説明

磁性流体研磨方法および研磨装置

【課題】加工品質を不安定化することなく、研磨量を大きくして研磨時間を短縮することが可能な磁性流体研磨技術を提供する。
【解決手段】工具軸4に固定されて自転する永久磁石5からなる研磨工具3に、磁力で磁性流体研磨材6を保持して、一定の加工間隙dを保ちながらワーク30の被加工表面31に接触させて研磨加工を行う磁性流体研磨において、永久磁石5のワーク30の加工部位32を通る回転円周5aの、回転方向における上流側に磁性流体研磨材6に接する調節部材40を配置し、回転円周5aの上流側における磁性流体研磨材6の厚さを、加工間隙dよりも大きな制御厚さeに設定し、磁性流体研磨材6が制御厚さeから加工間隙dに押し潰されるようにして研磨荷重を大きくして研磨量の大きな研磨加工を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性流体研磨方法および研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、光学素子の成形に用いられる金型などの曲面を高精度に研磨する方法として、磁性粉および分散媒からなる磁性流体に非磁性研磨材を混合した磁性流体研磨材を磁力により研磨工具に保持して研磨加工を行う技術が知られている。
【0003】
すなわち、研磨工具の先端部に保持された磁性流体研磨材が被加工物に接した状態で研磨工具を自転させつつ、被加工物に対して相対的に走査することで研磨加工を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−98541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、図1に示されるように、工具軸に支持されて自転する研磨工具と被加工物の表面である加工面との間隙(加工間隙d)を一定に保って加工を行っているが、研磨工具に保持された磁性流体研磨材の厚さは自転する研磨工具の回転円周上で加工間隙dにほぼ等しい値に一定となり、被加工物に接触する際に殆ど弾性変形が発生しない。
このため得られる研磨量が小さく研磨時間が長くなる、という技術的課題があった。
【0006】
すなわち、研磨量δは、式(1)の研磨理論式で表される。
【0007】
δ=k・P・V・t ………(1)
ただし、この式(1)において、k:係数、P:研磨荷重、V:研磨工具(ポリッシャ)とワークの相対速度、t:滞留時間(=1/送り速度)である。
【0008】
従来技術のように、自転する研磨工具と被加工物の表面との間隙を加工間隙dに一定に保って加工を行う場合には、そのままでは、加工部位を通る回転円周上で磁性流体研磨材の厚さが一定となり被加工物に接触する際に殆ど弾性変形が発生しないため、加工部位での前記研磨荷重Pが小さくなり、得られる研磨量δが小さくなる。
【0009】
また、研磨量δを大きくするために、加工中に研磨工具と被加工物の間隙を変化させることが考えられるが、研磨荷重Pが変動することとなり、加工品質が不安定になるという別の技術的課題を生じる。
【0010】
本発明の目的は、加工品質を不安定化することなく、研磨量を大きくして研磨時間を短縮することが可能な磁性流体研磨技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、研磨工具に磁性流体と研磨材との混合流体である磁性流体研磨材を磁力により保持させ、前記研磨工具を自転させながら被加工物の表面を相対的に走査して行う磁性流体研磨方法であって、
前記研磨工具に保持された前記磁性流体研磨材の厚さを、前記研磨工具の加工作用部の回転円周上において任意の厚さに調節する磁性流体研磨方法を提供する。
【0012】
本発明の第2の観点は、磁力を発生する研磨工具と、
磁性流体と研磨材との混合流体からなり前記磁力により前記研磨工具に保持される磁性流体研磨材と、
を含み、自転する前記研磨工具が被加工物の表面を相対的に走査して研磨を行う研磨装置であって、
