説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】RFパルスの局所送信用RFコイルが接続されていない状態でガントリ内に設置され、WBコイルにRFパルスが印加された場合であっても局所送信用RFコイルの破損を回避し、かつ被検体の安全を確保することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置はデータ収集系及び制御系を備える。データ収集系は、被検体から磁気共鳴信号を収集する。制御系は、磁気共鳴号に基づいて画像データを生成する。データ収集系は、全身用コイル、高周波コイル及び切断回路を有する。全身用コイルは、撮像領域に高周波磁場を印加するためのコイルである。高周波コイルは、全身用コイルの内側に配置され、高周波パルスが印加された場合に撮像領域に高周波磁場を印加する。切断回路は、高周波コイルのコネクタが制御系に接続されていない場合に、高周波コイルを構成する回路の一部を電気的に切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する画像診断装置である。
【0003】
MRI装置は、撮影領域全体に対してRFパルスを印加する送信用RFコイルとして筒状の全身用(WB: whole body)コイルを備えている。WBコイルは、ガントリ(架台)に固定され、ユーザが取り外すことは想定されていない。一方、所望の限られた撮影領域に対して局所的にRFパルスを送信する局所送信用RFコイルを撮像用に用いることができる。局所送信用RFコイルを用いれば、消費電力を低減させ、少ない電力でより強度の強いRF磁場を発生させることができる。
【0004】
局所送信用RFコイルは、寝台にセットされた被検体に装着した上で被検体とともにガントリ内に送り込まれる。そして、局所送信用RFコイルは、コネクタにてMRI装置の制御系と接続され、WBコイルの内側に配置された状態で使用される。
【0005】
多くのMRI装置では、局所送信用RFコイルがMRI装置側のコネクタに接続されることによって、局所送信用RFコイルの使用が可能な状態であることが認識される。更に、局所送信用RFコイルの接続がMRI装置側のシステムに認識されると、送信用のRFコイルであるWBコイルが電気的に切断される。これにより、局所送信用RFコイルとWBコイルとの間における電気的なカップリングが回避される。
【0006】
尚、多くの局所送信用RFコイルはNMR信号の受信機能も有する。信号の送受信機能を有する局所送受信用RFコイルの例としては、頭部用の局所送受信用RFコイルや膝用の局所送受信用RFコイルが挙げられる。代表的な局所送信用RFコイルとしては、バードケージ型のRFコイルが知られている。バードケージ型のRFコイルは、2つのリングを複数のラングで接続したコイルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−142646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の局所送信用RFコイルは、局所送信用RFコイル側のコネクタがMRI装置側のコネクタに接続されない限り、MRI装置側のシステムによって認識されない。従って、局所送信用RFコイル側のコネクタがMRI装置側のコネクタに接続されないままガントリ内に放置されると、局所送信用RFコイルがWBコイル内に配置された状態でWBコイルからRFパルスが送信されることとなる。
【0009】
局所送信用RFコイルは、WBコイルと同じ送信周波数に調整されている。このため、局所送信用RFコイルがWBコイル内に配置された状態でWBコイルからRFパルスが送信されると、局所送信用RFコイルとWBコイルとの間において電気的なカップリングが起こる。この結果、局所送信用RFコイルには非常に大きな誘導起電力が発生する。局所送信用RFコイルに大きな誘導起電力が生じて誘導電流が流れると、局所送信用RFコイルが発熱し、局所送信用RFコイルが破損するのみならず、患者に火傷等の危害を及ぼす恐れがある。
【0010】
局所送信用RFコイルをガントリ内にセットしたにもかかわらずコネクタの接続を失念するということは、MRI装置の操作者にとって実際に起こり得ることである。従って、局所送信用RFコイルをガントリ内にセットした状態で誤ってRFパルスを送信した場合であっても、局所送信用RFコイルの破損を回避し、かつ被検体の安全を確保する技術の開発が望まれる。
【0011】
本発明は、RFパルスの局所送信用RFコイルが接続されていない状態でガントリ内に設置され、WBコイルにRFパルスが印加された場合であっても局所送信用RFコイルの破損を回避し、かつ被検体の安全を確保することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、データ収集系及び制御系を備える。データ収集系は、被検体がセットされた撮像領域に静磁場、傾斜磁場及び高周波磁場を印加して前記被検体から磁気共鳴信号を収集する。制御系は、前記データ収集系を制御することによって前記磁気共鳴信号を取得し、取得した前記磁気共鳴号に基づいて画像データを生成する。データ収集系は、全身用コイル、高周波コイル及び切断回路を有する。全身用コイルは、前記撮像領域に前記高周波磁場を印加するためのコイルである。高周波コイルは、前記全身用コイルの内側に配置され、前記制御系からコネクタを介して高周波パルスが印加された場合に前記撮像領域に前記高周波磁場を印加する。切断回路は、前記高周波コイルの前記コネクタが前記制御系に接続されていない場合に、前記高周波コイルを構成する回路の一部を電気的に切断する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図。
【図2】図1に示す局所RFコイルの第1の回路構成例を示す図。
【図3】図1に示す局所RFコイルとして用いられるバードケージ型RFコイルのコイルエレメントの回路構成例を示す斜視図。
【図4】図1に示す局所RFコイルの第2の回路構成例を示す図。
