説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】造影剤の到達を検出するための領域の位置ずれを少なくし、且つ適切なタイミングで撮影を行うことを提供する。
【解決手段】領域設定用スキャンAを実行し、表示画面に表示された画像を参照しながら、断面に領域を設定する。領域を設定した後、ベースラインスキャンが実行され、領域に造影剤が到達する前の信号強度のベースラインBLと、領域に造影剤が到達したか否かを判断するための閾値THが決定される。ベースラインスキャンBが終了した後、領域に造影剤が到達したか否かを検出するための造影剤到達検出スキャンCが実行され、断面に造影剤が到達したと判断されたら、本スキャンDを開始すると決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造影剤が注入された被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、造影剤を用いて被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-261904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造影剤を用いて被検体を撮影する方法の一例として、造影剤の到達を検出するための領域を設定し、設定した領域に造影剤が到達したときに、撮影を実行する方法がある。しかし、この方法では、被検体の動きによって、造影剤の到達を検出するための領域に位置ずれが生じるという問題や、撮影を手動で実行する場合、経験の浅いオペレータでは、適切なタイミングで撮影を開始することが難しいという問題がある。したがって、造影剤の到達を検出するための領域の位置ずれが少なく、且つ適切なタイミングで撮影を行うことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、被検体に造影剤を注入し、前記被検体の所定の部位をスキャンする磁気共鳴イメージング装置であって、
表示部と、
前記被検体の断面のスキャンを実行しながら、前記表示部に前記断面の画像を表示する手段と、
操作者の操作に応じて、前記表示部に表示された断面の画像に、造影剤の到達を検出するための領域を設定する領域設定手段と、
前記領域に前記造影剤が到達したか否かを判断する造影剤到達判断手段と、
前記造影剤到達判断手段によって前記造影剤が到達したと判断された場合、前記所定の部位のスキャンを開始すると決定するスキャン開始決定手段と、
を有する、磁気共鳴イメージング装置である。
【0006】
本発明の第2の態様は、被検体に造影剤を注入し、前記被検体の所定の部位をスキャンする磁気共鳴イメージング装置であって、
表示部と、
前記被検体の断面のスキャンを実行しながら、前記表示部に前記断面の画像を表示する手段と、
操作者の操作に応じて、前記表示部に表示された断面を、造影剤の到達を検出するための断面として決定する断面決定手段と、
決定された断面に前記造影剤が到達したか否かを判断する造影剤到達判断手段と、
前記造影剤到達判断手段によって前記造影剤が到達したと判断された場合、前記所定の部位のスキャンを開始すると決定するスキャン開始決定手段と、
を有する、磁気共鳴イメージング装置である。

【発明の効果】
【0007】
被検体の断面のスキャンを実行しながら、表示部に断面の画像を表示させているので、スキャン中に被検体が動いても、表示部には、被検体が動いた後の断面が表示される。したがって、操作者は、被検体が動いても、被検体が動いた後の断面を確認しながら、造影剤の到達を検出するための領域(又は断面)を決めることができるので、造影剤の到達を検出するための領域(又は断面)の位置ずれを小さくすることができる。
また、造影剤到達判断手段が領域(又は断面)に造影剤が到達したと判断したら、スキャン開始決定手段が、所定の部位のスキャンを開始すると決定する。したがって、スキャンの開始タイミングを、手動ではなく自動で決定することができるので、操作者の熟練度に関わらず、好適なタイミングで所定の部位のスキャンを開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【図2】実行されるスキャンの説明図である。
【図3】検出領域RTを設定する方法の説明図である。
【図4】別の断面画像を示す図である。
【図5】操作者14によって位置決めされた検出領域RTを示す図である。
【図6】本発明の第2の形態の磁気共鳴イメージング装置200の概略図である。
【図7】実行されるスキャンの説明図である。
【図8】造影剤の到達の検出に用いられる断面を決定する方法の説明図である。
