ被覆ブロック20についても、横リブ12及び縦リブ15の併用は可能である。
【0053】
図11は本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【0054】
本実施形態の粉砕ローラでは、被覆ブロック20の貫通孔23に嵌合する凸部17が、ローラ本体10の周溝11内の底面上に一体的に形成されている。突部17は、貫通孔23の形状に対応する横長タイプであり、被覆ブロック20のベース層21の厚みよりやや低く設定されていて、ベース層21と溶接されることにより、周溝11内の底面上に固定されている。凸部17を使用することにより、被覆ブロック20の位置決めが容易になると共に、貫通孔23内の溶接部24の上に形成される凹部が浅くなり、凹部に充填される充填材33の厚みを小さくすることができる。
【0055】
図12は本発明を発展させた別の発明の粉砕ローラのブロック配置図、図13は図12中のF−F断面図である。
【0056】
該粉砕ローラでは、被覆ブロック20は表面に凹部25を有している。この凹部25は、耐磨耗性金属層22を貫通して下のベース層21の表面に達する深さであると共に、材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長穴であり、より詳しくは材料の噛み込み方向に対して若干傾斜した長穴である。
【0057】
この被覆ブロック20では、凹部25はローラ本体10に対する固定機能を有しない。このため、前述した横リブ12や縦リブ15を使用してローラ本体10の表面に固定する。この凹部25は、凹部のまま放置することにより、材料の噛み込みを促進する。被覆ブロック20の固定に縦リブ15のみを使用する場合は、凹部25内に耐磨耗性の低い材料からなる充填材33を充填することが望まれる。
【0058】
粉砕ローラの表面に材料の噛み込みを促進するスリットを傾斜して形成することは容易でない。しかし、傾斜した長穴からなる凹部25をもつ被覆ブロック20をローラ本体10の表面に取付けることにより、この傾斜スリットを容易に形成することができる。なお、この凹部25は、耐磨耗性金属層22に設け、下のベース層21に到達させる必要はない。
【0059】
被覆ブロック20の横幅をL2とし、噛み込み方向における長さをW2として、貫通孔23及び凹部25の長さL1(噛み込み方向に直角な成分)は(0.3〜0.8)×L2が好ましく、(0.5〜0.7)×L2が特に好ましい。スリット幅W3(噛み込み方向の成分)は(0.1〜0.4)×W2が好ましく、(0.15〜0.3)×W2が特に好ましい。L1が小さすぎると噛み込み効果が不足し、大きすぎる場合は被覆ブロック20の機械的強度が低下する。スリット幅W3が小さすぎると噛み込み効果が不足し、大きすぎる場合は被覆ブロック20の機械的強度が低下する。
【0060】
また、貫通孔23及び凹部25の傾斜角度(噛み込み方向に直角な線に対する傾斜角)は45度以下が好ましい。なぜなら、この傾斜角度が過大になると、原料の粉砕効率が逆に低下すると共に、剪断力が働き、混合能力が増加するようになる。
【0061】
ちなみに、被覆ブロック20の横幅L2は40〜80mmの範囲が実用上好ましく、噛み込み方向における長さW2は30〜60mmが実用上好ましい。面積で言えば1200〜4800mm2 が好ましい。被覆ブロック20の面積が小さすぎるとブロック数が多くなりすぎ、取付け時間が過大になることによりコスト上昇を招く。大きすぎる場合はローラの曲面に沿わなくなり、角張ることから粉砕抵抗が増大する。被覆ブロック20のの平面形状が四角形に限らないことは前述したとおりである。
【0062】
図14は本発明を発展させた更に別の発明の粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【0063】
該粉砕ローラでは、被覆ブロック20の裏面に、ベース層21を窪まして形成した凹部26が設けられている。一方、ローラ本体10の周溝11の底面には、凹部26に嵌合する凸部18が設けられている。凸部18及び凹部26は、被覆ブロック20の溶接には関係しない。被覆ブロック20の固定は横リブ12との溶接による。しかし、凸部18及び凹部26を設けることにより、被覆ブロック20の位置決めが容易になる。凸部18及び凹部26は円形でもよいし、貫通孔23に対応ような長円でもよい。
【0064】
前述の実施形態はいずれもセメント原料、スラグ、各種鉱石等の粉砕機に使用されるスフェリカルローラであるが、円錐台形状の粉砕機用ローラでもよく、ローラが転動するテーブルであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の前提となる粉砕ローラの一部破断正面図である。
【図2】同粉砕ローラの製造工程を示すA−A断面図である。
【図3】本発明の前提となる別の粉砕ローラのブロック配置図である。
【図4】図3中のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図6】図5中のC−C断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図8】図7中のD−D断面図である。
【図9】本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図10】図9中のE−E断面図である。
