説明

硬化性組成物およびそれらの使用

本発明は、ブリードアウト制御剤として有機金属化合物の1種以上を含む硬化性組成物、および半導体パッケージにおけるその利用に関する。特に、この有機金属化合物は有機チタネートである。ある実施形態では、この有機チタネートとしては、テトラアルキルチタネートおよびチタネートキレートが挙げられるが、これらに限定されない。本組成物はブリードアウト制御において優れた性能を示し、従って、半導体パッケージでのダイ頂部層間剥離のような破損の発生を低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、樹脂ブリードアウト制御剤を含む硬化性組成物、特に、半導体パッケージ化での使用に適した硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂、フィラー、溶媒、反応性希釈剤、または類似物を含む組成物は、半導体パッケージ産業において接着剤、被膜、およびカプセル材料として広範に使用される。しかしながら、ある種の用途では、これらの材料は、組成物からの樹脂部の分離を示すが、このことは「ブリードアウト」(bleed−out)、「ブリード」または「樹脂ブリードアウト」(以下、RBOとする)として公知であり、これによって組成物の性能は最適でなくなる。
【0003】
これまで、好ましいRBOの制御方法は、抗ブリード剤を配合物に添加することであり、殆どの場合、それは界面活性剤である。界面活性剤は通常、親水性および疎水性、または親油性および油分をはじく基を2つの分子末端に含む。これは界面活性剤を樹脂から樹脂、樹脂からフィラー、および樹脂から基体界面へ移動させる。樹脂が硬化する間に、移動した界面活性剤を重合することはできないために、それらは半導体パッケージの製造で使用される接着剤、被膜、またはカプセル材料組成物において生じる欠陥の原因と推定される。
【0004】
近年、抗ブリード剤としてフッ素含有化合物を含む接着剤組成物が提案された。例えば、1984年、11月20日にSchonbornらに交付された米国特許第4,483,898号、日本国特許出願公開平5−331355号公報、同平7−221126号公報および同2001−11107号各公報を参照されたし。それにもかかわらず、嵩高い樹脂を有するこれらの化合物は反応性が低く、RBOを確実には修正しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、樹脂のブリードアウトを防ぐ、優れた性能を有する接着剤、被膜、およびカプセル材料組成物の必要性が当該技術分野でなおも存在する。本発明は、この要求に対応する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接着剤、被膜、およびカプセル材料組成物、特にダイ取付け接着剤に対する樹脂ブリードアウト(RBO)を、抗ブリード剤として界面活性剤を使用せず組成物に有機金属化合物、例えば、有機チタネートを添加することによって除くための方法を記載する。チタネートは、組成物中で樹脂およびフィラーのいずれとも反応し、その反応によって前記2つを結合させることができる。これは系の相溶性を改善し、RBOを制御することができる。
【0007】
本発明では、抗ブリード剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物、接着剤組成物において樹脂ブリードアウトを制御する方法、樹脂ブリードアウト制御剤としての有機金属化合物の使用、および該接着剤組成物を使用して製造された物品が開示される。特に、本発明は、以下のような実施形態を含むがこれらに限定されない。
【0008】
1.樹脂および樹脂ブリードアウト制御剤を含む硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は有機金属化合物を含む。
【0009】
2.実施形態1に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0010】
3.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機チタン化合物は、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む。
【0011】
4.実施形態3に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機チタネートは、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0012】
5.実施形態3に記載の硬化性組成物であって、ここで前記チタンキレートは、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0013】
6.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機アルミニウム化合物は、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む。
【0014】
7.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機ジルコニウム化合物は、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートを含む。
【0015】
8.上記実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、前記組成物の全重量を基準として、約0.05重量%から約20重量%の量で存在する。
【0016】
9.実施形態8に記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、前記組成物の全重量を基準として、約0.1重量%から約15重量%の量で存在する。
【0017】
10.実施形態9に記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、前記組成物の全重量を基準として、約0.5重量%から約10重量%の量で存在する。
