説明

硬貨認識装置

【課題】硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサの出力に基づいて硬貨の外径を検出することによって、異物の影響を受けず、硬貨を搬送する搬送ベルトの実装の妨げにならず、硬貨の金種の判定精度が高いようにする。
【解決手段】搬送ベルトによって搬送される硬貨11の外径を検出する硬貨認識装置10であって、搬送される硬貨11の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサ12と、該反射型磁気センサ12の出力に基づいて前記硬貨11の外径を検出する検出回路20とを有し、検出された外径に基づいて硬貨11の金種を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置や硬貨入出金機、また、商店や路上に配設された自動販売機等には、硬貨の識別を自動的に行う硬貨認識装置が組み込まれている。そして、該硬貨認識装置は、硬貨の外形等を検出して、硬貨の真偽及び金種、すなわち、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨及び500円硬貨を判定する(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
なお、硬貨の外径を検出する方式としては、光源からの透過量又は反射光量をCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等の受光素子によって受光して硬貨の外径を検出する光学センサ方式や、硬貨の上側及び下側にコイルを配置し、どちらか一方のコイルを励磁させて磁束を発生させ、硬貨によるその磁束の透過量を他方のコイルで受信して検出する磁気センサ方式が知られている。
【特許文献1】特開2003−6700号公報
【特許文献2】特開2002−140747号公報
【特許文献3】特開2002−74444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の硬貨認識装置においては、硬貨の真偽及び金種の判定精度が低下したり、センサを適切な場所に配設することができない場合がある。自動取引装置、硬貨入出金機等の内部に配設された硬貨搬送路を通過する際に、硬貨の一部が削れてしまうことがあり、これによって生じた硬貨粉や硬貨搬送路内における埃(ほこり)のような異物が存在すると、光学センサ方式では硬貨の外径を正確に検出することができなくなってしまう。また、自動取引装置、硬貨入出金機等においては、硬貨を上面から搬送ベルトによって押さえ付けて搬送する搬送方式が広く採用されているが、磁気センサ方式では磁束の透過量によって硬貨の外径を検出するので、搬送ベルトを避けてコイルを配設する必要があり、搬送ベルトの実装が非常に困難になってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の硬貨認識装置の問題点を解決して、硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサの出力に基づいて硬貨の外径を検出することによって、異物の影響を受けず、硬貨を搬送する搬送ベルトの実装の妨げにならず、硬貨の金種の判定精度が高い硬貨認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の硬貨認識装置においては、搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサと、該反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、検出された外径に基づいて硬貨の金種を判別する。
【0007】
本発明の他の硬貨認識装置においては、さらに、前記反射型磁気センサは、該反射型磁気センサの検出面から搬送される硬貨の側面までの距離に応じた大きさの出力データを出力し、前記検出回路は、前記反射型磁気センサが出力した出力データの最大値に基づいて前記硬貨の外径を検出する。
【0008】
本発明の更に他の硬貨認識装置においては、さらに、前記検出回路は、検出した硬貨の外径を、記憶手段にあらかじめ格納された金種毎の外径の値と比較して、前記硬貨の金種を判別する。
【0009】
本発明の更に他の硬貨認識装置においては、搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサと、該反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、検出された外径に基づいて、側面が変形したリジェクトすべき硬貨を判別する。
【0010】
本発明の更に他の硬貨認識装置においては、さらに、自動取引装置又は硬貨入出金機に取り付けられて使用される。
【0011】
本発明の更に他の硬貨認識装置においては、搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された第1の反射型磁気センサと、前記硬貨の搬送路を挟んで前記第1の反射型磁気センサの反対側に配設された第2の反射型磁気センサと、該第2の反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の搬送基準位置からずれ量を検出し、該ずれ量によって前記第1の反射型磁気センサの出力に基づいて得られる前記硬貨の側面の位置を補正することにより、前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、検出された外径に基づいて硬貨の金種を判別する。
