説明

磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置

【課題】磁気センサアレイを用いて磁化担体を検知する場合に、磁気センサの配列方向で隣接する隣接磁区からのオーバーラップの影響を受けずに、各磁気センサから検出信号を出力させる。
【解決手段】磁化領域11を有する磁性担体13の走行方向と直交する方向に、アレイ状に隣接して配置された複数の磁気センサ17を磁性担体に対して作動させる。この作動によって、各磁気センサから、それぞれの磁気センサに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、この正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した出力信号を取り出す。そして、それぞれの出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、正対磁界強度に起因する正対信号成分を、各磁気センサの検出信号としてそれぞれ出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁化領域を有する磁性担体中に対して磁気センサを作動させ、この磁気センサから検出信号を検出する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来周知の通り、磁気センサは、例えば紙幣、小切手、または有価証券等の真偽を判別する判別装置等に使用される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、これら紙幣、小切手、有価証券等が、例えば磁性インキ等の磁化領域を有する磁性担体であることを利用し、磁気センサを用いて、磁化領域からの磁界強度のパターン(以下、単にパターンとも称する)を検出する。そして、検出されたこれら磁性担体中の磁化領域のパターンと、予め用意された基準のパターンとを比較することによって、当該磁性担体の判別がなされる。
【0003】
磁性担体が有する磁化領域のパターンを検出するために、磁気センサは、搬送される磁性担体の走行方向に直交する方向に、アレイ状に隣接して複数配置される。そして、これら複数の磁気センサ、すなわち磁気センサアレイによって、一定の速度で搬送される磁化領域からの磁界強度を、一定の時間毎に検出信号として出力する。これによって得られた各時間における検出信号から全体的な磁化領域のパターンが検出される。
【0004】
ここで、磁気センサアレイを用いて、磁化領域からの磁界強度を検出信号として出力するときには、磁気センサアレイを構成する各磁気センサは、それぞれに正対する磁化領域の磁区、すなわち正対磁区からの正対磁界強度に応じた出力信号を取り出し、検出信号として出力する。
【特許文献1】特開2006−236198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、磁気センサアレイを用いて磁性媒体を検知する場合には、各磁気センサが、これらに対応する正対磁区からの正対磁界強度に加えて、各正対磁区の周囲の磁区からの磁界強度を検知する、いわゆるオーバーラップと呼ばれる現象が生じる。
【0006】
オーバーラップは、磁化領域からの磁界が拡がりを持つことに起因して生じる。すなわち、磁化領域からの磁界が拡がりを持って磁化センサに検知されるため、各磁区からの磁界は、対応する各磁化センサのみでなく、これらに隣接する磁気センサに跨って検知される。そのため、上述したように、各磁気センサは、対応する正対磁界強度のみでなく、対応する各正対磁区の周囲の磁区からの磁界強度をも検知する。
【0007】
このように、磁気センサアレイを用いて磁性媒体を検知する場合にオーバーラップが生じると、各磁区からの磁界強度が、複数の磁気センサに重複して検知される。そのため、各磁気センサは、対応する正対磁界強度と、各正対磁区の周囲の磁区からのオーバーラップによる磁界強度とを含んで検知し、出力信号を取り出す。その結果、各磁気センサの分解能が低下し、出力する検出信号の信頼性が悪化するという問題が生じる。
【0008】
ところで、オーバーラップは、検知対象の磁性担体と離間させて用いることを想定した磁気センサ、すなわち離間型磁気センサにおいて、特に顕著に発生する。離間型磁気センサは、検知対象の磁性担体と密着させて用いることを想定したいわゆる密着型磁気センサと比して、磁界を取り込むために開口された開口部の面積が大きいため、正対磁区の周囲の磁区に起因する磁界の影響を受け易い。
【0009】
また、磁界は、磁化領域からの距離に比例して拡がるため、密着型磁気センサと比して、磁気センサ及び磁性担体間の離間距離を大きく設定して使用する離間型磁気センサは、正対磁区の周囲の磁区に起因する磁界の影響を受け易い。従って、離間型磁気センサを用いて磁性担体を検知する場合には、出力される検出信号に、オーバーラップが顕著に影響する。
【0010】
ここで、各磁気センサに対するオーバーラップは、各正対磁区の周囲の磁区のうち、磁気センサの配列方向に隣接する隣接磁区からの磁界強度、すなわち隣接磁界強度に起因するものが、特に磁気センサの分解能を低下させる。
【0011】