【0018】
11.実施形態10に記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、前記組成物の全重量を基準として、約2重量%から約8重量%の量で存在する。
【0019】
12.実施形態11に記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、前記組成物の全重量を基準として、約5重量%から約8重量%の量で存在する。
【0020】
13.上記実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂は、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂の1種以上から選択される。
【0021】
14.上記実施形態のいずれか1つに記載された硬化性組成物は、さらに、フィラー、開始剤、および硬化剤の1種以上を含む。
【0022】
15.実施形態14に記載の硬化性組成物であって、ここで前記フィラーは、金、銀、銅、ニッケル、鉄、これらの合金;金、銀、または銅で覆われた銅、ニッケル、鉄、ガラス、シリカ、アルミニウム、またはステンレススチール;アルミニウム、ステンレススチール;シリカ、ガラス、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、アルミニウムオキシド、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、オキシドフィラー、および金属で覆われたオキシドフィラーの1種以上から選択される。
【0023】
16.実施形態14に記載の硬化性組成物であって、ここで前記硬化剤は、ルイス酸、ルイス塩基、イミダゾール、無水物、アミン、およびアミン付加物の1種以上から選択される。
【0024】
17.実施形態14に記載の硬化性組成物であって、ここで前記開始剤は、ペルオキシド、ペルスルフェート、およびアゾ化合物の1種以上から選択される。
【0025】
18.実施形態14−17のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記樹脂の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約10−85重量%、約20−80重量%、約30−70重量%、または約40−70重量%の範囲に入る。
【0026】
19.実施形態14−17のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記フィラーの全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約10重量%から85重量%、約20重量%から80重量%、または約30重量%から70重量%の範囲にある。
【0027】
20.実施形態14−17のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記硬化剤の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.01重量%から50重量%、約0.01重量%から10重量%、約0.01重量%から5重量%、または約0.1重量%から5重量%の範囲にある。
【0028】
21.実施形態14−17のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記ラジカル開始剤の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.01−20重量%、または約0.05−5重量%の範囲にある。
【0029】
22.上記実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで前記硬化性組成物は、ダイ取付け硬化性またはアンダーフィルカプセル材料である。
【0030】
23.硬化性組成物中で樹脂ブリードアウト制御剤としての有機金属化合物の使用。
【0031】
24.実施形態23に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0032】
25.実施形態24に記載の使用であって、ここで前記有機チタン化合物は、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む。
【0033】
26.実施形態25に記載の使用であって、ここで前記有機チタネートは、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0034】
27.実施形態25に記載の使用であって、ここで前記チタンキレートは、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0035】
28.実施形態24に記載の使用であって、ここで前記有機アルミニウム化合物は、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む。
【0036】
29.実施形態24に記載の使用であって、ここで前記有機ジルコニウム化合物は、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートを含む。
【0037】
30.実施形態23−29のいずれか1つに記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.05重量%から約20重量%の範囲にある。
【0038】
31.実施形態30に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.1重量%から約15重量%の範囲にある。
【0039】
32.実施形態31に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.5重量%から約10重量%の範囲にある。
【0040】
