磁気エンコーダ
【課題】金属補強環と環状多極磁石の熱膨張差にも両者が剥れることなく、強固に一体とされ、且つ耐久性、信頼性の高い磁気エンコーダを提供する。
【解決手段】回転側部材2に嵌合一体に装着される金属補強環13と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石14とよりなり、固定側部材5に固定される磁気センサ9とにより回転検出を行う磁気エンコーダ10であって、上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面14b側には、上記接着剤の層厚rを確保するための突起部14aが形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層15が形成されていることを特徴とする。
【解決手段】回転側部材2に嵌合一体に装着される金属補強環13と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石14とよりなり、固定側部材5に固定される磁気センサ9とにより回転検出を行う磁気エンコーダ10であって、上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面14b側には、上記接着剤の層厚rを確保するための突起部14aが形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層15が形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用車輪等の回転数を検出する為の回転検出装置を構成する磁気エンコーダに関し、更に詳しくは、自動車のアンチロックブレーキシステム或いはトラクションコントールシステムに適用する為に車輪の回転数を検出すべく設置される磁気エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
このような磁気エンコーダとしては、自動車用車輪の回転側部材に嵌合固定される金属補強環と、車体側の磁気センサに対峙するように配設され、該金属補強環に固着された環状多極磁石とよりなるものが採用されている。該環状多極磁石は、フェライト等の磁性粉末をゴムや樹脂原料に混練配合し、金属補強環とは別に成型して作製したものを、金属補強環と接着剤によって固着一体化した後、多数のN極、S極を交互に着磁して、磁気エンコーダとされる。
【0003】
このようにして作製された磁気エンコーダは、自動車用車輪の回転検出に用いられる場合、水或いは汚泥や塵埃等の異物が飛散する苛酷な環境に晒されることが多い為、高い耐久性が求められる。そこで、製品としての耐久性を調べるため、高温状態と低温状態とを交互に繰り返して行われるサーマルショックテストがなされるが、このとき、金属補強環と環状多極磁石との線膨張率の違いにより、環状多極磁石に割れが生じたり、金属補強環と環状多極磁石との間に歪み、隙間が生じる場合がある。
これを解消するため、金属補強環と環状多極磁石との熱膨張差を吸収するため、両者を固着する接着剤の層厚を確保することが考えられる。
【0004】
下記特許文献1には、補強環(金属補強環)と磁性環とを接着剤で固着した後に、その周状にS・N極を交互に着磁した磁気エンコーダが記載されている。また下記特許文献2には、円環状に形成され、且つ円周方向に多極に着磁された磁石からなるエンコーダ(環状多極磁石)の、回転体に固定される取り付け部材(金属補強環)との接着面には、溝が形成されているものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−138597号公報
【特許文献2】特開2005−233321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2は、いずれも接着剤によって金属補強環と磁性環、或いは環状多極磁石が接着されているが、接着剤の層厚を確保し、熱膨張差を吸収しようというものではなかった。
またこのような金属補強環と環状多極磁石との間に塗布される接着剤の層厚を確保しようとしても、また単に金属補強環と環状多極磁石とを接着剤によって貼り合わせるだけでは、接着剤は液状であるから、塗り重ねたとしても、上記熱膨張差を吸収し得る程の層厚を備えた接着剤の層を形成することはできなかった。更に接着剤は安定した接着のため、均一な厚さにすることを要するが、層厚を均一にすることも困難とされている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、金属補強環と環状多極磁石の熱膨張差にも両者が剥れることなく、強固に一体とされ、且つ耐久性、信頼性の高い磁気エンコーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る磁気エンコーダは、回転側部材に嵌合一体に装着される金属補強環と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石とよりなり、固定側部材に固定される磁気センサとにより回転検出を行うものであって、上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面側には、上記接着剤の層厚を確保するための突起部が形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、請求項2のように、突起部が、環状多極磁石の周方向に沿って壁状に形成されているものとすることができ、請求項3のように、突起部は、部分的に形成されているものとすることができる。
また請求項4のように、突起部が、環状多極磁石の中心部より放射方向に形成されているものとすることができ、更に請求項5のように、突起部が、複数且つ点在して設けられているものとすることもできる。
そして請求項6のように、前記突起部の先端側の断面形状を先細り形状とすることができ、請求項7のように、接着剤層の少なくとも一部の層厚を20μm〜300μmとすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る磁気エンコーダによれば、環状多極磁石の金属補強環と接着する接着面側には、接着剤の層を確保するための突起部が形成されているので、機械的に均一な層厚を確保することができ、製造が容易となり、且つ品質の安定を図ることができる。即ち、環状多極磁石の形状はこれを成型する金型で決まるため、突起部用凹部を含んだ形状の金型を作製すれば、所望形状の環状多極磁石用原形を容易に作製することができ、この磁性環と金属補強環とを接着剤によって貼り合わせることにより、その界面には一定の層厚を有する接着剤層が容易に形成することができる。また、この突起部によって金属補強環と環状多極磁石との間には、一定の層厚が確保された接着剤層が形成されているので、サーマルショックテストをクリアでき、温度変化の激しい環境下におかれても、金属補強環と環状多極磁石との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層が吸収し、環状多極磁石の剥れや割れ発生を未然に防止することができる。
【0010】
請求項2乃至5のいずれかの発明で具現化されるような突起部が設けられているので、請求項2乃至請求項5の発明に係る磁気エンコーダによれば、容易に均一な接着剤の層厚を確保することができ、上記効果を奏することができる。また環状多極磁石の接着面側に突起部が形成されているため、金属補強環との接着面をすぐに認識することができ、磁気エンコーダの作製をスムーズに行うことができる。
【0011】
請求項3及び請求項5に係る磁気エンコーダによれば、突起部が部分的或いは点在して設けられているので、突起部が金属補強環に接触する面積が小さくなり、層厚の接着面域を広くとることができる。よって、上記効果との相乗によって、より一層金属補強環と環状多極磁石とを安定して強固に接着することができる。