【図9】別の断面画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態を説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0010】
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【0011】
磁気共鳴イメージング装置(以下、「MRI装置」と呼ぶ。MRI:Magnetic Resonance Imaging)100は、磁場発生装置2、テーブル3、造影剤注入装置4、受信コイル5などを有している。
【0012】
磁場発生装置2は、被検体13が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場B0を印加し、勾配コイル23は勾配磁場を印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。尚、超伝導コイル22の代わりに、永久磁石を用いてもよい。
【0013】
テーブル3は、クレードル31を有している。クレードル31は、ボア21に移動できるように構成されている。クレードル31によって、被検体13はボア21に搬送される。
【0014】
造影剤注入装置4は、被検体13に造影剤を注入する。
受信コイル5は、被検体13の頭部から頚部に渡って取り付けられている。受信コイル5は、被検体13からの磁気共鳴信号を受信する。
【0015】
MRI装置100は、更に、シーケンサ6、送信器7、勾配磁場電源8、受信器9、中央処理装置10、操作部11、および表示部12を有している。
【0016】
シーケンサ6は、中央処理装置10の制御を受けて、パルスシーケンスを実行するための情報を送信器7および勾配磁場電源8に送る。
【0017】
送信器7は、シーケンサ6から送られた情報に基づいて、RFコイル24を駆動する駆動信号を出力する。
【0018】
勾配磁場電源8は、シーケンサ6から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動する駆動信号を出力する。
【0019】
受信器9は、受信コイル5で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置10に出力する。
【0020】
中央処理装置10は、シーケンサ6および表示部12に必要な情報を伝送したり、受信器9から受け取った信号に基づいて画像を再構成するなど、MRI装置100の各種の動作を実現するように、MRI装置100の各部の動作を制御する。中央処理装置10は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。中央処理装置10は、領域設定手段101〜スキャン開始決定手段105などを有している。
【0021】
領域設定手段101は、造影剤の到達を検出するための領域RT(図5参照)を設定する。
【0022】
ベースライン決定手段102は、領域RTの信号強度のベースラインを決定する。
閾値決定手段103は、領域RTに造影剤が到達したか否かを判断するための閾値THを決定する。
【0023】
造影剤到達判断手段104は、領域RTに造影剤が到達したか否かを判断する。
スキャン開始決定手段105は、造影剤到達判断手段104によって造影剤が到達したと判断された場合、本スキャンD(図2参照)を開始すると決定する。
【0024】
中央処理装置10は、領域設定手段101〜スキャン開始決定手段105の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。
【0025】
操作部11は、操作者14の操作に応じて、種々の命令を中央処理装置10に入力する。表示部12は種々の情報を表示する。
【0026】
MRI装置100は、上記のように構成されている。次に、第1の形態において実行されるスキャンについて説明する。
【0027】
図2は、第1の形態において実行されるスキャンの説明図である。
先ず、領域設定用スキャンAが実行される。領域設定用スキャンAは、造影剤の到達を検出するための領域RT(後述する図5参照)を設定するために実行されるスキャンである。以下に、造影剤の到達を検出するための領域RTの設定方法について説明する。
【0028】
図3は、造影剤の到達を検出するための領域RTを設定する方法の説明図である。
図3(a)は、領域設定用スキャンAによってスキャンされる断面a−aを示す図、図3(b)は、断面a−aの断面画像CSを表示する表示部12の表示画面12aを示す図である。
【0029】
領域設定用スキャンAでは、被検体13の断面画像データを収集するためのシーケンスが繰り返し実行され、断面画像データが取得されるたびに、表示画面12aに表示されている断面画像CSが、取得された最新の断面画像に更新される。したがって、操作者14は、表示画面12aを見ることによって、最新の断面画像を視覚的に認識することができる。