33.実施形態32に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約2重量%から約8重量%の範囲にある。
【0041】
34.実施形態33に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約5重量%から約8重量%の範囲にある。
【0042】
35.硬化性組成物中で樹脂ブリードアウトを制御するための方法であって、この方法は、有効な量の樹脂ブリードアウト制御剤を硬化性組成物に添加することを含む。
【0043】
36.実施形態35に記載の方法であって、ここで前記樹脂ブリードアウト制御剤は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される有機金属化合物の1種以上を含む。
【0044】
37.実施形態35または36に記載の方法であって、ここで1種以上の前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.05重量%から20重量%、好ましくは約0.1重量%から15重量%、より好ましくは約0.5重量%から10重量%、なおより好ましくは約2重量%から8重量%、さらにより好ましくは約5重量%から8重量%の範囲にある。
【0045】
38.基体に結合されている部品を有する物品を製造するための方法であって、この方法は、実施形態1−22のいずれか1つに記載の硬化性組成物を、少なくとも前記基体表面および部品の一部に塗布するステップ、ならびに前記部品を前記基体表面に結合するステップを含み、任意に、前記基体を前記硬化性組成物と接触させた後、室温より高い温度で前記硬化性組成物を加熱硬化させるステップを含む。
【0046】
39.実施形態1−22に記載の硬化性組成物を使用することによって製造される物品であって、この物品は、基体、この基体上の部品および前記硬化性組成物を含む。
【0047】
本発明では、樹脂ブリードアウト制御剤として、樹脂およびフィラーのいずれとも反応できる有機金属化合物を使用するために、本接着剤系の相溶性は改善され、RBOは制御されうる。従って、本発明の接着剤組成物は、ブリード制御において従来の製品より優れた性能を示し、および半導体パッケージでの損傷、例えば、ダイ頂部層間剥離を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態による接着剤組成物のRBO性能を示す。
【図2】本発明の実施形態による接着剤組成物のRBO性能を示す。
【図3】本発明の実施形態による接着剤組成物のRBO性能を示す。
【図4】本発明の実施形態による接着剤組成物のRBO性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書ではそれ以外に定義されていない場合、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載された方法および材料に類似または同じである任意のそれらは、本発明の実施において利用することができるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載されている。従って、すぐ下に定義される用語は、さらに充分に明細書全体を参照することによって説明される。また、本明細書で用いる場合、単数形「不定冠詞(a)」、「不定冠詞(an)」および「定冠詞(the)」は、文脈が明確にそれ以外を示さない場合、複数形の意味も含む。数値範囲は、その範囲を決める数字を含める。
【0050】
(定義)
本明細書で用いる場合、用語「ブリード」、「ブリードアウト」または「樹脂ブリードアウト(RBO)」は、樹脂およびフィラーのモノマー(オリゴマー)媒体相の分離、ならびにステージング(staging)または硬化の間あるいは後の、自己ブリードまたは抗ブリード剤の揮発物形成を意味し、結果としてダイ結合領域から樹脂の離脱が広がる。
【0051】
本明細書で用いる場合、用語「抗ブリード剤」または「樹脂ブリードアウト(RBO)制御剤」は、単独または組合せで作用して、樹脂およびフィラーのモノマー(オリゴマー)媒体相が分離する傾向を減少および/または抑制する様々な添加物を意味する。
【0052】
本明細書で用いる場合、「樹脂」、「塩基」、「フィラー」、「有機金属化合物」、「有機チタネート」、「硬化剤」、「開始剤」、「基体」のような用語は、本発明が関係する当該技術分野で通常受け入れられている意味を有していると意図される。
【0053】
(発明の詳細な説明)
本硬化性組成物は、ダイ取付け接着剤またはアンダーフィルカプセル材料などであってよいが、これらに限定されない。本物品は半導体デバイスであってよいが、これに限定されない。
【0054】
本発明の1つの態様では、少なくとも樹脂および樹脂ブリードアウト(RBO)制御剤を含む接着剤組成物が提供される。
【0055】
(有機金属化合物)
樹脂ブリードアウト制御剤は、有機金属化合物を含んでいてよい。この有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。
【0056】
1つの実施形態では、前記有機チタン化合物は、有機チタネートである。ある実施形態では、この有機チタネートは、テトラアルキルチタネート、およびチタネートキレートからなる群より選択される。テトラアルキルチタネートは、一般構造:Ti(OR)で表されてよく、ここでRは、アルキル基、例えば、プロピル、ブチル、イソオクチルなどを表す。ある実施形態では、このテトラアルキルチタネートとしては、分子式:Ti(OCを有するテトライソプロピルチタネート、分子式:Ti(OCを有するテトラ−n−ブチルチタネートおよび分子構造:
【0057】
【化1】