【図11】本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【図12】本発明を発展させた別の発明の粉砕ローラのブロック配置図である。
【図13】図12中のF−F断面図である。
【図14】本発明を発展させた更に別の発明の粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 ローラ本体(部材本体)
11 周溝
12 横リブ
13 横溝
14 溶接部
15 縦リブ
16 溶接部
17,18 凸部
20 被覆ブロック
21 ベース層
22 耐磨耗性金属層
23 貫通孔
24 溶接部
25,26 凹部
31,32,33 充填材
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用される破砕面部材に関する。この形式の粉砕機として、例えばロール粉砕機、コーンクラッシャー、リングロールミル、竪型ローラミル、エッジランナー等がある。破砕面部材とは、このような粉砕機において破砕面を構成するロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等を言う。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄鉱石、石炭、コークス、黒鉛、転炉、高炉スラグ、石灰石、クリンカー、岩石等の各種材料を粉砕するために、ロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等の破砕面部材を組み合わせた種々の粉砕機が使用されている。
【0003】
このような粉砕機における粉砕効率を高めるために、本出願人は、少なくとも表層部分に耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを、材料が噛み込まれて行く方向へ交互に配置した破砕面部材を先に開発し、特許も取得した(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特公平02−039939号公報
【0005】
この破砕面部材は、実際の作製では母材の表面に複数のフラットバーを噛み込み方向へ所定間隔で溶接することにより、母材の表面に耐摩耗性の低いブロックとしてのリブを形成する。必要に応じて、隣接するフラットバーの間に複数の短いフラットバーを噛み込み方向に直角な方向へ所定間隔で溶接することにより、リブを角枠状に形成する。そして、リブに囲まれた溝状の凹部や枡状の凹部に耐摩耗性の高い金属材料を肉盛り溶接により充填することにより、耐摩耗性の高いブロックを形成する。
【0006】
しかしながら、耐摩耗性の高いブロックを肉盛り溶接で形成しようとすると、一般に下向き自動アーク溶接が用いられるが、これによる肉盛り溶接ではビード幅は10〜30mmでビード高さは3〜5mmに過ぎない。一方、耐摩耗性の高いブロックの高さは、破砕面部材によっては60mm以上を要求される。また、破砕面部材の大きさもミルローラでは2mを超えることともある。このような巨大な破砕面部材の表面全体に肉盛り溶接で耐摩耗性の高いブロックを形成しようとすると大変な時間がかかり、これが破砕面部材のコストを引き下げる際の大きな障害になっている。
【0007】
この問題を解決するための一つの対策として、本出願人は肉盛り溶接を縦向き単層肉盛り溶接により効率的に行なうことを提案し、特許も取得した(特許文献2)。
【0008】
【特許文献2】特許第2863768号公報
【0009】
縦向き単層肉盛り溶接の使用により、溶接時間は短縮される。しかし、溶接姿勢、リブ形状等の面で制限が多く、その実力を十分に発揮する機会は多くない。加えて、巨大な破砕面部材の場合、溶接方法に関係なく、大掛かりな施工が要求され、溶接時間が短縮されても、全体的は施工時間はそれほど短縮されない。その一例を粉砕ローラについて説明する。
【0010】
粉砕ローラでは、大きいものは外径が2mを超え、幅は50cmを超える。しかも、外周面は回転方向に湾曲するだけでなく、自転車のタイヤのように回転軸方向でも湾曲したスフェリカルローラも使用されている。このような2方向に湾曲するスフェリカルローラの外周面に施工を行なう場合、易溶接鋼からなるローラ本体の外周面に、耐摩耗性の高いブロックの高さに相当する深さの溝を、両側部分を除いて全周にわたって形成する。この溝内に易溶接鋼からなる多数枚の横向きフラットバーを周方向に所定間隔で溶接する。更に隣接する横向きフラットバー間に、周方向を向く多数枚の短い縦向きフラットバーをローラ軸に平行な方向に所定間隔で溶接する。
【0011】
これにより、ローラ本体の外周面に、縦横のリブにより画成された軸方向及び周方向に並ぶ多数の枡形凹部が形成される。多数の枡形凹部は千鳥状に設けられることもある。最後に、多数の枡形凹部内に順番に耐摩耗性金属を肉盛り溶接していく。
【0012】
