磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置
【課題】伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置とが近接配置された磁気ヘッド等を提供する。
【解決手段】磁気ヘッド100において、コア層131とクラッド層132と有し浮上面Fに向かって延びてコア層の一面E寄りの、コア層の厚み方向Tの一部分が浮上面に露出し、照射光を伝搬して出射する光導波路131と、コア層の一面E側に形成されてコア層とは離間しコア層と平行に浮上面に向かって延び、浮上面寄りの部分でコア層に近づきながら浮上面に向かって斜めに延び、浮上面近傍がコア層に接触又は近接して浮上面に露出する主磁極121とを備える。
【解決手段】磁気ヘッド100において、コア層131とクラッド層132と有し浮上面Fに向かって延びてコア層の一面E寄りの、コア層の厚み方向Tの一部分が浮上面に露出し、照射光を伝搬して出射する光導波路131と、コア層の一面E側に形成されてコア層とは離間しコア層と平行に浮上面に向かって延び、浮上面寄りの部分でコア層に近づきながら浮上面に向かって斜めに延び、浮上面近傍がコア層に接触又は近接して浮上面に露出する主磁極121とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置(HDD)に代表される磁気ディスク装置では、記録密度の向上のため、記憶媒体における磁性層の結晶粒の微細構造化が、熱揺らぎが問題となるほどに進んでいる。この熱揺らぎを低減するには、磁性層に保磁力の高い元素の添加が適しているが、保磁力が高いほど、磁気ヘッドによる磁界では書き込めなくなりつつある。そこで記憶媒体上に微小な熱スポットを形成して急加熱し、熱によって一時的に保磁力を下げて磁界で記録し、急冷することで保磁力を回復させて記録する熱アシスト記録方式が提案されている。この熱スポットは、磁気ヘッドから光スポットを記憶媒体に照射し、記憶媒体で吸収させることで発生させる。高密度記録のためには、磁界の及ぶ範囲と熱スポットの範囲が小さいものに限られることから、熱スポットを、磁極の近傍に形成することが求められている。これに対し、光が伝搬する導波路を組み込んだ構造のヘッドが提案されている。
【0003】
例えば、光ヘッドにおいて、基板の上に、光が伝搬するコアと、コアを挟んだクラッドからなる光導波路が積層された構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この光ヘッドでは、基板上に設けられた光導波路の先端に、光スポットを発生させる開口部を備えた第1の多層膜が形成されており、その上に、コア内を伝搬してきた光を多層膜側に偏向する第2の多層膜や反射ミラーが設けられている。この構造では、コア内を伝搬してきた光が第2の多層膜で基板上の第1の多層膜側に大きく偏向され開口部から照射される。
【0004】
また、磁気ヘッドの上にコアを直接配置し、コアの先端には、光を照射する開口部を備えた第1の多層膜と、コアを伝搬してきた光を第1の多層膜に偏向する第2の多層膜が配置された構造が知られている(例えば、特許文献2参照。)。コアの先端面は第1の多層膜と第2の多層膜の双方に接している。
【0005】
また、磁極のコア側に、特殊な金属の層を設けることによって、金属表面で発生するプラズモン効果を利用して光を導き、コアのサイズよりも小さな光スポットを発生させる構造が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2006−331508号公報
【特許文献2】特開2006−73105号公報
【特許文献3】特開2007−164936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コアとクラッドとからなる光導波路で伝導された光を基板上の第1の多層膜側に大きく偏向させる光ヘッドは、コア中心の高さから基板近傍の高さまで、すなわちコアの厚さの半分にクラッドの厚さを加えた高さに渡って光を偏向させる必要がある。このための製造が難しく、光スポットを磁極に近接させることが容易でない。
【0007】
また、磁気ヘッドの上にコアを直接配置した構造では、光が磁気ヘッドの金属部分に吸収される問題がある。例えば、磁気ヘッドの主磁極に使用される磁性材料は、光学的にはn=2を超える高い屈折率を有することが一般的である。さらに、可視光領域における屈折率は、一般に波長が長いほど高くなる。相対的に短い波長の青紫レーザが使用される場合、主磁極材料の屈折率は光導波路で使用される材料の屈折率と比べ同程度かまたはそれより低い。しかし、製造が容易な発光素子で出力できる赤色レーザが使用される場合、主磁極材料の屈折率が光導波路材料の屈折率を上回るため、光が磁極側に偏向され、光の一部が磁極に吸収される。コアと磁極の接触距離が長いと、光の損失が増大する。さらに、磁極に吸収された光は熱となり磁極の温度を上昇させる。主磁極は記録トラックに合わせた微小構造の部材であるため、熱の伝導が妨げられ温度が上昇しやすい。磁極の温度上昇によって磁力の発生効率が低下する。
【0008】
また、プラズモン効果を用いる構成では、光を導くのが透明材料ではなく金属であるため、金属による光の吸収が避けられない。また、吸収された光によって金属と磁極の双方が加熱され、磁力の発生効率が低下する。
【0009】
上記事情に鑑み、本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の課題は、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置とを近接させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件開示の磁気ヘッドの基本形態は、層構造を有し、この層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、この記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し上記浮上面に向かって延びてこのコア層の両面のうちの一面寄りの、このコア層の厚み方向の一部分がこの浮上面に露出し、上記記憶媒体に照射する照射光を伝搬してこの浮上面から出射する光導波路と、
上記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて上記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、上記コア層の上記一面側に形成されてこのコア層とは離間しこのコア層と平行に上記浮上面に向かって延び、上記浮上面寄りの部分でこのコア層に近づきながらこの浮上面に向かって斜めに延び、この浮上面近傍がこのコア層に接触又は近接してこの浮上面に露出する主磁極とを有する。
【0011】
また、本件開示の磁気ディスク装置の基本形態は、
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、この層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する上記記憶媒体に向けて浮上し、この記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
上記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し上記浮上面に向かって延びてこのコア層の両面のうちの一面寄りの、このコア層の厚み方向の一部分がこの浮上面に露出し、上記記憶媒体に照射する照射光を伝搬してこの浮上面から出射する光導波路と、
上記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて上記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、上記コア層の上記一面側に形成されてこのコア層とは離間しこのコア層と平行に上記浮上面に向かって延び、上記浮上面寄りの部分でこのコア層に近づきながらこの浮上面に向かって斜めに延び、この浮上面近傍がこのコア層に接触又は近接してこの浮上面に露出する主磁極とを有する。
【0012】
これらの基本形態によれば、主磁極は、コア層に沿って浮上面に向かって延びるが、浮上面近傍までコア層に接触又は近接しない。このため、主磁極がコア層より高屈折率の磁性材料で形成されていても、浮上面近傍までは、コア層の照射光が主磁極に吸収されない。したがって、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置とが近接可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の上記基本形態によれば、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置を近接配置させことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の具体的な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した図である。
【0016】
図1に示す磁気ディスク装置1には、図に垂直な方向を回転軸とする回転駆動力を発生するロータリアクチュエータ6が設けられている。このロータリアクチュエータ6は、サスペンションアーム5を支持している。サスペンションアーム5は、ロータリアクチュエータ6の回転駆動力を受けて回動する。サスペンションアーム5の先端には、支持具としてのジンバル4を介して磁気ヘッド100が取り付けられている。磁気ヘッド100は、詳細には、ジンバル4に取り付けられた磁気ヘッドスライダの先端に形成されており、磁気ディスク2上に磁気ヘッドスライダと一体となって浮上する。磁気ヘッド100は、磁気ディスク2からの情報の読み取りや磁気ディスク2への情報の書き込みを行う。
【0017】
情報の読み取りや書き込みの際には、ロータリアクチュエータ6によりサスペンションアーム5が回転駆動されることで、磁気ヘッド100が磁気ディスク2上の目標位置に移動し、磁気ディスク2からの情報の読み取りや磁気ディスク2への情報の書き込みを行う。円盤状の磁気ディスク2の表面には、同心円状に多数のトラック7が設けられており、各トラック7には、情報を記憶する記憶領域がある。この記憶領域に並んだ磁化の向きにより情報が表される。この磁気ディスク2は、円盤の中心を回転中心として図の面内を回転し、磁気ディスク2表面近くに配置された磁気ヘッド100は、回転する磁気ディスク2の記憶領域に順次近接する。
【0018】
情報の記録時には、磁気ディスク2に近接した磁気ヘッド100に電気的な記録信号と光が入力され、磁気ヘッド100は、入力された記録信号に応じて磁界と光を印加して、その記録信号に担持された情報をそれらの記憶領域の磁化方向の形式で記録する。また、情報の再生時には、磁気ヘッド100は、各記憶領域において磁化方向の形式で記録された情報を、磁化それぞれから発生する磁界に応じて電気的な再生信号を生成することにより取り出す。ここで、磁気ディスク2は、上述した基本形態における記憶媒体の一例に相当する。
【0019】
[第1実施形態]
図2、図3および図4は、磁気ヘッドの具体的な第1実施形態を示す図である。図2は磁気ヘッド内部の主要部の構造を斜めから示した透視図であり、図3は断面図であり、図4は磁気ディスクの側から見た図である。
【0020】
図2〜図4に示す磁気ヘッド100は層構造を有しており、層構造の一端面からなる浮上面F(図3参照)を磁気ディスク2に向けて浮上する。磁気ディスク2のトラックは、トラック方向Tとして示す矢印の向きに移動する。すなわち、磁気ヘッド100はトラック上を、トラック方向Tの矢印とは反対方向に相対移動することとなる。トラック方向Tと交わる方向をクロストラック方向Cとする。磁気ヘッド100は、トラック方向Tに積層された層構造を有しており、以降、各層の厚み方向をトラック方向Tとも称し、幅方向をクロストラック方向Cとも称する。