(例えば、DuPont社からのTyzor TOT)を有するテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートが挙げられる。他の実施形態では、代表的なテトラアルキルチタネートとしては、イソプロピルトリオレイン酸チタネート、チタントリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、チタントリステアロイルイソプロポキシド、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、トリエタノールアミンチタネート、ジイソブトキシ−ビスアセト酢酸エチルチタネート、およびテトラキス(2−エチルヘキサン−1,3−ジオラト)チタンが挙げられる。
【0058】
【化2】

で表されることができる。この分子構造において、Xは酸素または窒素を含有する官能基を表し、Yは炭素数2または3の鎖を表す。例示的なチタネートキレートとしては、TYZOR(登録商標)AA−シリーズ−アセチルアセトネートチタネートキレート:
【0059】
【化3】

(例えば、DuPont社からのTyzor GBA);
TYZOR(登録商標)DC−アセト酢酸エチルチタネートキレート:
【0060】
【化4】

TYZOR(登録商標)TE、トリエタノールアミンチタネートキレート、下記のケージ構造:
【0061】
【化5】

を有する少なくとも1種の成分を有するキレート混合物;
TYZOR(登録商標)LA−乳酸チタネートキレートアンモニウム塩:
【0062】
【化6】

が挙げられるが、これらに限定されず、上記すべては、DuPont社から市販品が入手可能である。
【0063】
ある態様では、本発明で使用されるRBO制御剤は、アルミネートおよび/またはジルコネートであってよい。例示的なアルミネートとしては、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートが挙げられるが、これに限定されない。例示的なジルコネートとしては、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
典型的には、1種以上の前記有機金属化合物の全充填量は、前記接着剤組成物の全重量を基準にして、約0.05重量%から20重量%、好ましくは約0.1重量%から15重量%、より好ましくは約0.5重量%から10重量%、なおより好ましくは約2重量%から8重量%、さらにより好ましくは約5重量%から8重量%の範囲に入ることができる。1つの態様では、前記有機金属化合物の全充填量は、接着剤組成物の重量を基準として、0.5重量%、1重量%、4重量%または8重量%であってよい。
【0065】
(樹脂)
本発明で使用される樹脂は任意の樹脂であってよく、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂などの1種以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
例示的なエポキシ樹脂としては、例えば、液状エポキシ、異なった種類の液状エポキシとの液状エポキシの組合せ、および溶液中の固体状エポキシから選択されるものが挙げられる。このエポキシは、例えば、アミンまたはヒドロキシル基で置換されたもののような追加の官能基も有することができる。また、このエポキシは、例えば、1,2−エポキシプロパン、1,3−エポキシプロパン、ブチレンオキシド、n−ヘキシルプロピレンエポキシドなどの未置換のものであってよい。市販のエポキシ樹脂の例としては、Epon(登録商標)樹脂862、Epiclon N−730A、Epiclon 830S(Resolution Performance Products、P.O.Box 4500、Houston、TX 77210、USA);D.E.R.(商標)332(Dow Chemical Company、Midland、MI 48674);Araldite GY285(Chemica Inc.316 West 130th Street、Los Angels,CA 90061、USA);RSL−1739(Resolution Performance ProductsからのPビスフェノールF/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂);およびNSCエポキシ5320(Henkel Corporationからの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)が挙げられる。
【0067】
例示的なアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル化合物としては、液状(メタ)アクリレート、液状(メタ)アクリレートと異なった種類のアクリレートおよび溶液中の固体状(メタ)アクリレート(モノマーまたはオリゴマー)との組合せが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2量体ジオールモノメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートが挙げられる。市販品の入手可能なアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル化合物の例としては、SR506(イソボルニルアクリレート)、SR9020(プロポキシル化グリセリルトリアクリレート)(Sartomer Inc.(上海)、500 Fu Te 2nd East Road、Wai Gao Qiao Free Trade Zone、上海、200131)、SR368(Sartomerからのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート)、CN120Z(Sartomerからのエポキシアクリレート)、およびSR306(Sartomerからのトリプロピレングリコールジアクリレート)が挙げられる。
【0068】
