説明

硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法

硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法であって、100℃から230℃の温度で攪拌しながら、少なくとも10分間以上、少なくとも1つのビチューメンまたはビチューメンの混合物を少なくとも1以上の重合体及び少なくとも1以上の架橋剤と接触させる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法おいて、架橋剤は一般式HS−R−SHで表され、ここで、Rは2から40個の炭素原子、任意に1以上のヘテロ原子を含み、カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まない、飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表し、硫化水素の放出を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビチューメンの分野に関し、詳しくは、硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物を調合する方法に関する。
また、本発明は、硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物を得ることができるようにする架橋剤を含むビチューメン/ポリマー組成物に関する。
更に、本発明は、硫化水素の放出を制限しつつビチューメン−ポリマーの組成物を架橋するための架橋剤の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路及び産業上の応用のための材料の製造において、ビチューメンの使用は古くから知られている。すなわち、ビチューメンは道路建設あるいは土木建築分野で使われる主要な炭化水素系バインダーである。
このような様々な用途でバインダーとして使用できるようにするためには、ビチューメンは一定の物理−化学的特性及び力学的特性を有することが必要である。純粋ビチューメンの力学的特性は、重合体を添加することによって改質することができることはよく知られている。
純粋ビチューメンの流動学的特性を改善するために、ビチューメン/ポリマー組成物において数多くの重合体、例えばスチレン−ブタジエン共重合体がつかわれてきた。ビチューメン/ポリマー組成物の物理化学的特性は、重合体を例えば硫黄によって架橋することにより更に改善されることもよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許第2254609号公報(特許番号FR2254609)
【特許文献2】欧州特許第0121377号公報(特許番号EP0121377)
【特許文献3】国際公開第2005059016号公報(出願番号WO2005059016)
【特許文献4】国際公開第2005065177号公報(出願番号WO2005065177)
【特許文献5】欧州特許第0907687号公報(特許EP0907687)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、硫黄による架橋ビチューメン/ポリマー組成物の調合中、架橋によって硫化水素(HS)の放出を伴う。硫化水素は、極めて低濃度で特有の臭気を持つ無色の有毒ガスである。特に、ビチューメン/ポリマー組成物における重合体の架橋中は、環境的制約により硫化水素の放出を削減または除去することが必要となる。
また、硫化水素の放出を削減するために、ビチューメン/ポリマー組成物の硫黄による架橋中に各種防止剤の添加について数多くの特許に記載されている。上記の特許文献1(特許番号FR2254609)には、硫黄及びビチューメンを含む高温混合物によって硫化水素の放出を削減する方法が特許請求されている。硫化水素の放出を削減するために、ビチューメン/硫黄混合物に硫化水素抑制剤を添加する。この抑制剤は、遊離基防止剤及びレドックス系触媒から選択される。テトラメチルチウラム・ジスルフィドは、例えば、遊離基防止剤、塩化鉄はレドックス系触媒として例示される。
上記の特許文献2(特許番号EP0121377)には、硫化水素の放出を削減することができるビチューメンと元素状硫黄からなる混合物を調合する方法が記載されている。この方法においては、硫化物の放出を削減することができる作用物質は、金属炭酸塩またはナフテン酸塩である。ステアリン酸亜鉛は好適な化合物の一つである。
上記の特許文献3(出願番号WO2005059016)には、硫化水素抑制剤からなる硫黄ペレットが記載されている。作用物質は、遊離基防止剤及びレドックス系触媒から選択される。好適な作用物質は塩化鉄である。
上記の特許文献4(出願番号WO2005065177)には、硫化水素の放出を削減する方法が記載されている。この方法では、金属塩がビチューメンと硫黄に添加される。酸化亜鉛が好適な化合物の一つである。
上記の特許文献5(特許EP0907687)には、幾つかの異なる作用物質を用いて、ビチューメン/ポリマー組成物を架橋する方法が記載されている。官能性作用物質は、カルボン酸ポリチオールエステル及び/またはポリチオールエステルから選択されるが、削減 硫化水素の放出を削減することができる官能性作用物質についての記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法であって、100℃から230℃の温度で攪拌しながら、少なくとも10分間以上、少なくとも1つのビチューメンまたはビチューメンの混合物を少なくとも1以上の重合体及び少なくとも1以上の架橋剤と接触させる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法おいて、前記架橋剤は一般式HS−R−SHで表され、ここで、Rは2から40個の炭素原子、任意に1以上のヘテロ原子を含み、カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まない、飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、架橋剤を使用して硫化水素の放出を削減できる。。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的は、硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の新規な製法を提案し、特に、処理の初期段階における硫化水素の放出を削減することであって、前記製法は新規な架橋剤を使用するものである。
