磁性体基板の製造方法、磁性体基板、及び、電子回路モジュール
【課題】板状に形成された磁性体の上面側に導電性材料からなる短冊板状のリードを設けてなる磁性体基板において、磁性体とリードとの密着性向上を図る。
【解決手段】断面矩形状に形成されたリード22のうち磁性体4内部に埋設されるリード22の下面23bと側面23cとの角部に当該角部から突出する係合突起25を形成する準備工程と、リード22の下面23b及び側面23cが磁性粉末14によって覆われた状態で磁性粉末14をリード22の厚さ方向から圧縮することにより、磁性粉末14を磁性体4に成形する加圧成形工程とを備え、加圧成形工程における圧縮力によって、磁性粉末14の内部に埋設されたリード22の係合突起25が、リード22の側面23cから突出するようにリード22の下面23bに沿う方向に延びる磁性体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】断面矩形状に形成されたリード22のうち磁性体4内部に埋設されるリード22の下面23bと側面23cとの角部に当該角部から突出する係合突起25を形成する準備工程と、リード22の下面23b及び側面23cが磁性粉末14によって覆われた状態で磁性粉末14をリード22の厚さ方向から圧縮することにより、磁性粉末14を磁性体4に成形する加圧成形工程とを備え、加圧成形工程における圧縮力によって、磁性粉末14の内部に埋設されたリード22の係合突起25が、リード22の側面23cから突出するようにリード22の下面23bに沿う方向に延びる磁性体基板の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性体基板の製造方法、磁性体基板、及び、これを備える電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状に形成された磁性体を配線基板として使用する磁性体基板には、例えば特許文献1のように、電気配線をなす端子電極の一部を磁性体内部に埋設して固定したものがある。なお、この種の磁性体基板においては、端子電極の配線パターンを銅箔により構成することが考えられるが、銅箔では磁性体基板を大量生産する際に配線パターンの精度が低下する虞があるため、導電性板材を加工してなるリードフレームを使用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−188023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子電極を磁性体内部に埋設する上記従来の磁性体基板では、端子電極を磁性体に固定することができるものの、その厚さ寸法が大きくなってしまうため、磁性体基板の薄型化に限界が生じる、という問題がある。磁性体基板の薄型化を図るためには、例えば、板状とされた磁性体の主面に端子電極等の電気配線全体を露出させることが考えられるが、電気配線をリードフレームにより構成する場合、リードフレームが磁性体の主面から剥離し易い、という問題がある。
【0005】
なお、リードフレームの密着性向上を図る従来の手法としては、磁性体を成形する前に予めリードフレーム表面を凸凹に荒らすこと(例えば、特開2002−299538号公報参照)が考えられる。しかしながら、板状の磁性体は、磁性粉末を圧縮成形することで得られるため、磁性体を成形する前にリードフレーム表面を荒らしても、磁性粉末の圧縮成形時の圧縮力によってリードフレーム表面の状態が変化してしまい、リードフレームと磁性体との密着性を十分に得ることができない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることが可能な磁性体基板、これを備える電子回路モジュール、及び、磁性体基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の磁性体基板の製造方法は、導電性板材からなるリードフレームに備える断面四角形状のリードのうち前記リードフレームの厚さ方向に面する上面が、板状に形成された磁性体の上面から露出ように、前記リードを磁性体に封止してなる磁性体基板を製造する方法であって、前記リードの下面と側面との角部に当該角部から突出する係合突起が形成された前記リードフレームを用意する準備工程と、前記リードの下面及び側面が磁性粉末によって覆われた状態で前記磁性粉末を前記厚さ方向から圧縮することにより、前記磁性粉末を前記磁性体に成形する加圧成形工程とを備え、当該加圧成形工程における圧縮力によって、前記磁性粉末の内部に埋設された前記リードの係合突起が、前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延びることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の磁性体基板は、前記製造方法によって製造されるものであって、前記リードの上面が前記磁性体の上面から露出すると共に前記リードの下面及び側面が前記磁性体の内部に埋設され、前記係合突起が前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延出していることを特徴とする。
さらに、本発明の電子回路モジュールは、前記磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする。
なお、電子部品の具体例としては、電源回路用のIC/LSIやLED等の各種半導体素子が挙げられる。
【0009】
上記製造方法及びこれによって得られる磁性体基板及び電子回路モジュールによれば、加圧成形工程において、係合突起がリードの側面から下面に沿う方向に延出するため、リードと磁性体とを係合突起によってリードフレームの厚さ方向に確実に係合させることができる。言い換えれば、加圧成形工程を実施することで磁性体とリードとの係合状態を向上させることができる。したがって、リードが磁性体の上面から剥離することを防いで、磁性体に対するリードフレームの密着性向上を図ることができる。
【0010】
また、加圧成形工程において磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることができるため、接着剤によりリードフレームを磁性体に固定する別途の工程が不要となり、磁性体基板の製造効率を向上させることができる。さらに、磁性体とリードフレームとの間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板の上面に搭載された電子部品において生じた熱をリードから磁性体側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体基板の下面が搭載基板の搭載面に接触するように電子回路モジュールを搭載基板に搭載した状態では、電子部品において生じた熱を、リード及び磁性体を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。
【0011】
また、リードに形成される係合突起は、導電性板材に対してプレス加工やエッチング加工を施してリードフレームを製造する際に同時に形成することが可能である。したがって、従来のようにリードフレーム表面を荒らす加工を別途施す場合と比較して、磁性体基板の製造効率向上や製造コスト削減を図ることもできる。
【0012】
そして、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記係合突起を前記リードの下面から前記リードフレームの厚さ方向に突出させておいてもよい。
【0013】
加圧成形工程において多数の粒子からなる磁性粉末をリードフレームの厚さ方向から圧縮する場合には、リードの下面上に位置する磁性粉末の圧力が、リードの側面上に位置する磁性粉末の圧力よりも高くなる。このため、加圧成形工程においては、係合突起が、リードの下面上に位置する磁性粉末の圧力によってリードの側方に押され、これにより、リードの側面から突出するようにリードに対して屈曲変形する。すなわち、上記製造方法では、加圧成形工程における圧縮力によって、係合突起を確実にリードの側面から突出させるようにリードの下面に沿う方向に延出させることができる。