各正対磁区の周囲の磁区のうち、搬送される磁性担体の走行方向に位置する磁区は、磁性担体が搬送されることによって、いずれ各磁気センサの正対磁区となる磁区、及び/または既に各磁気センサの正対磁区であった磁区であるため、これら磁区からのオーバーラップによって、各磁気センサの分解能が著しく低下することはない。
【0012】
これに対して、各正対磁区の周囲の磁区のうち、磁気センサの配列方向に隣接する隣接磁区からのオーバーラップは、磁気センサアレイを構成する各磁区センサに跨って影響するため、各磁気センサの分解能を著しく低下させる。そのため、隣接磁界強度に起因するオーバーラップは、出力される検出信号に影響する。
【0013】
この発明の目的は、密着型または離間型磁気センサによる磁気センサアレイを用いて磁化担体を検知する場合に、磁気センサの配列方向に隣接する隣接磁区からのオーバーラップの影響を受けずに、各磁気センサから検出信号を出力させる磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的の達成を図るため、この発明の要旨による磁気センサ検出信号の検出方法は、以下の過程を含む。
【0015】
すなわち、磁化領域を有する磁性担体の走行方向と直交する方向に、アレイ状に隣接して配置された複数の磁気センサを磁性担体に対して作動させる。
【0016】
そして、この作動によって、各磁気センサから、それぞれの磁気センサに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、この正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した出力信号を取り出す。
【0017】
そして、それぞれの出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、正対磁界強度に起因する正対信号成分を、各磁気センサの検出信号としてそれぞれ出力させる。
【0018】
また、この発明の要旨による磁気センサ検出信号の検出装置は、上述の磁気センサ検出信号の検出方法を行うために、以下の特徴を有する。
【0019】
すなわち、磁気センサ検出信号の検出装置は、磁化領域を有する磁性担体に対して作動し、かつ該磁性担体の走行方向と直交する方向にアレイ状に隣接して配置された複数の磁気センサと、これら各磁気センサの出力信号を補正して検出信号を出力させる補正手段とを具える。
【0020】
そして、複数の磁気センサは、これら各磁気センサから、それぞれの磁気センサに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、この正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した前記出力信号を取り出す。
【0021】
また、補正手段は、それぞれの出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、正対磁界強度に起因する正対信号成分を、検出信号としてそれぞれ出力させる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の要旨による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置によれば、補正手段によって、各磁気センサが取り出した出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分、すなわち隣接磁区からのオーバーラップにより取り出された信号成分の補正を行う。これによって、正対磁区に起因する正対信号成分を、各磁気センサの検出信号としてそれぞれ出力させる。
【0023】
従って、この発明の要旨による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置では、隣接磁区からのオーバーラップによる隣接信号成分を含めずに、検出信号を出力することができる。そのため、この発明の要旨による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置では、離間型磁気センサを用いた場合においても、オーバーラップに起因した、磁気センサの分解能の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、この発明による実施の形態に係る露光位置決定方法について説明する。尚、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0025】
〈実施の形態〉
この実施の形態では、磁気センサアレイを用いて磁性担体を検知する磁気センサ検出信号の検出方法であって、磁気センサの配列方向に隣接する隣接磁区からのオーバーラップの影響を受けずに、各磁気センサから検出信号を出力させる磁気センサ検出信号の検出方法、及び磁気センサ検出信号の検出装置について説明する。
【0026】
図1は、この発明の磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置のこの実施の形態の説明に供する斜視図である。
【0027】
また、図2は、この発明の磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置のこの実施の形態の説明に供する平面図である。
【0028】