本発明の他の目的は、架橋ビチューメン/ポリマー組成物の簡単な製法を提案することであって、特に弾性と粘稠度の点で十分な流動学的特性を有する組成物を、硫化水素を放出することなく製造できる方法を提案することである。
本発明の他の目的は、硫化水素の放出を最小限に抑えて、ビチューメン−ポリマー組成物に架橋し、特に弾性と粘稠度の点で十分な流動学的特性を有する組成物を得ることができる架橋剤の使用することである。
本発明の目的は、特に弾性及び粘稠度に関して、硫黄で架橋したビチューメン/ポリマー組成物と同等の流動学的特性を有し、架橋中に硫化水素の放出を削減またはゼロにした、新規な架橋ビチューメン/ポリマー組成物を提案することである。
本発明は、硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法であって、100℃から230℃の温度で攪拌しながら、少なくとも10分間以上、少なくとも1つのビチューメンまたはビチューメンの混合物を少なくとも1以上の重合体及び少なくとも1以上の架橋剤と接触させる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法おいて、前記架橋剤は一般式HS−R−SHで表され、ここで、Rは2から40個の炭素原子、任意に1以上のヘテロ原子を含み、カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まない、飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表す、架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法、に関する。
望ましくは、ヘテロ原子は、酸素原子である。
望ましくは、酸素原子の数は、0から5、望ましくは1から4、望ましくは2から3変わる。
望ましくは、R基は4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子、望ましくは8から12の炭素原子を持つ飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表す。
第1の実施形態において、R基は、2から40個の炭素原子、望ましくは4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子、望ましくは 8から12の炭素原子を持つ直鎖飽和の単独炭化水素基を表す。
第2の実施形態において、R基は1以上のヘテロ原子を含む直鎖飽和炭化水素基を表す。
望ましくは、R基は1から20、望ましくは2から10までの整数m及びnを有する一般式:−(CH)m−O−(CH)n−を有する。
望ましくは、R基は1から10、望ましくは2から6までの整数p、q及びrをもつ一般式:−(CH)p−O−(CH)q−O−(CH)r−を有する。
第3の実施形態において、R基は1以上の芳香環、望ましくは2以上の芳香環を含む不飽和基を表す。
一般式HS−R−SHの架橋剤の量は0.05から5質量パーセントの間である。
重合体は、共役ジエン単位と芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする共重合体である。
共役ジエン単位は、モノマー1個につき4から8の炭素原子を含む、例えばブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレーン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び1,2−ヘキサジエン、クロロプレン、カルボキシル化ブタジエン、カルボキシルイソプレーン、特にブタジエン及びイソプレーン、及びそれらの混合物から選択される。
芳香族モノハイドロカーボン単位はスチレン、(−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2、3ジメチルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン及びそれらの類似物または混合物、特にスチレンから選択される。
重合体の量は0.5から20質量パーセントの間、望ましくは1から10%の間、望ましくは2から5%間である。
ビチューメンは、大気中蒸留残留物、真空蒸留残留物、ビスブロークン残留物、吹きつけ残留物、脱アスファルテン残留物、それらの混合物及びそれらの組合せから選択される。
ビチューメンは少なくとも1個のフラックスを含む。
また、本発明は、架橋ビチューメン/ポリマー組成物の調合中の硫化水素の放出を削減するための上記限定の一般式HS−R−SHの架橋剤の使用法に関する。
また、本発明は、架橋ビチューメン/ポリマー組成物は無水状態または乳剤状態のビチューメンバインダーを製造するための、上記限定の使用法によって得れれる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の使用法に関する。
