説明

硬化性組成物、その硬化層及び積層体

【課題】 優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度であるとともにカール性が小さく屈曲性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供する。
【解決手段】 有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 30〜80質量%、及び(B)分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート 5〜50質量%を含有する硬化性組成物;これを硬化してなる硬化層及び積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、その硬化層及び積層体に関する。さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材[例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等]の表面に、高硬度であるとともに耐擦傷性並びに基材及び基材や高屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及びカール性が小さく、屈曲性、耐薬品性に優れたハードコート用の硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、屈曲性、耐擦傷性、耐摩耗性、低カール性(硬化膜の反りが小さいことをいう)、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
【0003】
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、また硬化膜とした場合に、高硬度であるとともに屈曲性に優れ、カール性が小さいという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
例えば、コロイダルシリカの表面をメタクリロキシシランで修飾した粒子とアクリレートとの組成物を、放射線(光)硬化型のコーティング材料として用いる技術が提案されている(特許文献1)。この種の放射線硬化型の組成物は、優れた塗工性を有すること等から、最近多用されるようになって来ている(特許文献2〜7)。
【0004】
特許文献8は、ハードコートのカールを低減する技術が開示されているが、150℃という高温の処理温度を必要とするため、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム等のフィルム用途、熱履歴を嫌うディスク用途には不適当であり、熱膨張カプセルが必須成分であり、用途、構成において異なる技術内容である。
【0005】
特許文献9は、イソシアヌレート環構造を有する化合物を含む組成物の硬化物を開示している。しかしながら、粒子を用いず、膜厚を大きくすることで、高硬度を発現させている。
【0006】
【特許文献1】特表昭58−500251号公報
【特許文献2】特開平10−273595号公報
【特許文献3】特開2000−143924号公報
【特許文献4】特開2000−281863号公報
【特許文献5】特開2000−49077号公報
【特許文献6】特開2001−89535号公報
【特許文献7】特開2001−200023号公報
【特許文献8】特開2003−313329号公報
【特許文献9】特開2004−141732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のような組成物を用いた硬化物上に塗布により低屈折率膜を積層させ、その積層体を反射防止膜として用いた場合、反射防止効果に一定の改善が認められるものの、硬度、屈曲性、カール性の両立の観点から満足しうるものではなかった。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び屈曲性及び低カール性を備えた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及び耐薬品性に優れたハードコート用の硬化膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の硬化性組成物、その硬化物及び積層体を提供できる。
[1]有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 30〜80質量%、及び
(B)分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート 5〜50質量%
を含有する硬化性組成物;
[2]前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(1)に示す基を有する上記[1]に記載の硬化性組成物。
【化3】

[式(1)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。];
[3]前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である上記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物;
[4]前記(B)成分の(メタ)アクリロイル基1つ当たりの分子量が、400以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物;
[5]前記(B)成分の分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレートが、下記式(3)で示される化合物である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物;
【化4】

[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化層;
[7]透明基材上に上記[6]に記載の硬化層を有する積層体;及び
[8]透明基材、上記[6]に記載の硬化層及び低屈折率層をこの順に積層してなる反射防止膜。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度であるとともにカール性が小さく屈曲性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の硬化性組成物、その硬化物及び積層体の実施形態を具体的に説明する。I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 30〜80質量%、及び(B)分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート 5〜50質量%を含有することを特徴とするものである。
【0012】
以下、本発明の硬化性組成物の各構成成分について具体的に説明する。
1.重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子(A)
本発明に用いられる(A)成分は、金属酸化物粒子(Aa)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性粒子」という)。ここで、結合とは、共有結合であってもよいし、物理吸着等の非共有結合であってもよい。
【0013】
(1)金属酸化物粒子(Aa)
本発明に用いられる金属酸化物粒子(Aa)は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の硬度と無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の金属酸化物粒子であることが好ましい。
【0014】
これらの金属酸化物粒子(Aa)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましく、特にジルコニア粒子が好ましい。また、ジルコニウムやチタニウム等の酸化物粒子を用いることにより高屈折率の硬化被膜を得ることができるし、ATO粒子等を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することもできる。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、酸化物粒子(Aa)は、粉体状又は分散液であることが好ましい。分散液である場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0015】
金属酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、電子顕微鏡法による測定で、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
【0016】
シリカ粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
【0017】
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
【0018】
金属酸化物粒子(Aa)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。金属酸化物粒子(Aa)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら金属酸化物粒子(Aa)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、分散液として当業界に知られている微粒子状の金属酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においては金属酸化物粒子の分散液の利用が好ましい。
【0019】
(2)有機化合物(Ab)
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記式(1)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
【0020】
【化5】