また、図3は、この発明の磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置のこの実施の形態の説明に供する図であり、図2に示すI−I線における切り口の、矢印方向から見た端面図である。
【0029】
この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置は、ある基準面に沿って走行する、磁化領域11を有する磁化担体13を検知する。そこで、この実施の形態では、この基準面を、磁化担体11が設置されて水平方向に走行する走行面15とする(図3参照)。そして、磁性担体13の走行方向を、各図中に矢印で示す。
【0030】
また、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置によって検知される磁化担体13は、例えば、紙幣、小切手、または有価証券等の磁性領域を有する紙葉類、その他磁性領域を有する平板状の構造体である。そして、磁化担体13は、検出面13aの全面または一部に磁化領域11を有している。なお、図1及び図2の構成例では、検出面13aの一部に磁化領域11を有する磁化担体13を示している。
【0031】
この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出装置は、磁気センサ17と補正手段19とを具えている。
【0032】
磁気センサ17は、磁性担体13を検知する目的で設けられている。そのために、磁気センサ17は、磁性担体13の走行方向と直交する方向、すなわち図1及び図2に矢印で示す配列方向にアレイ状に隣接して複数配置されている。なお、以下、これらアレイ状に配置された複数の磁気センサ17を磁気センサアレイ21とも称する。また、以下、磁気センサ17の配列方向を単に磁気センサ17の方向とも称する。
【0033】
配置する磁気センサ17の個数は、検知対象である磁性担体13の、磁気センサ17の方向における幅に応じて設定する。すなわち、磁気センサアレイ21を用いて磁性担体13を検知するために、この磁性担体13の、磁気センサ17の方向の幅よりも、磁気センサアレイ21の配列方向の幅が大きくなるように、配置する磁気センサ17の個数を設定する。そして、この実施の形態では、磁気センサアレイ21を構成する複数の磁気センサ17のうち、少なくとも両端から一つ目の磁気センサが、磁性担体13と対向しないように磁気センサ17の個数を設定する。従って、磁気センサアレイ21は、磁性担体13と対向する磁気センサ17(以下、対向磁気センサ18aとも称する)、及び磁性担体13と対向しない磁気センサ17(以下、非対向磁気センサ18bとも称する)を含む。そして、非対向磁気センサ18bは、対向磁気センサ18aを挟んで配置される。なお、図1及び図2では、8個の磁気センサ17、すなわち磁気センサ17a、磁気センサ17b、磁気センサ17c、磁気センサ17d、磁気センサ17e、磁気センサ17f、磁気センサ17g、及び磁気センサ17hを配置した構成例を示している。そして、これら図1及び図2の構成例では、8個の磁気センサ17のうち、磁気センサ17c、磁気センサ17d、磁気センサ17e、及び磁気センサ17fが、検知対象である磁性担体13と対向する対向磁気センサ18aである。また、磁気センサ17a、磁気センサ17b、磁気センサ17g、及び磁気センサ17hは、磁性担体13と対向してない非対向磁気センサ18bである。
【0034】
磁気センサアレイ21は、走行面15を一定速度で走行する磁性担体13を検知するために、一定時間毎に作動する。そして、この各作動によって、各磁気センサ17から、検知した磁界強度に対応した出力信号を取り出す。この実施の形態では、駆動回路22から各磁気センサ17に、一定時間毎に作動信号が送られることによって、各磁気センサ17は、磁性担体13に対して同時に作動する。
【0035】
磁性担体13の走行速度及び各作動間の時間間隔は、検知対象である磁性担体の種類、または得るべき検出信号の精度等に応じて、任意好適に設定するのが好ましい。また、磁性担体13は、例えば周知のローラ等で搬送されることによって、走行面15を走行する(図示せず)。
【0036】
それぞれの磁気センサ17は、これら各磁気センサ17に正対する磁性担体13中の各磁区23、すなわち正対磁区からの正対磁界強度と、これら各正対磁区に磁気センサ17の配列方向で隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した出力信号を取り出す。ここで、図1の構成例では、磁気センサ17cは磁区23cと、磁気センサ17dは磁区23dと、磁気センサ17eは磁区23eと、及び磁気センサ17fは磁区23fと、それぞれ正対している。従って、これらの各組み合わせは、それぞれ各磁気センサ17と、各々に対応する正対磁区との関係を示している。また、各正対磁区と磁気センサの配列方向において隣接する磁区が、各磁気センサ17に対応する隣接磁区となる。例えば、磁気センサ17dに対応する隣接磁区は、磁気センサ17dの正対磁区である磁区23dに隣接する、磁区23c及び23eである。
【0037】
そして、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、このように配置された磁気センサアレイ21によって、各磁気センサ17から、それぞれに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、各正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した出力信号を取り出す。
