説明

磁性連動装置およびローラコンベヤ

【課題】搬送ローラを回転させる磁気車が移動しにくいローラコンベヤを提供する。
【解決手段】同じ大きさの内側磁気車11と外側磁気車21とを同じ軸体に取り付ける。内側磁気車11の外周面11aの螺旋状のS極帯14およびN極帯15と外側磁気車21の外周面21aの螺旋状のS極帯14およびN極帯15とを正反対にするとともに等しい螺旋ピッチにする。内側磁気車11および外側磁気車21を連動させて回転させた際に、内側磁気車11に作用する軸力と、外側磁気車21に作用する軸力とが正反対になるとともに同じ大きさになる。内側磁気車11に作用する軸力と、外側磁気車21に作用する軸力とを打ち消すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる磁極が螺旋状に形成された複数の磁性体を有する磁性連動装置およびローラコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気的な引力あるいは反発力を利用した駆動装置としては、周方向に向けてN極およびS極とが交互に形成された外周面を有する円筒状の第1磁性体を備えている。そして、外周面にN極およびS極が交互に軸方向に向けて螺旋状に形成された円筒状の第2磁性体の回転軸方向を、第1磁性体の回転軸方向に直交させた状態で、この第1磁性体の下方に非接触な状態で第2磁性体が回転可能に取り付けられている。この第2磁性体の外周面に形成されているN極およびS極は、第1磁性体の外周面に形成されたN極およびS極のピッチに対応した螺旋ピッチで設けられている。
【0003】
そして、この第2磁性体を回転させることにより、この第2磁性体の外周面に設けられているN極およびS極と、第1磁性体の外周面に設けられているN極およびS極との間の磁気的な引力および反発力、すなわちこれら第1磁性体と第2磁性体とのN極とS極とが最も近接した状態で引き合う状態を維持しようとする作用によって、この第2磁性体の回転に伴って第1回転体が回転する構成が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところが、この駆動装置では、第1磁性体あるいは従動磁気車の回転軸と、第2磁性体あるいは内側磁気車の回転軸とを直交させており、これら第1磁性体あるいは従動磁気車と、第2磁性体あるいは内側磁気車とが最も近接した状態で引き合う状態を維持しようとする場合であっても、第2磁性体あるいは内側磁気車の外周面にN極およびS極が螺旋状に形成されている。このため、これら第1磁性体あるいは従動磁気車と、第2磁性体あるいは内側磁気車との間でわずかな反発力が発生してしまうから、この反発力によって第2磁性体あるいは内側磁気車の回転に伴う第1磁性体あるいは従動磁気車の回転力が劣ってしまう。さらに、第2磁性体あるいは内側磁気車の外周面にN極およびS極を螺旋状に形成させているため、この第2磁性体あるいは内側磁気車の構造が複雑である。
【0005】
そこで、この種の駆動装置を備えた磁力駆動コンベヤとしては、N極およびS極が交互に軸方向に向けて螺旋状に形成された外周面を有する円筒状の伝達用磁気車を複数備えている。そして、これら伝達用磁気車それぞれは、これら伝達用磁気車それぞれの外周面を平行に対向させた状態で、これら伝達用磁気車のそれぞれを搬送物を搬送する搬送方向に向けて等間隔に離間させて並設させている。さらに、これら伝達用磁気車は、これら伝達用磁石の外周面間に形成される磁力によって、いずれか一の伝達用磁気車を回転させると、このいずれか一の伝達用磁気車に並設されている他の伝達用磁気車が、いずれか一の伝達用磁気車を追従するように、このいずれか一の伝達用磁気車と同じ方向に回転する構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平7−177724号公報(第3−4頁、図1−図2)
【特許文献2】特開平8−9626号公報(第7頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した磁気駆動コンベヤでは、各伝達用磁気車の外周面に同様の磁極を螺旋状に形成させているため、これら各伝達用磁気車それぞれを連動させて回転させた際に、これら各伝達用磁気車のそれぞれに軸方向に沿った力が作用してしまう。したがって、これら伝達用磁気車それぞれを連動させて回転させた際に、これら伝達用磁気車のそれぞれが軸方向に向けて移動してしまうという問題を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、各磁性体が移動しにくい磁性連動装置およびローラコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の磁性連動装置は、一方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有し中心軸を中心として回転可能な筒状の第1の磁性体と、この第1の磁性体の外周面に形成されている磁極とは逆の方向である他方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有し、この第1の磁性体の軸方向に沿った一端面に一端面を同心状に対向させた状態で、この第1の磁性体と同軸に固定され、中心軸を中心として回転可能な第2の磁性体と、前記第1の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有し、この外周面を前記第1の磁性体の外周面に略平行に対向させた状態で、中心軸を中心として回転可能な第3の磁性体と、前記第2の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有し、この外周面を前記第2の磁性体の外周面に略平行に対向させ、かつ前記第3の磁性体の軸方向に沿った一端面に一端面を同心状に対向させた状態で、この第3の磁性体と同軸に固定され、中心軸を中心として回転可能な第4の磁性体とを具備したものである。
【0009】
