説明

磁気ディスクの製造方法

【課題】開梱する作業の過程において磁気ディスク用ガラス基板への塵埃の付着をより確実に防止する。
【解決手段】磁気ディスクの製造方法は、磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋210の周囲から、静電気を帯電する帯電装置410によって、空気中に浮遊している塵埃400を吸着させて除去し、除去を行いつつ、磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋210を開梱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化技術の高度化に伴い、情報記録技術、特に磁気記録技術は著しく進歩している。磁気記録媒体のひとつであるHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気記録媒体用基板として、磁気ディスクの小型化、薄板化、および高密度記録化に伴い、従来多く用いられてきたアルミニウム基板に代えて基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板が用いられるようになってきている。
【0003】
かかる磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)および巨大磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)は、相対運動する磁気ヘッドと磁気ディスク間の空気の圧力によって浮上量を制御している。すなわち、空気流によって生じた正圧(磁気ヘッドが磁気ディスクより浮上する方向に働く圧力)と、負圧(磁気ヘッドスライダー下面に意図的に設けられた空間において空気の容積を増大し圧力が低下させることで発生する、磁気ヘッドが磁気ディスクへと吸着させる方向の圧力)とのバランスにより、磁気ヘッドの磁気ディスクからの浮上量が決定される。
【0004】
上述した磁気ヘッド浮上量の制御を安定化し、更なる低浮上量化を図るための技術の1つとして、近年、DFH(Dynamic Flying Height)という技術が開発されている。磁気ヘッドにヒータ素子を埋め込み、磁気ヘッドの動作時に、ヒータ素子を発熱させ、その熱によって磁気ヘッドが熱膨張し、磁気ディスクに向かってわずかに突出する。これにより、磁気ヘッドと磁気ディスク主表面との間に磁気的な間隙である磁気的スペーシングをその時にのみ小さくすることが可能である。すなわち、DFHとは、磁気ヘッドの磁気ディスクからの浮上量を低浮上量化することが可能な技術である。
【0005】
かかるDFHヘッドにより、更なる低浮上量化が図れたが、磁気ヘッドにはMR素子が搭載されており、その固有の障害としてヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を引き起こすという問題がある。これらの障害は磁気ディスク面上の微小な凹凸によって発生するため、磁気ディスク主表面は極めて高度な平滑度および平坦度が求められる。磁気ディスクの平滑度に左右される浮上特性を評価する手段として、例えばグライドテスト(磁気ディスクの主表面に対向して、グライドヘッド(PZT(圧電素子)などの衝撃検知センサーを装備したヘッド)を配置し、所定のグライド高さでグライドヘッドを磁気ディスクに対し相対移動させることで浮上特性を評価する方法)により検査される。
【0006】
したがって、アルミニウム基板と比較すれば平坦性に優れたガラス基板においても、さらなる清浄度が求められるようになってきている。ここで、ガラス基板を平滑かつ平坦に研磨することと同様またはそれ以上に、ガラス基板の主表面に付着する塵埃などのパーティクルが問題となる。パーティクルで汚染されたガラス基板に磁性層を形成すると磁気ディスク上に凸欠陥を生じるため、ヘッドクラッシュ傷害やサーマルアスペリティ障害の原因となるからである。このため、ガラス基板の主表面に磁性層/保護層などを形成する作業は、通常、クリーンルームにて行う。
【0007】
ここで、ガラス基板を製造してから、磁気ディスク生産拠点まで輸送する間にガラス基板に付着するパーティクルの問題が生じる。一般に磁気ディスク生産工程においては、まずガラス基板を洗浄し、付着したパーティクルを落とす。しかし、いかなる量のパーティクルも落とせるわけではなく、ガラス基板に付着しているパーティクルの量に多寡がある場合、洗浄後にガラス基板上に残留するパーティクルの量にも差が生じる。したがって搬入時(梱包開梱後)にガラス基板上に付着しているパーティクルをできるだけ少なくする必要があり、そのためにはガラス基板または磁気ディスクの製造方法に含まれる梱包方法、開梱方法、梱包構造、梱包材料は、極めて重要である。
【0008】
ここで、ガラス基板に付着する塵埃を減少させるために、ガラス基板等を開梱する部屋に浮遊している塵埃を除去することが考えられる。室内の塵埃を除去するための提案として、特許文献1には、クリーンルームの内装仕上げとして、壁面及び床面にフッ素樹脂系塗料からなる帯電性塗料を塗布し、これら壁面、床面の表面を帯電性塗料層で覆うことにより、壁面及び/または床面を除塵のための補助手段として用いる構成が開示されている。
