説明

磁気ヘッドサスペンション

【課題】質量増加無しで曲げ一次及び二次モードの共振周波数を上昇させる。
【解決手段】ロードビーム部は、本体部と一対のフランジ部との間の左右一対の境界部分には左一対の膨出領域を有する。一対の膨出領域の各々は本体部及びフランジ部の間の境界線から所定距離だけサスペンション幅方向内方に位置する内方地点とフランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とによって挟まれる領域に位置され、本体部及びフランジ部の残りの領域に対してディスク面とは反対側へ押し出し成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションには、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックの中心に高速に且つ高精度に位置させることが要求される。
【0003】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションは、ボイスコイルモータ等のアクチュエータによって基端側が直接又は間接的に揺動中心回りに揺動されることで、先端側において支持する前記磁気ヘッドスライダをディスク面に平行なシーク方向に沿って目的トラックへ向けて移動させる為の部材である。
【0004】
前記磁気ヘッドスライダを目的トラックに高速に位置させる為には前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高める必要がある。
従って、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックに高速且つ正確に位置させる為には、前記磁気ヘッドサスペンションを前記揺動中心回りに揺動させる際に前記磁気ヘッドサスペンションに共振が生じることを可及的に防止することが望まれる。
【0005】
前記磁気ヘッドスライダには種々の振動モードが生じる。このうち曲げ一次モード及び曲げ二次モードは共振周波数が低周波数帯域に存在する。
従って、前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高めても前記磁気ヘッドサスペンションに曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振が生じることを可及的に防止し得るように、曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を高めることが必要となる。
【0006】
なお、前記曲げ一次モードとは、荷重曲げ部の基端部(支持部に連結される部位)及びディンプルを支点とした状態でロードビーム部のサスペンション長手方向中央部分がディスク面と直交するz方向に振動するモードである。
前記曲げ二次モードとは、支持部のうちz方向に関し強固に固定される部位(支持部がベースプレートの場合には、アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定されるボス部であり、以下、支持部固定位置という)の先端側位置とロードビーム部におけるサスペンション長手方向中央部及び基端部の間の基端側中間位置とディンプルとの3点を支点とした状態で、前記支持部固定位置及び前記基端側中間位置の間の領域(以下、基端側領域という)がz方向に振動し且つ前記基端側中間位置及び前記ディンプルの間の領域が前記基端側領域とは逆相状態でz方向に振動するモードである。
【0007】
前記曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を高めることは、前記ロードビーム部のz方向に関する剛性を高めることによって達成される。
この点に関し、例えば、下記特許文献1には、ディスク面に平行に延びる本体部及び前記本体部のサスペンション幅方向両側に設けられた左右一対のフランジ部を備えたロードビーム部であって、前記本体部のサスペンション幅方向略中央に補助フランジ部を設けたロードビーム部が開示されている。
【0008】
前記特許文献1に記載のロードビーム部は、前記一対のフランジ部に加えて前記補助フランジ部を有することによって、質量増加を招くことなくz方向に関する剛性を高めることができる点において有用であるが、前記補助フランジ部が前記本体部のサスペンション幅方向中央に設けられている為、前記本体部へのフレクシャ部の固着が困難になる(即ち、前記本体部への固着を可能とする為には前記フレクシャ部を複雑な構造とする必要がある)という問題があった。
又、必要及び/又は所望に応じて、前記本体部にダンパー部材を固着させる場合があるが、このダンパー部材の前記本体部への固着も困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−279570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、質量増加を招くこと無く曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を上昇させ得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成する為に、アクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持され且つ先端側に前記磁気ヘッドスライダを支持するヘッド搭載領域を有するフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部と、前記本体部のサスペンション幅方向両外端部から前記ディスク面とは反対側へ折り曲げられた左右一対のフランジ部とを備え、前記本体部と前記一対のフランジ部との間の左右一対の境界部分には左右一対の膨出領域が形成されており、前記一対の膨出領域の各々は、前記本体部及び対応する前記フランジ部の間の境界線から所定距離だけサスペンション幅方向内方に位置する内方地点と対応する前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とによって挟まれる領域に位置され、前記本体部及び対応する前記フランジ部の残りの領域に対して前記ディスク面とは反対側へ押し出し成形されている磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0012】