そして、一方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有する第1の磁性体を回転させることにより、この第1の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有する第3の磁性体が、第1の磁性体の回転方向と同じ方向に回転する。このとき、これら第1の磁性体の外周面と第3の磁性体の外周面との間に作用する磁力によって、これら第1の磁性体および第3の磁性体のそれぞれに対して、これら第1の磁性体および第3の磁性体の一方の軸方向に向う力が作用する。さらに、この第1の磁性体の外周面に形成されている磁極とは逆の方向である他方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有する第2の磁性体を回転させることにより、この第2の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有する第4の磁性体が、第2の磁性体の回転方向と同じ方向に回転する。このとき、これら第2の磁性体の外周面と第4の磁性体の外周面との間に作用する磁力によって、これら第2の磁性体および第4の磁性体のそれぞれに対して、これら第2の磁性体および第4の磁性体の他方の軸方向に向う力が作用する。ここで、これら第1の磁性体の一端面に第2の磁性体の一端面を同心状に対向させた状態で、これら第1の磁性体および第2の磁性体を同軸に固定するとともに、第3の磁性体の一端面に第4の磁性体の一端面を同心状に対向させた状態で、これら第3の磁性体および第4の磁性体を同軸に固定した。この結果、これら第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体と第3の磁性体との間の磁力にて作用する一方の軸方向に向う力と、第2の磁性体と第4の磁性体との間の磁力にて作用する他方の軸方向に向う力とが打ち消し合うように作用する。このため、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体が軸方向に移動しにくくなる。
【0010】
請求項2記載の磁性連動装置は、請求項1記載の磁性連動装置において、第1の磁性体の外周面と第3の磁性体の外周面との間の磁力は、第2の磁性体の外周面と第4の磁性体の外周面との間の磁力に等しいものである。
【0011】
そして、第1の磁性体の外周面と第3の磁性体の外周面との間の磁力を、第2の磁性体の外周面と第4の磁性体の外周面との間の磁力に等しくした。この結果、これら第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体と第3の磁性体との間の磁力にて作用する一方の軸方向に向う力と、第2の磁性体と第4の磁性体との間の磁力にて作用する他方の軸方向に向う力とが同じになる。このため、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体が軸方向に移動しなくなる。
【0012】
請求項3記載の磁性連動装置は、請求項1または2記載の磁性連動装置において、第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれは、等しい大きさの円筒状に形成され、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体それぞれの外周面には、異なる磁極が等間隔に形成されているものである。
【0013】
そして、第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを等しい大きさの円筒状に形成し、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体それぞれの外周面に異なる磁極を等間隔に形成した。この結果、第1の磁性体と第3の磁性体との間の磁力が、第2の磁性体と第4の磁性体との間の磁力に等しくなる。よって、これら第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体および第3の磁性体に作用する一方の軸方向に向う力が、第2の磁性体および第4の磁性体に作用する他方の軸方向に向う力と同じになる。このため、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体が軸方向に移動しなくなる。
【0014】
請求項4記載のローラコンベヤは、搬送物を搬送する搬送方向に沿って並設された請求項1ないし3いずれか記載の複数の磁性連動装置と、これら複数の磁性連動装置それぞれの第2の磁性体および第4の磁性体に同心状に取り付けられ前記搬送方向に沿って並設された複数の搬送ローラとを具備したものである。
【0015】
そして、請求項1ないし3いずれか記載の複数の磁性連動装置を搬送物を搬送する搬送方向に沿って並設させる。さらに、これら複数の磁性連動装置それぞれの第2の磁性体および第4の磁性体に搬送ローラを同心状に取り付け、これら搬送ローラを搬送方向に沿って並設させた。この結果、請求項1ないし3いずれか記載の磁性連動装置と同様の作用を有するとともに、複数の磁性連動装置それぞれの第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体を同一方向に連動させて回転できる。したがって、これら第2の磁性体および第4の磁性体それぞれに取り付けられている搬送ローラのそれぞれを搬送方向に回転できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の磁性連動装置によれば、第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体と第3の磁性体との間の磁力にて作用する一方の軸方向に向う力と、第2の磁性体と第4の磁性体との間の磁力にて作用する他方の軸方向に向う力とが打ち消し合うように作用するので、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体を軸方向に移動しにくくできる。
【0017】
