説明

磁化されたツールを備えたフードプロセッサ

【課題】ボウルを傾けてもナイフが落ちないようにしつつ、取り外し可能なナイフを備えたボウルを提案することで、従来技術の食品処理プロセッサが有する問題を解決する。
【解決手段】機械式食品処理プロセッサ(10)が、ボウル(12)がその上にくる駆動ブロック(11)を有し、駆動ブロックはモータ(13)を有し、該モータは実質的に垂直な軸(19)をもつ駆動手段(14)に接続され、ボウルの底(15)は前記駆動手段の通過を可能にする穴(16)を有し、プロセッサはさらに食品処理ツール(20)を有し、該食品処理ツールは、駆動手段の上に取り付けられるための取り付け手段を備え、前記プロセッサが食品処理ツールとボウルとの間に引力を働かせる磁化装置(27、28)を備えることにより、処理ツールの不都合な落下を回避しながらボウルを傾けることを可能としつつ、前記ツールをボウルと駆動手段とから簡単に分解可能なものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式フードプロセッサに関するものである。
【0002】
より正確には、本発明は、ブレンダーや「カッター」などのフードプロセッサに関している。
【背景技術】
【0003】
このタイプのプロセッサは先行技術において既知である。このタイプのプロセッサは典型的に、ボウルがその上にくる駆動ブロックを有する。駆動ブロックは、垂直あるいはほぼ垂直な軸の周りで自転可動式の、駆動シャフトを有する。前記シャフトは、ボウルの中に、前記ボウルの底の穴を通り抜けて配置される。処理ツールは、通常切刃を有し、駆動シャフトの上に取り付けられる。切刃はこうして、ボウルの中に置かれた食品、例えば果物や野菜などの切断、混合、あるいはエマルジョン(emulsion)を保証することができる。そのようなフードプロセッサは、例えば仏国実用新案証特許発明第2641458号明細書の中で説明されている。
【0004】
ボウルは、通例、駆動ブロックから取り外し可能である。つまり、切断や混合の作業の後、前記ボウルは、その中身を別の容器に移すために、上げられることができる。このために、仏国実用新案証特許発明第2641458号明細書の中で示されるように、ボウルは取っ手を備えることができる。
【0005】
プロセッサの製造工程および組立工程を単純化するために、ナイフのような処理ツールが単に駆動シャフトの上に取り付けられてそこで重力により保持されるべきことが通例である。ボウルが台座から上げられるとき、ナイフは、前記シャフトの軸に沿った動きによって、駆動シャフトから簡単に分離されることができる。ナイフはそのとき、混ぜ合わされた調理品を注ぐときに落ちないように、ボウルから手で取り外されることができる。
【0006】
しかしながら、ある特定の状況では、ナイフは、混ぜ合わされた調理品から取り外すことが困難であることを示すことがある。それは例えば、前記調理品が利用者にとって高温で、利用者が手をその中に差し込むと火傷しそうな場合である。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0180645号明細書は、駆動シャフトの上にパチンと留められることができるナイフに関している。こうして、そのようなナイフは、プロセッサを傾けるときに落ちそうにならない。しかしながら、このナイフは、比較的複雑な留め手段を備える。
【0008】
「ブレンダー(blenders)」などの、とりわけ熱いスープの調理に適合したプロセッサもまた先行技術において既知である。これらのプロセッサでは、ナイフは、ボウルの底にしっかりと固定される。しかしながら、このタイプのナイフは一般に、取り外し可能なナイフに比べて壊れやすくまた掃除がしにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記ボウルを傾けたときにナイフが落ちないようにしながら、取り外し可能なナイフを備えたボウルを提案することによって、これらの問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より詳細には、本発明は、機械式フードプロセッサに関しており、前記プロセッサはボウルがその上にくる駆動ブロックを有し、該駆動ブロックは実質的に垂直な軸をもつ回転駆動手段に接続されたモータを有し、ボウルの底は駆動手段の通過を可能にする穴を有し、プロセッサはさらに駆動手段の上に取り付けられるための取り付け手段を備える食品処理ツールを有し、前記プロセッサは、食品処理ツールとボウルとの間に引力を働かせる磁化装置を備えることを特徴とする。
【0011】
「実質的に垂直な軸をもつ回転駆動手段」で、回転軸が垂直かあるいは垂直線に対してわずかに傾いていることができることが理解される。好ましくは、傾斜角度は、30°より大きくはならない。
【0012】
推奨的な仕方では、磁化装置は永久磁石を有し、前記磁石はツールあるいはボウルによって支えられる。
【0013】
本発明の実施態様によると、磁化装置はボウルの底の下に位置付けされた永久磁石を有し、該永久磁石はツールによって支持される強磁性体要素と協働する。本発明の推奨実施態様によると、ツールによって支持される強磁性体要素は食品切刃である。この場合、前記刃は、推奨的にはツールの下部に位置付けされる。
【0014】
本発明の別の実施態様によると、磁化装置はツールの下部に位置付けされた永久磁石を有し、該永久磁石はボウルによって支持される強磁性体要素と協働する。この強磁性体要素は、例えば、ボウルの金属製の底である。