[式(1)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【0021】
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0022】
(ii)前記式(1)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0023】
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
【0024】
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(2)に示す化合物を挙げることができる。
【0025】
【化6】

【0026】
式(2)中、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
【0027】
[(RO)3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
【0028】
式(2)で示される化合物の具体例として、下記式(4−1)及び(4−2)で示される化合物が挙げられる。
【0029】
【化7】

[式(4−1)及び(4−2)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
【0030】
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃数時間程度反応させることにより製造される。
【0031】
(3)反応性粒子(A)
シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する有機化合物(Ab)を金属酸化物粒子(A)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子(A)中の有機重合体成分すなわち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
【0032】
酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(A)(金属酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。金属酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(A)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(A)製造時の原料中の金属酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。
【0033】
反応性粒子(A)の硬化性組成物中における配合(含有)量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、30〜80質量%の範囲内であることが必要であり、40〜60質量%の範囲であることが好ましい。30質量%未満であると、硬化膜の硬度が不十分であるか、又は高屈折率のものが得られないことがある。80質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。この場合、反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子(A)の65〜95質量%であることが好ましい。尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が分散液の形態で用いられるときは、その配合量には分散媒の量を含まない。
【0034】
2.分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)
(B)成分は、分子中に芳香環構造を有し、かつ3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートであり、(メタ)アクリロイル基の数は、6個以上が好ましく、8個以上がさらに好ましい。(B)成分は、本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物の硬度を維持しつつカールを低減する機能を有する。
(B)成分を含有することにより、架橋点間距離が大きくなり、カールが低減されるものと考えられ、また、芳香環を有するウレタン(メタ)アクリレートは結晶性を有するため、機械強度、靭性が向上し、架橋点間距離が大きくなっても硬度のバランスが維持できるものと考えられる。
【0035】
(B)成分の化合物中の芳香環構造としては、特に限定されないが、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インデン環、ピレン環等の縮合ベンゼン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、ピリジン環等の複素芳香環等が好ましい。
【0036】
(B)成分は、(メタ)アクリロイル基1つ当たりの分子量が、400以下であることが好ましく、さらに好ましくは300以下である。400以下であることにより、耐擦傷性が向上する。
【0037】
(B)成分として好ましい化合物としては、下記式(3)
【化8】

で示される化合物(以下、「PTP」という。)が挙げられる。
【0038】
上記式(3)で示される化合物は、芳香環を有するジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を、適当なウレタン化触媒の存在下で、60℃、6時間の条件で攪拌して得ることができる。
ここで、芳香環を有するジイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、特に、2,4−トリレンジイソシアネート等が好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(6−1)または(6−2)
【0039】
【化9】