【0009】
また、ガラス基板に付着する塵埃を減少させるために、ガラス基板の帯電を中和し、空気中に浮遊する塵埃の吸着を防止することが考えられる。同様の構成として、特許文献2には、帯電した誘電体の表面に空気イオン流を吹き付け、帯電した電荷を中和させる構成が記載されている。
【特許文献1】特開平7−284661号公報
【特許文献2】特開2002−50499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された技術によれば、帯電性塗料と逆極性の塵埃を吸着させることは可能と考えられる。しかし塵埃が帯電する極性は材質に依存し、また必ずしも帯電性塗料と逆極性の塵埃ばかりではない。このため集塵できる塵埃には限りがあり、かかる技術をガラス基板の梱包に応用しても、開梱後のガラス基板への塵埃の付着量削減は満足するに到らなかった。このため、近年の磁気ディスクの高記録密度化および磁気ヘッドの低浮上量化に伴って磁気ディスクに求められる平滑度・平坦度の基準を満たすことができなかった。したがって、ガラス基板への塵埃の付着を更に低減する必要性がある。
【0011】
また特許文献2に記載されているように、空気イオン流を磁気ディスク用ガラス基板に吹き付ければ帯電を中和することができる。しかし、開梱する際にはガラス基板は梱包されているため空気イオン流をあてることができず、開梱してから空気イオン流をあてたのでは中和による塵埃吸着防止の効果が見込めない。またガラス基板に空気イオン流を吹き付ければ、空気中の塵埃が運動エネルギーをもってガラス基板に打ち当てられることになり、かえって塵埃を固着させかねないという問題がある。
【0012】
このように、開梱する際に塵埃を含むパーティクルが磁気ディスク用ガラス基板に付着しすぎてしまうと、洗浄液を使用してガラス基板の表面に付着しているパーティクルを洗浄しようとしても洗浄しきれずに、ガラス基板の品質の低下を招いていた。
【0013】
本発明はこのような課題に鑑み、開梱する作業の過程において磁気ディスク用ガラス基板への塵埃の付着をより確実に防止する磁気ディスクの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明にかかる磁気ディスクの製造方法の代表的な構成は、磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋の周囲から、静電気を帯電する帯電装置によって、空気中に浮遊している塵埃を吸着させて除去し、除去を行いつつ、磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋を開梱することを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、梱包袋から磁気ディスク用ガラス基板を開梱するとき、帯電装置は空気中に浮遊している塵埃を除去しているので、開梱時に空気中に浮遊している塵埃の数は低減され、磁気ディスク用ガラス基板に付着する塵埃を低減することが可能となる。
【0016】
帯電装置を複数配置し、複数の帯電装置を異なる極性に帯電させてもよい。
【0017】
上記の構成により、複数の帯電装置に異なる極性を帯電させることで、空気中に浮遊している塵埃をより確実に除去し、帯電装置に吸着させることが可能となる。
【0018】
空気中に浮遊している塵埃に、荷電粒子放電器から荷電粒子を放電して塵埃を帯電させ、荷電粒子を放電された塵埃の極性に対して逆極性を前記帯電装置に帯電させてもよい。
【0019】
上記の構成により、空気中に浮遊する塵埃に荷電粒子放電器から荷電粒子を放電すると、塵埃はプラスの極性、マイナスの極性または中性の極性のいずれであっても、荷電粒子放電器から放電された極性に応じて同一の極性を持つようになる。したがって、例えば荷電粒子によって極性をマイナスにされた塵埃を、帯電装置にプラスの極性を持たせることにより吸着することが可能となる。
【0020】
当該磁気ディスクは、DFHヘッドを用いて記録を行う磁気記録装置に用いられてよい。具体的には、表面粗さが0.2nm以下、さらには0.12nm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明にかかる製造方法によって製造された磁気ディスクは、従来の製造方法にて製造された磁気ディスクよりもパーティクルの量が低減されているため、ガラス基板主表面の清浄度が高い。したがって、本発明にかかる磁気ディスクは上記の表面粗さ(平滑度および平坦度)の条件を容易に満たすことができ、磁気ヘッドの浮上量が低いDFHヘッドを使用した磁気記録方式にて記録される磁気ディスクに用いられるのに好適である。
【0022】
当該磁気ディスクは、磁気ディスクへの記録の際の磁気ヘッドの浮上量が10nm以下となる磁気記録装置に用いられるとよい。
【0023】
上述したように、本発明にかかる製造方法によって製造された磁気ディスクは、ガラス基板主表面の清浄度が高い。したがって、かかるガラス基板を用いて製造される磁気ディスクは、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下である記録方式に対応することができる。
【0024】
当該磁気ディスクは、記録密度が200Gbit/inch以上であるとよい。