前記研磨工具の加工作用部に保持された前記磁性流体研磨材の厚さを調節する調節手段を具備した研磨装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工品質を不安定化することなく、研磨量を大きくして研磨時間を短縮することが可能な磁性流体研磨技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の磁性流体研磨における加工状態を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態の一態様の原理を説明する概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態である磁性流体研磨方法を実施する研磨装置の構成の一例を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である研磨装置に備えられる調節部材の構成の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態である研磨装置の加工中における研磨工具の部位を拡大して例示した側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態である研磨装置の加工中における研磨工具の部位を拡大して例示した正面図である。
【図7】本発明の一実施の形態である研磨装置の変形例における研磨工具の部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態では、一態様として、図2の概念図に例示されるように、磁力によって研磨工具の外周に保持されて加工部位(加工作用点)に達する前の磁性流体研磨材の厚さ(以下、制御厚さeと記す)を、研磨工具と被加工物表面との間隙(以下、加工間隙dと記す)よりも厚くなるように調整する。
【0016】
前記加工間隙dより大きい制御厚さeに調整された磁性流体研磨材の層は、加工部位に達した際に圧縮応力を受けて弾性変形する。これにより、加工間隙dが一定の状態で磁性流体研磨材が加工部位に与える研磨荷重Pは大きくなるため研磨力は従来技術と比較して大きくなり、加工品質を不安定化することなく、研磨量δを大きくして研磨時間を短縮でき、加工効率を向上させることができる。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、以下の本実施の形態の説明では、各図において、X、Y、Zの各方向は図示の通りとし、左右方向をX方向、上下方向をZ方向、紙面に垂直な方向をY方向として説明する。また、一例として、Z方向は鉛直方向、X−Y平面は水平面とする。
【0018】
図3は、本発明の一実施の形態である磁性流体研磨方法を実施する研磨装置の構成の一例を示す側面図である。
図4は、本発明の一実施の形態である研磨装置に備えられる調節部材の構成の一例を示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施の形態である研磨装置の加工中における研磨工具の部位を拡大して例示した側面図である。
【0019】
図6は、本発明の一実施の形態である研磨装置の加工中における研磨工具の部位を拡大して例示した正面図である。
なお、図6には、図3および図5における矢印Aの方向から見た状態が例示されている。
【0020】
図3に例示されるように、本実施の形態の研磨装置M1は、ワーク保持具23を介してワーク30(被加工物)が搭載されるワークステージ21と、スライド板7および工具テーブル1が搭載されたスタンド8を備えている。
【0021】
工具テーブル1にはスピンドル2が取り付けられている。スピンドル2には着脱可能な研磨工具3がチャックされている。なお、スピンドル2の内部にはスピンドルモータ(図示省略)が備えられており、研磨工具3は当該スピンドルモータの回転に連動して自転する。
【0022】
研磨工具3は、スピンドルモータに接続されて回転する工具軸4と、球形状をした永久磁石5(加工作用部)とからなる。永久磁石5は、その磁力によって表面に後述の磁性流体研磨材6を保持するように機能する。
【0023】
本実施の形態の場合、磁性流体研磨材6は、例えば、鉄粉等の磁性粒と純水等の分散媒とからなる磁性流体と、非磁性体のダイヤモンド砥粒等の研磨材との混合流体であり、磁性および研磨性を有している。
【0024】
工具テーブル1は、スライド板7に取り付けられている。スライド板7は、スタンド8に固定されたガイド9に沿って、Z軸方向(鉛直方向)の上下移動が可能となっており、これにより工具位置の調整を行なうことができる。
【0025】
工具テーブル1の下方にはワークステージ21が配置されている。ワークステージ21は、ワークテーブル22、ワークスピンドル25、およびモータ26からなる。