本発明で使用される例示的なシアネートエステル樹脂としては、当該技術分野において公知である種々の好適なシアネートエステル、例えば、エチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,4および/または1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;1,12−ドデカンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−および1,4−ジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;2,4−および2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;ヘキサヒドロ−1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ−2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート;2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;ジフェニルメタン−2,4’−および/または4,4’−ジイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;1,3−および1,4−キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、4,4’−イソプロピル−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、1,4−シクロへキシルジイソシアネートおよび3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI);2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1−メチオキシ−2,4−フェニレンジイソシアネート;1−クロロフェニル−2,4−ジイソシアネート;p−(1−イソシアナトエチル)−フェニルイソシアネート;m−(3−イソシアナトブチル)−フェニルイソシアネートおよび4−(2−イソシアネート−シクロへキシル−メチル)−フェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
例示的なシロキサン樹脂としては、非官能性シランおよびアミノ官能性、エポキシ官能性、アクリレート官能性および他の官能性シランなどの官能基化シランが挙げられるが、これらは当該技術分野において公知であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレン−トリアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノエチルアミノプロピル−トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、オリゴマー状アミノアルキルシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)−トリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプト−プロピルトリエトキシシラン、およびオレフィン性シラン、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アルキルビニルジアルコキシシラン、アリルトリアルコキシシラン、ヘキセニルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0070】
本発明において他の樹脂、例えば、Epiclon EXA−830CRP(大日本インキ化学会社からのエピクロロヒドリンフェノールホルムアルデヒド樹脂)、SRM−1(Henkel CorporationからのC36分岐鎖アルカンジイルビス−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノエート])なども使用することができる。
【0071】
典型的には、1種以上の前記樹脂の全充填量は、前記接着剤組成物の全重量を基準にして、約10−85重量%、好ましくは約20−80重量%、より好ましくは約30−70重量%、さらに好ましくは約40−70重量%の範囲に入ることができる。
【0072】
(フィラー)
本接着剤組成物は、さらにフィラーを含んでいてよい。本発明の実施で使用されるフィラーとしては、有機および無機フィラー、必要に応じて導電性または絶縁性フィラー、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、これらの合金;金、銀、または銅で覆われた銅、ニッケル、鉄、ガラス、シリカ、アルミニウム、またはステンレススチール;アルミニウム、ステンレススチール;シリカ、ガラス、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、アルミニウムオキシド、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、オキシドフィラー、および金属で覆われたオキシドフィラーなどを挙げることができるが、これらに限定されない。市販品で入手可能なフィラーの具体例としては、Cab−O−Sil(商標)TS−720シリカ(Silicon Dioxideから)、SP−10Gシリカ(Fuso Chemical Co.,Ltd.製の無定形シリカ)、SE−1(Gelest社製の無定形で、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリコンジオキシド)などが挙げられる。
【0073】
典型的には、1種以上の前記フィラーの全充填量は、前記接着剤組成物の全重量を基準にして、約10重量%から約85重量%、好ましくは約20重量%から約80重量%、または約30重量%から約70重量%の範囲にあってよい。
【0074】
(硬化剤)