【0038】
また、磁気センサアレイ21は、増幅回路25、及びA/Dコンバータ29を介して補正手段19に接続されている。増幅回路25は、磁気センサアレイ21を構成する各磁気センサ17が取り出した出力信号の情報を、同一倍率で増幅する。また、A/Dコンバータ29は、増幅された出力信号の情報をデジタルデータに変換し、補正手段19に入力する。
【0039】
そして、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、磁気センサアレイ21が磁性担体13を検知して得た出力信号を、回路部25、及びA/Dコンバータ29を介して、各磁気センサ17毎に補正手段19に入力する。
【0040】
補正手段19は、出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、正対磁区に起因する正対信号成分を、検出信号としてそれぞれ出力させる目的で設置される。
【0041】
既に説明したように、各磁気センサ17は、正対磁界強度及び隣接磁界強度を検知する。従って、各磁気センサ17が取り出す出力信号は、これら正対磁界強度及び隣接磁界強度に起因する正対信号成分及び隣接信号成分を含む。
【0042】
ここで、出力信号に含まれる隣接信号成分は、上述したオーバーラップによって検知された不所望な隣接磁界強度に起因する信号成分である。そして、既に説明したように、オーバーラップによる隣接磁界強度を検知することに起因して、各磁気センサ17における分解能の低下、または出力する検出信号の信頼性の悪化という問題が生じる恐れがある。
【0043】
そこで、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、検出装置に設置した、例えば周知のコンピュータ(CPU)等の補正手段19によって、隣接信号成分の補正を行い、正対信号成分のみを各磁気センサ17の検出信号としてそれぞれ出力する。
【0044】
そのために、補正手段19は、制御部32、記憶部33、処理部35、及び判別部36を含む。
【0045】
ところで、既に説明したように、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置では、磁気センサアレイ21は、対向磁気センサ18a及び非対向磁気センサ18bを含み、非対向磁気センサ18bが対向磁気センサ18aを挟んで配置されている。すなわち、この実施の形態では、複数の磁気センサ17に、磁性担体13に正対する、第1から第n(nは0を除く自然数)番目まで順に配置されたn個の磁気センサを対向磁気センサ18aとして含ませる。なお、図1及び図2では、4つの対向磁気センサ18aを含ませ、順に磁気センサ17cを第1番目の対向磁気センサ18a、磁気センサ17dを第2番目の対向磁気センサ18a、磁気センサ17eを第3番目の対向磁気センサ18a、及び磁気センサ17fを第4番目の対向磁気センサ18aとした構成例を示している。
【0046】
ここで、各対向磁気センサ18aは、対応する正対信号成分に加えて、隣接磁区からの磁界強度と補正係数α(αは0<α<1の実数)との積によって算出される隣接信号成分を取り出す。なお、αは、磁気センサ17の感度、及び磁気センサ17と磁性媒体13との離間距離に応じた固有の定数であり、既知の磁界強度を有した基準磁性担体を用いて、実測的に算出可能な値である。そして、この実施の形態では、αを予め算出しておく。
【0047】
そして、第1から第n番目までの各対向磁気センサ18aのうち、両端に位置する対向磁気センサ、すなわち第1番目の対向磁気センサ(以下、第1磁気センサとも称する)、及び第n番目の対向磁気センサ(以下、第n磁気センサとも称する)を除く、第i(iは1<i<nの自然数)番目の対向磁気センサ(以下、第i磁気センサとも称する)は、正対する第i正対磁区からの正対信号成分に加えて、第i正対磁区の両側の隣接磁区、すなわち第i−1隣接磁区及び第i+1隣接磁区からの隣接信号成分を検知する。
【0048】
ここで、Aを第i磁気センサが取り出す出力信号、及びBを第i正対磁区に起因する正対信号成分とする。また、Bi−1を第i−1隣接磁区に起因する信号成分、及びBi+1を第i+1隣接磁区からの信号成分とすると、第i磁気センサが取り出す隣接信号成分は、αBi−1+αBi+1となる。従って、第i磁気センサが取り出す出力信号Aは、以下の式(1)によって表される。
【0049】
=B+αBi−1+αBi+1 (1<i<n) ・・・(1)
また、第1から第n番目までの各対向磁気センサ18aのうち、両端に位置する対向磁気センサ、すなわち第1磁気センサ及び第n磁気センサにそれぞれ正対する第1正対磁区及び第n正対磁区は、各磁区23のうち磁気センサ17の配列方向の両端に位置する。従って、これら第1正対磁区及び第n正対磁区は、それぞれ磁気センサ17の配列方向における片側で1つの隣接磁区と隣接する。
【0050】
従って、第1磁気センサは、正対する第1正対磁区からの正対信号成分に加えて、第1正対磁区に隣接する隣接磁区、すなわち第2隣接磁区からの隣接信号成分を検知する。また、第n磁気センサは、正対する第n正対磁区からの正対信号成分に加えて、第n−1正対磁区に隣接する隣接磁区、すなわち第n−1隣接磁区からの隣接信号成分を検知する。
