説明

磁性体管の欠陥検査用治具および欠陥検査方法。

【課題】プローブを用いた磁性体管の欠陥検査において、プローブの磁性体管への挿入、および磁性体管からの取出しを容易に行うための治具および磁性体管の欠陥検査方法を提供すること。
【解決手段】本発明の磁性体管の欠陥検査用治具は、円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、複数の空気噴射孔を有してなるプローブを磁性体管に挿入および/または取出して磁性体管の欠陥を検査する際に使用する治具であって、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体管の欠陥を容易に検査するのに必要な治具およびそれを用いる欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の検査方法の一つとして渦流探傷法が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼、チタン、銅合金などの非磁性体管の検査では、内挿型の渦流探傷用プローブを用いた渦流探傷が広く行われている。
炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、フェライト相とオーステナイト相の二相からなる二相ステンレス鋼などの磁性体管の検査においては、非磁性体管の渦流探傷用プローブでは渦電流が表面しか流れないこと、透磁率の局部的な変動に起因するノイズが検出能に悪影響を及ぼすことから精度良く欠陥の探傷ができない。
【0003】
弱磁性体管である二相ステンレス伝熱管の渦流探傷用プローブとして、円柱状ヨークの中央部の周囲に検出コイルを配置し、その両側のヨークの周囲に、磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように永久磁石を装着したプローブが知られている(例えば、非特許文献1参照。)
このようなプローブを用いた磁性体管、特に炭素鋼などの強磁性体管の欠陥検査においては、強力な永久磁石によってプローブが磁性体管へ貼り付き、プローブの磁性体管への挿入、および磁性体管からの取出しが容易ではない。プローブから空気を噴射して行うことによって、プローブの磁性体管内の移動は改良されるが、なお不十分であり、またプローブの磁性体管からの取出しは困難である。
したがって、強磁性体管の欠陥検査においても、プローブの磁性体管への挿入、および磁性体管からの取出しが容易に行える方法が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】非破壊検査 第42巻 第9号 520〜526頁 平成5年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プローブを用いた磁性体管の欠陥検査において、プローブの磁性体管への挿入、および磁性体管からの取出しを容易に行えるための治具およびそれを用いた磁性体管の欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、磁性体管の渦流探傷方法について鋭意検討した結果、円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、ヨークの軸方向の内部に空気導入孔および空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを用いて磁性体管の欠陥を検査する際に、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプを用いて行うことによって、プローブの磁性体管への挿入や磁性体管からの取出しが容易に行えることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、ヨークの軸方向の内部に空気導入孔および空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを磁性体管に挿入および/または取出して磁性体管の欠陥を検査する際に使用する治具であって、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプからなることを特徴とする磁性体管の欠陥検査用治具である。
および円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、ヨークの軸方向の内部に空気導入孔および空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを磁性体管に挿入および/または取出して磁性体管の欠陥を検査する際に、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプからなる治具を用いて、プローブの磁性体管への挿入および/または磁性体管からの取出しを行うことを特徴とする磁性体管の欠陥検査方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の治具を用いることによって、プローブの磁性体管内への挿入および磁性体管からの取出しを容易に行え、磁性体管の欠陥を容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プローブの一例を示す断面模式図である。