【0025】
上述したように、本発明にかかる製造方法によって製造された磁気ディスクは、ガラス基板主表面の清浄度が高いため、かかるガラス基板を用いて製造される磁気ディスクは平滑度及び平坦度が高くなり、磁気ヘッドの浮上量が低浮上量である記録方式によって高記録密度化が達成される、200Gbit/inch以上の記録密度を有する磁気ディスクに好適に用いることが可能である。
【0026】
磁気ディスク用ガラス基板には、垂直磁気記憶媒体の磁性膜を形成してもよい。
【0027】
上述したように、本発明にかかる製造方法によって製造された磁気ディスクは、ガラス基板主表面の清浄度が高い。したがって、かかるガラス基板を用いて製造される磁気ディスクは平滑度および平坦度が高く、磁気ヘッドの浮上高さを下げることができ、高記録密度化が必要な垂直磁気記憶媒体とすることに適している。
【0028】
梱包袋を開梱した後、当該磁気ディスク用ガラス基板は、磁性膜形成工程前の洗浄処理において純水によって洗浄してもよい。
【0029】
上述したように、かかるガラス基板の主表面に純水を用いて塵埃を含んだパーティクルの洗浄することにより、磁気ディスクの清浄度をさらに向上させることができる。
【0030】
梱包袋を開梱した後、当該磁気ディスク用ガラス基板は、磁性膜形成工程前の洗浄処理において、pH値が12以下のアルカリ洗浄液によって洗浄してもよい。
【0031】
かかる構成により、純水だけでは除去できないパーティクルを更に除去することが可能となる。なお、上記の洗浄において、強酸洗浄液および強アルカリ洗浄液を用いると、ガラス基板主表面を変質させてしまうおそれがある。したがって、かかる洗浄液はpHが12以下のアルカリ洗浄液が好適である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、梱包袋を開梱する作業の過程において、空気中に浮遊している塵埃がガラス基板に付着することを防ぐことが可能な磁気ディスクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
まず、本実施形態にかかる磁気ディスクの製造方法について説明する。図1は、本実施形態にかかる磁気ディスクの製造に用いる磁気ディスク用ガラス基板を説明する図であり、図1(a)は磁気ディスク用ガラス基板の斜視図である。磁気ディスク用ガラス基板100は、円板形状をしていて、その中心には内孔が形成されている。主表面110は、情報を記録再生するための領域であるため、記録ヘッドが浮上走行するために実質的に平滑になっている。
【0034】
図1(b)は、図1(a)のX−X断面図である。磁気ディスク用ガラス基板100は、情報の記録再生領域となる主表面110と、当該主表面110に対して直交している端面120と、当該主表面110と端面120との間に介在している面取面130とを備えている。なお、後述する端面研磨工程により端面120と面取面130との境界が不明瞭となる場合もあるため、本実施形態は端面120とその両側の面取面130があわせて1つの曲面を構成する場合も含むものとする。
【0035】
磁気ディスクの成膜工程前に磁気ディスク用ガラス基板100、特にその主表面110にパーティクルや異物が付着すると、成膜工程において磁気ディスク用ガラス基板に平滑な磁性層を形成することができず、最終製品である磁気ディスクの良品率が低下する。
【0036】
図2は、磁気ディスク用ガラス基板のケースへの収納状態を説明する図である。図2(a)は、磁気ディスク用ガラス基板を保管するための容器である略直方体の磁気ディスク用ガラス基板ケースの拡大図である。ケース200は1個もしくは複数の磁気ディスク用ガラス基板を収納可能とし、磁気ディスク用ガラス基板100はケース200に収納される。磁気ディスク用ガラス基板100を収容したケース200は、図2(b)のように複数個、例えば4個を並べられた状態で梱包袋に収容される。
【0037】
ここで図3は、磁気ディスク用ガラス基板100が収容されたケース200の梱包状態を説明する図である。磁気ディスク用ガラス基板100が収容されたケース200は、複数個並べられた状態から、ケース200を、脱気した状態で密封する。そして脱気された梱包袋210で梱包され、梱包体212となる。そこで、ガラス基板に対する塵埃の付着を防止する磁気ディスクの製造方法について説明する。
【0038】
(磁気ディスクの製造方法)
続いて磁気ディスク用ガラス基板100を梱包している梱包袋の周囲の塵埃を除去してから、磁気ディスク用ガラス基板の梱包袋を開梱するまでの流れを説明する。
【0039】
図4は、磁気ディスク用ガラス基板100を梱包している梱包袋の周囲の塵埃を除去してから、磁気ディスク用ガラス基板の梱包袋を開梱するまでの流れの説明図である。図5は、梱包された状態で周囲の塵埃を除去する装置の概略図である。
【0040】
上記のように梱包された磁気ディスク用ガラス基板100は、ガラス基板製造施設から出荷され、磁気ディスク製造施設へ運搬される。磁気ディスク製造施設到着後、開梱工程が行われる。
【0041】
