説明

硬化触媒、組成物、電子機器及び関連する方法

【課題】改良された特性若しくは異なる特性を有する無鉛はんだを有するアンダーフィル材料として使用可能な硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】ルイス酸、並びに窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンのうちの一方又は両方を含んでなり、当該窒素含有分子がモノアミン若しくは複素環式芳香族有機化合物を含んでなる硬化触媒。また、第1混合物若しくは第2混合物又はその両方を含んでなる硬化性組成物。当該第1混合物は硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含んでなってもよい。当該第1触媒はルイス酸、並びに非第三級アミン若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。当該第2混合物は硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなってもよい。当該第2触媒はルイス酸、並びにアミン若しくはホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明には、硬化性組成物及びそれに関連する方法に関する実施態様が包含される。本発明にはまた、当該組成物を含んでなる装置に関する実施態様が包含される。
【背景技術】
【0002】
摂氏約183度(℃)の融点を有する共晶スズ/鉛(Sn/Pb)はんだで電子部品を接着することがしばしば行われる。場合によっては共晶はんだではなく無鉛はんだを使用することが望ましい場合もある。しかし、無鉛はんだは共晶はんだとは異なる融点を有する傾向がある。代替品として用いられうるはんだは約218℃〜約230℃の融点を有することもある。はんだのより高い融点はリフローの間、約220℃のピーク温度から、約240℃〜約260℃の新しいピークにシフトすることがあってもよい。市販のノーフローアンダーフィル(NUF)は高い温度において非常に急速な硬化反応を起こしうるため、はんだ球の形成が制限され、良好な電気接続の形成が阻害されうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無鉛はんだとの併用による、NUF用の触媒材料を生産する試みには幾つかの課題が存在する。そのような課題としては、容認できない電気収率が挙げられる。ゆえに、改良された特性若しくは異なる特性を有する無鉛はんだを有するアンダーフィル材料として使用可能な硬化性組成物を提供することは望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施態様では、本発明は硬化触媒の提供に関する。当該硬化触媒は、ルイス酸、並びに窒素含有分子又は非第三級ホスフィンのうちの一方又は両方を含んでなり、当該窒素含有分子にはモノアミン又は複素環式芳香族有機化合物が包含されうる。
【0005】
一実施態様では、本発明は第1混合物又は第2混合物を含んでなってもよい組成物の提供に関する。当該第1混合物は硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含んでなってもよい。当該第1触媒はルイス酸、並びに非第三級アミン若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。当該第2混合物は硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなってもよい。当該第2触媒はルイス酸、並びにアミン若しくはホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。一実施態様では、当該組成物は第1混合物及び第2混合物の両方を含んでなってもよい。
【0006】
一実施態様では、本発明は硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含む第1混合物(当該第1触媒がルイス酸、並びに非第三級アミン若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなる)、硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなる第2混合物(前記第2触媒がルイス酸、並びにアミン若しくはホスフィンの一方又は両方を含んでなる)、又は当該第1混合物及び当該第2混合物の両方を含んでなるフィルムの提供に関する。
【0007】
一実施態様では、本発明は電子機器の提供に関する。当該機器は無鉛はんだ及びアンダーフィル材料を含んでなる電気接続を含んでなってもよい。当該アンダーフィル材料はフィルムを含んでなってもよく、その場合当該フィルムは第1混合物、第2混合物又は第1混合物及び第2混合物の両方を含んでなってもよい。当該第1混合物は硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含んでなってもよい。当該第1触媒はルイス酸、並びに非第三級アミン若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。当該第2混合物は硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなってもよい。当該第2触媒はルイス酸、並びにアミン若しくはホスフィンの一方又は両方を含んでなってもよい。
【0008】
一実施態様では、本発明は電子機器の提供に関する。当該機器は領域を充填するための手段及び電気接続を含んでなってもよい。当該領域は、型の内部の対向面と、基板の内部の対向面とにより定義されてもよい。当該電気接続は無鉛はんだを含んでなってもよく、型を基板に固定するものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明には、硬化性組成物の用途に用いる触媒に関する実施態様が包含される。本発明には、硬化性組成物及びそれに関連する方法に関する実施態様が包含される。本発明には、硬化性組成物を組み込んだ装置に関する実施態様が包含される。
【0010】