【0051】
ここで、Aを第1磁気センサが取り出す出力信号、Bを第1正対磁区に起因する正対信号成分、Aを第n磁気センサが取り出す出力信号、及びBを第n正対磁区に起因する正対信号成分とする。また、Bを第2隣接磁区に起因する信号成分、及びBn−1を第n−1隣接磁区に起因する信号成分とすると、第1磁気センサが取り出す隣接信号成分はαB、また、第n磁気センサが取り出す隣接信号成分はαBn−1となる。従って、第1磁気センサが取り出す出力信号Aは、以下の式(2)によって表される。また、第n磁気センサが取り出す出力信号Aは、以下の式(3)によって表される。
【0052】
=B+αB (i=1) ・・・(2)
=B+αBn−1 (i=n) ・・・(3)
ここで、当然のことながら、第i−1隣接磁区は、対向磁気センサ18aのうち、第i−1番目の第i−1磁気センサに正対する第i−1正対磁区である。従って、Bi−1は、第i−1磁気センサに対応する正対信号成分である。また、第i+1隣接磁区は、対向磁気センサ18aのうち、第i+1番目の第i+1磁気センサに正対する第i+1正対磁区である。従って、Bi+1は、第i+1磁気センサに対応する正対信号成分である。また、第2隣接磁区は、対向磁気センサ18aのうち、第2番目の第2磁気センサに正対する第2正対磁区である。従って、Bは、第2磁気センサに対応する正対信号成分である。また、第n−1隣接磁区は、対向磁気センサ18aのうち、第n−1番目の第n−1磁気センサに正対する第n−1正対磁区である。従って、Bn−1は、第n−1磁気センサに対応する正対信号成分である。
【0053】
また、磁気センサアレイ21のうち、非対向磁気センサ18bは、正対磁区が存在しないため、検出信号を検出する必要がない。従って、非対向磁気センサ18bでは、出力信号を0と見なす。
【0054】
上述した式(1)〜(3)において、A、A、及びAは、磁気センサアレイ21によって磁性担体13を検知することで取り出される出力信号の実測値である。また、既に説明したように、αは、予め算出して設定する補正係数である。従って、式(1)〜(3)に、各対向磁気センサ18aから取り出した出力信号を入力することによって、検出すべき各対向磁気センサ18aの正対信号成分の項の数と、式の数とを一致させることができる。そのため、式(1)〜(3)を用いることによって、各対向磁気センサ18aの正対信号成分を算出することができる。
【0055】
以下、この実施の形態に係る検出装置が、図1及び図2の構成、すなわちセンサ磁気センサ17c、磁気センサ17d、磁気センサ17e、及び磁気センサ17fの4つの対向磁気センサ18aを含む場合を例に挙げて、式(1)〜(3)を用いて各対向磁気センサ18aの正対信号成分を算出する方法を説明する。
【0056】
図1及び図2の構成例では、磁気センサアレイ21は、第1から第4までの対向磁気センサ18aとして、順に磁気センサ17c(以下、第1磁気センサ17cとも称する)、磁気センサ17d(以下、第2磁気センサ17dとも称する)、磁気センサ17e(以下、第3磁気センサ17eとも称する)、及び磁気センサ17f(以下、第4磁気センサ17fとも称する)を含む。すなわち、この構成例ではn=4となる。
【0057】
第1磁気センサ17cは、各対向磁気センサ18aの第1番目であって、磁気センサ17の配列方向の一端に位置しているため、上述の式(2)を用いて正対信号成分を算出する。すなわち第1磁気センサ17cが取り出す出力信号Aは、正対する磁区23cからの正対信号成分Bと、磁区23cの隣接磁区である磁区23dからの隣接信号成分αBを含むため、上述の式(2)を用いて、以下の式(4)で表される。
【0058】
=B+αB ・・・(4)
また、第2磁気センサ17dは、第1磁気センサ17c、及び第n磁気センサ、すなわちこの構成例における第4磁気センサ17f間に位置する第i磁気センサである。そのため、上述の式(1)を用いて正対信号成分を算出する。すなわち第2磁気センサ17dが取り出す出力信号Aは、正対する磁区23dからの正対信号成分Bと、磁区23dの隣接磁区である磁区23c及び磁区23eからの隣接信号成分αB及びαBを含むため、上述の式(1)を用いて、以下の式(5)で表される。
【0059】
=B+αB+αB ・・・(5)
また、第3磁気センサ17eは、第1磁気センサ17c、及び第n磁気センサ、すなわちこの構成例における第4磁気センサ17f間に位置する第i磁気センサである。そのため、上述の式(1)を用いて正対信号成分を算出する。すなわち第3磁気センサ17eが取り出す出力信号Aは、正対する磁区23eからの正対信号成分Bと、磁区23eの隣接磁区である磁区23d及び磁区23fからの隣接信号成分αB及びαBを含むため、上述の式(1)を用いて、以下の式(6)で表される。
【0060】
=B+αB+αB ・・・(6)
また、第4磁気センサ17fは、各対向磁気センサ18aの第n番目であって、磁気センサ17の配列方向の第1磁気センサ17cとは反対の一端に位置しているため、上述の式(3)を用いて正対信号成分を算出する。すなわち第4磁気センサ17fが取り出す出力信号Aは、正対する磁区23fからの正対信号成分Bと、磁区23fの隣接磁区である磁区23eからの隣接信号成分αBを含むため、上述の式(3)を用いて、以下の式(7)で表される。