梱包された磁気ディスク用ガラス基板100を開梱できるようセットする。そして、図5に示した空気中に浮遊している塵埃400の中から、マイナスの極性を持っている塵埃をプラスの極性を持たせた単数もしくは複数の帯電装置410によって吸着する(S300)。ここで、帯電装置410を使用して塵埃400を吸着している部屋等では、ファン(図示せず)などにより空気の流れ(対流)を作り、帯電装置410に向かって空気を流し塵埃400を吸着させることも可能である。
【0042】
帯電装置410に極性を持たせることにより、異なる極性を持っている塵埃400を吸着するので、空気中に浮遊している塵埃400の数を低減させる。
【0043】
また、磁気ディスク用ガラス基板100を梱包している梱包袋210に対して、複数配置している帯電装置410にプラスの極性とマイナスの極性を持たせるように帯電させることも可能である。
【0044】
上記の構成により、複数の帯電装置410に異なる極性を帯電させることで、空気中に浮遊している塵埃400をより確実に除去することができる。
【0045】
しかし、すべての塵埃400はマイナスの極性を持っているわけではない。プラスの極性を持っている塵埃や、極性を持たない中性の塵埃が存在する。そこで、例えば空気中に浮遊している塵埃400の極性をマイナスの極性にするため荷電粒子放電器420を使用して、塵埃400の極性をマイナスにする荷電粒子を空気中に放電する(S310)。
【0046】
上記の構成により、空気中に浮遊する塵埃400に荷電粒子放電器420から荷電粒子を放電すると、塵埃400はプラスの極性、マイナスの極性または中性の極性のいずれであっても、荷電粒子放電器420から放電された荷電粒子の極性に応じて同一の極性を持つようになる。したがって、例えば荷電粒子によって極性をマイナスにされた塵埃400を、帯電装置410にプラスの極性を持たせることにより吸着する。
【0047】
そして、磁気ディスク用ガラス基板100を収容しているケース200を梱包している梱包袋210を開梱し(S330)、ケース200を梱包袋210から取り出す。
【0048】
上記の構成によれば、梱包袋210から磁気ディスク用ガラス基板100を開梱するとき、帯電装置410は空気中に浮遊している塵埃400を除去しているので、開梱時に空気中に浮遊している塵埃400の数が低減され、磁気ディスク用ガラス基板100に付着する塵埃400を低減することができる。
【0049】
ケース200に収納されている磁気ディスク用ガラス基板100を取り出し、磁気ディスク用ガラス基板100の表面に付着している塵埃を含んだパーティクルを純水で洗浄する(S340)。
【0050】
上述したように、かかるガラス基板の主表面に純水を用いて塵埃を含んだパーティクルの洗浄することにより、磁気ディスクの清浄度をさらに向上させることができる。
【0051】
ここで磁気ディスク用ガラス基板100の主表面を洗浄する洗浄液として純水を挙げたが、pH値が12以下のアルカリ洗浄液を使用することもできる。また、純水もしくはpH値が12以下のアルカリ洗浄液の両方を用いることもできる。
【0052】
上述したように、かかるガラス基板の主表面にpH値が12以下のアルカリ洗浄液を用いて洗浄することにより、ガラス基板の表面を変質させずに塵埃を含んだパーティクルの洗浄を行うことができ、磁気ディスクの平滑度および平坦度をさらに向上させることができる。
【0053】
以上、本発明にかかる磁気ディスクの製造方法の実施形態を説明した。なお、当該ガラス基板は、従来の製造方法にて製造されたガラス基板100よりも塵埃の量が低減されているため、ガラス基板主表面の清浄度が高い。したがって、高い平滑度および平坦度が要求される、低浮上量の磁気ヘッドでの記録方式、すなわち、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下である記録方式にて記録される磁気ディスクに用いることができる。また、同様の観点から、当該磁気ディスクは、具体的に表面粗さが0.2nm以下、さらには0.12nm以下の条件を容易に満たすことができ、磁気ヘッドの浮上量が低いDFHヘッドを使用した磁気記録方式にて記録される磁気ディスクに用いるのにも好適であり、更に、磁気ヘッドの低浮上量化によって高記録密度化が達成された、200Gbit/inch以上の記録密度を有する磁気ディスクに用いることもできる。
【0054】
他に、当該ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクの表面粗さ(平坦度および平滑度)は、グライドテストにおけるグライド高さが10nm以下という基準を満たすことができる。これは、本発明にかかる製造方法によって製造されたガラス基板は、主表面の清浄度が高いため、当該ガラス基板を用いて製造された磁気ディスクにおいても主表面の平滑度および平坦度が向上するためである。
【0055】
さらに、本発明にかかる製造方法によって製造されたガラス基板は、主表面の清浄度が高いため、ガラス基板を用いて製造される磁気ディスクにおいては平滑度および平坦度が高くなり、磁気ヘッドの浮上高さを下げることができ、高記録密度化が必要な垂直磁気記憶媒体とすることに適している。
【0056】
(実施例)
以下に、本発明を適用した磁気ディスクの製造方法について実施例を説明する。
【0057】
(1)開梱工程
