説明

硫酸アルミニウムで結合された触媒

硫酸アルミニウムから得られるアルミナ結合剤、この結合剤を製造する方法、およびこの結合剤を使用して、触媒組成物を製造する方法が開示されている。接触分解触媒組成物、特にゼオライト、場合によってはクレイ、および硫酸アルミニウムにより得られるアルミナ結合剤により結合されたマトリックス材料を含む流動接触分解触媒組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸アルミニウムから得られるアルミナ結合剤により結合された新規な組成物、この組成物を製造する方法、およびこの組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状(particulate)無機組成物は触媒および触媒担体として有用であり、一般に好適な結合剤により結合された無機金属酸化物の小さなミクロスフェロイド(microspheroidal)粒子を含んでなる。例えば、炭化水素転換触媒、例えば流動接触分解(FCC)触媒は、通常、結合剤により結合された結晶性ゼオライト粒子と、場合によってはクレイ粒子およびマトリックス材料(例えば、アルミナ、シリカ、およびシリカ−アルミナ粒子)を含む。好適な結合剤は、包含されたシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ヒドロゲル、シリカゾル、およびアルミナゾル結合剤を有する。
【0003】
粒状触媒組成物が種々の特許で記述、開示されている。(特許文献1)および(特許文献2)は、ゼオライト、アルミナ、クレイ、およびシリカゾル結合剤の粒子を含むゾルベースのFCC触媒を開示している。
【0004】
(特許文献3)および(特許文献4)は、シリカ、アルミナ、およびクレイ成分を含有し、アルミナが酸により解膠された粒状触媒組成物を開示している。
【0005】
(特許文献5)は、ゼオライト、アルミニウムクロロヒドロール(chlorohydrol)結合剤、および場合によってはクレイから製造されるゼオライト含有粒状触媒を開示している。
【0006】
(特許文献6)および(特許文献7)は、シリカアルミナヒドロゲル結合剤系により結合された粒状触媒組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,957,689号
【特許文献2】米国特許第5,135,756号
【特許文献3】米国特許第4,086,187号
【特許文献4】米国特許第4,206,085号
【特許文献5】米国特許第4,458,023号
【特許文献6】米国特許第4,480,047号
【特許文献7】米国特許第4,219,406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
触媒製造業者は、原材料のコストを低下することにより触媒の製造コストを低下する方法を継続的に追求している。結果として、触媒および/または触媒担体組成物として有用である、効率的でかつ経済的な組成物と、粒状無機金属酸化物組成物の製造方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、硫酸アルミニウムから形成されるアルミナ結合剤により結合される複数の無機金属酸化物粒子を含む経済的な粒状組成物に関する。本発明の好ましい態様においては
、粒状触媒組成物、特に流動接触分解触媒組成物が提供される。本発明の組成物は経済的であり、触媒および/または触媒担体としての使用に好適な充分な磨減(attrition)性を保持する。
【0010】
本発明によれば、この粒状組成物は、複数の無機金属酸化物粒子と、無機金属酸化物粒子を結合し、粒状組成物を形成する機能を持つアルミナ結合剤をもたらすのに充分な量の硫酸アルミニウムを含んでなる。その後、この粒状組成物を処理して、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンが除去され、主に硫酸アルミニウムから得られるアルミナからなる結合剤がもたらされる。
【0011】
本発明の粒状組成物は、好ましくは触媒組成物として有用である。本発明の更に好ましい態様においては、この粒状組成物は、一般に硫酸アルミニウムから形成されるアルミナ結合剤により結合された、ゼオライト、クレイ、および場合によってはマトリックス材料の粒子を含む流動接触分解(FCC)触媒組成物である。有利なこととしては、本発明のFCC触媒組成物は、慣用の源、例えばアルミニウムクロロヒドロールから得られるアルミナ結合剤を含むFCC触媒と比較して、FCC工程時のボトム分解の増大と、コーク生成の減少を呈する。
【0012】
この粒状組成物は、一般に、複数の無機金属酸化物粒子と、無機金属酸化物粒子を結合し、無機金属酸化物粒状組成物を形成するのに充分な量の硫酸アルミニウムを含んでなる水性スラリーを噴霧乾燥することにより製造される。その後、この粒状組成物を水性塩基中で再スラリー化して、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンが除去され、それによりアルミナ含有結合剤が形成される。
【0013】
したがって、本発明の利点は、硫酸アルミニウムから得られる結合剤により結合された経済的な粒状無機金属酸化物組成物を提供することである。
【0014】
本発明の利点は、また、硫酸アルミニウムから得られる結合剤により結合された経済的な触媒組成物を提供することである。
【0015】
本発明のもう一つの利点は、接触分解条件下で良好な磨減性を有する経済的な流動接触分解触媒組成物を提供することである。
【0016】
もう一つの利点は、接触分解条件下でボトム分解が増大し、コーク生成が減少する流動接触分解触媒組成物を提供することである。
【0017】
本発明の更なる利点は、硫酸アルミニウムから製造される結合剤により結合された粒状無機金属酸化物組成物を製造する方法を提供することである。
【0018】
本発明の更なる利点は、硫酸アルミニウムから得られるアルミナ結合剤を用いて経済的な粒状無機金属酸化物触媒組成物を製造する方法を提供することである。
【0019】
本発明のもう一つの利点は、FCC工程時に良好な磨減性、ボトム分解の増大、およびコーク生成の減少を呈する、経済的な流動接触分解触媒組成物を製造する方法を提供することである。
【0020】
