説明

硬磁性合金およびその製造方法

【課題】 Fe16またはRFe17を含有し、高保磁力、高飽和磁化を有する硬磁性合金を提供する。
【解決手段】 鉄および鉄以外の金属酸塩を目的の組成となるように秤量・溶解したものを出発原料とし、これを水素気流中にて還元処理を施したものについて、アンモニアもしくはアンモニア混合気流中にて窒化処理を施すことにより、低コストかつ容易に高保磁力、高飽和磁化を有する硬磁性合金を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬磁性合金およびその製造方法に関し、特に、Fe16相およびRFe17相のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とし、高保磁力(Hc)、高飽和磁化(Ms)を有する硬磁性合金およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Feよりも巨大な飽和磁化を示す材料として、Fe−CoやFe−Co−V(パーメンジュール)、さらにFe16が知られている。Fe−Co合金は2.3TものMsを有する材料として知られているが、Coを多量に使用することから高コストとなってしまう。一方で、Fe16は、FeとNのみの元素から構成され、2.4T以上のMsを有し、更にHcの向上が見込めることから、低コストで良好な硬磁気特性を有する磁性材料として注目されている。
【0003】
これまでFe16の合成方法として、焼入れ・焼き戻し法、蒸着法、スパッタ法、イオン注入法、低温窒化法などが報告されている。
【0004】
焼入れ・焼き戻し法は、窒素含有オーステナイトを急冷して得たマルテンサイト相を、さらに100〜150℃で数日間アニールすることにより、Fe16相を生成させる方法であるが、本方法では生成するFe16の割合が少なくなってしまう欠点がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、蒸着法、スパッタ法、イオン注入法では、高いMsを有する試料は得られるものの、形状が薄膜に限定され、粉末などのバルク形状での作製例については報告されていない(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
低温窒化法においても、針状酸化鉄を水素還元して得たα−Fe微粒子を、110℃で10日間アンモニア中熱処理を施すといった、長時間のアンモニア中熱処理が必要になる上、Msも162emu/g(約1.6T)程度しか得られていない(例えば、非特許文献3参照)。
【0007】
このように、Fe16は、低コストで高Msを有する材料として期待されているが、窒素は侵入型元素として格子内に配置されるため容易には含浸されず、また準安定物質であるため、その合成には熱処理条件の厳格な制御が必要であることなど問題点は多く、Fe16単相の合成は極めて困難である。
【0008】
上記問題点を解決することを目的として、酸化鉄粉末に対して還元処理を施すことで得られた金属鉄粉末を窒化処理してFe16相を含む磁性粉末材料を生成する方法も提案されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【0009】
また、Fe16の磁気特性は、結晶磁気異方性に依存しているため、他元素添加により結晶格子を歪ませることによって磁気特性の向上が見込める。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された酸化鉄微粉末を出発原料とする手法では、他元素の添加及び組成コントロールは困難である。
【0010】
一方、希土類−鉄化合物は良好な硬磁性を示す化合物として知られている。一般に、RFe17粉末の作製については、構成金属元素を溶解して得たインゴットを粗粉砕する方法と、原料金属粉末もしくは酸化物粉末を還元剤となるカルシウム粉末などのアルカリ土類金属と混合したものを約1000℃の温度にて還元・拡散反応を生じさせて作製する方法が知られている。これらの方法については、得られる粉末は粒度の大きいものに限られることや、還元処理に高温が必要であることが欠点として挙げられる。
【0011】
【非特許文献1】J. M. D. Coey, et al: J. Phys. Condens. Matter, 6 (1994) L23.
【非特許文献2】K. Nakajima, S. Okamoto: Appl. Phys. Lett., 56 (1990) 92.
【非特許文献3】富永ら:「粉体および粉末冶金」46, (1999) 151.