また請求項6の発明に係る磁気エンコーダによっても、突起部の先端側の断面形状が先細り形状とされているので、突起部が金属補強環に接触する面積が小さくなり、層厚の接着面域を広くとることができる。よって、上記効果との相乗によって、より一層金属補強環と環状多極磁石とを安定して強固に接着することができる。
【0012】
請求項7の発明に係る磁気エンコーダによれば、接着剤層の少なくとも一部の層厚が20μm〜300μmとされているので、上述の効果を奏することができる。層厚が20μmより小さくなると、層厚の確保が十分とはいえず、金属補強環と環状多極磁石との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層によって吸収できず、環状多極磁石の剥れや割れ発生を未然に防止することができない傾向となる。また層厚が300μmを超えると、多極に着磁された環状多極磁石の磁束密度が低下し、その特性を悪化させる傾向となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の磁気エンコーダを用いて組立てられた軸受構造の一例を示す縦断面図、図2は図1におけるX部の拡大図、図3は同磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図4(a)(b)乃至図9は同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図、図10(a)は別実施形態の磁気エンコーダの平面図、図10(b)は図10(a)のA−A線矢視断面図、図10(c)は図10(a)のB−B線矢視断面図、図11(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図11(b)は同磁気エンコーダの平面図、図12は図11(b)のC−C線矢視断面図、図13(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図13(b)は同磁気エンコーダの平面図、図14は図13(b)のD−D線矢視断面図、図15(a)、(b)は更に別実施形態の磁気エンコーダの断面図である。尚、以下では、着磁後のものを環状多極磁石14、着磁前のものを磁性環として区別にして説明する。
【0014】
まずは図1〜図3に基づいて第1の実施形態について説明する。
図1は自動車の車輪を転がり軸受ユニット1により支持する構造の一例を示すものであり、内輪(回転側部材)を構成するハブ2のハブフランジ2aにボルト3によりタイヤホイール(不図示)が固定される。また、ハブ2に形成されたスプライン軸孔2bには駆動シャフト(不図示)がスプライン嵌合されて、該駆動シャフトの回転駆動力がタイヤホイールに駆動伝達される。そして、ハブ2は内輪部材4と共に内輪を構成する。外輪(固定側部材)5は、車体の懸架装置(不図示)に取付固定される。この外輪5と上記内輪(ハブ2及び内輪部材4)との間に2列の転動体(玉)6…がリテーナ6aで保持された状態で介装されている。2列の転動体(玉)6…の軌道の軸方向外側には、上記転動体6…の転動部に装填される潤滑剤(グリス)の漏出或いは外部からの泥水等の浸入を防止するためのシールリング7、8が、外輪5と内輪(ハブ2及び内輪部材4)との間に圧入装着されている。車体側シールリング7の外面に対面するよう、磁気センサ9が外輪5又は車体(固定側部材)に配備され、後述する磁気エンコーダ10とにより、タイヤホイールの回転速度を検出するよう構成されている。
【0015】
図2は、車体側シールリング7の装着部の拡大断面図(図1におけるX部の拡大図)を示す。該シールリング7は、上記内輪部材4の外周(外径面)に一体嵌合される磁気エンコーダ10と、外輪5の内周(内径面)に圧入嵌合される芯金11と、ゴム等の弾性材からなり、先端部が磁気エンコーダ10を構成する金属補強環(スリンガ)13の内面(転動体6側)に弾性摺接する複数のリップ12a…を有し、芯金11に固着された弾性シールリップ部材12とが組合さったパックシールタイプのシールリング(以下、パックシールと言う)として構成されている。
芯金11及び金属補強環13は、SPCC等の冷間圧延鋼板を、図例のような形状に板金加工して形成されたものであり、弾性シールリップ部材12は、NBR、H−NBR、ACM、AEM、FKM等から選ばれたいずれかのゴム材が用いられる。
【0016】
磁気エンコーダ10は、内輪部材4の外径面に嵌合固定される円筒状部13aと、その一端に連成された外向鍔状部13bとよりなる金属補強環(スリンガ)13と、外向鍔状部13bの外面(車体側面)に後述する接着剤層15を介して固着一体とされた環状多極磁石14とよりなり、環状多極磁石14は、図中14bを接着面、14cを着磁面とし、磁性粉末を含有するバインダーを円環状に成型し、金属補強環13と固着一体化した後、着磁面14cの周方向に沿って多数のN極、S極を交互に着磁を行う。そして、ハブ2及び内輪部材4の回転に伴う磁気エンコーダ10の回転による着磁部分の磁気変化を、磁気センサ9が検出し、これによって車輪の回転検出(回転速度、回転方向等)がなされるよう構成されている。
【0017】
環状多極磁石14は、通常用いられるゴム磁石よりも高充填で硬質なゴム磁石、プラスチック磁石、焼結磁石等を採用することができる。ゴム磁石のゴム原料としては、NBR、H−NBR、アクリルゴム、フッ素ゴム等が採用され、プラスチック磁石の樹脂原料としては、熱可塑性樹脂であって、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が採用され、磁性粉末としては、フェライト粉末、希土類粉末(NdFeB、SmFeN等)等が採用される。
【0018】
環状多極磁石14の接着面14b側には、接着剤の層厚rを確保するための突起部14aが形成されており(図3参照)、この突起部14aによって金属補強環13と環状多極磁石14との間には、均一で一定の層厚が確保された接着剤層15が形成される。接着剤としては、エポキシ系接着剤や、シーラント及びエラストマー系接着剤のような弾性接着剤が採用される。
ここに示す突起部14aは、環状多極磁石14の外周方向に沿って壁状に形成されており、図中rは層厚を示している。接着剤層15の少なくとも一部の層厚rが、20μm〜300μmとなるように、突起部14aの突出高さは接着剤層15の層厚rと一致するように形成されている。
接着剤層15の層厚rが20μmより小さくなると、層厚の確保が十分とはいえず、金属補強環13と環状多極磁石14との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層15によって吸収できず、環状多極磁石14の剥れや割れ発生を未然に防止することができない傾向となる。また層厚rが300μmを超えると、多極に着磁された環状多極磁石の磁束密度が低下し、その特性を悪化させる傾向となる。
よって、理想的な層厚rとしては50μm〜200μmが望ましい。
【0019】
ここで、環状多極磁石14の形状はこれを成型する金型で決まるため、突起部用凹部を含んだ形状の金型を作製すれば、突起部14aを備えた所望形状の環状多極磁石用原形(磁性環)を容易に作製することができる。従って、この磁性環と金属補強環13とを接着剤によって貼り合わせる際、その界面には一定の層厚r、即ち突起部の高さに基づく層厚rを有する接着剤層15が形成されることとなる。
このように環状多極磁石14(磁性環)の接着面14b側に突起部14aが形成されていることにより、機械的に所定の層厚rを確保することができ、製造が容易となり、且つ品質の安定を図ることができる。
接着剤は金属補強環13又は/および環状多極磁石14に予め塗布してから磁性環と貼り合わせる他、突起部14aによって形成される磁性環と金属補強環13との空間(隙間)に接着剤を注入するものとしてもよい。
【0020】
図2、図3に示す突起部14aは、環状多極磁石14の外周方向に全周に形成されたものを示しているがこれに限定されず、突起部14aを部分的に形成したものとしてもよい(不図示)。これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が全周に設けられた場合より、小さくなるので、層厚rの接着面域を広くとることができ、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0021】