【0030】
操作者14は、表示画面12aを参照し、表示されている断面画像CSの中に、造影剤の到達の検出に適した血管が含まれているか否かを検討しながら、造影剤の到達を検出するための領域を設定するか否かを判断する。操作者14は、表示画面12aに、断面a−aとは別の断面の断面画像を表示させたい場合は、操作部11を操作して、スキャンされる断面を調整する。操作者14がスキャンされる断面を調整すると、表示画面12aには、断面a−aとは別の断面の断面画像が表示される(図4参照)。
【0031】
図4は、別の断面画像を示す図である。
図4(a)は、領域設定用スキャンAによってスキャンされる断面b−bを示す図、図4(b)は、断面b−bの断面画像CSを表示する表示部12の表示画面12aを示す図である。
【0032】
操作者14は、スキャンされる断面を調整することによって、表示画面12aに、任意の断面の断面画像を表示させることができる。図4(b)では、表示画面12aに、断面b−bの断面画像CSが表示されている。
【0033】
操作者14は、表示画面12aに表示されている断面画像を参照しながら、造影剤の到達を検出するための領域を探し出す。操作者14は、例えば、断面b−bの断面画像CSの中の血管に、造影剤の到達を検出するための領域を設定したいと判断した場合、操作部11を操作し、造影剤の到達を検出するための領域を位置決めする(図5参照)。
【0034】
図5は、操作者14によって位置決めされた領域RTを示す図である。
操作者14は、操作部11を操作することによって、断面画像CSに領域RTを位置決めする。操作者14は、領域RTを位置決めしたら、領域設定ボタン12bをクリックする。領域設定ボタン12bがクリックされると、領域設定手段101(図1参照)は、操作者14が断面画像CSの中に位置決めした領域RTを、造影剤の到達を検出するための領域RTとして設定する。このようにして、表示部12に表示された断面の画像に、造影剤の到達を検出するための領域RTが設定される。
【0035】
尚、操作者14は、領域RTを設定し直したいと考えた場合は、操作部11を操作して、領域RTを設定し直すための情報を入力し、領域設定ボタン12bを再びクリックすればよい。領域設定ボタン12bを再びクリックすることによって、造影剤の到達を検出するための領域を設定し直すことができる。
ここでは、図4(a)の断面b−bに、造影剤の到達を検出するための領域RTが設定されたとする。
【0036】
図2に戻って説明を続ける。
造影剤の到達を検出するための領域RTが設定されると、領域設定用スキャンAが終了し、ベースラインスキャンBが実行される。ベースラインスキャンBは、領域RTに造影剤が到達する前の信号強度のベースラインを決定するためのスキャンである。
【0037】
ベースラインスキャンBでは、断面b−bの磁気共鳴信号を収集するための信号収集シーケンスB(i=1〜n)が実行される。ベースライン決定手段102(図1参照)は、信号収集シーケンスB(i=1〜n)により収集された磁気共鳴信号に基づいて、断面b−bに設定された領域RTの信号強度b(i=1〜n)を求め、記憶しておく。図2の下側には、信号強度b〜bの時間変化を表すプロファイルが示されている。ベースラインスキャンBが実行された後、ベースライン決定手段102は、信号強度b〜bの平均値を求め、この平均値を領域RTの信号強度のベースラインBLとして決定する。また、閾値決定手段103(図1参照)は、信号強度b〜bに基づいて、領域RTに造影剤が到達したか否かを判断するための閾値THを決定する。閾値THは、例えば、以下の式(1)によって求めることができる。
TH=Mean+k・SD ・・・(1)

Mean:信号強度b〜bの平均値
k:係数
SD:信号強度b〜bの標準偏差
【0038】
係数kの値は、例えば3とすることができる。ベースラインBLおよび閾値THを決定した後、表示部12に、「ベースラインBLおよび閾値THを決定した」旨の内容が表示される。表示部12に、「ベースラインBLおよび閾値THを決定した」旨の内容が表示されたら、操作者14は、操作部11を操作し、造影剤を注入するための命令を入力する。この命令が入力されると、造影剤注入装置4(図1参照)は、被検体13に造影剤の注入を開始する。したがって、ベースラインスキャンBが実行された後に、被検体13に造影剤の注入が開始される。
【0039】