【図2−A】プローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。
【図2−B】プローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。
【図2−C】プローブの永久磁石取り付け方法の模式図である。
【図3】プローブの回路図である。
【図4】空気流出防止栓を磁性体管に挿嵌した時の断面模式図である。
【図5】ガイドパイプの断面模式図である。
【図6】ガイドパイプを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は磁性体管の渦流探傷法による欠陥検査方法で使用するプローブの一例を示す断面模式図である。
円柱状ヨーク1の中央部の周囲に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている。図では左側にN極、右側にS極になるように装着されている。
永久磁石2の両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。図では永久磁石3はヨーク側がS極、外側がN極、永久磁石4はヨーク側がN極、外側がS極になるように装着されている。
中央部の永久磁石2の上に検出コイル5が配置されている。その両側には内側励磁コイル6が配置されている。
プローブの両端部にはガイド7、8が設けられている。ヨーク1の略中心部に空気導入孔9、および両端部に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔10が設けられている。
空気導入孔9へ空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホース11が取り付けられている。
なお、コイルの導線およびその取り出し孔は図示されていない。
【0011】
ヨークとしては、炭素鋼、低合金鋼などの高透磁率金属が用いられる。
永久磁石としては、例えば、ネオジム磁石などの高性能永久磁石が用いられる。中央部に装着する永久磁石2としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜10mmのリング状のものが用いられる。永久磁石2の両側に装着される永久磁石3および永久磁石4としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜30mm、好ましくは約10〜30mmのリング状のものが用いられる。永久磁石3および永久磁石4は長い方が、探傷精度が向上するが、約30mmを超えてもそれに見合った効果は得られない。なお、永久磁石3および永久磁石4のヨークの半径方向の大きさ、厚さは探傷する磁性体管の大きさに合わせて変更される。
【0012】
半径方向の磁化を有するリング状の永久磁石は製作コストがかかるため、通常、図2−Aに示すように、四分割等の分割形状にして円柱状ヨークの周囲に装着し使用される。該1/4周分割の永久磁石を円柱状ヨークに装着するときは図2−Bに示す如くダミーの鉄片あるいは装着する永久磁石とは磁化方向が逆の永久磁石を間に挟むことにより対面の永久磁石の反発力が解消されて容易に装着が可能となる。円柱状ヨークへの永久磁石の装着方法は特に限定されないが、接着剤、例えばアクリル系接着剤を用いて接着して装着される。一対の永久磁石を装着後、ダミーの鉄片もしくは装着した永久磁石とは磁化方向が逆の永久磁石を取り除いて、この位置に、円柱状ヨークとの接触面に接着剤を塗布したもう一対の永久磁石を装入し、対面する永久磁石を万力等で接着剤が接着効果を奏するまで挟み保持することにより容易に円柱状ヨークに永久磁石を装着することができる。また、別法として図2−Cに示すように、円柱状ヨークの周囲に接着剤を介して半径方向に磁化を有する永久磁石を並べ、この永久磁石を覆うように、磁化方向が逆になったダミーの永久磁石を、隣り合う永久磁石にまたがって配置する場合には、反発力が緩和され、万力等を用いて固定しなくても、容易に円柱状ヨークに永久磁石を接着し得る。ダミーの永久磁石は接着剤が効果を発現した後、取り除けばよい。
【0013】
2個の検出コイル5および2個の内側励磁コイル6としては、各々、例えば、素線径が約0.05〜0.1mmφの銅線を、幅が約0.8〜1.2mm、深さが約0.8〜1.2mmで、約60〜80回巻いて形成される。
内側励磁コイルは、渦電流の導電範囲を欠陥近傍のみに抑制し、微小な欠陥のS/N比を改善し、管端近傍の影響を軽減するので、設けることが好ましい。
【0014】
プローブの両端部のガイド7、8は、アセタール樹脂、ステンレス鋼などで形成され、ねじ構造によってヨークに装着される。
【0015】
ヨーク1に設けられた空気導入孔9から空気が導入され、空気噴射孔10から空気が噴射される。磁性体管の探傷ではプローブに装着した強力な永久磁石による管内面への張り付きによって、プローブの走査および芯出しが困難になるが、空気噴射孔から垂直に空気が噴射されることによって、管への張り付きを軽減させることができ、プローブの引き出しが容易になる。
なお、空気噴射孔10は、例えば、孔径が約2mmφで、空気導入孔9から周方向に約6〜10本設けられる。
【0016】
プローブとしては、上記のプローブ以外に、上記のプローブで中央部の永久磁石2および/または2個の内側励磁コイル6のないプローブが挙げられる。