一形態においては、前記左右の境界部分の各々は、前記膨出領域と、前記膨出領域を挟んでサスペンション長手方向先端側及び基端側にそれぞれ位置し、前記フランジ部が前記本体部に対して前記境界線回りに曲げられている先端側非膨出領域及び基端側非膨出領域とを含み得る。
この場合には、前記膨出領域は、前記ヘッド搭載領域における前記磁気ヘッドスライダを支持する支持面とは反対側の裏面に当接すべく前記ディスク面に近接する方向へ突出するように前記本体部に形成されたディンプルと前記荷重曲げ部の基端部との間のサスペンション長手方向中央を跨ぐように配置される。
【0013】
前記膨出領域と前記先端側非膨出領域及び前記基端側非膨出領域との間にはそれぞれスリットが設けられる。
【0014】
前記スリットが設けられた構成においては、前記膨出領域は、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点から前記ディスク面とは反対側へ延びる縦延在部と、対応する前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点からサスペンション幅方向内方側へ延びて前記縦延在部の先端に連結される横延在部とを含み得る。
【0015】
好ましくは、前記縦延在部は対応する前記フランジ部に対して平行で且つ前記横延在部は前記本体部に対して平行とされる。
【0016】
これに代えて、前記スリットが設けられた構成において、前記膨出領域が、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点と前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とを連結する延在部を有するものとされ得る。
前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面を基準にして前記本体部及び前記フランジ部間の境界線とは反対側に凸状とされた湾曲形状とされ得る。
若しくは、前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面に沿った平面状とされ得る。
【0017】
前記膨出領域と前記先端側非膨出領域及び前記基端側非膨出領域とが連接するように構成することも可能である。
この場合、前記膨出領域は、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点と前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とを連結する延在部を有するものとされ、前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面を基準にして前記本体部及び前記フランジ部間の曲げ線とは反対側に凸状とされた湾曲形状とされ得る。
これに代えて、前記延在部を、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面に沿った平面状とすることも可能である。
【0018】
好ましくは、前記本体部は、前記荷重曲げ部に連結された基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション幅方向外端部が第1傾斜角でサスペンション長手方向中心線に近接する基端側部位と、前記基端側部位に連結される基端側から先端側行くに従ってサスペンション幅方向外端部から前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角でサスペンション長手方向中心線に近接する先端側部位とを含み得る。
この場合、前記膨出領域は、前記基端側部位及び前記先端側部位の間の境界をサスペンション長手方向に関し跨ぐように配置される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ロードビーム部の本体部と一対のフランジ部との間の左右一対の境界部分に左右一対の膨出領域が設けられており、前記一対の膨出領域の各々は、前記本体部及び対応する前記フランジ部の間の境界線から所定距離だけサスペンション幅方向内方に位置する内方地点と対応する前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とによって挟まれる領域に位置され、前記本体部及び対応する前記フランジ部の残りの領域に対して前記ディスク面とは反対側へ押し出し成形されているので、質量増加を招くこと無く曲げ剛性を効果的に向上させることができ、これにより、曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を上昇させることができる。
又、前記本体部のサスペンション幅方向中央にはフリースペースを確保できるので、前記本体部へのフレクシャ部やダンパー部材への固着性を損なうことも無い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図2】図2は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図3】図3は、図1におけるIII部拡大図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ、図3におけるIV(a)−IV(a)線及びIV(b)−IV(b)線に沿った断面図である。
【図5】図5は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部の製造方法の一例の工程模式図である。
【図6】図6は、前記ロードビーム部の製造方法の他の例の工程模式図であり、先端側非膨出領域及び基端側非膨出領域の製造方法を示している。