本明細書とクレームの全体にわたって本明細書で用いられる概略的表現は、対象物の基本的な機能の変化を結果的にもたらさない許容範囲で変化しうるあらゆる定量的表現を修飾する場合に適用されうる。したがって、例えば「約」という用語により修飾される値は、特定される正確な値に限定されるものではない。触媒とは、一般にポリマー鎖に組み込まれることがありえない架橋開始剤のことを指す。硬化剤とは、ポリマー鎖に組み込まれることがありえる架橋開始剤のことを指す。
【0011】
本発明の少なくとも一部の実施態様に関連しうる硬化性組成物(あるいはアンダーフィル組成物又はアンダーフィル材料と称することもある)は硬化開始温度又は硬化温度を有し、それは無鉛はんだの融点又は融解温度範囲に対応することがあってもよい。無鉛はんだとの併用における適切な硬化温度は、約220℃超の範囲、又は約220℃〜約240℃の範囲、又は約240℃〜約260℃の範囲であってもよい。
【0012】
当該無鉛はんだは約210℃〜約240℃の融解温度範囲を有するのが好ましい。市販の無鉛はんだは例えばCookson Electronics Assembly Materials(ジャージーシティ、ニュージャージー)から商品名ALPHA VACULOY SACX0307として市販されており、約231.8℃の融点を有する。他の市販の無鉛はんだとして、Kester社(デスプレインズ、イリノイ)から商品名ENVIROMARK 907として市販されており、約180℃〜約240℃の範囲のリフロー温度を有する。
【0013】
適切な触媒としてルイス酸が挙げられ、ルイス酸は窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方とアダクト若しくは複合体を形成してもよい。当該窒素含有分子はモノアミン又は複素環式芳香族の有機化合物を含んでなってもよい。
【0014】
適切なルイス酸触媒は、式(I)に示す構造で表される。
MR (I)
式中、MはB、Al、Ga、In又はTlであり、各Rは独立に同じであるか又は各々異なってもよく、約6〜約14の炭素原子数の一価の芳香族炭化水素基であってもよく、当該一価の芳香族炭化水素基が少なくとも1つの電子吸引要素又は基(−CF、−NO、又は、−CN)を有してもよいか、又は少なくとも2つのハロゲン原子で置換されてもよく、bは1、2又は3であってもよく、Xはハロゲン原子であってもよく、cは0、1又は2であってもよく、但しb+c=3である。
【0015】
一実施態様では、当該ルイス酸触媒は式(II)に示す構造式で表される。
BRXc (II)
各Rは独立に同じであるか又は各々異なってもよく、約6〜約14の炭素原子数の一価の芳香族炭化水素基であってもよく、当該一価の芳香族炭化水素基が少なくとも1つの電子吸引要素又は基(−CF、−NO、又は−CN)を有してもよいか、又は少なくとも2つのハロゲン原子で置換されてもよく、bは1、2又は3であってもよく、Xはハロゲン原子であってもよく、cは0、1又は2であってもよく、但しb+c=3である。
【0016】
一実施態様では、当該ルイス酸にはトリ(アリール)ボランアダクト、又は窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンのうちの一方又は両方との複合体が包含されうる。当該窒素含有分子はモノアミン又は複素環式芳香族有機化合物を含んでなってもよい。一実施態様では、当該ルイス酸は1つ以上の非加水分解性ハロゲンを含んでなってもよい。
【0017】
トリ(アリール)ボラン組成物における好適なアリール基には、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェン−1−イル基及び4−(ペンタフルオロフェニル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基などのうちの1つ以上が含まれる。アリール基は同じであってもよく、各々異なってもよく、異なる場合には他のペンダント基と独立に選択されてもよい。一実施態様では、トリ(アリール)ボランはペンタフルオロフェニルボラン[B(C]であり、複合体中のアリール部分は実質的にペンタフルオロフェニル基からなってもよい。
【0018】
適切な窒素含有分子は、モノアミン又は複素環式芳香族の有機化合物(例えばアニリン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、インドール又はアザ化合物)を含んでなる。一実施態様では、窒素含有分子又は複素環式芳香族の有機化合物は、1つ以上のグリシン、ペンタフルオロアニリン、メチルアニリン、ジエチレントリアミン、ジアミノジフェニルアミン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7−エン(DBU)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、ブチルイミダゾール、2−ヘプタデセニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデセニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−グアナミノエチル−2−メチルイミダゾールアリール置換イミダゾール、フェニルイミダゾール、ベンジルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,3,5−トリフェニルイミダゾール、2−スチリルイミダゾール、1−(ドデシルベンジル)−2−メチルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシル−4−t−ブチルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−、3−ヒドロキシフェニル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、ジ(4,5−ジフェニル−2−イミダゾール)−ベンゼン)−1,4,2−ナフチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−p−メトキシスチリルイミダゾール又は2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールのうちの1つ以上を含んでなってもよい。一実施態様では、窒素含有分子又は複素環式芳香族の有機化合物は、イミダゾール及びトリメリット酸の付加生成物を含んでなってもよい。一実施態様では、当該アミンは、実質的にイミダゾールからなってもよい。