【0015】
本発明の代替実施態様によると、磁化装置はボウルによって支持される第一の永久磁石を有し、該第一の永久磁石はツールによって支持される第二の永久磁石と協働する。
【0016】
推奨的な仕方では、ボウルはさらに、食品加熱装置を有する。本発明の代替実施態様によると、前記加熱装置は、ボウルの底の下に位置付けされた抵抗加熱手段である。
【0017】
本発明の別の代替実施態様によると、プロセッサはボウルを誘導過熱する装置を備える。この場合、食品処理ツールは、磁場作用下で熱を放出することができる材料で作られることができ、このことにより、ツールはボウルの中に含まれる食品を加熱することができるようになる。
【0018】
本発明は、続く説明を読むことにより、また付属の図面を吟味することにより、よりよく理解されるであろう。これらの図面は指標として与えられるものであって、本発明を制限するものでは決してない。図面は以下を示す:
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施態様による機械式フードプロセッサの概略断面図である。
【図2】本発明の実施態様による食品処理ツールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施態様による機械式フードプロセッサ10の概略断面図を示す。プロセッサ10は、駆動ブロック11を有し、該駆動ブロックの上にボウル12がくる。ボウル12それ自体には、蓋18がかぶせられる。
【0021】
駆動ブロックは、図1で概略的に示されるモータ13を有する。モータ13は、駆動手段、つまり駆動シャフト14に接続されるが、該駆動シャフトは実質的に垂直な軸19を中心にした実質的に円筒形の形状をもつものである。
【0022】
ボウル12の底15は、駆動シャフト14の通過を可能にする穴16を有する。図1の例において、穴16は、ボウル12の内側に位置付けされた導管17によって延長される。ボウルが駆動ブロックの上に取り付けられると、導管は、シャフト14と同じ軸19に沿って伸びる。
【0023】
プロセッサ10はさらに、食品処理ツール、つまりナイフ20を有する。ナイフ20は、少なくとも一つの刃22を備える支柱21を有する。ナイフ20の動きは、とりわけ、ボウル12の中に入れられた食品を、複数片あるいは細粒に粉砕することを可能にする。
【0024】
支柱21は、実質的に円筒形である中心の空洞23を有するが、該空洞により、前記支柱が導管17およびシャフト14の上に取り付けられることが可能になる。空洞23の底24は、シャフト14の端25との組立のための組立手段を備えており、そのため前記シャフトはナイフ20を軸19を中心にして回転させることができる。
【0025】
好ましくは、これらの組立手段は、ナイフを軸19に沿って上に引き上げることによって、ナイフ20を分解することを可能にする。これらの手段は例えば、シャフト14の端25上の平らな部分であって、底24の相補的な形状と協働するものである。このように、ナイフ20は、ボウル12を掃除するために、簡単に取り外すことができる。
【0026】
さらに、図1で示される例において、ボウル12は、食品加熱装置26を備えている。装置26は例えば底15の下に設置される。この装置26は例えば抵抗加熱である。
【0027】
装置26は、ボウル12の中の食品を加熱したり調理したりすることを可能にする。ナイフ20と装置26の組み合わされた働きは、こうして、スープやソースなどの、高温の液体の調理を行うことを可能にする。
【0028】
このために、側面の取っ手(非表示)および/あるいは注ぎ口(非表示)などの手段を、ボール12に備え付けることが有利であり、このことにより前記ボウル12の中身を別の容器に移すことが容易になる。
【0029】
そのような移し替え作業の間、ボウル12は駆動ブロック11から取り外され、またナイフ20はシャフト14から分離される。ボウル12がその中身を注ぐために傾けられると、ナイフ20は導管17に沿って滑り落ちそうになる。そのようなナイフの落下は、利用者にとって厄介で危険を伴うことになり兼ねない。さらに、もしボウル12の中身が高温であるならば、前記利用者はボウルを傾ける前に手でナイフを取り外すことは容易にはできない。
【0030】
ボウル12を傾けたときにナイフ20が不都合にも落下するのを回避するために、プロセッサ10は、ナイフ20とボウル12との間に引力を働かせる磁化装置を備える。より正確には、ボウル12は、底15の下に位置付けされた永久磁石27を備える。該永久磁石は例えば、軸19を中心にして配置される環状磁石であることができる。代替実施態様では、いくつかの磁石27が軸19の周りに分配される。
【0031】
磁石27は、ナイフ20の支柱21によって支持される部分28、例えば磁石の向かい側の強磁性体リング材と協働する。
【0032】
図2は、プロセッサ10の食品処理ツールの代替実施態様120を示している。ツール120は、少なくとも一つの刃122を備えた支柱121を有するナイフである。刃122は、プロセッサ10が稼動しているときにボウルの底15に近接するように、ナイフ120の下部に位置付けされる。
【0033】
刃122は、ステンレススチールなどの強磁性体材料で作られる。刃122はこうして、ボウル12とナイフ120との間に引力を働かせるために、磁石27と協働することができる。
【0034】
図1の実施態様の代替実施態様によると、永久磁石は、ツール20によって支持され、そしてボウルの強磁性体部分、例えばもしそれがスチールなどの適切な材料で作られるならば底15と協働することができる。