請求項2記載の磁性連動装置によれば、請求項1記載の磁性連動装置の効果に加え、第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体および第3の磁性体に作用する一方の軸方向に向う力と、第2の磁性体および第4の磁性体に作用する他方の軸方向に向う力が同じになるので、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれが軸方向に移動しないようにできる。
【0018】
請求項3記載の磁性連動装置によれば、請求項1または2記載の磁性連動装置の効果に加え、第1の磁性体と第3の磁性体との間の磁力が、第2の磁性体と第4の磁性体との間の磁力に等しくなるから、これら第1の磁性体および第2の磁性体のそれぞれを同じ方向に回転させた際に、第1の磁性体および第3の磁性体に作用する一方の軸方向に向う力が、第2の磁性体および第4の磁性体に作用する他方の軸方向に向う力と同じになるので、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれを連動させて同じ方向に回転させた際に、これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体が軸方向に移動しないようにできる。
【0019】
請求項4記載のローラコンベヤによれば、請求項1ないし3いずれか記載の磁性連動装置と同様の効果を相することができるとともに、複数の磁性連動装置それぞれの第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体を同一方向に連動させて回転できるから、これら第2の磁性体および第4の磁性体それぞれに取り付けられている搬送ローラのそれぞれを搬送方向に回転できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1ないし図5において、1はローラコンベヤで、このローラコンベヤ1は、磁性連動装置としての駆動伝達装置である。そして、このローラコンベヤ1は、磁気的な引力あるいは反発力にて複数の搬送ローラ2のそれぞれを同一方向である搬送方向Fに向けて回転させる磁気駆動コンベヤとしてのマグネット駆動コンベヤである。また、このローラコンベヤ1は、細長略矩形状のコンベヤ本体3を有している。このコンベヤ本体3には、物品などの搬送物を搬送する搬送方向Fに沿って平坦な搬送面4が形成されている。
【0022】
そして、このコンベヤ本体3は、平行に対向して配設された一対のコンベヤフレーム5,6を備えている。これら一対のコンベヤフレーム5,6間は、所定間隔毎に図示しない横継部材にて接続されて連結されている。さらに、これら一対のコンベヤフレーム5,6には、脚体8などが取り付けられ所定の高さに位置するように形成されている。
【0023】
また、これら一対のコンベヤフレーム5,6の間には、細長円筒状のローラである複数の搬送ローラ2が周方向に向けて回転可能に橋し渡された状態で取り付けられている。これら搬送ローラ2は、コンベヤ本体3の搬送方向Fに直交する幅方向に軸方向を沿わせた状態でそれぞれが回転可能に取り付けられている。さらに、これら搬送ローラ2は、コンベヤ本体3の搬送方向Fに向けて等間隔に離間された状態で、このコンベヤ本体3の搬送面4の搬送方向Fに沿って並設されている。言い換えると、これら搬送ローラ2は、搬送方向Fに直交する自身の軸周りに回転自在とされている。
【0024】
ここで、これら搬送ローラ2には、中心軸Cとしての回転中心となる軸体7が中心軸方向に沿った同心状に摺動可能に挿通されて取り付けられている。これら軸体7は、搬送ローラ2の中心に挿通されて、一対のコンベヤフレーム5,6それぞれの内側面に両端部がそれぞれ回転可能に軸支されて取り付けられている。
【0025】
そして、これら搬送ローラ2の軸方向に沿った側面部である一端面2aのそれぞれには、短軸状の内側磁気車11が同心状に取り付けられている。これら内側磁気車11は、第2の磁性体としての第2磁気車12、あるいは第4の磁性体としての第4磁気車13として機能する。ここで、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の周囲を構成する外周面11aに異なる磁極が交互に螺旋状に形成された円筒状の永久磁石である。さらに、これら内側磁気車11は、搬送ローラ2の外径寸法に等しい外径寸法を有している。また、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の軸方向に沿った一端面である内側面11bを搬送ローラ2の一端面2aに同軸状に対向させた状態で、これら搬送ローラ2に固定されて一体構造とされている。
【0026】
よって、これら内側磁気車11にもまた、軸体7が中心軸方向に沿って同心状に挿通された状態で固定されている。このため、これら内側磁気車11は、軸体7の同一軸芯として取り付けられており、この軸体7の中心軸Cを回転中心として回転可能とされている。すなわち、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の内側面11bを、各搬送ローラ2の一端面2aに同心状に当接させた状態で、これら搬送ローラ2それぞれに軸体7を介して固定されている。したがって、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の回転によって各搬送ローラ2が回転する。
【0027】
また、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の互いの外周面11a間を非接触な状態、すなわち所定の間隙を介した状態で対向させており、搬送方向Fに向けて直線状に並べられている。言い換えると、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11の軸方向である軸芯を互いに平行にした状態で、搬送方向Fに沿って並設されている。さらに、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11にて形成される磁界によって、これら内側磁気車11に近接して設置されている内側磁気車11を連動させて回転できる程度に、これら内側磁気車11間が離間されて軸間距離が設定されている。