【0061】
=B+αB ・・・(7)
これら式(4)〜(7)から、B及びBは以下の式(8)及び(9)で表される。
【0062】
={(A−αA)(1−α)−αA+α}/(1−3α+α) ・・・(8)
=(A−αA−αB)/(1−α) ・・・(9)
これら式(8)及び(9)に、各対向磁気センサ18aが取り出したA、A、A、Aと補正係数αとを代入することによって、B及びBを算出することができる。そして、算出したB及びBを式(4)及び(7)に代入することによって、B及びBを算出することができる。
【0063】
この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、各磁気センサ17が取り出した出力信号を補正するために、検出装置の記憶部33に、式(1)〜(3)を予め記憶させる。
【0064】
そして、処理部35において、記憶部33から読み出した式(1)〜(3)から、n個の磁気センサ17、すなわち対向磁気センサ18aによって取り出したそれぞれの出力信号A(iは1≦i≦nの自然数)の値を利用して、それぞれの正対信号B(iは1≦i≦nの自然数)を算出する。
【0065】
より詳細には、各磁気センサ17が取り出したそれぞれの出力信号Aを、制御部32において識別する。そして、識別した磁気センサ17毎の各出力信号を記憶部33に入力する。
【0066】
処理部35は、識別された各出力信号から、n個の磁気センサ17、すなわち対向磁気センサ18aからの出力信号を、各対向磁気センサ18aの位置に応じて、式(1)、式(2)、または式(3)に入力して、正対信号成分Bを算出する。
【0067】
また、処理部35は、磁性担体13と対向しない位置に配置された磁気センサ17、すなわち非対向磁気センサ18bからの出力信号を、0と見なす。
【0068】
そして、検出装置は、例えば周知のプリンタ、ディスプレイ等を用いて、正対信号成分Bを検出信号として出力する。
【0069】
このように、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、検出装置に設置した補正手段19によって、正対信号成分のみを検出信号として出力することができる。
【0070】
また、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出装置は、光センサ37を具えている。そして、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、この光センサ37を用いて、磁気センサアレイ21から、磁性担体13と正対するn個の磁気センサ17を選択する。
【0071】
既に説明したように、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法では、補正手段19において、対向磁気センサ18aから取り出した各出力信号を、それぞれの位置に応じた式(1)、式(2)、または式(3)に入力する。そのために、この実施の形態では、各磁気センサ17からの出力信号を、対向磁気センサ18aからの出力信号と、非対向時センサ18bからの出力信号とを、処理部35に判別させる。そして、処理部35に、磁気センサアレイ21に含まれる対向磁気センサ18aのうち、磁気センサ17の配列方向の両端に位置する磁気センサ17、すなわち第1磁気センサ及び第n磁気センサの位置を認識させる。
【0072】
そこで、この実施の形態では、走行面15を走行する磁性担体13が、磁気センサアレイ21によって検知される前に、光センサ37を用いて磁性担体13から光信号を取得することによって、磁性担体13の、磁気センサ17の配列方向の幅Wを検知する。
【0073】
光センサ37は、増幅回路39及びA/Dコンバータ41を介して補正手段19に接続されている。増幅回路39は、光センサ37が取得した光信号を同一倍率で増幅する。また、A/Dコンバータ41は、増幅された光信号をデジタルデータに変換し、補正手段19に入力する目的で設置される。
【0074】
そして、この実施の形態では、光センサ37が検知した磁性担体13の幅Wを、補正手段19の判別部36に入力する。これによって、判別部36は、走行する磁性担体13が磁気センサアレイ21によって検知される際に、各磁気センサ17を、磁性担体13と対向する対向磁気センサ18aと、磁性担体13と対向しない非対向磁気センサ18bとを判別する。そしてこの判別部36からの情報によって、処理部35は、検知した幅Wに対応したn個の磁気センサを、複数の磁気センサ17から選択する。その結果、この実施の形態では、処理部35は、取り出した各出力信号を、それぞれの対向磁気センサ18aの位置に応じた式(1)、式(2)、または式(3)に入力することができる。
【0075】
ここで、この実施の形態では、磁気センサアレイ21が、磁性担体13と部分的に対向する磁気センサ17を含む場合には、その磁気センサ17は、対向磁気センサ18aとして判別部36に認識される。
【0076】
また、磁性担体13の磁気センサ17の配列方向の幅Wが一定でない場合には、判別部36は、磁性担体13の走行速度及び磁気センサアレイ21の各作動間の時間間隔に基づいて、磁気センサアレイ21の作動毎に、その作動時の磁性担体13の幅Wに対応したn個の磁気センサを処理部35に選択させる。
【0077】
