説明

硬貨識別装置および硬貨識別方法

【課題】硬貨の識別を高速・高精度で行える硬貨識別装置および方法を提供する。
【解決手段】硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段5と、撮像手段5で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段6と、前記エッジ画像から2値化画像を生成する2値化画像生成手段7と、前記2値化画像を面積の等しいN個の領域に分割する扇形領域分割手段8・円環領域分割手段9と、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Pを算出して、画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段10とを備えて、前記画素値ベクトルPを当該硬貨の特徴量とする特徴量算出手段2と、特徴量算出手段2で算出した基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段3と、識別対象硬貨の特徴量と基準硬貨の特徴量の間の距離を算出して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨および硬貨に類似するメダル類の表面の模様を検出して識別を行う硬貨識別装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人で硬貨を受け入れて取り扱う装置、例えば、自動販売機、預金自動預払機などは硬貨識別装置を備えて、顧客によって投入された硬貨の種類の識別および真偽の判別を行っている。従来の硬貨識別装置は、硬貨の寸法、質量、材質等に基づいて識別を行うのが一般的であったが、このような硬貨識別装置は、外形寸法、材質が近似した外国硬貨の不正使用や、外形寸法等だけを正規の硬貨に似せた偽造硬貨の使用を排除することが難しかった。そこで、真正硬貨の表面の模様を撮像して取得したデータと、識別対象の表面の模様を撮像して取得したデータを比較して、識別対象の硬貨の種類の真贋を判別する装置が各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、硬貨画像のパターンを円周上に一定の抽出角度毎に360°分抽出したサンプリングデータと標準画像データとの類似度に基づいて硬貨の真偽を判定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、硬貨の表面から反射された光から生成したパターンデータを基準パターンデータと比較することにより、硬貨を判別する硬貨判別装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、硬貨等を識別の対象とする模様識別装置であって、識別対象の画像を複数の領域に分割し、基準画像との各領域毎の一致度合いに基づいて識別を行う模様識別装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、判定対象の硬貨のデジタル画像から、硬貨の外周部と同心円状のリングパターンを抽出して、前記リングパターンの数を基準データと比較して硬貨の真偽を判定する硬貨認識装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、硬貨の画像データを複数の円環領域に区分して、前記円環領域毎に特徴量の存在する比率を並べた円環パターンを作成して、前記円環パターンと基準パターンを比較して金種を判断する硬貨識別装置が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−233851号公報
【特許文献2】特許第3525360号
【特許文献3】特開2004−157727号公報
【特許文献4】特許第3359986号
【特許文献5】特許第3107239号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
言うまでもなく、一般に硬貨の平面形は円形なので、硬貨識別装置で識別対象の硬貨の画像を撮像する際に、硬貨の平面に刻まれた図柄が前記画像において正立するように位置決めすることは困難である。したがって、多くの場合、前記画像における図柄は正立位置に対して硬貨の中心周りに未知の角度θだけ回転している。以下、本明細書ではこの角度θを回転オフセットと呼ぶことにする。
【0010】
識別対象の硬貨の画像の回転オフセットと、識別の基準となる真正硬貨の画像の回転オフセットは異なっているから、両者の画像の比較を行う際には、両者の回転オフセットを等しくする操作が必要であり、特許文献1〜3に記載の発明では、識別対象の硬貨の画像を硬貨の中心回りに回転させて、識別対象の硬貨の画像と真正硬貨の画像の一致率が最大になる角度を捜して、その角度における一致率を基準に硬貨の識別を行っていた。
【0011】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の発明は、識別対象の硬貨の画像を微少角度ずつ回転させて、その度に画像の一致率を算出する操作を繰り返すので、処理に時間を要し、大量の硬貨を短時間で識別する高速処理には向かないという問題があった。
【0012】
また、特許文献4に記載の発明は、硬貨の外周部と同心円状に配置された図柄を基準に硬貨を識別するので、回転オフセットを調整する必要はないが、硬貨の外周部と同心円状に配置された図柄を持たない硬貨の識別には適用できないという問題があった。また、硬貨の外周部と同心円状に配置された図柄についてのみ模倣した簡易な偽造硬貨を真正硬貨と誤認するという問題もあった。
【0013】
また、特許文献5に記載の発明は、硬貨の画像データを複数の円環領域に区分して、前記円環領域毎に特徴量の存在する比率を求めて、前記円環領域毎の前記比率に基づいて硬貨を識別するので、回転オフセットを調整する必要はないが、各円環領域の面積については考慮されていない。そのため、特許文献5の実施例にあるように、硬貨の半径を等分して複数円環領域に区分すると、内側の円環領域に比べて外側の円環領域の面積は大きくなる。面積の異なる円環領域に存在する特徴量の比率を重み付けせずに取り扱っているから、結果として内側の円環領域に存在する特徴量の比率に重みを付けて取り扱うことになるので、内側の円環領域に存在する特徴量の比率に引きずられた識別がなされるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、硬貨の識別を高速かつ、高精度で行える硬貨識別装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の硬貨認識装置の第1の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、前記2値化画像を面積の等しいN個(Nは2以上の自然数、以下同じ。)の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割手段、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段を備え、前記画素値ベクトルPを当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、基準硬貨及び識別対象硬貨のそれぞれについて、硬貨の表面の模様を撮像した画像から、エッジ画像を生成して、前記エッジ画像から更に2値化画像を生成して、前記2値化画像を面積の等しい複数の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割して、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出し、前記基準硬貨及び前記識別対象硬貨の画素値ベクトルの間の距離に基づいて、両者の同一性を判定する。硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域の特徴量は回転オフセットの影響を受けないので、回転オフセットの調整なしに識別対称硬貨と基準硬貨の特徴量を比較して両者の同一性を判定できる。このため、識別に要する時間が短時間で済むという効果が生じる。