また、ベースラインスキャンBが終了した後、領域RTに造影剤が到達したか否かを検出するための造影剤到達検出スキャンCが実行される。造影剤到達検出スキャンCでは、断面b−bから磁気共鳴信号を収集するための信号収集シーケンスC(j=1〜m)が実行される。信号収集シーケンスCは、ベースラインスキャンBで実行される信号収集シーケンスBと同じシーケンスである。造影剤到達判断手段104(図1参照)は、造影剤到達検出スキャンCの信号収集シーケンスC(j=1〜m)により得られた磁気共鳴信号に基づいて、断面b−bに設定された領域RTの信号強度c(j=1〜m)を求め、信号強度cが、閾値THを越えているか否かを判断する。そして、信号強度cが閾値THを2回連続で超え、且つ信号強度が増加している場合、造影剤が到達したと判断する。図2では、信号強度cm−1およびcが閾値THを2回連続で超えており、信号強度cは、cm−1よりも増加している。したがって、造影剤到達判断手段104は、信号収集シーケンスCが実行されたときに、領域RTに造影剤が到達したと判断する。造影剤が到達したと判断されたら、スキャン開始決定手段105(図1参照)は、本スキャンDを開始すると決定する。この決定を受けて、造影剤到達検出スキャンCが終了し、本スキャンDが開始される。
【0040】
本スキャンDによって必要なデータを収集したら、本スキャンDを終了し、被検体13の撮影を終了する。
【0041】
第1の形態では、領域設定用スキャンAが実行されている間、表示部12の表示画面12aに、最新の断面画像が表示されるので、領域設定用スキャンAの途中で被検体13が動いても、表示画面12aには、被検体13が動いた後の断面が表示される。したがって、操作者14は、被検体13が動いても、被検体13が動いた後の最新の断面画像を確認しながら、造影剤の到達を検出するための領域RTを設定することができるので、領域RTの位置ずれを小さくすることができる。
【0042】
また、第1の形態では、造影剤到達判断手段104が領域RTに造影剤が到達したと判断したら、スキャン開始決定手段105が、本スキャンDを開始すると決定する。したがって、操作者14自身が本スキャンDの開始タイミングを判断しなくてもよく、本スキャンDを自動で開始することができるので、操作者14の熟練度に関わらず、好適なタイミングで本スキャンDを開始することができる。
【0043】
(2)第2の形態
図6は、本発明の第2の形態の磁気共鳴イメージング装置200の概略図である。
【0044】
第2の形態のMRI装置200は、第1の形態のMRI装置100と比較して、中央処理装置10が異なるが、その他の構成は、第1の形態と同じである。したがって、以下の説明では、主に、中央処理装置10について説明する。
【0045】
中央処理装置10は、断面決定手段106〜スキャン開始決定手段109などを有している。
【0046】
断面決定手段106は、造影剤の到達を検出するための断面を決定する。
基準画像データ作成手段107は、断面決定手段106が決定した断面の基準画像データを作成する。
造影剤到達判断手段108は、断面決定手段106が決定した断面に造影剤が到達したか否かを判断する。
スキャン開始決定手段109は、造影剤到達判断手段108によって造影剤が到達したと判断された場合、本スキャンD(図7参照)を開始すると決定する。
【0047】
中央処理装置10は、断面決定手段106〜スキャン開始決定手段109の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。
【0048】
MRI装置200は、上記のように構成されている。次に、第2の形態において実行されるスキャンについて説明する。
【0049】
図7は、実行されるスキャンの説明図である。
先ず、断面決定用スキャンAが実行される。断面決定用スキャンAは、造影剤の到達を検出するための断面を決定するために実行されるスキャンである。以下に、造影剤の到達を検出するための断面の決定方法について説明する。
【0050】
図8は、造影剤の到達の検出に用いられる断面を決定する方法の説明図である。
図8(a)は、断面決定用スキャンAによってスキャンされる断面a−aを示す図、図8(b)は、断面a−aの断面画像CSを表示する表示部12の表示画面12aを示す図である。
【0051】
断面決定用スキャンAでは、被検体13の断面画像データを収集するためのシーケンスが繰り返し実行され、断面画像データが取得されるたびに、表示画面12aに表示されている断面画像CSが、取得された最新の断面画像に更新される。したがって、操作者14は、表示画面12aを見ることによって、最新の断面画像を視覚的に認識することができる。
【0052】
操作者14は、表示画面12aを参照し、表示されている断面画像CSの中に、造影剤の到達の検出に適した血管が含まれているか否かを検討しながら、断面a−aが、造影剤の到達を検出するための断面として適切か否かを判断する。操作者14は、表示画面12aに、断面a−aとは別の断面の断面画像を表示させたい場合は、操作部11を操作して、スキャンされる断面を調整する。操作者14がスキャンされる断面を調整すると、表示画面12aには、断面a−aとは別の断面の断面画像が表示される(図9参照)。
【0053】
図9は、別の断面画像を示す図である。