【0021】
磁気ヘッド100は、再生素子11、記録素子12、および光導波路13を備えている。なお図2では再生素子11の図示を省略している。
【0022】
再生素子11は、磁界を検知し磁界に応じた再生信号を出力する。再生素子11は例えばGMR(巨大磁気抵抗)素子である。再生素子11は、一対の磁気シールド14で挟まれており、さらに別の磁気シールド15によって記録素子12から隔てられている。
【0023】
光導波路13は、コア層131およびコア層131を挟んだクラッド層132を有している。光導波路13は、浮上面Fに向かって延びており、図示しない発光装置から出射されてくるレーザ光を浮上面Fに伝播させる。図2では、構造を見やすくするためクラッド層132の図示を省略し、図3では、クラッド層132にハッチングを施している。磁気ヘッド100では、例えば660nmの波長を有する赤色レーザ光が使用される。コア層131およびクラッド層132は、使用されるレーザ光の波長に対し、n*=n−jkで表される複素屈折率の消衰係数(k)に有意な値を持たず(k≒0)、即ち透明であり、かつ非磁性の材料で形成されている。コア層131の材料としては、例えばTa2O5(n=2.11)やTiO2(n=2.29)に代表される、クラッド層132の材料より高い屈折率を有する材料が採用可能である。また、クラッド層132の材料としては、例えばSiO2(n=1.46)やAl2O3(n=1.77)に代表される、コア層131の材料より低い屈折率を有する材料が採用可能である。
【0024】
また、光導波路13には、浮上面F寄りの先端に光ヘッド133が備えられている。光ヘッド133は、浮上面Fから照射光を出射する光伝搬層134と、伝搬されてきた照射光を光伝搬層134に向けて偏向する光偏向層135を有している。
【0025】
光伝搬層134は、コア層131の両面のうちの一面である主磁極面E寄りの、コア層131の厚み方向の一部分が浮上面Fに露出した部分である。また、光偏向層135は、コア層131から光伝搬層134を除いた部分であり、コア層131の主磁極面Eとは反対側の一面寄りの部分である。光偏向層135は複層構造を有しており、各層間の屈折率差を利用して光伝搬層134に向けて光を偏向する。光偏向層135の浮上面F側は光シールド136によって覆われている。光偏向層135は、各層間の屈折率差、光偏向層135自身の長さおよび厚さが調整されることによって、光伝搬層134から出射される光における結合効率の高い入射角や入射位置を制御する。光偏向層135の各層は、光伝搬層134に近い側の層が相対的に高い屈折率を有する材料で形成され、光伝搬層134から遠い側の層が相対的に低い屈折率の材料で形成されている。例えば、光伝搬層134に近い側の層の材料として、例えばコアと同じTa2O5が採用可能である。また、光伝搬層134から遠い側の層の材料として、例えばSiO2が採用可能である。
【0026】
なお、コア層131の厚さが使用される光の波長程度に薄い場合、光偏向層135には、上述した複層構造以外に、Ta2O5の単層構造が採用可能である。単層構造の場合、光偏向層135はコア層131と同時に作製することができる。
【0027】
光伝搬層134は、使用する光の波長の10分の1程度であるサブ波長以下の厚さの多層構造を有しており、また、浮上面Fに近づくに従いクロストラック方向Cにおいて細幅となるテーパ形状を有している。各層のうち、外側の層は、複素屈折率(n*=n−jk)における消衰係数(k)に有意な値を持つ材料で形成されている。外側の層の材料としては、例えばSiやGeなどの比誘電率(ε)が高い誘電体や、Al、Au、Cuなど比誘電率(ε)が低い金属が採用可能である。また、各層のうち、内側の層の少なくとも1層は、複素屈折率における吸収係数(k)に有意な値を持たない、すなわち使用する光の波長にとって透明な材料で形成されている。内側の層の材料としては、例えばTa2O5やTiO2といった材料が採用される。多層構造によって、光伝搬層134を伝搬する光が透明な内側の層内に閉じ込められるとともに、主磁極121への光の染み出しも低減される。
【0028】
光シールド136は、光偏向層135で光伝搬層134に偏向しきれなかった光が、浮上面Fから出射されて磁気ディスク2の目的外の場所が加熱されてしまうことを防止する。光シールド136は、光偏向層135の浮上面F側を覆い、浮上面Fに沿って広がった形状を有する。この光シールド136は、本実施形態では副磁極としても機能するが、副磁極としての機能については後述する。
【0029】
記録素子12は、磁力を導いて磁気ディスク2に作用させる層形状の主磁極121、副磁極として機能する光シールド136と主磁極121との間を接続する接続部123、記録用の磁界を発生する薄膜コイル124、および放熱部125を備えている。主磁極121と、副磁極として機能する光シールド136と、接続部123とは、磁気記録時に発生する磁束の磁路の一部を構成する。薄膜コイル124は、この磁路と鎖交するように配置されている。磁気ヘッド100は、垂直磁気記録型の磁気ヘッドであり、主磁極121のトレーリング側すなわちトラック方向Tにおける下流側の位置で磁気ディスク2への記録が行われる。
【0030】
主磁極121は、コア層131の主磁極面E側に形成されており、光伝搬層134とはトラック方向Tに並んで配置されている。以降、主磁極121と光伝搬層134が並んだ方向をトラック方向Tとも称し、主磁極121と光伝搬層134が並んだ方向に交わる方向をクロストラック方向Cとも称する。主磁極121は、コア層131とは離間しコア層131と平行に浮上面Fに向かって延び、浮上面F寄りの部分でコア層131に近づきながら浮上面Fに向かって斜めに延び、浮上面F近傍がコア層131に接触して浮上面Fに露出している。主磁極121の、コア層131とは離間しコア層131と平行に延びた部分、斜めに延びた部分、およびコア層131に接触した部分を、それぞれ平行部121a、斜行部121b、および接触部121cと称する。平行部121aおよび斜行部121bは、コア層131との間にクラッド層132を挟んで配置されている。平行部121aは、浮上面Fに向かって延びる主磁極121の大半を占めている。
【0031】
主磁極121は、高い飽和磁化材料で形成されている。主磁極121の材料としては、Fe、Coといった単原子材料や、FeCoといった合金材料が採用可能である。主磁極121は単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。主磁極121に採用される、高い飽和磁化となる磁性材料は、実効的な屈折率がn>2のものが一般的であり、光導波路で用いるコア層131の屈折率に対し同等またはそれ以上の屈折率を有する。
【0032】
ここで、仮に、主磁極121がコア層131と接触しながら、浮上面Fまで一直線上に延びた構造であるとした場合、コア層131を伝搬される光は、コア層131より高い屈折率を有する主磁極121の側に偏向され、主磁極121に吸収される。この結果、浮上面Fから磁気ディスクに向けて照射される光が減衰するだけでなく、吸収された光によって主磁極が加熱するため磁力も低減する。
【0033】
これに対し、本実施形態の主磁極121は、浮上面Fに露出する接触部121cでのみコア層131と接触している。主磁極121は、平行部121aおよび斜行部121bのいずれもコア層131と接触しておらず、コア層131との間にクラッド層132を挟んで配置されている。このため、光の減衰が抑えられる。また、主磁極121の加熱による磁力の低下も抑えられる。また、主磁極121は、浮上面Fに露出する接触部121cでコア層131の光伝搬層134に隣接しており、出射光による光スポットは、主磁極121からの磁界の及ぶ範囲と、記録に十分な程度に重なることとなる。
【0034】
本実施形態における光シールド136は副磁極としても機能し、主磁極121から出て磁気ディスク2内を通過した磁束が戻る経路を形成する。薄膜コイル124に記録のための電流が流れると、薄膜コイル124を取り囲んだ主磁極121、磁気ディスク2、副磁極として機能する光シールド136、および接続部123に磁路が形成される。主磁極121から磁気ディスク2に向かう磁界の垂直成分によって情報が記録される。ここで、上述した基本形態に対し、「光偏向層の上記浮上面側先端を覆った、上記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、上記遮光部が、磁性材料で形成された、上記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものである」という応用形態が好適である。光偏向層は、光伝搬層を挟んで主磁極の反対側に配置されており、光偏向層の浮上面側を覆った遮光部が副磁極を兼ねることにより、主磁極と副磁極が光伝搬層を挟んで、記憶媒体内の磁路形成に適切な距離に配置される。また、磁気ヘッドの形成工程が簡略化される。光シールド136は、上記応用形態における遮光部の一例に相当する。光シールド136は、使用波長に対して複素屈折率(n*=n−jk)の消衰係数(k)に有意な値を持つ材料で形成されることが望ましく、また、本実施形態では磁性材料で形成されることが望ましい。光シールド136の材料としては、例えば、Fe(n*=3.31−3.75j)、Co(n*=2.28−4.17j)、Nd(n*=0.34−1.34j)等や、これらの合金が採用可能である。
【0035】
放熱部125は、主磁極121で生じた熱を周辺に放熱するための部材である。放熱部125は、クロストラック方向Cであってかつ浮上面Fと平行に主磁極121先端部の両側に延びており、詳細には、主磁極121のうち、光伝搬層134に接した接触部121cの両側に延びている。より詳細には、放熱部125はクロストラック方向Cに延びた柱状であり、中央部分に接触部121cが埋没した構造を有している。接触部121cは、光伝搬層134に接触しており、光伝搬層134で伝搬される光の一部が吸収される。光の吸収で生じる熱は放熱部125によって接触部121cの外部に放熱されるため、主磁極121の温度上昇に起因する磁力の低下が抑えられる。放熱部125は、周囲よりも高い熱伝導率を有する非磁性材料で形成されている。放熱部125の材料としては、例えば、Al(=237 W/(m・K))、Au(=317 W/(m・K))、Cu(=401 W/(m・K))やこれらの合金、およびSi(=148 W/(m・K))等が採用可能である。
【0036】
図2〜4に示す磁気ヘッド100は、公知の手法によって基板に対し各材料の積層および選択的エッチングを繰返すことによって作成される。主磁極121の斜行部121bは、浮上面Fに向かって斜めに延びた形状を有している。この部分は、主磁極121の下層のうち、斜行部121bが形成される領域以外の領域をレジスト膜等で覆い、例えばイオンミリング法またはFIB(Focused Ion Beam)で下層を斜めに削った後、レジスト膜を除去して磁性材料を積層することで形成される。
【0037】
放熱部125は、周囲よりも高い熱伝導率を有する非磁性材料で形成されるが、さらに、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成することが、屈折率分布の点からより好ましい。このような材料としては、例えば、Si(=148 W/(m・K))等が採用可能である。
【0038】