【0028】
さらに、これら内側磁気車11の外周面11aには、図1および図2に示すように、これら内側磁気車11の周方向に向けて異なる磁性であるS極の磁束を形成させるS極帯14とN極の磁束を形成させるN極帯15とが交互に等間隔に螺旋状に形成されている。具体的に、これら内側磁気車11の外周面11aには、これら内側磁気車11の内側面11bに向う一方の軸方向である螺旋方向に向けて時計回りとしての右回りに螺旋状に巻回したS極帯14とN極帯15とが交互に等しい螺旋ピッチで形成されている。
【0029】
このとき、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11それぞれの外周面11aを、これら内側磁気車11の内側面11bに向う一方の軸方向に向けて等間隔に複数個、例えば2個に均等に螺旋状に分割し、これら2個に均等に分割した各領域が互いに磁性の異なるS極帯14とN極帯15とされている。言い換えると、これら内側磁気車11の外周面11aには、これら内側磁気車11の軸方向に向けてS極帯14およびN極帯15それぞれであるSN両極帯が交互に等しい螺旋ピッチで形成されている。
【0030】
ここで、これら2個に均等に分割したS極帯14およびN極帯15のそれぞれは、内側磁気車11の内側面11bに向う一方の軸方向に進むに連れて右回りに巻回した螺旋状に分割されて形成されている。したがって、これら内側磁気車11の外周面11aには、S極帯14とN極帯15とが軸方向に沿って交互に等間隔に形成されている。すなわち、これら内側磁気車11の外周面11aには、これら内側磁気車11の軸方向に向けてS極帯14とN極帯15とが交互に形成されている。このとき、これら内側磁気車11の内側面11bと、この内側面11bの反対側に位置する他端面である外側面11cとのそれぞれには、S極帯14あるいはN極帯15にて構成された磁極が形成されていない。
【0031】
したがって、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11のいずれか一の内側磁気車11である第2磁気車12の外周面11aと、この第2磁気車12に近接されたいずれか他の内側磁気車11である第4磁気車13の外周面11aとのそれぞれを平行に対向させた状態で、搬送方向Fに向けて並設されている。さらに、これら内側磁気車11は、第2磁気車12の外周面11aに形成されているS極帯14およびN極帯15と、第4磁気車13の外周面11aに形成されているS極帯14およびN極帯15との間の磁気的な引力あるいは反発力である磁力Pによって、この第2磁気車12の回転に伴って第4磁気車13を回転させる。
【0032】
よって、これら内側磁気車11は、これら内側磁気車11同士の連動した搬送方向Fへの回転によって、これら内側磁気車11が取り付けられている搬送ローラ2のそれぞれを同一の方向である搬送方向Fに向けて回転させる。このとき、これら内側磁気車11の外周面11aに形成されているS極帯14およびN極帯15のそれぞれを、これら内側磁気車11の内側面11bに向う方向である一方の軸方向に向けて右回りに巻回した螺旋状に形成させたことにより、これら内側磁気車11同士の連動した搬送方向Fへの回転によって、図1および図2に示すように、これら内側磁気車11それぞれに、これら内側磁気車11を外側面11c側に向けて移動させる軸力fが生じる。
【0033】
さらに、これら内側磁気車11の外側面11cに対向した位置には、短軸状の外側磁気車21が取り付けられている。これら外側磁気車21は、第1の磁性体としての第1磁気車22と第3の磁性体としての第3磁気車23として機能する。具体的に、これら外側磁気車21のそれぞれは、各内側磁気車11に挿通されている軸体7に挿通された状態で、この軸体7に固定されている。すなわち、これら外側磁気車21それぞれは、軸体7の中心軸を回転中心として取り付けられて固定されている。よって、これら外側磁気車21は、軸体7を介して内側磁気車11の同軸に固定され、この内側磁気車11の同心状に周方向に回転可能に同一軸芯として取り付けられている。
【0034】
また、これら外側磁気車21は、内側磁気車11の外側面11cに対して所定の間隔を介した状態で取り付けられている。さらに、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の軸方向に沿った一端面である内側面21bを内側磁気車11の外側面11cに同心状に向かい合わせて対向されて近接されている。言い換えると、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の内側面21bを、これら外側磁気車21が取り付けられている軸体7に挿通された内側磁気車11の外側面11cに対して非接触な状態で、この軸体7に回転可能に軸支されている。
【0035】
ここで、これら外側磁気車21は、内側磁気車11と同一形状であるとともに、この内側磁気車11の外周面11aに形成されている磁極とは正反対の磁極が外周面21aに形成された円筒状の永久磁石である。すなわち、これら外側磁気車21は、内側磁気車11に等しい大きさの円筒状に形成されている。言い換えると、これら外側磁気車21は、各搬送ローラ2および内側磁気車11それぞれの外径寸法に等しい外径寸法を有する円筒状に形成されている。
【0036】
さらに、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の周方向に向けてS極帯14とN極帯15とが交互に等間隔に螺旋状に形成された外周面21aを有している。具体的に、これら外側磁気車21の外周面21aには、これら外側磁気車21の内側面21bに向う軸方向に向けて反時計回りとしての左回りに螺旋状に巻回したS極帯14とN極帯15とが交互に等しい螺旋ピッチで形成されている。
【0037】