本発明は、架橋ビチューメン/ポリマー組成物は、表面装飾材を製造するための凝集体との混合物において、路盤、接合段及び/または消耗段として使用できる加熱混合、常温混合、常温成型混合及び砂利乳剤を製造するためのものである、上記定義の使用法に関する。
また、本発明は、シーリング膜、膜または下塗りの製造をのために、上記定義の製法で得られる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の使用法に関する。
本発明は、少なくとも1以上のビチューメンと、少なくとも1以上の重合体及び一般式HS−R−SHの少なくとも1以上の架橋剤からなるビチューメン/ポリマー組成物であって、Rは、2から40個の炭素原子と、任意に1以上のヘテロ原子望ましくは1以上の酸素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐炭化水素基を表し、前記R基はカルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まない、ビチューメン/ポリマー組成物に関する。
望ましくは、酸素原子の数は0から5、望ましくは1から4、望ましくは2から3に変わる。
望ましくは、R基は上記の如く定義される。
望ましくは、一般式HS−R−SHの架橋剤の量は0.05から5質量パーセントの間からなる。
望ましくは、重合体は共役ジエン単位と芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする共重合体である。
望ましくは、共役ジエン単位は、モノマー1個につき4から8の炭素原子を含む、例えばブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレーン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び1,2−ヘキサジエン、クロロプレン、カルボキシル化ブタジエン、カルボキシルイソプレーン、特にブタジエン及びイソプレーン及びそれらの混合物から選択される。
望ましくは、芳香族モノハイドロカーボン単位はスチレン、(−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2、3ジメチルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン及びそれらの類似物または混合物特にスチレンから選択される。
望ましくは、重合体の量は0.5から20質量パーセントの間、望ましくは1から10%の間、望ましくは2から5%の間で構成される。
望ましくは、ビチューメンは、大気中蒸留残留物、真空蒸留残留物、ビスブロークン残留物、吹きつけ残留物、脱アスファルテン残留物、それらの混合物及びそれらの組合せから選択される。望ましくは、ビチューメンは少なくとも1以上のフラックスを含む。
【実施例】
【0008】
本発明の方法で使われる架橋剤は、一般式HS−R−SHを有し、ここでRは2から40個の炭素原子を持つ飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表し、任意に1個以上の酸素等のヘテロ原子を含み、かつカルボニル基C=O及び/またはカルボン酸基O−C=Oを含まない。本発明の方法で使われる架橋剤は、各終端に、上記定義のR基によって分割された重合体を互いに結合することができるようにするチオール基を有する。
【0009】
R基は、望ましくは飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基からなり、4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子、望ましくは8から12の炭素原子からなる。
R基がヘテロ原子で置き換えられる場合は酸素原子が好適である。R基が酸素原子で置き換えられる場合は、酸素原子の数は、1から5個、望ましくは1から4個、望ましくは2から3個変化しうる。
例えばカルボン酸またはエステルに見られるように、カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まないR基も好適である。実際、これらの基が存在すると硫化水素の形成の原因になったり、及び/または増加したりする虞がある。カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基が存在しない場合は、良好な弾力性特に弾性回復及び粘着摩擦の点で良好な架橋ビチューメン/ポリマー組成物を得ることができるようになり、前記架橋ビチューメン/ポリマー組成物を調合する過程で放出される硫化水素の量を最小限に抑えることができる。
【0010】
第1の実施形態においては、R基は二重結合を持たない飽和炭化水素基である。R基は、飽和直鎖または飽和分岐でもよいが、飽和直鎖R基が好適である。R基が飽和直鎖基の場合、酸素等のヘテロ原子が含まれてもよい。R基がヘテロ原子を含まない場合、R基は飽和炭化水素基のみとなる。
一方、2から40個の炭素原子、望ましくは4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子望ましくは8から12の炭素原子を持つ、飽和直鎖で、炭化水素の単独のR基が好適である。Rが直鎖飽和で、炭化水素基単独の場合、本発明の架橋剤は例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7‐ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール等がある。好適な架橋剤は、1,8−オクタンジチオールで、Rは8炭素原子を持つ飽和直鎖の炭化水素基単独である。
一方、酸素など1個以上のヘテロ原子からなる、飽和直鎖R基が好適である。、R基は1ないし2個の酸素原子で置き換えられることが望ましい。