以上によれば、突起部14aによって金属補強環13と環状多極磁石14との間には、所定の層厚が確保された接着剤層15が形成されているので、サーマルショックテストをクリアでき、温度変化の激しい環境下におかれても、金属補強環13と環状多極磁石14との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層15が吸収し、環状多極磁石14の剥れや割れ発生を未然に防止することができる。
【0022】
金属補強環13に接着剤を塗布して両者を固着一体化させる際、固着一体化部分の端部には接着剤の食み出し部分が存在するようにその塗布がなされるものとしてもよい(不図示)。これによれば、この接着剤の食み出し部分の存在により、より一層、接着面へ水が浸入することがなく、従って、浸入した水の凍結による環状多極磁石14の割れの発生を有効に阻止することができる。また、環状多極磁石14及び金属補強環13の接着剤15による接着面は、いずれもその表面を粗すことにより接着剤による接着固着強度をより強固にすることもできる。
【0023】
更に本実施形態では、磁気エンコーダ10がパックシール7の一構成部材とした場合を例示したが、磁気エンコーダ10を単体で回転側部材に嵌合し、この磁気エンコーダ10に磁気センサ9を対峙するよう配置して構成するようにしても良い。そして図1及び図2は内輪が回転する駆動輪における軸受ユニット1での例を示しているが、外輪回転の従動輪用の軸受ユニットにも適用し得ることは言うまでもない。この場合は、回転側部材としての外輪に磁気エンコーダ10が嵌合固定される。
【0024】
次に、第1の実施形態の変形例について、図4(a)(b)乃至図9に基づいて説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図4(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って全周に亘って、壁状に形成されている例である。このように、突起部14aは外周方向に沿って形成されるものに限らず、内周方向に沿って形成されたものとしてもよい。
【0025】
図4(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って壁状に形成されており、突起部14aが部分的に形成されている例である。このように部分的に形成されたものとすれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が全周に設けられた場合より、小さくなるので、層厚rの接着面域を広くとることができ、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0026】
図5(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の外周方向に沿って壁状に形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とされている例である。突起部14aの先端側の形状をこのような形状とすることにより、環状多極磁石14が金属補強環1に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。よって、上述の効果と相乗して、より一層金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0027】
図5(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って壁状に形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とされている例である。このように、突起部14aは外周方向に沿って形成されるものに限らず、内周方向に沿って形成されたものとすることができる。
【0028】
図6に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが周方向に沿って外周、内周だけでなく、その中間にも形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状がいずれも先細り形状とされている例である。
尚、図5(a)(b)及び図6に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0029】
図7(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが内周方向に沿って全周に形成されており、且つ該接着面14bが突起部14aに向かって傾斜(テーパー状)して形成されている例である。
図7(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが外周方向に沿って全周に形成されており、且つ該接着面14bが突起部14aに向かって傾斜(テーパー状)して形成されている例である。
図7(a)(b)のいずれの例においても、接着面14bの接着面域を広くとることができるので、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着できる。
尚、図7(a)(b)に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0030】
図8に示す磁気エンコーダ10は、環状多極磁石14の内周方向に沿って突起部14aが形成されるとともに、外向鍔状部13bの外周縁部13cに接する係止部14dが形成されている例である。これによれば、係止部14dによって、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着できる。また係止部14dが外向鍔状部13bの外周縁部13cにまで、回り込むように形成されるから、環状多極磁石14の着磁面14cが大となるので、回転検出の精度を向上させることができる。
尚、図8に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0031】
図9に示す磁気エンコーダ10は、図8の例と同様に環状多極磁石14の内周方向に沿って突起部14aが形成されるとともに、外向鍔状部13bの外周縁部13cに接する係止部14dが形成されている例である。ここでは、外向鍔状部13bの外周縁部13c部分にまで接着剤層15が形成されている点が図9の例とは異なる。これによれば、外周縁部13c部分にまで接着剤層15が回り込むように形成されているから、層厚rの接着面域を広げることができるので、一層安定して金属補強環13と環状多極磁石14とを強固に接着できる。
尚、図9に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0032】
次いで、図10(a)乃至(c)に基づいて、第2の実施形態について説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図10(a)乃至(c)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが、環状多極磁石14の中心部より放射方向に形成されている例である。
図10(c)に示されるように突起部14aを層厚rが確保可能なように形成されているので、図10(b)に示されるように層厚rを確保することができ、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2の実施形態においても、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
【0033】
更に図11(a)(b)乃至図14に基づいて、第3の実施形態について説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。図12、図14中、Lは中心線を示している。