肉盛り溶接作業では、ローラが巨大なために、ローラを立て、水平なボスで軸支すると共に、これを足場で囲うことが必要である。そして、溶接する凹部などの作業部位を上に向けるために、作業の進行に伴い、ローラを周方向に回転させる。回転軸方向の中央部では、凹部は真上を向くため、ローラを周方向に回転させさえすれば、溶接施工は比較的容易である。しかし両側部では、凹部は横に傾く。比較的小径のローラは比較的容易に横に傾けることができ、両側部でも凹部を真上に向けることができる。しかし、巨大ローラの場合は横に傾けるのが困難なため、両側部では横に傾いた凹部内に肉盛り溶接を行わざるを得ない。その結果、高度の熟練を要求され、作業能率は著しく低下し、品質の安定性が低下する懸念もある。
【0013】
このように、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを材料が噛み込まれて行く方向(周方向)へ交互に配置した粉砕ローラは、粉砕性能及び耐久性に著しく優れるものの、製作、とりわけ耐磨耗性金属の肉盛り施工に多大の手間がかかり、その結果として非常に高価なものになっている。このため、現状では需要の広がりが阻害されており、価格の引き下げが大きな課題になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、製造コストの大幅引き下げが可能な破砕面部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するめに、本発明の破砕面部材は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性金属が被覆された破砕面部材であって、少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体と、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合体からなり、前記部材本体の表面を前記耐摩耗性金属にて覆うべく当該表面に配列されて固定された多数の被覆ブロックとを具備しており、前記被覆ブロックは、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達すると共に材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔からなる貫通孔を有し、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接することにより、前記部材本体に固定される。
【0016】
破砕面部材、例えば巨大粉砕ローラの表面に耐磨耗性金属を肉盛り溶接することは、前述したとおり非常な困難を伴う。しかし、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合被覆ブロックを製造することは、工場内で流れ作業的に効率よく製造することができる。そして、これを耐磨耗性部材の部材本体の表面に接合する作業は、易溶接性金属同士の接合であり、肉盛り溶接にくらべると格段に容易である。そして、完成した製品は、表面が耐磨耗性金属で被覆されることになり、その表面に耐磨耗性金属を肉盛り溶接にした製品とくらべて機械的性能面で遜色のないものとなる。
【0017】
本発明のより好ましい構成は、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さとほぼ同じ高さ、すなわち前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さの横リブが、材料の噛み込み方向に所定間隔で形成されると共に、隣接する横リブ間に前記被覆ブロックが配列され、各被覆ブロックのベース層とこれを挟む横リブとの溶接により、横リブ間に配列された被覆ブロックが前記部材本体に固定される構成である。
【0018】
この構成によると、部材本体の表面に形成された横リブは、被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さである。このため、横リブとベース層が通常の溶接により簡単に接合される。つまり、背の低い横リブを使用することにより、材料の噛み込み方向に被覆ブロックが簡単に固定配列されると共に、その被覆ブロック列が材料の噛み込み方向に横リブ分の隙間をあけて配列されることになる。
【0019】
そして、被覆ブロック列間の横リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して耐磨耗性の低いブロックを形成するならば、耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックを、材料が噛み込まれて行く方向へ交互に配置した冒頭の破砕面構造が、非常に簡単に実現される。ここにおける充填材(耐磨耗性の低い材料)としては、ろう材(例えばNiを10%含む低ヒュームのニッケル銅など)に代表される比較的低融点の金属材の他、補修剤などとして使用されるエポキシ樹脂などの樹脂材の使用も可能である。また、軟鋼、高クロム鋳鉄ライナーなどの耐磨耗性の低い金属部材を嵌め込み、ろう付けなどにより固定するような構造でもよい。この構造はろう材の節約につながり経済的である。
【0020】
この横リブを用いたブロック固定構造では、隣接する横リブ部間に複数の縦リブを所定間隔で形成することができる。縦リブも横リブと同様に易溶接性金属からなり、被覆ブロックにおけるベース層の厚さとほぼ同じ高さ、すなわち前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さかこれより低い高さである。このような縦リブを併用することにより、被覆ブロックは升形の凹部内に収容されることになり、周囲をリブで囲まれることから、部材本体への固定がより確実になる。