【図5】図1に示す局所RFコイルの第3の回路構成例を示す図。
【図6】図1に示す局所RFコイルの第4の回路構成例を示す図。
【図7】図1に示す局所RFコイルの第5の回路構成例を示す図。
【図8】図1に示す局所RFコイルの第6の回路構成例を示す図。
【図9】図1に示す局所RFコイルの第7の回路構成例を示す図。
【図10】図1に示す局所RFコイルの第8の回路構成例を示す図。
【図11】図1に示す局所RFコイルの第9の回路構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成図である。
【0016】
磁気共鳴イメージング装置1は、ガントリ2と制御系3とを有する。ガントリ2には、撮像領域が形成され、撮像領域に静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石4、撮像領域に傾斜磁場を形成する筒状の傾斜磁場コイル5及び撮像領域全体にRF磁場パルスを送信する筒状のWBコイル6が同軸状に内蔵される。また、ガントリ2近傍には、寝台7が設置され、寝台7の天板8に被検体Oをセットした状態で天板8とともに被検体Oをガントリ2内の撮像領域に送り込むことができるように構成されている。
【0017】
また、被検体Oには、WBコイル6の内側に局所RFコイル9をセットしてRF磁場パルスの送信用のコイルとして使用することができる。局所RFコイル9には、コイルコネクタ9Aが設けられ、局所RFコイル9を使用する場合には、局所RFコイル9のコイルコネクタ9AがMRI装置側のシステムコネクタ10と接続される。図1は、MRI装置側のシステムコネクタ10を寝台7の天板8に設け、頭部用の局所RFコイル9をコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介してMRI装置に接続した例を示している。代表的な局所コイルとしてはバードケージ型のコイルが知られている。
【0018】
局所RFコイル9は、被検体Oにおいて発生したNMR信号の受信機能を兼ねたコイルとしても良い。図1は、局所コイルをRFパルスの送信機能とNMR信号の受信機能を備えたコイルとした例を示している。尚、局所RFコイル9とは別に、NMR信号の受信用の局所RFコイルやNMR信号の受信用の複数のコイル要素を備えたフェーズドアレイコイル(PAC: phased array coil)を被検体Oの撮像部位近傍に設けてもよい。また、WBコイル6が受信用のRFコイルとして用いられる場合もある。
【0019】
そして、ガントリ2に内蔵された静磁場用磁石4、傾斜磁場コイル5及びWBコイル6とガントリ2近傍にセットされる局所RFコイル9とを含むハードウェアによって、被検体Oがセットされた撮像領域に静磁場、傾斜磁場及びRF磁場を印加して被検体OからNMR信号を収集するためのデータ収集系が形成される。
【0020】
一方、制御系3は、データ収集系を制御することによって被検体OからNMR信号を取得し、取得したNMR信号に基づいてMR画像データを生成するシステムである。具体的には、制御系3は、傾斜磁場電源11、送信器12、受信器13、コンピュータ14、シーケンスコントローラ15、ディスプレイ16及びコンソール17を具備している。
【0021】
傾斜磁場電源11は、傾斜磁場コイル5に制御パルスを印加することによって傾斜磁場コイル5を制御するための駆動回路である。すなわち、傾斜磁場電源11は、傾斜磁場コイル5から被検体Oの撮像部位に向けて傾斜磁場パルスを印加させる機能を有する。
【0022】
送信器12は、局所RFコイル9又はWBコイル6にRFパルスを送信することによって送信用のRFコイルから被検体Oに向けてRF磁場を印加させる回路である。そのために送信器12の出力側は分岐して一端はWBコイル6と接続され、他端にはシステムコネクタ10が接続される。
【0023】
そして、システムコネクタ10に局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが接続されている場合には、送信器12が局所RFコイル9の接続を認識し、送信器12が局所RFコイル9にRFパルスを送信するように構成される。一方、システムコネクタ10に局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが接続されていない場合には、送信器12がWBコイル6にRFパルスを送信するように構成される。
【0024】
受信器13は、受信用のRFコイルからNMR信号を受信して増幅、検波及びA/D (analog to digital)変換を含む信号処理によってデジタル信号のNMRデータを生成する回路である。図1では、局所RFコイル9が受信用のRFコイルを兼ねている。このため、RFパルスの送信用のコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10と共通のコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介して局所RFコイル9の出力側と受信器13とが接続されている。
【0025】
シーケンスコントローラ15は、コンピュータ14から出力されるパルスシーケンスを含む撮像条件に従って傾斜磁場電源11、送信器12及び受信器13を駆動させる制御回路である。
【0026】
コンピュータ14は、入力装置を備えたコンソール17から入力される指示情報に従って制御される。コンピュータ14は、受信器13から取得した複素信号であるNMR信号に対して画像再構成処理及び必要な画像処理を施すことによってMR画像データを生成する機能と、生成したMR画像データをディスプレイ16に表示させる機能を有する。
【0027】
次に、局所RFコイル9のより具体的な機能及び回路構成について説明する。ここでは、局所RFコイル9がRFパルスの送信機能及びNMR信号の受信機能を備えたバードケージ型の送受信用局所RFコイルである場合を例に説明する。
【0028】