本発明の利点は、また、本発明による組成物および方法を用いて改善されたFCC法を提供することである。
【0021】
本発明のこれらの局面と他の局面を下記に更に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の粒状組成物は、一般に、複数の無機金属酸化物粒子と、硫酸アルミニウムから得られるアルミナ結合剤を含んでなる。予期に反して、低コストの硫酸アルミニウムを結合剤源として使用することによって、有用な触媒もしくは触媒担体となるのに充分な磨減性を有する粒状無機金属酸化物組成物が得られる。
【0023】
本発明の粒状組成物は、一般に、複数の無機金属酸化物粒子と硫酸アルミニウムを含有する水性スラリーを形成することにより製造される。このスラリーは、無機金属酸化物粒子を硫酸アルミニウムの水溶液の中に直接に混合すること、または別個に、無機金属酸化物粒子の水性スラリーと硫酸アルミニウムの水溶液を予備形成し、その後スラリーを混合して、無機金属酸化物粒子と硫酸アルミニウムを含有する水性スラリーを形成することにより形成され得る。
【0024】
場合によっては、この水性スラリーをミル掛けして、均質もしくは実質的に均質なスラリーを得、このスラリーのすべての固体成分が約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有することを確保する。別法としては、このスラリーの成分はスラリーの形成前にミル掛けされ得る。
【0025】
この後、無機金属酸化物および硫酸アルミニウム含有水性スラリーは、慣用の噴霧乾燥法を用いて噴霧乾燥にかけられる。噴霧乾燥時、このスラリーは、硫酸アルミニウムにより結合された複数の無機金属酸化物粒子を含んでなる複合無機金属酸化物粒状組成物に変換される。この噴霧乾燥された組成物は、通常、約40から約150ミクロンのオーダーの平均粒子サイズを有する。
【0026】
噴霧乾燥に続いて、この粒状組成物は場合によってはカ焼(calcined)される。一般に、この粒状組成物は、約150℃から約600℃の範囲の温度で約2時間から約10分間カ焼される。
【0027】
カ焼の前もしくは後に、無機金属酸化物粒状組成物を処理して、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンを除去し得る。本発明の目的には、用語「実質的に全部」は、本発明における硫酸イオンの除去に関する場合、10重量%未満の、好ましくは6重量%未満の、更に好ましくは4重量%未満の硫酸イオンが最終粒状組成物中に残存する程度で粒状組成物から硫酸イオンを除去することを示すようにこの明細書中では使用される。硫酸イオンの除去は、塩基、例えば水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびこれらの混合物を水溶液中で約7から約13の、好ましくは約7.5から約11のpHを維持するのに充分な量で含有する水溶液中で粒状組成物を再スラリー化することにより行われ得る。硫酸イオンを除去することによって、硫酸アルミニウムから得られるアルミナを含む結合剤がもたらされる。
【0028】
再スラリー工程時の温度は、通常、約1℃から約100℃の範囲である。好ましくは、この温度は、約1分間から約3時間約4℃から約75℃で維持される。
【0029】
その後、得られる粒状組成物を処理して、イオン交換および/または引き続いての洗浄段階によりいかなる残存アルカリ金属イオンも除去し得る。このイオン交換段階は、通常、水および/または硫酸アンモニウム溶液などのアンモニウム塩水溶液および/または希土類塩化物溶液などの多価金属溶液を用いて行われる。通常、これらのイオン交換溶液は、約0.1から約30重量パーセントの溶解塩を含有する。所望の程度のアルカリ金属酸化物除去の達成には、多重のイオン交換がメリットがあるということがしばしば見出されている。通常、このイオン交換は、約50℃から約100℃のオーダーの温度で行われる

【0030】
イオン交換に引き続いて、この触媒成分を通常、水により洗浄して、可溶性不純物レベルを望ましいレベルまで低下させる。
【0031】
イオン交換および/または洗浄に引き続いて、この粒状組成物を通常約100℃から約200℃の範囲の温度で乾燥して、これらの水分含量を望ましいレベル、通常約30重量パーセント以下に低下させる。
【0032】
本発明の実施で使用される硫酸アルミニウムは、商用源から容易に入手可能な任意の硫酸アルミニウムであり、通常、式Al(SOを有する。本発明で有用な硫酸アルミニウム水溶液は、固体硫酸アルミニウムを水に溶解することにより製造され得る。通常、この硫酸アルミニウム溶液は、約4から約9重量%のアルミナを含有する。本発明の粒状組成物は、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンを除去することにより硫酸アルミニウムから得られるアルミナにより結合される。通常、本発明の粒状組成物は、硫酸アルミニウムから得られる少なくとも5重量%のアルミナを含んでなる。本発明の好ましい態様においては、本発明の粒状組成物は、硫酸アルミニウムから得られる約5から約25重量%のアルミナを含んでなる。本発明のなお更に好ましい態様においては、本発明の粒状組成物は、硫酸アルミニウムから得られる約6から約18重量%のアルミナを含んでなる。本発明の最も好ましい態様においては、本発明の粒状組成物は、硫酸アルミニウムからの約7から約15重量%のアルミナを含んでなる。
【0033】
本発明の組成物の製造に有用な無機金属酸化物材料は、最終組成物の意図された使用により充分な性質と安定性を有する任意の無機金属酸化物材料であり得る。一般に、好適な無機金属酸化物材料は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、周期率表の新表記法の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12族から選択される遷移金属の酸化物、希土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む。好ましい遷移金属酸化物は、限定ではないが、鉄、亜鉛、バナジウムの酸化物、およびこれらの混合物を含む。好ましい希土類酸化物は、限定ではないが、セリア、イットリア、ランタナ、プラセオジミア(praesodemia)、ネオジミア、およびこれらの混合物を含む。好ましいアルカリ土類酸化物は、限定ではないが、カルシウム、マグネシウムの酸化物、およびこれらの混合物を含む。当業者ならば理解するように、本発明の組成物の製造に使用される所定の無機金属酸化物材料の量は、最終組成物の意図された使用に依存して変わる。本発明の組成物を接触分解触媒として使用する場合には、この無機金属酸化物材料は、この明細書中下記で述べるようにゼオライトを含んでなり得る。