【特許文献1】特開2000−277311号公報
【特許文献2】特開2001−176715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決すべき課題は、従来方法と比較して低コストかつ低熱処理温度の簡易な工程にて、Fe16相およびRFe17相のうち少なくとも一つ以上を含み、高Hc、高Msである硬磁性合金を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上述の課題を解決することを目的として、種々の合金組成について検討した結果、M元素(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc)およびR元素(R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)のうち少なくとも一つ以上を加え、かつその原料として金属酸塩を使用し、金属酸塩から直接還元および窒化処理を施すことで作製した硬磁性合金において、その組成成分および粒径を限定することにより、Fe16相およびRFe17相のうち少なくとも一つ以上を含む、高Hc、高Msの硬磁性合金を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の第1の発明は、不可避不純物を除いた組成式が下記の組成式1にて表され、その特性として保磁力が0.5kOe以上、飽和磁化が1.6T以上であることを特徴とする硬磁性合金である。
【0015】
組成式1:Fe100−a−b(ただし、MはCu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Scの中から選択される1種類以上の元素であり、0.5原子%≦a≦10原子%、3.0原子%≦b≦15原子%)
【0016】
本発明において主たる成分であるFeは磁性を担う元素であり、磁気特性を発現させるために必須である。
【0017】
また、本発明においてNは窒化処理によってFe16相を形成し、磁気特性を発現させるために必須である。
【0018】
また、M元素はCu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Scの中から選択される1種類以上の元素で、窒化量を制御し、Fe16相を析出しやすくする元素であり、添加によって硬磁気特性を向上させる役割を担う元素である。M元素の組成はFeおよびNとの総和に対して0.5原子%以上、10原子%以下である。本発明でM元素の添加量を0.5原子%以上、10原子%以下と定めたのは、0.5原子%未満だと窒化量を制御できず、過剰に窒素が導入され、Ms、Hcともに向上しないためである。また、10原子%を超えるとM元素自身が窒素と反応することで非磁性化合物を形成したり、Feと化合物を作ることでFe16の形成を困難にし、Ms、Hcともに低下してしまうためである。
【0019】
また、本発明の第2の発明は、不可避不純物を除いた組成式が下記の組成式2にて表され、その特性として保磁力が0.8kOe以上、飽和磁化が0.8T以上であることを特徴とする硬磁性合金である。
【0020】
組成式2:Fe100−c−d(ただし、RはYを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素の中から選択される1種類以上の元素であり、1.0原子%≦c≦15原子%、3.0原子%≦d≦7.0原子%)
【0021】
本発明において主たる成分であるFeは磁性を担う元素であり、磁気特性を発現させるために必須である。
【0022】
また、本発明においてNは窒化処理によってFe16相を形成し、磁気特性を発現させるために必須である。
【0023】
また、R元素はYを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素の中から選択される一種類以上の元素であり、添加によってRFe17相を析出させ、Hcを向上させる役割を担う元素である。R元素の組成はFeおよびNとの総和に対して1.0原子%以上、15原子%以下である。本発明でR元素の添加量を1.0原子%以上、15原子%以下と定めたのは、1.0原子%未満だとRFe17相が形成されず、高いMsを示すが、Hcは低くなってしまうためである。また、15原子%を超えるとRFe相を形成することにより、Ms、Hcともに低下してしまうためである。
【0024】
また、本発明の第3の発明は、不可避不純物を除いた組成式が下記の組成式3にて表され、その特性として保磁力が1.0kOe以上、飽和磁化が1.0T以上であることを特徴とする硬磁性合金である。
【0025】
組成式3:Fe100−e−f−g(ただし、MはCu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Scの中から選択される一種類以上の元素であり、RはYを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素の中から選択される一種類以上の元素であり、0原子%<e≦10原子%、0原子%<f≦15原子%、3.0原子%≦g≦11原子%)
【0026】
本発明において主たる成分であるFeは磁性を担う元素であり、磁気特性を発現させるために必須である。
【0027】
また、本発明においてNは窒化処理によってFe16相を形成し、磁気特性を発現させるために必須である。
【0028】