局所RFコイル9は、システムコネクタ10及びコイルコネクタ9Aを介して制御系3の送信器12及び受信器13に対して着脱可能に構成されている。そして、局所RFコイル9は、システムコネクタ10及びコイルコネクタ9Aを介して制御系3の送信器12及び受信器13と接続された状態で送信器12からシステムコネクタ10及びコイルコネクタ9Aを介してRFパルスが印加された場合にRF磁場パルスを局所的な撮像領域に送信する機能と、被検体OからNMR信号を受信してシステムコネクタ10及びコイルコネクタ9Aを介して受信器13に出力する機能とを有する。
【0029】
また、局所RFコイル9には、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合に、局所RFコイル9を構成する回路の一部を電気的に切断する切断回路が設けられる。すなわち、切断回路は、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されているか否かに応じて局所RFコイル9を構成する回路の一部を電気的に接続状態と非接続状態との間で切換えるスイッチ回路として機能する。
【0030】
図2は図1に示す局所RFコイル9の第1の回路構成例を示す図である。また、図3は図1に示す局所RFコイル9として用いられるバードケージ型RFコイルのコイルエレメントの回路構成例を示す斜視図である。
【0031】
図2に例示されるように、局所RFコイル9は、コイルエレメント20、送受信切換(T/RSW)回路21、プリアンプ22及びコイルコネクタ9Aを備えている。コイルエレメント20と送受信切換回路21とは、切断回路23を介して送受信共通の信号線24Aにより互いに接続される。
【0032】
また、送受信切換回路21には、局所RFコイル9側におけるRF送信パルスの伝送用の信号線24B及びNMR信号の伝送用の信号線24Cの各一端がそれぞれ接続され、RF送信パルスの伝送用の信号線24B及びNMR信号の伝送用の信号線24Cの各他端は、コイルコネクタ9Aと接続される。更に、送受信切換回路21とコイルコネクタ9Aとの間におけるNMR信号の伝送用の信号線24Cに、プリアンプ22が接続される。
【0033】
一方、システムコネクタ10には、制御系3側におけるRF送信パルスの伝送用の信号線24D及びNMR信号の伝送用の信号線24Eの各一端がそれぞれ接続される。そして、RF送信パルスの伝送用の信号線24Dの他端は送信器12と接続され、NMR信号の伝送用の信号線24Eの他端は受信器13と接続される。
【0034】
コイルエレメント20は、撮像領域にセットされた被検体Oに向けてRFパルスを送信する一方、被検体Oにおいて生じたNMR信号を受信するコイルである。バードケージ型のコイルエレメント20は、図2及び図3に示すように、2つのエンドリング20Aを複数のラング20Bで連結して構成される。各エンドリング20A及び各ラング20Bは、それぞれ導体で構成される。また、エンドリング20A及びラング20Bの一方又は双方の所定の位置には、コイルエレメント20の周波数調整のためにコンデンサ素子20Cが接続される。
【0035】
更に、コイルエレメント20には、インピーダンスのマッチング回路としてマッチングコンデンサ20Dが送受信共通の信号線24Aを介して接続される。マッチングコンデンサ20Dには、通常可変コンデンサ素子が用いられる。
【0036】
送受信切換回路21は、送信器12からコイルエレメント20に向かうRF送信パルスの信号経路と、コイルエレメント20から受信器13に向かうNMR受信信号の信号経路とを切換えるスイッチ回路である。
【0037】
コイルコネクタ9Aは、制御系3側のシステムコネクタ10と着脱可能に勘合する形状を有する。そして、コイルコネクタ9Aは、制御系3側のシステムコネクタ10と連結することによって、局所RFコイル9側におけるRF送信パルスの伝送用の信号線24Bを制御系3側におけるRF送信パルスの伝送用の信号線24Dと、局所RFコイル9側におけるNMR信号の伝送用の信号線24Cを制御系3側におけるNMR信号の伝送用の信号線24Eと、それぞれ接続するように構成される。
【0038】
プリアンプ22は、コイルエレメント20から切断回路23及び送受信切換回路21を介して出力されたNMR信号を増幅し、増幅したNMR信号をコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介して受信器13に出力する増幅器である。
【0039】
切断回路23は、前述のようにコイルエレメント20と送受信切換回路21との間、より詳細には、マッチングコンデンサ20Dと送受信切換回路21との間に接続される。切断回路23は、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合に、コイルエレメント20と送受信切換回路21との間を電気的に切断する回路である。そのために切断回路23は、第1の信号線23A、第2の信号線23B及びショート回路23Cを有する。
【0040】
第1の信号線23Aの一端は、コイルエレメント20側に接続される送受信共通の信号線24Aと接続される。或いは、第1の信号線23Aは、コイルエレメント20側に接続される送受信共通の信号線24A自体である。一方、第2の信号線23Bの一端は、送受信切換回路21側に接続される送受信共通の信号線24Aと接続される。或いは、第2の信号線23Bは、送受信切換回路21側に接続される送受信共通の信号線24A自体である。第1の信号線23A及び第2の信号線23Bの各他端は、互いに電気的に接続されない状態で、それぞれコイルコネクタ9Aと接続される。
【0041】
ショート回路23Cは、制御系3側のシステムコネクタ10と接続される。ショート回路23Cは、制御系3側において、第1の信号線23Aと第2の信号線23Bとを電気的に接続する信号線を備えた回路である。ショート回路23Cによって、コイルエレメント20と送受信切換回路21とはコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介して電気的に接続される。
