説明

磁気シート用繋ぎテープ、及び磁気シートの繋ぎ方法

【課題】不良品を切り離して良品を繋ぎ合わせた部分に、充分な引張り強度と耐環境性を持たせること。
【解決手段】 不良品の磁気カード片2bを切り離し、良品の磁気カード片2a、2aどうしを突き合わせ、ミシン目5の基材3の上に、耐環境性を有する樹脂フィルムからなる圧着層12を備えた繋ぎテープ10を熱圧着して繋ぎ合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車券等として用いられる磁気シートについて、特に不良品を切り離して良品を繋ぎ合わせるための磁気シート用繋ぎテープ、及び磁気シートの繋ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、磁気記録方式を利用した磁気カードとして、磁気駐車券、磁気通行券、あるいは磁気定期券など多数のカード類が流通している。これらの磁気カードは、通常、シート状の基材の片面にストライプ状の磁気層を塗工した磁気シートにおいて、ミシン目を介して複数枚分の単片状の磁気カード片を連設した連続製品として製造される。
【0003】
ところで、上記のような連続製品において、磁気カード片の磁気層に何らかの不具合が発見されると、磁気記録を確実に行うことができなくなるため、不良品として取り扱っている。例えば、磁気層の塗工時に版面や基材上に塵埃等が付着していると、その部分だけ磁性塗料が定着せずに抜けてしまう、いわゆる「白抜け」現象が発生し得る。白抜け等が発生した場合、その磁気カード片は不良品として取り扱われるため、製品全体で考えると不良品の枚数分だけ磁気カード片の数量が不足することになる。従来では、このような不良品による数量不足が生じると一箱分の製品を廃棄していたので、製造コストの上で大いなる改良の余地があった。
【0004】
すなわち、連続製品の中に不良品による磁気カード片の数量不足が生じた場合でも、それ以外の磁気カード片は正常に磁気記録が可能であることから、不良品のみを良品に差し替えることができれば、不良品以外の磁気カード片を無駄にせずに済むので望ましい方法といえる。ここで、不良品のみを良品に差し替える具体的な方法としては、例えば図3に示すように、不良品の磁気カード片のみを磁気シートから切り離し、そこへ良品の磁気カード片を繋ぎ合わせることによって数量不足を補う方法が考えられる。
【0005】
図3(a)の方法は、図中破線で示すように、ストライプ状の磁気層(斜線部分)4を避けて不良品の磁気カード片を磁気シート1から切り離し、良品の磁気カード片2、2どうしを突き合わせて基材3の上に粘着テープ7を貼り付ける方法である。ところが、この方法の場合、不良品から良品に差し替えた磁気カード片2を見ると、カードの一部に切断した跡と粘着テープ7が残るため、外観見栄えが悪くなり、製品として採用することはできない。
【0006】
次に、図3(b)の方法は、磁気カード片2、2の間のミシン目5としてカット部の幅が通常よりも広いスコアミシン目を適用し、そのミシン目5を切断してスコア部6、6どうしを重ね合わせ、両者間を両面テープ8で繋ぎ合わせたものである。この方法の場合、ミシン目5を切り離せば磁気カード片2には切断した跡等が残らないので、外観上は問題ないが、スコア部6、6の繋ぎ部分の厚さがカード二枚分以上になり、製品の厚さが規格値から外れてしまう。
【0007】
さらに、図3(c)の方法は、ミシン目5を切断し、スコア部6、6どうしを重ねずに突き合わせて基材3の上に粘着テープ7を貼り付けたものである。しかし、この方法によると、磁気カード片2、2どうしがスコア部6、6だけで繋がっている状態なので、ミシン目5が簡単にハチケてしまい、充分な引張り強度が得られない。また、印刷時や屋外に設置された発券機内にて受ける耐熱性(耐環境性)も低く、粘着剤では耐水性も低いため製品として採用することは難しい。
【0008】
なお、下記の特許文献1には、上記のような磁気シートではなく、連続用紙を繋ぎ合わせるためのテープに関する発明が開示されているが、このテープを磁気シートにそのまま適用した場合には、図3(c)の方法と同様、繋ぎ部の引張り強度が不足し、耐熱性も低いので上記の問題を解決することはできない。
【0009】