R基が1個の酸素原子で置き換えられる場合、架橋剤HS−R−SHは一般式HS−(CH)m−O−(CH)n−SHとなり、1から20望ましくは2から10までの整数n及びmをもつ−(CH)m−O−(CH)n−基で表されるRとなる。例えば、値2、3及び4のm及びnをもつ、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(3−メルカプトエチル)エーテル、ビス(4−メルカプトエチル)エーテルなどが挙げられる。また例えば、値2のmと値3のnの(2−メルカプトエチル)(3−メルカプトブチル)−エーテル、値2のmと値4のnの(2−メルカプトエチル)(4−メルカプトブチル)−エーテルなどが挙げられる。
R基が2個の酸素原子で置き換えられる場合は、架橋剤HS−R−SHは、一般式HS−(CH)p−O−(CH)q−O−(CH)r−SHとなり、Rは1から10望ましくは2から6の整数p、q及びrをもつ−(CH)p−O−(CH)q−O−(CH)r−R基を表す。好適な架橋剤は、値が2のp、r及び値が1のq、または値が2のp、q及びr(例えば、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール等)である。
【0011】
第2の実施形態においては、R基は不飽和基である。R基は例えば5、6個の炭素原子からなる炭酸鎖に沿って、または連鎖状の1個以上の二重結合を含んでもよい。またR基は芳香族、すなわち1以上の芳香環であってもよい。R基は1以上の芳香環、望ましくは2以上の芳香環を含む。
R基が1個の芳香環を含む場合は、好適な架橋剤はベンゼン−1、2−ジチオール、 ベンゼン−1、3−ジチオール、ベンゼン−1、4−ジチオール、または、トルエン−3、4−ジチオールなどである。
また、R基は2個以上の芳香環を含んでもよい。R基の芳香環は縮合されてもされていなくてもよく、近接していることがのぞましい。芳香環は随意にアルキルまたはアルコキシル基で置き換えられる。R基が2個の近接芳香環を含む場合は、好適な架橋剤の一つはビフェニル−4、4’−ジチオールである。
【0012】
本発明の方法で使われる架橋剤の量は、0.05から5質量パーセント、望ましくは0.1から2%、望ましくは0.2から1%、望ましくは0.3から0.5質量パーセントである。
上記定義の架橋剤を単独でまたは混合物の中で用いて実現可能である。
本発明の方法で使用することができる重合体は、ビチューメン−ポリマーの分野における通常の方法で用いられる重合体でり、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチル・ゴム、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリクロロプレン、ポリノルボルネン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリエチレンまたは高濃度のポリエチレン等のポリオレフィン、ポリプロピレン、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸メチルの共重合体、エチレンとアクリル酸ブチルの共重合体、エチレンと無水マレイン酸の共重合体、エチレンとメタクリル酸グリシジルの共重合体、エチレンとアクリル酸グリシジルの共重合体、エチレンとプロペンの共重合体、エチレンプロピレンゴム(EPDM)のターポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)のターポリマー、エチレン−アクリル酸塩またはメタクリル酸アルキル−アクリル酸グリシジルまたはメタクリル樹脂のターポリマー及び、特にエチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジルターポリマー及びエチレン/アクリル酸アルキルまたはメタクリル樹脂−無水マレイン酸ターポリマー及び、特にエチレン−アクリル酸ブチル−無水マレイン酸ターポリマー等がある。
【0013】
重合体は、出願人の会社の特許EP1572807、EP0837909及びEP1576058に記載された重合体でもよい。
好適な重合体は、共役ジエン単位及び芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする共重合体である。本発明の重合体は、共役ジエン単位及び芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする1個以上の共重合体を含む。
共役ジエンは、モノマー1個につき4から8個の炭素原子を含むものから選択され、例えばブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレーン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び1,2−ヘキサジエン、クロロプレン、 カルボキシル化ブタジエン、カルボキシル化イソプレーン、特にブタジエン及びイソプレーン、及びそれらの混合物などがある。
芳香族モノハイドロカーボンは、スチレン、オルトメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2、3ジメチルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、及び 類似物またはそれらの混合物、特にスチレンから選択される。
更に詳しくは、この重合体は、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソプレーン、スチレン−クロロプレン、スチレン−カルボキシル化ブタジエン、またはスチレン−カルボキシルイソプレーンブロック共重合体から選択される1個以上の共重合体である。好適な重合体は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体SBまたはスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体SBS等のブタジエン単位及びスチレン単位をベースとする共重合体である。