【0042】
このような回路構成を有する切断回路23によれば、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に連結された状態では、第1の信号線23A、ショート回路23C及び第2の信号線23Bを経由する信号経路によってコイルエレメント20と送受信切換回路21とが電気的に接続される。一方、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に連結されていない状態では、第1の信号線23Aと第2の信号線23Bとが電気的に非接続状態となる。このため、コイルエレメント20と送受信切換回路21とが電気的に切断される。この結果、局所RFコイル9の共振周波数が変化し、RF送信パルスの周波数からデチューンされる。
【0043】
従って、WBコイル6の内側に設置された局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に接続されない状態で送信器12からWBコイル6にRF送信パルスが印加されたとしても、コイルエレメント20に生じる誘導電流を十分に低減させることができる。また、万一コイルエレメント20に誘導電流が生じたとしても、送受信切換回路21、プリアンプ22、送信器12及び受信器13等の回路に流れ込むことを回避させることができる。
【0044】
尚、第1の信号線23A及び第2の信号線23Bの一部又は全部を同軸ケーブルで構成することもできる。この場合、同軸ケーブルの一端が切断対象となるコイルエレメント20と送受信切換回路21との間における信号線24Aと接続され、他端がコイルコネクタ9Aと接続される。
【0045】
すなわち、同軸ケーブルの中心導体の一端がコイルエレメント20と接続される一方、外皮導体(シールド導体)の一端が送受信切換回路21と接続される。或いは、逆に同軸ケーブルの外皮導体の一端がコイルエレメント20と接続される一方、中心導体の一端が送受信切換回路21と接続される。そして同軸ケーブルの中心導体及び外皮導体の各他端が、互いに電気的に接続されない状態でそれぞれコイルコネクタ9Aと接続される。
【0046】
この場合、ショート回路23Cは、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に接続されている場合に同軸ケーブルの他端とコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介して接続される。そして、ショート回路23Cは、同軸ケーブルの中心導体と外皮導体とを電気的に接続する信号線を備えた回路となる。
【0047】
但し、同軸ケーブルの一端における中心導体と外皮導体とが電気的に接続されている場合、同軸ケーブルの長さlが式(1)の関係にあると、他端の中心導体と外皮導体とがショートする。
l = nλ/2 (1)
但し、式(1)においてnは自然数であり、λは同軸ケーブルを流れる交流電流の波長である。
【0048】
同軸ケーブルの一端における中心導体と外皮導体とが電気的に接続されている場合、他端の中心導体と外皮導体とを電気的に非接続の状態にするための条件は、同軸ケーブルの長さlが式(2)の関係を満たすことである。
l = nλ/2+λ/4 (2)
【0049】
従って、図2において、第1の信号線23A及び第2の信号線23Bとして同軸ケーブルを用いる場合には、同軸ケーブルの長さlを式(1)を満たすように決定することが最適である。
【0050】
尚、同軸ケーブルの一端における中心導体と外皮導体とが電気的に非接続である場合には、式(1)が同軸ケーブルの他端における中心導体と外皮導体とを電気的に非接続にするための条件となり、式(2)が同軸ケーブルの他端における中心導体と外皮導体とを短絡させるための条件となる。
【0051】
図2に示す局所RFコイル9の第1の回路構成例では、切断回路23によりコイルエレメント20と送受信切換回路21との間を切断するように構成したが、切断回路23により局所RFコイル9を構成するコンデンサ素子20C及び導体の少なくとも一方を局所RFコイル9から電気的に切断するように構成することもできる。
【0052】
切断回路23の構成要素として同軸ケーブル及び同軸ケーブルの一端を制御系3側において短絡させるショート回路23Cを用いれば、同軸ケーブルの一端を切断対象となるコンデンサ素子20C又は導体等の回路の一部と接続する一方、他端をコイルコネクタ9Aと接続することによって、所望の部分を局所RFコイル9から電気的に切断することができる。
【0053】
図4は図1に示す局所RFコイル9の第2の回路構成例を示す図である。
【0054】
図4に示される第2の回路構成例の局所RFコイル9は、図2に例示される局所RFコイル9と同様にコイルエレメント20、送受信切換回路21、プリアンプ22及びコイルコネクタ9Aを備えている。但し、図4に示す局所RFコイル9では、送受信切換回路21として90°ハイブリッドが用いられている。90°ハイブリッドは、入力信号を位相が90°異なる信号に分配して出力する回路である。
【0055】
また、図4の例では、コイルエレメント20として、エンドリング20Aにコンデンサ素子20Cを接続したバードケージ型のコイルが用いられている。コイルエレメント20は、2本の同軸ケーブル30により送受信切換回路21と2ポートで接続される。更に、各同軸ケーブル30の中心導体30Aとコイルエレメント20との間には、インピーダンス整合のためのマッチングコンデンサ20Dがそれぞれ接続される。
【0056】
一方、切断回路23は、同軸ケーブル40及びショート回路23Cを備えている。図4は、2つの切断回路23を局所RFコイル9に接続した例を示している。すなわち、2組の同軸ケーブル40及びショート回路23Cが局所RFコイル9に接続されている。
【0057】