【0021】
横リブの場合と同様に、縦リブ上にも、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して耐磨耗性の低いブロックを形成することが可能である。横リブ及び縦リブは、部材本体の表面にフラットバーなどの別部材を溶接することで形成できるが、鋳造で一体形成することも可能である。
【0022】
被覆ブロックに関しては、特に、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達する貫通孔を設けることが必須である。これにより、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接し、前記した横リブ、縦リブなしでも被覆ブロックを部材本体に固定することができる。ただし、この場合も、横リブ、縦リブとの併用を妨げるものではない。リブとの併用により、被覆ブロックを部材本体により強固に接合することができる。
【0023】
部材本体との溶接後に被覆ブロックの表面に凹部が残るが、この凹部は噛み込み促進のためのスリットとして残すことができるし、耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料を被覆ブロックの表面とほぼ同じ高さに充填して、耐摩耗性の低いブロックを形成することもできる。いずれにしても、貫通孔は、材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔とすることが必須である。そうすることにより、噛み込み性も耐摩耗性の低いブロックとしての性能も向上する。
【0024】
この長孔は、材料の噛み込み方向に対して必ずしも直角である必要はなく、傾斜していてもよい。噛み込み促進用の長穴や耐磨耗性の低いブロックを噛み込み方向に対して斜めに形成することは施工上容易でないが、被覆ブロックを製造する際に傾斜した長孔を形成することは容易である。つまり、被覆ブロックにおける長孔を傾斜させることにより、噛み込み方向に対して傾いた噛み込み促進用の長穴や耐磨耗性の低いブロックを容易に形成できるのである。
【0025】
被覆ブロックにおける貫通孔は、部材本体の表面における位置決めに利用できる。すなわち、被覆ブロックの貫通孔に裏面側から挿入される凸部を部材本体の表面に設けることにより、被覆ブロックは部材本体の表面に沿った方向で位置決めされる。
【0026】
前記凸部は、被覆ブロックのベース層に挿入され、耐磨耗性金属層に達しない高さとするのがよい。そうすることにより、この凸部をベース層と溶接でき、被覆ブロックの固定に利用することができる。
【0027】
本発明の破砕面部材を構成する部材の材質について説明する。部材本体の少なくとも表層部を構成する易溶接性金属としては、具体的にはSF炭素鋼鍛造品、SC炭素鋼鋳鋼品、SS400軟鋼、14%オーステナイトマンガン鋼、SCW410溶接構造用鋳鋼等を用いることができる。
【0028】
被覆ブロックのベース層を構成する易溶接性金属としても、前記易溶接性金属と同様、SS400軟鋼、SC炭素鋼鋳鋼品、機械構造用炭素鋼、SF炭素鋼鍛造品、SCW410溶接構造用鋳鋼等を用いることができる。
【0029】
被覆ブロックのベース層を覆う耐磨耗性金属としては、例えば高クロム鋳鉄系溶着金属、高クロム鋳鉄ロー付け材、タングステンカーバイト肉盛り材、超高合金ロー付け材などを用いることができる。特に好ましいのは、本出願人か開発した特許第3066390号の耐磨耗材である。これは50kg/cm3 以上の高面圧摩擦を受ける面部材に使用される耐磨耗性の肉盛り材であって、重量%でC:0.2〜1.8%、Cr:25%以下、Mn:11〜25%、Ni:10%以下、Si:2.5%以下を含む、マンガンを主な合金成分とするマンガンオーステナイト系合金をマトリックスとして、そのマトリックス中に、別途製造された高硬度炭化物粒子を、断面積比で20〜70%占めるように添加して分散混合させた複合材である。
【0030】
最後に、本発明の破砕面部材を構成する部材の形状、寸法について説明すると、部材本体の形状、寸法は対象物によって決定される。ローラ形状もあればテーブル形状もある。ローラ形状についても前述したタイヤ形状もあれば台錐形状もある。巨大なローラは前述したとおり外径は2mを超え、幅は50cmを超え、重量は10トンを超える。
【0031】
被覆ブロックの平面形状は基本的には四角形であるが、ハニカム形状などでもよく、特にその形状を限定するものではない。被覆ブロックにおける耐磨耗性金属層の厚みは、対象物によって決定される。すなわち、対象物に要求される耐久性等によって決定される。ベース層の厚みについては、耐磨耗性金属層の厚みを1として0.3〜0.7が好ましく、0.4〜0.5が特に好ましい。耐磨耗性金属層に比してベース層が薄すぎるとリブとの接合代が少なくなり、接合強度の不足を招くおそれがある。逆に厚すぎる場合は必要以上に接合代が増加してその後に充填する高価な充填材の量が増加し、製品製造コストを上昇させることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の前提となる粉砕ローラの一部破断正面図、図2は同粉砕ローラの製造工程を示すA−A断面図である。