すなわち、これら外側磁気車21の外周面21aには、これら外側磁気車21の外側面21cに向う他方の軸方向である螺旋方向に向けて時計回りとしての右回りに螺旋状に巻回したS極帯14とN極帯15とが交互に等しい螺旋ピッチで形成されている。さらに、これら外側磁気車21の外周面21aに形成されているS極帯14およびN極帯15と、各内側磁気車11の外周面11aに形成されているS極帯14およびN極帯15とは、等しい角度で傾斜した螺旋状に形成されているとともに、これらS極帯14およびN極帯15のそれぞれが等しい幅寸法を有している。
【0038】
ここで、これら外側磁気車21の外周面21aには、内側磁気車11の外周面11aに形成されている磁極、すなわちS極帯14およびN極帯15の間隔である螺旋ピッチに対応した螺旋ピッチで、これらS極帯14およびN極帯15それぞれが軸方向に向けて交互に等間隔に形成されている。このとき、これら外側磁気車21の内側面21bと、この内側面21bの反対側に位置する外側面21cとには、S極帯14あるいはN極帯15などの磁極が形成されていない。
【0039】
また、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の互いの外周面21aを非接触な状態、すなわち所定の間隙を介した状態で対向させており、搬送方向Fに向けて直線状に並べられている。言い換えると、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の軸方向である軸芯を互いに平行にした状態で、搬送方向Fに沿って並設されている。さらに、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21にて形成される磁界によって、これら外側磁気車21に近接して設置されている外側磁気車21を連動させて回転できる程度に、これら外側磁気車21間が離間されて設置されている。
【0040】
したがって、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21のいずれか一の外側磁気車21である第1磁気車22の外周面21aと、この第1磁気車22に近接されたいずれか他の外側磁気車21である第3磁気車23の外周面21aとのそれぞれを平行に対向させた状態で、搬送方向Fに向けて並設されている。さらに、これら外側磁気車21は、第1磁気車22の外周面21aに形成されているS極帯14およびN極帯15と、第3磁気車23の外周面21aに形成されているS極帯14およびN極帯15との間の磁力Pによって、この第1磁気車22の回転に伴って第3磁気車23を回転させる。
【0041】
よって、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21同士の連動した搬送方向Fへの回転によって、これら外側磁気車21が取り付けられている搬送ローラ2のそれぞれを同一の方向である搬送方向Fに向けて回転させる。このとき、これら外側磁気車21の外周面21aに形成されているS極帯14およびN極帯15のそれぞれを、これら外側磁気車21の外側面21cに向う方向である他方の軸方向に向けて右回りに巻回した螺旋状に形成させたことにより、これら外側磁気車21同士の連動した搬送方向Fへの回転によって、図1および図2に示すように、これら外側磁気車21それぞれに、これら外側磁気車21を内側面21b側に向けて移動させる軸力fが生じる。
【0042】
このとき、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の外周面21a間に作用する磁力が、内側磁気車11の外周面11a間に作用する磁力と等しくなるように、これら外側磁気車21の外周面21a間の離間距離が設置されている。言い換えると、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21の外周面21a間の距離が、内側磁気車11の外周面11a間の距離と等しくされている。したがって、これら外側磁気車21は、これら外側磁気車21および内側磁気車11のそれぞれを連動させた際に生じる、各外側磁気車21の内側面21b側に向かう力と、各内側磁気車11の外側面11c側に向う力とが等しくなるように構成されている。
【0043】
そして、複数の搬送ローラ2にて構成された搬送面4の最も搬送下流側に位置する内側磁気車11および外側磁気車21には、これら内側磁気車11および外側磁気車21を周方向に向けて連動させて回転駆動させる駆動手段としての駆動モータ31が軸体7を介して取り付けられている。この駆動モータ31は、搬送方向Fに沿った一端部である搬送下流側に設けられている。さらに、この駆動モータ31は、搬送面4の搬送下流側よりも、この搬送面4の搬送方向Fに沿った外側に取り付けられている。
【0044】
すなわち、この駆動モータ31は、この駆動モータ31に取り付けられた内側磁気車11および外側磁気車21を連動させて回転駆動させることにより、これら内側磁気車11の外周面11a間に作用する磁力Pと、これら外側磁気車21の外周面21a間に作用する磁力Pとによって、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを同一方向である搬送方向Fに向けて回転駆動させる。したがって、この駆動モータ31は、これら内側磁気車11および外側磁気車21の連動した搬送方向Fへの回転によって、これら内側磁気車11および外側磁気車21を軸方向に沿って移動させようとする軸力f,fを打ち消しつつ、これら内側磁気車11および外側磁気車21が取り付けられている各搬送ローラ2のそれぞれを同一方向である搬送方向Fに回転駆動させる。
【0045】
次に、上記一実施の形態の動作である駆動伝達方法について説明する。
【0046】
まず、駆動モータ31を駆動させて、図2に示すように、最も搬送下流側に位置する内側磁気車11と外側磁気車21とを連動させて搬送方向F側である正方向としての側面視右回りCWに回転させる。
【0047】