また、M元素はCu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Scの中から選択される1種類以上の元素で、窒化量を制御し、Fe16相を析出しやすくする元素であり、添加によって硬磁気特性を向上させる役割を担う元素である。M元素の組成はFe、RおよびNとの総和に対して0原子%を超え、10原子%以下である。本発明でM元素の添加量を、0原子%を超え、10原子%以下と定めたのは、10原子%を超えるとM元素自身が窒素と反応することで非磁性化合物を形成したり、Feと化合物を形成することでFe16の形成を困難にし、Ms、Hcともに低下してしまうためである。
【0029】
また、R元素はYを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素の中から選択される一種類以上の元素であり、添加によってRFe17相を析出させ、Hcを向上させる役割を担う元素である。R元素の組成はFe、MおよびNとの総和に対して0原子%を超え、15原子%以下である。本発明でR元素の添加量を、0原子%を超え、15原子%以下と定めたのは、15原子%を超えるとRFe相を形成することにより、Ms、Hcともに低下してしまうためである。
【0030】
また、本発明の第4の発明は、前記第1、第2、第3の発明からなり、その結晶構造としてFe16相およびRFe17相のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする硬磁性合金である。
【0031】
Fe16相は添加元素により結晶格子を歪ませることで硬磁気特性を向上させることに有効であり、またRFe17相は含有することで特に保磁力を向上させる効果がある。
【0032】
また、本発明の第5の発明は、前記第1、第2、第3の発明からなり、その平均一次粒子径が30nm以上、500nm以下の範囲にあることを特徴とする硬磁性合金である。
【0033】
水素還元工程により得られる金属粉末の平均一次粒子径が30nm未満の場合、続いて行われる窒化処理工程において過剰に窒化されてしまい、高いMsが得られなくなる。また、平均一次粒子径が500nmを超える場合は、窒化処理工程において粉末の表面のみ窒化され、高いMs、Hcは得られなくなる。
【0034】
また、本発明の第6の発明は、前記第1、第2、第3、第4の発明からなり、M元素およびR元素のうち少なくとも1つ以上から選ばれる金属酸塩とFeの金属酸塩とを出発原料として、その混合物を水素気流中、300℃以上、500℃以下にて還元処理を施した後、アンモニア又はアンモニアと水素の混合気流中にて前記金属粉末を100℃以上、200℃以下にて窒化処理を施すことを特徴とする硬磁性合金およびその製造方法である。
【0035】
水素還元工程の温度が300℃未満の場合、原料の還元が不十分となり、酸化鉄等が残留することで、Ms、Hcが低くなってしまう。一方、その温度が500℃を超える場合、還元後に得られる金属粉末の平均一次粒子径が大きくなってしまうため、十分な窒化が施せず、Ms、Hcが低下してしまう。
【0036】
窒化処理工程の温度が100℃より低い場合、Fe16相が形成されなくなってしまう。一方、その温度が200℃を超える場合、過剰な窒素が導入される結果、FeN相などを形成してしまうため、Ms、Hcが低下してしまう。
【発明の効果】
【0037】
本発明による硬磁性合金は、Fe、M元素、R元素などを含む金属酸塩を出発原料として水素還元、窒化処理を行い、Fe16、RFe17相の析出を制御することで製造され、高Ms、高Hcの特性を示す。またその製造方法は低価格である金属酸塩を用い、比較的低温、短時間の熱処理で製造することが可能であることから、低コストで高Ms、高Hcの特性を示す硬磁性材料を容易に製造できるという特長を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態を具体的な実施例を用いて説明する。本発明における硬磁性合金の製造工程は、原料となるM元素(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc)の金属酸塩およびR元素(R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)の金属酸塩のうち少なくとも1つ以上とFeの金属酸塩を秤量・混合して混合物を得る混合工程、得られた混合物を炉内に投入し、水素気流中にて還元処理を施す水素還元工程、水素還元工程により得られた金属粉末をアンモニア気流中もしくはアンモニアと水素の混合気流中にて窒化処理を施す窒化処理工程の組み合わせからなる。
【0039】
まず、前記混合工程においては、原料となる金属硝酸塩をそれぞれ秤量し、大気中でホットプレート等を使用して加熱・溶融することで、均一な原料溶液を作製する。原料として使用可能な金属酸塩としては、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などが挙げられるが、それに限定されるものではない。
【0040】
作製した原料溶液をアルミナなどの耐熱・耐酸性容器内に注入した後、これを熱処理炉内にて水素還元処理を施す。水素還元処理は水素気流中にて行うのがよく、300℃以上500℃以下の温度域で行うのが望ましい。
【0041】
水素還元工程終了後、前記金属粉末の窒化処理を行う。窒化処理工程では、水素還元工程に続いて、炉内雰囲気を水素ガス気流からアンモニアもしくはアンモニアと水素の混合ガス気流に切り替え、100℃以上200℃以下の温度で熱処理をすることで、窒化された硬磁性合金を得る。
【0042】