梱包体212の梱包袋210を所定の部屋に運び、空気中に浮遊している塵埃400の極性をマイナスにして、帯電装置410をプラスに帯電させた後、塵埃400を吸着して除去する。そして空気中に浮遊している塵埃を除去した部屋で梱包袋210を開梱して、磁気ディスク用ガラス基板100のケース200を取り出す。
【0058】
(2)搬入工程
磁気ディスク用ガラス基板100上に磁性層を形成する成膜工程を行うため、ケース200に収納された磁気ディスク用ガラス基板100を、生産ラインが設置されているクリーンルーム(図示なし)へ搬送した。
【0059】
(3)洗浄工程
磁気ディスク用ガラス基板100を取り出し、磁気ディスク用ガラス基板100を、生産ラインが設置されているクリーンルームに搬入し、磁気記録層を成膜させる前に洗浄を行う。かかる洗浄においては、純水およびpH12以下のアルカリ洗浄液が用いられる。これは、強酸洗浄液および強アルカリ洗浄液を用いると、ガラス基板主表面を変質させてしまうおそれがあるからである。
【0060】
もし、上記の開梱方法によって開梱されたガラス基板主表面にパーティクルが付着していたとしても、ガラス基板主表面へのパーティクルの付着力は弱い。したがって、純水での洗浄によって容易にパーティクルを除去することができる。また、純水では除去できないパーティクルが付着していることも考え、純水洗浄の前にpH12以下のアルカリ洗浄液での洗浄を行ってもよい。かかる洗浄により、ガラス基板主表面のパーティクルをより確実に除去し、当該主表面の清浄度をより向上することが可能となる。
【0061】
(4)磁気ディスク製造工程(成膜工程)
図6は本実施形態にかかる磁気ディスク500の構成を説明する図である。図6に示す磁気ディスク500は、基体としての磁気ディスク用ガラス基板100、付着層510、第1軟磁性層512a、スペーサ層512b、第2軟磁性層512c、前下地層514、第1下地層516a、第2下地層516b、非磁性グラニュラー層518、第1磁気記録層520a、第2磁気記録層520b、連続層522、媒体保護層524、潤滑層526で構成されている。なお第1軟磁性層512a、スペーサ層512b、第2軟磁性層512cは、あわせて軟磁性層512を構成する。第1下地層516aと第2下地層516bはあわせて下地層516を構成する。第1磁気記録層520aと第2磁気記録層520bとはあわせて磁気記録層520を構成する。
【0062】
以下に説明するように、本実施例に示す磁気ディスク500は、磁気記録層520の第1磁気記録層520aおよび第2磁気記録層520bのいずれかまたは両方に複数の種類の酸化物(以下、「複合酸化物」という。)を含有させることにより、非磁性の粒界に複合酸化物を偏析させている。
【0063】
磁気ディスク用ガラス基板100は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性の磁気ディスク用ガラス基板100を得ることができる。
【0064】
磁気ディスク用ガラス基板100上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層510から連続層522まで順次成膜を行い、媒体保護層524はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層526をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成および製造方法について説明する。
【0065】
付着層510は非晶質の下地層であって、磁気ディスク用ガラス基板100に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層512と磁気ディスク用ガラス基板100との剥離強度を高める機能と、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層510は、磁気ディスク用ガラス基板100がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファスの合金膜とすることが好ましい。
【0066】
付着層510としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。付着層510は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層510は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
【0067】
軟磁性層512は、垂直磁気記録方式において記録層に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層512は第1軟磁性層512aと第2軟磁性層512cの間に非磁性のスペーサ層512bを介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)を備えるように構成することができる。これにより軟磁性層512の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層512から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層512a、第2軟磁性層512cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeBなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金を用いた。