【図7】図7は、前記ロードビーム部の製造方法の他の例の工程模式図であり、膨出領域の製造方法を示している。
【図8】図8は、実施例1及び比較例1に対して行った曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数に関する解析結果を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図10】図10は、前記実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図11】図11は、図9におけるXI部拡大図である。
【図12】図12(a)及び(b)は、それぞれ、図11におけるXII(a)-XII(a)線及びXII(b)-XII(b)線に沿った断面図である。
【図13】図13は、実施例2及び比較例2に対して行った曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数に関する解析結果を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図15】図15は、図14におけるXV-XV線に沿った断面図である。
【図16】図16は、前記実施の形態3の変形例に係る磁気ヘッドサスペンションのロードビーム部の断面図であり、図15に対応した断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Aの上面図(ディスク面とは反対側から視た平面図)及び下面図(前記ディスク面から視た底面図)を示す。
なお、図2中の○は溶接点を示している。
【0022】
前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、図1及び図2に示すように、ボイスコイルモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように前記支持部10に連結された荷重曲げ部20と、前記荷重曲げ部20を介して前記支持部10に支持され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するロードビーム部30Aと、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30A及び前記支持部10に支持されるフレクシャ部40とを備えている。
【0023】
前記支持部10は、前記アクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30Aを支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
【0024】
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記支持部10は、前記アクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えたベースプレートとされている。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記アクチュエータの揺動中心に連結されるアームを採用することも可能である。
【0025】
前記ロードビーム部30Aは、前述の通り、前記荷重曲げ部20によって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0026】
図1及び図2に示すように、前記ロードビーム部30Aは、前記ディスク面と対向する平板状の本体部31Aと、前記本体部31Aのサスペンション幅方向両端部からディスク面とは反対側に延びる左右一対のフランジ部32とを有しており、前記フランジ部32によって剛性を向上させている。
【0027】
さらに、前記ロードビーム部30Aには、前記本体部31Aと前記一対のフランジ部32との間の左右の境界部分に左右一対の膨出領域35が設けられている。
この膨出領域35の詳細については後述する。
前記ロードビーム部30Aは、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0028】
図1に示すように、前記本体部31Aには、先端側に、所謂ディンプルと呼ばれる突起33が形成されている。
前記突起33は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。この突起33は、前記フレクシャ部40における下記ヘッド搭載領域415の上面(前記磁気ヘッドスライダを支持する支持面とは反対側の裏面)に接触して、この突起33を介して前記荷重を前記フレクシャ部40の前記ヘッド搭載領域415に伝達するようになっている。
【0029】
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記ロードビーム部30Aは、さらに、前記本体部31の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1Aが前記アクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面と直交するz方向に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0030】
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記ロードビーム部30Aの前記本体部31Aのサスペンション幅方向両端部は、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように平面視においてテーパ状とされている。
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部30Aの先端側における前記中心線CL回りの慣性モーメントを低減でき、種々の振動モードのうち、特にサスペンション長手方向中心線に沿った捩れ中心線回りに捩れる捩れモードの共振周波数を上昇させることができる。