【0012】
本発明の更に他の硬貨認識装置においては、搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された第1の反射型磁気センサと、前記硬貨の搬送路を挟んで前記第1の反射型磁気センサの反対側に配設された第2の反射型磁気センサと、該第2の反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の搬送基準位置からずれ量を検出し、該ずれ量によって前記第1の反射型磁気センサの出力に基づいて得られる前記硬貨の側面の位置を補正することにより、前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、検出された外径に基づいて、側面が変形したリジェクトすべき硬貨を判別する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬貨認識装置は、硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサの出力に基づいて硬貨の外径を検出するようになっている。そのため、異物の影響を受けず、硬貨を搬送する搬送ベルトの実装の妨げにならず、硬貨の金種の判定精度を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態における硬貨認識装置の構成を示す図である。
【0016】
図において、10は本実施の形態における硬貨認識装置であり、硬貨11を受領する図示されない装置に取り付けられ、硬貨11の真偽及び金種を判定する。なお、前記硬貨11を受領する装置は、一般的には、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等の営業店や、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の商店の店舗に配設されているATM、CD等の自動取引装置や硬貨入出金機であるが、硬貨11を受領するための装置であれば、鉄道、バス等の交通機関の券売機、飲料、タバコ等の自動販売機、両替機、ゲーム機等いかなる装置であってもよい。本実施の形態においては、前記硬貨11を受領する装置が自動取引装置又は硬貨入出金機であるものとして説明する。
【0017】
そして、硬貨認識装置10は、自動取引装置又は硬貨入出金機に投入された硬貨11の金種、すなわち、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨及び500円硬貨の種別を判定し、前記自動取引装置又は硬貨入出金機は、硬貨認識装置10の判定結果に従い、硬貨11を金種毎に仕分けして計数し、格納又は払い出しを行う。
【0018】
図において、13は自動取引装置又は硬貨入出金機内に配設されて硬貨搬送路であり、ここでは、硬貨11が硬貨搬送路13内を矢印Aで示される方向に搬送されるものとする。また、13aは硬貨搬送路13における硬貨搬送基準位置であり、硬貨11はその一側端(図における左側端)が硬貨搬送基準位置13aに沿って搬送される。さらに、13bは硬貨11の他側端(図における右側端)の通過位置を示している。なお、硬貨11は、例えば、両面から図示されないベルトコンベヤの搬送ベルトによって挟み込まれた状態で搬送されるが、いかなる種類の搬送装置によって搬送されるものであってもよい。
【0019】
前記硬貨認識装置10は、硬貨11を検出する反射型磁気センサ12、及び、該反射型磁気センサ12の駆動制御を行うとともに反射型磁気センサ12の出力データを処理する検出回路としての制御ユニット20を有する。この場合、前記反射型磁気センサ12は、硬貨搬送路13内を搬送される硬貨11の硬貨搬送基準位置13aと反対側の側面に対応する位置に配設され、硬貨11の側面までの距離に基づいて該側面の位置を検出する。また、前記制御ユニット20は、反射型磁気センサ12が検出した硬貨11の側面の位置の変化に基づいて、硬貨11の外径を判別し、あらかじめ記憶された金種毎の外径の値を参照して、前記硬貨11の金種を判別する。
【0020】
次に、前記制御ユニット20の構成について詳細に説明する。
【0021】
図2は本発明の第1の実施の形態における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施の形態における制御ユニット20は、図2に示されるように、正弦波発振回路21、増幅回路22、絶対値回路23、フィルタ回路24、A/Dコンバータ回路25、演算手段としてのCPU26及び記憶手段としてのメモリ27を有する。前記正弦波発振回路21は、反射型磁気センサ12を励磁する発振信号としての正弦波信号を生成して前記反射型磁気センサ12に送信する。これにより、該反射型磁気センサ12の駆動制御が行われる。
【0023】