スチレン−共役ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエン共重合体は、含有量5から50%、望ましくは20から50%のスチレンを有利に有している。
スチレン−共役ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエンの共重合体は、(1,2及び1,4)ブタジエンを含有量50から95%範囲で有利に有している。
スチレン−共役ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエン共重合体は、1,2−ブタジエンを含有量5から70%の範囲で有利に有している。1,2−ブタジエン単位は、1,2ブタジエン単位の添加による重合から得られる単位である。
スチレン−共役ジエン共重合体の平均分子量、及び特にスチレン−ブタジエン共重合体の平均分子量は、例えば、10、000から500、000、望ましくは50、000から200、000、更に好ましくは50、000から150、000ダルトンからなる。
【0014】
本発明の方法で利用する重合体の量は、0.5から20、望ましくは1から10、更に望ましくは2から5質量パーセントからなる。
本発明の方法で使うビチューメンは、異なる原料から得るビチューメンである。第1に挙げられるのは、天然ビチューメンの沈殿物または瀝青砂に含まれる天然ビチューメンである。
また、本発明のビチューメンは、原油を精製して得られるビチューメンである。このビチューメンは油を大気中及び/または真空留によって得られる。これらのビチューメンは随意に吹きつけ、ビスブロークン及び/または脱アスファルテンすることができる。ビチューメンはハードまたはソフト等級のビチューメンでもよい。最良の技術的妥協点を得るために、精製方法によって得られる異なるビチューメンを互いに結合してもよい。
使用ビチューメンは、揮発性溶剤、油由来のフラックス、炭素化合物のフラックス及び/または植物由来のフラックスを添加することよって得られるビチューメンでもよい。
カラー、着色すなわち着色可能なビチューメンと呼ばれる合成ビチューメンを使用することもできる。これらのビチューメンはアスファルテンをほとんどまたは全く含まず、着色の結果として得ることもできる。これらの合成ビチューメンは、石油樹脂及び/またはクマロンインデン樹脂及び例えば、特許EP179510に記載の潤滑油をベースとしてもよい。
【0015】
[実施例]
ビチューメン組成物T(コントロール)
重合体が未架橋のコントロールビチューメン組成物T(ビチューメンと重合体の物理的混合物)を用意する。
コントロールビチューメン組成物Tを以下のように調製する。
195℃で攪拌(300rpm)しながら次のものを2リッター密閉化学反応装置に入れる。
−NF(フランス規格協会)規格EN1426に準じ、50.1mmの浸透性をもつ直接蒸留ビチューメン95質量パーセント、及び
−25%重量のスチレン及び75%重量のブタジエンを含み、分子量重量、128、000ダルトンのスチレン/ブタジエンブロック共重合体5質量パーセント。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
使用量は、ビチューメン1772.2グラム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体93.3グラム。
【0016】
ビチューメン組成物T(コントロール)
硫黄で架橋した(加硫)コントロールビチューメン組成物Tを用意する。
コントロールビチューメン組成物Tを以下のように調製する。
195℃で攪拌(300rpm)しながら次のものを2リッター密閉化学反応装置に入れる。
−NF規格EN1426に準じ、50.1mmの浸透性をもつ直接蒸留ビチューメン94.87質量パーセント、及び
−25%重量のスチレン及び75%重量のブタジエンを含み、分子量重量、128、000ダルトンのスチレン/ブタジエンブロック共重合体5質量パーセント。
ビチューメン/重合体混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
次に、0.13質量パーセントの硫黄(硫黄流)を添加する。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
使用量は下記のとり。ビチューメン1037.1グラム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体54.7グラム及び硫黄1.42グラム。
【0017】
ビチューメン組成物T(コントロール)
重合体が式HS−CH(COOH)−CH(COOH)−SHのジメルカプトコハク酸で架橋されたコントロールビチューメン組成物Tを用意する。
コントロールビチューメン組成物Tを以下のように調製する。
195℃で攪拌(300rpm)しながら次のものを2リッター密閉化学反応装置に入れる。
−NF規格EN1426に準じ、50.1mmの浸透性をもつ直接蒸留ビチューメン94.87質量パーセント、及び
−25%重量のスチレン及び75%重量のブタジエンを含み、分子量重量、128、000ダルトンのスチレン/ブタジエンブロック共重合体5質量パーセント。
ビチューメン/重合体混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
次に、ジメルカプトコハク酸0.13質量パーセントを添加する。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