【0031】
本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は左右一対の板バネ21を有している。
図1及び図2に示すように、前記左右一対の板バネ21は、互いに対してサスペンション幅方向に離間された状態で、基端部が前記支持部10に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30Aに連結されている。
前記左右一対の板バネ21は、基端部及び先端部の間においてサスペンション幅方向に沿った荷重曲げ線(図示せず)回りに先端部が前記ディスク面に近接する方向へ予め曲げられており、曲げ戻し方向への弾性変形に基づいて前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生する。
【0032】
前記一対の板バネ21は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
なお、本実施の形態においては、前記一対の板バネ21は前記ロードビーム部30Aを形成するロードビーム形成部材300に一体形成されている。
詳しくは、本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記ロードビーム部形成部材300は、前記ロードビーム部30Aを形成するロードビーム形成領域301と、前記ロードビーム形成領域301から基端側へ延びる板バネ形成領域305とを一体的に有しており、前記板バネ形成領域305はサスペンション幅方向中央に間隙が設けられることで前記左右一対の板バネ21を形成している。
【0033】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30A及び前記支持部10に溶接等によって固着される。
【0034】
詳しくは、図2に示すように、前記フレクシャ部40はフレクシャ金属プレート410を有している。
前記フレクシャ金属プレート410は、図2に示すように、前記支持部10に溶接等によって固着される支持部固着領域411と、前記ロードビーム部30Aに溶接等によって固着されるロードビーム部固着領域412と、前記ロードビーム部固着領域412の先端部におけるサスペンション幅方向両側からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の支持片413(図1参照)と、前記一対の支持片413によって支持された前記ヘッド搭載領域415とを有している。
【0035】
前記ヘッド搭載領域415は、前記ディスク面と対向する下面において前記磁気ヘッドスライダ50を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域415の上面には前記突起33が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域415は前記突起33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0036】
前記フレクシャ金属プレート410は、前記ヘッド搭載領域415がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部30Aよりも低剛性とされる。
前記フレクシャ金属プレート410は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス板とされる。
【0037】
好ましくは、前記フレクシャ部40には、図2に示すように、前記磁気ヘッドスライダ50を外部部材に電気的に接続する為の配線構造体420が一体的に備えられる。
【0038】
詳しくは、前記配線構造体420は、前記フレクシャ金属プレート410における前記ディスク面と対向する下面に積層される絶縁層と前記絶縁層における前記ディスク面と対向する面に積層される信号配線とを含み得る。
好ましくは、前記配線構造体は、前記信号配線を囲繞する絶縁性のカバー層を有し得る。
【0039】
ここで、前記ロードビーム部30Aに備えられた前記左右一対の膨出領域35について説明する。
図3に、図1におけるIII部拡大図を示す。
又、図4(a)及び(b)に、それぞれ、図3におけるIV(a)−IV(a)線及びIV(b)−IV(b)線に沿った断面図を示す。
【0040】
図1、図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、前記左右一対の膨出領域35は、前記本体部31Aと前記一対のフランジ部32との間の左右一対の境界部分に設けられている。
【0041】
詳しくは、図4(b)に示すように、前記左右一対の膨出領域35の各々は、前記本体部31A及び対応する前記フランジ部32の間の境界線32Lから所定距離だけサスペンション幅方向内方に位置する内方地点310と対応する前記フランジ部32の基端部及び先端部の間の中間地点320とによって挟まれる領域に位置されており、前記本体部31A及び対応する前記フランジ部32の残りの領域に対して前記ディスク面とは反対側へ押し出し成形されている。
【0042】
前記膨出領域35を設けることにより、比較的に低い周波数帯域に存在する前記磁気ヘッドサスペンション1Aの曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を高めることができる。
【0043】
即ち、曲げ一次モードとは、前記荷重曲げ部20の基端部(前記荷重曲げ部20のうち前記支持部10に連結される部位)及び前記ディンプル33を支点とした状態で前記両支点の間の領域がz方向に振動する振動モードである。
【0044】
曲げ二次モードとは、前記支持部10のうちz方向に関し強固に固定される部位(前記支持部10がベースプレートの場合には、アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定される前記ボス部15であり、以下、支持部固定位置という)の先端側位置と前記ロードビーム部30Aにおけるサスペンション長手方向中央部及び基端部の間の基端側中間位置と前記ディンプル33との3点を支点とした状態で、前記支持部固定位置及び前記基端側中間位置の間の領域(以下、基端側領域という)がz方向に振動し且つ前記基端側中間位置及び前記ディンプルの間の領域(以下、先端側領域という)が前記基端側領域とは逆相状態でz方向に振動する振動モードである。