【0040】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、nは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレートおよびアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物等を挙げることができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
ウレタン化触媒の具体例としては、通常ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレ−ト、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等を挙げることができる。これらの中で、特に、ジブチル錫ジラウレ−ト等が好ましい。
【0041】
本発明の硬化性組成物中における(B)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%に対して、5〜50質量%の範囲内であることが必要であり、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%の範囲内である。(B)成分の含有量が5質量%未満であると、添加効果が得られない場合があり、50質量%を超えると塗膜の機械強度が不充分となる場合がある。
【0042】
3.分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する、(B)成分以外の化合物(C)
本発明の組成物には、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する、(B)成分以外の化合物(C)を必要に応じて添加することができる。(C)成分は、特に限定されないが、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
化合物(C)は特に硬化膜の屈曲性を上げるために好適に用いられる。
【0043】
化合物(C)としての多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能(メタ)アクリレート化合物は、硬化膜の硬化性、硬度を上げるために好適に用いられる。ここで多官能とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することをいい、製膜性、硬度の観点から、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
【0044】
多官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、(株)三和ケミカル製 商品名:ニカラック MX−302、東亞合成(株)製 商品名:アロニックス M−400、M−402、M−403、M−404、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−313、M−315、M−320、M−325、M−326、M−327、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−1382、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−368、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製 商品名:ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。上記の化合物は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
(C)成分としては、上記多官能(メタ)アクリレート以外に、(B)成分以外の(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個含有するウレタン(メタ)アクリレートを用いることもできる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、基本的には、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させて得られる。ウレタン(メタ)アクリレートは、他のオリゴマーを主鎖として、それにウレタン結合したものであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個含有していなければならず、4個以上含有することが好ましく、6個以上含有することがさらに好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートは、通常、それぞれイソシアネート基を2〜6個有する(a)ポリイソシアネート化合物の各イソシアネート基に(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーが結合した構造を有している。
【0047】
下記式(7)で示されるウレタン(メタ)アクリレートは、硬化膜の硬度に大きな影響を与えることなく屈曲性とカール性を改善できる利点がある。
【0048】
【化10】