【0017】
なお、硬貨の平面形は一般に円形なので、「硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域」の代表例は、「硬貨の輪郭と同心円をなす円周で区切られた、円板または円環状の領域」になるが、ここでいう「硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域」とは、円および円環状の領域に加えて、「中心点を共有する単数または複数の正多角形で区切られた領域」を含む広い概念である。
【0018】
例えば、平面形が正八角形をなす特殊な形状の硬貨に対して、その硬貨の画像を中心点を共有する複数の正八角形で区切って、正八角形および正八角形の内部を正八角形に切り抜いた環状の図形に分割する場合も、「硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域」に分割することに含まれる。
【0019】
本発明の硬貨認識装置の第2の構成は、前記第1の構成において、前記領域分割手段は、前記2値化画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割手段であることを特徴とする。
【0020】
本発明の硬貨認識装置の第3の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、前記2値化画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個(Nは2以上の自然数、以下同じ。)の領域に分割する領域分割手段、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、及び、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段を備え、前記係数ベクトルP’を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、硬貨の表面の模様の2値化画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割した領域について得られた画素値ベクトルPを離散フーリエ変換することによって、画素値ベクトルPに含まれていた回転オフセットの影響を取り除くことができるので、識別に要する時間が短時間で済むという効果が生じる。
【0022】
なお、「硬貨の中心を軸に回転対称に分割した領域」の代表例は「硬貨の中心を頂点とする扇形の領域」であるが、「硬貨の中心を頂点とする扇形の領域から前記硬貨の中心を頂点とする小扇形の領域を除いた領域」あるいは「硬貨の中心を共通の中心とする大小の同心円で区切られた円環状の領域を、更に前記同心円の半径で区切った領域」であってもよい。例えば、特殊なメダル等であって、中心部の円板に任意の意匠が施され、周囲の円環部に共通の意匠を施されているようなものを、その共通の意匠について識別するような場合は、中心部の意匠にマスクを掛ける必要があるので、上記のような領域を設定する意味がある。
【0023】
本発明の硬貨認識装置の第4の構成は、前記第3の構成において、前記領域分割手段は、前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割手段であることを特徴とする。
【0024】
本発明の硬貨認識装置の第5の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段、前記2値化画像を面積の等しいM個(Mは2以上の自然数、以下同じ。)の円環領域に分割する円環領域分割手段、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出手段を備える特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQを記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQと前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQから、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトル{(P’1,‥‥P’),(Q1,‥‥Q)}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトルの間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、硬貨の表面の模様の2値化画像を扇形領域に分割して得られた係数ベクトルP’と、円環領域に分割して得られた画素値ベクトルQを組み合わせた特徴ベクトルに基づいて硬貨の識別を行うので、識別精度が向上する。
【0026】
本発明の硬貨認識装置の第6の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段、前記2値化画像を面積の等しいM個(Mは2以上の自然数、以下同じ。)の円環領域に分割する円環領域分割手段、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出手段を備える特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQを記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数ベクトルP’と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数ベクトルP’の間の距離Dpと、前記特徴量算出手段が算出する前記識別対象硬貨の画素値ベクトルQと前記基準データ記憶手段から読み出した前記基準硬貨の画素値ベクトルQの間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えること
を特徴とする。
【0027】
本発明の硬貨認識装置の第7の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割手段、及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ。)の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段を備え、前記画素値行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、硬貨の表面のエッジ画像を、複数の領域に分割して、それぞれの領域について得られた複数離散画素値ヒストグラムを行方向または列方向に配列して画素値行列{Pij}を算出して、前記画素値行列に基づいて、硬貨の識別を行う。そのため識別の基準となる情報が多くなり、精度の高い識別が可能になる。
【0029】
本発明の硬貨認識装置の第8の構成は、前記第7の構成において、前記領域分割手段は、前記エッジ画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割手段であることを特徴とする。
【0030】
本発明の硬貨認識装置の第9の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割手段、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ。)の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、及び、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段を備え、前記係数行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られる係数行列{P’ij}を当該硬貨の特徴量として、硬貨の識別を行うので、特徴量から回転オフセットの影響が除かれる。そのため、識別対象の硬貨の画像を回転して、表面の模様を正立させる処理が不要になり、識別速度が向上する。
【0032】