【0045】
前記膨出領域35を有さない従来のロードビーム部は、サスペンション長手方向全域において図4(a)のような断面形状を有することになる。
即ち、従来のロードビーム部においては、サスペンション長手方向に沿った曲げ線回りに曲げ加工された曲げ部がサスペンション長手方向全域に亘って一カ所のみとなる。
【0046】
これに対し、本実施の形態における前記ロードビーム部の前記膨出領域においては、サスペンション長手方向に沿った曲げ線回りに曲げ加工された曲げ部が三カ所、存在する。
【0047】
詳しくは、図3及び図4(b)に示すように、本実施の形態においては、前記膨出領域35は、前記本体部31Aのサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点310から前記ディスク面とは反対側へ延びる縦延在部351と、前記フランジ部32の基端部から所定距離だけ先端側に位置された中間地点320からサスペンション幅方向内方側へ延びて前記縦延在部351の先端に連結される横延在部352とを含んでいる。
【0048】
斯かる構成の前記膨出領域35においては、前記本体部31A及び前記縦延在部351の間に位置する第1曲げ部と、前記縦延在部351及び前記横延在部352の間に位置する第2曲げ部と、前記横延在部及び前記フランジ部32の間に位置する第3曲げ部との三カ所の曲げ部が存在する。
【0049】
ここで、サスペンション長手方向に離間された2点を支点とした状態でその2点の間の領域がz方向に振動する前記曲げ一次モード及び前記曲げ二次モードに対する剛性は、前記曲げ部の数を増やすほど、高くなる。
従って、前記膨出領域35においては前記曲げ部が三カ所とされている前記ロードビーム部30Aは、質量増加を招くこと無く、前記曲げ部が一カ所である従来構成に比して、前記曲げ一次モード及び前記曲げ二次モードに対する剛性を高めることができる。
【0050】
又、前記一対の膨出領域35は前記本体部31Aと前記一対のフランジ部32との間の境界部分に設けられているので、前記本体部31Aのサスペンション幅方向中央にはフリースペースを確保することができる。
従って、前記フレクシャ部40や必要又は所望に応じて備えられるダンパー部材の前記本体部31Aへの固着性が損なわれることも無い。
【0051】
本実施の形態においては、前記膨出領域35は、前記ロードビーム部30Aのサスペンション長手方向中間にのみ設けられている。
【0052】
即ち、図1及び図3に示すように、前記左右の境界部分の各々は、前記膨出領域35と、前記膨出領域35を挟んでサスペンション長手方向先端側及び基端側にそれぞれ位置し、前記フランジ部32が前記本体部31Aに対して前記境界線32L回りに曲げられている先端側非膨出領域36及び基端側非膨出領域37とを含んでいる。
【0053】
このように、前記膨出領域35が前記ロードビーム部30Aのサスペンション長手方向中間にのみ設けられる場合には、前記膨出領域35は、好ましくは、前記磁気ヘッドサスペンション1Aが曲げモードで振動した際に最もz方向への変位量が大きくなる部位に設けられる。
【0054】
この点を考慮して、本実施の形態においては、前記膨出領域35は、前記荷重曲げ部20の基端部及び前記ディンプル33の間のサスペンション長手方向中央を跨ぐように配置されている。
斯かる構成によれば、前記膨出領域35を形成する範囲を可及的に小さくしつつ、曲げ一次モードに対する剛性を効率的に向上させることができる。
【0055】
図3に示すように、本実施の形態においては、前記膨出領域35と前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域36との間にはそれぞれスリット36a、37aが設けられている。
前記スリット36a、37aを設けることにより、前記膨出領域35の形成によって前記フランジ部32が変形することを可及的に防止できる。
【0056】
斯かる構成の前記ロードビーム部30Aは、図5に示すように、フランジ用上側金型151及びフランジ用下側金型152を用いて前記本体部31Aのサスペンション幅方向両側にサスペンション長手方向全域に延びる前記一対のフランジ部32を形成する工程と、前記一対のフランジ部32のうち前記膨出領域35を形成すべき領域に対してのみ膨出用上側金型161及び膨出用下側金型162を作用させて前記一対の膨出領域35を形成する工程とを含む製造方法によって製造され得る。
【0057】
これに代えて、前記フランジ用上側金型151及び前記フランジ用下側金型152を用いて前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域37において前記一対のフランジ32を形成する工程(図6参照)と、前記膨出用上側金型161及び前記膨出用下側金型162を用いて前記膨出領域35及び前記一対のフランジ32を形成する工程(図7参照)とを同時に行うことも可能である。
【0058】
好ましくは、前記縦延在部351を前記フランジ部32と平行(図4(a)において、β2=β1)とし、且つ、前記横延在部352を前記本体部31Aと平行にすることができる。
【0059】
斯かる好ましい構成によれば、曲げ加工時における前記膨出領域35の前記本体部31Aに対するスプリングバック量を前記フランジ部32の前記本体部31Aに対するスプリングバック量と同一にでき、前記フランジ部及び前記膨出領域が所望形状に対して変形することを有効に防止できる。
【0060】
ここで、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションの一例(以下、実施例1という)に対して行った解析結果について説明する。