[式(7)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【0049】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製 商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92、サンノプコ(株)製 商品名:フォトマー6008、6210、新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H、東亜合成(株)製 商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、共栄社化学(株)製 商品名:AH−600、AT606、UA−306H、日本化薬(株)製 商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、日本合成化学工業(株)製 商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−2010B、根上工業(株)製 商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20、ダイセルユーシービー(株)製 商品名:Ebecryl 6700、204、205、220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301等を挙げることができる。これらの中で、(メタ)アクリレート基を3個以上有するものとして、U−6HA等が好ましい。
【0050】
本発明に用いられる(C)成分の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0〜40質量%、好ましくは、0〜35質量%の範囲内である。0〜40質量%の範囲内であれば、硬化膜の屈曲性、カール性の向上が期待できる。
【0051】
4.ラジカル重合開始剤(D)
本発明の組成物においては、必要に応じて、(D)ラジカル重合開始剤を配合することができる。
このようなラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物等(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等(放射線(光)重合開始剤)を挙げることができる。
【0052】
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0053】
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0054】
本発明において必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤(D)の配合量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
【0055】
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0056】
5.有機溶剤(E)
本発明の組成物は、塗膜の厚さを調節するために、(E)有機溶剤で希釈して用いることができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
【0057】
(E)有機溶剤の具体例としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン(MAK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等の高沸点溶剤が好ましい。
【0058】
本発明の組成物中の(E)溶剤の配合量は、通常、全組成物中の30〜60質量%であり、40〜60質量%が好ましい。30〜60質量%の範囲内であれば、塗工性が良好である。
【0059】
6.その他の成分
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
【0060】
7.組成物の製造方法
本発明の組成物は、次のようにして製造する。
反応性粒子分散液((A)成分)、放射線(光)重合開始剤((D)成分)、多官能(メタ)アクリレート((C)成分)、芳香環構造を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)成分)、ウレタン(メタ)アクリレート((C)成分)を攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し本発明の組成物とする。
溶剤を最初の反応性粒子分散液に使用した溶剤(A)と異なる種類の溶剤(B)に置換する場合は、反応性粒子分散液の溶剤(A)重量に対して1.0倍の溶剤(B)も加え同様の条件で攪拌する。次にこの組成液をロータリーエバポレーターを用いて固形分濃度50%となる重量まで減圧濃縮し本発明の組成物とする。
【0061】
8.組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の硬化性組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらのコーティングによる塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
【0062】
10.組成物の硬化方法
本発明の硬化性組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の組成物の硬化反応は、空気雰囲気下においても窒素等の嫌気的条件下においても行うことができ、嫌気的条件下で硬化せしめた場合においても、その硬化物は優れた耐擦傷性を有する。
【0063】
II.硬化層
本発明の硬化層は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
【0064】
本発明の硬化層は、高硬度であるとともに、温水浸漬後のカールが小さく、耐擦傷性並びに基材及び基材や低屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等に特に好適に用いられる。
【0065】
III.積層体
本発明の硬化層は、通常、ハードコート層として基材上に積層されて用いられるものであり、さらにその上に高屈折率層、低屈折率層を積層することにより、反射防止膜として好適な積層体を形成することができる。反射防止膜は、これら以外の層をさらに有していてもよく、例えば、高屈折率膜と低屈折率膜の組み合わせを複数個設けて広い波長範囲の光に対して比較的均一な反射率特性を有するいわゆるワイドバンドの反射防止膜としてもよく、帯電防止層を設けてもよい。
基材としては特に制限はないが、反射防止膜として用いる場合には、例えば前述の、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等を挙げることができる。
本発明の積層体に用いられる高屈折率の膜としては、例えば、屈折率が1.65〜2.20のジルコニア粒子等の金属酸化物粒子を含有するコート材硬化膜等を挙げることができる。
本発明の積層体に用いられる低屈折率の膜としては、例えば、屈折率が1.38〜1.45のフッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等の金属酸化物膜、フッ素系コート材硬化膜等を挙げることができる。
【0066】
上記本発明の硬化性組成物を基材上に塗布し、UV硬化させて得られた本発明の硬化物は、カールが低減され、屈曲性、ヘイズに優れ、高硬度である。
本発明の硬化層のカールが小さい理由は、(B)分子中に芳香環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有するため、架橋点間距離が大きくなり、カールが低減されるものと考えられ、また、芳香環を有するウレタン(メタ)アクリレートは結晶性を有するため、機械強度、靭性が向上しており、架橋点間距離が大きくなっても硬度のバランスを維持できるものと考えられる。
【0067】
前記硬化性組成物を硬化させてなる高屈折率の硬化膜上に低屈折率の膜を形成する方法としては、例えば、金属酸化物膜の場合には、真空蒸着やスパッタリング等を挙げることができ、またフッ素系コート材硬化膜の場合には、前述した組成物の塗布(コーティング)方法と同一の方法を挙げることができる。
このように前記高屈折率の硬化膜と低屈折率の膜とを基材上に積層することによって、基材表面における光の反射を有効に防止することができる。
本発明の積層体は、耐擦傷性に優れ、低反射率を有するとともに耐薬品性に優れるため、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜として特に好適に用いられる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味している。
【0069】
製造例1:重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収ス
ペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(4−1)及び(4−2)で示される化合物(Ab)が合計で773部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
【0070】
製造例2:ウレタン(メタ)アクリレート(C−5)(前記式(7)で示される化合物)の製造
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例1と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(7)で示される化合物が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
【0071】
製造例3:反応性シリカ微粉末ゾル(A−1)の製造
製造例1で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)とペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物8.1部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製、MEK−ST、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)91.3部(シリカ粒子として27部)、イオン交換水0.1部の混合液を、60℃で3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで反応性粒子(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥後、秤量して固形分含量を求めたところ、35%であった。
【0072】
製造例4:ウレタン(メタ)アクリレート(B−1)(前記式(3)で示される化合物)の製造
攪拌機付きの容器内の2,4−トリレンジイソシアネート14.7部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例1と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(3)で示される化合物が71部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
【0073】
実施例1
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例3で調製した反応性シリカ微粉末ゾル(A−1)169.1部(反応性シリカ54.34部)、製造例2で製造したウレタン(メタ)アクリレート(C−5)6.27部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(C−3)15.06部、製造例4で製造したウレタン(メタ)アクリレート(B−1)20.56部、メチルイソブチルケトン(MIBK)114.76部を加え、30℃で2時間撹拌することで均一な溶液を得た。この溶液を減圧濃縮し、129.52部の揮発分を留去した後、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(D−1)2.36部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(D−2)1.41部を加え、組成物を得た。このうち、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(C−3)は、有機化合物(Ab)及びウレタン(メタ)アクリレート(B−1)、(C−5)に混在するペンタエリスリトールテトラアクリレートに由来する。この組成物を製造例3と同様に固形分含量を測定したところ、50%であった。
【0074】
実施例2〜5及び比較例1〜3
表1に示す組成とした以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜5及び比較例1〜3の各組成物を得た。
【0075】
<ハードコート層の特性評価>
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた各組成物を、膜厚に応じたワイヤーバーコータ(#40)を装着したコータを用いて、TACフィルム上に塗工し、オーブン中、100℃、1分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚20μmのハードコート付きTACフィルムを得た。得られたハードコート付きTACフィルムについて、下記(1)〜(4)の特性を評価した。
【0076】
(1)カール
得られたハードコート付きTACフィルムを10cm角の大きさに切り取り、水平に置き、四隅の水平面からの浮きの平均をカールの値とした。
【0077】
(2)屈曲性
得られたハードコート付きTACフィルムを10cm×1cmの大きさに切り取った後金属棒に巻き付け、目視でクラックが確認できなかった金属棒の最小の直径を評価値とした。
【0078】
(3)ヘイズ(%)
カラーヘイズメータ(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して高屈折率膜付きのTACフィルムのヘイズ値を測定した。
【0079】
(4)鉛筆硬度
鉛筆硬度試験機を用い、荷重500gの条件で5回引掻き、無傷が4回以上であった最も硬い鉛筆の芯の硬さを評価値とした。
【0080】
(5)ユニバーサル硬度
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた各組成物を、膜厚に応じたワイヤーバーコータ(#40)を装着したコータを用いて、スライドガラス上に塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚20μmのハードコート付きスライドガラスを得た。これを試験片として、Fischerscope H100微小硬度計を用い、下記の条件でユニバーサル硬度を測定した。
圧子:ビッカーズ四角錐ダイヤモンド圧子
押し込み条件:最大荷重300mN、荷重速度300mN/60秒
【0081】
【表1】