【0034】
当業者ならば理解するように、本発明による金属酸化物組成物は、意図された使用に依存して種々の粒子サイズを有する。しかしながら、通常、本発明の金属酸化物組成物は、約40から約150ミクロン、好ましくは約60から約120ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0035】
有利なこととしては、本発明の金属酸化物組成物は、良好な磨減抵抗度を呈する。通常、本発明による組成物は、30未満の、好ましくは20未満のダビソン磨減インデックス(DI)を有する。
【0036】
本発明による粒状組成物は、特に触媒および/または触媒担体として種々の用途において有用であり得る。好ましい態様においては、本発明の粒状組成物は接触分解触媒として有用である。更に好ましい態様においては、本発明の無機金属酸化物組成物は流動接触分解触媒として有用である。
【0037】
接触分解触媒として使用する場合には、本発明の粒状組成物は、通常、ゼオライト、硫酸アルミニウムから得られるアルミナ結合剤、場合によってはクレイ、およびマトリックス材料を含んでなる。
【0038】
本発明組成物中で有用なゼオライト成分は、接触分解条件、特に流動接触分解条件下で接触分解活性を有する任意のゼオライトであり得る。通常、このゼオライト成分は、約10から約15重量パーセントのNaOを含有する、ナトリウムタイプYゼオライト(NaY)などの合成フォージャサイトゼオライトである。あるいは、フォージャサイトゼオライトは、USYもしくはREUSYフォージャサイトゼオライトであり得る。ゼオライト成分を触媒中に組み込む前に水熱的もしくは熱的に処理し得るということは本発明の範囲内で意図されている。触媒中に組み込む前にこのゼオライトを部分的にイオン交換して、これらのソーダレベルを低下させ得るということも意図されている。通常、このゼオライト成分は、0.5パーセント以上過剰の、しばしば約3から約6重量パーセントのNaOを含有する部分的にアンモニウム交換されたタイプYゼオライトNHNaYを含み得る。更には、このゼオライトは、希土類金属イオン、カルシウム、およびマグネシウムなどの多価金属イオンにより部分イオン交換され得る。このゼオライトは、熱処理および水熱処理の前および/または後でイオン交換され得る。このゼオライトは、金属およびアンモニウムおよび/または酸イオンの組み合わせ物によってもイオン交換され得る。このゼオライト成分は、モルデナイト、ベータゼオライト、およびZSMタイプゼオライトと組み合わせた合成フォージャサイトなどのゼオライトの混合物を含み得るということも意図されている。一般に、このゼオライト分解成分は、分解触媒の約5から約80重量%を占める。好ましくは、このゼオライト分解成分は、触媒組成物の約10から約70重量%、最も好ましくは約20重量%から約65重量%を占める。
【0039】
本発明による接触分解触媒は、クレイを場合によっては含み得る。カオリンが好ましいクレイ成分であるが、ピラード(pillard)クレイおよび/または変成カオリン(例えば、メタカオリン)などの他のクレイは、本発明の触媒に場合によっては包含され得るということも意図されている。使用する場合、このクレイ成分は、通常、触媒組成物の約75重量%までを、好ましくは約10から約65重量%を占める。
【0040】
本発明の接触分解触媒組成物は、少なくとも1つ以上のマトリックス材料も場合によっては含み得る。本発明の触媒中に場合によっては存在する好適なマトリックス材料は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、および希土類金属と、遷移金属の酸化物を含む。このマトリックス材料は、触媒組成物の約60重量%までの、好ましくは約5から約40重量%の量で本発明の触媒中に存在し得る。
【0041】
分解触媒の粒子サイズおよび磨減性は、接触分解ユニット中の流動化の性質に影響を及ぼし、商用ユニット、特にFCCユニット中での触媒の保持性を決定する。接触分解触媒として使用する場合には、本発明の組成物は、通常、約40から約150μmの、更に好ましくは約60から約120μmの平均粒子サイズを有する。本発明の組成物は、ダビソン磨減インデックス(DI)により測定して良好な磨減性を有する。通常、本発明の組成物は、30未満の、更に好ましくは25未満の、最も好ましくは20未満のDI値を有する。
【0042】
本発明による接触分解触媒組成物は、最終の接触分解触媒組成物中で、硫酸アルミニウムから得られる少なくとも5重量%の、好ましくは約5から約25重量%の、最も好ましくは約7から15重量%のアルミナをもたらすのに充分な量の硫酸アルミニウム、約5から約80重量部のゼオライト成分、場合によっては約0から約80重量%のクレイ、およびマトリックス材料を含む水性スラリーから形成される。この水性スラリーをミル掛けし
て、均質もしくは実質的に均質なスラリーを得、このスラリーのすべての固体成分が約20ミクロン未満の平均粒子サイズを有することを確保する。別法としては、スラリーの形成成分をスラリーの形成前にミル掛けして、20ミクロン未満の平均粒子サイズを有する固体をスラリー内で得る。その後でこのスラリーを混合して、均質もしくは実質的に均質な水性スラリーを得る。
【0043】
その後、この水性スラリーを噴霧段階にかけ、スラリーを慣用の噴霧乾燥法を用いて噴霧乾燥する。噴霧乾燥段階時に、このスラリーを硫酸アルミニウムにより結合されるゼオライトを含む粒状固体組成物に転換する。この噴霧乾燥された触媒粒子は、通常、約40から約150ミクロンのオーダーの平均粒子サイズを有する。
【0044】
噴霧乾燥に続いて、この触媒粒子は、約150℃から約600℃の範囲の温度で約2時間から約10分間カ焼される。好ましくは、この触媒粒子は、約250℃から約450℃の範囲の温度で約40分間カ焼される。
【0045】