【0019】
適切なアザ化合物は、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどを含んでなってもよい。他の適切な窒素含有分子は以下に示す構造式で表される。
【化1】

1,7,10,16−テトラオキサ−4,13−ジアザシクロオクダデカン
【0020】
適切なホスフィンは、1つ以上のリン含有組成物(例えばトリブチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなど)を含んでなってもよい。一実施態様では、当該ホスフィンは1つ以上の非第三級ホスフィンを含んでなってもよい。一実施態様では、当該ホスフィンは実質的に1つ以上の非第三級ホスフィンからなってもよい。
【0021】
ルイス酸及びアミン組成物及び/又はホスフィン組成物のアダクトは、不活性希釈剤(例えば脂肪族化合物又は芳香族炭化水素)中で上記化合物を混合することにより調製できる。いずれの反応物質を過剰に使用してもよいが、2つの反応物質はモル比において約0.5:1〜約0.95:1、約1:0.95〜約1:1、約1:1〜約1:5、又は1:5超の範囲で混合してもよい。反応は室温で行ってもよく、又は約−78℃〜約150℃の範囲で行ってもよい。最終的なアダクトを濾過又は溶媒の蒸発により単離してもよい。
【0022】
適切な硬化触媒の量は、組成物の合計量に対して約5重量%未満であってもよい。一実施態様では、硬化触媒は組成物の合計量に対して約0.001重量%〜約0.01重量%、約0.01重量%〜約0.1重量%、又は約0.1重量%〜約1重量%の範囲で存在してもよい。一実施態様では、硬化触媒は、合計量よりもむしろ組成物中の樹脂及び硬化剤の量(充填材の重量を含む)に基づくのが好ましい。かかる実施態様では、硬化触媒は樹脂及び硬化剤の重量に対して約0.1重量%未満、約0.1重量%〜約0.3重量%、約0.3重量%〜約0.1重量%又は約0.1重量%超の範囲の量であってもよい。
【0023】
一実施態様では、当該硬化性組成物(例えばアンダーフィル材料)は硬化性樹脂(例えば硬化性の有機樹脂又は硬化性の無機樹脂(例えばポリシロキサン))と硬化触媒との混合物であってもよい。当該有機樹脂は酸素、ヘテロ原子などを含んでなってもよいが、但しポリマー主鎖は有機的な特徴を有する。一実施態様では、当該硬化性の有機樹脂はエポキシ樹脂を含んでなってもよい。
【0024】
好適なエポキシ樹脂には、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂又は芳香族のエポキシ樹脂のうちの1つ以上が挙げられる。好適な前記脂肪族エポキシ樹脂としては、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル及びジペンテンジオキシドなどのうちの1つ以上が挙げられる。一実施態様では、脂肪族エポキシモノマーとしては1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル又はジペンテンジオキシドジグリシジルエーテルなどのうちの1つ以上が挙げられる。
【0025】
好適な脂環式エポキシ樹脂としては、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシド、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、二酸化ビニルシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸二量体のジグリシジルエーテル、二酸化リモネン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、二酸化ジシクロペンタジエン、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)、1,2−ビス(5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンオキシル)エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート及び3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシドなどのうちの1つ以上が挙げられる。一実施態様では、当該脂環式エポキシモノマーとしては、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシド、3−(1,2−エポキシエチル)−7−オキサビシクロヘプタン、ヘキサンジオン酸、ビス(7−オキサビシクロヘプチルメチル)エステル、2−(7−オキサビシクロヘプト−3−イル)−スピロ−(1,3−ジオキサ−5,3’−(7)−ソキサビシクロヘプタン、及びメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのうちの1つ以上が挙げられる。
【0026】
好適な芳香族エポキシ樹脂としては、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂、ビスフェノール−Fエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾール−ノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルエポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、二酸化ジビニルベンゼン、レゾルシノールジグリシジルエーテル及び2−グリシジルフェニルグリシジルエーテルのうちの1つ以上が挙げられる。
【0027】
本発明の一実施態様では、上記樹脂含有量が、他の成分の使用量のベースとして使用されてもよい。樹脂を使用する場合、適切な樹脂含有量は約1重量%超であってもよい。一実施態様では、当該樹脂含有量は約1〜約5重量%、約5〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約25重量%、約25重量%〜約50重量%、約50重量%〜約75重量%、約75重量%〜約85重量%、約85重量%〜約95重量%又は約95重量%超であってもよい。当該樹脂の量は、他の成分のモル量、及び用途特異的なパラメータなどの因子に基づいて調整、選択又は決定されてもよい。