ここで、屈折率分布について説明する。光伝搬層134には主磁極121が浮上面F近傍で隣接している。主磁極121は磁性材料で形成されており、光伝搬層134に比べ高い屈折率を有している。ここで、仮に、放熱部125の材料として、光伝搬層134に比べ低い屈折率の材料を採用すると、主磁極121を中心にクロストラック方向Cとトラック方向Tの屈折率の分布を見た場合、主磁極121の位置で屈折率が高い不均等な分布となる。この屈折率の分布内に光伝搬層134が主磁極121と隣接していることにより、光伝搬層134の同じ層内で主磁極121に近い部分の実効屈折率が高く、他の部分が低い不均等な分布を生じる。光伝搬層134は、トラック方向Tに積層された層構造によって光を内部に閉じ込め伝搬するが、内部の実効的な屈折率の分布が不均等になると、光伝搬層134で伝搬される光が屈折率のピークに対応する主磁極121の中心に向かって、積層方向に対し斜めに偏向する傾向が高まるため、層構造による光の伝搬制御が妨げられる。
【0039】
本実施形態の磁気ヘッド100では、放熱部125が、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成されることによって、トラック方向Tにおける主磁極121の位置でクロストラック方向Cに屈折率を見た屈折率の分布が均一化する。したがって、光伝搬層134で伝搬される光の損失が抑えられる。
【0040】
このことは、上述した基本形態に対し、「上記主磁極と上記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行にこの主磁極先端部の両側に延びた、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態が好ましいことを意味する。ここで、第1実施形態の放熱部125が、上記応用形態の屈折率補正部の一例に相当する。
【0041】
また、上述した基本形態に対し「屈折率補正部が、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を兼ねたものである」応用形態は好適である。屈折率補正部が放熱部を兼ねる場合、主磁極の両側に延びた屈折率補正部の構造によって、主磁極の熱が両側に効率よく放熱され、磁力の低下が抑えられる。
【0042】
また、上述した基本形態に対し「上記コア層の上記浮上面寄りの先端部に、この浮上面に露出しこの浮上面から照射光を出射する、上記一面寄りの光伝搬層と、この先端部のうちのこの光伝搬層を除く、このコア層の両面のうちの上記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を上記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有する」応用形態は好適である。照射光を出射する光伝搬層を主磁極が形成された一面側とすることによって、反対側とした場合に比べ、主磁極が斜めに延びる部分の傾斜を緩やかにすることができる。
【0043】
[変形例]
上述した第1実施形態では、トラック方向Tで、再生素子11、主磁極121、光伝搬層134、および光シールド136が順に配置された磁気ヘッド100の構成を説明したが、上述した基本形態における磁気ヘッドは、別の順で配置されたものであってよい。次に、第1実施形態に対し配置順序が異なる変形例を説明する。これらの変形例は、図2に示した磁気ヘッド100の主要部構造と共通の構造を有している。したがって、実施形態における各要素と同一の要素には符号を省略するか同一の符号を付けて示し、第1実施形態との相違点について説明する。
【0044】
図5および図6のそれぞれは、図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる変形例を示す断面図である。
【0045】
図5に示す磁気ヘッド200は、トラック方向Tで、再生素子21、光シールド236、光伝搬層234、および主磁極221が順に配置されている。磁気ヘッド200は、面内記録型磁気ヘッドであり、主磁極221のリーディング側すなわちトラック方向Tにおける上流側の位置で磁気ディスク2への記録が行われる。光伝搬層234は、主磁極221のリーディング側に配置されており、磁気ディスク2上の記録が行われる領域に熱スポットが生じる。
【0046】
図6に示す磁気ヘッド300は、光シールド336と副磁極322とが別の部材で構成されている。磁気ヘッド300は、単磁極型の垂直磁気記録型磁気ヘッドであり、トラック方向Tで、再生素子31、副磁極322、主磁極321、光伝搬層334、および光シールド336が順に配置されている。光シールド336は、磁極として機能せず、光を遮蔽する部材である。したがって、光シールド336は、使用する光の波長における複素屈折率(n*=n−jk)の消衰係数(k)に有意な値を持つ材料であれば、材料磁性材料に限らず非磁性材料で形成することが可能である。磁気ヘッド300における光シールド336の材料としては、例えば、Si(n*=4.22−1.46j)、Ge(n*=4.89−1.46j)、Ta(n*=1.35−2.6j)、Cu(n*=0.14−3.67j)、Au(n*=0.10−3.81j)、Al(n*=1.35−7.09j)といった非磁性材料や、Fe(n*=3.31−3.75j)、Co(n*=2.28−4.17j)、Nd(n*=0.34−1.34j)や、これらの合金といった磁性材料が採用可能である。
【0047】
[第2実施形態]
上述した実施形態では、クロストラック方向Cにおける主磁極の両側に延びた放熱部を高屈折率の材料で形成することにより屈折率分布を調整する例を説明した。次に、放熱部を低屈折率の材料で形成可能な、磁気ヘッドの具体的な第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0048】
図7は、磁気ヘッドの具体的な第2実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【0049】
図7に示す磁気ヘッド400は、図2〜4に示す第1実施形態の磁気ヘッド100に対し、光伝搬層434と主磁極421とは近接しているが接しておらず、光伝搬層434と主磁極421との間に屈折率補正層437を備えた点が異なる。屈折率補正層437は、高屈折率の非磁性材料で形成された、クロストラック方向Cにおける長さが主磁極421よりも長い層である。屈折率補正層437の材料としては、例えばSiやGe(=60 W/(m・K),n*=4.89−1.46j)が採用可能である。
【0050】
磁気ヘッド400によれば、屈折率補正層437によって、放熱部425の材料に拘わらず、クロストラック方向Cに見た屈折率の分布が均等化される。したがって、光伝搬層134で伝搬される光の損失が抑えられる。第2実施形態の磁気ヘッド400における放熱部425の材料は、高屈折率を有するSiに限られず、周囲の部材より熱伝導率は高いが屈折率の低いAl、Au、Cuおよびこれらの合金など広範囲の材料が採用可能である。これは、上述した基本形態に対し「上記主磁極と上記光伝搬層の間に、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態は好適であることを意味している。第2実施形態の屈折率補正層437は、この応用形態における屈折率補正部の一例に相当する。
【0051】
[第3実施形態]
次に、クロストラック方向における光伝搬層の両側に高屈折率の部材が配置された、磁気ヘッドの具体的な第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0052】
図8および図9は、磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を示す図である。図8は、磁気ヘッドを磁気ディスクの側から見た図であり、図9は光伝搬層を含みクロストラック方向に広がる断面を示す断面図である。
【0053】
図8および図9に示す磁気ヘッド500は、クロストラック方向Cにおける光伝搬層の両側に延びた屈折率補正部537を有する。屈折率補正部537は、テーパ形状の光伝搬層134の両側縁134aに沿って形成されている。屈折率補正部537は、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。屈折率補正部537の材料としては、例えば非磁性材料では、SiやGeなどが採用可能である。放熱性の点からは、Siがより好ましい。また磁性材料で主磁極と接しなければ、副磁極を兼ねた光シールド136と接続することで、磁路の一端にすることが可能である。あるいは、主磁極からの余分な磁界を低減するサイドシールとしても使用可能である。磁性材料では、Fe、Coや、これらの合金などが採用可能である。
【0054】
図8および図9に示す磁気ヘッド500によれば、光伝搬層134のトラック方向Tには、高屈折率の主磁極121が接するが、クロストラック方向Cの両側でも高屈折率の屈折率補正部537に接している。このため、浮上面Fにおける光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まり、光の損失が抑えられる。
【0055】
このことは、上述した基本形態に対し「上記主磁極と上記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ上記浮上面と平行にこの光伝搬層の両側に延びた、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態、および、「上記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
上記屈折率補正部は、テーパ形状の上記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものである」という応用形態が好適であることを意味する。
【0056】
[第4実施形態]
次に、光シールドが異なる屈折率の部分からなる、磁気ヘッドの具体的な第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0057】
図10は、磁気ヘッドの具体的な第4実施形態を示す図である。
【0058】
図10に示す磁気ヘッド500は、光シールド536のうち、光伝搬層134に隣接する部分Pが主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。また、この光シールド536は、副磁極としても機能している。
【0059】
光シールド536は、より詳細には、トラック方向Tにおける主磁極121寄りの低屈折率部536bと、反対寄りの高屈折率部536aとを有している。高屈折率部536aは、クロストラック方向Cにおける光伝搬層134の位置で光伝搬層134に向かって突出し、光伝搬層134に接した凸部Pを有している。凸部Pのクロストラック方向Cにおける幅は主磁極121と略同じ幅に形成されている。低屈折率部536bは、クロストラック方向Cにおける凸部Pの両側に延びた帯状である。高屈折率部536aの材料としては、主磁極121と同じFeまたはCoや、FeCoといった合金材料が採用可能である。また、低屈折率部536bの材料としては、AuやCuが採用可能である。
【0060】
磁気ヘッド500は、トラック方向Tにおける光伝搬層134の両側それぞれに、ともに高い屈折率を有する、主磁極121および高屈折率部536aが接しており、クロストラック方向Cにおける高屈折率部536aの両側には、低い屈折率を有する低屈折率部536bが配置されている。これによって、放熱部525の材料として低屈折率の材料が採用された場合にも、光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まる。すなわち、屈折率分布のピークが、クロストラック方向Cにおける幅が有限な主磁極121の1箇所に集中することが避けられる。したがって、光の損失が抑えられる。
【0061】