カ焼に続いて、この触媒粒子を塩基水溶液中で再スラリー化して、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンを除去し、触媒粒子中にアルミナを含む結合剤を形成する。この塩基水溶液は、約7から約13の、好ましくは約7.5から約11のpHを再スラリー段階時に維持するのに充分な量で水と塩基、例えば水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびこれらの混合物を含んでなる。再スラリー段階時の温度は約1℃から約100℃の範囲であり;好ましくは、この温度は約1分間から約3時間約4℃から約75℃で維持される。
【0046】
その後、この触媒粒子を場合によってはイオン交換および/または好ましくは水により洗浄して、過剰のアルカリ金属酸化物と任意の他の可溶性不純物を除去する。洗浄された触媒粒子を慣用の方法、例えば濾過によりスラリーから分離し、通常約100℃から300℃の範囲の温度で乾燥して、粒子の水分含量を所望のレベルまで低下させる。
【0047】
本発明によるFCC触媒組成物の主要な成分は、ゼオライト、マトリックス材料、場合によってはクレイおよびマトリックス材料、すなわちアルミナ、シリカ、およびシリカ−アルミナを含む。接触分解法で慣用的に使用する他の添加物、例えばSOx還元添加物、NOx還元添加物、ガソリンイオウ還元添加物、CO燃焼促進剤、軽質オレフィンの製造用の添加物と組み合わせて本発明の触媒組成物を使用し得るということは、更に本発明の範囲内にある。
【0048】
本発明の分解触媒組成物は、接触分解条件下で炭化水素フィード原料を低分子量化合物に転換するのに特に有用である。本発明の目的には、語句「接触分解条件」は、分解触媒のインベントリーを接触分解工程で循環することを包含し、現在では殆ど必ずFCC法である通常の接触分解工程の条件を示すのにこの明細書中では使用される。粒子サイズの適切な調整を加えて古い移動床タイプ(TCC)分解法で本発明の分解法を使用して、工程の要求に適合させることができるが、便宜上FCC法を参照しながら本発明を説明する。触媒インベントリーへの追加または触媒インベントリーとしての本発明の触媒組成物の追加とは別に、工程の運転方法は変わらない。このように、本発明の触媒組成物との組み合わせで、慣用のFCC触媒、例えば、Venuto and Habib,Fluid Catalytic Cracking with Zeolite Catalysts,Marcel Dekker,New York 1979,ISBN 0−8247−6870−1のセミナー総説、ならびにSadeghbeigi,Fluid Catalytic Cracking Handbook,Gulf Publ.Co.Houston,1995,ISBN 0−88415−290−1などの多数の他の情報源で述べられているようなフォージャサイト分解成分を含むゼオライトベースの触媒が使
用され得る。通常、このFCC触媒は、結合剤、通常シリカ、アルミナまたはシリカアルミナ、Yタイプ酸性ゼオライト活性成分、1つ以上のマトリックスアルミナおよび/またはシリカアルミナ、およびカオリンクレイなどの充填剤からなる。このYゼオライトは1つ以上の形で存在し得、希土類のいずれかなどの安定化カチオンによる超安定化および/または処理を受けたものであり得る。
【0049】
用語「接触分解活性」は、炭化水素を低分子量化合物に接触分解条件下で転換するのを接触する能力を示すのにこの明細書中では使用される。
【0050】
若干簡潔に述べると、FCC法は、循環式触媒再循環分解法においてフィード原料を約20から約150μmの範囲のサイズを有する粒子からなる循環流動型接触分解触媒インベントリーと接触させることにより、重質炭化水素フィード原料を軽質生成物に分解することを包含する。これらの比較的高分子量の炭化水素フィード原料を接触分解することによって、結果として低分子量の炭化水素生成物が製造される。循環式FCC法の有意な段階は、次の通りである。
(i)フィードを高温の再生分解触媒源と接触させることによりフィードを接触分解条件で運転されている接触分解域、通常、ライザー分解域で接触分解して、分解生成物と、使用済触媒含有のコークおよびストリップ可能な炭化水素を含む流出物を生成させる。
(ii)流出物を通常、1つ以上のサイクロン中で分解生成物リッチの蒸気相と使用済触媒を含む固体リッチの相に排出、分離させる。
(iii)蒸気相を生成物として取り出し、FCC主蒸留塔と関連の副蒸留塔中で分留して、ガスおよびガソリンを含む液体の分解生成物を形成する。
(iv)使用済触媒を通常、水蒸気によりストリッピングして、触媒から吸収(occluded)された炭化水素を除去し、その後ストリッピングされた触媒を触媒再生域中で酸化的に再生して、高温の再生触媒を生成し、次に更なる量のフィードを分解するために分解域に再循環させる。
【0051】
通常のFCC法は、480℃から600℃の反応温度、600℃から800℃の触媒再生温度で行われる。当業界では周知であるように、触媒再生域は単一もしくは多重の反応容器からなり得る。本発明の組成物は、任意の通常の炭化水素フィード原料のFCC処理で使用され得る。当業者ならば理解するように、本発明の触媒組成物の有用な量は、具体的なFCC法に依って変わる。通常、使用される組成物の量は、分解触媒インベントリーの少なくとも0.1重量%、好ましくは約0.1から約10重量%、最も好ましくは約0.5から100重量%である。
【0052】
本発明の分解触媒組成物は、分解工程が進行中である間に循環FCC触媒インベントリーに添加され得るか、もしくはFCC運転のスタート時にインベントリー中に存在し得る。この触媒組成物は、分解域もしくはFCC分解装置の再生域に、またはFCC法における任意の他の好適な地点において直接に添加され得る。当業者ならば理解するように、分解工程で使用される触媒の量は、分解対象のフィード原料、FCCUの運転条件、および所望されるアウトプットなどの要素に依ってユニットごとに変わる。通常、使用される触媒の量は、フィード1g毎に約1gから約30gの範囲である。本発明の触媒を使用して、任意の通常の炭化水素フィード原料を分解し得る。本発明の分解触媒組成物は、軽質ないし重質の石油フィード原料の分解に特に有用である。有利なこととしては、本発明のFCC触媒組成物は、慣用の源、例えばアルミニウムクロロヒドロールから得られるアルミナ結合剤を含有する触媒組成物と比較して、FCC工程時にボトム分解の増大、およびコーク生成の減少を呈する。