本発明の硬貨認識装置の第10の構成は、前記第9の構成において、前記領域分割手段は、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割手段であることを特徴とする。
【0033】
本発明の硬貨認識装置の第11の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ)の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段、前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割手段、及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出手段を備える特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}及び前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}から、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴行列{{P’ij},{Qij}}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴行列の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、硬貨の表面の模様のエッジ画像を扇形領域に分割して得られた係数行列{P’ij}と、円環領域に分割して得られた画素値行列{Qij}を組み合わせた特徴行列に基づいて硬貨の識別を行うので、識別精度が更に向上する。
【0035】
本発明の硬貨認識装置の第12の構成は、硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ)の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段、前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割手段、及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出手段を備える特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}を記憶する基準データ記憶手段と、前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数行列{P’ij}の間の距離Dpと、前記特徴量算出手段が算出する前記識別対象硬貨の画素値行列{Qij}と前記基準データ記憶手段から読み出した前記基準硬貨の画素値行列{Qij}の間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明の硬貨認識装置の第13の構成は、前記第3乃至第6および第9乃至第12の構成において、前記離散フーリエ変換手段における離散フーリエ変換は離散コサイン変換であることを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、離散フーリエ変換を離散コサイン変換とするので、高速処理が可能となり、識別速度が向上する。
【0038】
本発明の硬貨認識装置の第14の構成は、前記第1乃至第13の構成において、前記同一性判定手段における距離は類似度であることを特徴とする。
【0039】
本発明の硬貨認識方法の第1の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、前記2値化画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割ステップ、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップを有し、画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする。
【0040】
本発明の硬貨認識方法の第2の構成は、前記第1の構成において、前記領域分割ステップは、前記2値化画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割ステップであることを特徴とする。
【0041】
本発明の硬貨認識方法の第3の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、前記2値化画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割ステップ、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、及び、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップを有し、前記係数ベクトルP’を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有することを特徴とする。
【0042】
本発明の硬貨認識方法の第4の構成は、前記第3の構成において、前記領域分割ステップは、前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割ステップであることを特徴とする。
【0043】
本発明の硬貨認識方法の第5の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップ、前記2値化画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出ステップを有する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQと、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQから、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトル{(P’1,‥‥P’),(Q1,‥‥Q)}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトルの間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段ステップとを有することを特徴とする。
【0044】
本発明の硬貨認識方法の第6の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップ、前記2値化画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出ステップを有する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数ベクトルP’と識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数ベクトルP’の間の距離Dpと、前記基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の画素値ベクトルQと前記識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の画素値ベクトルQの間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段ステップとを有することを特徴とする。
【0045】
本発明の硬貨認識方法の第7の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割ステップ、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップを有し、前記画素値行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする。
【0046】
本発明の硬貨認識方法の第8の構成は、前記第7の構成において、前記領域分割ステップは、前記エッジ画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割ステップであることを特徴とする。