【0014】
さらに、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記係合突起が前記リードの下面に連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面を有していることが好ましい。
上記製造方法によれば、準備工程において係合突起が前記傾斜面を有していることで、加圧成形工程における係合突起の屈曲変形に基づいて、リードの下面と係合突起との境界に亀裂が生じることを抑制できる。
【0015】
また、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記リードの上面と側面との角部に、当該側面から突出する補助突起が形成され、前記加圧成形工程において前記係合突起が前記リードの下面に沿う方向に延出することで、前記補助突起に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置してもよい。
【0016】
この製造方法によれば、加圧成形工程の圧縮力によりリードの厚さ寸法が縮められることで、係合突起と補助突起との間隔が狭められるため、係合突起と補助突起との間にある磁性粉末が他の部分と比較してより大きく圧縮される。その結果、磁性体とリードとの係合をさらに強化し、磁性体に対するリードフレームの密着性をさらに高めることができる。
【0017】
また、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記リードの下面面積が当該リードの上面面積よりも小さくなるように前記リードが断面台形状に形成されているとよい。
【0018】
この製造方法によれば、二つのリードを互いに隣り合わせて配置した場合に、互いに隣り合うリードの上面同士の間隔を狭く設定しても、リードの下面同士の間隔は上面同士の間隔と比較して大きくなる。このため、互いに隣り合うリードに形成された係合突起が、加圧成形工程において互いに近づく方向に延びても、これら係合突起同士が接触することを防止できる。すなわち、互いに隣り合うリードの上面同士の間隔を狭く設定しても、磁性体基板の回路が、係合突起同士の接触によって短絡することを防止できる。言い換えれば、リードの上面によって画成される磁性体基板の電気配線の設計自由度を向上させることができる。
【0019】
さらに、前記磁性体基板は、前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されてもよい。
この構成では、磁性体基板自体がインダクタとして機能し、磁性体基板を電子部品の電源回路として構成できるため、電子部品と共に別個のインダクタを磁性体基板に搭載する場合と比較して、磁性体基板の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、磁性体を成形する加圧成形工程を利用して磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることができる。
また、リードフレームを製造する際にリードの係合突起を同時に形成でき、さらに、接着剤によりリードフレームを磁性体に固定する別途の工程も不要であることから、磁性体基板の製造効率向上や製造コスト削減を図ることができる。
また、磁性体とリードフレームとの間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板の上面に搭載された電子部品において生じた熱をリードから磁性体側に効率よく逃がすこともできる。すなわち、磁性体基板の放熱性向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子回路モジュールを磁性体基板の上面から見た状態を示す概略平面図である。
【図2】図1の電子回路モジュールの概略断面図である。
【図3】図1,2に示す電子回路モジュールの製造方法のうち、加圧成形工程を示す概略断面図である。
【図4】図3に示す加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図5】図3に示す加圧成形工程におけるリードの係合突起を示す要部拡大断面図である。
【図6】図3に示す加圧成形工程後の状態を磁性体の上面側から見た状態を示す概略平面図である。
【図7】図1,2に示す電子回路モジュールの製造方法において、キュア工程及び切断工程を実施した後の状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る磁性体基板の製造方法において、加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図9】図8に示す加圧成形工程においてリードの係合突起を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る磁性体基板の製造方法において、加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図11】図10に示す加圧成形工程において、二つのリードが隣り合わせて配されている場合を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜7を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る電子回路モジュール1は、磁性体基板2と、磁性体基板2の上面2aに搭載された複数の半導体素子(電子部品)3とを備えて大略構成されている。
磁性体基板2は、板状に形成されて電気的な絶縁性を有する磁性体4と、磁性体4の表面に配されて電気配線をなす複数のリード22と、磁性体4内部に埋設されたコイル5とを備えており、磁性体4及びコイル5によってインダクタが構成されている。この構成において、磁性体4は、コイル5により発生する磁界から大きな磁束密度を得るために用いられており、透磁率の大きな材料を選択することが好ましい。また、コイル5の両端は、それぞれ別個のリード22に電気接続されている。
【0023】
各リード22は、銅材等の導電性材料を磁性体の厚さ寸法と比較して十分に薄い短冊板状に形成したものであり、本実施形態においては断面矩形状を呈している。
各リード22の長手方向の一端部23は、磁性体基板2の上面2aをなす磁性体4の上面4a側において磁性体4に封止されている。詳細に説明すれば、各リード22の一端部23のうちリード22の厚さ方向に面する上面23aが、磁性体4の上面4aと同一平面をなすように磁性体4の上面4aから外方に露出し、リード22の下面23b及び側面23cは磁性体4によって覆われている。なお、各リード22の一端部23は、複数の半導体素子3やコイル5との電気接続に適する配線パターンをなすように、平面視で直線形状や屈曲形状等の適宜組み合わせた任意の形状を呈している。
【0024】
一方、各リード22の他端部24は、一端部23に対して折り曲げられ、磁性体4の側面4c及び下面4bに配されている。そして、磁性体4の下面4bに位置するリード22の他端部24の先端部分は、半導体素子3やコイル5を外部に接続するための外部端子として機能する。すなわち、リード22の他端部24の先端部分が磁性体4の下面4bと共に磁性体基板2の下面を画成することで、磁性体基板2が表面実装型の基板として構成されている。
半導体素子3は、インダクタと共に電源回路を構成するLSIやIC等であり、適宜リード22に電気接続(接触)するように磁性体基板2の上面2aに搭載されている。
【0025】
次に、上記構成の電子回路モジュール1を製造する方法について説明する。