【特許文献1】実願昭63−81278号(実開平2−4846号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、連続製品である磁気シートについて、不良品を切り離して良品を繋ぎ合わせる際に、充分な引張り強度と耐熱性が得られ、かつ外観見栄えも良好に維持できる磁気シート用繋ぎテープ、及び磁気シートの繋ぎ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、シート状の基材の片面に磁気層が塗工され、ミシン目を介して複数枚の磁気カード片が連設された磁気シートについて、切断されたミシン目を繋ぎ合わせるために用いられるテープであって、耐環境性を有する樹脂フィルムで構成され、上記基材上に熱圧着される圧着層を備えたことを特徴とする磁気シート用繋ぎテープを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、シート状の基材の片面に磁気層が塗工され、ミシン目を介して複数枚の磁気カード片が連設された磁気シートについて、切断されたミシン目を突き合わせ、そのミシン目の基材上に耐環境性を有する樹脂フィルムを熱圧着することにより、磁気シートどうしを繋ぎ合わせることを特徴とする磁気シートの繋ぎ方法を提供するものである。
【0013】
ここで、本発明における「耐環境性」とは、屋外に設置された発券機内にて磁気シートを使用可能な特性を意味し、具体的基準として少なくとも70℃程度までの温度に耐え得る耐熱性、並びに耐水性を備えるものとする。
【0014】
なお、上記磁気シート用繋ぎテープについて、圧着層の樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。また、その圧着層を紙の片面にラミネートした構成を採用してもよい。この場合、紙に上記基材と同色の耐熱性インキで着色が施されていると、磁気シートに熱圧着したテープの跡を目立たなくすることができるので、外観上好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る磁気シート用繋ぎテープ、及び磁気シートの繋ぎ方法によると、磁気シートの基材上に耐環境性を有する樹脂フィルムを熱圧着してシートどうしを繋ぎ合わせるものであるから、粘着テープや両面テープで繋ぎ合わせる方法に比べ、充分な引張り強度と耐熱性を備えた連続製品が得られる。これにより、磁気シートの連続製品に不良品による数量不足が生じた場合でも、製品全部を廃棄するのではなく、その不良品の部分のみを良品に差し替えることが可能になる。よって、不良品以外の磁気カード片を有効に利用でき製品の製造コストを大幅に節約できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付した図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び2には、連続製品である磁気シート1と、不良品を切り離して良品を繋ぎ合わせる際に用いられる磁気シート用繋ぎテープ(以下の説明では「繋ぎテープ」と略す)10が図示されている。
【0018】
磁気シート1については従来と同じ構成であるが、ここで簡単に説明すると、紙、ポリエチレン(PE)等からなるシート状の基材3で構成され、その基材3の表面に磁性粉、バインダ、水系からなる磁性塗料を塗布した磁気層4が設けられたものである。磁気層4は、図1(a)(b)に示すように、シート状の基材3の長手方向に沿ってストライプ状に形成されている。なお、磁気層4の形態はストライプ状に限らず、基材3の表面に全面塗工された形態であっても、本発明を適用することは可能である。
【0019】
また、この磁気シート1は、シートの幅方向に沿って設けられたミシン目5、5…を介して、複数枚分の磁気カード片2、2…が設定されている。本実施形態では、ミシン目5のパターンとして、カット部の幅が通常のミシン目よりも広いスコアミシン目を適用しており、シートどうしが繋がったスコア部6を切断することにより、単片状の磁気カード片2が得られる。また、この磁気シート1はミシン目5、5…を交互に折り畳み、カード発券機(図示せず)等の内部にセットされる連続製品である。
【0020】
この発明によると、上記構成からなる磁気シート1について、磁気層4の一部に例えば白抜け等の塗工不良(図中矢印Aで示す部分)が発見された場合、その不良品の磁気カード片2bのみを磁気シート1から切り離し、良品の磁気カード片2aに差し替えることが可能である。
【0021】