本接着剤は、さらに硬化剤を含んでいてよい。本発明の実施で使用される硬化剤としては、例えば、ルイス酸、ルイス塩基、イミダゾール、無水物、アミン、アミン付加物または類似物、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム−トリメリテートを挙げることができる。硬化剤の具体例としては、Jeffamine D−2000(Huntsman Petrochemical Corporationからのポリオキシプロピレンジアミン)、2P4MZ(National Starch & Chemicalsからの10ミクロンに微粉化されたフェニルメチルイミダゾール)、EMI−24−CN(Borregaad Synthesisからの1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール)などを挙げることができる。
【0075】
硬化剤が存在する場合、典型的には、1種以上の前記硬化剤の全充填量は、前記接着剤組成物の全重量を基準にして、約0.01重量%から約50重量%、好ましくは約0.01重量%から約10重量%、より好ましくは約0.01重量%から約5重量%、または約0.1重量%から約5重量%の範囲にあってよい。
【0076】
(開始剤)
本発明の実施で使用されるラジカル開始剤としては、ペルオキシド、ペルスルフェート、アゾ化合物およびこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましいラジカル開始剤としては、ペルオキシド、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、第3級アミルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、第3級ブチルペルオキシアセテート、ジクミルペルオキシドなどを挙げることができる。開始剤の具体例としては、例えば、PERKADOX 16[ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート]およびTrigonox 21S(tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)を挙げることができ、これらいずれもAkzo Nobelから市販品が入手可能である。
【0077】
ラジカル開始剤が存在する場合、典型的には、1種以上の前記ラジカル開始剤の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.01−20重量%、好ましくは約0.05−5重量%の範囲にあってよい。
【0078】
本発明の別の態様では、硬化性組成物での樹脂ブリードアウトを制御するための方法が提供され、前記方法は、有効な量の樹脂ブリードアウト制御剤を硬化性組成物に添加することを含む。上記のように、この樹脂ブリードアウト制御剤は、有機金属化合物を含んでいてよい。この有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。1種以上の前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.05重量%から20重量%、好ましくは約0.1重量%から15重量%、より好ましくは約0.5重量%から10重量%、なおより好ましくは約2重量%から8重量%、さらにより好ましくは約5重量%から8重量%の範囲に入ることができる。1つの態様では、1種以上の前記有機金属化合物の全量は、硬化性組成物の0.5重量%、1重量%、4重量%または8重量%であってよい。
【0079】
本発明のさらに他の態様では、本発明は、さらに、基体に結合された部品を有する物品を製造するための方法を提供し、この方法は、少なくとも一部の基体表面および部品上に上記硬化性組成物を塗布すること、および基体表面に部品を結合することを含む。ある実施形態では、この方法は、さらに、接着剤を室温より高い温度で熱的に硬化するステップを含み、このステップは基体と接着剤とを接触させた後に実施される。さらに別の態様では、基体に結合された部品は、ダイのような半導体部品であってよい。
【0080】
本発明の別の態様では、上記方法によって製造された物品が提供され、この物品は、基体、この基体上の部品およびこの部品を基体に結合する前記硬化性組成物を含む。前記部品は、半導体部品であってよい。前記基体は、Ag/Cu、裸銅、Ni/Pd/Au基体、NiP基体、FR4基体などから選択されてよい。NiPはニッケル−リンを表し、FR4はエポキシガラス基体の型に相当するコードである。
【0081】
本発明のさらなる態様では、硬化性組成物、例えば、ダイ取付け接着剤、アンダーフィルなどにおいて樹脂ブリードアウト制御剤として有機金属化合物の使用が提供される。前記のように、この有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。1種以上の前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.05重量%から20重量%、好ましくは約0.1重量%から15重量%、より好ましくは約0.5重量%から10重量%、なおより好ましくは約2重量%から8重量%、さらにより好ましくは約5重量%から8重量%の範囲に入ることができる。1つの態様では、1種以上の前記有機金属化合物の全量は、硬化性組成物の0.5重量%、1重量%、4重量%または8重量%であってよい。
【0082】
本発明は、ここでさらに、下記の非限定的な実施例を参照して説明される。
【実施例】
【0083】
RBO試験手順
樹脂ブリードアウトの限界を試験するために、RBO試験を以下の説明に従って実施した:
−接着剤組成物の小さな点を、EFDハンドディスペンサー(EPD Inc.から、Nordson Company、977 Waterman Avenue、East Province、RI 02914−1342 USA)を用いて基体表面上に塗布する;
−ただちに接着剤点の直径(A)を顕微鏡下で測定する;
−基体を環境条件下に2時間置く;
−接着剤を囲むブリードの直径(B)を顕微鏡下で測定する;
−それを硬化させるために試料を加熱し、再度RBOを測定する。
【0084】
すべてのデータを測定した時点で、下式を用いてRBOを計算する。
【0085】
RBO(%)=(B−A)×100/A
【0086】
実施例1