電子回路モジュール1の製造に際しては、はじめに、図6に示すように、銅材等からなる導電性板材にプレス加工やエッチング加工等を施したリードフレーム20を用意する(準備工程)。このリードフレーム20は、互いに間隔をあけて平行に配された一対の連結部21と、一対の連結部21の一方から他方に向けて延びるように、各連結部21から一体に突出する短冊板状に形成された複数のリード22とを備えている。なお、図示例において、一対の連結部21は、互いに繋がっていないように見えるが、実際には各連結部21の長手方向(紙面上下方向)の端部等において一体に連結されている。
【0026】
連結部21から突出する各リード22の突出方向の先端部分は、磁性体基板2において磁性体4の上面4a側に配されるリード22の一端部23をなすものであり、平面視で直線形状や屈曲形状等の適宜組み合わせた任意の形状を呈している。一方、各リード22の基端部分は、磁性体基板2において磁性体4の側面4c及び下面4bに配されるリード22の他端部24をなすものである。
【0027】
このリードフレーム20においては、図4(a)に示すように、各リード22の断面が、リードフレーム20の厚さ方向に面する各リード22の上面23a及び下面23bが互いに平行する矩形状に形成されている。なお、図4(a)においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。
そして、断面矩形状とされた各リード22の下面23bと側面23cとの角部には、角部から突出する係合突起25が一対形成されている。各係合突起25は、リード22の下面23bからリードフレーム20の厚さ方向に突出するように形成されている。また、係合突起25は、図5に示すように、リード22の下面23bに連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面25bを有している。上記構成の係合突起25は、例えばリードフレーム20を作製するプレス加工やエッチング加工により同時に形成することが可能であるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。
【0028】
上記準備工程後には、図3に示すように、鉄等の磁性微粒子を樹脂(バインダ)によりコーティングしてなる磁性粉末14を圧縮して板状の磁性体4に成形する加圧成形工程を実施する。
この工程においては、はじめに、リードフレーム20を上下逆さまにした状態で圧縮成形用金型Mの載置面M1に配置する。また、リードフレーム20のうち各リード22の一端部23を圧縮成形用金型MのキャビティC内に収容し、リードフレーム20の残部(各リード22の他端部24及び連結部21)をキャビティCの外側に固定する。
次いで、リード22の一端部23の下面23b及び側面23cが磁性粉末14によって覆われるように、磁性粉末14をキャビティC内に充填し、リードフレーム20と磁性粉末14とがリードフレーム20の厚さ方向に重ねられた状態とする。また、磁性粉末14の充填と同時あるいは前後においてコイル5を磁性粉末14内に埋め込む。
【0029】
そして、この状態において磁性粉末14をリードフレーム20の厚さ方向から圧縮することにより、磁性粉末14が板状の磁性体4に成形されることになる。
このように磁性粉末14を圧縮する際には、リード22の下面23b上に位置する磁性粉末14の圧力が、リード22の側面23c上に位置する磁性粉末14の圧力よりも高くなる。このため、加圧成形工程においては、図5に示すように、磁性粉末14内部に埋設された係合突起25が、リード22の下面23b上に位置する磁性粉末14の圧力によってリード22の側方に押される。これにより、係合突起25は、リード22の側面23cから突出するようにリード22に対して屈曲変形し、図4(b)に示すように、リード22の下面23bに沿う方向に延出することになる。
【0030】
なお、係合突起25にはリード22の下面23bに連なる傾斜面25bが形成されているため、前述した屈曲変形に基づいて、リード22の下面23bと係合突起25との境界に亀裂が生じることが抑制されている。
上記加圧成形工程が終了した状態においては、図6に示すように、各リード22の一端部23が磁性体4の上面4a側に固定され、各リード22の他端部24が磁性体4の側面4cから突出するように配されている。
【0031】
そして、上記加圧成形工程後には、磁性体4を加熱することで磁性粉末14の樹脂を完全に一体化し(キュア工程)、次いで、リードフレーム20から連結部21を切り落とすことで複数のリード22を電気的に分離する(切断工程)。
さらに、図7に示すように、磁性体4の側面4cから突出する各リード22の他端部24を磁性体4の側面4c及び下面4bに這わせるように折り曲げ、他端部24の先端部分を磁性体4の下面4bに配置する(リードフォーミング工程)ことで、磁性体基板2が製造されることになる。
最後に、磁性体基板2の上面2aに半導体素子3を搭載することで、図1,2に示す電子回路モジュール1の製造が完了する。なお、半導体素子3の搭載は、磁性体基板2の製造完了後に限らず、少なくともキュア工程よりも後に実施することが可能である。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る電子モジュール1の製造方法及びこれによって得られる磁性体基板2及び電子回路モジュール1によれば、加圧成形工程において係合突起25がリード22の側面23cから下面23bに沿う方向に延出するため、リード22と磁性体4とを係合突起25によってリードフレーム20の厚さ方向に確実に係合させることができる。言い換えれば、加圧成形工程を実施することで磁性体4とリード22との係合状態を向上させることができる。したがって、リード22が磁性体4の上面4aから剥離することを防いで、磁性体4に対するリードフレーム20の密着性向上を図ることができる。
【0033】
また、加圧成形工程において磁性体4とリードフレーム20との密着性向上を図ることができるため、接着剤によりリードフレーム20を磁性体4に固定する別途の工程が不要となり、磁性体基板2の製造効率を向上させることができる。さらに、磁性体4とリードフレーム20との間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板2の上面2aに搭載された半導体素子3において生じた熱をリード22から磁性体4側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体基板2の下面が搭載基板(不図示)の搭載面に接触するように電子回路モジュール1を搭載基板に搭載した状態では、半導体素子3において生じた熱を、リード22及び磁性体4を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。
【0034】
また、リード22に形成される係合突起25は、導電性板材に対してプレス加工やエッチング加工を施してリードフレーム20を製造する際に同時に形成することが可能である。したがって、従来のようにリードフレーム20に対してその表面を荒らす加工を別途施す場合と比較して、磁性体基板2の製造効率向上や製造コスト削減を図ることもできる。
さらに、磁性体基板2がインダクタとして構成されていることで、磁性体基板2を半導体素子3と共に電源回路として構成できるため、半導体素子3と共に別個のインダクタを磁性体基板2に搭載する場合と比較して、磁性体基板2の小型化を図ることができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、準備工程における係合突起25は、リード22の下面23bからリードフレーム20の厚さ方向に突出することに限らず、少なくとも加圧成形工程における圧縮力によって、リード22の側面23cから突出するようにリード22の下面23bに沿う方向に延びるように形成されていればよい。したがって、準備工程における係合突起25は、例えば図8(a)に示すように、リード22の側面23cからリード22の下面23bに沿う方向に突出するように形成されてもよい。なお、図8においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。上記構成の係合突起25は、例えばリードフレーム20を作製するエッチング加工により同時に形成することができるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。