光センサ37は、例えば、透過型光センサ、反射型光センサ、その他周知の光センサから、設計に応じた好適なものが用いられる。なお、図1及び図2の構成例では、磁性担体13を照射するための光源37a、及び照射された磁性担体13からの透過光を取得するために、受光面37baを走行面15に対向させて配置した受光部37bを具えた透過型光センサを用いた場合を示している。
【0078】
この実施の形態では、駆動回路から光センサ37に、一定時間毎に作動信号が送られることによって、光センサ37は、磁性担体13に対して同時に作動する。この光センサ37を作動させるための駆動回路は、好ましくは、上述した磁気センサ17を作動させるための駆動回路22を共通に用いるのが良い。なお、各図では、磁気センサ17及び光センサ37を、共通の駆動回路22で作動させる構成例を示している。また、この実施の形態では、駆動回路を制御部32で制御する構成としてもよい(図示せず)。
【0079】
また、この実施の形態では、正確に磁性担体13の幅Wを検知するために、検出装置が具える光センサ37の分解能を、磁気センサ17の分解能の少なくとも2倍以上に設定するのが好ましい。すなわち、好ましくは、この実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出装置は、磁気センサアレイ21を構成する磁気センサ17の、少なくとも2倍以上の個数の光センサ37を配置するのが良い。また、これら各光センサ37は、磁気センサアレイ21の配列方向と平行に、隣接させて配置するのが好ましい。なお、図1及び図2の構成例では、透過型光センサ37の受光部37bを、磁気センサ17の個数配置した場合、すなわち光センサ37の分解能を磁気センサ17の2倍に設定した場合を示している。また、受光部37bに対応させて光源37aを複数配置してもよい(図示せず)。
【0080】
この実施の形態による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置によれば、補正手段19によって、磁性担体13と正対する各磁気センサ17、すなわち各対向磁気センサ18aが取り出した出力信号に対し、隣接磁界強度に起因する隣接信号成分、すなわち隣接磁区からのオーバーラップにより取り出された信号成分の補正を行う。これによって、正対磁区に起因する正対信号成分を、各対向磁気センサ18aの検出信号としてそれぞれ出力させる。
【0081】
従って、この実施の形態による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置では、隣接磁区からのオーバーラップによる隣接信号成分を含めずに、検出信号を出力することができる。そのため、この実施の形態による磁気センサ検出信号の検出方法及び検出装置では、離間型磁気センサを用いた場合においても、オーバーラップに起因した、各磁気センサ17の分解能の低下を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置の説明に供する斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置の説明に供する平面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る磁気センサ検出信号の検出方法、及び検出装置の説明に供する図であり、図2に示すI−I線における切り口の、矢印方向から見た端面図である。
【符号の説明】
【0083】
11:磁化領域
13:磁化担体
15:走行面
17:磁気センサ
18a:対向磁気センサ
18b:非対向磁気センサ
19:補正手段
21:磁気センサアレイ
22:駆動回路
23:磁区
25、39:増幅回路
29、41:A/Dコンバータ
32:制御部
33:記憶部
35:処理部
36:判別部
37:光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁化領域を有する磁性担体の走行方向と直交する方向に、アレイ状に隣接して配置された複数の磁気センサを前記磁性担体に対して作動させ、
該作動によって、各前記磁気センサから、それぞれの磁気センサに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、該正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した出力信号を取り出し、
それぞれの該出力信号に対し、前記隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、前記正対磁界強度に起因する正対信号成分を、各前記磁気センサの検出信号としてそれぞれ出力させる
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気センサ検出信号の検出方法において、
前記複数の磁気センサに、前記磁性担体に正対する、第1から第n(nは0を除く自然数)番目まで順に配置されたn個の磁気センサを含ませ、
該n個の磁気センサの第i(iは1<i<nの自然数)番目に配置された第i磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第i磁気センサに正対する第i正対磁区に起因する正対信号成分をB、補正係数をα(αは0<α<1の実数)、また前記第i正対磁区に隣接する第i−1隣接磁区及び第i+1隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBi−1及びαBi+1とし、