図1に本方法により作製した(Fe0.95Cu0.0588.811.2およびFe80.219.8におけるX線回折パターンを示す。(Fe0.95Cu0.0588.811.2においては、Fe16相の回折パターンが得られたことから、Fe16相を含む合金であると判定されるものである。一方、添加元素を含まないFe80.219.8においては、FeNとFeが混在したX線回折パターンが得られ、Fe16相を含んでいない合金である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0044】
(実施例1〜16、比較例1〜4)
Fe、Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Scの硝酸塩を、下記の表1に記載の本発明の実施例1〜16、比較例1〜4の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0045】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、350℃で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中150℃で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例1〜16、比較例1〜4に係る硬磁性合金を得た。
【0046】
炉内より取り出した硬磁性合金について、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の硬磁性合金の飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を行った。また結晶構造の解析には、X線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例1〜16、比較例1〜4における試料組成、Ms、HcおよびFe16相の有無を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1に示されるように、実施例1〜16の硬磁性合金は、いずれもHcが0.5kOe以上、Msが1.6T以上であり、更に結晶構造としてFe16相を有している。一方、比較例1〜4はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0049】
まず表1の実施例1〜16および比較例1〜4に着目すると、これらの組成は、Fe−M−N(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc)においてMの含有量であるaの値を0原子%から15原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例1〜16の場合は、Hc≧0.5kOe、Ms≧1.6Tであり、Fe16相を有することから全ての条件を満たしており、この場合の0.5原子%から10原子%の範囲が本発明におけるパラメータaの条件範囲となる。また実施例1〜4のようにFeの含有量はMsに大きな影響を及ぼすものであり、そのため1.8T以上のMsを得るためにはさらにMの含有量を7原子%以下にすることが好ましい。一方、Mの含有量が0、0.1、15原子%である比較例1〜4の場合にはいずれもFe16相を含まない。さらに比較例1、4の場合は、Ms≧1.6Tは満たしたが、Hc<0.5kOeとなり、また比較例2、3の場合は、Ms<1.6T、Hc<0.5kOeであるため、本発明の条件を満たしていない。
【0050】
次に表1の実施例1〜8および比較例1〜4に着目すると、これらの組成はFe−M−N(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc)において、Nの含有量であるbの値を0.3原子%から19.8原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例1〜8の場合はHc≧0.5kOe、Ms≧1.6Tであり、Fe16相を有することから全ての条件を満たしており、この場合の3原子%から15原子%の範囲が本発明におけるパラメータbの条件範囲となる。一方、Nの含有量が19.8、2.9、19.4、0.3原子%である比較例1〜4の場合にはいずれもFe16相は含まれておらず、Fe、FeN、CuN相などが析出している。さらに比較例1、4の場合は、Ms≧1.6Tは満たしたが、Hc<0.5kOeとなり、また比較例2、3の場合は、Ms<1.6T、Hc<0.5kOeであるため、本発明の条件を満たしていない。
【0051】
(実施例17〜35、比較例5〜7)
Fe、Y、Sm、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの硝酸塩を、下記の表2に記載の本発明の実施例17〜35、比較例5〜7の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0052】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、350℃で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中150℃で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例17〜35、比較例5〜7に係る硬磁性合金を得た。