【0026】
ワークテーブル22は、ステッピングモータ(図示省略)により、図3に示すX軸方向(水平方向)およびZ軸方向(鉛直方向)に移動可能となっており、更に、別のモータ(図示省略)により、図3に示すB軸方向に揺動可能となっている。
【0027】
なお、このX軸方向、Z軸方向、およびB軸方向の移動は、NC装置による数値制御に基づいて行われる。
ワークテーブル22上にはワーク保持具23が取り付けられており、ワーク30を着脱自在に保持することができる。なお、ワーク30は固定ねじ24によりワーク保持具23へ固定する。
【0028】
ワーク保持具23の下方には、ワークスピンドル25とワークスピンドル25を回転させるモータ26とが取り付けられている。モータ26を回転させることによりワーク30を回転させることができる。
【0029】
本実施の形態の研磨装置M1の場合、研磨工具3には、当該研磨工具3の自転とともに移動する磁性流体研磨材6の移動方向における加工部位32の上流側に調節部材40(調節手段)が配置されている。
【0030】
この調節部材40は、図4に例示されるように、垂直面部材41、斜面部材42、および可動支持アーム43で構成され、可動支持アーム43の基端部に設けられたアーム固定部材44を介してスタンド8に固定されている。
【0031】
この可動支持アーム43は、例えば、折り曲げ自在で、任意の折り曲げ状態が維持可能な「スタンドアーム」等で構成され、研磨工具3に対する調節部材40の位置関係を随意に調整および設定することが可能になっている。
【0032】
すなわち、本実施の形態の場合、図6に例示されるように、可動支持アーム43の折り曲げ状態を適宜調整することで、調節部材40は、垂直面部材41が、研磨工具3の永久磁石5の自転によりワーク30の加工部位32を通過する回転円周5aの上流側の側面においてZ−X平面に平行になるように配置される。
【0033】
さらに本実施の形態の場合には、永久磁石5と垂直面部材41との隙間に挟まれる磁性流体研磨材6の、当該回転円周5aが通過する位置での厚さが制御厚さe(任意の厚さ)になるように配置位置が設定される。
この制御厚さeの値は、可動支持アーム43の屈曲状態を変化させることで随意の値に設定できる。
【0034】
また、垂直面部材41の上端に接続された斜面部材42は、垂直面部材41に対して鈍角の交差角度θをなしており、この垂直面部材41と斜面部材42で、永久磁石5を取り囲むように配置される。
【0035】
この調節部材40の配置により、本実施の形態の研磨装置M1では、磁力によって研磨工具3の永久磁石5に保持された磁性流体研磨材6は、回転円周5aが通過する上流側の制御厚さeの斜面部材42に導かれて垂直面部材41と永久磁石5の間に流れ込むように制御される。
【0036】
なお、本実施の形態の調節部材40は、平面的な垂直面部材41と斜面部材42を組み合わせた簡易的な形状であるが、研磨工具3の永久磁石5の球形に倣う曲面形状にしてもよい。
次に、図3に示した研磨装置M1を使用して行う、凸形状のワーク30の研磨の方法について説明する。
【0037】
まず、凸形状であるワーク30をワークステージ21に取り付ける。次に、ワーク30の位置を固定ねじ24により調整し、ワークテーブル22を回転させた際に、ワーク30の加工面の振れが生じないようにして固定する。続いて、研磨工具3の先端の永久磁石5に磁性流体研磨材6を磁力で付着させる。
【0038】
さらに、本実施の形態の場合には、上述の図6に例示されるように調節部材40を磁性流体研磨材6に接する前記所定位置(磁性流体研磨材6が制御厚さeとなる位置)に配置する。
【0039】
次に、スピンドルモータによりスピンドル2を例えば100rpmで回転させて研磨工具3を回転させる。併せて、モータ26によりワークスピンドル25を例えば120rpmで回転させてワーク30を回転させる。
【0040】
次に、この状態でワークテーブル22を水平方向に移動し、研磨工具3がワーク30の端面の加工開始位置の上方に位置するようにする。続いて、スライド板7を下降させて、ワーク30と研磨工具3の先端(すなわち永久磁石5)との隙間である加工間隙dが例えば0.4mmになるまで両者を近づけ、研磨工具3で保持されている磁性流体研磨材6がこの隙間に介在してワーク30に当接して研磨加工できる状態とする。
【0041】