この構成では、図8(a),9に示すように、加圧成形工程においてリード22をその厚さ方向から圧縮することで、リード22がその幅方向(紙面の左右方向)に広がるように押し潰されるため、図8(b),9に示すように、係合突起25がリード22の側面23cからリード22の下面23bに沿う方向に延びることになる。
【0036】
さらに、準備工程においては、例えば図8に示すように、リード22の上面23aと側面23cとの角部に、リード22の側面23cからリード22の上面23aに沿う方向に突出する補助突起27を形成してもよい。この補助突起27は、例えばリードフレーム20を作製するエッチング加工により同時に形成することが可能であるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。なお、補助突起27は、少なくとも加圧成形工程後の状態において、リード22の下面23bに沿う方向に延出した係合突起25に対してリードフレーム20の厚さ方向に間隔をあけて位置していればよい。したがって、準備工程における係合突起25の突出方向は、図8(a)に示す方向に限らず、例えば上記実施形態と同様の方向(図4(a)に示す方向)であってもよい。
この場合、加圧成形工程の圧縮力によりリード22の厚さ寸法が縮められることで、係合突起25と補助突起27との間隔が狭められるため、係合突起25と補助突起27との間にある磁性粉末14が他の部分と比較してより大きく圧縮される。その結果、磁性体4とリード22との係合をさらに強化し、磁性体4に対するリードフレーム20の密着性をさらに高めることができる。
【0037】
また、準備工程において形成されるリード22の断面は、矩形状に限らず、例えば図10(a)に示すように、リード22の下面23bの面積がリード22の上面23aの面積よりも小さくなる台形状となっていてもよい。なお、図10(a)においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。また、リードに対して上記実施形態と同様の加圧成形工程を施した場合には、図10(b)に示すように、上記実施形態と同様に、係合突起25がリード22の下面23bに沿う方向に延出することになる。
【0038】
リード22が断面台形状となっている場合には、例えば図11に示すように、二つのリード22を互いに隣り合わせて配置した状態において、互いに隣り合うリード22の上面23a同士の間隔を狭く設定しても、リード22の下面23b同士の間隔が上面23a同士の間隔と比較して大きくなる。このため、互いに隣り合うリード22に形成された係合突起25が、加圧成形工程において互いに近づく方向に延びても、これら係合突起25同士が接触することを防止できる。すなわち、互いに隣り合うリード22の上面23a同士の間隔を狭く設定しても、磁性体基板2の回路が、係合突起25同士の接触によって短絡することを防止できる。言い換えれば、リード22の上面23aによって画成される磁性体基板2の電気配線の設計自由度を向上させることができる。
【0039】
また、準備工程における係合突起25は、リード22の下面23bに連なる緩やかな傾斜面25bを有していなくてもよく、例えばリード22の下面23bに連なる係合突起25の立ち上がり面がリード22の下面23bに対して直交していてもよい。
さらに、磁性体基板2の上面2aには、インダクタである磁性体基板2と共に電源回路を構成する半導体素子3が搭載されるとしたが、少なくとも各種電子回路を構成する電子部品が搭載されていればよく、例えばLED素子等の他の半導体素子3が搭載されてもよい。
【0040】
また、上記実施形態の磁性体基板2やこれを備える電子回路モジュール1においては、リード22の他端部24の先端部分が、磁性体4の下面4bに配されるとしたが、少なくとも半導体素子3やコイル5を外部に接続するための外部端子として機能すればよく、例えば磁性体4の側面4cから突出した位置に配されてもよい。
さらに、リード22は磁性体4の上面4aの外側に突出していなくてもよく、例えば磁性体4の上面4a側のみに配されていてもよい。
【0041】
また、磁性体4の上面4a側に配されるリード22は、細長い短冊板状に形成されるとしたが、例えば、半導体素子3を搭載するダイパッド等のように、半導体素子3との接触面積が大きい幅広の平板状に形成されていてもよい。この構成では、半導体素子3との接触面積が大きくなることで、半導体素子3において生じた熱を効率よくリード22に逃がすことができるため、より放熱性の高い磁性体基板2を提供することが可能となる。
さらに、全てのリード22が磁性体基板2の電気配線として構成される必要は無く、例えば一部のリード22は、半導体素子3に接触するだけで電気接続されなくてもよい。この構成において、一部のリード22は、半導体素子3において生じた熱を効率よく外部に逃がす、という役割を果たすことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電子回路モジュール
2 磁性体基板
2a 上面
3 半導体素子(電子部品)
4 磁性体
4a 上面
5 コイル
14 磁性粉末
20 リードフレーム
22 リード
23 一端部
23a 上面
23b 下面
23c 側面
24 他端部
25 係合突起
25b 傾斜面
27 補助突起
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性体基板の製造方法、磁性体基板、及び、これを備える電子回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状に形成された磁性体を配線基板として使用する磁性体基板には、例えば特許文献1のように、電気配線をなす端子電極の一部を磁性体内部に埋設して固定したものがある。なお、この種の磁性体基板においては、端子電極の配線パターンを銅箔により構成することが考えられるが、銅箔では磁性体基板を大量生産する際に配線パターンの精度が低下する虞があるため、導電性板材を加工してなるリードフレームを使用することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−188023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子電極を磁性体内部に埋設する上記従来の磁性体基板では、端子電極を磁性体に固定することができるものの、その厚さ寸法が大きくなってしまうため、磁性体基板の薄型化に限界が生じる、という問題がある。磁性体基板の薄型化を図るためには、例えば、板状とされた磁性体の主面に端子電極等の電気配線全体を露出させることが考えられるが、電気配線をリードフレームにより構成する場合、リードフレームが磁性体の主面から剥離し易い、という問題がある。
【0005】