【0035】
磁石27の引力は、推奨的には、利用者が、ツール20をボウル12から、ツールを導管17の軸に沿って平行移動させることによって、手で取り外すことができるように、十分に弱くなるように選択される。
【0036】
さらに、磁石27の引力は、ボウル12を傾けたときツール20の重さを補うのに十分でなければならない。推奨的には、磁化装置の引力は、ボウルがひっくり返されたときに処理ツールを保持するために、前記ツールの重さと少なくとも同じになるように選択される。したがって、出来る限り軽い重さにするために、ツール20を比較的軽い材料で作ることが望ましい。
【0037】
食品加熱に関して、図1の実施態様の代替実施態様において、プロセッサ10は、誘導加熱装置を備える。例えば、駆動ブロック11は、ボウル12の底15と向かい合って、誘導コイル(非表示)を備えることができる。
【0038】
この場合、食品加熱は、底15を通じて行われることができる。前記底15は、このとき、磁場作用下で食品に熱を放出するのに適した強磁性体材料で作られなければならない。
【0039】
代替実施態様によると、ナイフ20、特に支柱21は、強磁性体材料で作られる。この場合、誘導コイルの作用下でボウル12の中に含まれる食品を加熱することができるのは支柱21である。
【0040】
本発明の原則は、ブレンダーなどのプロセッサ10の構想内で上に示されてはいるが、本発明の原則は、ボウルおよび取り外し可能な食品処理ツールを有するいかなるプロセッサにも適用されることが可能である。例えば、切刃(22、122)は、混合羽根や他の類似したツールに置き換えられることができる。
【0041】
同様に、本発明の関心は、食品加熱装置を備えるプロセッサに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
10 機械式フードプロセッサ
11 駆動ブロック
12 ボウル
13 モータ
14 駆動手段
15 ボウルの底
16 穴
17 導管
18 蓋
19 軸
20 食品処理ツール
21 支柱
22 刃
23 空洞
24 空洞の底
25 シャフトの端
26 食品加熱装置
27 永久磁石
120 ツール
121 支柱
122 刃
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】仏国実用新案証特許発明第2641458号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0180645号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式食品処理プロセッサ(10)であって、前記プロセッサが、ボウル(12)がその上にくる駆動ブロック(11)を有し、
駆動ブロックがモータ(13)を有し、該モータが、実質的に垂直な軸(19)をもつ回転駆動手段(14)に接続され、
ボウルの底(15)が、前記駆動手段の通過を可能にする穴(16)を有し、
プロセッサがさらに食品処理ツール(20)を有し、該食品処理ツールが、駆動手段の上に取り付けられるための取り付け手段を備え、
前記プロセッサが、食品処理ツールとボウルとの間に引力を働かせる磁化装置(27、28)を備えることを特徴とする、機械式食品処理プロセッサ。
【請求項2】
磁化装置が永久磁石(27)を有し、前記磁石がツール(20)あるいはボウル(12)によって支持される、請求項1に記載のプロセッサ。
【請求項3】
磁化装置がボウルの底(15)の下に位置付けされた永久磁石(27)を有し、該永久磁石がツールによって支持される強磁性体要素(28、122)と協働する、請求項2に記載のプロセッサ。
【請求項4】
ツール(120)によって支持される強磁性体要素(122)が食品切刃である、請求項3に記載のプロセッサ。
【請求項5】
磁化装置が、ツールの下部の一部に位置付けされた永久磁石を有し、該永久磁石がボウルによって支持される強磁性体要素(15)と協働する、請求項2に記載のプロセッサ。
【請求項6】
磁化装置が、ボウルによって支持される第一の永久磁石を有し、該第一の永久磁石がツールによって支持される第二の永久磁石と協働する、請求項2に記載のプロセッサ。
【請求項7】
ボウルがさらに、食品加熱装置(26)を有する、請求項1から6のいずれか一つに記載のプロセッサ。
【請求項8】
加熱装置が、ボウルの底の下に位置付けされた抵抗加熱手段(26)である、請求項7に記載のプロセッサ。
【請求項9】
プロセッサが誘導加熱装置を備える、請求項7に記載のプロセッサ。
【請求項10】
食品処理ツールが、磁場作用下で熱を放出することができる材料で作られる、請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項11】
磁化装置の引力が、処理ツールの重さと少なくとも同じになるように選択される、請求項1から10のいずれか一つに記載のプロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71014(P2013−71014A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−213935(P2012−213935)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(512251150)
【氏名又は名称原語表記】HAMEUR S.A.
【Fターム(参考)】