【0047】
本発明の硬貨認識方法の第9の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割ステップ、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、及び、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップを有し、前記係数行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有することを特徴とする。
【0048】
本発明の硬貨認識方法の第10の構成は、前記第9の構成において、前記領域分割ステップは、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割ステップであることを特徴とする。
【0049】
本発明の硬貨認識方法の第11の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップ、前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出ステップを有する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}及び識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}から、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の特徴行列{{P’ij},{Qij}}を算出して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の特徴行列の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有することを特徴とする。
【0050】
本発明の硬貨認識方法の第12の構成は、撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップ、前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出ステップを有する特徴量算出ステップと、基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数行列{P’ij}と識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数行列{P’ij}の間の距離Dpと、前記基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の画素値行列{Qij}と前記識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の画素値行列{Qij}の間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を同一性判定ステップとを有することを特徴とする。
【0051】
本発明の硬貨認識方法の第13の構成は、前記第3乃至第6および第9乃至第12の構成において、前記フーリエ変換ステップにおける離散フーリエ変換は離散コサイン変換であることを特徴とする。
【0052】
本発明の硬貨認識方法の第14の構成は、前記第1乃至第13の構成において、前記同一性判定ステップにおける距離は類似度であることを特徴とする。
【0053】
本発明のプログラムは、前記第1乃至第14の何れかに記載の硬貨識別方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0054】
以上説明したように、本発明の硬貨識別装置および方法は、硬貨の回転オフセットの影響を受けないので、硬貨の識別を短時間に行うことができる。また扇形領域分割によって得られた特徴量と円環領域分割によって得られた特徴量を組み合わせて硬貨の同一性を判定するので、硬貨の識別精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0056】
図1は、本発明の実施例1に係る硬貨識別装置の制御ブロック図である。本発明の実施例1に係る硬貨識別装置1は、識別対象の硬貨(以下、対象硬貨と言う。)および識別の基準となる真正硬貨(以下、基準硬貨と言う。)の特徴量を算出する特徴量算出手段2と、特徴量算出手段2で算出した前記基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段3、および基準硬貨の特徴量と前記対象硬貨の特徴量の間の類似度を算出して、両者の同一性を判定する同一性判定手段4から構成されている。
【0057】
なお、同一性判定手段4の判定結果は出力装置12に出力されるが、判定結果の出力先は、ディスプレイ装置や音声出力装置などには限られない。例えば、上位の装置つまり自動販売機、預金自動預払機、自動両替機などに判定結果を送信するインターフェイスなどに出力する場合もある。
【0058】
特徴量算出手段2は、撮像手段5、エッジ画像生成手段6、2値化画像生成手段7、扇形領域分割手段8、円環領域分割手段9、画素値ベクトル算出手段10および離散フーリエ変換手段11を備えている。
【0059】
撮像手段5は、例えばCCDカメラのような、対象硬貨および基準硬貨の表面の画像を光学的手段で取得して、電子的なデジタル信号に変換して出力する装置であり、硬貨の表面の模様の検出に十分な解像度を備えた物が望ましい。
【0060】
エッジ画像生成手段6は、撮像手段5で取得した硬貨の表面の画像からエッジを抽出してエッジ画像を生成するモジュールである。ここで、エッジとは画像の濃淡又は色の変化の境目(輝度や色調が不連続に変化する部分)を指し、エッジ画像生成手段6は硬貨の外縁や硬貨の表面の彫刻の輪郭線などの硬貨の外観上の特徴となる部分の画素を抽出して、エッジ画像を生成する。なお、エッジ抽出のアルゴリズムは本発明の本質部分ではないので詳細な説明は省略するが、ここではCannyの方法を用いた。また、エッジ抽出のアルゴリズムはこの他に、Nalwa-Binfordの方法、Sarkar-Boyerの方法、 Solberの方法など多くのアルゴリズムが提案されているので、これらの公知のアルゴリズムを適宜選択すればよい。
【0061】
2値化画像生成手段7は、前記エッジ画像を構成する画素を所定の閾値と比較して、画素値が前記閾値を超える画素の画素値を「1」に、画素値が前記閾値以下の画素の画素値を「0」に置き代えて、2値化画像を生成するモジュールである。
【0062】
扇形領域分割手段8および円環領域分割手段9は、前記2値化画像を面積の等しいN個(Nは2以上の自然数)の領域(以下、「セクション」と呼ぶ。)に分割するモジュールである。扇形領域分割手段8は、円形の前記2値化画像を硬貨の中心点を頂点とし、中心角の等しい(つまり、同型・同面積)の扇形のセクションに分割し、円環領域分割手段9は前記2値化画像を硬貨の輪郭の円形の中心を中心とする同心円で分割して、面積の等しい円板および円環状のセクションに分割する。
【0063】
図2は扇形領域分割手段8による領域分割の例を示す図であり、円形の2値化画像を中心角の等しい(つまり、同型・同面積)の12個の扇形のセクションS‥‥S12に分割した例である。
【0064】
図3は円環領域分割手段9による領域分割の例を示す図であり、円形の2値化画像を前記円形の中心を中心とする同心円で分割して、面積の等しい円板および円環状のセクションSS‥‥S(セクションSのみが円板、他は円環である。)に分割した例であり、R‥‥RはセクションS‥‥Sの外周をなす円の半径である。なお、半径Rの円板をM個のセクションS‥‥Sに分割した場合の、円板の中心からm番目のセクションSの外周をなす円の半径Rは下記の式(1)で与えられる。
【0065】
【数1】

【0066】
画素値ベクトル算出手段10は、扇形領域分割手段8又は円環領域分割手段9で分割された各セクションS‥‥Sに含まれる画素値が「1」の画素の個数あるいは画素値が「0」の画素の個数p‥‥pを成分とする行ベクトル(pi)を算出して、これを画素値ベクトルとして出力するモジュールである。