図9(a)は、断面決定用スキャンAによってスキャンされる断面b−bを示す図、図9(b)は、断面b−bの断面画像CSを表示する表示部12の表示画面12aを示す図である。
【0054】
操作者14は、スキャンされる断面を調整することによって、表示画面12aに、任意の断面の断面画像を表示させることができる。図9(b)では、表示画面12aに、断面b−bの断面画像CSが表示されている。
【0055】
操作者14は、表示画面12aに表示されている断面画像を参照しながら、造影剤の到達を検出するための断面を特定する。例えば、断面画像CSの断面b−bが、造影剤の到達を検出するための断面として適していると判断した場合、操作者14は、断面決定ボタン12cをクリックする。断面決定ボタン12cがクリックされると、断面決定手段106(図6参照)は、断面b−bを、造影剤の到達を検出するための断面として決定する。尚、操作者14は、造影剤の到達を検出するための断面を、断面b−bとは別の断面に変更したいと考えた場合は、表示画面12aに、断面b−bとは別の断面を表示させ、断面決定ボタン12cを再びクリックすればよい。断面決定ボタン12cを再びクリックすることによって、断面の位置を変更することができる。
【0056】
ここでは、断面b−b(図9(a)参照)が、造影剤の到達を検出するための断面として決定されたとする。
【0057】
図7に戻って説明を続ける。
断面b−bが決定されると、被検体に造影剤が注入される前の断面b−bの基準画像データを取得するための基準画像スキャンBが実行される。
【0058】
基準画像スキャンBでは、断面b−bの磁気共鳴信号を収集するための信号収集シーケンスB(i=1〜n)が実行される。
【0059】
基準画像データ作成手段107(図6参照)は、信号収集シーケンスBにより収集された磁気共鳴信号に基づいて、断面b−bの画像データIb(i=1〜n)を求め、記憶しておく。
【0060】
基準画像スキャンBが実行された後、基準画像データ作成手段107は、断面b−bの画像データIb〜Ibに基づいて、断面b−bの基準画像データIrefを作成する。尚、基準画像スキャンBにおいて、信号収集シーケンスBのみを実行し、信号収集シーケンスBにより得られた断面b−bの画像データIbを基準画像データIrefとしてもよい。
【0061】
基準画像データIrefが作成されたら、表示部12に、「基準画像データIrefを作成した」旨の内容が表示される。表示部12に、「基準画像データIrefを作成した」旨の内容が表示されたら、操作者14は、操作部11を操作し、造影剤を注入するための命令を入力する。この命令が入力されると、造影剤注入装置4(図6参照)は、被検体13に造影剤の注入を開始する。したがって、基準画像スキャンBが実行された後に、被検体13に造影剤の注入が開始される。
【0062】
また、基準画像スキャンBが終了した後、断面b−bに造影剤が到達したか否かを検出するための造影剤到達検出スキャンCが実行される。造影剤到達検出スキャンCでは、断面b−bから磁気共鳴信号を収集するための信号収集シーケンスC(j=1〜m)が実行される。信号収集シーケンスCは、基準画像スキャンBで実行される信号収集シーケンスBと同じシーケンスである。造影剤到達判断手段108(図6参照)は、造影剤到達検出スキャンCの信号収集シーケンスC(j=1〜m)により収集された磁気共鳴信号に基づいて、断面b−bの画像データIc(j=1〜m)を求め、画像データIcと基準画像データIrefとの差分画像データDI(j=1〜m)を算出する。断面b−bに造影剤が到達した場合、造影剤によって信号強度が増加する領域Rcが現れるので、差分画像データDIの信号強度を求めることによって、断面b−bに造影剤が到達したか否かを判断することができる。第2の形態では、差分画像データDIの信号強度の閾値TH1を事前に決めておき、差分画像データDIの信号強度が、閾値TH1を越えたら、断面b−bに造影剤が到達したと判断する。図7では、差分画像データDIの信号強度が閾値TH1を越えたとする。造影剤が到達したと判断されたら、スキャン開始決定手段109(図6参照)は、本スキャンDを開始すると決定する。この決定を受けて、造影剤到達検出スキャンCが終了し、本スキャンDが開始される。
【0063】
本スキャンDによって必要なデータを収集したら、本スキャンDを終了し、被検体13の撮影を終了する。
【0064】
第2の形態では、断面決定用スキャンAが実行されている間、表示部12の表示画面12aに、最新の断面画像が表示されるので、断面決定用スキャンAの途中で被検体13が動いても、表示画面12aには、被検体13が動いた後の断面が表示される。したがって、操作者14は、被検体13が動いても、被検体13が動いた後の最新の断面画像を確認しながら、造影剤の到達を検出するための断面b−bを決定することができるので、断面b−bの位置ずれを小さくすることができる。