本解析においては、有限要素法を用いた固有値解析によって前記実施例1の曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を求めた。
なお、前記実施例1は下記寸法(図1及び図4参照)を有するものとした。
本解析結果を図8に示す。
【0061】
支持部10の材質:SUS304
支持部10の厚み:0.15mm
ロードビーム部30の材質:SUS304
ロードビーム部30の厚み:0.03mm
支持部10の基準部位からディンプル33までのサスペンション長手方向距離L0:11mm
支持部10の基準部位と先端部との間のサスペンション長手方向距離L1:4.8mm
一対の板バネ21のサスペンション長手方向距離L2:0.5mm
ロードビーム部30の基端部の幅W:3.8mm
本体部31Aのサスペンション幅方向外端部のサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角α:14°
基端側非膨出領域37のサスペンション長手方向距離L3:1.57mm
膨出領域35のサスペンション長手方向距離L4:3.0mm
フランジ部32の角度β1:75°
フランジ部32の高さH1:0.31mm
膨出領域35の高さH2:0.125mm
フランジ部32及び本体部31Aの境界線32Lと膨出領域35のサスペンション幅方向内端部35との間の距離D:0.15mm
縦延在部351の角度β2:75°
【0062】
前記膨出領域35を有さない点を除き前記実施例1と同一構成を有する比較例1の曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数についても同様の方法で求めた。
この結果を図8に併せて示す。
【0063】
図8から明らかなように、前記膨出領域35が形成された前記実施例1は前記膨出領域35を有さない前記比較例1に比して、曲げ一次モード及び曲げ二次モードの双方において高い共振周波数を有している。
このことは、前記実施例1は前記比較例1に比して、前記磁気ヘッドスライダ50を目的のトラック上に高速に移動させるべくボイスコイルモータ等のアクチュエータの駆動信号の周波数を上昇させても、共振の発生を防止し得ることを意味する。
【0064】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図9及び図10に、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Bの上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)及び側面図を示す。
又、図11に、図9におけるXI部拡大図を示す。
さらに、図12(a)及び(b)に、それぞれ、図11におけるXII(a)-XII(a)線及びXII(b)-XII(b)線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1Aにおいては、前記本体部31Aのサスペンション幅方向外端部は略一定の角度でサスペンション長手方向中心線CLに対して傾斜されている。
【0066】
これに対し、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションにおいては、ロードビーム部30Bにおける本体部31Bのサスペンション幅方向外端部は、基端側においては第1傾斜角α1でサスペンション長手方向中心線CLに対して傾斜され、且つ、先端側においては前記第1傾斜角α1よりも小さい第2傾斜角α2でサスペンション長手方向中心線CLに対して傾斜されている。
【0067】
詳しくは、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Bは、前記ロードビーム部30Aがロードビーム部30Bに変更されている点においてのみ、前記実施の形態1に係る前記磁気ヘッドサスペンション1Aと相違している。
【0068】
前記ロードビーム部30Bは、前記ディスク面と対向する平板状の本体部31Bと、前記一対のフランジ部32と、前記一対の膨出領域35とを有している。
【0069】
前記本体部31Bは、図9に示すように、前記荷重曲げ部20に連結される基端側部位361と、前記基端側部位361から先端側へ延びる先端側部位362とを有している。
【0070】
前記基端側部位361は、基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション幅方向外端部が第1傾斜角α1でサスペンション長手方向中心線CLに近接するように構成されている。
前記先端側部位362は、基端側から先端側行くに従ってサスペンション幅方向外端部から前記第1傾斜角α1よりも小さい第2傾斜角α2でサスペンション長手方向中心線CLに近接するように構成されている。
斯かる構成によれば、捩れモードの共振周波数を高めることができ、捩れモードの共振が生じることを有効に防止できる。
【0071】
本実施の形態におけるように、前記本体部31Bのサスペンション幅方向外端部のサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角が変曲点360(前記基端側部位361及び前記先端側部位362の境界)において変化する構成においては、前記膨出領域35は、好ましくは、前記基端側部位361及び前記先端側部位362の境界をサスペンション長手方向に関し跨ぐように配置される。
【0072】
斯かる構成によれば、前記変曲点360における曲げ剛性を高めることができ、曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振が生じることを有効に防止できる。
【0073】
ここで、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションの一例(以下、実施例2という)に対して行った解析結果について説明する。
本解析においても、有限要素法を用いた固有値解析によって前記実施例2の曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数を求めた。