このとき、この駆動モータ31にて回転駆動される内側磁気車11としての第2磁気車12の外周面11aに形成されているS極帯14あるいはN極帯15と、この第2磁気車12の搬送上流側に位置する内側磁気車11としての第4磁気車13の外周面11aに形成されているN極帯15あるいはS極帯14との間の磁力Pによって、これら第2磁気車12と第4磁気車13との互いに異なるS極帯14とN極帯15とが最も近接した状態で磁気的に引き合い、この磁気的に引き合う状態を維持しようとする。
【0048】
したがって、この第2磁気車12の側面視右回りCWの回転に伴って、この第2磁気車12を追うように第4磁気車13が同一方向である側面視右回りCWに回転する。
【0049】
さらに、これら第2磁気車12および第4磁気車13それぞれの外周面11aに形成したS極帯14およびN極帯15のそれぞれが、これら第2磁気車12および第4磁気車13の内側面11b側に向けて右回りに巻回した螺旋状である。
【0050】
このため、この第2磁気車12の側面視右回りCWへの回転によって、この第2磁気車12の外周面11aに形成されている螺旋状のS極帯14およびN極帯15のそれぞれが、この第2磁気車12の外側面11c側に向けて移動する。
【0051】
この結果、この第2磁気車12の外周面11aに形成されている螺旋状のS極帯14およびN極帯15を、第4磁気車13の外周面11aに形成されている螺旋状のN極帯15およびS極帯14が追うように、この第4磁気車13が第2磁気車12を追従して回転する。
【0052】
よって、図1および図2に示すように、これら第2磁気車12および第4磁気車13のそれぞれに、これら第2磁気車12および第4磁気車13の軸方向に沿って、これら第2磁気車12および第4磁気車13それぞれの外側面11c側に向う軸力fが作用する。
【0053】
一方、駆動モータ31にて回転駆動される外側磁気車21としての第1磁気車22の外周面21aに形成されているS極帯14あるいはN極帯15と、この第1磁気車22の搬送上流側に位置する外側磁気車21としての第3磁気車23の外周面21aに形成されているN極帯15あるいはS極帯14との間の磁力Pによって、これら第1磁気車22と第3磁気車23との互いに異なるS極帯14とN極帯15とが最も近接した状態で磁気的に引き合い、この磁気的に引き合う状態を維持しようとする。
【0054】
したがって、この第1磁気車22の側面視右回りCWの回転に伴って、この第1磁気車22を追うように第3磁気車23が側面視右回りCWに回転する。
【0055】
さらに、これら第1磁気車22および第3磁気車23それぞれの外周面21aに形成したS極帯14およびN極帯15のそれぞれが、これら第1磁気車22および第3磁気車23の内側面21b側に向けて左回りに巻回した螺旋状である。
【0056】
このため、この第1磁気車22の側面視右回りCWへの回転によって、この第1磁気車22の外周面21aに形成されている螺旋状のS極帯14およびN極帯15のそれぞれが、この第1磁気車22の内側面21b側に向けて移動する。
【0057】
この結果、この第1磁気車22の外周面21aに形成されている螺旋状のS極帯14およびN極帯15を、第3磁気車23の外周面21aに形成されている螺旋状のN極帯15およびS極帯14が追うように、この第3磁気車23が第1の磁性体22を追従して回転する。
【0058】
よって、図1および図2に示すように、これら第1磁気車22および第3磁気車23のそれぞれに、これら第1磁気車22および第3磁気車23の軸方向に沿って、これら第1磁気車22および第3磁気車23それぞれの内側面21b側に向う軸力fが作用する。
【0059】
このとき、これら第1磁気車22および第3磁気車23に作用する内側面21b側への軸力fが、第2磁気車12および第4磁気車13に作用する外側面11c側への軸力fと等しいことによって、これら第1磁気車22、第2磁気車12、第3磁気車23および第4磁気車13それぞれに作用する軸力f,fが互いに打ち消し合う。
【0060】
この結果、これら第1磁気車22、第2磁気車12、第3磁気車23および第4磁気車13のそれぞれを軸方向に移動させることなく、これら第1磁気車22、第2磁気車12、第3磁気車23および第4磁気車13のそれぞれが搬送方向Fに沿った側面視右回りCWに連動して回転する。
【0061】
したがって、これら第1磁気車22、第2磁気車12、第3磁気車23および第4磁気車13それぞれの側面視右回りCWの回転に伴って、これら第1磁気車22、第2磁気車12、第3磁気車23および第4磁気車13が取り付けられている搬送ローラ2のそれぞれが側面視右回りCWに回転する。
【0062】
このため、これら搬送ローラ2それぞれの側面視右回りCWへの回転によって、これら搬送ローラ2上の搬送面4へと搬送された搬送物が、これら搬送ローラ2の回転によって搬送上流側から搬送下流側へと搬送方向Fに沿って搬送される。
【0063】
上述したように、上記一実施の形態によれば、搬送ローラ2に固定されている軸体7に固定された内側磁気車11の外周面11aに螺旋状に形成したS極帯14およびN極帯15と、この内側磁気車11と同じ軸体7に取り付けられた外側磁気車21の外周面21aに螺旋状に形成したS極帯14およびN極帯15とを正反対に構成した。この結果、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを連動させて回転させた際に生じる、これら内側磁気車11に作用する軸力fと、これら外側磁気車21に作用する軸力fとが正反対の力となる。このため、これら内側磁気車11および外側磁気車21を連動させた際に生じる、これら内側磁気車11に作用する軸力fを、これら外側磁気車21に作用する軸力fで吸収できる。
【0064】
さらに、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを等しい大きさの円筒状とし、これら内側磁気車11および外側磁気車21の外周面11a,21aに形成されているS極帯14とN極帯15の螺旋ピッチを等しくして、これら内側磁気車11の外周面11a間に作用する磁力Pと、これら外側磁気車21の外周面21a間に作用する磁力Pとを等しくした。この結果、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを連動させて回転させた際に生じる、これら内側磁気車11に作用する軸力fの大きさと、これら外側磁気車21に作用する軸力fの大きさとが等しくなる。