(接着剤組成物の製造)
エポキシ樹脂およびBMI(ビスマレイミド)/アクリレートハイブリッド樹脂をそれぞれベースにした2つの配合物のグループを表1(実施例1−3に対してはグループ1)および表2(実施例4−7に対してはグループ2)に示す。
【0087】
エポキシ系配合物に対して、すべての原材料を表1に示す順序でジャーに添加する。例えば、2.807gのRSL−1739、0.2gのJeffamine D−2000、0.108gのCab−O−Sil TS−720シリカ、0.2gの2P4MZ、5gのSP−10Gシリカ、0.913gのNSC EPOXY 5320、および0.05gのEMI−24−CNを秤量し、9.278gの試料Exp1を得る。化合物をドラフト中で5分間手でかき混ぜ、スパチュラを使用して材料を流動させ、ビンのかど、壁に注意して充分に混合する。次いで、インフィードギャップ2ミル(0.051mm)、アウトフィードギャップ1.5ミル(0.038mm)で材料を3段ロールミリングに二回通す。使用した3段ロールミルは、EXAKT Apparatebau GmBH & Co.kG(Robert−Koch−Strasse 5、22851 Norderstedt、Germany)製のEXAKT 50であった。均一な混合物を得るまで5分間手でかき混ぜる。
【0088】
BMI/アクリレートハイブリッド系配合物に対して、すべての原材料を表2に示す順序でジャーに添加する。例えば、1.672gのSRM−1、0.891gのSR368、1.3263gのCN120Z、1.36gのSR306、0.0375gのPERKADOX16、0.1125gのTrigonox 21S、3.08gのSE−1、1.52gのSP−10G、0.1gのテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート(Tyzor TOT)、および0.4gのアセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を秤量し、10.5gの試料Exp7を得ることができる。化合物をドラフト中で5分間手でかき混ぜ、スパチュラを使用して材料を流動させ、ジャーのかど、壁に注意して充分に混合する。次いで、インフィードギャップ2ミル、アウトフィードギャップ1.5ミルで材料を3段ロールミリングに二回通す。均一な混合物を得るまで5分間手でかき混ぜる。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
(接着剤組成物のRBO性能)
2つのグループの接着剤組成物について基体上でのRBO性能を図1−4に示す(表中のすべてのパーセンテージは、上記手順によって測定されたRBO%を表す)。
【0092】
図1が示すように、AuめっきFR4上のブリード性能は、有機チタネートの含量が増加するにつれて改善した。特に、大きなAuめっきFR4基体上では、4重量%のアセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を添加した場合、硬化後のブリード%は31%低下し(93%から64%に)、8重量%のアセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を添加した場合、さらに73%低下した(93%から25%に)。小さいAuめっきFR4基体の場合、硬化後のブリード%は、アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)の添加が4重量%または8重量%であっても、10%から0%に低下した。
【0093】
図2のNiP基体上では、硬化後のブリード%は、アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を4重量%または8重量%添加しても、19%から0%に低下した。FR4基体に対しては、2時間の貯蔵後のブリードは、アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を4重量%添加した場合、89.6%(77%から8%に)顕著に低下し、アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)を8重量%添加した場合、0%に低下した。
【0094】
図3のグループ2の実施例に対しては、大きなAuめっきFR4上のブリード、特に2時間の貯蔵後のブリードは、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート(Tyzor TOT)およびアセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor GBA)の量の増加に伴って著しく低下したことが判る。小さいAuめっきFR4基体上では、Tyzorを含まない試料でブリードは認められず、およびTyzor TOTまたは/およびGBAを添加してもまだRBOは認められなかった。このことは、最初からRBOがない基体上でTyzorが新たなRBOをもたらさないことを示している。
【0095】
図4のグループ2の実施例に対して、NiPおよびFR4基体上のブリードは、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートおよびアセチルアセトネートチタネートキレートの量の増加に伴って著しく低下したことが判り、例えば、硬化後のNiP上のブリード%は、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートまたは/およびアセチルアセトネートチタネートキレートの添加で29.9%から0%に低下した。硬化後のFR4上のブリード%は、0.5重量%のテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートの添加で61%低下し、さらに0.5重量%のアセチルアセトネートチタネートキレートの添加で64%低下し、さらに、1重量%のテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートおよび4重量%のアセチルアセトネートチタネートキレートの添加で89%低下した。