図11(a)(b)、図12に示す磁気エンコーダ10は同じものを示しており、半円形状の突起部14aが、環状多極磁石14の外周側に3つ点在して設けられている例である。突起部14aの形状や数は限定されるものではなく、図示していないが、環状多極磁石14の内周側に設けたものとすることもできる。
また図11(a)上、一点鎖線で示した拡大図Yに示すように、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
図12に示されるように突起部14aは、層厚rが確保可能なようにして形成されているので、所定の層厚rを確保することができる。
第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏し、また図4と同じ要領で金属補強環13と環状多極磁石14とを接着することができる。
【0034】
次に、第3の実施形態の変形例について、図13(a)(b)、図14に基づいて説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図13(a)(b)、図14に示す磁気エンコーダ10は同じものを示しており、円形状の突起部14aが、環状多極磁石14の外周側に4つ、内周側に4つ点在して設けられている例である。突起部14aの形状や数は限定されるものではない。
また図13(a)上、一点鎖線で示した拡大図Zに示すように、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
図14に示されるように突起部14aは、層厚rが確保可能なように形成されているので、所定の層厚rを確保することができる。
この変形例においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0035】
更に第4の実施形態について図15に基づいて説明する。
第1の実施形態乃至第3の実施形態の磁気エンコーダ10はいずれもアキシャルエンコーダを構成するものであるが、本実施形態の磁気エンコーダ10はラジアルエンコーダを構成するものである点で上記とは異なる。
金属補強環13は、回転側部材4’の外径面に嵌合固定される円筒状部13dと、この円筒状部13dの一端部に連成された内向鍔状部13eとよりなる。環状多極磁石14は、金属補強環13の円筒状部13dに外嵌し得る円筒体とされ、接着剤層15を介して円筒状部13dに外嵌することにより、金属補強環13と、環状多極磁石14とが固着一体とされた磁気エンコーダ10が形成される。そして、この磁気エンコーダ10は、そのラジアル方向に近接対峙された磁気センサ9とによって回転検出がなされる。
【0036】
図15に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の周方向内向に沿って壁状に形成されたものを示しており、接着剤の層厚rが確保できるよう構成されている。
この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また突起部14aの形成態様は、環状多極磁石14の周方向内向に沿って形成されたものに限定されず、第1の実施形態及びその変形例(図2〜図9)の他、第2の実施形態及びその変形例(図10〜図12)、第3の実施形態及びその変形例(図13(a)(b)、図14)に記載のアキシャルエンコーダをラジアルエンコーダに適用することができることは言うまでもない。
【0037】
例えば、突起部14aを部分的に形成したり(図4(b)参照)、突起部14aの先端側の断面形状を先細り形状とすることもできる(図5(a)、図5(b)、図6、図11(a)拡大図Y、図13(a)拡大図Y参照)。また突起部14aは、軸方向に沿った複数の突起を周方向に間隔をあけて点在して設けたもの(図11(a)、図13(a)参照、接着面14bをテーパー状としたもの(図7(a)、図7(b)参照)、金属補強環13の円筒状部13dの縁部にまで回り込むにように形成された係止部が形成されたものとすることもできる(図8、図9参照)。
【0038】
尚、突起部14aの形状は図例のものに限定されず、磁気エンコーダの適用例は、上記実施形態に限定されず、回転側部材に取付けられ、固定側部材に設置された磁気センサとによって磁気エンコーダを構成するものであれば、その他の回転検出が求められる回転部分における軸受、軸受ユニット或いは適宜回転軸(駆動軸)等の回転側部材においても本発明の磁気エンコーダを採用し得ることは言うまでもない。更に、環状多極磁石14の着磁は、金属補強環13と一体化した後なされるのが現実的であるが、一体化前に着磁することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の磁気エンコーダを用いて組立てられた軸受構造の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるX部の拡大図である。
【図3】同磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図である。
【図4】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図5】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図6】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図7】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図8】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図9】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図10】(a)別実施形態の磁気エンコーダの平面図、(b)図10(a)のA−A線矢視断面図、(c)は図10(a)のB−B線矢視断面図である。
【図11】(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、(b)は同磁気エンコーダの平面図である。
【図12】図11(b)のC−C線矢視断面図である。
【図13】(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、(b)は同磁気エンコーダの平面図である。
【図14】図13(b)のD−D線矢視断面図である。
【図15】更に別実施形態の磁気エンコーダの断面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 ハブ(回転側部材)
4 内輪部材(回転側部材)
5 外輪(固定側部材)
9 磁気センサ
10 磁気エンコーダ
13 金属補強環(スリンガ)
14 環状多極磁石
14a 突起部
14b 接着面
15 接着剤層
r 層厚
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用車輪等の回転数を検出する為の回転検出装置を構成する磁気エンコーダに関し、更に詳しくは、自動車のアンチロックブレーキシステム或いはトラクションコントールシステムに適用する為に車輪の回転数を検出すべく設置される磁気エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
このような磁気エンコーダとしては、自動車用車輪の回転側部材に嵌合固定される金属補強環と、車体側の磁気センサに対峙するように配設され、該金属補強環に固着された環状多極磁石とよりなるものが採用されている。該環状多極磁石は、フェライト等の磁性粉末をゴムや樹脂原料に混練配合し、金属補強環とは別に成型して作製したものを、金属補強環と接着剤によって固着一体化した後、多数のN極、S極を交互に着磁して、磁気エンコーダとされる。
【0003】