使用量は下記のとり。ビチューメン1082.4グラム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体57.05グラム及びジメルカプトコハク酸1.47グラム。
【0018】
ビチューメン組成物T(コントロール)
重合体が式C[CHOOCCHCHSH]のペンタエリスリチル・β−メルカプトプロピオネートで架橋された組成物Tを用意する。
コントロールビチューメン組成物Tを以下のように調製する。
195℃で攪拌(300rpm)しながら次のものを2リッター密閉化学反応装置に入れる。
−NF規格EN1426に準じ、50.1mmの浸透性をもつ直接蒸留ビチューメン94.87質量パーセント、及び−25%重量のスチレン及び75%重量のブタジエンを含み、分子量重量、128、000ダルトンの分子量のスチレン/ブタジエンブロック共重合体5質量パーセント。
ビチューメン/重合体混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に約2時間加熱する。
次に、ペンタエリスリチル・β−メルカプトプロピオネート0.13質量パーセントを添加する。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
使用量は、ビチューメン1101.96グラム、スチレン/ブタジエンブロック共重合体58.08グラム及びペンタエリスリチル・β−メルカプトプロピオネート1.51グラム。
【0019】
本発明のビチューメン組成物C〜C
本発明のビチューメン組成物C〜Cを異なる架橋剤(異なるR基を有する)を異なる濃度で用いて用意した。
本発明のビチューメン組成物C〜Cを以下のように用意した。
195℃で攪拌(300rpm)しながら次のものを2リッター密閉化学反応装置に入れる。
−NF規格EN1426に準じ、50.1mmの浸透性をもつ直接蒸留ビチューメン、及び
−25%重量のスチレン及び75%重量のブタジエンを含み、分子量重量、128、000ダルトンのスチレン/ブタジエンブロック共重合体。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
架橋剤HS−R−SHを添加する。
混合物を300rpmで攪拌しながら195℃に2時間加熱する。
下の表1に、使用した異なるHS−R−SH架橋剤の化学的性質を示す。
【0020】
【表1】

【0021】
架橋剤は、異なる濃度で導入される(0.05%から0.3質量パーセント)。スチレン/ブタジエンブロック共重合体は常に5質量パーセントの比率で導入され、ビチューメンは合計100質量パーセントに達するように導入される。下の表2に使用した量をパーセンテージ(架橋剤)とグラム(3つの構成要素)で示す。
【0022】
【表2】

【0023】
下の表3は、本発明の架橋ビチューメン/ポリマー組成物C〜Cの物理的特長を示す。下の表4は、コントロールビチューメン/ポリマー組成物ポリマー組成物T〜Tの物理的特長を示す。
【0024】
【表3】

(1)NF規格EN1426に準ずる。
(2)リング及びボール温度は、NF規格EN1427に準ずる。
(3)25℃での弾性回復:NF規格EN13398に準ずる。
(4)5℃時の粘着摩擦試験、NF規格EN13587に準ずる。伸び率500mm/分
(5)ゲル化テストは、1kgバインダーの容器を180℃で14日間放置して行う。木の棒を容器に浸け、バインダーの流れ方を時間ごとに測定する。
0から4のスケールでバインダーの状態を記述する
−0:バインダー流れ、滴状流れ
−1:液状バインダー、細い連続糸状の流れ
−2:粘性のあるバインダー、連続の幅広い流れ
−3:極めて粘性のあるバインダー、シート状流れ
−4:固体バインダー
【0025】
【表4】

(1)から(5)は 表3参照。
【0026】
表3、表4にまとめた結果から、以下の所見が得られる。
本発明の上記架橋剤は全てビチューメン/ポリマー組成物を架橋することができる。リングベル温度、浸透性、弾性回復及び粘着摩擦の値から、CからCの組成物はコントロールTの組成部と類似する。
組成物CからCの架橋により、粘稠度の増加が得られる(リングベル軟化点温度の上昇、及び浸透性の低減)。
組成物CからCの架橋により、弾性特性の向上(粘着摩擦延び、最大伸び応力及び弾性回復の向上)する。組成物T及びTの弾性回復値は組成物Tの弾性回復値と類似し、架橋によっても最適とはいえない。
組成物CからCは安定かつゲル化はなし。
ビチューメン−ポリマー混合物に架橋剤が導入されると、ビチューメンの中の共重合体の架橋が始まる。硫黄による架橋では、硫化水素の放出が伴う。本発明のHS−R−SH作用物質で架橋する間に放出される硫化水素の量を数値化するために、ガス相の硫化水素の放出を反応媒体中に置いたプローブで2時間測定した。
【0027】
本発明の二つのビチューメン組成物(C及びC)を架橋する間に所定の時間(5分、10分、20分、60分、120分)に得たHS放出の削減率をコントロールTに対するパーセンテージで計算した。また、2個のコントロールビチューメン組成物T及びTの架橋中に得たHS放出の削減率をコントロールTに対するパーセンテージで計算した(表5)。
【0028】
【表5】

【0029】
組成物C及びCでHS放出の相当な減少が見られる。例えば、C及びCでは10分で、コントロールTに対してHS放出が97%減少した。
同じ条件でテストした組成物C、C及びCも対比Tに対して同様にHSの放出が顕著に減少した。
組成物Tの調製においてHSの放出は、非常に異なる(硫化水素の量の減少はなく、Tと対比して増加)。組成物Tの調製においては、HSの放出は、5分から20分では、本発明の方法と同様に、TのHSの放出よりも小さいが、60分から120分では、本発明の方法は、HSの放出を更に明確に削減できる。更に、組成物Cの弾性回復値によれば、後者は組成物CからCほど架橋がうまく行われていない(73%から85%に比べ57%)。