【0096】
要約すれば、樹脂ブリードアウトをテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレートの添加で低下することができ、効果は、特に硬化後、Tyzorの量の増加につれて強くなる。また、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレートは、本来はブリードアウト問題がない配合物に対してこの問題をもたらさないと考えられる。
【0097】
実施例2
(接着剤組成物のRBO性能に及ぼす有機金属化合物の量の効果)
接着剤組成物のブリード制御性能に及ぼす有機金属化合物の量の効果を表3に示す。表3に認められるように、ブリード制御効果は、有機金属化合物の量が増加するにつれて向上する。
【0098】
【表3】

【0099】
実施例3
(ダイ取付けのための接着剤組成物の利用)
本実施例は、物品またはこの物品を製造するための方法を示し、この物品は実施例1で製造して得た接着剤組成物の1つによって基体に結合した半導体部品を含む。
【0100】
少なくとも一部の基体表面を、表1の接着剤組成物Exp2で被膜の厚さ1−2mmで塗布し、次いでダイを接着剤で覆われた基体表面に付ける。このダイを、接着剤を温度、例えば、120℃で20分、110℃で10分、150℃で30分、および180℃で50分などで硬化した後、基体に結合する。
【0101】
当業者であれば、本発明が、目的を達成し、記載された利点、ならびに本発明で特有の利点を得るように充分に適合していることを容易に理解する。当業者には明らかであるように、本明細書で開示された本発明に対してさまざまな変更および修正を、本発明の精神と範囲を外れることなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂および樹脂ブリードアウト制御剤を含む硬化性組成物であって、前記樹脂ブリードアウト制御剤は有機金属化合物を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記有機金属化合物が、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記有機チタン化合物が、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記有機チタネートが、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記チタンキレートが、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記有機アルミニウム化合物が、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記有機ジルコニウム化合物が、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記樹脂ブリードアウト制御剤が、前記硬化性組成物の全重量を基準として、約0.05重量%から約20重量%の量で存在する、上記請求項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記樹脂ブリードアウト制御剤が、前記硬化性組成物の全重量を基準として、約0.5重量%から約10重量%の量で存在する、請求項8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記樹脂が、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂の1種以上から選択される、上記請求項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
さらに、フィラー、開始剤および硬化剤の1種以上を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
硬化性組成物における樹脂ブリードアウト制御剤としての有機金属化合物の使用。
【請求項13】
前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記有機チタン化合物が、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記有機チタネートが、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記チタンキレートが、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記有機アルミニウム化合物が、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
前記有機ジルコニウム化合物が、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートを含む、請求項13に記載の使用。
【請求項19】
硬化性組成物のおける樹脂ブリードアウトを制御する方法であって、有効量の有機金属化合物を硬化性組成物に添加する工程を含む方法。
【請求項20】
前記有機金属化合物が、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物を使用して製造された物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−520024(P2011−520024A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508784(P2011−508784)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000939
【国際公開番号】WO2009/137955
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】