また、前記増幅回路22は、前記反射型磁気センサ12の出力データを受信して増幅する。さらに、前記絶対値回路23は、増幅回路22が増幅した反射型磁気センサ12の出力データの波形を全波整流してDC成分に変換する。さらに、前記フィルタ回路24は、増幅され全波整流された反射型磁気センサ12の出力データの波形からノイズを除去する。さらに、前記A/Dコンバータ回路25は、前記フィルタ回路24から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換する。
【0024】
そして、前記CPU26は、デジタルデータに変換された反射型磁気センサ12の出力データを解析し、メモリ27に格納されているデータを参照して硬貨11の外径を判別する。なお、前記メモリ27は、フラッシュメモリであることが望ましいが、いかなる種類の記憶手段であってもよい。そして、前記メモリ27には、レファレンスとして、金種毎の外径の値があらかじめ格納されているので、判別された硬貨11の外径をメモリ27に格納されているレファレンスと比較することによって、外径に対応する金種を判別することができる。
【0025】
次に、前記構成の硬貨認識装置10の動作について説明する。
【0026】
図3は本発明の第1の実施の形態における反射型磁気センサ出力波形を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における制御ユニットの動作の概念を示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における硬貨認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0027】
まず、入金が開始され、自動取引装置又は硬貨入出金機に硬貨11が投入されると、該硬貨11は、自動取引装置又は硬貨入出金機が備える図示されない硬貨搬送路に沿って配設されたベルトコンベヤ等の搬送装置によって搬送され、硬貨認識装置10に到達する。すると、該硬貨認識装置10の認識処理が開始され、正弦波発振回路21が生成した正弦波信号が反射型磁気センサ12に入力される。これにより、該反射型磁気センサ12は励磁される。なお、前記硬貨11は、搬送ベルトによって両面から挟み込まれた状態で、一側端が硬貨搬送基準位置13aに沿って搬送される。
【0028】
ここで、励磁された反射型磁気センサ12は磁束を発生する。そして、反射型磁気センサ12が発生した磁束は検出対象の硬貨11によって反射され、反射された磁束は反射型磁気センサ12によって受信される。すなわち、該反射型磁気センサ12は、硬貨11からの磁束の反射を検出する。そして、検出した結果に基づいて出力データを制御ユニット20に送信する。
【0029】
続いて、増幅回路22は、前記反射型磁気センサ12の出力データを受信して増幅する。すなわち、センサ出力を増幅する。そして、増幅回路22によって増幅されたセンサ出力は、絶対値回路23によって直流信号に変換される。すなわち、絶対値回路23は出力をDC成分に変換する。続いて、フィルタ回路24は、DC成分に変換されたセンサ出力からノイズを除去する。そして、A/Dコンバータ回路25はセンサ出力をデジタルデータに変換し、CPU26は、デジタルデータに変換されたセンサ出力の波形、すなわち、得られたセンサ波形の最大値を検出する。
【0030】
ここで、デジタルデータに変換されたセンサ出力の波形は、図3の下側に示されるグラフにおける曲線Bのようになっている。該曲線Bは、デジタルデータに変換されたセンサ出力、すなわち、A/Dコンバータ回路25の出力データの時間に対する変化を示しており、反射型磁気センサ12の出力の変化に対応する。反射型磁気センサ12は、その検出面に対して硬貨11の側面が近接するほど出力が大きくなる。図3の上側における線12bは、反射型磁気センサ12の検出面(硬貨12の側面に対向する面)の位置を示し、線12から硬貨11の側面までの各矢印の長さは検出面から硬貨11の側面までの距離を示している。なお、実際には、図1に示されるように、反射型磁気センサ12に対して硬貨11が移動するのであるが、図3の上側においては、硬貨11に対して反射型磁気センサ12が移動しているかのように示されている。
【0031】
そして、硬貨11が各位置にあるときにおける反射型磁気センサ12の検出面から硬貨11の側面までの距離に応じたセンサ出力の値が、A/Dコンバータ回路25の出力と時間との2次元平面上に丸印でプロットされ、該丸印を結ぶように描くことによって、曲線Bを得ることができる。該曲線B上における黒い丸印は、デジタルデータに変換されたセンサ出力のピークを示し、該ピークの値、すなわち、センサ出力の最大値は点線12cで示されている。図3から明らかなように、黒い丸印は反射型磁気センサ12の検出面に最も近接した硬貨11の側面に対応するものであり、かつ、前述のように、反射型磁気センサ12の出力はその検出面に対して硬貨11の側面が近接するほど大きくなるのであるから、センサ出力の最大値によって硬貨11の外径を判別することができる。
【0032】
続いて、CPU26は、得られた硬貨11の外径の値、すなわち、最大値とメモリ27のリファレンスとを比較し、金種を判別する。ここで、メモリ27は、リファレンスを格納するデータベースとして、図4に示されるようなデータベース27aを備えている。なお、図4の左端に示されるグラフは、図3の下側に示されるグラフと同様のものであり、デジタルデータに変換されたセンサ出力を示す曲線BがA/Dコンバータ回路25の出力データと時間との2次元平面上に描かれている。また、データベース27a内に示されるグラフも図3の下側に示されるグラフと同様のものであるが、データベース27aにはあらかじめ各金種に対応する多数種類のグラフが格納されている。