【0033】
ここにおける破砕面部材は、セメント原料、スラグ、各種鉱石等の粉砕機に使用される粉砕ローラであり、外周面が周方向及び軸方向で湾曲したスフェリカルローラである。この粉砕ローラは、SCW410溶接構造用鋳鋼などの易溶接鋼からなるローラ本体10と、ローラ本体10の外周面に、周方向及び軸方向に千鳥状に並べて固定配列された多数枚の被覆ブロック20,20・・とを備えている。
【0034】
ローラ本体10は、前述したとおり、外周面が周方向及び軸方向で湾曲したスフェリカルローラである。この外周面には、ローラ周方向に延びる断面が円弧状の周溝11が両側部を除いて全周にわたって設けられている。この周溝11の深さは被覆ブロック10の厚みと同じである。
【0035】
この周溝11には、ローラ軸方向で湾曲した多数の横リブ12がローラ周方向に等間隔で設けられている。横リブ12は、ここではフラットバーを曲げて使用し、周溝11内に溶接より固定しているが、鋳造により一体的に形成することも可能である。周溝11内に多数の横リブ12を設けることにより、周溝11はローラ周方向において、ローラ軸方向で湾曲した多数の横溝13に細分割される。
【0036】
横リブ12は、ローラ本体10と同じ易溶接鋼からなり、その高さは周溝11の深さよりも低く、具体的には被覆ブロック20におけるベース層の厚みに対応している。ローラ周方向で隣接する横リブ12,12の間隔、すなわち横溝13の幅は、被覆ブロック20の奥行きに対応している。
【0037】
被覆ブロック20,20・・は、四角形のブロックであり、ローラ本体10の外周面に形成された複数の横溝13,13・・のそれぞれに、横溝13の一側端から他側端へかけて収容されている。各被覆ブロック20は、ローラ本体10と同じ易溶接鋼からなるベース層21の上に耐磨耗性金属層22を被覆成形した2層構造である。
【0038】
ここでベース層21の厚みは、横リブ12の高さと同じかこれよりやや高くなるように設定されている。そして、横リブ12がベース層21より低いことで両者の溶接が可能になる。そして横リブ12と両側の被覆ブロック20,20の各ベース層21を溶接することにより、被覆ブロック20は横溝13内に固定される。ここにおける溶接は易溶接鋼同士の溶接であるため、各横溝13には、所定数の被覆ブロック20,20・・が隙間なく並んで確実にかつ強固に固定されることになる。
【0039】
この段階では、横リブ12上の溶接部14の上に細幅の横溝が形成される。そこで、各横溝にろう材などからなる充填材31を充填する。充填材31は被覆ブロック20における耐磨耗性金属層22より耐磨耗性が低い材料からなり、ろう材の場合はこれを横溝に挿入後、ガス加熱、高周波誘導加熱等で溶融させることなどにより強固に充填固定することができる。補修剤として使用されるエポキシ樹脂の使用も可能であるが、この場合は加熱は必要でない。
【0040】
かくして、該粉砕ローラの表面では、耐磨耗性が高い材料である耐磨耗性金属層21と、耐磨耗性が低い材料である充填材31とが、材料噛み込み方向であるローラ周方向に交互に繰り返されることになる。しかも、粉砕ローラの製造において、耐磨耗性金属の肉盛り溶接は必要とせず、通常の溶接のみで簡単かつ経済的に製造することができる。
【0041】
横リブ12の幅W1は耐磨耗性が低い材料の幅に対応する。この幅W1は被覆ブロック20の奥行き(材料噛み込み方向における幅W2)の0.1〜1倍が好ましい。被覆ブロック20の幅W2に比して横リブ12の幅W1が小さすぎると材料の噛み込み性能等が不足する。逆に大きすぎる場合は噛み込み性能は向上するが、被覆ブロック20における耐磨耗性金属層22のエッジ部が粉砕原料による磨耗を受けやすくなり、早期磨耗が生じるようになる。
【0042】
図3は本発明の前提となる別の粉砕ローラのブロック配置図、図4は図3中のB−B断面図である。
【0043】
該粉砕ローラでは、横リブ12,12・・の各間に並ぶ被覆ブロック20,20・・の各間に縦リブ15が形成されている。縦リブ15は隣接する横リブ12,12の間でローラ軸方向に所定間隔で整列しており、横リブ12,12と同じ材質、同じ高さである。被覆ブロック20は、そのベース層21がローラ周方向で横リブ12,12に固定され、ローラ軸方向で縦リブ15,15に固定されることにより、ローラ本体10により強固に接合される。縦リブ15,15の溶接部16,16上の隙間にも耐磨耗性が低いろう材などからなる充填材32が充填されている。
【0044】
図5は本発明の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図6は図5中のC−C断面図である。
【0045】
本実施形態の粉砕ローラでは、ローラ本体10の溝11内に多数個の被覆ブロック20が周方向及び軸方向に千鳥状に配列されている。横リブ12及び縦リブ15は使用されておらず、ローラ周方向及び軸方向で隣接する被覆ブロック20,20は接触している。そして、横リブ12及び縦リブ15を使用する代わりに、被覆ブロック20として貫通孔23をもつものが使用されている。貫通孔23は被覆ブロック20のベース層21及び耐磨耗性金属層22を厚み方向に貫通しており、かつ被覆ブロック20の横幅方向(ローラ軸方向)に長い長孔とされている。