【0067】
なお、前記画素の個数p‥‥pを各セクションに含まれる画素の個数p(各セクションの面積は等しいから、pの値は全てのセクションについて等しい)で除して正規化した値を成分とする行ベクトル(p/pC,/p‥‥p/p)を画素値ベクトルにしてもよい。
【0068】
離散フーリエ変換手段11は、画素値ベクトル算出手段10で算出した画素値ベクトル(pi)に対して、離散フーリエ変換を行って得られたフーリエ係数を成分とする行ベクトル(p’i)を算出し、これを当該硬貨の特徴量として、基準データ記憶手段3または同一性判定手段4に出力するモジュールである。
【0069】
本実施例では離散フーリエ変換手段11において離散コサイン変換を行い、コサイン変換係数を成分とする行ベクトルを特徴量として出力した。
【0070】
なお、離散フーリエ変換は、特徴量から回転オフセットの影響を除去するための処理である。セクションS‥‥Sが円環領域分割手段9で分割された円板または円環である場合は、画素値ベクトル(pi)は回転オフセットの影響を受けないから、図1において点線で示すように、離散フーリエ変換手段11での処理を省いて、画素値ベクトル(pi)を当該硬貨の特徴量として、基準データ記憶手段3または同一性判定手段4に出力してもよい。
【0071】
図4は、硬貨識別装置1による特徴量算出方法を示すフローチャートである。以下、図4に付したステップ番号と図1に付した符号を引用して、説明する。
【0072】
(ステップ1)対象硬貨又は基準硬貨を撮像手段5で撮像して、当該硬貨の画像を取得する。
(ステップ2)エッジ画像生成手段6で、前記画像からエッジを抽出してエッジ画像を生成する。
(ステップ3)2値化画像生成手段7で、前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する。
【0073】
(ステップ4)扇形領域分割手段8で前記2値化画像を面積の等しい扇形のセクションに分割する。
(ステップ5)画素値ベクトル算出手段10で、前記扇形のセクションについて、画素値ベクトル(p)を算出する。
(ステップ6)離散フーリエ変換手段11で、前記画素値ベクトル(pi)を離散フーリエ変換して、係数ベクトル(p’i)を算出して、当該硬貨が基準硬貨であれば、前記係数ベクトル(p’i)を基準データ記憶手段3に基準硬貨の特徴量として出力し、当該硬貨が対象硬貨であれば、前記係数ベクトル(p’i)を対象硬貨の特徴量として、同一性判定手段4に出力する。
【0074】
(ステップ7)円環領域分割手段9で、前記2値化画像を面積の等しい円板及び円環状のセクションに分割する。
(ステップ8)画素値ベクトル算出手段10で、前記円板及び円環状のセクションについて、画素値ベクトル(qi)を算出する。当該硬貨が基準硬貨であれば、前記画素値ベクトル(qi)を基準データ記憶手段3に基準硬貨の特徴量として出力し、当該硬貨が対象硬貨であれば、前記画素値ベクトル(qi)を対象硬貨の特徴量として、同一性判定手段4に出力する。
【0075】
なお、前述したように、円板及び円環状のセクションについて算出した画素値ベクトル(qi)は回転オフセットの影響を受けないから、前記画素値ベクトル(qi)に対しては離散フーリエ変換を行わない。
【0076】
以上の手順で算出された基準硬貨および対象硬貨の特徴量に基づいて、基準硬貨と対象硬貨の同一性が、同一性判定手段4によって判定される。図5は、同一性判定手段4による同一性判定の手順を示すフローチャートである。以下、図5に付したステップ番号と図1に付した符号を引用して、説明する。
【0077】
(ステップ9)対象硬貨の係数ベクトル(p’i)および画素値ベクトル(qi)から、対象硬貨の特徴ベクトル(xi)={(p’i),(qi)}を算出する。
(ステップ10)同様に、基準データ記憶手段3に格納していた基準硬貨の係数ベクトルおよび画素値ベクトルから、基準硬貨の特徴ベクトル(yi)を算出する。
(ステップ11)対象硬貨の特徴ベクトル(xi)と基準硬貨の特徴ベクトル(yi)の間の類似度を算出する。
(ステップ12)前記類似度が所定の閾値を超えていれば、ステップ13に進み、そうでなければ、ステップ14に進む。
(ステップ13)基準硬貨と対象硬貨が同一である旨を出力手段12に出力して終了する。
(ステップ14)基準硬貨と対象硬貨が同一でない旨を出力手段12に出力して終了する。
【0078】
なお、特徴ベクトル(xi)と基準硬貨の特徴ベクトル(yi)の間の類似度Sは、下記の式(2)で与えられる。
【0079】
【数2】

【0080】
また、本実施例では、特徴ベクトル(xi)と基準硬貨の特徴ベクトル(yi)の間の類似度Sに基づいて、基準硬貨と対象硬貨が同一性を判定したが、その他の距離、例えば、対象硬貨の特徴ベクトル(xi)と基準硬貨の特徴ベクトル(yi)の間のユークリッド距離、マハラノビス距離等に基づいて判定しても良い。
【0081】
また、上記の同一性判定の手順では、対象硬貨の特徴ベクトル(xi)と基準硬貨の特徴ベクトル(yi)の間の距離を基準に両者の同一性を判定したが、対象硬貨の係数ベクトル(xp’i)と基準硬貨の係数ベクトル(yp’i)の間の距離Dpと、対象硬貨の画素値ベクトル(xqi)と基準硬貨の画素値ベクトル(yqi)の間の距離Dqを算出して、下記の式(3)で求めた距離Dpと距離Dqの重み付き和Dgを所定の閾値と比較して、対象硬貨と基準硬貨の同一性を判定してもよい。なお、重みWp、Wqは実験的に最適値を決定すればよい。
【0082】
【数3】

【実施例2】
【0083】
図6は、本発明の実施例2に係る硬貨識別装置の制御ブロック図である。本発明の実施例2に係る硬貨識別装置21は、特徴量算出手段22、基準データ記憶手段3、および、同一性判定手段4から構成されている点で、実施例1で示した硬貨識別装置1と共通するが、特徴量算出手段22において、2値化画像の生成を行わない点が実施例1の硬貨識別装置1とは異なる。以下、硬貨識別装置1と異なる点を中心に説明し、共通する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
特徴量算出手段22は、撮像手段5、エッジ画像生成手段6、扇形領域分割手段8、円環領域分割手段9、画素値行列算出手段23および離散フーリエ変換手段11を備えている。
【0085】
画素値行列算出手段23は、扇形領域分割手段8又は円環領域分割手段9で分割されたセクションS(n=1‥‥N)に含まれる画素の画素値をK個の量子化された値で近似して、前記K個の量子化した画素値に対応する画素の個数を計数して画素値ヒストグラム(p1n,p2n,‥‥pKn)を求め、全て(N個)のセクションの画素値ヒストグラム(p1n,p2n,‥‥pKn)を列方向に配列して、画素値行列{pij}を算出するモジュールである。
【0086】
なお、ここではN個の画素値ヒストグラム(p1n,p2n,‥‥pKn)を列方向に配列して、N行K列の行列を構成したものを、画素値行列{pij}としたが、N個の画素値ヒストグラム(p1n,p2n,‥‥pKn)を行方向に配列して、K行N列の行列を構成したものを、画素値行列{pij}としてもよい。
【0087】
また、画素値行列{pij}を各セクションに含まれる画素の個数p(各セクションの面積は等しいから、pの値は全てのセクションについて等しい。)で除して正規化しても良い。
【0088】
離散フーリエ変換手段11は、画素値行列算出手段23で算出した画素値行列{pij}に対して、2次元の離散フーリエ変換を行って得られたフーリエ係数を成分とする行列{p’ij}を算出し、これを当該硬貨の特徴量として、基準データ記憶手段3または同一性判定手段4に出力する。
【0089】
本実施例では離散フーリエ変換手段11において2次元の離散コサイン変換を行い、コサイン変換係数を要素とする行列を特徴量として出力した。
【0090】
なお、離散フーリエ変換は、特徴量から回転オフセットの影響を除去するための処理である。セクションS‥‥Sが円環領域分割手段9で分割された円板または円環である場合は、画素値行列{pij}は回転オフセットの影響を受けないから、図6において点線で示すように、離散フーリエ変換手段11での処理を省いて、画素値行列{pij}を当該硬貨の特徴量として対して、基準データ記憶手段3または同一性判定手段4に出力してもよい。