該n個の磁気センサの第1番目に配置された第1磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第1磁気センサに正対する第1正対磁区に起因する正対信号成分をB、また前記第1正対磁区に隣接する第2隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBとし、
該n個の磁気センサの第n番目に配置された第n磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第n磁気センサに正対する第n正対磁区に起因する正対信号成分をB、また前記第n正対磁区に隣接する第n−1隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBn−1として、式
=B+αBi−1+αBi+1 (1<i<n)
=B+αB (i=1)
=B+αBn−1 (i=n)
に、前記n個の磁気センサによって取り出したA(iは1≦i≦nの自然数)の値を利用して、B(iは1≦i≦nの自然数)を算出することによって、前記正対信号成分を各前記磁気センサの検出信号としてそれぞれ出力させる
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気センサ検出信号の検出方法において、
光センサを用いて前記磁性担体の前記磁気センサの配列方向の幅を検知し、
該検知した幅に対応させて、前記複数の磁気センサから前記n個の磁気センサを選択する
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出方法。
【請求項4】
磁化領域を有する磁性担体に対して作動し、かつ該磁性担体の走行方向と直交する方向にアレイ状に隣接して配置された複数の磁気センサと、
各前記磁気センサの出力信号を補正して検出信号を出力させる補正手段と
を含み、
前記複数の磁気センサは、各該磁気センサから、それぞれの磁気センサに正対する正対磁区からの正対磁界強度と、該正対磁区に隣接する隣接磁区からの隣接磁界強度とに対応した前記出力信号を取り出し、
前記補正手段は、それぞれの前記出力信号に対し、前記隣接磁界強度に起因する隣接信号成分の補正を行って、前記正対磁界強度に起因する正対信号成分を、前記検出信号としてそれぞれ出力させる
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気センサ検出信号の検出装置であって、
前記複数の磁気センサは、前記磁性担体に正対する、第1から第n(nは0を除く自然数)番目まで順に配置されたn個の磁気センサを含み、
前記補正手段は、記憶部と処理部とを含み、
前記記憶部は、該n個の磁気センサの第i(iは1<i<nの自然数)番目に配置された第i磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第i磁気センサに正対する第i正対磁区に起因する正対信号成分をB、補正係数をα(αは0<α<1の実数)、また前記第i正対磁区に隣接する第i−1隣接磁区及び第i+1隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBi−1及びαBi+1とし、
該n個の磁気センサの第1番目に配置された第1磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第1磁気センサに正対する第1正対磁区に起因する正対信号成分をB、また前記第1正対磁区に隣接する第2隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBとし、
該n個の磁気センサの第n番目に配置された第n磁気センサが取り出す出力信号をA、前記第n磁気センサに正対する第n正対磁区に起因する正対信号成分をB、また前記第n正対磁区に隣接する第n−1隣接磁区に起因する隣接信号成分をαBn−1として、式
=B+αBi−1+αBi+1 (1<i<n)
=B+αB (i=1)
=B+αBn−1 (i=n)
を、予め記憶し、
前記処理部は、前記記憶部から読み出した前記式から、前記n個の磁気センサによって取り出したA(iは1≦i≦nの自然数)の値を利用して、B(iは1≦i≦nの自然数)を算出する
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の磁気センサ検出信号の検出装置であって、
前記磁性担体の前記磁気センサの配列方向の幅を検知し、かつ前記検知された幅に対応して、前記複数の磁気センサから前記n個の磁気センサを選択する光センサを具える
ことを特徴とする磁気センサ検出信号の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−121872(P2009−121872A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294235(P2007−294235)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】