なお、リードフレームの密着性向上を図る従来の手法としては、磁性体を成形する前に予めリードフレーム表面を凸凹に荒らすこと(例えば、特開2002−299538号公報参照)が考えられる。しかしながら、板状の磁性体は、磁性粉末を圧縮成形することで得られるため、磁性体を成形する前にリードフレーム表面を荒らしても、磁性粉末の圧縮成形時の圧縮力によってリードフレーム表面の状態が変化してしまい、リードフレームと磁性体との密着性を十分に得ることができない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることが可能な磁性体基板、これを備える電子回路モジュール、及び、磁性体基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の磁性体基板の製造方法は、導電性板材からなるリードフレームに備える断面四角形状のリードのうち前記リードフレームの厚さ方向に面する上面が、板状に形成された磁性体の上面から露出ように、前記リードを磁性体に封止してなる磁性体基板を製造する方法であって、前記リードの下面と側面との角部に当該角部から突出する係合突起が形成された前記リードフレームを用意する準備工程と、前記リードの下面及び側面が磁性粉末によって覆われた状態で前記磁性粉末を前記厚さ方向から圧縮することにより、前記磁性粉末を前記磁性体に成形する加圧成形工程とを備え、当該加圧成形工程における圧縮力によって、前記磁性粉末の内部に埋設された前記リードの係合突起が、前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延びることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の磁性体基板は、前記製造方法によって製造されるものであって、前記リードの上面が前記磁性体の上面から露出すると共に前記リードの下面及び側面が前記磁性体の内部に埋設され、前記係合突起が前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延出していることを特徴とする。
さらに、本発明の電子回路モジュールは、前記磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする。
なお、電子部品の具体例としては、電源回路用のIC/LSIやLED等の各種半導体素子が挙げられる。
【0009】
上記製造方法及びこれによって得られる磁性体基板及び電子回路モジュールによれば、加圧成形工程において、係合突起がリードの側面から下面に沿う方向に延出するため、リードと磁性体とを係合突起によってリードフレームの厚さ方向に確実に係合させることができる。言い換えれば、加圧成形工程を実施することで磁性体とリードとの係合状態を向上させることができる。したがって、リードが磁性体の上面から剥離することを防いで、磁性体に対するリードフレームの密着性向上を図ることができる。
【0010】
また、加圧成形工程において磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることができるため、接着剤によりリードフレームを磁性体に固定する別途の工程が不要となり、磁性体基板の製造効率を向上させることができる。さらに、磁性体とリードフレームとの間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板の上面に搭載された電子部品において生じた熱をリードから磁性体側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体基板の下面が搭載基板の搭載面に接触するように電子回路モジュールを搭載基板に搭載した状態では、電子部品において生じた熱を、リード及び磁性体を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。
【0011】
また、リードに形成される係合突起は、導電性板材に対してプレス加工やエッチング加工を施してリードフレームを製造する際に同時に形成することが可能である。したがって、従来のようにリードフレーム表面を荒らす加工を別途施す場合と比較して、磁性体基板の製造効率向上や製造コスト削減を図ることもできる。
【0012】
そして、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記係合突起を前記リードの下面から前記リードフレームの厚さ方向に突出させておいてもよい。
【0013】
加圧成形工程において多数の粒子からなる磁性粉末をリードフレームの厚さ方向から圧縮する場合には、リードの下面上に位置する磁性粉末の圧力が、リードの側面上に位置する磁性粉末の圧力よりも高くなる。このため、加圧成形工程においては、係合突起が、リードの下面上に位置する磁性粉末の圧力によってリードの側方に押され、これにより、リードの側面から突出するようにリードに対して屈曲変形する。すなわち、上記製造方法では、加圧成形工程における圧縮力によって、係合突起を確実にリードの側面から突出させるようにリードの下面に沿う方向に延出させることができる。
【0014】
さらに、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記係合突起が前記リードの下面に連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面を有していることが好ましい。
上記製造方法によれば、準備工程において係合突起が前記傾斜面を有していることで、加圧成形工程における係合突起の屈曲変形に基づいて、リードの下面と係合突起との境界に亀裂が生じることを抑制できる。
【0015】
また、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記リードの上面と側面との角部に、当該側面から突出する補助突起が形成され、前記加圧成形工程において前記係合突起が前記リードの下面に沿う方向に延出することで、前記補助突起に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置してもよい。
【0016】
この製造方法によれば、加圧成形工程の圧縮力によりリードの厚さ寸法が縮められることで、係合突起と補助突起との間隔が狭められるため、係合突起と補助突起との間にある磁性粉末が他の部分と比較してより大きく圧縮される。その結果、磁性体とリードとの係合をさらに強化し、磁性体に対するリードフレームの密着性をさらに高めることができる。
【0017】
また、前記製造方法においては、前記準備工程において、前記リードの下面面積が当該リードの上面面積よりも小さくなるように前記リードが断面台形状に形成されているとよい。
【0018】
この製造方法によれば、二つのリードを互いに隣り合わせて配置した場合に、互いに隣り合うリードの上面同士の間隔を狭く設定しても、リードの下面同士の間隔は上面同士の間隔と比較して大きくなる。このため、互いに隣り合うリードに形成された係合突起が、加圧成形工程において互いに近づく方向に延びても、これら係合突起同士が接触することを防止できる。すなわち、互いに隣り合うリードの上面同士の間隔を狭く設定しても、磁性体基板の回路が、係合突起同士の接触によって短絡することを防止できる。言い換えれば、リードの上面によって画成される磁性体基板の電気配線の設計自由度を向上させることができる。
【0019】
さらに、前記磁性体基板は、前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されてもよい。
この構成では、磁性体基板自体がインダクタとして機能し、磁性体基板を電子部品の電源回路として構成できるため、電子部品と共に別個のインダクタを磁性体基板に搭載する場合と比較して、磁性体基板の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、磁性体を成形する加圧成形工程を利用して磁性体とリードフレームとの密着性向上を図ることができる。
また、リードフレームを製造する際にリードの係合突起を同時に形成でき、さらに、接着剤によりリードフレームを磁性体に固定する別途の工程も不要であることから、磁性体基板の製造効率向上や製造コスト削減を図ることができる。
また、磁性体とリードフレームとの間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板の上面に搭載された電子部品において生じた熱をリードから磁性体側に効率よく逃がすこともできる。すなわち、磁性体基板の放熱性向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子回路モジュールを磁性体基板の上面から見た状態を示す概略平面図である。