【0065】
また、第2の形態では、造影剤到達判断手段108が断面b−bに造影剤が到達したと判断したら、スキャン開始決定手段109が、本スキャンDを開始すると決定する。したがって、操作者14自身が本スキャンDの開始タイミングを判断しなくてもよく、本スキャンDを自動で開始することができるので、操作者14の熟練度に関わらず、好適なタイミングで本スキャンDを開始することができる。
【符号の説明】
【0066】
2 磁場発生装置
3 テーブル
4 造影剤注入装置
5 受信コイル
6 シーケンサ
7 送信器
8 勾配磁場電源
9 受信器
10 中央処理装置
11 操作部
12 表示部
13 被検体
14 操作者
21 ボア
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 送信コイル
31 クレードル
100、200 MRI装置
101 領域設定手段
102 ベースライン決定手段
103 閾値決定手段
104 造影剤到達判断手段
105 スキャン開始決定手段
106 断面決定手段
107 基準画像データ作成手段
108 造影剤到達判断手段
109 スキャン開始決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に造影剤を注入し、前記被検体の所定の部位をスキャンする磁気共鳴イメージング装置であって、
表示部と、
前記被検体の断面のスキャンを実行しながら、前記表示部に前記断面の画像を表示する手段と、
操作者の操作に応じて、前記表示部に表示された断面の画像に、造影剤の到達を検出するための領域を設定する領域設定手段と、
前記領域に前記造影剤が到達したか否かを判断する造影剤到達判断手段と、
前記造影剤到達判断手段によって前記造影剤が到達したと判断された場合、前記所定の部位のスキャンを開始すると決定するスキャン開始決定手段と、
を有する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記領域に前記造影剤が到達したか否かを検出するための造影剤到達検出スキャンが実行され、
前記造影剤到達判断手段は、
前記造影剤到達検出スキャンにより得られた前記領域の信号強度に基づいて、前記領域に前記造影剤が到達したか否かを判断する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記領域に造影剤が到達したか否かを判断するための閾値を決定する閾値決定手段を有し、
前記造影剤到達判断手段は、
前記造影剤到達検出スキャンにより得られた前記領域の信号強度と、前記閾値とに基づいて、前記領域に前記造影剤が到達したか否かを判断する、請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記領域の信号強度のベースラインを決定するためのベースライン決定手段を有する、請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
被検体に造影剤を注入し、前記被検体の所定の部位をスキャンする磁気共鳴イメージング装置であって、
表示部と、
前記被検体の断面のスキャンを実行しながら、前記表示部に前記断面の画像を表示する手段と、
操作者の操作に応じて、前記表示部に表示された断面を、造影剤の到達を検出するための断面として決定する断面決定手段と、
決定された断面に前記造影剤が到達したか否かを判断する造影剤到達判断手段と、
前記造影剤到達判断手段によって前記造影剤が到達したと判断された場合、前記所定の部位のスキャンを開始すると決定するスキャン開始決定手段と、
を有する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記断面決定手段が決定した断面に前記造影剤が到達したか否かを検出するための造影剤到達検出スキャンが実行される、請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記断面決定手段が決定した断面の基準画像データを取得するための基準画像スキャンが実行され、
前記造影剤到達判断手段は、
前記造影剤到達検出スキャンにより得られた画像データと、前記基準画像データとの差分画像データとを求め、前記差分画像データに基づいて、前記断面決定手段が決定した断面に前記造影剤が到達したか否かを判断する、請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−157458(P2012−157458A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18133(P2011−18133)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】