なお、保護ホースを設けずに、空気を供給するチューブにコイルの導線を沿わせて行うことも可能であるが、導線の保護、プローブの移動を円滑に行うために保護ホースを設けるのが好ましい。保護ホースとしては特に制限されるものではないが、例えばポリウレタンチューブ等が使用される。
【0017】
コイルは導線によって過流探傷装置に接続され、時間-電圧特性などを求め、欠陥を検査する。
図3にプローブの回路図を示す。2個の検出コイルL1、L2および2個の内側励磁コイルL3、L4および4個の可変抵抗器R1、R2、R3、R4を、ロックインアンプに対して並列に接続し、検出コイルL1、L2と可変抵抗器R1、R2がホイストンブリッジ回路となるように、ロックインアンプの入力信号用の端子と接続している。
【0018】
探傷は次のようにして行う。
所定の試験周波数、例えば、実際の探傷で探傷感度が高い100kHz、印加電圧5vの時の検出コイルおよび内側励磁コイルのインピーダンスを測定し、可変抵抗器R1、R2の抵抗値を、その測定した抵抗値に調整する。またこのときの検出コイルと可変抵抗器の合成インピーダンスを測定し、内側励磁コイルに接続する可変抵抗器R3、R4の抵抗値を、その測定した抵抗値の前後に変化させて探傷し、最終的に検出感度が良い条件で探傷を行う。
プローブによる探傷速度は、約2〜50mm/秒であり、より小さい欠陥を精度良く検出するためには、約2〜10mm/秒が好ましい。
【0019】
プローブの空気噴射孔から空気を噴射することによって、管への張り付きを軽減させることができ、プローブの引き出しは容易になるが、プローブを磁性体管内に挿入する際に、保護ホースの材質にもよるが、保護ホースが曲がってしまい、プローブを挿入することは難しい。
磁性体管のプローブを挿入する側に空気流出防止栓を挿嵌して空気の流出を防止することによってプローブを自動的に磁性体管内に挿入することができる。
図4は空気流出防止栓を磁性体管に挿嵌した時の断面模式図である。磁性体管13にプローブ12が挿入され、磁性体管の端に保護ホース11が挿通された空気流出防止栓14が挿嵌されている。空気流出防止栓14の保護ホース11が挿通する孔は、保護ホース11が自由に動くことができる範囲で出来るだけ空気の流出を防止するために小さくする。空気流出防止栓と保護ホースとの間隔は、通常、0.5mm程度である。
空気流出防止栓は非磁性体製であり、通常、樹脂製のものが使用され、予め保護ホースを挿通させておく。
【0020】
磁性体管に空気流出防止栓を挿嵌することによって、プローブと空気流出防止栓との間に空気が充満し、その圧力でプローブは前方へ自動的に挿入され、プローブの挿入側と反対側の管端まで達する。プローブの一方の空気噴射孔が管端より出るところまではプローブが管端から出るが、プローブの永久磁石の磁力によって磁性体管に引き付けられて、プローブが反対側の管端から飛び出すことはない。
【0021】
欠陥の探傷は、空気流出防止栓を外し、磁性体管のプローブの挿入側と反対側の管端から挿入側へプローブを、保護ホースを手動または引っ張り機で引っ張って、移動させて行う。
挿入側まで探傷した後、磁性体管のプローブの挿入側の管端にガイドパイプを付き合わせ、プローブをこのガイドパイプ内に移動させ、磁性体管からプローブを取り出す。
【0022】
図5はガイドパイプ15の断面模式図、図6はガイドパイプ15の使用時の模式図である。
ガイドパイプ15は、磁性体管13のプローブ12を挿入する側に付き合わせ、プローブの磁性体管からの取出しおよび/または磁性体管への挿入を行うためのものであり、磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口している。
ガイドパイプは磁性体からなり、通常、検査する磁性体管と同じものが用いられる。
【0023】
ガイドパイプを磁性体管のプローブを挿入する側に付き合わせて、プローブを引き出して、図6に示すようなプローブの一部がガイドパイプ内に入ると、磁性体管13とガイドパイプ15は磁力で接合する。プローブ12の全部がガイドパイプ15内に入ってしまうと、プローブ12を収納したガイドパイプ15は磁性体管13から自然に外れ、磁性体管からプローブを容易に取り出すことができる。
ガイドパイプを用いずに、プローブを磁性体管より引き出す場合には、プローブと磁性体管は磁力で強く接合されているために、引き出すのに強い力を必要とし、引き出した際に飛び出して危険である。
【0024】
プローブを収納したガイドパイプからプローブを引き出す必要はなく、そのまま次の検査する磁性体管に付き合わせ、プローブを押し出して磁性体管内に挿入した後、ガイドパイプを外す。引き続き上記したように、予め保護ホースを挿通させておいた空気流出防止栓を磁性体管に挿嵌し、空気の圧力によって、プローブを挿入側と反対側の管端まで移動させ、プローブを引いて探傷し、プローブの挿入側まで探傷したらガイドパイプを磁性体管のプローブを挿入する側に付き合わせて、プローブを引き出す。これを繰り返して熱交換器などの多数の磁性体管の欠陥検査を行う。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
磁性体管として強磁性体管(炭素鋼STB340、外径φ34mm×厚み2.3mm×長さ900mm)を用い、図1に示すと同様のプローブを用いて、プローブの挿入、取出し試験を行った。
【0027】
プローブの材料および形状を以下に示す。