[第5実施形態]
次に、上述した第4実施形態とは光シールドの形が異なる、磁気ヘッドの具体的な第5実施形態について説明する。以下の第5実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0062】
図11は、磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【0063】
図11に示す磁気ヘッド600は、図10に示す磁気ヘッド500と同様に、光シールド636のうち、光伝搬層134に隣接する部分Pが主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。また、この光シールド636は、副磁極としても機能している。ただし、光シールド636の高屈折率部636bは、光伝搬層134に接した部分に限られており、残りは、低屈折率部636aで占められている。したがって、高屈折率部636bは、光伝搬層134に隣接する部分を除いて低屈折率部636aに取り囲まれている。
【0064】
磁気ヘッド600は、磁気ヘッド500と同様に、トラック方向Tにおける光伝搬層134の両側それぞれに、ともに高い屈折率を有する、主磁極121および高屈折率部636bが接しており、クロストラック方向Cにおける高屈折率部636bの両側には、低い屈折率を有する低屈折率部636aが配置されている。これによって、放熱部625の材料として低屈折率の材料が採用された場合にも、光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まり、光の損失が抑えられる。
【0065】
このことは、遮光部を備えた応用形態に対し「上記遮光部が、上記光伝搬層に隣接した、上記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えた」応用形態が好適であることを意味する。ここで、第4実施形態における高屈折率部536a、および第5実施形態における高屈折率部636bのそれぞれがこの応用形態の隣接部の一例に相当する。
【0066】
[第6実施形態]
次に、光伝搬層の代わりにプラズモン発生素子を備えた磁気ヘッドの具体的な第6実施形態について説明する。以下の第6実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0067】
図12は、磁気ヘッドの具体的な第6実施形態を示す図である。
【0068】
図12に示す磁気ヘッド700は、光伝搬層の代わりにプラズモン発生素子734が備えられている。プラズモン発生素子734は、プラズモン効果を生じさせやすい金属材料、例えばCu/Ta2O5で形成されており、今まで説明した光伝搬層と同様に、浮上面Fに近づくに従い細幅となるテーパ形状を有している。また、磁気ヘッド700では、主磁極121への光の吸収に伴う熱を逃がすための放熱部725が必要とされるが、この放熱部725は、高屈折率材料で形成された屈折率補正部を兼ねていることが好ましい。この場合、放熱部725の材料としては、熱伝導率が高い非磁性材料である、例えば、単原子材料の例では、Au、Cu等が採用可能である。
【0069】
なお、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における記憶媒体の一例として磁気ディスクが示されているが、この記録媒体は、磁気ディスク以外にも光磁気ディスクであってもよい。また各実施例は、組み合わせが可能である。
【0070】
以下、上述した基本形態および応用形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ヘッド。
【0072】
(付記2)
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0073】
(付記3)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1または2記載の磁気ヘッド。
【0074】
(付記4)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする付記3記載の磁気ヘッド。
【0075】
(付記5)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延びた、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1から4いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0076】
(付記6)
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする付記5記載の磁気ヘッド。
【0077】
(付記7)
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1から6いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0078】
(付記8)
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする付記1から7いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0079】
(付記9)
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする付記8記載の磁気ヘッド。
【0080】
(付記10)
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する前記記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
前記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【0081】
(付記11)
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする付記10記載の磁気ディスク装置。
【0082】
(付記12)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10または11記載の磁気ディスク装置。
【0083】
(付記13)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする付記10記載の磁気ディスク装置。
【0084】
(付記14)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10から13いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0085】
(付記15)
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする付記14記載の磁気ディスク装置。
【0086】
(付記16)
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10から15いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0087】
(付記17)
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする付記10から16いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0088】
(付記18)
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする付記17記載の磁気ディスク装置。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した図である。
【図2】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した透視図である。
【図3】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した断面図である。
【図4】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図5】図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる変形例を表した断面図である。
【図6】図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる別の変形例を表した断面図である。
【図7】磁気ヘッドの具体的な第2実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図8】磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図9】磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を示す断面図である。
【図10】磁気ヘッドの具体的な第4実施形態を示す図である。
【図11】磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【図12】磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 磁気ディスク装置
2 磁気ディスク(記憶媒体)
100,200,300,400,500,600,700 磁気ヘッド
11,21,31 再生素子
12 記録素子
121,221,321,421 主磁極
125,425,525,725 放熱部
13 光導波路
131 コア層
132 クラッド層
134,234,334,434 光伝搬層
135 光偏向層
136,236,336,536,636 光シールド(遮光層、副磁極)
536a,636a 高屈折率部(隣接部)
E 主磁極面(一面)
F 浮上面
T トラック方向
C クロストラック方法
【技術分野】
【0001】
本件は、磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置(HDD)に代表される磁気ディスク装置では、記録密度の向上のため、記憶媒体における磁性層の結晶粒の微細構造化が、熱揺らぎが問題となるほどに進んでいる。この熱揺らぎを低減するには、磁性層に保磁力の高い元素の添加が適しているが、保磁力が高いほど、磁気ヘッドによる磁界では書き込めなくなりつつある。そこで記憶媒体上に微小な熱スポットを形成して急加熱し、熱によって一時的に保磁力を下げて磁界で記録し、急冷することで保磁力を回復させて記録する熱アシスト記録方式が提案されている。この熱スポットは、磁気ヘッドから光スポットを記憶媒体に照射し、記憶媒体で吸収させることで発生させる。高密度記録のためには、磁界の及ぶ範囲と熱スポットの範囲が小さいものに限られることから、熱スポットを、磁極の近傍に形成することが求められている。これに対し、光が伝搬する導波路を組み込んだ構造のヘッドが提案されている。
【0003】
例えば、光ヘッドにおいて、基板の上に、光が伝搬するコアと、コアを挟んだクラッドからなる光導波路が積層された構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この光ヘッドでは、基板上に設けられた光導波路の先端に、光スポットを発生させる開口部を備えた第1の多層膜が形成されており、その上に、コア内を伝搬してきた光を多層膜側に偏向する第2の多層膜や反射ミラーが設けられている。この構造では、コア内を伝搬してきた光が第2の多層膜で基板上の第1の多層膜側に大きく偏向され開口部から照射される。
【0004】