各切断回路23は、コイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合に、局所RFコイル9から切断する対象となるコイルエレメント20のコンデンサ素子20Cとそれぞれ接続される。具体的には、同軸ケーブル40の各一端が、コンデンサ素子20Cの両端とそれぞれ接続される。すなわち、各同軸ケーブル40の中心導体40Aがコンデンサ素子20Cの一端と接続され、各同軸ケーブル40の外皮導体40Bがコンデンサ素子20Cの他端と接続される。
【0058】
同軸ケーブル40の各他端は、中心導体40Aと外皮導体40Bとが互いに電気的に接続されない状態でコイルコネクタ9Aとそれぞれ接続される。更に、各同軸ケーブル40には、インピーダンスのマッチングのためにバラン(平衡不平衡変換器)41が接続される。
【0059】
一方、各ショート回路23Cは、制御系3側のシステムコネクタ10と接続される。すなわち、各ショート回路23Cは、制御系3側において、対応する同軸ケーブル40の他端とコイルコネクタ9A及びシステムコネクタ10を介してそれぞれ接続される。各ショート回路23Cは、対応する同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとをそれぞれ電気的に接続する信号線を備えた回路である。
【0060】
そして、各同軸ケーブル40の長さlは式(2)を満たすように決定される。すなわち、コイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10と接続され、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとが制御系3側においてショート回路23Cにより短絡している場合には、同軸ケーブル40の局所RFコイル9側における中心導体40Aと外皮導体40Bとが電気的に非接続となるように各同軸ケーブル40の長さlが決定される。
【0061】
このような回路構成を有する切断回路23によれば、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとが制御系3側において短絡しない。このため、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとがコイルエレメント20側において短絡する。この結果、同軸ケーブル40が接続されているコイルエレメント20のコンデンサ素子20Cの両端が短絡状態となり、コイルエレメント20の共振周波数がWBコイル6に印加されるRF送信パルスの周波数からデチューンされる。
【0062】
これに対して、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されている場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとが制御系3側においてショート回路23Cによって短絡する。一方、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとは、コイルエレメント20側において非接続状態となる。この結果、同軸ケーブル40が接続されているコイルエレメント20のコンデンサ素子20Cの両端が高インピーダンスとなり、コンデンサ素子20Cは局所RFコイル9の共振周波数の調整に寄与する。すなわち、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数にチューニングして撮像に使用することができる。
【0063】
尚、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に接続されていない場合に、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数から十分に変える観点からは、局所RFコイル9のより多くのコンデンサ素子20Cに切断回路23を設けることが好適である。従って、図4には、説明簡易化のために2つのコンデンサ素子20Cにそれぞれ切断回路23を接続した例を示したが、実用的には、4つ以上のコンデンサ素子20Cに切断回路23を設けることが望ましいと考えられる。
【0064】
図5は図1に示す局所RFコイル9の第3の回路構成例を示す図である。
【0065】
図5に示される第3の回路構成例の局所RFコイル9は、図4に示される第2の回路構成例の局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、切断回路23がマッチングコンデンサ20Dに接続される。
【0066】
より具体的には、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における端部が、マッチングコンデンサ20Dの両端に接続される。すなわち、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における中心導体40Aがマッチングコンデンサ20Dの一端に接続され、外皮導体40Bがマッチングコンデンサ20Dの他端に接続される。
【0067】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(2)を満たすように決定される。すなわち、図5に示す局所RFコイル9の第3の回路構成例は、コイルエレメント20に接続されるマッチングコンデンサ20Dを切断回路23による切断対象としたものである。
【0068】
このような回路構成を有する切断回路23によれば、図4に示す第2の回路構成例の局所RFコイル9と同様に、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に接続されていない場合には、切断回路23によりマッチングコンデンサ20Dの両端が短絡された状態となり、この結果、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。
【0069】
図6は図1に示す局所RFコイル9の第4の回路構成例を示す図である。
【0070】