このとき、本実施の形態の場合、研磨工具3の永久磁石5に保持された磁性流体研磨材6は、粘性と永久磁石5の磁力とによって永久磁石5の自転に追随して移動し、加工部位32を通る回転円周5aでは、研磨工具3の永久磁石5と調節部材40の隙間(制御厚さe)を通過して加工間隙dの加工部位32に移動する状態となる。
【0042】
ワーク30の加工中は、NC装置による数値制御を実施することで、上記の加工間隙dをそのまま一定に保ちつつ、ワーク30表面の加工部位32における接線に対し研磨工具3のワーク30への加重の方向が常に垂直になるようにX軸方向およびZ軸方向の位置制御を行いながら、当該加工点を中心にワークテーブル22をB軸方向に揺動させることにより、ワーク30の中心部へと研磨工具3を走査させる。
【0043】
その後、ワーク30の端まで研磨工具3を走査させると研磨は一旦完了する。この動作を1サイクルとし、所望の鏡面形状が得られるまでこのサイクルを繰り返すことで、ワーク30の加工面全体に渡る研磨が行われる。
【0044】
ここで、本実施の形態の場合、上述のように研磨工具3の永久磁石5とワーク30の被加工表面31との間隙を加工間隙dに固定して加工を行う場合、上述の図6のように、調節部材40を研磨工具3の先端の永久磁石5の上周部に配設している。
【0045】
このため、直接にワーク30の被加工表面31に接触せず、図5のように加工部位32の反対側の滞留部6aに溜まった磁性流体研磨材6は研磨工具3の永久磁石5の回転に伴って調節部材40の面に沿って流れ、垂直面部材41を通過する際(すなわち、加工部位32に接触する直前)には、永久磁石5の周囲の磁性流体研磨材6の厚さは一定の制御厚さeに調整される。
【0046】
そして、d<eとなるように制御厚さeを設定すれば、磁性流体研磨材6は、永久磁石5の自転によって加工部位32に接触する際に一部が押し潰されるように弾性変形し加工部位32では圧縮弾性応力が働き、研磨荷重Pが大きくなり、加工間隙dが一定のままでも、研磨量δが大きくなるため、研磨加工の効率が向上する。
【0047】
すなわち、研磨加工における加工所要時間が短縮される。
また、制御厚さeと加工間隙dの関係が一定であれば、加工部位32に作用する研磨荷重Pの増加量も一定となり、加工が安定する。
【0048】
なお、上述の説明では、調節部材40を可動支持アーム43を介してスタンド8に固定する場合を例示したが、図示しないサーボモータ等で駆動されるアームの先端部に調節部材40を固定して、加工間隙dの変化等に同期して制御厚さeを変化させることが可能な構成としてもよい。
【0049】
図7は、本実施の形態の変形例である研磨装置M2の構成例を示す研磨工具の部分の正面図である。
この変形例の研磨装置M2では、上述の調節部材40の代わりに、磁力発生部材としての調節マグネット50(調節手段)を用いる点が異なり、他の構成は同様である。
【0050】
すなわち、この変形例の研磨装置M2の場合には、上述の調節部材40と同じ位置に、磁性流体研磨材6に対して非接触に、可動支持アーム43によって支持された調節マグネット50を配置し、この調節マグネット50が発生する磁力によって、磁性流体研磨材6の厚さを制御厚さeに制御する。
【0051】
この場合、調節マグネット50は、各々の磁力(通電量)が独立に制御可能な電磁石からなる複数のマグネットユニット51を、磁性流体研磨材6に面する端部の極性が異なるように束ねた構成となっている。
【0052】
この調節マグネット50に接続される通電ケーブル52は、コントローラ53に接続され、このコントローラ53によって、ここのマグネットユニット51の磁力の大きさを制御することで、調節マグネット50の磁力の大きさや強度分布を制御する。
【0053】
なお、通電ケーブル52は、中空の可撓性のスタンドチューブ等からなる可動支持アーム43の中に配線することができる。
この場合にも、上述の調節部材40の場合と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、調節マグネット50に対する通電量の制御によって、磁力の強さや分布を任意に制御できるため、例えば、加工中に加工間隙dを変化させる場合でも、当該加工間隙dの変化に同期して制御厚さeを経時的に変化させるような複雑な制御も容易に実現できる。
【0055】