【0053】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を行った。また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例17〜35、比較例5〜7における試料組成、Ms、HcおよびFe16相、RFe17相の有無を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表2に示されるように、実施例17〜35の硬磁性合金は、いずれもHcが0.8kOe以上、Msが0.8T以上であり、更に結晶構造としてFe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有している。一方、比較例5〜7はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0056】
まず表2の実施例17〜35および比較例5〜7に着目すると、これらの組成は、Fe−R−N(R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)においてRの含有量であるcの値を0.3原子%から17原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例17〜35の場合は、Hc≧0.8kOe、Ms≧0.8Tであり、Fe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有していることから全ての条件を満たしており、この場合の1.0原子%から15原子%の範囲が本発明におけるパラメータcの条件範囲となる。一方、Rの含有量が0.3、0.7原子%である比較例5、6の場合にはRの含有量が少ないためRFe17相が析出しておらず、Ms≧0.8Tは満たしているが、Hc<0.8kOeとなる。またRの含有量が17原子%である比較例7の場合は、Rの含有量が多く相対的にFeの含有量が減少しMs<0.8Tとなり、またHc<0.8kOeであるため、本発明の条件を満たしていない。
【0057】
次に表2の実施例17〜24および比較例5〜7に着目すると、これらの組成はFe−R−N(R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)において、Nの含有量であるdの値を0.6原子%から13.5原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例17〜24の場合はMs≧0.8T、Hc≧0.8kOeであり、Fe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有していることから全ての条件を満たしており、この場合の3.0原子%から7.0原子%の範囲が本発明におけるパラメータdの条件範囲となる。一方、Nの含有量が13.5原子%である比較例5の場合にはFe16相は有しているが、RFe17相が析出しておらず、Hc<0.8kOeとなる。また、Nの含有量が0.6原子%である比較例7の場合にはFe16相は含まれておらず、Ms<0.8T、Hc<0.8kOeとなる。またRの含有量が8.0原子%である比較例6の場合は、Fe16相は有しているが、RFe17相は析出しておらず、Ms≧0.8Tは満たしているが、Hc<0.8kOeであるため、本発明の条件を満たしていない。
【0058】
(実施例36〜56、比較例1、8〜10)
硝酸鉄、M元素硝酸塩およびR元素硝酸塩を、下記の表3に記載の本発明の実施例36〜56、比較例1、8〜10の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0059】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、350℃で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中150℃で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例36〜56、比較例1、8〜10に係る硬磁性合金を得た。
【0060】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を行った。また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例36〜56、比較例1、8〜10における試料組成、Ms、Hc、およびFe16相、RFe17相の有無を表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
表3に示されるように、実施例36〜56の硬磁性合金は、いずれもHcが1.0kOe以上、Msが1.0T以上であり、更に結晶構造としてFe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有している。一方、比較例1、8〜10はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0063】