図6に示される第4の回路構成例の局所RFコイル9は、図4に示される第2の回路構成例の局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、コイルエレメント20として、ラング20Bにコンデンサ素子20Cを接続したバードケージ型のコイルが用いられている。
【0071】
このため、切断回路23がラング20Bに設けられたコンデンサ素子20Cに接続される。より具体的には、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における端部が、ラング20Bに設けられたコンデンサ素子20Cの両端に接続される。すなわち、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における中心導体40Aがラング20Bに設けられたコンデンサ素子20Cの一端に接続され、外皮導体40Bがラング20Bに設けられたコンデンサ素子20Cの他端に接続される。
【0072】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(2)を満たすように決定される。すなわち、図6に示す局所RFコイル9の第4の回路構成例は、コイルエレメント20のラング20Bに接続されたコンデンサ素子20Cを切断回路23による切断対象としたものである。
【0073】
このような回路構成を有する切断回路23によれば、図4に示す第2の回路構成例の局所RFコイル9と同様に、コイルコネクタ9Aがシステムコネクタ10に接続されていない場合には、切断回路23によりラング20Bに接続されたコンデンサ素子20Cの両端が短絡された状態となり、この結果、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。
【0074】
図4、図5及び図6には、局所RFコイル9を構成する複数のコンデンサ素子20Cにそれぞれ切断回路23を接続する例を示したが、切断回路23は、局所RFコイル9の共振周波数に寄与する要素であれば、コンデンサ素子20C以外の部分に接続することもできる。
【0075】
図7は図1に示す局所RFコイル9の第5の回路構成例を示す図である。
【0076】
図7に示される第5の回路構成例の局所RFコイル9は、図4に例示される局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、切断回路23がコイルエレメント20の導体を構成するラング20Bに接続される。つまり、図7に示す局所RFコイル9は、コイルエレメント20のラング20Bを切断回路23による切断対象としたものである。
【0077】
より具体的には、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における端部が、コイルエレメント20のラング20Bに接続される。すなわち、ラング20Bが切断され、一端に同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における中心導体40Aが、他端に同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における外皮導体40Bが、それぞれ接続される。
【0078】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(1)を満たすように決定される。従って、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとが制御系3側において短絡しないため、コイルエレメント20側においても短絡しない。この結果、同軸ケーブル40が接続されているラング20Bが高インピーダンスとなり、コイルエレメント20の共振周波数がWBコイル6に印加されるRF送信パルスの周波数からデチューンされる。
【0079】
これに対して、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されている場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとが制御系3側においてショート回路23Cによって短絡する。このため、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとは、コイルエレメント20側においても接続状態となる。この結果、同軸ケーブル40が接続されているラング20Bが導体として機能する。すなわち、共振周波数がRF送信パルスの周波数にチューニングされた状態の局所RFコイル9を撮像に使用することができる。
【0080】
図8は図1に示す局所RFコイル9の第6の回路構成例を示す図である。
【0081】
図8に示される第6の回路構成例の局所RFコイル9は、図7に例示される局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、切断回路23が送受信切換回路21に接続された同軸ケーブル30の中心導体30Aとマッチングコンデンサ20Dとの間における信号線に接続される。つまり、図8に示す局所RFコイル9は、送受信切換回路21に接続された同軸ケーブル30の中心導体30Aとマッチングコンデンサ20Dとの間における信号線を切断回路23による切断対象としたものである。
【0082】
より具体的には、切断回路23の同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における端部が、送受信切換回路21に接続された同軸ケーブル30の中心導体30Aとマッチングコンデンサ20Dとの間における信号線に接続される。すなわち、送受信切換回路21に接続された同軸ケーブル30の中心導体30Aとマッチングコンデンサ20Dとの間における信号線が切断され、一端に切断回路23の同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における中心導体40Aが、他端に切断回路23の同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における外皮導体40Bが、それぞれ接続される。