【0028】
適切な硬化剤は無水物(例えばカルボン酸無水物)を含んでなってもよい。適切なカルボン酸無水物は、1つ以上の芳香族化合物の無水物、脂肪族化合物の無水物又は脂環式化合物の無水物を含んでなってもよく、比較的低融点(約100℃以下)であるか、又は室温で液体であってもよい。
【0029】
適切なカルボン酸無水物は、カルボン酸をハロゲン化アシルと反応させることによって、又はカルボン酸を脱水すること、すなわち2つのカルボン酸分子の間の水を除去して無水物を形成させることにより調製できる。あるいは、市販のカルボン酸無水物を化学品の供給業者から入手してもよい。好適なカルボン酸無水物としては、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物又は脂環式カルボン酸無水物のうちの1つ以上が挙げられる。
【0030】
一実施態様では、当該無水物としてはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボキシル無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシル酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシル酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、ドデセニルコハク無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、グルタル酸無水物、ヘキサフルオログルタル酸無水物、イタコン無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、2−メチルグルタル酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、オクタデシルコハク無水物、2−又はn−オクテニルコハク無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、プロピオン酸無水物、3,3−テトラメチレングルタル酸無水物、などのうちの1つ以上が挙げられる。
【0031】
硬化剤を使用する場合、全樹脂の重量に対して約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.5〜約1重量%、約1〜約3重量%、約3〜約5重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約25重量%、約25重量%〜約50重量%、又は約50重量%超の量で存在させてもよい。
【0032】
任意に添加材を使用してもよい。適切な添加材は、軟化剤、カルビノール、硬化剤、フロー調整剤、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、有機希釈剤、難燃剤又は色素のうちの1つ以上の含んでなってもよい。添加材を使用する場合、組成物の合計量に対して0.5重量%超で存在させてもよく、一実施態様では、添加材は樹脂の合計量に対して約0.5重量%〜約1重量%、約1重量%〜約1.5重量%、約1.5重量%〜約2.5重量%、約2.5重量%〜約3.5重量%、約3.5重量%〜約4.5重量%、約4.5重量%〜約5.5重量%、約5.5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約15重量%、約15重量%〜約20重量%、又は約20重量%超の範囲の量で存在させてもよい。
【0033】
一実施態様では、本発明に係る硬化性若しくは硬化組成物は、多硫化物ベースの硬化剤がフリーの物質であってもよい。一実施態様では、本発明に係る硬化性若しくは硬化組成物は、DBU−フェノラート、DBU−ヘキサノエート、DBU−ホルメート、DBU−p−トルエンスルホネート、フェニルジメチル尿素、トルエンビスジメチル尿素又はメチレンジフェニルビスジメチル尿素のうちの1つ以上に関してフリーの物質であってもよい。
【0034】
一実施態様では、添加材として約1nm〜約999nmの範囲の平均粒子径を有するシリカ粒子などのナノスケールの粒子を含有させてもよい。充填材(例えばナノスケールシリカ粒子)は、相溶性材料(例えば有機金属シラン)で処理してもよい。更に、処理された当該充填材を例えばシラザン処理によって皮膜保護してもよく、それにより粒子表面上の活性末端部位(例えばシラノール基)減少若しくは除去することが可能となる。
【0035】
一実施態様では、当該添加材は熱伝導性充填材、導電性充填材、熱的絶縁充填材、電気絶縁充填材などのうちの1つ以上として機能してもよい。一実施態様では、当該添加材を樹脂側に添加してもよい。一実施態様では、当該添加材は樹脂と触媒を混合する前に添加してもよく、又は触媒と樹脂を混合する間に添加してもよい。
【0036】
本発明に係る硬化触媒及び/又は硬化性組成物には、溶媒を含有させてもよい。適切な溶媒としては、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸メトキシプロパノール、酢酸ブチル、メトキシエチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及び酢酸エチル、酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール及び酢酸ブチルカルビトールなどのセロソルブ、並びにそれらの組み合わせのうちの1つ以上の有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、又は2以上の組合せの形で用いてもよい。
【0037】
当該溶媒は、硬化性組成物の合計量に対して約1重量%超で存在してもよい。一実施態様では、当該溶媒の量は硬化性組成物の合計量に対して約1重量%〜約10重量%、約10重量%〜約25重量%、約25重量%〜約50重量%、又は約50重量%超の範囲であってもよい。
【0038】