【0053】
本発明とこの利点を更に例示するために、次の具体的な実施例を示す。この実施例は、特許請求された発明の具体的な例示として示される。しかしながら、本発明は、実施例で
示される具体的な詳細に限定されないということを理解すべきである。
【実施例】
【0054】
組成または濃度に言及する実施例ならびに明細書の残りにおけるすべての部数およびパーセントは、特記しない限り重量によるものである。
【0055】
更には、特定の組の性質、測定の単位、条件、物理的状態またパーセントを表すものなどの本明細書または請求項で示される任意の数の範囲は、このように述べられる範囲の数の任意の下位の組の範囲を含む、このような範囲内に入るいかなる数もこの明細書中に文字通りかつ明瞭に組み込むように意図されている。
【0056】
実施例1
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、20833gの硫酸アルミニウム水溶液中で6750g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、6750g(乾燥基準)のカオリンクレイをスラリーに添加した。このスラリーに6000gの水を添加した。次に、このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.2であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0057】
1080gの水と120gのアンモニア水(28−30重量%のNHを含有する水酸化アンモニウム溶液)を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリーとした。10分後のpHおよび温度はそれぞれ9および29℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0058】
実施例2
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、20833gの硫酸アルミニウム水溶液中で6750g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、1500g(乾燥基準)のベーマイトアルミナを添加した。次に、5250g(乾燥基準)のカオリンクレイをスラリーに添加した。このスラリーに4000gの水を添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.2であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0059】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0060】
1080gの水と120gのアンモニア水を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリー化した。10分後のpHおよび温度はそれぞれ8.8および30℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0061】
実施例3
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、16667gの硫酸アルミニウム水溶液中で5250g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、8550g(乾燥基準)のカオリンクレイをスラリーに添加した。このスラリーに10000gの水を添加した。次に、このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.4であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0062】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0063】
1100gの水と100gのアンモニア水を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリー化した。10分後のpHおよび温度はそれぞれ8.6および25℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0064】
実施例4
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、16667gの硫酸アルミニウム水溶液中で5250g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、1500g(乾燥基準)のベーマイトアルミナを添加した。次に、8550g(乾燥基準)のカオリンクレイをスラリーに添加した。このスラリーに5000gの水を添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.2であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0065】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0066】
1080gの水と120gのアンモニア水を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリー化した。10分後のpHおよび温度はそれぞれ8.8および25℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0067】
実施例5
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、12500gの硫酸アルミニウム水溶液中で3750g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、3750g(乾燥基準)のベーマイトアルミナを添加した。このスラリーに17246gの水を添加した。次に、6600g(乾燥基準)のカオリンクレイをこのスラリーに添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.5であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0068】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0069】