【0083】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(1)を満たすように決定される。従って、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、切断回路23により送受信切換回路21に接続された同軸ケーブル30の中心導体30Aとマッチングコンデンサ20Dとの間における信号線が切断される。この結果、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。
【0084】
図9は図1に示す局所RFコイル9の第7の回路構成例を示す図である。
【0085】
図9に示される第7の回路構成例の局所RFコイル9は、図7に例示される局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、コイルエレメント20として、ラング20Bにコンデンサ素子20Cを接続したバードケージ型のコイルが用いられている。加えて、切断回路23がコイルエレメント20の導体を構成するエンドリング20Aに接続される。つまり、図9に示す局所RFコイル9は、コイルエレメント20のエンドリング20Aを切断回路23による切断対象としたものである。
【0086】
より具体的には、同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における端部が、コイルエレメント20のエンドリング20Aに接続される。すなわち、エンドリング20Aが切断され、一端に同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における中心導体40Aが、他端に同軸ケーブル40のコイルエレメント20側における外皮導体40Bが、それぞれ接続される。
【0087】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(1)を満たすように決定される。従って、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、切断回路23によりエンドリング20Aが切断される。この結果、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。
【0088】
上述の回路構成例の他、切断回路23の要素と切断回路23以外の局所RFコイル9の要素とによって共振回路を構成することによって、局所RFコイル9を構成する回路の一部を局所RFコイル9から電気的に切断することもできる。
【0089】
図10は図1に示す局所RFコイル9の第8の回路構成例を示す図である。
【0090】
図10に示される第8の回路構成例の局所RFコイル9は、図4に示される第2の回路構成例の局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、切断回路23にインダクタ50が備えられる。インダクタ50は、同軸ケーブル40の一端における中心導体40A又は外皮導体40Bと切断対象となるコンデンサ素子20Cとの間に接続される。更に、インダクタ50がコンデンサ素子20Cと共振するようにインダクタ50のインダクタンスがコンデンサ素子20Cのキャパシタンスに応じて決定される。
【0091】
そして、同軸ケーブル40の長さlは式(2)を満たすように決定される。従って、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとがコイルエレメント20側において短絡する。この結果、コンデンサ素子20Cとインダクタ50とで並列共振回路が構成される。
【0092】
この並列共振回路は、電流を遮断するスイッチ回路と等価な回路となる。従って、切断回路23が接続されたコンデンサ素子20Cは局所RFコイル9の共振周波数の調整に寄与しない。これにより、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。
【0093】
これに対して、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されている場合には、同軸ケーブル40の中心導体40Aと外皮導体40Bとがコイルエレメント20側において短絡しない。従って、インダクタ50は局所RFコイル9の共振周波数に影響を及ぼさない。すなわち、共振周波数がRF送信パルスの周波数にチューニングされた状態の局所RFコイル9を撮像に使用することができる。
【0094】
図11は図1に示す局所RFコイル9の第9の回路構成例を示す図である。
【0095】
図11に示される第9の回路構成例の局所RFコイル9は、図6に示される第4の回路構成例の局所RFコイル9と同様な回路構成を有する。但し、切断回路23にインダクタ50が備えられる。インダクタ50は、同軸ケーブル40の一端における中心導体40A又は外皮導体40Bと切断対象となるコンデンサ素子20Cとの間に接続される。更に、インダクタ50がコンデンサ素子20Cと共振するようにインダクタ50のインダクタンスがコンデンサ素子20Cのキャパシタンスに応じて決定される。そして、同軸ケーブル40の長さlは式(2)を満たすように決定される。
【0096】
このような回路構成を有する局所RFコイル9によれば、図10に示す第8の回路構成例の局所RFコイル9と同様に、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、局所RFコイル9の共振周波数をRF送信パルスの周波数からデチューンすることができる。すなわち、コンデンサ素子20Cとインダクタ50とで構成される並列共振回路によってコンデンサ素子20Cを局所RFコイル9から切断することができる。
【0097】