また、磁気ヘッドの上にコアを直接配置し、コアの先端には、光を照射する開口部を備えた第1の多層膜と、コアを伝搬してきた光を第1の多層膜に偏向する第2の多層膜が配置された構造が知られている(例えば、特許文献2参照。)。コアの先端面は第1の多層膜と第2の多層膜の双方に接している。
【0005】
また、磁極のコア側に、特殊な金属の層を設けることによって、金属表面で発生するプラズモン効果を利用して光を導き、コアのサイズよりも小さな光スポットを発生させる構造が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2006−331508号公報
【特許文献2】特開2006−73105号公報
【特許文献3】特開2007−164936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コアとクラッドとからなる光導波路で伝導された光を基板上の第1の多層膜側に大きく偏向させる光ヘッドは、コア中心の高さから基板近傍の高さまで、すなわちコアの厚さの半分にクラッドの厚さを加えた高さに渡って光を偏向させる必要がある。このための製造が難しく、光スポットを磁極に近接させることが容易でない。
【0007】
また、磁気ヘッドの上にコアを直接配置した構造では、光が磁気ヘッドの金属部分に吸収される問題がある。例えば、磁気ヘッドの主磁極に使用される磁性材料は、光学的にはn=2を超える高い屈折率を有することが一般的である。さらに、可視光領域における屈折率は、一般に波長が長いほど高くなる。相対的に短い波長の青紫レーザが使用される場合、主磁極材料の屈折率は光導波路で使用される材料の屈折率と比べ同程度かまたはそれより低い。しかし、製造が容易な発光素子で出力できる赤色レーザが使用される場合、主磁極材料の屈折率が光導波路材料の屈折率を上回るため、光が磁極側に偏向され、光の一部が磁極に吸収される。コアと磁極の接触距離が長いと、光の損失が増大する。さらに、磁極に吸収された光は熱となり磁極の温度を上昇させる。主磁極は記録トラックに合わせた微小構造の部材であるため、熱の伝導が妨げられ温度が上昇しやすい。磁極の温度上昇によって磁力の発生効率が低下する。
【0008】
また、プラズモン効果を用いる構成では、光を導くのが透明材料ではなく金属であるため、金属による光の吸収が避けられない。また、吸収された光によって金属と磁極の双方が加熱され、磁力の発生効率が低下する。
【0009】
上記事情に鑑み、本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の課題は、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置とを近接させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件開示の磁気ヘッドの基本形態は、層構造を有し、この層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、この記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し上記浮上面に向かって延びてこのコア層の両面のうちの一面寄りの、このコア層の厚み方向の一部分がこの浮上面に露出し、上記記憶媒体に照射する照射光を伝搬してこの浮上面から出射する光導波路と、
上記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて上記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、上記コア層の上記一面側に形成されてこのコア層とは離間しこのコア層と平行に上記浮上面に向かって延び、上記浮上面寄りの部分でこのコア層に近づきながらこの浮上面に向かって斜めに延び、この浮上面近傍がこのコア層に接触又は近接してこの浮上面に露出する主磁極とを有する。
【0011】
また、本件開示の磁気ディスク装置の基本形態は、
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、この層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する上記記憶媒体に向けて浮上し、この記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
上記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し上記浮上面に向かって延びてこのコア層の両面のうちの一面寄りの、このコア層の厚み方向の一部分がこの浮上面に露出し、上記記憶媒体に照射する照射光を伝搬してこの浮上面から出射する光導波路と、
上記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて上記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、上記コア層の上記一面側に形成されてこのコア層とは離間しこのコア層と平行に上記浮上面に向かって延び、上記浮上面寄りの部分でこのコア層に近づきながらこの浮上面に向かって斜めに延び、この浮上面近傍がこのコア層に接触又は近接してこの浮上面に露出する主磁極とを有する。
【0012】
これらの基本形態によれば、主磁極は、コア層に沿って浮上面に向かって延びるが、浮上面近傍までコア層に接触又は近接しない。このため、主磁極がコア層より高屈折率の磁性材料で形成されていても、浮上面近傍までは、コア層の照射光が主磁極に吸収されない。したがって、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置とが近接可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の上記基本形態によれば、伝搬中の照射光が主磁極に吸収されるのを抑えつつ、主磁極と光の照射位置を近接配置させことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本件開示の磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置の具体的な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した図である。
【0016】
図1に示す磁気ディスク装置1には、図に垂直な方向を回転軸とする回転駆動力を発生するロータリアクチュエータ6が設けられている。このロータリアクチュエータ6は、サスペンションアーム5を支持している。サスペンションアーム5は、ロータリアクチュエータ6の回転駆動力を受けて回動する。サスペンションアーム5の先端には、支持具としてのジンバル4を介して磁気ヘッド100が取り付けられている。磁気ヘッド100は、詳細には、ジンバル4に取り付けられた磁気ヘッドスライダの先端に形成されており、磁気ディスク2上に磁気ヘッドスライダと一体となって浮上する。磁気ヘッド100は、磁気ディスク2からの情報の読み取りや磁気ディスク2への情報の書き込みを行う。
【0017】
情報の読み取りや書き込みの際には、ロータリアクチュエータ6によりサスペンションアーム5が回転駆動されることで、磁気ヘッド100が磁気ディスク2上の目標位置に移動し、磁気ディスク2からの情報の読み取りや磁気ディスク2への情報の書き込みを行う。円盤状の磁気ディスク2の表面には、同心円状に多数のトラック7が設けられており、各トラック7には、情報を記憶する記憶領域がある。この記憶領域に並んだ磁化の向きにより情報が表される。この磁気ディスク2は、円盤の中心を回転中心として図の面内を回転し、磁気ディスク2表面近くに配置された磁気ヘッド100は、回転する磁気ディスク2の記憶領域に順次近接する。
【0018】
情報の記録時には、磁気ディスク2に近接した磁気ヘッド100に電気的な記録信号と光が入力され、磁気ヘッド100は、入力された記録信号に応じて磁界と光を印加して、その記録信号に担持された情報をそれらの記憶領域の磁化方向の形式で記録する。また、情報の再生時には、磁気ヘッド100は、各記憶領域において磁化方向の形式で記録された情報を、磁化それぞれから発生する磁界に応じて電気的な再生信号を生成することにより取り出す。ここで、磁気ディスク2は、上述した基本形態における記憶媒体の一例に相当する。
【0019】
[第1実施形態]
図2、図3および図4は、磁気ヘッドの具体的な第1実施形態を示す図である。図2は磁気ヘッド内部の主要部の構造を斜めから示した透視図であり、図3は断面図であり、図4は磁気ディスクの側から見た図である。
【0020】
図2〜図4に示す磁気ヘッド100は層構造を有しており、層構造の一端面からなる浮上面F(図3参照)を磁気ディスク2に向けて浮上する。磁気ディスク2のトラックは、トラック方向Tとして示す矢印の向きに移動する。すなわち、磁気ヘッド100はトラック上を、トラック方向Tの矢印とは反対方向に相対移動することとなる。トラック方向Tと交わる方向をクロストラック方向Cとする。磁気ヘッド100は、トラック方向Tに積層された層構造を有しており、以降、各層の厚み方向をトラック方向Tとも称し、幅方向をクロストラック方向Cとも称する。
【0021】
磁気ヘッド100は、再生素子11、記録素子12、および光導波路13を備えている。なお図2では再生素子11の図示を省略している。
【0022】
再生素子11は、磁界を検知し磁界に応じた再生信号を出力する。再生素子11は例えばGMR(巨大磁気抵抗)素子である。再生素子11は、一対の磁気シールド14で挟まれており、さらに別の磁気シールド15によって記録素子12から隔てられている。
【0023】
光導波路13は、コア層131およびコア層131を挟んだクラッド層132を有している。光導波路13は、浮上面Fに向かって延びており、図示しない発光装置から出射されてくるレーザ光を浮上面Fに伝播させる。図2では、構造を見やすくするためクラッド層132の図示を省略し、図3では、クラッド層132にハッチングを施している。磁気ヘッド100では、例えば660nmの波長を有する赤色レーザ光が使用される。コア層131およびクラッド層132は、使用されるレーザ光の波長に対し、n*=n−jkで表される複素屈折率の消衰係数(k)に有意な値を持たず(k≒0)、即ち透明であり、かつ非磁性の材料で形成されている。コア層131の材料としては、例えばTa2O5(n=2.11)やTiO2(n=2.29)に代表される、クラッド層132の材料より高い屈折率を有する材料が採用可能である。また、クラッド層132の材料としては、例えばSiO2(n=1.46)やAl2O3(n=1.77)に代表される、コア層131の材料より低い屈折率を有する材料が採用可能である。
【0024】
また、光導波路13には、浮上面F寄りの先端に光ヘッド133が備えられている。光ヘッド133は、浮上面Fから照射光を出射する光伝搬層134と、伝搬されてきた照射光を光伝搬層134に向けて偏向する光偏向層135を有している。
【0025】
光伝搬層134は、コア層131の両面のうちの一面である主磁極面E寄りの、コア層131の厚み方向の一部分が浮上面Fに露出した部分である。また、光偏向層135は、コア層131から光伝搬層134を除いた部分であり、コア層131の主磁極面Eとは反対側の一面寄りの部分である。光偏向層135は複層構造を有しており、各層間の屈折率差を利用して光伝搬層134に向けて光を偏向する。光偏向層135の浮上面F側は光シールド136によって覆われている。光偏向層135は、各層間の屈折率差、光偏向層135自身の長さおよび厚さが調整されることによって、光伝搬層134から出射される光における結合効率の高い入射角や入射位置を制御する。光偏向層135の各層は、光伝搬層134に近い側の層が相対的に高い屈折率を有する材料で形成され、光伝搬層134から遠い側の層が相対的に低い屈折率の材料で形成されている。例えば、光伝搬層134に近い側の層の材料として、例えばコアと同じTa2O5が採用可能である。また、光伝搬層134から遠い側の層の材料として、例えばSiO2が採用可能である。