【0046】
個々の被覆ブロック20は、貫通孔23を通してベース層21をローラ本体10の周溝11の底面に溶接を行うことにより、ローラ本体10の周溝11内に固定されている。貫通孔23内には、溶接部24の上に積層して耐磨耗性が低いろう材などからなる充填材33が充填されている。
【0047】
このような粉砕ローラでは、リブなしで被覆ブロック20がローラ本体10の表面に固定されている。被覆ブロック20表面では、充填材33がローラ軸方向に並ぶことにより耐磨耗性が低い材料部分が直線状に形成され、これがローラ周方向に間欠的に繰り返されることにより、材料噛み込み方向で耐磨耗性が高い材料と耐磨耗性が低い材料とが交互に繰り返されることになる。
【0048】
図7は本発明の別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図8は図7中のD−D断面図である。
【0049】
本実施形態の粉砕ローラでは、貫通孔23をもつ被覆ブロック20の固定に前述した横リブ12が併用されている。被覆ブロック20はベース層21と横リブ12との溶接及び貫通孔23を通したベース層21と周溝11の底面との溶接によりローラ本体10に固定さている。横リブ12上の溶接部14の上に充填材31を充填する。充填材31は耐磨耗性の低い材料となるので、必ずしも貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填する必要ない。貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填しない場合、ここに横長の凹部ができる。これは噛み込み性の向上に起用するので、凹部を放置することに問題はない。貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填すれば、ここにも耐磨耗性が低い材料ラインが形成される。
【0050】
図9は本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図、図10は図9中のE−E断面図である。
【0051】
本実施形態の粉砕ローラでは、貫通孔23をもつ被覆ブロック20の固定に前述した縦リブ15が併用されている。縦リブ15の溶接部16上の充填材32は、材料噛み込み方向に繰り返される耐磨耗性の低い材料として機能しないので、貫通孔23内の溶接部24上に充填材33を充填することが望まれる。貫通孔23内の溶接部24上に充填した充填材33は、噛み込み方向に直角な耐磨耗性が低い材料ラインを形成する。
【0052】
貫通孔23をもつ被覆ブロック20についても、横リブ12及び縦リブ15の併用は可能である。
【0053】
図11は本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【0054】
本実施形態の粉砕ローラでは、被覆ブロック20の貫通孔23に嵌合する凸部17が、ローラ本体10の周溝11内の底面上に一体的に形成されている。突部17は、貫通孔23の形状に対応する横長タイプであり、被覆ブロック20のベース層21の厚みよりやや低く設定されていて、ベース層21と溶接されることにより、周溝11内の底面上に固定されている。凸部17を使用することにより、被覆ブロック20の位置決めが容易になると共に、貫通孔23内の溶接部24の上に形成される凹部が浅くなり、凹部に充填される充填材33の厚みを小さくすることができる。
【0055】
図12は本発明を発展させた別の発明の粉砕ローラのブロック配置図、図13は図12中のF−F断面図である。
【0056】
該粉砕ローラでは、被覆ブロック20は表面に凹部25を有している。この凹部25は、耐磨耗性金属層22を貫通して下のベース層21の表面に達する深さであると共に、材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長穴であり、より詳しくは材料の噛み込み方向に対して若干傾斜した長穴である。
【0057】
この被覆ブロック20では、凹部25はローラ本体10に対する固定機能を有しない。このため、前述した横リブ12や縦リブ15を使用してローラ本体10の表面に固定する。この凹部25は、凹部のまま放置することにより、材料の噛み込みを促進する。被覆ブロック20の固定に縦リブ15のみを使用する場合は、凹部25内に耐磨耗性の低い材料からなる充填材33を充填することが望まれる。
【0058】
粉砕ローラの表面に材料の噛み込みを促進するスリットを傾斜して形成することは容易でない。しかし、傾斜した長穴からなる凹部25をもつ被覆ブロック20をローラ本体10の表面に取付けることにより、この傾斜スリットを容易に形成することができる。なお、この凹部25は、耐磨耗性金属層22に設け、下のベース層21に到達させる必要はない。
【0059】
被覆ブロック20の横幅をL2とし、噛み込み方向における長さをW2として、貫通孔23及び凹部25の長さL1(噛み込み方向に直角な成分)は(0.3〜0.8)×L2が好ましく、(0.5〜0.7)×L2が特に好ましい。スリット幅W3(噛み込み方向の成分)は(0.1〜0.4)×W2が好ましく、(0.15〜0.3)×W2が特に好ましい。L1が小さすぎると噛み込み効果が不足し、大きすぎる場合は被覆ブロック20の機械的強度が低下する。スリット幅W3が小さすぎると噛み込み効果が不足し、大きすぎる場合は被覆ブロック20の機械的強度が低下する。