尚、図2から図11に示す局所RFコイル9の回路構成例及びその他の回路構成例は互いに組合せることができる。すなわち、局所RFコイル9のコイルコネクタ9Aが制御系3側のシステムコネクタ10に接続されていない場合に、局所RFコイル9を構成する回路の所望の部分が局所RFコイル9の共振周波数に寄与しなくなるように適切な数の切断回路23を適切な回路要素に接続することができる。
【0098】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置1は、WBコイル6内に配置して用いられる送信用の局所RFコイル9のコイルコネクタ9AがMRI装置側のシステムコネクタ10に接続されていない場合には、局所RFコイル9の一部を電気的に遮断して局所RFコイル9の送信周波数が変化するように局所RFコイル9の回路を構成したものである。
【0099】
このため、磁気共鳴イメージング装置1によれば、局所RFコイル9をMRI装置側と接続せずにWBコイル6内に設置した場合であっても、誘導電流の発生を抑制し、局所RFコイル9の温度上昇による破損を回避するとともに被検体Oの安全を確保することができる。
【0100】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0101】
例えば、上述の実施形態では、主として所定の長さを有する同軸ケーブル40を用いて局所RFコイル9の回路の一部を切断するように構成したが、局所RFコイル9のコイルコネクタ9AとMRI装置側のシステムコネクタ10との着脱状態に応じて局所RFコイル9の回路の一部を切断するスイッチ機能を有する回路であれば、任意の回路を切断回路23として用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 磁気共鳴イメージング装置
2 ガントリ
3 制御系
4 静磁場用磁石
5 傾斜磁場コイル
6 WBコイル
7 寝台
8 天板
9 局所RFコイル
9A コイルコネクタ
10 システムコネクタ
11 傾斜磁場電源
12 送信器
13 受信器
14 コンピュータ
15 シーケンスコントローラ
16 ディスプレイ
17 コンソール
20 コイルエレメント
20A エンドリング
20B ラング
20C コンデンサ素子
20D マッチングコンデンサ
21 送受信切換回路
22 プリアンプ
23 切断回路
23A 第1の信号線
23B 第2の信号線
23C ショート回路
24A、24B、24C、24D、24E 信号線
30 同軸ケーブル
30A 中心導体
40 同軸ケーブル
40A 中心導体
40B 外皮導体
41 バラン
50 インダクタ
O 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体がセットされた撮像領域に静磁場、傾斜磁場及び高周波磁場を印加して前記被検体から磁気共鳴信号を収集するデータ収集系と、
前記データ収集系を制御することによって前記磁気共鳴信号を取得し、取得した前記磁気共鳴号に基づいて画像データを生成する制御系とを備え、
前記データ収集系は、
前記撮像領域に前記高周波磁場を印加するための全身用コイルと、
前記全身用コイルの内側に配置され、前記制御系からコネクタを介して高周波パルスが印加された場合に前記撮像領域に前記高周波磁場を印加する高周波コイルと、
前記高周波コイルの前記コネクタが前記制御系に接続されていない場合に、前記高周波コイルを構成する回路の一部を電気的に切断する切断回路と、
を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記切断回路は、前記高周波コイルを構成するコンデンサ素子及び導体の少なくとも一方を前記高周波コイルから電気的に切断するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記高周波コイルは、
前記制御系から前記コネクタを介して前記高周波パルスが印加された場合に前記高周波磁場を送信する一方、前記磁気共鳴信号を受信して前記コネクタを介して前記制御系に出力するコイルエレメントと、
前記高周波パルスと前記磁気共鳴信号を切換える切換回路とを有し、
前記切断回路は、前記高周波コイルの前記コネクタが前記制御系に接続されていない場合に、前記コイルエレメントと前記切換回路との間を電気的に切断するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記切断回路は、
一端が切断対象となる前記高周波コイルを構成する回路の一部と接続され、他端が前記高周波コイルの前記コネクタに接続された同軸ケーブルと、
前記高周波コイルの前記コネクタが前記制御系に接続されている場合に前記同軸ケーブルの他端と前記コネクタを介して接続され、前記同軸ケーブルの中心導体と外皮導体とを電気的に接続するショート回路と、
を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記切断回路は、
各一端がそれぞれ切断対象として対応する前記高周波コイルを構成する回路の要素と接続され、各他端が前記高周波コイルの前記コネクタに接続された複数の同軸ケーブルと、
前記高周波コイルの前記コネクタが前記制御系に接続されている場合に前記複数の同軸ケーブルの各他端とそれぞれ前記コネクタを介して接続され、前記複数の同軸ケーブルの中心導体と外皮導体とをそれぞれ電気的に接続するショート回路と、
を有する請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記切断回路は、前記同軸ケーブルの一端における中心導体又は外皮導体と前記切断対象としてのコンデンサ素子との間に接続され、かつ前記コンデンサ素子と共振するインダクタを更に備える請求項4又は5記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−239723(P2012−239723A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114229(P2011−114229)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】