本発明に係る触媒作用を及ぼされた樹脂又は硬化性組成物は安定であり、比較的長い貯蔵寿命を有しうる。安定性は、比較的低い温度(例えば室温)で、所定時間経過後の粘性増加により示してもよい。
【0039】
一実施態様では、流動化剤(例えばカルボン酸)を、硬化の間にin situで生じさせてもよい。in situで形成された流動化剤は、例えば無水物とカルビノールが反応して得られるものであってもよい。他の実施形態では、流動化剤は所定の基準(例えば所定の温度にする)に応答して結合された状態から放出される態様としてもよい。代替的な実施態様では、流動化剤を直接組成物に添加して工程(例えば形成又は放出工程)を省略してもよい。
【0040】
図1に本発明の実施態様を含んでなる電子機器100を示す。機器100は基板104に固着する型102を有する。無鉛はんだから形成される1つ以上の電気接続106(2つを例示する)は型102と基板104を相互に接触させる。硬化性組成物(アンダーフィル組成物/材料を)108は、型102と基板104の内部対向面で画定されるボリューム110の少なくとも一部を占める。領域112は型102の外向きの対向面に隣接しており、任意のカプセルの材料(図示せず)(例えば熱的に導電界面(TIM)材料)によって占められてもよい。
【0041】
本発明の一実施態様に係る方法は、硬化性の、但し硬化していないか又は部分的にのみ硬化されている(例えばB段階の)アンダーフィル材料108をボリューム110の少なくとも一部に配置することを含んでなってもよい。その後、アンダーフィル材料を硬化させてもよい。更に、アンダーフィル材料108の硬化と同時に、無鉛はんだ球を融点まで加熱してもよい。それにより無鉛はんだ球を溶解、フローさせ、1つ以上の電気的な相互接触106を形成してもよい。すなわち、アンダーフィルの硬化温度及び無鉛はんだ球の融点が、所定のパラメータ範囲内にあってもよく、又はそれぞれの範囲を有してもよい。
【0042】
本発明の一実施態様に係る方法は、硬化性の、但し未だ硬化していないか又は部分的にのみ硬化されている(例えばB段階の)アンダーフィル材料108をボリューム110の少なくとも一部に配置することを含んでなってもよい。アンダーフィル材料を硬化させてもよい。更に、アンダーフィル材料108の硬化と同時に、無鉛はんだ球を融点まで加熱してもよい。それにより無鉛はんだ球を溶解、フローさせ、1つ以上の電気的な相互接触106を形成してもよい。すなわち、アンダーフィル材料の硬化温度及び無鉛はんだ球の融点が、所定のパラメータ範囲内にあってもよく、又はそれぞれの範囲を有してもよい。
【0043】
一実施態様では、硬化温度及び溶融温度のいずれも、約150℃超、約150℃〜約160℃、約160℃〜約170℃、約170℃〜約180℃、約180℃〜約190℃、約190℃〜約200℃、約200℃〜約210℃、約210℃〜約220℃、約220℃〜約230℃、約230℃〜約240℃、約240℃〜約250℃又は約250℃超の範囲であってもよい。
【0044】
一実施態様では、所定の温度における融剤の流動性に基づいて融剤を選択し、アンダーフィル材料に添加してもよい。所定の温度は、所定のパラメータの範囲内、又はアンダーフィルの硬化温度及び/又は無鉛はんだ球の融点のそれぞれの範囲内にあるように選択してもよい。好適な融剤としては、本願明細書に開示される1つ以上の無水物及び1つ以上のカルビノールが挙げられる。当該融剤は電気接続における電気的相互接続性を増強してもよい。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は本発明の方法及び実施態様を例示することを目的とするものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきでない。特に明記しない限り、すべての成分は、Aldrich Chemical社(ミルウォーキー、ウィスコンシン)、Air Products社(アレンタウン、ペンシルバニア)、GE Silicones社(ウィルトン、コネティカット)、Resolution Performance Products社(プエブロ、コロラド)、大日本インキ化学工業社(東京、日本)などの通常の化学品供給業者から市販されているものを使用した。
【0046】
<実施例1>触媒の調製:
丸底の100mlのフラスコに、5gのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及び15mlの無水トルエンを添加し、懸濁液を調製した。得られる懸濁液を室温(25℃)で5分間撹拌し、反応混合液を調製した。その後、無水トルエン5ml中の0.81gのn−メチルイミダゾール溶液を液滴で反応混合液に添加した。n−メチルイミダゾールの添加完了後、反応混合液は透明に変化した。反応混合液を更に1時間室温で撹拌した。撹拌開始の約5分後に白色固体の形成が観察された。その後、30mlのヘキサンを反応混合液に添加し、フラスコを一晩冷蔵庫に保存した。翌日、白色固体をフィルター濾過し、真空乾燥し、複合体生成物4.33gを得た。複合体の構造を、H、13C及び19F NMRで確認した。
【0047】
<実施例2>硬化性組成物の中の調製:
第1樹脂(RSL−1739)及び第2樹脂(EXA−4700)(両方ともエポキシベース)を、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、グリセロール及び5,5’−(1,1,3,3,5−ヘキサメチル−1,5−トリシロキサンジイル)ビス[ヘキサヒドロ−4,7−メタノイソベンゾフラン−1,3−ジオン](TriSNBA)を室温で混合し、混合物を調製した。得られる混合物を室温で30分間混合した。下記の表に記載の触媒(POLYCAT SA−1又は本発明の一実施態様に係る触媒)及び任意の添加材を混合物に添加し、調製物を調製した。調製物を室温で約30分間混合し、室温で少なくとも30分間のガス除去し、硬化性組成物を調製した。得られる硬化性組成物を−40℃で保存した。
【0048】