その方法は、不良品の磁気カード片2bについて、左右両側にあるミシン目5、5のスコア部6、6をそれぞれ切断して切り離す(図1(a)参照)。次いで、その部分へ同じくミシン目5、5を切断した良品の磁気カード片2aを挿入し、スコア部6、6どうしを突き合わせる(図1(b)参照)。そして、ミシン目5、5の繋ぎ部分において、基材3の上に、ミシン目5に沿って繋ぎテープ10を熱圧着することにより、良品の磁気カード片2aが磁気シート1に繋ぎ合わされる(図1(c)参照)。
【0022】
繋ぎテープ10は、図2に示すように、帯状の紙からなるテープ基材11の裏面に、耐環境性を有する樹脂フィルムをラミネートして圧着層12を設けたものである。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
【0023】
また、この繋ぎテープ10は、その裏面側の圧着層12を磁気シート1の基材3の上に重ね合わせ、その繋ぎテープ10と磁気シート1を熱ローラ(図示せず)間へ搬送することにより、圧着層12の樹脂フィルムが溶融し、常温で固化して基材3の上に堅固に接着される。
【0024】
紙からなるテープ基材11には磁気シート1の基材3の色と同色の耐熱性インキにより着色が施されており、磁気シート1に熱圧着された繋ぎテープ10が目立たないようにしてある。なお、繋ぎテープ10は、テープ基材11に樹脂フィルムをラミネートする構成に替えて、樹脂フィルムによる圧着層12の単層構造であってもよい。この場合、透明性又は半透明性の樹脂フィルムを使用すれば、熱圧着された繋ぎテープ10を目立たなくすることができる。
【0025】
このように、本発明によれば、磁気シート1のスコア部6を切り離したとき磁気カード片2に繋ぎテープ10の跡が残るが、テープ10の色と磁気シート1の色が同色なので、製品の外観見栄えは損なわれない。また、繋ぎ部分の厚さも繋ぎテープ10の一枚分の厚さが増えるだけであるから、製品自体の総厚も規格値の範囲内に収めることができる。
【0026】
以上説明したように、磁気シート1の連続製品において、不良品による数量不足が生じた場合でも、製品全部を廃棄するのではなく、その不良品の磁気カード片2bのみを良品に差し替えることが可能になるため、不良品以外の良品の磁気カード片2a、2a…を有効に利用でき、製品の製造コストの大幅な節約に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る磁気シートの繋ぎ方法を示す説明図。
【図2】図1に示すii−ii線断面図。
【図3】従来の磁気シートの繋ぎ方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 磁気シート
2 磁気カード片
2a 良品の磁気カード片
2b 不良品の磁気カード片
3 基材
4 磁気層
5 ミシン目
6 スコア部
10 磁気シート用繋ぎテープ
11 テープ基材
12 圧着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材の片面に磁気層が塗工され、ミシン目を介して複数枚の磁気カード片が連設された磁気シートについて、切断されたミシン目を繋ぎ合わせるために用いられるテープであって、耐環境性を有する樹脂フィルムで構成され、上記基材上に熱圧着される圧着層を備えたことを特徴とする磁気シート用繋ぎテープ。
【請求項2】
上記圧着層が紙の片面にラミネートされていることを特徴とする請求項1に記載の磁気シート用繋ぎテープ。
【請求項3】
上記紙に上記基材と同色の耐熱性インキで着色が施されていることを特徴とする請求項2に記載の磁気シート用繋ぎテープ。
【請求項4】
シート状の基材の片面に磁気層が塗工され、ミシン目を介して複数枚の磁気カード片が連設された磁気シートについて、切断されたミシン目を突き合わせ、そのミシン目の基材上に耐環境性を有する樹脂フィルムを熱圧着することにより、磁気シートどうしを繋ぎ合わせることを特徴とする磁気シートの繋ぎ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−302058(P2006−302058A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124515(P2005−124515)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000186566)小林記録紙株式会社 (169)
【Fターム(参考)】