このようにして作製された磁気エンコーダは、自動車用車輪の回転検出に用いられる場合、水或いは汚泥や塵埃等の異物が飛散する苛酷な環境に晒されることが多い為、高い耐久性が求められる。そこで、製品としての耐久性を調べるため、高温状態と低温状態とを交互に繰り返して行われるサーマルショックテストがなされるが、このとき、金属補強環と環状多極磁石との線膨張率の違いにより、環状多極磁石に割れが生じたり、金属補強環と環状多極磁石との間に歪み、隙間が生じる場合がある。
これを解消するため、金属補強環と環状多極磁石との熱膨張差を吸収するため、両者を固着する接着剤の層厚を確保することが考えられる。
【0004】
下記特許文献1には、補強環(金属補強環)と磁性環とを接着剤で固着した後に、その周状にS・N極を交互に着磁した磁気エンコーダが記載されている。また下記特許文献2には、円環状に形成され、且つ円周方向に多極に着磁された磁石からなるエンコーダ(環状多極磁石)の、回転体に固定される取り付け部材(金属補強環)との接着面には、溝が形成されているものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−138597号公報
【特許文献2】特開2005−233321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2は、いずれも接着剤によって金属補強環と磁性環、或いは環状多極磁石が接着されているが、接着剤の層厚を確保し、熱膨張差を吸収しようというものではなかった。
またこのような金属補強環と環状多極磁石との間に塗布される接着剤の層厚を確保しようとしても、また単に金属補強環と環状多極磁石とを接着剤によって貼り合わせるだけでは、接着剤は液状であるから、塗り重ねたとしても、上記熱膨張差を吸収し得る程の層厚を備えた接着剤の層を形成することはできなかった。更に接着剤は安定した接着のため、均一な厚さにすることを要するが、層厚を均一にすることも困難とされている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、金属補強環と環状多極磁石の熱膨張差にも両者が剥れることなく、強固に一体とされ、且つ耐久性、信頼性の高い磁気エンコーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る磁気エンコーダは、回転側部材に嵌合一体に装着される金属補強環と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石とよりなり、固定側部材に固定される磁気センサとにより回転検出を行うものであって、上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面側には、上記接着剤の層厚を確保するための突起部が形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、請求項2のように、突起部が、環状多極磁石の周方向に沿って壁状に形成されているものとすることができ、請求項3のように、突起部は、部分的に形成されているものとすることができる。
また請求項4のように、突起部が、環状多極磁石の中心部より放射方向に形成されているものとすることができ、更に請求項5のように、突起部が、複数且つ点在して設けられているものとすることもできる。
そして請求項6のように、前記突起部の先端側の断面形状を先細り形状とすることができ、請求項7のように、接着剤層の少なくとも一部の層厚を20μm〜300μmとすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明に係る磁気エンコーダによれば、環状多極磁石の金属補強環と接着する接着面側には、接着剤の層を確保するための突起部が形成されているので、機械的に均一な層厚を確保することができ、製造が容易となり、且つ品質の安定を図ることができる。即ち、環状多極磁石の形状はこれを成型する金型で決まるため、突起部用凹部を含んだ形状の金型を作製すれば、所望形状の環状多極磁石用原形を容易に作製することができ、この磁性環と金属補強環とを接着剤によって貼り合わせることにより、その界面には一定の層厚を有する接着剤層が容易に形成することができる。また、この突起部によって金属補強環と環状多極磁石との間には、一定の層厚が確保された接着剤層が形成されているので、サーマルショックテストをクリアでき、温度変化の激しい環境下におかれても、金属補強環と環状多極磁石との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層が吸収し、環状多極磁石の剥れや割れ発生を未然に防止することができる。
【0010】
請求項2乃至5のいずれかの発明で具現化されるような突起部が設けられているので、請求項2乃至請求項5の発明に係る磁気エンコーダによれば、容易に均一な接着剤の層厚を確保することができ、上記効果を奏することができる。また環状多極磁石の接着面側に突起部が形成されているため、金属補強環との接着面をすぐに認識することができ、磁気エンコーダの作製をスムーズに行うことができる。
【0011】
請求項3及び請求項5に係る磁気エンコーダによれば、突起部が部分的或いは点在して設けられているので、突起部が金属補強環に接触する面積が小さくなり、層厚の接着面域を広くとることができる。よって、上記効果との相乗によって、より一層金属補強環と環状多極磁石とを安定して強固に接着することができる。
また請求項6の発明に係る磁気エンコーダによっても、突起部の先端側の断面形状が先細り形状とされているので、突起部が金属補強環に接触する面積が小さくなり、層厚の接着面域を広くとることができる。よって、上記効果との相乗によって、より一層金属補強環と環状多極磁石とを安定して強固に接着することができる。
【0012】
請求項7の発明に係る磁気エンコーダによれば、接着剤層の少なくとも一部の層厚が20μm〜300μmとされているので、上述の効果を奏することができる。層厚が20μmより小さくなると、層厚の確保が十分とはいえず、金属補強環と環状多極磁石との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層によって吸収できず、環状多極磁石の剥れや割れ発生を未然に防止することができない傾向となる。また層厚が300μmを超えると、多極に着磁された環状多極磁石の磁束密度が低下し、その特性を悪化させる傾向となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の磁気エンコーダを用いて組立てられた軸受構造の一例を示す縦断面図、図2は図1におけるX部の拡大図、図3は同磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図4(a)(b)乃至図9は同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図、図10(a)は別実施形態の磁気エンコーダの平面図、図10(b)は図10(a)のA−A線矢視断面図、図10(c)は図10(a)のB−B線矢視断面図、図11(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図11(b)は同磁気エンコーダの平面図、図12は図11(b)のC−C線矢視断面図、図13(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、図13(b)は同磁気エンコーダの平面図、図14は図13(b)のD−D線矢視断面図、図15(a)、(b)は更に別実施形態の磁気エンコーダの断面図である。尚、以下では、着磁後のものを環状多極磁石14、着磁前のものを磁性環として区別にして説明する。
【0014】
まずは図1〜図3に基づいて第1の実施形態について説明する。