反応時の加熱温度、硬化開始温度、硬化ピーク温度及びガラス転移温度(Tg)を、Differential Scanning Calorimeter(DSC) TA Instruments Q1000システムを用いて非等温DSC試験により測定した。Differencial Scanning Calorimetery(DSC)を用いて、硬化性組成物の硬化動態の制御を行った。約10mgの硬化性組成物を個々アルミ製の密封可能なパンに密封した。各サンプル及びパンを室温から300℃となるまで、30℃/分の速度で加熱し、更に冷却した。硬化の間の熱フローを記録した。同じ硬化性組成物の2番目の加熱サイクルにおけるガラス転移温度を測定した。
【0049】
溶融性の測定:
洗浄された銅積層FR−4ボードを使用してはんだの溶融試験を実施した。硬化性組成物の一部(0.2g)を銅の積層体に添加し、少量の鉛フリーのはんだ球をその滴に添加した。その後、滴をガラススライドで覆い、銅板を260℃のピーク温度でリフローオーブン中を通過させた。はんだ球が拡散し、光学顕微鏡下で融合を観察した。
【0050】
回路組み立て工程、及び試験:
標準のFR−4ボード及び高Tg/低CTE FR−4ボードを回路組み立てに用い、電解金ニッケル合金でフラッシュ層表面仕上げを行った。両方の試験ボード上の結合パッドは、はんだマスク(Taiyo社製/PSR4000)からエッチングされる直角溝により画定される。22ゲージ針(EFD社製)を使用して、一定量の硬化性組成物を点/線パターンで部品のフットプリント領域の中央に添加し、予め20分〜最高2時間にわたり、150℃〜220℃の温度で焼成したボードを試験した。フリップチップの型を、MRSI505自動ピック/プレイス機(150gの配置力、及び500ミリ秒の配置ヘッド滞留時間)を使用して配置した。これらの試験ビヒクルのリフローは、浸漬ゾーンによる鉛フリーのプロフィール、及び約250℃〜約260℃の範囲のピーク温度を使用した、ZEPHER対流リフローオーブンを使用して実施した。リフローの後の、160℃で1時間の硬化後処理は、硬化工程を完了させるのに必要であった。組み立てられたフリップチップを、1000サイクル(滞留時間:各エクストリームで10分)にわたるエア−ツー−エア熱ショック(AATS)(−55℃〜+150℃)に供した。硬化性組成物を、熱ショック試験の間、割れ及び電気的接続に関してモニターした。
【0051】
<実施例3から6、及び比較例1>:触媒濃度と硬化性組成物の硬化特性との関連:
実施例3から6、及び比較実施例1において、下記の表1に示すように、単一の樹脂を使用して、添加される触媒の重量%(実施例1において調製)を変化させて、実施例2にて説明したのと同様の方法で硬化性組成物を調製した。
【0052】
表1:実施例3から6及び比較実施例1の成分:
【表1】

【0053】
以下のスケールを用いて、硬化性組成物の溶融性の評価、及び硬化性組成物の硬化度合いの評価を行った。
A.溶融性:
1.はんだ球の形態に変化なし
2.はんだが崩壊し始める
3.はんだ球が崩壊するが融合しない
4.はんだ球が崩壊し、若干の併合が観察される
5.はんだ球が崩壊し、完全な融合が観察される
B.硬化度合い:
1.リフロー後、室温で粘着性の流体
2.リフロー後、高温で低い粘性の流体、及び室温で粘着性の固体
3.リフロー後、高温で粘着性の流体、室温で固体
4.リフロー後、高温で柔軟、室温で固体
5.リフロー後、高温で固体
【0054】
表2:実施例3から6及び比較例1の結果:
【表2】

有効な硬化のためには触媒が必要であった。触媒が存在しない硬化性組成物の場合は、硬化が最小であった。表2において示される結果から、実施例3から実施例6における調製物は、無鉛はんだ用途に適用可能な硬化特性を有することが示される。参照番号114で表される図2は、粘性118(センチポアズ)対時間116(時間)に関する5つの曲線プロフィールを示すグラフである。5つの曲線プロフィールの各々は、実施例3−6のいずれか1つ、又は比較実施例1に対応する。その結果から、触媒濃度の増加に応じて、室温で、硬化性組成物の粘性が時間と共に増加することが示される。触媒が存在しない場合、曲線120に示されるように、時間と共に粘性がほとんど増加しなかった。触媒の濃度が大きいほど、曲線122、124、126及び128により示されるように、粘性の増加は時間と共に大きくなった。
【0055】
<実施例7及び比較実施例2から6>:硬化特性に対する触媒濃度の効果:
実施例7及び比較実施例2から6において、表3に示すように、触媒(POLYCAT SA−1)の重量%を変化させ、実施例2で説明したのと同様の方法で硬化性組成物を調製した。EXR4700対RSL1739の比率は1〜4とした。
【0056】
表3:実施例7及び比較実施例2から6の成分
【表3】

【0057】
表4:実施例7及び比較例2から6の結果
【表4】

表4の結果から、比較実施例2から比較実施例6では、無鉛はんだ用途に適用できる硬化特性を有するものの、それが比較的狭い触媒濃度範囲でしか適用できないことが示された。また上記結果より、実施例7と比較して、比較実施例2から比較実施例6では比較的少ない触媒量が必要となることが示された。
【0058】
参照番号130で表される図3は、熱フロー(W/g)134に対する温度(℃)132に関する2本の曲線プロフィールを示すグラフである。実施例7の硬化性組成物の硬化開始温度の温度プロフィールを曲線136として示す。比較実施例2の硬化性組成物の硬化開始温度の温度プロフィールを曲線138として示す。実施例7の硬化性組成物の硬化温度は、無鉛ハンダ材料の融解温度とほぼ同じであった。更に、実施例7の硬化性組成物の硬化開始温度は、比較実施例2の硬化性組成物より約30℃高く、鉛含有はんだの用途に適用可能であった。
【0059】
<実施例8及び比較実施例7>:室温における安定性:
実施例8において、硬化性組成物には実施例1の触媒を含有させた。比較実施例7には触媒としてPOLYCAT SA−Iを含有させた。実施例8及び比較実施例7には、表5に示される量の成分を含有させた。実施例8及び比較実施例7を、実施例2に開示されるのと同様の方法で調製した。
【0060】
表5:実施例8及び比較例7の成分:
【表5】

サンプルを各々2温度サイクルで解析した。第1のランでは硬化のための熱を提供した。第2のランでは、硬化とは無関係な熱現象を減じてベースラインを提供した。ベースラインファイルを各々のランから減じた。インジウムスタンダードを解析し、サンプル解析の前に温度を確認し、DSCの熱フロー較正を行った。インジウムによる較正は、予想される開始温度に対して0.5℃以内、また予想される熱フローに対して0.2ジュール/グラム(J/g)以内とした。