【0082】
表1中、反応性シリカ粒子(A−1)の配合量は、微粉末乾燥質量(有機溶剤を除く)を示す。
表1中に記載の化合物の由来を下記に示す。
反応性シリカ粒子(A−1):製造例3で得られた反応性シリカ粒子
PTP(B−1):製造例4で得られた式(3)で示される化合物
ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(C−1):東亜合成化学工業(株)製、商品名アロニックス M−404
イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(C−2):東亜合成化学工業(株)製、製品名アロニックス M−315
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(C−4):新中村化学工業(株)製、商品名A−TMPT−3EO
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(D−1):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、Irgacure184
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(D−2):チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、Irgacure907
MIBK:メチルイソブチルケトン
MEK:メチルエチルケトン
【0083】
表1の結果から、実施例の硬化膜は、カールが小さく、屈曲性及び硬度をバランス良く備えていることがわかる。
これに対し、本発明における(B)成分を含有しない比較例1及び2では、カールが大きくなることがわかる。比較例1では、鉛筆硬度及びユニバーサル硬度は高いが、屈曲性が悪化しており、比較例2は、屈曲性は良好であるが、鉛筆硬度及びユニバーサル硬度が低くなっている。また、(B)成分の含有量が少ない比較例3では、鉛筆硬度及びユニバーサル硬度がやや低下していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明の硬化性組成物、その硬化物は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物、その硬化物は、特に、反射防止フィルム、タッチパネル等の光学フィルム用ハードコート、光ディスク用ハードコートとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 30〜80質量%、及び
(B)分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート 5〜50質量%
を含有する硬化性組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(1)に示す基を有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【化1】

[式(1)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【請求項3】
前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の(メタ)アクリロイル基1つ当たりの分子量が、400以下である請求項1〜3のいずれか一に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(B)成分の分子中に芳香環構造を有し、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレートが、下記式(3)で示される化合物である請求項1〜4のいずれか一に記載の硬化性組成物。
【化2】

【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化層。
【請求項7】
透明基材上に請求項6に記載の硬化層を有する積層体。
【請求項8】
透明基材、請求項6に記載の硬化層及び低屈折率層をこの順に積層してなる反射防止膜。

【公開番号】特開2006−233169(P2006−233169A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195696(P2005−195696)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】