図1は自動車の車輪を転がり軸受ユニット1により支持する構造の一例を示すものであり、内輪(回転側部材)を構成するハブ2のハブフランジ2aにボルト3によりタイヤホイール(不図示)が固定される。また、ハブ2に形成されたスプライン軸孔2bには駆動シャフト(不図示)がスプライン嵌合されて、該駆動シャフトの回転駆動力がタイヤホイールに駆動伝達される。そして、ハブ2は内輪部材4と共に内輪を構成する。外輪(固定側部材)5は、車体の懸架装置(不図示)に取付固定される。この外輪5と上記内輪(ハブ2及び内輪部材4)との間に2列の転動体(玉)6…がリテーナ6aで保持された状態で介装されている。2列の転動体(玉)6…の軌道の軸方向外側には、上記転動体6…の転動部に装填される潤滑剤(グリス)の漏出或いは外部からの泥水等の浸入を防止するためのシールリング7、8が、外輪5と内輪(ハブ2及び内輪部材4)との間に圧入装着されている。車体側シールリング7の外面に対面するよう、磁気センサ9が外輪5又は車体(固定側部材)に配備され、後述する磁気エンコーダ10とにより、タイヤホイールの回転速度を検出するよう構成されている。
【0015】
図2は、車体側シールリング7の装着部の拡大断面図(図1におけるX部の拡大図)を示す。該シールリング7は、上記内輪部材4の外周(外径面)に一体嵌合される磁気エンコーダ10と、外輪5の内周(内径面)に圧入嵌合される芯金11と、ゴム等の弾性材からなり、先端部が磁気エンコーダ10を構成する金属補強環(スリンガ)13の内面(転動体6側)に弾性摺接する複数のリップ12a…を有し、芯金11に固着された弾性シールリップ部材12とが組合さったパックシールタイプのシールリング(以下、パックシールと言う)として構成されている。
芯金11及び金属補強環13は、SPCC等の冷間圧延鋼板を、図例のような形状に板金加工して形成されたものであり、弾性シールリップ部材12は、NBR、H−NBR、ACM、AEM、FKM等から選ばれたいずれかのゴム材が用いられる。
【0016】
磁気エンコーダ10は、内輪部材4の外径面に嵌合固定される円筒状部13aと、その一端に連成された外向鍔状部13bとよりなる金属補強環(スリンガ)13と、外向鍔状部13bの外面(車体側面)に後述する接着剤層15を介して固着一体とされた環状多極磁石14とよりなり、環状多極磁石14は、図中14bを接着面、14cを着磁面とし、磁性粉末を含有するバインダーを円環状に成型し、金属補強環13と固着一体化した後、着磁面14cの周方向に沿って多数のN極、S極を交互に着磁を行う。そして、ハブ2及び内輪部材4の回転に伴う磁気エンコーダ10の回転による着磁部分の磁気変化を、磁気センサ9が検出し、これによって車輪の回転検出(回転速度、回転方向等)がなされるよう構成されている。
【0017】
環状多極磁石14は、通常用いられるゴム磁石よりも高充填で硬質なゴム磁石、プラスチック磁石、焼結磁石等を採用することができる。ゴム磁石のゴム原料としては、NBR、H−NBR、アクリルゴム、フッ素ゴム等が採用され、プラスチック磁石の樹脂原料としては、熱可塑性樹脂であって、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が採用され、磁性粉末としては、フェライト粉末、希土類粉末(NdFeB、SmFeN等)等が採用される。
【0018】
環状多極磁石14の接着面14b側には、接着剤の層厚rを確保するための突起部14aが形成されており(図3参照)、この突起部14aによって金属補強環13と環状多極磁石14との間には、均一で一定の層厚が確保された接着剤層15が形成される。接着剤としては、エポキシ系接着剤や、シーラント及びエラストマー系接着剤のような弾性接着剤が採用される。
ここに示す突起部14aは、環状多極磁石14の外周方向に沿って壁状に形成されており、図中rは層厚を示している。接着剤層15の少なくとも一部の層厚rが、20μm〜300μmとなるように、突起部14aの突出高さは接着剤層15の層厚rと一致するように形成されている。
接着剤層15の層厚rが20μmより小さくなると、層厚の確保が十分とはいえず、金属補強環13と環状多極磁石14との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層15によって吸収できず、環状多極磁石14の剥れや割れ発生を未然に防止することができない傾向となる。また層厚rが300μmを超えると、多極に着磁された環状多極磁石の磁束密度が低下し、その特性を悪化させる傾向となる。
よって、理想的な層厚rとしては50μm〜200μmが望ましい。
【0019】
ここで、環状多極磁石14の形状はこれを成型する金型で決まるため、突起部用凹部を含んだ形状の金型を作製すれば、突起部14aを備えた所望形状の環状多極磁石用原形(磁性環)を容易に作製することができる。従って、この磁性環と金属補強環13とを接着剤によって貼り合わせる際、その界面には一定の層厚r、即ち突起部の高さに基づく層厚rを有する接着剤層15が形成されることとなる。
このように環状多極磁石14(磁性環)の接着面14b側に突起部14aが形成されていることにより、機械的に所定の層厚rを確保することができ、製造が容易となり、且つ品質の安定を図ることができる。
接着剤は金属補強環13又は/および環状多極磁石14に予め塗布してから磁性環と貼り合わせる他、突起部14aによって形成される磁性環と金属補強環13との空間(隙間)に接着剤を注入するものとしてもよい。
【0020】
図2、図3に示す突起部14aは、環状多極磁石14の外周方向に全周に形成されたものを示しているがこれに限定されず、突起部14aを部分的に形成したものとしてもよい(不図示)。これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が全周に設けられた場合より、小さくなるので、層厚rの接着面域を広くとることができ、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0021】
以上によれば、突起部14aによって金属補強環13と環状多極磁石14との間には、所定の層厚が確保された接着剤層15が形成されているので、サーマルショックテストをクリアでき、温度変化の激しい環境下におかれても、金属補強環13と環状多極磁石14との間に生じる熱膨張差を、該接着剤層15が吸収し、環状多極磁石14の剥れや割れ発生を未然に防止することができる。
【0022】
金属補強環13に接着剤を塗布して両者を固着一体化させる際、固着一体化部分の端部には接着剤の食み出し部分が存在するようにその塗布がなされるものとしてもよい(不図示)。これによれば、この接着剤の食み出し部分の存在により、より一層、接着面へ水が浸入することがなく、従って、浸入した水の凍結による環状多極磁石14の割れの発生を有効に阻止することができる。また、環状多極磁石14及び金属補強環13の接着剤15による接着面は、いずれもその表面を粗すことにより接着剤による接着固着強度をより強固にすることもできる。
【0023】
更に本実施形態では、磁気エンコーダ10がパックシール7の一構成部材とした場合を例示したが、磁気エンコーダ10を単体で回転側部材に嵌合し、この磁気エンコーダ10に磁気センサ9を対峙するよう配置して構成するようにしても良い。そして図1及び図2は内輪が回転する駆動輪における軸受ユニット1での例を示しているが、外輪回転の従動輪用の軸受ユニットにも適用し得ることは言うまでもない。この場合は、回転側部材としての外輪に磁気エンコーダ10が嵌合固定される。
【0024】
次に、第1の実施形態の変形例について、図4(a)(b)乃至図9に基づいて説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図4(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って全周に亘って、壁状に形成されている例である。このように、突起部14aは外周方向に沿って形成されるものに限らず、内周方向に沿って形成されたものとしてもよい。
【0025】
図4(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って壁状に形成されており、突起部14aが部分的に形成されている例である。このように部分的に形成されたものとすれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が全周に設けられた場合より、小さくなるので、層厚rの接着面域を広くとることができ、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0026】