【0061】
参照番号140で表される図4は、室温における、粘性118に対する時間116に関する2つの曲線プロフィールを示すグラフである。曲線142は実施例8の粘性プロフィールを示し、曲線144は比較実施例7の粘性プロフィールを示す。曲線142、144の比較により、実施例8と比較して比較実施例7では、時間経過に伴う粘性の増加が比較的大きかったことを示す。すなわち、本発明の実施態様により、市販の材料と比較し、室温で、より改善された若しくは長い貯蔵寿命とすることが可能になった。
【0062】
表6及び図4に示すように、この結果から、本発明の一実施態様に係る硬化性組成物は、硬化を可能にするだけの量を用いることにより、市販の触媒を使用した材料と比較して、室温で8時間の貯蔵後においても低い粘性を有していたことが示される。更に、望ましい硬化特性を提供するために、表5では、比較実施例7の触媒濃度が実施例8の触媒濃度に対して少ないことが示されている。比較実施例7の触媒濃度はかなり低く、必要となる濃度範囲においては触媒をメーターで測定するのがやや困難となる。
【0063】
表6:実施例8及び比較例7の結果:
【表6】

上記の実施例は単なる例であり、本発明の特徴の幾つかを例示することのみを目的とする。添付の特許請求の範囲は、本発明の記載から認識される技術的範囲を特許請求することを目的とする。本発明の実施例は、全ての可能な実施態様のマニホールドから選択した実施態様のみを図示している。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の特徴を例示するために利用した実施例中の選択により限定されることを出願人は意図していない。請求項において用いられる「含む」の用語、及びその文法的な活用形は、例えば限定されないが「基本的にそれのみを含む」及び「それのみを含む」のような様々な異なる範囲の用語を論理的に包含する。必要な場合、範囲を設定する場合、それらの範囲には両者間の全ての部分範囲も含まれる。これらの範囲の変形は当業者であれば自明であり、またそれらが公知となっていない場合には、そのバリエーションは可能な場合に添付の請求の範囲として記載される。また、科学及び技術の進歩が均等物及び置換候補者を生じさせることも予期されるが、それは現時点では言語の不正確の理由で考察されないに過ぎず、これらのバリエーションもまた可能な場合に添付の特許請求の範囲によって網羅されると解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施態様を含んでなる電子機器の図式的横断面図である。
【図2】時間に対する粘性変化を示すグラフである。
【図3】温度に対する熱フローに関する、2つの硬化プロフィールを示すグラフである。
【図4】時間に対する粘性変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
100 電子機器
102 型
104 基板
106 電気接続
108 硬化性組成物
110 ボリューム
112 領域
114 図2
116 時間(横軸)
118 粘性(縦軸)
120 比較実施例1のグラフ
122 実施例3のグラフ
124 実施例4のグラフ
126 実施例5のグラフ
128 実施例6のグラフ
130 図3
132 温度(横軸)
134 熱フロー(縦軸)
136 実施例7のグラフ
138 比較実施例2のグラフ
140 図4
142 実施例8のグラフ
144 比較実施例7のグラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルイス酸、並びに窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンのうちの一方又は両方を含んでなり、当該窒素含有分子がモノアミン又は複素環式芳香族有機化合物を含んでなる硬化触媒。
【請求項2】
前記ルイス酸が窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンとの複合体若しくはアダクトの一方又は両方である、請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記窒素含有分子が、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7−エン又はメチルイミダゾールの一方又は両方を含んでなる、請求項1記載の触媒。
【請求項4】
前記ルイス酸が三価のボランを含んでなる、請求項1記載の触媒。
【請求項5】
前記ルイス酸がトリ(アリール)ボランを含んでなる、請求項4記載の触媒。
【請求項6】
前記トリ(アリール)ボランが、フェニル、ペンタフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェン−1−イル、又は4−(ペンタフルオロフェニル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基のうちの1つ以上を含んでなる、請求項4記載の触媒。
【請求項7】
前記ルイス酸が1つ以上の非加水分解性ハロゲンを含んでなる、請求項6記載の触媒。
【請求項8】
前記ルイス酸が式(I)で表される構造を有する、請求項1記載の触媒。
MR (I)
(式中、MはB、Al、Ga、In又はTlであり、各Rは約6〜約14の炭素原子数の、独立に同じであるか又は各々異なる一価の芳香族炭化水素基であり、前記一価の芳香族炭化水素基が任意に、1つの電子吸引性の要素又は基を有するか、又は少なくとも2つのハロゲン原子で置換されてもよく、bは1、2又は3で、Xはハロゲン原子で、cは0、1又は2で、但しb+c=3である。)
【請求項9】
A)硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含んでなり、当該第1触媒がルイス酸、並びに非第三級アミン若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなる第1混合物か、
B)硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなり、当該第2触媒がルイス酸、並びにアミン若しくはホスフィンの一方又は両方を含んでなる第2混合物か、