まず表3の実施例39、40、42、44および比較例1、9に着目すると、これらの組成は、Fe−M−R−N(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc、R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)においてMの含有量であるeの値を0原子%から12原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例39、40、42、44の場合は、Hc≧1.0kOe、Ms≧1.0Tであり、Fe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有していることから全ての条件を満たしており、この場合の0原子%を超え10原子%の範囲が本発明におけるパラメータeの条件範囲となる。一方、Mの含有量が0原子%である比較例1の場合には、MおよびRを含有しないためFe16相およびRFe17相のいずれも析出しておらず、Ms≧1.0Tは満たしているが、Hc<1.0kOeとなる。また、Mの含有量が12原子%である比較例9の場合は、Fe16相は含まれておらず、またHc<1.0Tとなるため、本発明の条件を満たしていない。
【0064】
次に表3の実施例36、38、40、41、43、45および比較例1、8に着目すると、これらの組成は、Fe−M−R−N(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc、R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)においてRの含有量であるfの値を0原子%から17原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例36、38、40、41、43、45の場合は、Hc≧1.0kOe、Ms≧1.0Tであり、Fe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有していることから全ての条件を満たしており、この場合の0原子%を超え15原子%の範囲が本発明におけるパラメータfの条件範囲となる。一方、Rの含有量が0原子%である比較例1の場合には、MおよびRを含有しないためFe16相およびRFe17相のいずれも析出しておらず、Ms≧1.0Tは満たしているが、Hc<1.0kOeとなる。また、Rの含有量が17原子%である比較例8の場合は、RFe17相は含まれておらず、またHc<1.0Tとなるため、本発明の条件を満たしていない。
【0065】
次に表3の実施例37〜45および比較例1、8〜10に着目すると、これらの組成は、Fe−M−R−N(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc、R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)においてNの含有量であるgの値を1.2原子%から19.8原子%まで変化させた場合に相当する。このうち、実施例37〜45の場合はHc≧1.0kOe、Ms≧1.0Tであり、Fe16相とRFe17相のうち少なくとも一つ以上を有していることからすべての条件を満たしており、この場合の3原子%から11原子%の範囲が本発明におけるパラメータgの条件範囲となる。一方、Nの含有量が19.8、2.0、2.8、1.2原子%である比較例1、8〜10の場合にはFe16相およびRFe17相を含有する場合もあるものの、Hc≧1.0kOe、Ms≧1.0Tの条件を完全には満たさないため、本発明の条件を満たしていない。
【0066】
(実施例3、57〜60、比較例11、12)
FeとCuの硝酸塩を、表1に記載の本発明の実施例3の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0067】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、250℃以上600℃以下の範囲で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中150℃で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例3、57〜60、比較例11、12に係る硬磁性合金を得た。
【0068】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、走査型電子顕微鏡(SEM)により粒径測定を、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を、また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例3、57〜60、比較例11、12における試料組成、平均一次粒子径、Ms、Hc、およびFe16相の有無を表4に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
表4に示されるように、実施例3、57〜60の硬磁性合金は、いずれもHcが0.5kOe以上、Msが1.6T以上であり、結晶構造としてFe16相を有しており、更に平均一次粒子径が30nm以上500nm以下の範囲にある。一方、比較例11、12はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0071】
まず表4の実施例3、57〜60および比較例11、12に着目すると、これらの硬磁性合金は水素還元時において水素還元温度を250℃から550℃まで変化させた場合に相当する。このうち実施例3、57〜60の場合は、Hc≧0.5kOe、Ms≧1.6Tであり、Fe16相を有し、更に平均一次粒子径が30nm以上500nm以下の範囲にあることから、全ての条件を満たしており、この場合の300℃から500℃の範囲が本発明における水素還元温度の条件範囲となる。一方、水素還元温度が550℃となる比較例11の場合には、平均一次粒子径が500nmより大きくなるため窒化が進行せず、Fe16相の析出は確認されなかった。また、水素還元温度が250℃となる比較例12の場合には、原料が十分に還元されず、酸化鉄などの残留物が見られたことから、Hc<0.5kOe、Ms<1.6Tとなるため、本発明の条件を満たしていない。