図5(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の外周方向に沿って壁状に形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とされている例である。突起部14aの先端側の形状をこのような形状とすることにより、環状多極磁石14が金属補強環1に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。よって、上述の効果と相乗して、より一層金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着することができる。
【0027】
図5(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の内周方向に沿って壁状に形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とされている例である。このように、突起部14aは外周方向に沿って形成されるものに限らず、内周方向に沿って形成されたものとすることができる。
【0028】
図6に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが周方向に沿って外周、内周だけでなく、その中間にも形成されており、その突起部14aの先端側の断面形状がいずれも先細り形状とされている例である。
尚、図5(a)(b)及び図6に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0029】
図7(a)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが内周方向に沿って全周に形成されており、且つ該接着面14bが突起部14aに向かって傾斜(テーパー状)して形成されている例である。
図7(b)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが外周方向に沿って全周に形成されており、且つ該接着面14bが突起部14aに向かって傾斜(テーパー状)して形成されている例である。
図7(a)(b)のいずれの例においても、接着面14bの接着面域を広くとることができるので、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着できる。
尚、図7(a)(b)に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0030】
図8に示す磁気エンコーダ10は、環状多極磁石14の内周方向に沿って突起部14aが形成されるとともに、外向鍔状部13bの外周縁部13cに接する係止部14dが形成されている例である。これによれば、係止部14dによって、金属補強環13と環状多極磁石14とを安定して強固に接着できる。また係止部14dが外向鍔状部13bの外周縁部13cにまで、回り込むように形成されるから、環状多極磁石14の着磁面14cが大となるので、回転検出の精度を向上させることができる。
尚、図8に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0031】
図9に示す磁気エンコーダ10は、図8の例と同様に環状多極磁石14の内周方向に沿って突起部14aが形成されるとともに、外向鍔状部13bの外周縁部13cに接する係止部14dが形成されている例である。ここでは、外向鍔状部13bの外周縁部13c部分にまで接着剤層15が形成されている点が図9の例とは異なる。これによれば、外周縁部13c部分にまで接着剤層15が回り込むように形成されているから、層厚rの接着面域を広げることができるので、一層安定して金属補強環13と環状多極磁石14とを強固に接着できる。
尚、図9に示す例においても、図4(b)のように突起部14aを部分的に形成するものとできる点は言うまでもない(不図示)。
【0032】
次いで、図10(a)乃至(c)に基づいて、第2の実施形態について説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図10(a)乃至(c)に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが、環状多極磁石14の中心部より放射方向に形成されている例である。
図10(c)に示されるように突起部14aを層厚rが確保可能なように形成されているので、図10(b)に示されるように層厚rを確保することができ、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、第2の実施形態においても、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
【0033】
更に図11(a)(b)乃至図14に基づいて、第3の実施形態について説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。図12、図14中、Lは中心線を示している。
図11(a)(b)、図12に示す磁気エンコーダ10は同じものを示しており、半円形状の突起部14aが、環状多極磁石14の外周側に3つ点在して設けられている例である。突起部14aの形状や数は限定されるものではなく、図示していないが、環状多極磁石14の内周側に設けたものとすることもできる。
また図11(a)上、一点鎖線で示した拡大図Yに示すように、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
図12に示されるように突起部14aは、層厚rが確保可能なようにして形成されているので、所定の層厚rを確保することができる。
第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏し、また図4と同じ要領で金属補強環13と環状多極磁石14とを接着することができる。
【0034】
次に、第3の実施形態の変形例について、図13(a)(b)、図14に基づいて説明する。ここで第1の実施形態と共通する部分には共通の符号を付し、その説明は割愛する。
図13(a)(b)、図14に示す磁気エンコーダ10は同じものを示しており、円形状の突起部14aが、環状多極磁石14の外周側に4つ、内周側に4つ点在して設けられている例である。突起部14aの形状や数は限定されるものではない。
また図13(a)上、一点鎖線で示した拡大図Zに示すように、突起部14aの先端側の断面形状が先細り形状とすることができ、これによれば、突起部14aが金属補強環13に接触する面積が小さくなり、層厚rの接着面域を広くとることができる。
図14に示されるように突起部14aは、層厚rが確保可能なように形成されているので、所定の層厚rを確保することができる。
この変形例においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0035】
更に第4の実施形態について図15に基づいて説明する。
第1の実施形態乃至第3の実施形態の磁気エンコーダ10はいずれもアキシャルエンコーダを構成するものであるが、本実施形態の磁気エンコーダ10はラジアルエンコーダを構成するものである点で上記とは異なる。
金属補強環13は、回転側部材4’の外径面に嵌合固定される円筒状部13dと、この円筒状部13dの一端部に連成された内向鍔状部13eとよりなる。環状多極磁石14は、金属補強環13の円筒状部13dに外嵌し得る円筒体とされ、接着剤層15を介して円筒状部13dに外嵌することにより、金属補強環13と、環状多極磁石14とが固着一体とされた磁気エンコーダ10が形成される。そして、この磁気エンコーダ10は、そのラジアル方向に近接対峙された磁気センサ9とによって回転検出がなされる。
【0036】