【図2】図1の電子回路モジュールの概略断面図である。
【図3】図1,2に示す電子回路モジュールの製造方法のうち、加圧成形工程を示す概略断面図である。
【図4】図3に示す加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図5】図3に示す加圧成形工程におけるリードの係合突起を示す要部拡大断面図である。
【図6】図3に示す加圧成形工程後の状態を磁性体の上面側から見た状態を示す概略平面図である。
【図7】図1,2に示す電子回路モジュールの製造方法において、キュア工程及び切断工程を実施した後の状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る磁性体基板の製造方法において、加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図9】図8に示す加圧成形工程においてリードの係合突起を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る磁性体基板の製造方法において、加圧成形工程におけるリードを示す拡大断面図であり、(a)は圧縮前の状態を示し、(b)は圧縮後の状態を示している。
【図11】図10に示す加圧成形工程において、二つのリードが隣り合わせて配されている場合を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜7を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る電子回路モジュール1は、磁性体基板2と、磁性体基板2の上面2aに搭載された複数の半導体素子(電子部品)3とを備えて大略構成されている。
磁性体基板2は、板状に形成されて電気的な絶縁性を有する磁性体4と、磁性体4の表面に配されて電気配線をなす複数のリード22と、磁性体4内部に埋設されたコイル5とを備えており、磁性体4及びコイル5によってインダクタが構成されている。この構成において、磁性体4は、コイル5により発生する磁界から大きな磁束密度を得るために用いられており、透磁率の大きな材料を選択することが好ましい。また、コイル5の両端は、それぞれ別個のリード22に電気接続されている。
【0023】
各リード22は、銅材等の導電性材料を磁性体の厚さ寸法と比較して十分に薄い短冊板状に形成したものであり、本実施形態においては断面矩形状を呈している。
各リード22の長手方向の一端部23は、磁性体基板2の上面2aをなす磁性体4の上面4a側において磁性体4に封止されている。詳細に説明すれば、各リード22の一端部23のうちリード22の厚さ方向に面する上面23aが、磁性体4の上面4aと同一平面をなすように磁性体4の上面4aから外方に露出し、リード22の下面23b及び側面23cは磁性体4によって覆われている。なお、各リード22の一端部23は、複数の半導体素子3やコイル5との電気接続に適する配線パターンをなすように、平面視で直線形状や屈曲形状等の適宜組み合わせた任意の形状を呈している。
【0024】
一方、各リード22の他端部24は、一端部23に対して折り曲げられ、磁性体4の側面4c及び下面4bに配されている。そして、磁性体4の下面4bに位置するリード22の他端部24の先端部分は、半導体素子3やコイル5を外部に接続するための外部端子として機能する。すなわち、リード22の他端部24の先端部分が磁性体4の下面4bと共に磁性体基板2の下面を画成することで、磁性体基板2が表面実装型の基板として構成されている。
半導体素子3は、インダクタと共に電源回路を構成するLSIやIC等であり、適宜リード22に電気接続(接触)するように磁性体基板2の上面2aに搭載されている。
【0025】
次に、上記構成の電子回路モジュール1を製造する方法について説明する。
電子回路モジュール1の製造に際しては、はじめに、図6に示すように、銅材等からなる導電性板材にプレス加工やエッチング加工等を施したリードフレーム20を用意する(準備工程)。このリードフレーム20は、互いに間隔をあけて平行に配された一対の連結部21と、一対の連結部21の一方から他方に向けて延びるように、各連結部21から一体に突出する短冊板状に形成された複数のリード22とを備えている。なお、図示例において、一対の連結部21は、互いに繋がっていないように見えるが、実際には各連結部21の長手方向(紙面上下方向)の端部等において一体に連結されている。
【0026】
連結部21から突出する各リード22の突出方向の先端部分は、磁性体基板2において磁性体4の上面4a側に配されるリード22の一端部23をなすものであり、平面視で直線形状や屈曲形状等の適宜組み合わせた任意の形状を呈している。一方、各リード22の基端部分は、磁性体基板2において磁性体4の側面4c及び下面4bに配されるリード22の他端部24をなすものである。
【0027】
このリードフレーム20においては、図4(a)に示すように、各リード22の断面が、リードフレーム20の厚さ方向に面する各リード22の上面23a及び下面23bが互いに平行する矩形状に形成されている。なお、図4(a)においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。
そして、断面矩形状とされた各リード22の下面23bと側面23cとの角部には、角部から突出する係合突起25が一対形成されている。各係合突起25は、リード22の下面23bからリードフレーム20の厚さ方向に突出するように形成されている。また、係合突起25は、図5に示すように、リード22の下面23bに連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面25bを有している。上記構成の係合突起25は、例えばリードフレーム20を作製するプレス加工やエッチング加工により同時に形成することが可能であるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。
【0028】
上記準備工程後には、図3に示すように、鉄等の磁性微粒子を樹脂(バインダ)によりコーティングしてなる磁性粉末14を圧縮して板状の磁性体4に成形する加圧成形工程を実施する。
この工程においては、はじめに、リードフレーム20を上下逆さまにした状態で圧縮成形用金型Mの載置面M1に配置する。また、リードフレーム20のうち各リード22の一端部23を圧縮成形用金型MのキャビティC内に収容し、リードフレーム20の残部(各リード22の他端部24及び連結部21)をキャビティCの外側に固定する。
次いで、リード22の一端部23の下面23b及び側面23cが磁性粉末14によって覆われるように、磁性粉末14をキャビティC内に充填し、リードフレーム20と磁性粉末14とがリードフレーム20の厚さ方向に重ねられた状態とする。また、磁性粉末14の充填と同時あるいは前後においてコイル5を磁性粉末14内に埋め込む。
【0029】
そして、この状態において磁性粉末14をリードフレーム20の厚さ方向から圧縮することにより、磁性粉末14が板状の磁性体4に成形されることになる。
このように磁性粉末14を圧縮する際には、リード22の下面23b上に位置する磁性粉末14の圧力が、リード22の側面23c上に位置する磁性粉末14の圧力よりも高くなる。このため、加圧成形工程においては、図5に示すように、磁性粉末14内部に埋設された係合突起25が、リード22の下面23b上に位置する磁性粉末14の圧力によってリード22の側方に押される。これにより、係合突起25は、リード22の側面23cから突出するようにリード22に対して屈曲変形し、図4(b)に示すように、リード22の下面23bに沿う方向に延出することになる。