ヨーク1:炭素鋼S15C焼鈍材
永久磁石2:ネオジウムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ25.5mm×内径φ21mm×長さ6.4mmのリング状
永久磁石3、4:ネオジムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ28mm×内径φ21mm×長さ30mmのリング状を四分割したも
の。
検出コイル5、内側励磁コイル6:
各コイルともに、線径φ0.08mmの銅線を使用し、寸法は幅1.0mm×
深さ1.0mm、巻数は70回、コイル間隔は0.8mmとした。
ガイド7、8:ポリアセタール(コポリマー)ジュラコン(登録商標)(ポリプラス
チック(株)製)、外径φ28.4mm
永久磁石をヨークに接着するための接着剤:
アクリル系接着剤ハードロック(登録商標)(電気化学工業(株)製)
空気導入孔:直径φ4mmの孔
空気噴射孔:永久磁石の両側(ガイド部)に空気導入孔から半径方向にそれぞれ8本の直径φ2mmの孔
空気供給ホース:塩化ビニール製、外径φ6mm
なお、保護ホースは設けず、空気供給ホースでプローブの移動を行った。
【0028】
空気流出防止栓、ガイドパイプ材料および形状を以下に示す。
空気流出防止栓:
図4に示す形状で、右側の最大部が直径φ50mm×高さ30mmの円柱、中央部が上部径φ27mm×下部径φ32mm×高さ32mmの円錐台、左側の最小部が直径φ21.5mm×高さ30mmの円柱、中心部の孔径がφ6.3mm、ポリアセタール(コポリマー)ジュラコン製
ガイドパイプ:
図5に示す形状で、同じ強磁性体管(炭素鋼STB340)からなり、外径φ34mm×厚み2.3mm×長さ147mm、開口の幅が10mm
【0029】
プローブを磁性体管内に入れ、レギュレーターで圧力を0.2MPaに制御した空気を、空気供給ホースを経て供給して噴射した。空気流出防止栓を磁性体管に挿嵌すると、プロ−ブは押し出されて磁性体管の内部に挿入され、挿入側と反対側の管端に達した。プローブの一方の空気噴射孔が管端より出るところまではプローブは管端から出たが、その位置で止まった。
次に空気流出防止栓を外し、空気供給ホースを引っ張ってプローブを挿入側に戻した。戻す間に欠陥の探傷を行う。次に空気供給ホースを開口部からガイドパイプに入れ、ガイドパイプを磁性体管の管端に付き合わせた。そして空気供給ホースを引っ張ってプローブをガイドパイプ内に入れた。プローブの一部がガイドパイプ内に入ると、磁力によってガイドパイプは磁性体管に接合した。プローブの全部がガイドパイプに入ると接合していたガイドパイプは強磁性体管から自然に外れた。
【0030】
空気供給ホースにばね秤(5kgまで測定可能)を結びつけてプローブの推進力を測定した結果、空気圧力が0.2MPaの時は3.6kg(5回の測定の平均値)、空気圧力が0.1MPaの時は0.9kg、空気圧力が0.3MPaの時は5kg以上であった。
また、ガイドパイプを用いずに単にプローブを強磁性体管から外そうとする時の力は5kg以上であった。
【符号の説明】
【0031】
1 ヨーク
2 永久磁石
3 永久磁石
4 永久磁石
5 検出コイル
6 内側励磁コイル
7 ガイド
8 ガイド
9 空気導入孔
10 空気噴射孔
11 保護ホース
12 プローブ
13 磁性体管
14 空気流出防止栓
15 ガイドパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、ヨークの軸方向の内部に空気導入孔および空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを磁性体管に挿入および/または取出して磁性体管の欠陥を検査する際に使用する治具であって、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプからなることを特徴とする磁性体管の欠陥検査用治具。
【請求項2】
円柱状ヨークの周囲に永久磁石および検出コイルが配置され、ヨークの軸方向の内部に空気導入孔および空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを磁性体管に挿入および/または取出して磁性体管の欠陥を検査する際に、(1)空気を供給するチューブおよび検出コイルの導線が挿入され、プローブを移動させる保護ホースを挿通する孔を有する空気流出防止栓、および/または(2)磁性体管と略同じ内径および少なくともプローブを内部に収納できる長さを有し、少なくとも保護ホースを出し入れできる幅で長さ方向の全てが開口し、磁性体から形成されているガイドパイプからなる治具を用いて、プローブの磁性体管への挿入および/または磁性体管からの取出しを行うことを特徴とする磁性体管の欠陥検査方法。

【図1】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図2−C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−266311(P2010−266311A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117352(P2009−117352)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】