【0026】
なお、コア層131の厚さが使用される光の波長程度に薄い場合、光偏向層135には、上述した複層構造以外に、Ta2O5の単層構造が採用可能である。単層構造の場合、光偏向層135はコア層131と同時に作製することができる。
【0027】
光伝搬層134は、使用する光の波長の10分の1程度であるサブ波長以下の厚さの多層構造を有しており、また、浮上面Fに近づくに従いクロストラック方向Cにおいて細幅となるテーパ形状を有している。各層のうち、外側の層は、複素屈折率(n*=n−jk)における消衰係数(k)に有意な値を持つ材料で形成されている。外側の層の材料としては、例えばSiやGeなどの比誘電率(ε)が高い誘電体や、Al、Au、Cuなど比誘電率(ε)が低い金属が採用可能である。また、各層のうち、内側の層の少なくとも1層は、複素屈折率における吸収係数(k)に有意な値を持たない、すなわち使用する光の波長にとって透明な材料で形成されている。内側の層の材料としては、例えばTa2O5やTiO2といった材料が採用される。多層構造によって、光伝搬層134を伝搬する光が透明な内側の層内に閉じ込められるとともに、主磁極121への光の染み出しも低減される。
【0028】
光シールド136は、光偏向層135で光伝搬層134に偏向しきれなかった光が、浮上面Fから出射されて磁気ディスク2の目的外の場所が加熱されてしまうことを防止する。光シールド136は、光偏向層135の浮上面F側を覆い、浮上面Fに沿って広がった形状を有する。この光シールド136は、本実施形態では副磁極としても機能するが、副磁極としての機能については後述する。
【0029】
記録素子12は、磁力を導いて磁気ディスク2に作用させる層形状の主磁極121、副磁極として機能する光シールド136と主磁極121との間を接続する接続部123、記録用の磁界を発生する薄膜コイル124、および放熱部125を備えている。主磁極121と、副磁極として機能する光シールド136と、接続部123とは、磁気記録時に発生する磁束の磁路の一部を構成する。薄膜コイル124は、この磁路と鎖交するように配置されている。磁気ヘッド100は、垂直磁気記録型の磁気ヘッドであり、主磁極121のトレーリング側すなわちトラック方向Tにおける下流側の位置で磁気ディスク2への記録が行われる。
【0030】
主磁極121は、コア層131の主磁極面E側に形成されており、光伝搬層134とはトラック方向Tに並んで配置されている。以降、主磁極121と光伝搬層134が並んだ方向をトラック方向Tとも称し、主磁極121と光伝搬層134が並んだ方向に交わる方向をクロストラック方向Cとも称する。主磁極121は、コア層131とは離間しコア層131と平行に浮上面Fに向かって延び、浮上面F寄りの部分でコア層131に近づきながら浮上面Fに向かって斜めに延び、浮上面F近傍がコア層131に接触して浮上面Fに露出している。主磁極121の、コア層131とは離間しコア層131と平行に延びた部分、斜めに延びた部分、およびコア層131に接触した部分を、それぞれ平行部121a、斜行部121b、および接触部121cと称する。平行部121aおよび斜行部121bは、コア層131との間にクラッド層132を挟んで配置されている。平行部121aは、浮上面Fに向かって延びる主磁極121の大半を占めている。
【0031】
主磁極121は、高い飽和磁化材料で形成されている。主磁極121の材料としては、Fe、Coといった単原子材料や、FeCoといった合金材料が採用可能である。主磁極121は単層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。主磁極121に採用される、高い飽和磁化となる磁性材料は、実効的な屈折率がn>2のものが一般的であり、光導波路で用いるコア層131の屈折率に対し同等またはそれ以上の屈折率を有する。
【0032】
ここで、仮に、主磁極121がコア層131と接触しながら、浮上面Fまで一直線上に延びた構造であるとした場合、コア層131を伝搬される光は、コア層131より高い屈折率を有する主磁極121の側に偏向され、主磁極121に吸収される。この結果、浮上面Fから磁気ディスクに向けて照射される光が減衰するだけでなく、吸収された光によって主磁極が加熱するため磁力も低減する。
【0033】
これに対し、本実施形態の主磁極121は、浮上面Fに露出する接触部121cでのみコア層131と接触している。主磁極121は、平行部121aおよび斜行部121bのいずれもコア層131と接触しておらず、コア層131との間にクラッド層132を挟んで配置されている。このため、光の減衰が抑えられる。また、主磁極121の加熱による磁力の低下も抑えられる。また、主磁極121は、浮上面Fに露出する接触部121cでコア層131の光伝搬層134に隣接しており、出射光による光スポットは、主磁極121からの磁界の及ぶ範囲と、記録に十分な程度に重なることとなる。
【0034】
本実施形態における光シールド136は副磁極としても機能し、主磁極121から出て磁気ディスク2内を通過した磁束が戻る経路を形成する。薄膜コイル124に記録のための電流が流れると、薄膜コイル124を取り囲んだ主磁極121、磁気ディスク2、副磁極として機能する光シールド136、および接続部123に磁路が形成される。主磁極121から磁気ディスク2に向かう磁界の垂直成分によって情報が記録される。ここで、上述した基本形態に対し、「光偏向層の上記浮上面側先端を覆った、上記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、上記遮光部が、磁性材料で形成された、上記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものである」という応用形態が好適である。光偏向層は、光伝搬層を挟んで主磁極の反対側に配置されており、光偏向層の浮上面側を覆った遮光部が副磁極を兼ねることにより、主磁極と副磁極が光伝搬層を挟んで、記憶媒体内の磁路形成に適切な距離に配置される。また、磁気ヘッドの形成工程が簡略化される。光シールド136は、上記応用形態における遮光部の一例に相当する。光シールド136は、使用波長に対して複素屈折率(n*=n−jk)の消衰係数(k)に有意な値を持つ材料で形成されることが望ましく、また、本実施形態では磁性材料で形成されることが望ましい。光シールド136の材料としては、例えば、Fe(n*=3.31−3.75j)、Co(n*=2.28−4.17j)、Nd(n*=0.34−1.34j)等や、これらの合金が採用可能である。
【0035】
放熱部125は、主磁極121で生じた熱を周辺に放熱するための部材である。放熱部125は、クロストラック方向Cであってかつ浮上面Fと平行に主磁極121先端部の両側に延びており、詳細には、主磁極121のうち、光伝搬層134に接した接触部121cの両側に延びている。より詳細には、放熱部125はクロストラック方向Cに延びた柱状であり、中央部分に接触部121cが埋没した構造を有している。接触部121cは、光伝搬層134に接触しており、光伝搬層134で伝搬される光の一部が吸収される。光の吸収で生じる熱は放熱部125によって接触部121cの外部に放熱されるため、主磁極121の温度上昇に起因する磁力の低下が抑えられる。放熱部125は、周囲よりも高い熱伝導率を有する非磁性材料で形成されている。放熱部125の材料としては、例えば、Al(=237 W/(m・K))、Au(=317 W/(m・K))、Cu(=401 W/(m・K))やこれらの合金、およびSi(=148 W/(m・K))等が採用可能である。
【0036】
図2〜4に示す磁気ヘッド100は、公知の手法によって基板に対し各材料の積層および選択的エッチングを繰返すことによって作成される。主磁極121の斜行部121bは、浮上面Fに向かって斜めに延びた形状を有している。この部分は、主磁極121の下層のうち、斜行部121bが形成される領域以外の領域をレジスト膜等で覆い、例えばイオンミリング法またはFIB(Focused Ion Beam)で下層を斜めに削った後、レジスト膜を除去して磁性材料を積層することで形成される。
【0037】
放熱部125は、周囲よりも高い熱伝導率を有する非磁性材料で形成されるが、さらに、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成することが、屈折率分布の点からより好ましい。このような材料としては、例えば、Si(=148 W/(m・K))等が採用可能である。
【0038】
ここで、屈折率分布について説明する。光伝搬層134には主磁極121が浮上面F近傍で隣接している。主磁極121は磁性材料で形成されており、光伝搬層134に比べ高い屈折率を有している。ここで、仮に、放熱部125の材料として、光伝搬層134に比べ低い屈折率の材料を採用すると、主磁極121を中心にクロストラック方向Cとトラック方向Tの屈折率の分布を見た場合、主磁極121の位置で屈折率が高い不均等な分布となる。この屈折率の分布内に光伝搬層134が主磁極121と隣接していることにより、光伝搬層134の同じ層内で主磁極121に近い部分の実効屈折率が高く、他の部分が低い不均等な分布を生じる。光伝搬層134は、トラック方向Tに積層された層構造によって光を内部に閉じ込め伝搬するが、内部の実効的な屈折率の分布が不均等になると、光伝搬層134で伝搬される光が屈折率のピークに対応する主磁極121の中心に向かって、積層方向に対し斜めに偏向する傾向が高まるため、層構造による光の伝搬制御が妨げられる。
【0039】
本実施形態の磁気ヘッド100では、放熱部125が、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成されることによって、トラック方向Tにおける主磁極121の位置でクロストラック方向Cに屈折率を見た屈折率の分布が均一化する。したがって、光伝搬層134で伝搬される光の損失が抑えられる。
【0040】
このことは、上述した基本形態に対し、「上記主磁極と上記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行にこの主磁極先端部の両側に延びた、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態が好ましいことを意味する。ここで、第1実施形態の放熱部125が、上記応用形態の屈折率補正部の一例に相当する。
【0041】
また、上述した基本形態に対し「屈折率補正部が、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を兼ねたものである」応用形態は好適である。屈折率補正部が放熱部を兼ねる場合、主磁極の両側に延びた屈折率補正部の構造によって、主磁極の熱が両側に効率よく放熱され、磁力の低下が抑えられる。
【0042】
また、上述した基本形態に対し「上記コア層の上記浮上面寄りの先端部に、この浮上面に露出しこの浮上面から照射光を出射する、上記一面寄りの光伝搬層と、この先端部のうちのこの光伝搬層を除く、このコア層の両面のうちの上記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を上記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有する」応用形態は好適である。照射光を出射する光伝搬層を主磁極が形成された一面側とすることによって、反対側とした場合に比べ、主磁極が斜めに延びる部分の傾斜を緩やかにすることができる。
【0043】
[変形例]