【0030】
なお、係合突起25にはリード22の下面23bに連なる傾斜面25bが形成されているため、前述した屈曲変形に基づいて、リード22の下面23bと係合突起25との境界に亀裂が生じることが抑制されている。
上記加圧成形工程が終了した状態においては、図6に示すように、各リード22の一端部23が磁性体4の上面4a側に固定され、各リード22の他端部24が磁性体4の側面4cから突出するように配されている。
【0031】
そして、上記加圧成形工程後には、磁性体4を加熱することで磁性粉末14の樹脂を完全に一体化し(キュア工程)、次いで、リードフレーム20から連結部21を切り落とすことで複数のリード22を電気的に分離する(切断工程)。
さらに、図7に示すように、磁性体4の側面4cから突出する各リード22の他端部24を磁性体4の側面4c及び下面4bに這わせるように折り曲げ、他端部24の先端部分を磁性体4の下面4bに配置する(リードフォーミング工程)ことで、磁性体基板2が製造されることになる。
最後に、磁性体基板2の上面2aに半導体素子3を搭載することで、図1,2に示す電子回路モジュール1の製造が完了する。なお、半導体素子3の搭載は、磁性体基板2の製造完了後に限らず、少なくともキュア工程よりも後に実施することが可能である。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る電子モジュール1の製造方法及びこれによって得られる磁性体基板2及び電子回路モジュール1によれば、加圧成形工程において係合突起25がリード22の側面23cから下面23bに沿う方向に延出するため、リード22と磁性体4とを係合突起25によってリードフレーム20の厚さ方向に確実に係合させることができる。言い換えれば、加圧成形工程を実施することで磁性体4とリード22との係合状態を向上させることができる。したがって、リード22が磁性体4の上面4aから剥離することを防いで、磁性体4に対するリードフレーム20の密着性向上を図ることができる。
【0033】
また、加圧成形工程において磁性体4とリードフレーム20との密着性向上を図ることができるため、接着剤によりリードフレーム20を磁性体4に固定する別途の工程が不要となり、磁性体基板2の製造効率を向上させることができる。さらに、磁性体4とリードフレーム20との間には熱抵抗の高い接着剤が介在しないため、磁性体基板2の上面2aに搭載された半導体素子3において生じた熱をリード22から磁性体4側に効率よく逃がすこともできる。例えば、磁性体基板2の下面が搭載基板(不図示)の搭載面に接触するように電子回路モジュール1を搭載基板に搭載した状態では、半導体素子3において生じた熱を、リード22及び磁性体4を介して搭載基板に効率よく逃がすことができる。
【0034】
また、リード22に形成される係合突起25は、導電性板材に対してプレス加工やエッチング加工を施してリードフレーム20を製造する際に同時に形成することが可能である。したがって、従来のようにリードフレーム20に対してその表面を荒らす加工を別途施す場合と比較して、磁性体基板2の製造効率向上や製造コスト削減を図ることもできる。
さらに、磁性体基板2がインダクタとして構成されていることで、磁性体基板2を半導体素子3と共に電源回路として構成できるため、半導体素子3と共に別個のインダクタを磁性体基板2に搭載する場合と比較して、磁性体基板2の小型化を図ることができる。
【0035】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、準備工程における係合突起25は、リード22の下面23bからリードフレーム20の厚さ方向に突出することに限らず、少なくとも加圧成形工程における圧縮力によって、リード22の側面23cから突出するようにリード22の下面23bに沿う方向に延びるように形成されていればよい。したがって、準備工程における係合突起25は、例えば図8(a)に示すように、リード22の側面23cからリード22の下面23bに沿う方向に突出するように形成されてもよい。なお、図8においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。上記構成の係合突起25は、例えばリードフレーム20を作製するエッチング加工により同時に形成することができるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。
この構成では、図8(a),9に示すように、加圧成形工程においてリード22をその厚さ方向から圧縮することで、リード22がその幅方向(紙面の左右方向)に広がるように押し潰されるため、図8(b),9に示すように、係合突起25がリード22の側面23cからリード22の下面23bに沿う方向に延びることになる。
【0036】
さらに、準備工程においては、例えば図8に示すように、リード22の上面23aと側面23cとの角部に、リード22の側面23cからリード22の上面23aに沿う方向に突出する補助突起27を形成してもよい。この補助突起27は、例えばリードフレーム20を作製するエッチング加工により同時に形成することが可能であるが、例えば別の加工を施して形成されてもよい。なお、補助突起27は、少なくとも加圧成形工程後の状態において、リード22の下面23bに沿う方向に延出した係合突起25に対してリードフレーム20の厚さ方向に間隔をあけて位置していればよい。したがって、準備工程における係合突起25の突出方向は、図8(a)に示す方向に限らず、例えば上記実施形態と同様の方向(図4(a)に示す方向)であってもよい。
この場合、加圧成形工程の圧縮力によりリード22の厚さ寸法が縮められることで、係合突起25と補助突起27との間隔が狭められるため、係合突起25と補助突起27との間にある磁性粉末14が他の部分と比較してより大きく圧縮される。その結果、磁性体4とリード22との係合をさらに強化し、磁性体4に対するリードフレーム20の密着性をさらに高めることができる。
【0037】
また、準備工程において形成されるリード22の断面は、矩形状に限らず、例えば図10(a)に示すように、リード22の下面23bの面積がリード22の上面23aの面積よりも小さくなる台形状となっていてもよい。なお、図10(a)においてはリードフレーム20を上下逆さまに配置した状態で記載されている。また、リードに対して上記実施形態と同様の加圧成形工程を施した場合には、図10(b)に示すように、上記実施形態と同様に、係合突起25がリード22の下面23bに沿う方向に延出することになる。
【0038】
リード22が断面台形状となっている場合には、例えば図11に示すように、二つのリード22を互いに隣り合わせて配置した状態において、互いに隣り合うリード22の上面23a同士の間隔を狭く設定しても、リード22の下面23b同士の間隔が上面23a同士の間隔と比較して大きくなる。このため、互いに隣り合うリード22に形成された係合突起25が、加圧成形工程において互いに近づく方向に延びても、これら係合突起25同士が接触することを防止できる。すなわち、互いに隣り合うリード22の上面23a同士の間隔を狭く設定しても、磁性体基板2の回路が、係合突起25同士の接触によって短絡することを防止できる。言い換えれば、リード22の上面23aによって画成される磁性体基板2の電気配線の設計自由度を向上させることができる。
【0039】
また、準備工程における係合突起25は、リード22の下面23bに連なる緩やかな傾斜面25bを有していなくてもよく、例えばリード22の下面23bに連なる係合突起25の立ち上がり面がリード22の下面23bに対して直交していてもよい。
さらに、磁性体基板2の上面2aには、インダクタである磁性体基板2と共に電源回路を構成する半導体素子3が搭載されるとしたが、少なくとも各種電子回路を構成する電子部品が搭載されていればよく、例えばLED素子等の他の半導体素子3が搭載されてもよい。
【0040】