【0091】
硬貨識別装置21による特徴量算出方法及び同一性判定方法は、特徴量が行列であること以外は、実施例1で説明した硬貨識別装置1による方法と同一なので、説明を省略する。
【0092】
なお、基準硬貨の特徴量の算出を、複数の使用済みの真正硬貨について実施して、得られた値の平均を特徴量としても良い。現に流通している(使用済み)硬貨は摩耗・変色等によって特徴量が変化しているからである。
【0093】
また、実施例1および実施例2では、扇形領域分割によって得られた特徴量と円環領域分割によって得られた特徴量を組み合わせて硬貨の同一性を判定する例を示したが、扇形領域分割によって得られた特徴量のみに基づいて同一性を判定してもよいし、円環領域分割によって得られた特徴量のみに基づいて同一性を判定してもよい。また、扇形あるいは円環以外の形状の領域に分割してもよい。
【0094】
また、硬貨識別装置1および硬貨識別装置21は、各モジュールについて専用のハードウェアを製作して実現できるが、各モジュールの機能をプログラムに記述して、コンピュータに搭載して実現することも可能である。
【0095】
また、本発明の硬貨識別装置および硬貨識別方法による識別対象は狭義の硬貨、つまり金属製の補助貨幣に限られない。硬貨に類似する物、例えばメダル類、遊技場で用いられるコイン状のチップ等の識別にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例1に係る硬貨識別装置の制御ブロック図である。
【図2】扇形領域分割の例を示す図である。
【図3】円環領域分割の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る特徴量算出方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係る同一性判定方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る硬貨識別装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0097】
1 硬貨識別装置
2 特徴量算出手段
3 基準データ記憶手段
4 同一性判定手段
5 撮像手段
6 エッジ画像生成手段
7 2値化画像生成手段
8 扇形領域分割手段
9 円環領域分割手段
10 画素値ベクトル算出手段
11 離散フーリエ変換手段
12 出力装置
21 硬貨識別装置
22 特徴量算出手段
23 画素値行列算出手段
〜S12 セクション
〜R 円環分割されたセクションS〜Sの外周の半径




【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、
前記2値化画像を面積の等しいN個(Nは2以上の自然数、以下同じ。)の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割手段、
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段
を備え、前記画素値ベクトルPを当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項2】
前記領域分割手段は、
前記2値化画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割手段であること
を特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、
前記2値化画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個(Nは2以上の自然数、以下同じ。)の領域に分割する領域分割手段、
前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、
及び、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段
を備え、前記係数ベクトルP’を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項4】
前記領域分割手段は、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割手段であること
を特徴とする請求項3に記載の硬貨識別装置。
【請求項5】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、
前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、
前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段、
前記2値化画像を面積の等しいM個(Mは2以上の自然数、以下同じ。)の円環領域に分割する円環領域分割手段、
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出手段
を備える特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQを記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQと前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQから、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトル{(P’1,‥‥P’),(Q1,‥‥Q)}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトルの間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項6】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成手段、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、
前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出手段、
前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換手段、
前記2値化画像を面積の等しいM個(Mは2以上の自然数、以下同じ。)の円環領域に分割する円環領域分割手段、
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出手段
を備える特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQを記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数ベクトルP’と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数ベクトルP’の間の距離Dpと、前記特徴量算出手段が算出する前記識別対象硬貨の画素値ベクトルQと前記基準データ記憶手段から読み出した前記基準硬貨の画素値ベクトルQの間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項7】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割手段、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ。)の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段
を備え、前記画素値行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項8】
前記領域分割手段は、
前記エッジ画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割手段であること
を特徴とする請求項7に記載の硬貨識別装置。