【0065】
したがって、これら内側磁気車11および外側磁気車21を連動させた際に生じる、これら内側磁気車11に作用する軸力fと、これら外側磁気車21に作用する軸力fとを打ち消し合うことができる。このため、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを連動させて同じ方向である搬送方向Fに回転させた際に、これら内側磁気車11および外側磁気車21が軸方向に向けて移動しなくなる。この結果、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれが軸方向に沿って移動しないようにコンベヤフレーム5,6に強固に固定させる必要が無くなる。よって、これら内側磁気車11および外側磁気車21が取り付けられている軸体7を回転可能に軸支する構成を簡略化できるから、これら軸体7を軸支するコンベヤフレーム5,6の構成を簡略化できる。
【0066】
また、外周面11aにS極帯14およびN極帯15とが同様に構成された複数の内側磁気車11の外周面11a同士を非接触な状態で、平行に対向させて回転可能に軸支させた。この結果、これら内側磁気車11の外周面11a同士が線状に対向するから、これら内側磁気車11の外周面11a同士が磁気的に引き合っている際に、これら内側磁気車11の外周面11a間に軸方向に沿った反発磁力が生じなくなる。したがって、いずれか一の内側磁気車11の外周面11aに形成される磁界を、この内側磁気車11に隣接されたいずれか他の内側磁気車11の外周面11aの軸方向に沿った全体に効率良く届かせることができる。
【0067】
このため、これら内側磁気車11の外周面11a間に作用する磁力Pが、これら内側磁気車11の外周面11a間の軸方向に沿った全体に亘って作用する。したがって、これら内側磁気車11の外周面11a間の磁力Pがより効率良く作用するから、これら内側磁気車11の外周面11a間に生じる磁力Pをより大きくできる。よって、これら内側磁気車11の外周面11aの互いに異なるS極帯14およびN極帯15間が最も接近して引き合う状態を常に維持しようとする磁力Pを最大限に利用できる。このため、これら内側磁気車11間の磁力Pの損失を最小限にできるから、これら内側磁気車11の回転を効率良く伝達できる。したがって、これら内側磁気車11をより確実に連動させて回転できるので、これら内側磁気車11が取り付けられている搬送ローラ2それぞれを効率良く回転駆動できる。
【0068】
このとき、これら内側磁気車11の外周面11aに形成されている螺旋状のS極帯14およびN極帯15と正反対の磁極を複数の外側磁気車21それぞれの外周面21aに形成し、これら複数の外側磁気車21の外周面21a同士を非接触な状態で、平行に対向させて回転可能に軸支させた。この結果、これら外側磁気車21それぞれも、上述した内側磁気車11と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
さらに、最も搬送下流側に位置する内側磁気車11および外側磁気車21それぞれを駆動モータ31にて搬送方向側である側面視右回りCWに回転駆動させる。すると、これら内側磁気車11間および外側磁気車21間の磁力P,Pによって、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれが同じ方向である搬送方向Fに沿った側面視右回りCWに回転する。したがって、駆動モータ31にて内側磁気車11および外側磁気車21のいずれか一つを回転させるだけで、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを連動させて搬送方向Fに沿った側面視右回りCWに回転できる。
【0070】
このため、これら内側磁気車11および外側磁気車21の連動した回転に伴って、これら内側磁気車11および外側磁気車21が取り付けられている複数の搬送ローラ2のそれぞれを搬送方向Fに回転できる。よって、これら搬送ローラ2のそれぞれを駆動モータ31などにて回転駆動させる構成に比べ、これら搬送ローラ2の回転にて搬送物を搬送させる構造を簡単にできるとともに薄型化できる。したがって、ローラコンベヤ1の構成を簡単にでき、より小型化できる。
【0071】
また、駆動モータ31による内側磁気車11および外側磁気車21の回転駆動を、これら内側磁気車11および外側磁気車21それぞれによる磁力P,Pを利用して、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを搬送方向Fに回転させて、各搬送ローラ2を搬送方向Fに回転駆動させる構成とした。この結果、ローラコンベヤ1の機械的な摩擦や発塵、衝撃や大トルクなどによる破損が少なく、多軸駆動を支障なくできる。さらに、このローラコンベヤ1の構成が簡略化されて、騒音を小さくでき、高速化を図ることができるとともに、このローラコンベヤ1のトラブルの発生を減少できる。
【0072】
さらに、駆動モータ31による内側磁気車11および外側磁気車21の連動させた回転によって、これら内側磁気車11および外側磁気車21が取り付けられている各搬送ローラ2を回転駆動させる構成とした。この結果、これら搬送ローラ2に巻回させて、これら搬送ローラ2を連動させて回転駆動させるチェーンやベルトなどの機構を無くすことができる。このため、コンベヤ本体3の下面に突出するチェーンやベルトなどの突出物を無くすことができるから、コンベヤ本体3の構成をより簡略化できる。
【0073】
なお、上記一実施の形態では、内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを一体的に構成された一体型の永久磁石としたが、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを、複数の永久磁石を組み合わせて構成することもできる。