【0068】
前下地層514は非磁性の合金層であり、軟磁性層512を防護する作用と、この上に成膜される下地層516に含まれる六方細密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。前下地層514は面心立方構造(fcc構造)の(111)面、または体心立方構造(bcc構造)の(510)面が磁気ディスク用ガラス基板100の主表面と平行となっていることが好ましい。また前下地層514は、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。前下地層の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Ta、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばfcc構造としてはNiW、CuW、CuCr、bcc構造としてはTaを好適に選択することができる。
【0069】
下地層516はhcp構造であって、磁気記録層520のCoのhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層516の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層516の結晶の(0001)面が磁気ディスク用ガラス基板100の主表面と平行になっているほど、磁気記録層22の配向性を向上させることができる。下地層の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の格子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層を良好に配向させることができる。
【0070】
下地層516をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、上層側の第2下地層516bを形成する際に、下層側の第1下地層516aを形成するときよりもArのガス圧を高くする。ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの自由移動距離が短くなるため、成膜速度が遅くなり、結晶配向性を改善することができる。また高圧にすることにより、結晶格子の大きさが小さくなる。Ruの結晶格子の大きさはCoの結晶格子よりも大きいため、Ruの結晶格子を小さくすればCoのそれに近づき、Coのグラニュラー層の結晶配向性をさらに向上させることができる。
【0071】
非磁性グラニュラー層518は非磁性のグラニュラー層である。下地層516のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に第1磁気記録層520aのグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。非磁性グラニュラー層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラー構造とすることができる。特にCoCr−SiO、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない第1酸化物200(非磁性物質)であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(CrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
【0072】
磁気記録層520は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラー構造を有している。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層518を設けることにより、そのグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁気記録層520は単層でもよいが、本実施例では組成および膜厚の異なる第1磁気記録層520aと、第2磁気記録層520bとから構成されている。第1磁気記録層520aと第2磁気記録層520bは、いずれも非磁性物質としてはSiO、Cr、TiO、B、Fe等の酸化物や、BN等の窒化物、B等の炭化物を好適に用いることができる。
【0073】
さらに、第1磁気記録層520aまたは第2磁気記録層520bのいずれかまたは両方において2以上の非磁性物質を複合して用いる。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、特にSiOおよびTiOを含むことが好ましく、次にいずれかに代えて/加えてCrを好適に用いることができる。本実施例として、第1磁気記録層520aは、粒界部に複合酸化物(複数の種類の酸化物)としてCrとSiOを含有し、CoCrPt−Cr−SiOのhcp結晶構造を形成した。また第2磁気記録層520bは、粒界部に複合酸化物としてSiOとTiOを含有し、CoCrPt−SiO−TiOのhcp結晶構造を形成した。