【請求項9】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割手段、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ。)の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、
及び、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段
を備え、前記係数行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の特徴量を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の特徴量と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の特徴量の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項10】
前記領域分割手段は、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割手段であること
を特徴とする請求項9に記載の硬貨識別装置。
【請求項11】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ)の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、
前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段、
前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割手段、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出手段
を備える特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}及び前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}から、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴行列{{P’ij},{Qij}}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴行列の間の距離を算出して、その距離を閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段とを備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項12】
硬貨の表面の模様を撮像する撮像手段、
前記撮像手段で撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割手段、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個(Kは2以上の自然数、以下同じ)の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出手段、
前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換手段、
前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割手段、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出手段
を備える特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出する基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}を記憶する基準データ記憶手段と、
前記特徴量算出手段が算出する識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と前記基準データ記憶手段から読み出した基準硬貨の係数行列{P’ij}の間の距離Dpと、前記特徴量算出手段が算出する前記識別対象硬貨の画素値行列{Qij}と前記基準データ記憶手段から読み出した前記基準硬貨の画素値行列{Qij}の間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を備えること
を特徴とする硬貨識別装置。
【請求項13】
前記離散フーリエ変換手段における離散フーリエ変換は離散コサイン変換であることを特徴とする請求項3乃至6および請求項9乃至12の何れかに記載の硬貨識別装置。
【請求項14】
前記同一性判定手段における距離は類似度であることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の硬貨識別装置。
【請求項15】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、
前記2値化画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割ステップ、
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ
を有し、画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項16】
前記領域分割ステップは、
前記2値化画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割ステップであること
を特徴とする請求項15に記載の硬貨識別方法。
【請求項17】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、
前記2値化画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割ステップ、
前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、
及び、前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップ
を有し、前記係数ベクトルP’を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項18】
前記領域分割ステップは、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割ステップであること
を特徴とする請求項17に記載の硬貨識別方法。
【請求項19】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、
前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、
前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップ、
前記2値化画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出ステップ
を有する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQと、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数ベクトルP’と画素値ベクトルQから、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトル{(P’1,‥‥P’),(Q1,‥‥Q)}を算出して、前記識別対象硬貨と前記基準硬貨の特徴ベクトルの間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項20】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を2値化して、2値化画像を生成する2値化画像生成ステップ、
前記2値化画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、