1100gの水と100gのアンモニア水を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリー化した。10分後のpHおよび温度はそれぞれ9.7および17℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0070】
実施例6
7.2重量%のアルミナを含有するように作製した、12500gの硫酸アルミニウム水溶液中で3750g(乾燥基準)のUSY粉末をスラリー化した。次に、3750g(乾燥基準)のベーマイトアルミナを添加した。このスラリーに17246gの水を添加した。次に、6600g(乾燥基準)のカオリンクレイをこのスラリーに添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.5であった。ミル掛けしたス
ラリーを噴霧乾燥した。
【0071】
800gの水と200gのアンモニア水を混合し、氷浴を用いて5℃まで冷却した。この冷却したアンモニア溶液に焼成触媒を添加し、10分間スラリー化した。10分後のpHおよび温度はそれぞれ10.3および18℃であった。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水でリンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0072】
実施例7
4000g(乾燥基準)のUSY粉末を10624gの水中でスラリー化した。このスラリーに7.2重量%のアルミナを含有するように作製した8333gの硫酸アルミニウム溶液を添加した。次に、2500g(乾燥基準)のHipal−30アルミナ(Southern Ionics)を添加した。次に、2900g(乾燥基準)のカオリンクレイをこのスラリーに添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.6であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0073】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0074】
1200gの水と42.4gのNaOHペレットを75℃で混合した。この溶液に焼成触媒を添加した。触媒添加時、20%のNaOH溶液を用いて、8.0−8.5のpHを維持した。このpHと温度を10分間維持した。次に、このスラリーを濾過し、75℃の水によりリンスした。次に、これを(NHSO溶液により75℃でリンスした。ケーキを75℃の水により再度リンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0075】
実施例8
4000g(乾燥基準)のUSY粉末を10575gの水中でスラリー化した。このスラリーに7.2重量%のアルミナを含有するように作製した8333gの硫酸アルミニウム溶液を添加した。次に、2500g(乾燥基準)のHipal−40アルミナ(Southern Ionics)を添加した。次に、2900g(乾燥基準)のカオリンクレイをこのスラリーに添加した。このスラリーをミル掛けした。ミル掛けしたスラリーのpHは3.6であった。ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥した。
【0076】
400gの噴霧乾燥した材料を371℃で40分間実験室用マッフル焼成した。
【0077】
1200gの水と42.4gのNaOHペレットを75℃で混合した。この溶液に焼成触媒を添加した。触媒添加時、20%のNaOH溶液を用いて、8.0−8.5のpHを維持した。このpHと温度を10分間維持した次に、このスラリーを濾過し、75℃の水によりリンスした。次に、これを(NHSO溶液により75℃でリンスした。ケーキを75℃の水により再度リンスした。次に、希土類塩化物溶液を4.9のpHおよび75℃の温度で用いて、この材料を希土類によりイオン交換した。最終的に、これを濾過し、熱水でリンスし、オーブン乾燥した。得られる材料の性質を下記の表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例9
上記の実施例1−6からの試料を流動床中100%蒸気環境において815℃で4時間
不活性化した。この明細書中下記に述べる不活性化法を用いて、実施例7および8からの試料を2000ppmのNiおよび3000ppmのVの存在において不活性化した。
【0080】
この試料を400゜Fで1時間、次に1100゜Fで3時間加熱した。冷却後、ナフテン酸塩からの2000ppmのNiおよび3000ppmのVをインシピエント・ウエットネス法により含浸させた。次に、この試料を400゜Fで1時間、次に1100゜Fで3時間加熱した。次に、100gの含浸試料を1/2インチ長さ×1.18インチ直径の石英反応管25に装填する。窒素パージ下で反応器を2 1/2時間にわたって室温から1440゜Fまで加熱し、平衡させる。蒸気を開始し、最初の5分の間に温度を1450゜Fまで上昇させる。
【0081】
1450゜F、50重量%の蒸気、0psig、50重量%の窒素の10分間のパージ、次に10分間の50重量%のSO(4000ppm)含有空気流、次に50重量%の窒素の10分間のパージ、次にN中5%のプロピレンの50重量%の10分間の流れからなる30回のサイクルを伴う20時間の条件でこの試料を蒸気不活性化した。終わりに反応器をNパージにより冷却する。
【0082】
反応器温度527℃および触媒:オイル比4において固定床MAT反応器(ASTM#D−3907−92)を用いて、不活性化された触媒試料を炭化水素フィードの分解能力について試験した。試験に使用したフィードの性質を下記の表2に示す。各試料の炭化水素フィード分解活性を下記の表3に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
実施例10