以上説明したように、本発明の各実施の形態によれば、研磨工具3の永久磁石5に磁力で保持され、加工部位32に接する直前の磁性流体研磨材6の厚さを一定の制御厚さeに調整するので、加工部位32に接する際の磁性流体研磨材6による研磨荷重Pが一定となり、安定した研磨加工が実現できワーク30の加工品質が向上する。
【0056】
また、加工部位32に接する直前の磁性流体研磨材6の厚さを、研磨工具3の永久磁石5とワーク30の被加工表面31との間隙である加工間隙dよりも厚い制御厚さeに調整するため、加工部位32に接する際の磁性流体研磨材6に圧縮応力が働いて研磨荷重Pが増し、加工能力を向上することができ、研磨加工のリードタイム(L/T)の短縮を実現できる。
【0057】
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、研磨工具3の永久磁石5に磁力で保持された磁性流体研磨材6に気体を吹き付けて、上述の制御厚さeとなるように磁性流体研磨材6の外形を成形する方法でもよい。
【0058】
また、調節部材40を用いる場合には、所望の容器に貯留された磁性流体研磨材6の中に、ワーク30および研磨工具3を浸漬して加工する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 工具テーブル
2 スピンドル
3 研磨工具
4 工具軸
5 永久磁石
5a 回転円周
6 磁性流体研磨材
6a 滞留部
7 スライド板
8 スタンド
9 ガイド
21 ワークステージ
22 ワークテーブル
23 ワーク保持具
24 固定ねじ
25 ワークスピンドル
26 モータ
30 ワーク
31 被加工表面
32 加工部位
40 調節部材
41 垂直面部材
42 斜面部材
43 可動支持アーム
44 アーム固定部材
50 調節マグネット
51 マグネットユニット
52 通電ケーブル
53 コントローラ
M1 研磨装置
M2 研磨装置
P 研磨荷重
d 加工間隙
e 制御厚さ
δ 研磨量
θ 交差角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨工具に磁性流体と研磨材との混合流体である磁性流体研磨材を磁力により保持させ、前記研磨工具を自転させながら被加工物の表面を相対的に走査して行う磁性流体研磨方法であって、
前記研磨工具に保持された前記磁性流体研磨材の厚さを、前記研磨工具の加工作用部の回転円周上において任意の厚さに調節することを特徴とする磁性流体研磨方法。
【請求項2】
請求項1記載の磁性流体研磨方法において、
前記磁性流体研磨材の前記厚さは、前記磁性流体研磨材が前記回転円周上の加工部位に達する直前に、前記研磨工具と前記被加工物の加工面との間隙よりも大きくなるように調整することを特徴とする磁性流体研磨方法。
【請求項3】
磁力を発生する研磨工具と、
磁性流体と研磨材との混合流体からなり前記磁力により前記研磨工具に保持される磁性流体研磨材と、
を含み、自転する前記研磨工具が被加工物の表面を相対的に走査して研磨を行う研磨装置であって、
前記研磨工具の加工作用部に保持された前記磁性流体研磨材の厚さを調節する調節手段を具備したことを特徴とする研磨装置。
【請求項4】
請求項3記載の研磨装置において、
前記調整手段は、前記研磨工具の前記加工作用部の回転円周上の加工部位に達する直前の前記磁性流体研磨材の前記厚さが、前記研磨工具と前記被加工物の加工面との間隙よりも大きくなるように調整することを特徴とする研磨装置。
【請求項5】
請求項4記載の研磨装置において、
前記調整手段は、前記研磨工具の前記加工作用部の前記回転円周上において、前記加工部位の上流側で前記磁性流体研磨材に接するように配置された調節部材であることを特徴とする研磨装置。
【請求項6】
請求項4記載の研磨装置において、
前記調整手段は、前記研磨工具の前記加工作用部の前記回転円周上において、前記加工部位の上流側で前記磁性流体研磨材を非接触に吸引する磁力発生部材であることを特徴とする研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−83827(P2011−83827A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235846(P2009−235846)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】