【0060】
また、貫通孔23及び凹部25の傾斜角度(噛み込み方向に直角な線に対する傾斜角)は45度以下が好ましい。なぜなら、この傾斜角度が過大になると、原料の粉砕効率が逆に低下すると共に、剪断力が働き、混合能力が増加するようになる。
【0061】
ちなみに、被覆ブロック20の横幅L2は40〜80mmの範囲が実用上好ましく、噛み込み方向における長さW2は30〜60mmが実用上好ましい。面積で言えば1200〜4800mm2 が好ましい。被覆ブロック20の面積が小さすぎるとブロック数が多くなりすぎ、取付け時間が過大になることによりコスト上昇を招く。大きすぎる場合はローラの曲面に沿わなくなり、角張ることから粉砕抵抗が増大する。被覆ブロック20のの平面形状が四角形に限らないことは前述したとおりである。
【0062】
図14は本発明を発展させた更に別の発明の粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【0063】
該粉砕ローラでは、被覆ブロック20の裏面に、ベース層21を窪まして形成した凹部26が設けられている。一方、ローラ本体10の周溝11の底面には、凹部26に嵌合する凸部18が設けられている。凸部18及び凹部26は、被覆ブロック20の溶接には関係しない。被覆ブロック20の固定は横リブ12との溶接による。しかし、凸部18及び凹部26を設けることにより、被覆ブロック20の位置決めが容易になる。凸部18及び凹部26は円形でもよいし、貫通孔23に対応ような長円でもよい。
【0064】
前述の実施形態はいずれもセメント原料、スラグ、各種鉱石等の粉砕機に使用されるスフェリカルローラであるが、円錐台形状の粉砕機用ローラでもよく、ローラが転動するテーブルであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の前提となる粉砕ローラの一部破断正面図である。
【図2】同粉砕ローラの製造工程を示すA−A断面図である。
【図3】本発明の前提となる別の粉砕ローラのブロック配置図である。
【図4】図3中のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図6】図5中のC−C断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図8】図7中のD−D断面図である。
【図9】本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック配置図である。
【図10】図9中のE−E断面図である。
【図11】本発明の更に別の実施形態を示す粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【図12】本発明を発展させた別の発明の粉砕ローラのブロック配置図である。
【図13】図12中のF−F断面図である。
【図14】本発明を発展させた更に別の発明の粉砕ローラのブロック固定構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 ローラ本体(部材本体)
11 周溝
12 横リブ
13 横溝
14 溶接部
15 縦リブ
16 溶接部
17,18 凸部
20 被覆ブロック
21 ベース層
22 耐磨耗性金属層
23 貫通孔
24 溶接部
25,26 凹部
31,32,33 充填材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性金属が被覆された破砕面部材であって、少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体と、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合体からなり、前記部材本体の表面を前記耐摩耗性金属にて覆うべく当該表面に配列されて固定された多数の被覆ブロックとを具備しており、
前記被覆ブロックは、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達すると共に材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔からなる貫通孔を有し、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接することにより、前記部材本体に固定されることを特徴とする破砕面部材。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕面部材において、前記被覆ブロックにおける貫通孔内に前記耐摩耗性金属より耐磨耗性が低い材料が溶接部の上から充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の破砕面部材において、前記被覆ブロックの貫通孔に裏面側から挿入される凸部が前記部材本体の表面に設けられている破砕面部材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の破砕面部材において、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さ又はそれより低い高さの横リブが、材料の噛み込み方向に所定間隔で形成されると共に、隣接する横リブ間に前記被覆ブロックが配列され、各被覆ブロックのベース層とこれを挟む横リブとの溶接により、横リブ間に配列された被覆ブロックが前記部材本体に固定される破砕面部材。