【0074】
連続層522はグラニュラー構造を有する磁気記録層520の上に、面内方向に磁気的に連続した層である。連続層522は必ずしも必要ではないが、これを設けることにより磁気記録層520の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、逆磁区核形成磁界Hnの向上、耐熱揺らぎ特性の改善、オーバーライト特性(OW特性)の改善を図ることができる。
【0075】
なお連続層522として、単一の層ではなく、高い垂直磁気異方性かつ高い飽和磁化MSを示す薄膜(連続層)を形成するCGC構造(Coupled Granular Continuous)としてもよい。なおCGC構造は、グラニュラー構造を有する磁気記録層と、PdやPtなどの非磁性物質からなる薄膜のカップリング制御層と、CoBとPdとの薄膜を積層した交互積層膜からなる交換エネルギー制御層とから構成することができる。
【0076】
媒体保護層524は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層524は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録層を防護するための保護層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録層を防護することができる。
【0077】
潤滑層526は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層524表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層526の作用により、磁気ディスク500の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層524の損傷や欠損を防止することができる。
【0078】
以上の製造方法により、磁気ディスクを得ることができる。
【0079】
(評価)
かかる磁気ディスクの製造方法によって開梱されたガラス基板100における本実施例の有効性について説明する。有効性は、塵埃400などが含まれたパーティクル数によって検証する。後述の図7では、(表面欠陥検出装置(OSA6100(Optical Surface Analyzer))を用いてカウントした。
【0080】
図7は、実施例および比較例におけるパーティクル数をカウントした結果を示す図である。ここで、実施例とは、開梱する部屋に浮遊している塵埃400を帯電装置410によって除去し、ケース200を梱包袋210から開梱して取り出した場合である。比較例とは、開梱する部屋に浮遊している塵埃400を除去せず、ケース200を梱包袋210から開梱して取り外した場合である。
【0081】
ここで、実施例のサンプル610および比較例のサンプル620をそれぞれ3枚任意に選択した。そしてそれぞれ3枚任意に選択した磁気ディスク用ガラス基板100の主表面に付着しているパーティクル数630をカウントし、3サンプルの平均として平均パーティクル数640を求めた。なお、パーティクル数630は、パーティクルの粒径1.0μm未満のものをカウントした。
【0082】
図7に示すように、実施例のサンプル610の平均パーティクル数640は、比較例のサンプル620の平均パーティクル数640よりも約1/4と少なく、明らかなパーティクル数の差異が見られ、前者が梱包品質として高い優位を示す結果が得られている。かかる原因としては、搬送中に梱包袋に付着した塵埃400が部屋中の空気に散乱し、梱包袋210を開梱した際に、磁気ディスク用ガラス基板100に塵埃400が付着するためと考えられる。また、開梱工程を行った部屋とクリーンルームが隣接していると、室内に散乱した梱包袋210に付着していた塵埃400がクリーンルーム内に持ち込まれることも考えられる。
【0083】
また、実施例ならびに比較例から新たにサンプルをそれぞれ6枚任意に選択して、純水を使用して洗浄するサンプル各3枚とpH値が12以下のアルカリ洗浄液を使用して洗浄するサンプル各3枚に振り分けた。そして磁気ディスク用ガラス基板100に付着しているパーティクル数を洗浄前と洗浄後それぞれについてカウントした。なお、パーティクル数は、パーティクルの粒径1.0μm未満のものをカウントした。
【0084】
純水を使用して洗浄した結果、実施例のパーティクル数は6〜9(カウント/面)であり、比較例のパーティクル数は35〜40(カウント/面)であった。またpH値が12以下のアルカリ洗浄液を使用して洗浄した結果、実施例のパーティクル数は3〜6(カウント/面)であり、比較例のパーティクル数は30〜35(カウント/面)であった。これらの結果から実施例と比較例とでは明らかにパーティクル数の差異が見られた。また、純水を使用した場合、パーティクル数の低減が確認できた。ここで純水を使用して洗浄を行った場合よりも、pH値が12以下のアルカリ洗浄液を使用して洗浄を行った場合の方がさらにパーティクル数の低減が確認できた。洗浄を行うことで実施例が梱包品質としてさらに高い優位を示す結果が得られた。
【0085】