従って、本発明に従って実施する架橋剤の調整法は、特に弾性の面で優れた特性を持ち、硫化水素の放出の面で標準的架橋剤(硫黄)の問題点を有しない、架橋ビチューメン/ポリマー組成物を得ることができる。特に、本発明に従って実施する架橋剤の調整法は、ビチューメン/ポリマー組成物の架橋処理中に、優れた弾力性を保持しながら硫化水素の放出を実質的に削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明に係る製法は、各種分野で用いることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法であって、100℃から230℃の温度で攪拌しながら、少なくとも10分間以上、少なくとも1つのビチューメンまたはビチューメンの混合物を少なくとも1以上の重合体及び少なくとも1以上の架橋剤と接触させる架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法おいて、前記架橋剤は一般式HS−R−SHで表され、ここで、Rは2から40個の炭素原子、任意に1以上のヘテロ原子を含み、カルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まない、飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表すことを特徴とする硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項2】
前記ヘテロ原子は、酸素原子であることを特徴とする請求項1に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項3】
前記酸素原子の数は、0から5、望ましくは1から4、望ましくは2から3であることを特徴とする請求項2に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項4】
前記R基は、4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子、望ましくは8から12の炭素原子を持つ飽和または不飽和、直鎖または分岐、環状及び/または芳香族炭化水素基を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項5】
前記R基は、2から40個の炭素原子、望ましくは4から20個の炭素原子、望ましくは6から18個の炭素原子、望ましくは8から12の炭素原子を持つ直鎖飽和の単独炭化水素基を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項6】
前記R基は、1以上のヘテロ原子を含む直鎖飽和炭化水素基を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項7】
前記R基は、1から20、望ましくは2から10までの整数m及びnを有する一般式:−(CH)m−O−(CH)n−を有することを特徴とする請求項6に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項8】
前記R基は、1から10、望ましくは2から6までの整数p、q及びrをもつ一般式:−(CH)p−O−(CH)q−O−(CH)r−を有することを特徴とする請求項6に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項9】
前記R基は、1以上の芳香環、望ましくは2以上の芳香環を含む不飽和基を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項10】
前記一般式HS−R−SHの架橋剤の量は、0.05から5質量パーセントの間であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項11】
前記重合体は、共役ジエン単位と芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする共重合体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項12】
前記共役ジエン単位は、モノマー1個につき4から8の炭素原子を含む、例えば、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレーン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び1,2−ヘキサジエン、クロロプレン、カルボキシル化ブタジエン、カルボキシルイソプレーン、特に、ブタジエン及びイソプレーン、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項11に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項13】
前記芳香族モノハイドロカーボン単位は、スチレン、(−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2、3ジメチルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン及びそれらの類似物または混合物、特に、スチレンから選択されることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項14】
前記重合体の量は、0.5から20質量パーセントの間、望ましくは1から10%の間、望ましくは2から5%間であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項15】