【0033】
反射型磁気センサ12の出力は、その検出面に対して硬貨11の側面が近接するほど大きくなるのであるから、外径の大きな金種の硬貨11ほどデジタルデータに変換されたセンサ出力が大きくなる。そして、データベース27aにレファレンスとして格納されている各種のセンサ出力は、各金種に対応付けられているので、メモリ27のリファレンスを参照することによって硬貨11の金種を判別することができる。
【0034】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 入金を開始する。
ステップS2 反射型磁気センサ12を励磁する。
ステップS3 硬貨11からの磁束の反射を検出する。
ステップS4 増幅回路22はセンサ出力を増幅する。
ステップS5 絶対値回路23は出力をDC成分に変換する。
ステップS6 フィルタ回路24はノイズを除去する。
ステップS7 A/Dコンバータ回路25においてセンサ出力をデジタルデータに変換する。
ステップS8 CPU26は得られたセンサ波形の最大値を検出する。
ステップS9 CPU26は得られた最大値とメモリのリファレンスとを比較し、金種を判別し、処理を終了する。
【0035】
このように、本実施の形態においては、硬貨11の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサ12の出力に基づいて硬貨11の外径を検出するようになっている。そのため、硬貨11が搬送ベルトによって両面から挟み込まれた状態で搬送される場合であっても、搬送ベルトの実装の妨げにならずに反射型磁気センサ12を配置することができ、硬貨11の外径を検出することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0037】
図6は本発明の第2の実施の形態における硬貨認識装置の構成を示す図である。
【0038】
本実施の形態における硬貨認識装置10は、図6に示されるように、硬貨搬送路13内を搬送される硬貨11の硬貨搬送基準位置13aと反対側の側面に対応する位置に配設された第1の反射型磁気センサ12−1、及び、前記硬貨11の硬貨搬送基準位置13a側の側面に対応する位置に配設された第2の反射型磁気センサ12−2を有する。なお、13cは、硬貨11の硬貨搬送基準位置13a側の側端が通過する実際の通過位置を示し、Xは実際の通過位置13cと硬貨搬送基準位置13aとの距離、すなわち、硬貨11の硬貨搬送基準位置13aからのずれ量を示している。
【0039】
そして、前記第1の反射型磁気センサ12−1は、前記第1の実施の形態における反射型磁気センサ12と同様に、硬貨11の側面までの距離に基づいて該側面の位置を検出する。また、前記第2の反射型磁気センサ12−2は、硬貨11の硬貨搬送基準位置13aからのずれ量Xを検出する。なお、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2は、前記第1の実施の形態における反射型磁気センサ12と同様の構成を備え、同様の動作を行うものである。また、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2を統合的に説明する場合には、反射型磁気センサ12として説明する。
【0040】
次に、本実施の形態における制御ユニット20の構成について詳細に説明する。
【0041】
図7は本発明の第2の実施の形態における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0042】
本実施の形態において、正弦波発振回路21は、発振信号としての正弦波信号を生成して第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2に送信する。これにより、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2の駆動制御が行われる。また、増幅回路22は、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2の出力データを受信して増幅する。さらに、メモリ27には、硬貨11の硬貨搬送基準位置13aからのずれ量Xが0であるとき、すなわち、硬貨11の一側端が硬貨搬送基準位置13aに沿っているときの第2の反射型磁気センサ12−2の出力データに対応するA/Dコンバータ回路25の出力データがあらかじめ格納されている。なお、制御ユニット20のその他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0043】
次に、本実施の形態における硬貨認識装置10の動作について説明する。
【0044】