以上説明したように、本実施形態にかかる磁気ディスクの製造方法によれば、梱包袋210およびケース200内に存在している塵埃400の磁気ディスク用ガラス基板100への付着をより確実に防止することができる。したがってこの磁気ディスク用ガラス基板100を用いて製造した磁気ディスクは凸欠陥が少なくなり、磁気ヘッドの浮上量が10nm以下となるほどの低浮上量化、記録密度が200Gbit/inch以上の高記録密度化を図ることができる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、磁気ディスクの製造方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施形態にかかる磁気ディスクの製造に用いる磁気ディスク用ガラス基板を説明する図である。
【図2】磁気ディスク用ガラス基板のケースへの収納状態を説明する図である。
【図3】磁気ディスク用ガラス基板が収容されたケースの梱包状態を説明する図である。
【図4】磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋の周囲の塵埃を除去してから、磁気ディスク用ガラス基板の梱包袋を開梱するまでの流れの説明図である。
【図5】梱包された状態で周囲の塵埃を除去する装置の概略図である。
【図6】本実施形態にかかる磁気ディスクの構成を説明する図である。
【図7】実施例および比較例におけるパーティクル数をカウントした結果を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
100 …磁気ディスク用ガラス基板
110 …主表面
120 …端面
130 …面取面
200 …ケース
210 …梱包袋
212 …梱包体
400 …塵埃
410 …帯電装置
420 …荷電粒子放電器
500 …磁気ディスク
510 …付着層
512 …軟磁性層
512a …第1軟磁性層
512b …スペーサ層
512c …第2軟磁性層
514 …前下地層
516 …下地層
516a …第1下地層
516b …第2下地層
518 …非磁性グラニュラー層
520 …磁気記録層
520a …第1磁気記録層
520b …第2磁気記録層
522 …連続層
524 …媒体保護層
526 …潤滑層
610 …実施例のサンプル
620 …比較例のサンプル
630 …パーティクル数
640 …平均パーティクル数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋の周囲から、静電気を帯電する帯電装置によって、空気中に浮遊している塵埃を吸着させて除去し、
前記除去を行いつつ、前記磁気ディスク用ガラス基板を梱包している梱包袋を開梱することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
【請求項2】
前記帯電装置を複数配置し、
前記複数の帯電装置を異なる極性に帯電させることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項3】
前記空気中に浮遊している塵埃に、荷電粒子放電器から荷電粒子を放電して該塵埃を帯電させ、
前記荷電粒子を放電された塵埃の極性に対して逆極性を前記帯電装置に帯電させることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項4】
当該磁気ディスクは、DFHヘッドを用いて記録を行う磁気記録装置に用いられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項5】
当該磁気ディスクは、磁気ディスクへの記録の際の磁気ヘッドの浮上量が10nm以下となる磁気記録装置に用いられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項6】
当該磁気ディスクは、記録密度が200Gbit/inch以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項7】
前記磁気ディスク用ガラス基板に、垂直磁気記録媒体の磁性膜を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項8】
前記梱包袋を開梱した後、前記磁気ディスク用ガラス基板を、磁性膜形成工程前の洗浄処理において純水によって洗浄することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項9】
前記梱包袋を開梱した後、前記磁気ディスク用ガラス基板を、磁性膜形成工程前の洗浄処理において、pH値が12以下のアルカリ洗浄液によって洗浄することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気ディスクの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−205767(P2009−205767A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48457(P2008−48457)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(503069159)ホーヤ ガラスディスク タイランド リミテッド (85)
【Fターム(参考)】