【0072】
(実施例21、61〜64、比較例13、14)
Fe、Smの硝酸塩を、表2に記載の本発明の実施例21の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0073】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、250℃以上600℃以下の範囲で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中150℃で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例21、61〜64、比較例13、14に係る硬磁性合金を得た。
【0074】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、走査型電子顕微鏡(SEM)により粒径測定を、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を、また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例21、61〜64、比較例13、14における試料組成、平均一次粒子径、Ms、Hc、およびFe16相の有無を表5に示す。
【0075】
【表5】

【0076】
表5に示されるように、実施例21、61〜64の硬磁性合金は、いずれもHcが0.8kOe以上、Msが0.8T以上であり、結晶構造としてFe16相を含有しており、更に平均一次粒子径が30nm以上500nm以下の範囲にある。一方、比較例13、14はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0077】
まず表5の実施例21、61〜64および比較例13、14に着目すると、これらの硬磁性合金は水素還元時において水素還元温度を250℃から550℃まで変化させた場合に相当する。このうち実施例21、61〜64の場合は、Hc≧0.8kOe、Ms≧0.8Tであり、Fe16相を有し、更に平均一次粒子径が30nm以上500nm以下の範囲にあることから、全ての条件を満たしており、この場合の300℃から500℃の範囲が本発明における水素還元温度の条件範囲となる。一方、水素還元温度が550℃となる比較例13の場合には、平均一次粒子径が500nmより大きくなるため窒化が進行せず、Fe16相の析出は確認されなかった。また、水素還元温度が250℃となる比較例14の場合には、原料が十分に還元されず、酸化鉄などの残留物が見られたことから、Hc<0.8kOe、Ms<0.8Tとなるため、本発明の条件を満たしていない。
【0078】
(実施例3、65、66、比較例15、16)
Fe、Cuの硝酸塩を、表1に記載の本発明の実施例3の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0079】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、350℃で5時間の水素還元処理を行った後、アンモニア中80℃から250℃の温度範囲で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例3、65、66、比較例15、16に係る硬磁性合金を得た。
【0080】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を、また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例3、65、66、比較例15、16における試料組成、Ms、Hc、およびFe16相の有無を表6に示す。
【0081】
【表6】

【0082】
表6に示されるように、実施例3、65、66の硬磁性合金は、いずれもHcが0.5kOe以上、Msが1.6T以上であり、結晶構造としてFe16相を含有している。一方、比較例15、16はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0083】
まず表6の実施例3、65、66および比較例15、16に着目すると、これらの硬磁性合金はアンモニア窒化時において窒化温度を80℃から250℃まで変化させた場合に相当する。このうち実施例3、65、66の場合は、Hc≧0.5kOe、Ms≧1.6Tであり、Fe16相を有していることから、全ての条件を満たしており、この場合の100℃から200℃の範囲が本発明における窒化温度の条件範囲となる。一方、窒化温度が250℃となる比較例15の場合には、窒化温度が高いために過剰の窒素が導入されることでFeN相が形成され、Hc<0.5kOeとなった。また、窒化温度が80℃となる比較例16の場合には、窒化が十分に進行しなかったため、Fe16相は析出せず、Ms≧1.6Tとなったが、Hc<0.5kOeとなったため、本発明の条件を満たしていない。
【0084】
(実施例21、67、68、比較例17、18)
Fe、Smの硝酸塩を、表2に記載の本発明の実施例21の組成となるようそれぞれ秤量し、アルミナ容器内にて大気中で加熱し硝酸塩を溶解することで原料とした。
【0085】
次に、作製した原料を熱処理炉に投入し、350℃で5時間の水素還元処理を施した後、アンモニア中80℃から250℃の温度範囲で48時間の窒化処理を行った。これにより、実施例21、67、68、比較例17、18に係る硬磁性合金を得た。