又はA)及びB)の両方を含んでなる硬化性組成物。
【請求項10】
前記第1触媒と前記第2触媒が各々異なる、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記第1触媒と前記第2触媒が同じである、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記第1触媒が150℃超の温度で前記第1樹脂を硬化させることができる、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記第2触媒が150℃超の温度で前記第2樹脂を硬化させることができる、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
所定の基準に応答してin situで融剤を形成できる成分を更に含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
所定の基準に応答して融剤を解放させることができる成分を更に含んでなる請求項9記載の組成物。
【請求項16】
前記ルイス酸がトリ(アリール)ボランを含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項17】
前記トリ(アリール)ボランがB(Cを含んでなる、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記トリ(アリール)ボランがフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェン−1−イル及び4−(ペンタフルオロフェニル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニルのうちの1つ以上を含んでなる、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
前記トリ(アリール)ボラン成分が実質的にペンタフルオロフェニル基からなる、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
前記ルイス酸が、非第三級アミン、非第三級ホスフィン、アミン又はホスフィンのうちの1つ以上と複合体を形成する、請求項9記載の組成物。
【請求項21】
前記ルイス酸が式(II)で表される構造を有する、請求項9記載の組成物。
MR (II)
(式中、MはB、Al、Ga、In又はTlであり、各Rは約6〜約14の炭素原子数の、独立に同じであるか又は各々異なる一価の芳香族炭化水素基であり、前記一価の芳香族炭化水素基は任意に、少なくとも1つの電子吸引性の要素又は基を有するか、又は少なくとも2つのハロゲン原子で置換されてもよく、bは1、2又は3で、Xはハロゲン原子で、cは0、1又は2で、但しb+c=3である。)
【請求項22】
Mがホウ素である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記電子吸引性の要素又は基が−CF、−NO又は−CNのうちの1つ以上を含んでなる、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
前記ルイス酸が1つ以上の非加水分解性ハロゲンを含んでなる、請求項9記載の触媒。
【請求項25】
前記組成物中の前記触媒が、組成物の合計量に対して約0.01重量%〜約5重量%の範囲の量で存在する、請求項9記載の組成物。
【請求項26】
前記硬化性樹脂が脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂又は芳香族のエポキシ樹脂のうちの1つ以上を含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項27】
軟化剤、有機希釈剤、難燃剤、色素、硬化剤又は流動性調整剤のうちの1つ以上を更に含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項28】
ナノスケールのシリカ充填材を更に含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項29】
硬化剤を更に含んでなる、請求項9記載の組成物。
【請求項30】
前記硬化剤が1つ以上の無水物を含んでなる、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記無水物がカルボン酸無水物を含んでなる、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
前記無水物がフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、安息香酸無水物、又はシロキサン二無水物のうちの1つ以上を含んでなる、請求項30記載の組成物。
【請求項33】
A)硬化性の第1樹脂及び第1触媒を含んでなり、前記第1触媒がルイス酸、並びにモノアミン若しくは複素環式芳香族有機化合物の一方又は両方を含んでなる第1混合物か、
B)硬化性の有機質の第2樹脂及び第2触媒を含んでなり、前記第2触媒がルイス酸、並びに窒素含有分子若しくは非第三級ホスフィンの一方又は両方を含んでなる第2混合物か、
又は上記A)とB)の両方を含んでなる硬化フィルム。
【請求項34】
請求項33記載の硬化フィルムを含んでなるアンダーフィル材料と、前記フィルムの範囲内で少なくとも一部に無鉛はんだが配置されている電気接続とを含んでなる電子機器。
【請求項35】
型の内部の対向面と、基板の内部の対向面により画定される領域を充填するための手段と、前記型を基板に固定することができる無鉛はんだを含む電気接続を含んでなる電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544067(P2008−544067A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518211(P2008−518211)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/022587
【国際公開番号】WO2007/001803
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】