図15に示す磁気エンコーダ10は、突起部14aが環状多極磁石14の周方向内向に沿って壁状に形成されたものを示しており、接着剤の層厚rが確保できるよう構成されている。
この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また突起部14aの形成態様は、環状多極磁石14の周方向内向に沿って形成されたものに限定されず、第1の実施形態及びその変形例(図2〜図9)の他、第2の実施形態及びその変形例(図10〜図12)、第3の実施形態及びその変形例(図13(a)(b)、図14)に記載のアキシャルエンコーダをラジアルエンコーダに適用することができることは言うまでもない。
【0037】
例えば、突起部14aを部分的に形成したり(図4(b)参照)、突起部14aの先端側の断面形状を先細り形状とすることもできる(図5(a)、図5(b)、図6、図11(a)拡大図Y、図13(a)拡大図Y参照)。また突起部14aは、軸方向に沿った複数の突起を周方向に間隔をあけて点在して設けたもの(図11(a)、図13(a)参照、接着面14bをテーパー状としたもの(図7(a)、図7(b)参照)、金属補強環13の円筒状部13dの縁部にまで回り込むにように形成された係止部が形成されたものとすることもできる(図8、図9参照)。
【0038】
尚、突起部14aの形状は図例のものに限定されず、磁気エンコーダの適用例は、上記実施形態に限定されず、回転側部材に取付けられ、固定側部材に設置された磁気センサとによって磁気エンコーダを構成するものであれば、その他の回転検出が求められる回転部分における軸受、軸受ユニット或いは適宜回転軸(駆動軸)等の回転側部材においても本発明の磁気エンコーダを採用し得ることは言うまでもない。更に、環状多極磁石14の着磁は、金属補強環13と一体化した後なされるのが現実的であるが、一体化前に着磁することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の磁気エンコーダを用いて組立てられた軸受構造の一例を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるX部の拡大図である。
【図3】同磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図である。
【図4】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図5】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図6】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図7】(a)(b)同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図8】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図9】同磁気エンコーダの変形例の斜視断面図である。
【図10】(a)別実施形態の磁気エンコーダの平面図、(b)図10(a)のA−A線矢視断面図、(c)は図10(a)のB−B線矢視断面図である。
【図11】(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、(b)は同磁気エンコーダの平面図である。
【図12】図11(b)のC−C線矢視断面図である。
【図13】(a)は更に別実施形態の磁気エンコーダを構成する環状多極磁石の斜視図、(b)は同磁気エンコーダの平面図である。
【図14】図13(b)のD−D線矢視断面図である。
【図15】更に別実施形態の磁気エンコーダの断面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 ハブ(回転側部材)
4 内輪部材(回転側部材)
5 外輪(固定側部材)
9 磁気センサ
10 磁気エンコーダ
13 金属補強環(スリンガ)
14 環状多極磁石
14a 突起部
14b 接着面
15 接着剤層
r 層厚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転側部材に嵌合一体に装着される金属補強環と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石とよりなり、固定側部材に固定される磁気センサとにより回転検出を行う磁気エンコーダであって、
上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面側には、上記接着剤の層を確保するための突起部が形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層が形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、前記環状多極磁石の周方向に沿って壁状に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部は、部分的に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、前記環状多極磁石の中心部より放射方向に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、複数且つ点在して設けられていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部の先端側の断面形状が先細り形状であることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の磁気エンコーダにおいて、
前記接着剤層の少なくとも一部の層厚が、20μm〜300μmであることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項1】
回転側部材に嵌合一体に装着される金属補強環と、該金属補強環と接着剤によって固着一体化された環状多極磁石とよりなり、固定側部材に固定される磁気センサとにより回転検出を行う磁気エンコーダであって、
上記環状多極磁石の上記金属補強環との接着面側には、上記接着剤の層を確保するための突起部が形成されており、この突起部によって上記金属補強環と上記環状多極磁石との間には、突起部の高さに基づく層厚の接着剤層が形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、前記環状多極磁石の周方向に沿って壁状に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部は、部分的に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、前記環状多極磁石の中心部より放射方向に形成されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部が、複数且つ点在して設けられていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の磁気エンコーダにおいて、
前記突起部の先端側の断面形状が先細り形状であることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の磁気エンコーダにおいて、
前記接着剤層の少なくとも一部の層厚が、20μm〜300μmであることを特徴とする磁気エンコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−25057(P2009−25057A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186434(P2007−186434)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】
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