上述した第1実施形態では、トラック方向Tで、再生素子11、主磁極121、光伝搬層134、および光シールド136が順に配置された磁気ヘッド100の構成を説明したが、上述した基本形態における磁気ヘッドは、別の順で配置されたものであってよい。次に、第1実施形態に対し配置順序が異なる変形例を説明する。これらの変形例は、図2に示した磁気ヘッド100の主要部構造と共通の構造を有している。したがって、実施形態における各要素と同一の要素には符号を省略するか同一の符号を付けて示し、第1実施形態との相違点について説明する。
【0044】
図5および図6のそれぞれは、図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる変形例を示す断面図である。
【0045】
図5に示す磁気ヘッド200は、トラック方向Tで、再生素子21、光シールド236、光伝搬層234、および主磁極221が順に配置されている。磁気ヘッド200は、面内記録型磁気ヘッドであり、主磁極221のリーディング側すなわちトラック方向Tにおける上流側の位置で磁気ディスク2への記録が行われる。光伝搬層234は、主磁極221のリーディング側に配置されており、磁気ディスク2上の記録が行われる領域に熱スポットが生じる。
【0046】
図6に示す磁気ヘッド300は、光シールド336と副磁極322とが別の部材で構成されている。磁気ヘッド300は、単磁極型の垂直磁気記録型磁気ヘッドであり、トラック方向Tで、再生素子31、副磁極322、主磁極321、光伝搬層334、および光シールド336が順に配置されている。光シールド336は、磁極として機能せず、光を遮蔽する部材である。したがって、光シールド336は、使用する光の波長における複素屈折率(n*=n−jk)の消衰係数(k)に有意な値を持つ材料であれば、材料磁性材料に限らず非磁性材料で形成することが可能である。磁気ヘッド300における光シールド336の材料としては、例えば、Si(n*=4.22−1.46j)、Ge(n*=4.89−1.46j)、Ta(n*=1.35−2.6j)、Cu(n*=0.14−3.67j)、Au(n*=0.10−3.81j)、Al(n*=1.35−7.09j)といった非磁性材料や、Fe(n*=3.31−3.75j)、Co(n*=2.28−4.17j)、Nd(n*=0.34−1.34j)や、これらの合金といった磁性材料が採用可能である。
【0047】
[第2実施形態]
上述した実施形態では、クロストラック方向Cにおける主磁極の両側に延びた放熱部を高屈折率の材料で形成することにより屈折率分布を調整する例を説明した。次に、放熱部を低屈折率の材料で形成可能な、磁気ヘッドの具体的な第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0048】
図7は、磁気ヘッドの具体的な第2実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【0049】
図7に示す磁気ヘッド400は、図2〜4に示す第1実施形態の磁気ヘッド100に対し、光伝搬層434と主磁極421とは近接しているが接しておらず、光伝搬層434と主磁極421との間に屈折率補正層437を備えた点が異なる。屈折率補正層437は、高屈折率の非磁性材料で形成された、クロストラック方向Cにおける長さが主磁極421よりも長い層である。屈折率補正層437の材料としては、例えばSiやGe(=60 W/(m・K),n*=4.89−1.46j)が採用可能である。
【0050】
磁気ヘッド400によれば、屈折率補正層437によって、放熱部425の材料に拘わらず、クロストラック方向Cに見た屈折率の分布が均等化される。したがって、光伝搬層134で伝搬される光の損失が抑えられる。第2実施形態の磁気ヘッド400における放熱部425の材料は、高屈折率を有するSiに限られず、周囲の部材より熱伝導率は高いが屈折率の低いAl、Au、Cuおよびこれらの合金など広範囲の材料が採用可能である。これは、上述した基本形態に対し「上記主磁極と上記光伝搬層の間に、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態は好適であることを意味している。第2実施形態の屈折率補正層437は、この応用形態における屈折率補正部の一例に相当する。
【0051】
[第3実施形態]
次に、クロストラック方向における光伝搬層の両側に高屈折率の部材が配置された、磁気ヘッドの具体的な第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0052】
図8および図9は、磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を示す図である。図8は、磁気ヘッドを磁気ディスクの側から見た図であり、図9は光伝搬層を含みクロストラック方向に広がる断面を示す断面図である。
【0053】
図8および図9に示す磁気ヘッド500は、クロストラック方向Cにおける光伝搬層の両側に延びた屈折率補正部537を有する。屈折率補正部537は、テーパ形状の光伝搬層134の両側縁134aに沿って形成されている。屈折率補正部537は、主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。屈折率補正部537の材料としては、例えば非磁性材料では、SiやGeなどが採用可能である。放熱性の点からは、Siがより好ましい。また磁性材料で主磁極と接しなければ、副磁極を兼ねた光シールド136と接続することで、磁路の一端にすることが可能である。あるいは、主磁極からの余分な磁界を低減するサイドシールとしても使用可能である。磁性材料では、Fe、Coや、これらの合金などが採用可能である。
【0054】
図8および図9に示す磁気ヘッド500によれば、光伝搬層134のトラック方向Tには、高屈折率の主磁極121が接するが、クロストラック方向Cの両側でも高屈折率の屈折率補正部537に接している。このため、浮上面Fにおける光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まり、光の損失が抑えられる。
【0055】
このことは、上述した基本形態に対し「上記主磁極と上記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ上記浮上面と平行にこの光伝搬層の両側に延びた、この主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えた」応用形態、および、「上記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
上記屈折率補正部は、テーパ形状の上記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものである」という応用形態が好適であることを意味する。
【0056】
[第4実施形態]
次に、光シールドが異なる屈折率の部分からなる、磁気ヘッドの具体的な第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0057】
図10は、磁気ヘッドの具体的な第4実施形態を示す図である。
【0058】
図10に示す磁気ヘッド500は、光シールド536のうち、光伝搬層134に隣接する部分Pが主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。また、この光シールド536は、副磁極としても機能している。
【0059】
光シールド536は、より詳細には、トラック方向Tにおける主磁極121寄りの低屈折率部536bと、反対寄りの高屈折率部536aとを有している。高屈折率部536aは、クロストラック方向Cにおける光伝搬層134の位置で光伝搬層134に向かって突出し、光伝搬層134に接した凸部Pを有している。凸部Pのクロストラック方向Cにおける幅は主磁極121と略同じ幅に形成されている。低屈折率部536bは、クロストラック方向Cにおける凸部Pの両側に延びた帯状である。高屈折率部536aの材料としては、主磁極121と同じFeまたはCoや、FeCoといった合金材料が採用可能である。また、低屈折率部536bの材料としては、AuやCuが採用可能である。
【0060】
磁気ヘッド500は、トラック方向Tにおける光伝搬層134の両側それぞれに、ともに高い屈折率を有する、主磁極121および高屈折率部536aが接しており、クロストラック方向Cにおける高屈折率部536aの両側には、低い屈折率を有する低屈折率部536bが配置されている。これによって、放熱部525の材料として低屈折率の材料が採用された場合にも、光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まる。すなわち、屈折率分布のピークが、クロストラック方向Cにおける幅が有限な主磁極121の1箇所に集中することが避けられる。したがって、光の損失が抑えられる。
【0061】
[第5実施形態]
次に、上述した第4実施形態とは光シールドの形が異なる、磁気ヘッドの具体的な第5実施形態について説明する。以下の第5実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0062】
図11は、磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【0063】
図11に示す磁気ヘッド600は、図10に示す磁気ヘッド500と同様に、光シールド636のうち、光伝搬層134に隣接する部分Pが主磁極121の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成されている。また、この光シールド636は、副磁極としても機能している。ただし、光シールド636の高屈折率部636bは、光伝搬層134に接した部分に限られており、残りは、低屈折率部636aで占められている。したがって、高屈折率部636bは、光伝搬層134に隣接する部分を除いて低屈折率部636aに取り囲まれている。
【0064】
磁気ヘッド600は、磁気ヘッド500と同様に、トラック方向Tにおける光伝搬層134の両側それぞれに、ともに高い屈折率を有する、主磁極121および高屈折率部636bが接しており、クロストラック方向Cにおける高屈折率部636bの両側には、低い屈折率を有する低屈折率部636aが配置されている。これによって、放熱部625の材料として低屈折率の材料が採用された場合にも、光伝搬層134近傍の屈折率の分布の対称性が高まり、光の損失が抑えられる。
【0065】
このことは、遮光部を備えた応用形態に対し「上記遮光部が、上記光伝搬層に隣接した、上記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えた」応用形態が好適であることを意味する。ここで、第4実施形態における高屈折率部536a、および第5実施形態における高屈折率部636bのそれぞれがこの応用形態の隣接部の一例に相当する。
【0066】
[第6実施形態]
次に、光伝搬層の代わりにプラズモン発生素子を備えた磁気ヘッドの具体的な第6実施形態について説明する。以下の第6実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0067】
図12は、磁気ヘッドの具体的な第6実施形態を示す図である。
【0068】
図12に示す磁気ヘッド700は、光伝搬層の代わりにプラズモン発生素子734が備えられている。プラズモン発生素子734は、プラズモン効果を生じさせやすい金属材料、例えばCu/Ta2O5で形成されており、今まで説明した光伝搬層と同様に、浮上面Fに近づくに従い細幅となるテーパ形状を有している。また、磁気ヘッド700では、主磁極121への光の吸収に伴う熱を逃がすための放熱部725が必要とされるが、この放熱部725は、高屈折率材料で形成された屈折率補正部を兼ねていることが好ましい。この場合、放熱部725の材料としては、熱伝導率が高い非磁性材料である、例えば、単原子材料の例では、Au、Cu等が採用可能である。