【請求項5】
請求項4に記載の破砕面部材において、横リブを挟んで隣接する被覆ブロック間の横リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料が充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の破砕面部材において、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さ又はそれより低い高さの縦リブが、隣接する横リブ間に配列された複数の被覆ブロックの間に位置して形成されている破砕面部材。
【請求項7】
請求項6に記載の破砕面部材において、縦リブを挟んで隣接する被覆ブロック間の縦リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料が充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【請求項1】
対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性金属が被覆された破砕面部材であって、少なくとも表層部が易溶接性金属からなる部材本体と、易溶接性金属からなるベース層の表面に耐摩耗性金属が積層された複合体からなり、前記部材本体の表面を前記耐摩耗性金属にて覆うべく当該表面に配列されて固定された多数の被覆ブロックとを具備しており、
前記被覆ブロックは、耐磨耗性金属層及びベース層を貫通して裏面に達すると共に材料の噛み込み方向と交差する方向に長い長孔からなる貫通孔を有し、該貫通孔を介してベース層を前記部材本体の表面に溶接することにより、前記部材本体に固定されることを特徴とする破砕面部材。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕面部材において、前記被覆ブロックにおける貫通孔内に前記耐摩耗性金属より耐磨耗性が低い材料が溶接部の上から充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の破砕面部材において、前記被覆ブロックの貫通孔に裏面側から挿入される凸部が前記部材本体の表面に設けられている破砕面部材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の破砕面部材において、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さ又はそれより低い高さの横リブが、材料の噛み込み方向に所定間隔で形成されると共に、隣接する横リブ間に前記被覆ブロックが配列され、各被覆ブロックのベース層とこれを挟む横リブとの溶接により、横リブ間に配列された被覆ブロックが前記部材本体に固定される破砕面部材。
【請求項5】
請求項4に記載の破砕面部材において、横リブを挟んで隣接する被覆ブロック間の横リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料が充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の破砕面部材において、前記部材本体の表面に、前記被覆ブロックにおけるベース層の厚さと同じ高さ又はそれより低い高さの縦リブが、隣接する横リブ間に配列された複数の被覆ブロックの間に位置して形成されている破砕面部材。
【請求項7】
請求項6に記載の破砕面部材において、縦リブを挟んで隣接する被覆ブロック間の縦リブ上に、前記耐磨耗性金属より耐磨耗性が低い材料が充填されて耐磨耗性の低いブロックを形成する破砕面部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−31246(P2011−31246A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255169(P2010−255169)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2004−191612(P2004−191612)の分割
【原出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(592198518)アイエヌジ商事株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2004−191612(P2004−191612)の分割
【原出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(592198518)アイエヌジ商事株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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