図8は本発明の第2の実施の形態における硬貨搬送基準位置からのずれ量を検出する動作の概念を示す図、図9は本発明の第2の実施の形態における硬貨の外径を算出する動作の概念を示す図、図10は本発明の第2の実施の形態における硬貨認識装置の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、入金が開始され、自動取引装置又は硬貨入出金機に硬貨11が投入されると、該硬貨11は、自動取引装置又は硬貨入出金機が備える図示されない硬貨搬送路に沿って配設されたベルトコンベヤ等の搬送装置によって搬送され、硬貨認識装置10に到達する。すると、該硬貨認識装置10の認識処理が開始され、正弦波発振回路21が生成した正弦波信号が第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2に入力される。これにより、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2は励磁される。なお、前記硬貨11は、搬送ベルトによって両面から挟み込まれた状態で、一側端が硬貨搬送基準位置13aからずれ量Xだけずれた実際の通過位置13cに沿って搬送されるものとする。
【0046】
ここで、励磁された第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2は磁束を発生する。そして、第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2が発生した磁束は検出対象の硬貨11によって反射され、反射された磁束は、各々、第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2によって受信される。すなわち、該第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2は、硬貨11からの磁束の反射を検出する。そして、検出した結果に基づいて出力データを制御ユニット20に送信する。
【0047】
続いて、増幅回路22は、前記第1の反射型磁気センサ12−1及び第2の反射型磁気センサ12−2の出力データを受信して増幅する。すなわち、センサ出力を増幅する。そして、増幅回路22によって増幅されたセンサ出力は、絶対値回路23によって直流信号に変換される。すなわち、絶対値回路23は出力をDC成分に変換する。続いて、フィルタ回路24は、DC成分に変換されたセンサ出力からノイズを除去する。そして、A/Dコンバータ回路25はセンサ出力をデジタルデータに変換し、CPU26は、デジタルデータに変換されたセンサ出力の波形、すなわち、得られたセンサ波形から最大値M及びずれ量Xを検出し、外径値m=M−Xを計算する。
【0048】
ここで、図8には、第2の反射型磁気センサ12−2の出力データに対応するA/Dコンバータ回路25の出力データが示されている。なお、図8において、曲線Cは、メモリ27に格納されている硬貨11の一側端が硬貨搬送基準位置13aに沿っているときの出力データを示し、曲線Dは、硬貨11の一側端が硬貨搬送基準位置13aからずれて実際の通過位置13cに沿っているときの出力データを示している。そして、CPU26は、第2の反射型磁気センサ12−2のセンサ波形である曲線Dの最大値と、メモリ27に格納されている曲線Cの最大値との差を計算して、硬貨11の硬貨搬送基準位置13aからのずれ量Xを算出することができる。
【0049】
また、図9には、第1の反射型磁気センサ12−1の出力データに対応するA/Dコンバータ回路25の出力データが、曲線Eとして示されている。そして、CPU26は、第1の反射型磁気センサ12−1のセンサ波形である曲線Eの最大値Mを求め、該最大値Mからずれ量Xを除算することによって、実際の通過位置13cに沿っている硬貨11の外径値mを得ることができる。
【0050】
続いて、CPU26は、得られた硬貨11の外径値mとメモリ27のリファレンスとを比較し、金種を判別する。
【0051】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 入金を開始する。
ステップS12 第1及び第2の反射型磁気センサ12−1、12−2を励磁する。
ステップS13 硬貨11からの磁束の反射を検出する。
ステップS14 増幅回路22はセンサ出力を増幅する。
ステップS15 絶対値回路23は出力をDC成分に変換する。
ステップS16 フィルタ回路24はノイズを除去する。
ステップS17 A/Dコンバータ回路25はセンサ出力をデジタルデータに変換する。
ステップS18 CPU26は得られたセンサ波形の最大値M及びずれ量Xを検出し、外径値m=M−Xを計算する。
ステップS19 CPU26は得られた外径値mとメモリのリファレンスとを比較し、金種を判別し、処理を終了する。
【0052】
このように、本実施の形態においては、硬貨搬送路13を挟んで第1の反射型磁気センサ12−1と反対側に配設された第2の反射型磁気センサ12−2によって硬貨11の硬貨搬送基準位置13aからのずれ量を検出し、該ずれ量によって第1の反射型磁気センサ12−1によって得られた硬貨11の側面の位置を補正することにより、硬貨11が硬貨搬送基準位置13aからずれて搬送された場合であっても、硬貨11の外径を正確に検出することができる。
【0053】
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、正常な硬貨11が搬送された場合についてのみ説明したが、反射型磁気センサ12の出力波形をトレースすることによって硬貨11の側面の形状を検出することができるのであるから、側面が変形した硬貨11を検出してこれをリジェクトし、硬貨搬送路13から排除することもできる。