【0074】
さらに、内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれを回転させて各搬送ローラ2のそれぞれを回転駆動させる構成としたが、これら内側磁気車11および外側磁気車21の少なくとも一部を連動させて回転駆動させる構成とすることもできる。さらに、ベルトコンベヤのベルトを回転駆動させるローラなどを内側磁気車11および外側磁気車21の連動した回転で回転駆動させる構成などとすることもできる。
【0075】
また、ローラコンベヤ1の各搬送ローラ2の最も搬送下流側に駆動モータ31を取り付けたが、この駆動モータ31を各搬送ローラ2の搬送上流側や中央部などに取り付けて、これら搬送ローラ2のそれぞれを連動させることもできる。
【0076】
さらに、図2に示すように、内側磁気車11のN極帯15と、外側磁気車21のN極帯15とを向い合わせた状態で、これら内側磁気車11および外側磁気者21のそれぞれを同一の軸体7に軸止めさせたが、これら内側磁気車11および外側磁気車21の互いに異なる磁極、すなわちS極帯14とN極帯15とを向かい合わせた状態で、これら内側磁気車11および外側磁気車21を同一の軸体7に軸止めさせることもできる。
【0077】
この場合、これら内側磁気車11および外側磁気車21の互いに異なる磁極同士を向かい合わせることにより、これら内側磁気車11と外側磁気車21との間に軸方向に沿って磁気的に引き合う力が生じるから、これら内側磁気車11および外側磁気車21のそれぞれがより容易に同一の軸体7により固定しやすくなる。
【0078】
また、図2に示すように、これら内側磁気車11および外側磁気車21の外周面11a,21aに形成されているS極帯14およびN極帯15のそれぞれが搬送方向Fに向けて逆ハの字状に広がるように螺旋状に巻回させたが、これら内側磁気車11および外側磁気車21の外周面11a,21aに形成されているS極帯14およびN極帯15のそれぞれを逆向きに巻回させて、これらS極帯14およびN極帯15を搬送方向Fに向けてハの字状に狭まるように螺旋状に巻回させた構成とすることもできる。
【0079】
この場合、これら内側磁気車11および外側磁気車21のS極帯14およびN極帯15を搬送方向Fに向けてハの字状に狭まるように螺旋状に巻回させることにより、これら内側磁気車11の外周面11a同士に作用する磁力、および外側磁気車21の外周面21a同士に作用する磁力のそれぞれをより大きくできるので、これら内側磁気車11および外側磁気車21をより確実に連動できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施の形態の磁気連動装置の一部を示す説明斜視図である。
【図2】同上磁気連動装置の一部を示す説明正面図である。
【図3】同上磁気連動装置を備えたローラコンベヤを示す説明正面図である。
【図4】同上ローラコンベヤを示す説明側面図である。
【図5】同上ローラコンベヤを示す説明斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 磁性連動装置としてのローラコンベヤ
2 搬送ローラ
11a 外周面
11c 一端面としての外側面
12 第2の磁性体としての第2磁気車
13 第4の磁性体としての第4磁気車
14 磁極としてのS極帯
15 磁極としてのN極帯
21a 外周面
21b 一端面としての内側面
22 第1の磁性体としての第1磁気車
23 第3の磁性体としての第3磁気車
C 中心軸
F 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有し中心軸を中心として回転可能な筒状の第1の磁性体と、
この第1の磁性体の外周面に形成されている磁極とは逆の方向である他方の軸方向に向けて異なる磁極が交互に螺旋状に形成された外周面を有し、この第1の磁性体の軸方向に沿った一端面に一端面を同心状に対向させた状態で、この第1の磁性体と同軸に固定され、中心軸を中心として回転可能な第2の磁性体と、
前記第1の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有し、この外周面を前記第1の磁性体の外周面に略平行に対向させた状態で、中心軸を中心として回転可能な第3の磁性体と、
前記第2の磁性体の外周面に形成されている磁極と同様の磁極が形成された外周面を有し、この外周面を前記第2の磁性体の外周面に略平行に対向させ、かつ前記第3の磁性体の軸方向に沿った一端面に一端面を同心状に対向させた状態で、この第3の磁性体と同軸に固定され、中心軸を中心として回転可能な第4の磁性体と
を具備したことを特徴とした磁性連動装置。
【請求項2】
第1の磁性体の外周面と第3の磁性体の外周面との間の磁力は、第2の磁性体の外周面と第4の磁性体の外周面との間の磁力に等しい
ことを特徴とした請求項1記載の磁性連動装置。
【請求項3】
第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体のそれぞれは、等しい大きさの円筒状に形成され、
これら第1の磁性体、第2の磁性体、第3の磁性体および第4の磁性体それぞれの外周面には、異なる磁極が等間隔に形成されている
ことを特徴とした請求項1または2記載の磁性連動装置。
【請求項4】
搬送物を搬送する搬送方向に沿って並設された請求項1ないし3いずれか記載の複数の磁性連動装置と、
これら複数の磁性連動装置それぞれの第2の磁性体および第4の磁性体に同心状に取り付けられ前記搬送方向に沿って並設された複数の搬送ローラと
を具備したことを特徴としたローラコンベヤ。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−20413(P2006−20413A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195256(P2004−195256)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】