【0069】
なお、具体的な各実施形態に対する上記説明では、「課題を解決するための手段」で説明した基本形態における記憶媒体の一例として磁気ディスクが示されているが、この記録媒体は、磁気ディスク以外にも光磁気ディスクであってもよい。また各実施例は、組み合わせが可能である。
【0070】
以下、上述した基本形態および応用形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ヘッド。
【0072】
(付記2)
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0073】
(付記3)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1または2記載の磁気ヘッド。
【0074】
(付記4)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする付記3記載の磁気ヘッド。
【0075】
(付記5)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延びた、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1から4いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0076】
(付記6)
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする付記5記載の磁気ヘッド。
【0077】
(付記7)
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記1から6いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0078】
(付記8)
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする付記1から7いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【0079】
(付記9)
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする付記8記載の磁気ヘッド。
【0080】
(付記10)
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する前記記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
前記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【0081】
(付記11)
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする付記10記載の磁気ディスク装置。
【0082】
(付記12)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10または11記載の磁気ディスク装置。
【0083】
(付記13)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする付記10記載の磁気ディスク装置。
【0084】
(付記14)
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10から13いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0085】
(付記15)
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする付記14記載の磁気ディスク装置。
【0086】
(付記16)
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする付記10から15いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0087】
(付記17)
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする付記10から16いずれか1項記載の磁気ディスク装置。
【0088】
(付記18)
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする付記17記載の磁気ディスク装置。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した図である。
【図2】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した透視図である。
【図3】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を表した断面図である。
【図4】磁気ディスク装置の具体的な実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図5】図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる変形例を表した断面図である。
【図6】図2〜図4に示す磁気ヘッドに対し各素子の配置が異なる別の変形例を表した断面図である。
【図7】磁気ヘッドの具体的な第2実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図8】磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を磁気ディスクの側から見た図である。
【図9】磁気ヘッドの具体的な第3実施形態を示す断面図である。
【図10】磁気ヘッドの具体的な第4実施形態を示す図である。
【図11】磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【図12】磁気ヘッドの具体的な第5実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 磁気ディスク装置
2 磁気ディスク(記憶媒体)
100,200,300,400,500,600,700 磁気ヘッド
11,21,31 再生素子
12 記録素子
121,221,321,421 主磁極
125,425,525,725 放熱部
13 光導波路
131 コア層
132 クラッド層
134,234,334,434 光伝搬層
135 光偏向層
136,236,336,536,636 光シールド(遮光層、副磁極)
536a,636a 高屈折率部(隣接部)
E 主磁極面(一面)
F 浮上面
T トラック方向
C クロストラック方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項2】
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする請求項3記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延びた、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する前記記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
前記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項1】
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドであって、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項2】
前記コア層の前記浮上面寄りの先端部に、該浮上面に露出し該浮上面から照射光を出射する、前記一面寄りの光伝搬層と、該先端部のうちの該光伝搬層を除く、該コア層の両面のうちの前記一面とは反対側の一面寄りの部分からなる、伝搬されてきた照射光を前記光伝搬層に向けて偏向する光偏向層とを有することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率を有する非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該主磁極先端部の両側に延び、周囲より高い熱伝導性を有する材料で形成された放熱部を備えたものであることを特徴とする請求項3記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記主磁極と前記光伝搬層とが並んだ向きとは交わる向きであってかつ前記浮上面と平行に該光伝搬層の両側に延びた、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
前記光伝搬層は、浮上面に近づくに従い細幅となるテーパ形状を有したものであり、
前記屈折率補正部は、テーパ形状の前記光伝搬層の両側縁に沿って形成されたものであることを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
前記主磁極と前記光伝搬層の間に、該主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の非磁性材料で形成された屈折率補正部を備えたことを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
前記光偏向層の前記浮上面側先端を覆った、前記照射光の透過を防ぐ遮光部を備え、
前記遮光部が、磁性材料で形成された、前記主磁極から出力された磁力が戻る副磁極を兼ねたものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
前記遮光部が、前記光伝搬層に隣接した、前記主磁極の材料の屈折率に比べ同等または高屈折率の材料で形成された隣接部を備えたことを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッド。
【請求項10】
情報が磁気的に記録される記憶媒体と、
層構造を有し、該層構造の一端面からなる浮上面を、相対移動する前記記憶媒体に向けて浮上し、該記憶媒体に情報を磁気的に記録する磁気ヘッドとを備え、
前記磁気ヘッドが、
コア層とクラッド層と有し前記浮上面に向かって延びて該コア層の両面のうちの一面寄りの、該コア層の厚み方向の一部分が該浮上面に露出し、前記記憶媒体に照射する照射光を伝搬して該浮上面から出射する光導波路と、
前記記憶媒体に情報を記録するための磁力を導いて前記記憶媒体に作用させる、層形状の主磁極であって、前記コア層の前記一面側に形成されて該コア層とは離間し該コア層と平行に前記浮上面に向かって延び、前記浮上面寄りの部分で該コア層に近づきながら該浮上面に向かって斜めに延び、該浮上面近傍が該コア層に接触又は近接して該浮上面に露出する主磁極とを有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−61704(P2010−61704A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223449(P2008−223449)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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