【0054】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態における硬貨認識装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における反射型磁気センサ出力波形を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における制御ユニットの動作の概念を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における硬貨認識装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態における硬貨認識装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における硬貨搬送基準位置からのずれ量を検出する動作の概念を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における硬貨の外径を算出する動作の概念を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における硬貨認識装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10 硬貨認識装置
11 硬貨
12 反射型磁気センサ
12−1 第1の反射型磁気センサ
12−2 第2の反射型磁気センサ
20 制御ユニット
27 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、
(b)搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサと、
(c)該反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、
(d)検出された外径に基づいて硬貨の金種を判別することを特徴とする硬貨認識装置。
【請求項2】
(a)前記反射型磁気センサは、該反射型磁気センサの検出面から搬送される硬貨の側面までの距離に応じた大きさの出力データを出力し、
(b)前記検出回路は、前記反射型磁気センサが出力した出力データの最大値に基づいて前記硬貨の外径を検出する請求項1に記載の硬貨認識装置。
【請求項3】
前記検出回路は、検出した硬貨の外径を、記憶手段にあらかじめ格納された金種毎の外径の値と比較して、前記硬貨の金種を判別する請求項1に記載の硬貨認識装置。
【請求項4】
(a)搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、
(b)搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された反射型磁気センサと、
(c)該反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、
(d)検出された外径に基づいて、側面が変形したリジェクトすべき硬貨を判別することを特徴とする硬貨認識装置。
【請求項5】
自動取引装置又は硬貨入出金機に取り付けられて使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬貨認識装置。
【請求項6】
(a)搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、
(b)搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された第1の反射型磁気センサと、
(c)前記硬貨の搬送路を挟んで前記第1の反射型磁気センサの反対側に配設された第2の反射型磁気センサと、
(d)該第2の反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の搬送基準位置からずれ量を検出し、該ずれ量によって前記第1の反射型磁気センサの出力に基づいて得られる前記硬貨の側面の位置を補正することにより、前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、
(e)検出された外径に基づいて硬貨の金種を判別することを特徴とする硬貨認識装置。
【請求項7】
(a)搬送ベルトによって搬送される硬貨の外径を検出する硬貨認識装置であって、
(b)搬送される硬貨の側面に対応する位置に配設された第1の反射型磁気センサと、
(c)前記硬貨の搬送路を挟んで前記第1の反射型磁気センサの反対側に配設された第2の反射型磁気センサと、
(d)該第2の反射型磁気センサの出力に基づいて前記硬貨の搬送基準位置からずれ量を検出し、該ずれ量によって前記第1の反射型磁気センサの出力に基づいて得られる前記硬貨の側面の位置を補正することにより、前記硬貨の外径を検出する検出回路とを有し、
(e)検出された外径に基づいて、側面が変形したリジェクトすべき硬貨を判別することを特徴とする硬貨認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−3666(P2008−3666A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169793(P2006−169793)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】