下記の表4に示す性質を有する、実施例2で述べたように作製した触媒材料およびアルミニウムクロロヒドロール結合触媒のUltima 2056(W.R.Grace &
Co.Conn.Columbia,Marylandから入手)の試料を流動床中100%蒸気環境において815℃で4時間不活性化した。これらの不活性化された試料をACE Model AP流動床ミクロ活性ユニット(Kayser Technology,Inc.から入手)中527℃で評価した。4、6、および8の触媒:オイル比を用いて、3回のランを各触媒に対して行った。触媒重量を変え、フィード重量を一定に保つことにより、触媒:オイル比を変えた。各ランに対して使用したフィード重量は1.5gであり、フィード注入速度は3.0g/分であった。ACE試験に使用したフィードの性質を下記の表4および5に示す。
【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
ACE試験から得られる一定の転化率での収率を下記の表6に示す。実施例2の触媒試料は、慣用のアルミニウムクロロヒドロール結合分解触媒組成物から得られる収率と比較して性能の増強を呈し、すなわち、コーク生成物が低く、ボトム分解が増大する。
【0089】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機金属酸化物粒子と、粒子を結合し、30未満のダビソンインデックスを有する粒状無機金属酸化物組成物を形成するのに充分な量で、硫酸アルミニウムから得られるアルミナを含む粒状組成物。
【請求項2】
硫酸アルミニウムから得られるアルミナが無機金属酸化物組成物の少なくとも5重量%を占める、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
無機金属酸化物がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、周期率表の新表記法の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12族から選択される遷移金属の酸化物、ゼオライト、希土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
遷移金属が鉄、亜鉛、バナジウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
希土類金属がセリア、イットリア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
アルカリ土類金属がカルシウム、マグネシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が20未満のダビソン磨減インデックス(DI)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が約40から約150ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が約60から約120ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
硫酸アルミニウムから得られるアルミナが無機金属酸化物組成物の約5から約25重量%の範囲の量で組成物中に存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
接触分解条件下で接触分解活性を有する少なくとも1つのゼオライトと、粒子を結合し、30未満のダビソンインデックスを有する粒状無機金属酸化物組成物を形成するのに充分な量の、硫酸アルミニウムから得られるアルミナを含む接触分解触媒組成物。
【請求項12】
硫酸アルミニウムから得られるアルミナが無機金属酸化物組成物の少なくとも5重量%を占める、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項13】
組成物が約40から約150ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項14】
組成物が約60から約120ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項13に記載の触媒組成物。
【請求項15】
クレイを更に含む、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項16】
アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、周期率表の新表記法の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12族から選択される遷移金属の酸化物、希土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのマトリックス材料を更に含む、請求項11もしくは15に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つのゼオライトが触媒組成物の約10から約80重量%を占める、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項18】
少なくとも1つのゼオライトが触媒組成物の約20から約65重量%を占める、請求項17に記載の触媒組成物。
【請求項19】
少なくとも1つのゼオライトがフォージャサイトゼオライト、モルデナイト、ベータゼオライト、ZSM−5タイプゼオライト、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項20】
ゼオライトがフォージャサイトゼオライトである、請求項19に記載の触媒組成物。
【請求項21】
ゼオライトが希土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、酸イオン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるイオンにより部分的にイオン交換されている、請求項11もしくは19に記載の触媒組成物。
【請求項22】
硫酸アルミニウムから得られるアルミナが無機金属酸化物組成物の約5から約25重量%の範囲の量で組成物中に存在する、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項23】