なお、前記実施例2は下記寸法を除き前記実施例1と同一寸法を有するものとした。
本解析結果を図13に示す。
【0074】
ロードビーム部30Bの基端部から変曲点360までのサスペンション長手方向距離L5:3.5mm
基端側部位361のサスペンション幅方向外端部のサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角α1:21.3°
先端側部位362のサスペンション幅方向外端部のサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角α1:6.0°
【0075】
前記膨出領域35を有さない点を除き前記実施例2と同一構成を有する比較例2の曲げ一次モード及び曲げ二次モードの共振周波数についても同様の方法で求めた。
この結果を図13に併せて示す。
【0076】
図13から明らかなように、前記膨出領域35が形成された前記実施例2は前記膨出領域35を有さない前記比較例2に比して、曲げ一次モード及び曲げ二次モードの双方において高い共振周波数を有している。
このことは、前記実施例2は前記比較例2に比して、前記磁気ヘッドスライダ50を目的のトラック上に高速に移動させるべくボイスコイルモータ等のアクチュエータの駆動信号の周波数を上昇させても、共振の発生を防止し得ることを意味する。
【0077】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図14に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cの上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)を示す。
又、図15に、図14におけるXV-XV線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1又は2における同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0078】
本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cは、膨出領域35Cの具体的構造において前記実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンション1Bと相違している。
【0079】
具体的には、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1Cは、前記実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンション1Bにおいて、前記ロードビーム部30Bの代わりにロードビーム部30Cを有している。
【0080】
前記実施の形態2における前記ロードビーム部30Bにおいては、前記膨出領域35と前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域37との間にはそれぞれ前記スリット36a、37a(図11参照)が設けられている。
【0081】
これに対し、本実施の形態における前記ロードビーム部30Cにおいては、前記スリット36a、37aが省略されており、前記膨出領域35Cが前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域37に連接されている。
【0082】
前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域37に連接しつつ、前記膨出領域35Cを前記ディスク面とは反対側へ膨出させることを可能とする為に、本実施の形態においては、前記膨出領域35Cは、図15に示すように、前記本体部31Bのサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置する内方地点310と前記フランジ部32の基端部及び先端部の間の中間地点320とを連結する延在部355を有しており、前記延在部355は前記内方地点310及び前記中間地点320を結ぶ仮想面を基準にして前記本体部31B及び前記フランジ部32間の境界線32Lとは反対側に凸状とされた湾曲形状を有している。
【0083】
このように、前記膨出領域35Cと前記先端側非膨出領域36及び前記基端側非膨出領域37とを連接することにより、前記スリット36a、37aの存在によって前記ロードビーム部30Cの剛性が悪化することを防止できる。
【0084】
又、本実施の形態においては、前記膨出領域35Cの展開長さを前記膨出領域35の展開長さよりも短くできる為、サスペンション長手方向に沿った捩れ中心線回りに捩れる捩れモードに対する剛性を高めることができる。
【0085】
図16に示すように、前記膨出領域35Cが、前記延在部355に代えて、前記内方地点310及び前記中間地点320を結ぶ前記仮想面に沿った平面状の延在部355’を有するように構成することも可能である。
この場合には、捩れモードに対する剛性をより向上させることができる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、図14に示すように、前記膨出領域35Cは、前記変曲点360より先端側の前記先端側部位362に設けられており、曲げ二次モードの共振周波数の有効な向上を図っている。
当然ながら、前記膨出領域35Cを、サスペンション長手方向に関し前記変曲点360を跨ぐように配置させることも可能である。
【0087】
又、前記スリット36a、37aが設けられている前記実施の形態1及び2において、前記膨出領域35の代わりに前記膨出領域35Cを適用することも可能である。
【符号の説明】
【0088】
1A〜1C 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
20 荷重曲げ部
30A〜30C ロードビーム部
31A、31B 本体部
32 フランジ部
33 ディンプル
35、35C 膨出領域
36 先端側非膨出領域
36a スリット