また、上記実施形態の磁性体基板2やこれを備える電子回路モジュール1においては、リード22の他端部24の先端部分が、磁性体4の下面4bに配されるとしたが、少なくとも半導体素子3やコイル5を外部に接続するための外部端子として機能すればよく、例えば磁性体4の側面4cから突出した位置に配されてもよい。
さらに、リード22は磁性体4の上面4aの外側に突出していなくてもよく、例えば磁性体4の上面4a側のみに配されていてもよい。
【0041】
また、磁性体4の上面4a側に配されるリード22は、細長い短冊板状に形成されるとしたが、例えば、半導体素子3を搭載するダイパッド等のように、半導体素子3との接触面積が大きい幅広の平板状に形成されていてもよい。この構成では、半導体素子3との接触面積が大きくなることで、半導体素子3において生じた熱を効率よくリード22に逃がすことができるため、より放熱性の高い磁性体基板2を提供することが可能となる。
さらに、全てのリード22が磁性体基板2の電気配線として構成される必要は無く、例えば一部のリード22は、半導体素子3に接触するだけで電気接続されなくてもよい。この構成において、一部のリード22は、半導体素子3において生じた熱を効率よく外部に逃がす、という役割を果たすことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電子回路モジュール
2 磁性体基板
2a 上面
3 半導体素子(電子部品)
4 磁性体
4a 上面
5 コイル
14 磁性粉末
20 リードフレーム
22 リード
23 一端部
23a 上面
23b 下面
23c 側面
24 他端部
25 係合突起
25b 傾斜面
27 補助突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性板材からなるリードフレームに備える断面四角形状のリードのうち前記リードフレームの厚さ方向に面する上面が、板状に形成された磁性体の上面から露出するように、前記リードを磁性体に封止してなる磁性体基板を製造する方法であって、
前記リードの下面と側面との角部に当該角部から突出する係合突起が形成された前記リードフレームを用意する準備工程と、
前記リードの下面及び側面が磁性粉末によって覆われた状態で前記磁性粉末を前記厚さ方向から圧縮することにより、前記磁性粉末を前記磁性体に成形する加圧成形工程とを備え、
当該加圧成形工程における圧縮力によって、前記磁性粉末の内部に埋設された前記リードの係合突起が、前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延びることを特徴とする磁性体基板の製造方法。
【請求項2】
前記準備工程において、前記係合突起を前記リードの下面から前記リードフレームの厚さ方向に突出させておくことを特徴とする請求項1に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程において、前記係合突起が前記リードの下面に連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面を有していることを特徴とする請求項2に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項4】
前記準備工程において、前記リードの上面と側面との角部に、当該側面から突出する補助突起が形成され、
前記加圧成形工程において前記係合突起が前記リードの下面に沿う方向に延出することで、前記補助突起に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項5】
前記準備工程において、前記リードの下面面積が当該リードの上面面積よりも小さくなるように前記リードが断面台形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される磁性体基板であって、
前記リードの上面が前記磁性体の上面から露出すると共に、前記リードの下面及び側面が前記磁性体の内部に埋設され、
前記係合突起が前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延出していることを特徴とする磁性体基板。
【請求項7】
前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されていることを特徴とする請求項6に記載の磁性体基板。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項1】
導電性板材からなるリードフレームに備える断面四角形状のリードのうち前記リードフレームの厚さ方向に面する上面が、板状に形成された磁性体の上面から露出するように、前記リードを磁性体に封止してなる磁性体基板を製造する方法であって、
前記リードの下面と側面との角部に当該角部から突出する係合突起が形成された前記リードフレームを用意する準備工程と、
前記リードの下面及び側面が磁性粉末によって覆われた状態で前記磁性粉末を前記厚さ方向から圧縮することにより、前記磁性粉末を前記磁性体に成形する加圧成形工程とを備え、
当該加圧成形工程における圧縮力によって、前記磁性粉末の内部に埋設された前記リードの係合突起が、前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延びることを特徴とする磁性体基板の製造方法。
【請求項2】
前記準備工程において、前記係合突起を前記リードの下面から前記リードフレームの厚さ方向に突出させておくことを特徴とする請求項1に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程において、前記係合突起が前記リードの下面に連ねて緩やかに立ち上がる傾斜面を有していることを特徴とする請求項2に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項4】
前記準備工程において、前記リードの上面と側面との角部に、当該側面から突出する補助突起が形成され、
前記加圧成形工程において前記係合突起が前記リードの下面に沿う方向に延出することで、前記補助突起に対して前記厚さ方向に間隔をあけて位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項5】
前記準備工程において、前記リードの下面面積が当該リードの上面面積よりも小さくなるように前記リードが断面台形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の磁性体基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される磁性体基板であって、
前記リードの上面が前記磁性体の上面から露出すると共に、前記リードの下面及び側面が前記磁性体の内部に埋設され、
前記係合突起が前記リードの側面から突出するように前記リードの下面に沿う方向に延出していることを特徴とする磁性体基板。
【請求項7】
前記磁性体内部にコイルが埋設されることで、インダクタとして構成されていることを特徴とする請求項6に記載の磁性体基板。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の磁性体基板と、前記リードに接触するように前記磁性体基板の上面に搭載された電子部品とを備えることを特徴とする電子回路モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−222598(P2011−222598A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87274(P2010−87274)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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