前記ビチューメンは、大気中蒸留残留物、真空蒸留残留物、ビスブロークン残留物、吹きつけ残留物、脱アスファルテン残留物、それらの混合物及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項16】
前記ビチューメンは、少なくとも1個のフラックスを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の硫化水素の放出を削減した架橋ビチューメン/ポリマー組成物の製法。
【請求項17】
前記架橋ビチューメン/ポリマー組成物の調合中の硫化水素の放出を削減するために、請求項1〜16のいずれかに限定する一般式HS−R−SHの架橋剤の使用法。
【請求項18】
前記架橋ビチューメン/ポリマー組成物は、無水状態または乳剤状態のビチューメンバインダーの製造するためのものであることを特徴とする請求項17に記載の一般式HS−R−SHの架橋剤の使用法。
【請求項19】
前記架橋ビチューメン/ポリマー組成物は、表面装飾材を製造するための凝集体との混合物において、路盤、接合段及び/または消耗段として使用できる加熱混合、常温混合、常温成型混合及び砂利乳剤を製造するためのものであることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の一般式HS−R−SHの架橋剤の使用法。
【請求項20】
前記架橋ビチューメン/ポリマー組成物は、シーリング膜、膜または下塗りの製造を意図したものであることを特徴とする請求項17又は請求項19に記載の一般式HS−R−SHの架橋剤の使用法。
【請求項21】
少なくとも1以上のビチューメンと、少なくとも1以上の重合体及び一般式HS−R−SHの少なくとも1以上の架橋剤からなるビチューメン/ポリマー組成物であって、Rは、2から40個の炭素原子と、任意に1以上のヘテロ原子望ましくは1以上の酸素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐炭化水素基を表し、前記R基はカルボニルC=O基及び/またはカルボン酸O−C=O基を含まないことを特徴とするビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項22】
前記酸素原子の数は、0から5、望ましくは1から4、望ましくは2から3に変わることを特徴とする請求項21に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項23】
前記R基は、請求項5〜10のいずれかに限定されることを特徴とする請求項21又は請求項22に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項24】
前記一般式HS−R−SHの架橋剤の量は、0.05から5質量パーセントの間からなることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項25】
前記重合体は、共役ジエン単位と芳香族モノハイドロカーボン単位をベースとする共重合体であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項26】
前記共役ジエン単位は、モノマー1個につき4から8の炭素原子を含む、例えばブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレーン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン及び1,2−ヘキサジエン、クロロプレン、カルボキシル化ブタジエン、カルボキシルイソプレーン、特に、ブタジエン及びイソプレーン及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項25に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項27】
前記芳香族モノハイドロカーボン単位は、スチレン、(−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2、3ジメチルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン及びそれらの類似物または混合物特にスチレンから選択されることを特徴とする請求項25又は請求項26に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項28】
前記重合体の量は、0.5から20質量パーセントの間、望ましくは1から10%の間、望ましくは2から5%の間で構成されることを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項29】
前記ビチューメンは、大気中蒸留残留物、真空蒸留残留物、ビスブロークン残留物、吹きつけ残留物、脱アスファルテン残留物、それらの混合物及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載のビチューメン/ポリマー組成物。
【請求項30】
前記ビチューメンは、少なくとも1以上のフラックスを含むことを特徴とする請求項21〜29のいずれか1項に記載のビチューメン/ポリマー組成物。

【公表番号】特表2011−516678(P2011−516678A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503470(P2011−503470)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000403
【国際公開番号】WO2009/133290
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510247397)
【Fターム(参考)】