37 基端側非膨出領域
37a スリット
40 フレクシャ部
50 磁気ヘッドスライダ
310 内方地点
320 中間地点
351 縦延在部
352 横延在部
355 延在部
360 基端側部位及び先端側部位の境界
361 基端側部位
362 先端側部位
415 ヘッド搭載領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持され且つ先端側に前記磁気ヘッドスライダを支持するヘッド搭載領域を有するフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記ロードビーム部は、前記ディスク面と対向する平板状の本体部と、前記本体部のサスペンション幅方向両外端部から前記ディスク面とは反対側へ折り曲げられた左右一対のフランジ部とを備え、前記本体部と前記一対のフランジ部との間の左右一対の境界部分には左右一対の膨出領域が形成されており、
前記一対の膨出領域の各々は、前記本体部及び対応する前記フランジ部の間の境界線から所定距離だけサスペンション幅方向内方に位置する内方地点と対応する前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とによって挟まれる領域に位置され、前記本体部及び対応する前記フランジ部の残りの領域に対して前記ディスク面とは反対側へ押し出し成形されていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記本体部には、前記ヘッド搭載領域における前記磁気ヘッドスライダを支持する支持面とは反対側の裏面に当接するように前記ディスク面に近接する方向へ突出されたディンプルが形成されており、
前記左右の境界部分の各々は、前記膨出領域と、前記膨出領域を挟んでサスペンション長手方向先端側及び基端側にそれぞれ位置し、前記フランジ部が前記本体部に対して前記境界線回りに曲げられている先端側非膨出領域及び基端側非膨出領域とを含み、
前記膨出領域は、前記荷重曲げ部の基端部及び前記ディンプルの間のサスペンション長手方向中央を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記膨出領域と前記先端側非膨出領域及び前記基端側非膨出領域との間にはそれぞれスリットが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記膨出領域は、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点から前記ディスク面とは反対側へ延びる縦延在部と、対応する前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点からサスペンション幅方向内方側へ延びて前記縦延在部の先端に連結される横延在部とを含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記縦延在部は対応する前記フランジ部に対して平行で且つ前記横延在部は前記本体部に対して平行であることを特徴とする請求項4に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記膨出領域は、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点と前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とを連結する延在部を有していることを特徴とする請求項3に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項7】
前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面を基準にして前記本体部及び前記フランジ部間の境界線とは反対側に凸状とされた湾曲形状とされていることを特徴とする請求項6に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項8】
前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面に沿った平面状とされていることを特徴とする請求項6に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項9】
前記膨出領域と前記先端側非膨出領域及び前記基端側非膨出領域とは連接されており、
前記膨出領域は、前記本体部のサスペンション幅方向外端部から所定距離だけ内方に位置された内方地点と前記フランジ部の基端部及び先端部の間の中間地点とを連結する延在部を有し、前記延在部は、前記内方地点及び前記中間地点を結ぶ仮想面を基準にして前記本体部及び前記フランジ部間の曲げ線とは反対側に凸状とされた湾曲形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項10】
前記本体部は、前記荷重曲げ部に連結された基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション幅方向外端部が第1傾斜角でサスペンション長手方向中心線に近接する基端側部位と、前記基端側部位に連結される基端側から先端側行くに従ってサスペンション幅方向外端部から前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角でサスペンション長手方向中心線に近接する先端側部位とを含み、
前記膨出領域は、前記基端側部位及び前記先端側部位の間の境界をサスペンション長手方向に関し跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−16233(P2013−16233A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148762(P2011−148762)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】