a)複数の無機金属酸化物粒子と、最終粒状触媒組成物中で少なくとも5重量%のアルミナをもたらすのに充分な量の硫酸アルミニウムを含む水性スラリーを形成すること;
b)場合によっては、スラリーをミル掛けすること;
c)スラリーを噴霧乾燥して、硫酸アルミニウムにより結合された無機金属酸化物粒子を形成すること;
d)場合によっては、硫酸アルミニウムで結合された金属酸化物粒子をカ焼すること;
e)全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンを除去するのに充分な時間および温度で硫酸アルミニウムで結合された金属酸化物粒子を塩基水溶液中約7から約13のpHで再スラリー化すること;および
f)得られる無機金属酸化物組成物を回収し、乾燥して、硫酸アルミニウムから得られるアルミナにより結合される最終の無機金属酸化物組成物を得ること
を含んでなる、少なくとも30のダビソンインデックスを有する粒状組成物を形成する方法。
【請求項24】
硫酸アルミニウムが最終の無機金属酸化物組成物中で約5から約25重量%のアルミナをもたらすのに充分な量でスラリー中に存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
硫酸アルミニウムで結合された粒子が約150℃から約600℃の範囲の温度で約2時間から約10分間カ焼される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
再スラリー段階時の温度が約1分間から約3時間で約1℃から約100℃の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
a)接触分解条件下で接触分解活性を有する少なくとも1つのゼオライト粒子と、最終触媒組成物中で少なくとも5重量%のアルミナをもたらすのに充分な量の硫酸アルミニウムを含む水性スラリーを形成すること;
b)スラリーをミル掛けすること;
c)ミル掛けしたスラリーを噴霧乾燥して、粒子を形成すること;
d)噴霧乾燥された粒子を揮発分除去に充分な温度および時間カ焼すること;
e)カ焼粒子を塩基水溶液中約7から約13のpHで、全部もしくは実質的に全部の硫酸イオンを除去するのに充分な時間および温度で再スラリー化すること;
f)得られる粒子を回収し、乾燥して、硫酸アルミニウムから得られる少なくとも5重量%のアルミナを含む最終触媒組成物を得ること
を含んでなる、少なくとも30のダビソンインデックスを有する接触分解触媒組成物を形成する方法。
【請求項28】
硫酸アルミニウムが最終触媒組成物中で硫酸アルミニウムから得られる約5から約25重量%のアルミナをもたらすのに有意な量でスラリー中に存在する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
噴霧乾燥された粒子が約150℃から約600℃の範囲の温度で約2時間から約10分間カ焼される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
再スラリー段階時の温度が約1分間から約3時間で約1℃から約100℃の範囲である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのゼオライトがフォージャサイトゼオライトを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
フォージャサイトゼオライトがY−タイプゼオライト、USYゼオライト、REUSYゼオライトまたはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ゼオライトが希土類金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、酸イオン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるイオンにより部分的にイオン交換されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
スラリーがクレイを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
スラリーがアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、周期率表の新表記法の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12族から選択される遷移金属の酸化物、希土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのマトリックス材料を更に含む、請求項27もしくは34に記載の方法。
【請求項36】
炭化水素フィード原料を接触分解触媒と高められた温度で接触させ、低分子量炭化水素成分を形成し、前記分解触媒が請求項11、16もしくは20の組成物を含んでなる、炭化水素フィード原料を低分子量成分に接触分解する方法。
【請求項37】
前記接触させる段階から分解触媒を回収すること、ならびに使用済の触媒を再生域中で処理して、前記触媒を再生することを更に含んでなる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
フォージャサイトゼオライトがY−タイプゼオライト、USYゼオライト、REUSYゼオライトまたはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−542428(P2009−542428A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518143(P2009−518143)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/013664
【国際公開番号】WO2008/005155
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(399016927)ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット (63)
【Fターム(参考)】