【0086】
次に、炉内より取り出した硬磁性合金について、振動試料型磁力計(VSM)により各組成の室温における飽和磁化(Ms)及び保磁力(Hc)の測定を、また、結晶構造の解析にはX線回折(XRD)を用い、析出相の確認を行った。更に、含有窒素量の調査のため金属中ガス分析装置による分析を行った。実施例21、67、68、比較例17、18における試料組成、Ms、Hc、およびFe16相の有無を表7に示す。
【0087】
【表7】

【0088】
表7に示されるように、実施例21、67、68の硬磁性合金は、いずれもHcが0.8kOe以上、Msが0.8T以上であり、結晶構造としてFe16相を含有している。一方、比較例17、18はいずれもこれらの条件のうち、少なくともいずれか一つは満たされない条件を有している。
【0089】
まず表7の実施例21、67、68および比較例17、18に着目すると、これらの硬磁性合金はアンモニア窒化時において窒化温度を80℃から250℃まで変化させた場合に相当する。このうち実施例21、67、68の場合は、Hc≧0.8kOe、Ms≧0.8Tであり、Fe16相を有していることから、全ての条件を満たしており、この場合の100℃から200℃の範囲が本発明における窒化温度の条件範囲となる。一方、窒化温度が250℃となる比較例17の場合には、窒化温度が高いために過剰の窒素が導入されることでFeN相が形成され、Hc<0.8kOeとなった。また、窒化温度が80℃となる比較例18の場合には、窒化が十分に進行しなかったため、Fe16相は析出せず、Ms≧0.8Tとなったが、Hc<0.8kOeとなったため、本発明の条件を満たしていない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(Fe0.95Cu0.0588.811.2およびFe80.219.8におけるX線回折パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe−M−N系窒化物(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、Pd、Sc)において、その組成の原子量比がMをa原子%、Nをb原子%とするとき、0.5原子%≦a≦10原子%かつ3.0原子%≦b≦15原子%で残部はFeであり、更にその特性として保磁力が0.5kOe以上、飽和磁化が1.6T以上であることを特徴とする硬磁性合金。
【請求項2】
Fe−R−N系窒化物(R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)において、その組成として原子量比がRをc原子%、Nをd原子%とするとき、1.0原子%≦c≦15原子%かつ3.0原子%≦d≦7.0原子%で残部はFeであり、更にその特性として保磁力が0.8kOe以上、飽和磁化が0.8T以上であることを特徴とする硬磁性合金。
【請求項3】
Fe−M−R―N系窒化物(M:Cu、Co、Ni、Bi、Sn、Cr、Mn、Rh、PdおよびSc、R:Yを含み、LaおよびEuを除くランタノイド系希土類元素)において、MおよびRはそれぞれその組成として原子量比がMをe原子%、Rをf原子%、Nをg原子%とするとき、0原子%<e≦10原子%かつ0原子%<f≦15原子%かつ3.0原子%≦g≦11原子%で残部はFeであり、更にその特性として保磁力が1.0kOe以上、飽和磁化が1.0T以上であることを特徴とする硬磁性合金。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか一つに記載の硬磁性合金において、その結晶構造としてFe16相およびRFe17相のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする硬磁性合金。
【請求項5】
請求項1から3のうちのいずれか一つに記載の硬磁性合金において、その平均一次粒子径が30nm以上、500nm以下の範囲にあることを特徴とする硬磁性合金。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか一つに記載の硬磁性合金において、Fe、M元素およびR元素のうち少なくとも一つ以上を含む金属酸塩を出発原料とし、その混合物を水素気流中、300℃以上、500℃以下にて直接還元処理することにより金属粉末を得、続いて該金属粉末をアンモニアまたはアンモニアと水素の混合気流中にて前記金属粉末を100℃以上、200℃以下にて窒化処理することにより製造されることを特徴とする硬磁性合金。
【請求項7】
請求項1から5のうちのいずれか一つに記載の硬磁性合金の製造方法において、Fe、M元素およびR元素のうち少なくとも一つ以上を含む金属酸塩を出発原料とし、その混合物を水素気流中、300℃以上、500℃以下にて直接還元処理することにより金属粉末を得、続いて該金属粉末をアンモニアまたはアンモニアと水素の混合気流中にて前記金属粉末を100℃以上、200℃以下にて窒化処理することを特徴とする硬磁性合金の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−249682(P2009−249682A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98586(P2008−98586)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】