前記各扇形領域に含まれる「1」または「0」の画素数P(n=1,2‥‥N)を算出して、前記画素数Pを成分とする画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を算出する画素値ベクトル算出ステップ、
前記画素値ベクトルP=(P1,‥‥P)を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’1,‥‥P’を成分とする係数ベクトルP’=(P’1,‥‥P’)を算出する離散フーリエ変換ステップ、
前記2値化画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ
及び、前記各領域に含まれる「1」または「0」の画素数Q(n=1,2‥‥M)を算出して、前記画素数Qを成分とする画素値ベクトルQ=(Q1,‥‥Q)を算出する画素値ベクトル算出ステップ
を有する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数ベクトルP’と識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数ベクトルP’の間の距離Dpと、前記基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の画素値ベクトルQと前記識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の画素値ベクトルQの間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項21】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を面積の等しいN個の領域であって、硬貨の中心を回転対称軸とする回転対称図形をなす領域に分割する領域分割ステップ、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ
を有し、前記画素値行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項22】
前記領域分割ステップは、
前記エッジ画像を硬貨の中心を中心とする円及び円環状の領域に分割する円環領域分割ステップであること
を特徴とする請求項21に記載の硬貨識別方法。
【請求項23】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を硬貨の中心を軸に回転対称に分割して、面積の等しいN個の領域に分割する領域分割ステップ、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各領域において前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、
及び、前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップ
を有し、前記係数行列を当該硬貨の特徴量として算出する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の特徴量と、識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の特徴量の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項24】
前記領域分割ステップは、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする扇形の領域に分割する扇形領域分割ステップであること
を特徴とする請求項23に記載の硬貨識別方法。
【請求項25】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、
前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップ、
前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出ステップ
を有する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}及び識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数行列{P’ij}と画素値行列{Qij}から、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の特徴行列{{P’ij},{Qij}}を算出して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の特徴行列の間の距離を算出して、その距離を閾値判定して、前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項26】
撮像手段で硬貨の表面の模様を撮像する撮像ステップ、
前記撮像ステップで撮像した硬貨の表面の模様のエッジを抽出してエッジ画像を生成するエッジ画像生成ステップ、
前記エッジ画像を硬貨の中心を頂点とする面積の等しいN個の扇形領域に分割する扇形領域分割ステップ、
前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各扇形領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたN個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Pij}を算出する画素値行列算出ステップ、
前記画素値行列{Pij}を離散フーリエ変換して得られるフーリエ係数P’ijを要素とする係数行列{P’ij}を算出する離散フーリエ変換ステップ、
前記エッジ画像を面積の等しいM個の円環領域に分割する円環領域分割ステップ、
及び、前記エッジ画像に含まれる画素の画素値をK個の量子化された画素値で近似して、前記各円環領域において、前記K個の量子化された画素値に対応する画素の個数を計数して得られたM個の離散画素値ヒストグラムを行方向又は列方向に配列して、画素値行列{Qij}を算出する画素値行列算出ステップ
を有する特徴量算出ステップと、
基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の係数行列{P’ij}と識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の係数行列{P’ij}の間の距離Dpと、前記基準硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記基準硬貨の画素値行列{Qij}と前記識別対象硬貨について前記特徴量算出ステップを実行して得られた前記識別対象硬貨の画素値行列{Qij}の間の距離Dqをそれぞれ算出して、前記距離Dpと前記距離Dqの重み付き和Dg=Wp・Dp+Wq・Dqを算出して、前記重み付き和Dgを閾値判定することにより前記基準硬貨と前記識別対象硬貨の同一性を判定する同一性判定手段を同一性判定ステップとを有すること
を特徴とする硬貨識別方法。
【請求項27】
前記フーリエ変換ステップにおける離散フーリエ変換は離散コサイン変換であることを特徴とする請求項17乃至20および請求項23乃至26の何れかに記載の硬貨識別方法。
【請求項28】
前記同一性判定ステップにおける距離は類似度であることを特徴とする請求項15乃至27の何れかに記載の硬貨識別方法。
【請求項29】
請求項15乃至28の何れかに記載の硬貨識別方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−164192(P2006−164192A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358839(P2004−358839)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(501358507)株式会社シスウェーブ (17)
【Fターム(参考)】